特許第5795783号(P5795783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795783
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】予混合装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/62 20060101AFI20150928BHJP
   F23D 14/60 20060101ALI20150928BHJP
   F16K 11/07 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   F23D14/62
   F23D14/60 Z
   F16K11/07 F
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-141744(P2013-141744)
(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2015-14431(P2015-14431A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2014年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公博
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−502719(JP,A)
【文献】 実開昭57−120828(JP,U)
【文献】 特開2011−196416(JP,A)
【文献】 実開昭48−38435(JP,U)
【文献】 米国特許第05067523(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/60
F23D 14/62
F16K 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、空気を供給する空気供給路と燃料ガスを供給するガス供給路とがファンの吸込み側の混合気通路に接続され、ガス供給路に流量調節弁が介設されると共に、空気供給路の通気抵抗を大小に切換える空気抵抗切換手段と、流量調節弁よりも下流側のガス供給路の部分の通気抵抗を大小に切換えるガス抵抗切換手段とを備えるものにおいて、
空気供給路とガス供給路とを混合気通路に接続する、空気抵抗切換手段及びガス抵抗切換手段を構成する抵抗切換弁が設けられ、
抵抗切換弁は、回動自在で且つ軸方向に移動自在な円筒状の弁体を有し、この弁体の周壁部に、空気供給路に連通可能な空気流入路と、ガス供給路に連通可能なガス流入路と、混合気通路に連通可能な流出路とが開設されると共に、弁体内部に、空気流入路とガス流入路とを流出路に連通する合流通路が形成され、
弁体が軸方向一方の開位置に存するときに、空気流入路とガス流入路と流出路とが夫々空気供給路とガス供給路と混合気通路とに連通し、弁体が軸方向他方の閉位置に存するときに、少なくともガス流入路とガス供給路との連通が断たれるようにし、
空気流入路とガス流入路は、弁体を開位置において回動させることにより、夫々空気供給路とガス供給路とに対する連通開度が大小に変化するように形成されることを特徴とする予混合装置。
【請求項2】
前記弁体を前記閉位置側に付勢する付勢手段と、弁体を付勢手段の付勢力に抗して前記開位置に移動させる電磁アクチュエータとを備えることを特徴とする請求項1記載の予混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の予混合装置として、特許文献1により、空気を供給する空気供給路と燃料ガスを供給するガス供給路とがファンの吸込み側の混合気通路に接続され、ガス供給路に開閉弁と流量調節弁たる比例弁とが介設されると共に、空気供給路の通気抵抗を大小に切換える空気抵抗切換手段と、比例弁よりも下流側のガス供給路の部分の通気抵抗を大小に切換えるガス抵抗切換手段とを備えるものが知られている。
【0003】
比例弁は、これへの通電電流(比例弁電流)に比例した量の燃料ガスを供給するものであり、要求燃焼量に応じた量の燃料ガスが供給されるように比例弁電流が制御され、更に、バーナに供給される混合気の空燃比が一定になるように、要求燃焼量に応じてファン回転数が制御される。但し、要求燃焼量が所定値以下になって、ファン回転数が送風量の比例特性を維持できる下限回転数以下になったり、比例弁電流がガス供給量の比例特性を維持できる下限電流以下になった場合には、要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できなくなる。
【0004】
そこで、上記従来例では、要求燃焼量が所定値以下になったときに、空気抵抗切換手段で空気供給路の通気抵抗を大きくすると共にガス抵抗切換手段でガス供給路の通気抵抗を大きくしている。これによれば、ファン回転数や比例弁電流を上記下限回転数以下や下限電流以下にせずに、所定値以下の要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できる。
【0005】
ところで、停電等の異常発生時には、バーナを速やかに消火することが望まれる。ここで、上記従来例のものでは、ガス供給路の比例弁よりも下流側を2つの通路に分岐し、一方の通路の混合気通路に対する接続口を閉塞することでガス供給路の抵抗が大きくなるようにしており、他方の通路は閉塞されることがなく、ガス供給路の開閉弁よりも下流側では、燃料ガスの供給を止めることができない。そのため、異常発生時に、開閉弁を閉弁しても、開閉弁よりも下流側のガス供給路の部分に存在する燃料ガスがバーナに供給されて、バーナが消火されるまでに時間がかかってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公報第2012/134033号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、空気供給路及び流量調節弁よりも下流側のガス供給路の部分の通気抵抗を大小に切換えることができ、且つ、異常発生時に応答性良くバーナを消火できるようにした予混合装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、空気に燃料ガスを混合し、混合気をファンを介してバーナに供給する予混合装置であって、空気を供給する空気供給路と燃料ガスを供給するガス供給路とがファンの吸込み側の混合気通路に接続され、ガス供給路に流量調節弁が介設されると共に、空気供給路の通気抵抗を大小に切換える空気抵抗切換手段と、流量調節弁よりも下流側のガス供給路の部分の通気抵抗を大小に切換えるガス抵抗切換手段とを備えるものにおいて、空気供給路とガス供給路とを混合気通路に接続する、空気抵抗切換手段及びガス抵抗切換手段を構成する抵抗切換弁が設けられ、抵抗切換弁は、回動自在で且つ軸方向に移動自在な円筒状の弁体を有し、この弁体の周壁部に、空気供給路に連通可能な空気流入路と、ガス供給路に連通可能なガス流入路と、混合気通路に連通可能な流出路とが開設されると共に、弁体内部に、空気流入路とガス流入路とを流出路に連通する合流通路が形成され、弁体が軸方向一方の開位置に存するときに、空気流入路とガス流入路と流出路とが夫々空気供給路とガス供給路と混合気通路とに連通し、弁体が軸方向他方の閉位置に存するときに、少なくともガス流入路とガス供給路との連通が断たれるようにし、空気流入路とガス流入路は、弁体を開位置において回動させることにより、夫々空気供給路とガス供給路とに対する連通開度が大小に変化するように形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、弁体を開位置において回動させて、空気供給路とガス供給路とに対する空気流入路とガス流入路の連通開度が大小に変化させることにより、空気供給路及び流量調節弁よりも下流側のガス供給路の部分の通気抵抗を大小に切換えることができる。また、弁体を閉位置に移動させると、ガス流入路とガス供給路との連通が断たれ、ガス供給路の下流端で燃料ガスの供給を停止できる。従って、異常発生時に弁体を閉位置に移動させることで、バーナへの燃料ガスの供給が速やかに停止され、応答性良くバーナを消火できる。
【0010】
また、本発明においては、弁体を閉位置側に付勢する付勢手段と、弁体を付勢手段の付勢力に抗して開位置に移動させる電磁アクチュエータとを備えることが望ましい。これによれば、停電で電磁アクチュエータへの通電が停止されると、付勢手段の付勢力により弁体が閉位置に移動するため、何らかの制御を要することなくバーナを消火でき、安全である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の予混合装置を示す切断側面図。
図2図1の弁体が閉位置に存するときを示す図。
図3】(a)は図1の弁体のIIIa−IIIa線で切断した断面図、(b)は図1の弁体のIIIb−IIIb線で切断した断面図。
図4】燃焼量とファン回転数との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は、混合気(空気と燃料ガスとの混合ガス)が噴出して燃焼する燃焼面1aを有する全一次燃焼式バーナ等から成るバーナである。バーナ1にはファン2が接続されており、本発明の実施形態の予混合装置Aにより、空気に燃料ガスを混合して、混合気をファン2を介してバーナ1に供給するようにしている。予混合装置Aは、空気を供給する空気供給路3と、燃料ガスを供給するガス供給路4と、ファン2の吸込み側の混合気通路5とを備えている。ガス供給路4の上流部には、開閉弁4aと流量調節弁たる比例弁4bとが介設されている。予混合装置Aは、更に、空気供給路3の通気抵抗を大小に切換える空気抵抗切換手段と、比例弁4bよりも下流側のガス供給路4の部分の通気抵抗を大小に切換えるガス抵抗切換手段とを備えている。
【0013】
バーナ1の燃焼中は、要求燃焼量に応じた量の燃料ガスが供給されるように比例弁4bへの通電電流(比例弁電流)を制御すると共に、バーナ1に供給される混合気の空燃比が一定になるように、要求燃焼量に応じてファン2の回転数(ファン回転数)を制御するが、要求燃焼量が所定値以下になって、ファン回転数が送風量の比例特性を維持できる下限回転数以下になったり、比例弁電流がガス供給量の比例特性を維持できる下限電流以下になった場合には、要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できなくなる。
【0014】
そこで、要求燃焼量が所定値以下になったときに、空気抵抗切換手段で空気供給路3の通気抵抗を大きくすると共にガス抵抗切換手段でガス供給路4の通気抵抗を大きくしている。これによれば、ファン回転数や比例弁電流を上記下限回転数以下や下限電流以下にせずに、所定値以下の要求燃焼量に応じた量の空気や燃料ガスを供給できる。図4は、燃焼量とファン回転数との関係を示しており、図中aは、空気供給路3の通気抵抗を小さくした場合の特性線、bは、空気供給路3の通気抵抗を大きくした場合の特性線である。
【0015】
ここで、本実施形態では、予混合装置Aに、空気供給路3とガス供給路4とを混合気通路5に接続する、空気抵抗切換手段及びガス抵抗切換手段を構成する抵抗切換弁Vを設けている。
【0016】
抵抗切換弁Vは、回動自在で且つ軸方向に移動自在な円筒状の弁体6を有する。弁体6の周壁部には、空気供給路3に連通可能な空気流入路61と、ガス供給路4に連通可能なガス流入路62と、混合気通路5に連通可能な流出路63とが開設されている。また、弁体6内部には、空気流入路61とガス流入路62とを流出路63に連通する軸孔から成る合流通路64が形成されている。そして、弁体6が軸方向一方の開位置(図1に示す位置)に存するときに、空気流入路61とガス流入路62と流出路63とが夫々空気供給路3とガス供給路4と混合気通路5とに連通し、弁体6が軸方向他方の閉位置(図2に示す位置)に存するときに、空気流入路61、ガス流入路62及び流出路63と空気供給路3、ガス供給路4及び混合気通路5との夫々の連通が断たれるようにしている。
【0017】
弁体6の一端側には、弁体6を閉位置側に付勢する付勢手段たるバネ7と、電磁アクチュエータ8とが配置されている。電磁アクチュエータ8は、弁体6の一端部で合流通路64に圧入されたプランジャ8aと、プランジャ8aの外端部に対向する固定鉄心8bとを備えている。そして、電磁アクチュエータ8への通電でプランジャ8aが固定鉄心8b側に磁気吸引されて軸方向一方に移動することにより、バネ7の付勢力に抗して、弁体6が開位置に移動するようにしている。
【0018】
また、弁体6の他端側には、モータ9が配置されている。モータ9のロータ9aには、弁体6の他端部で合流通路64に圧入された断面非円形の軸部材9bが回り止めした状態で軸方向に摺動自在に嵌合しており、モータ9の作動で軸部材9bを介して弁体6が回動する。そして、弁体6を開位置において回動させることにより、空気供給路3とガス供給路4とに対する空気流入路61とガス流入路62の夫々の連通開度が大小に変化するようにしている。
【0019】
この点について詳述すると、空気流入路61は、図3(a)に示す如く、周方向に角度差を存して形成した大径の第1通路61aと小径の第2通路61bとで構成され、ガス流入路62も、図3(b)に示す如く、周方向に角度差を存して形成した比較的大径の第1通路62aと小径の第2通路62bとで構成される。そして、弁体6を、空気流入路61の第1通路61aとガス流入路62の第1通路62aとが夫々空気供給路3とガス供給路4とに連通する低抵抗位置と、空気流入路61の第2通路61bとガス流入路62の第2通路62bとが夫々空気供給路3とガス供給路4とに連通する高抵抗位置(図3に示す位置)とにモータ9で回動できるようにしている。尚、流出路63は、低抵抗位置と高抵抗位置との何れにおいても混合気通路5に同じ連通開度で連通するように形成されている。
【0020】
弁体6が低抵抗位置に存するときは、空気供給路3とガス供給路4とに対する空気流入路61とガス流入路62との夫々の連通開度が大きくなって、空気供給路3の通気抵抗が小さくなると共に、比例弁4bよりも下流側のガス供給路4の部分の通気抵抗が小さくなる。一方、弁体6が高抵抗位置に存するときは、空気供給路3とガス供給路4とに対する空気流入路61とガス流入路62との夫々の連通開度が小さくなって、空気供給路3の通気抵抗が大きくなると共に、比例弁4bよりも下流側のガス供給路4の部分の通気抵抗が大きくなる。
【0021】
また、弁体6を閉位置に移動させると、ガス流入路62とガス供給路4との連通が断たれ、ガス供給路4の下流端で燃料ガスの供給を停止できる。従って、異常発生時に弁体6を閉位置に移動させることで、バーナ1への燃料ガスの供給が速やかに停止され、応答性良くバーナ1を消火できる。更に、本実施形態では、停電で電磁アクチュエータ8への通電が停止されると、バネ7の付勢力により弁体6が閉位置に移動するため、何らかの制御を要することなくバーナ1を消火でき、安全である。
【0022】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、弁体6が閉位置に存するときに、空気流入路61、ガス流入路62及び流出路63と空気供給路3、ガス供給路4及び混合気通路5の夫々の連通が断たれるが、燃料ガスの供給を停止できればよいため、少なくともガス流入路62とガス供給路4との連通が断たれるようにすればよい。
【0023】
また、上記実施形態では、空気流入路61とガス流入路62を夫々大径の第1通路61a,62aと小径の第2通路61b,62bとで構成しているが、第2通路61b,62bに代えて、第1通路61a,62aから周方向にのびる幅狭のスリット状の通路を形成してもよい。
【0024】
また、上記実施形態では、ガス供給路4に介設する流量調節弁として比例弁4bを用いているが、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナを流量調節弁として用いてもよい。尚、ゼロガバナを用いた場合、燃料ガスの供給量は、二次ガス圧である大気圧と空気供給路3内の負圧との差圧に応じて変化する。そして、空気供給路3内の負圧がファン回転数に応じて変化するため、燃料ガスの供給量はファン回転数即ち空気の供給量に応じて変化することになる。
【符号の説明】
【0025】
A…予混合装置、1…バーナ、2…ファン、3…空気供給路、4…ガス供給路、4b…比例弁(流量調節弁)、5…混合気通路、V…抵抗切換弁、6…弁体、61…空気流入路、62…ガス流入路、63…流出路、64…合流通路、7…バネ(付勢手段)、8…電磁アクチュエータ。
図1
図2
図3
図4