(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれの歯中心に相対して画定される複数の歯からなる本体を備え、前記歯中心は外周上に等間隔に配置され、前記複数の歯のそれぞれは係合歯面と離脱歯面とを含む、スプロケットであって、
前記複数の歯の外周上の連続するそれぞれの対は、各歯溝で互いに離間され、前記歯溝のそれぞれは前記外周上で連続する歯の1つの係合歯面と、前記外周上で連続するもう一方の歯の離脱歯面と、前記歯溝の係合歯面と離脱歯面との間にある歯底面とで、少なくとも部分的に画定され、
各歯溝における係合歯面は、前記歯溝を二等分する半径方向の歯溝中心線に対して各歯溝の前記離脱歯面の鏡像として画定され、
前記複数の歯は、タイプAの標準歯、タイプBの標準歯、タイプAの緩和型歯、タイプBの緩和型歯からなり、
前記タイプAの標準歯のそれぞれに関して、前記係合歯面および前記離脱歯面は、非緩和型の完全材料歯面で画定され、
前記タイプBの標準歯のそれぞれに関して、前記係合歯面および前記離脱歯面は、前記歯中心に関して相互に非対称に画定され、ここで、前記係合歯面は非緩和型の完全材料歯面で画定され、かつ前記離脱歯面は、前記タイプAの標準歯の前記離脱歯面の非緩和型完全材料歯面に比べて、歯中心に関して負にオフセットされた、歯面緩和型の歯面によって画定され、
前記タイプAの緩和型歯のそれぞれに関して、前記係合歯面および前記離脱歯面は、前記歯中心に関して相互に非対称に画定され、ここで、前記離脱歯面は非緩和型の完全材料歯面で画定され、かつ前記係合歯面は、前記タイプAの標準歯のそれぞれの前記係合歯面の非緩和型完全材料歯面に比べて、歯中心に関して負にオフセットされた、歯面緩和型の歯面によって画定され、
前記タイプBの緩和型歯のそれぞれに関して、前記係合歯面および前記離脱歯面は、前記タイプAの標準型歯の前記係合歯面と前記離脱歯面とのそれぞれの前記非緩和型完全材料歯面に比べて前記中心線に対して負にオフセットされた歯面緩和型材料歯面で画定される、スプロケット。
前記タイプAの緩和型歯の係合歯面は歯面緩和型圧力角で画定され、前記タイプAの標準歯の係合歯面は標準圧力角で画定され、前記歯面緩和型圧力角は、前記標準圧力角よりも小さい、請求項1に記載のスプロケット。
前記タイプBの緩和型歯の係合歯面は歯面緩和型圧力角で画定され、前記タイプBの標準歯の係合歯面は標準圧力角で画定され、前記歯面緩和型圧力角は、前記標準圧力角よりも小さい、請求項1に記載のスプロケット。
前記スプロケットの前記歯面緩和型係合歯面の第1の群は、それぞれの歯中心に対して第1の負のオフセット量だけ負にオフセットされ、前記スプロケットの前記歯面緩和型係合歯面の第2の群は、それぞれの歯中心に対して前記第1の負のオフセット量よりも大きな第2の負のオフセット量だけ負にオフセットされている、請求項2に記載のスプロケット。
前記スプロケットの前記歯面緩和型係合歯面の第1の群は、それぞれの歯中心に対して第1の負のオフセット量だけ負にオフセットされ、前記スプロケットの前記歯面緩和型係合歯面の第2の群は、それぞれの歯中心に対して前記第1の負のオフセット量よりも大きな第2の負のオフセット量だけ負にオフセットされている、請求項1に記載のスプロケット。
歯面緩和型輪郭を持つ係合歯面と歯面緩和型輪郭を持つ離脱歯面との間に画定される前記歯溝のそれぞれに位置する歯底面のそれぞれは、非緩和型輪郭を持つ係合歯面と非緩和型輪郭を持つ離脱歯面との間に画定される前記歯溝のそれぞれに位置する歯底面のそれぞれに比べて半径方向外側に配置された、嵩上げされた歯底面を備える、請求項1に記載のスプロケット。
前記スプロケットに噛合する逆歯チェーンをさらに備え、前記スプロケットと前記スプロケットに噛合する逆歯チェーンは前記スプロケットの時計方向回転と反時計方向回転とで等しい噛合運動特性で双方向に動作する、請求項6に記載のスプロケット。
前記逆歯チェーンはそれぞれが前記スプロケットと内側歯面噛合する構造となった複数のリンク列を備え、各リンク列の前方内側歯面は先行リンク列の後方外側歯面よりも外側に突出して、前記チェーンの各噛合リンク列の前方内側歯面が前記スプロケット歯の一つの係合歯面と内側歯面接触をする、請求項8に記載のスプロケット。
前記逆歯チェーンが前記タイプA緩和型歯の一つまたは前記タイプB緩和型歯の一つと完全に噛合する際、前記タイプA緩和型歯の一つまたは前記タイプB緩和型歯の一つに先行する歯溝にある前記歯底面に前記逆歯チェーンが接触する、請求項9に記載のスプロケット。
前記スプロケットの前記歯面緩和型係合歯面は、それぞれの歯中心に対して、少なくともθ2−θ1>0.5度となる大きさの負のオフセット量だけそれぞれの歯中心から負にオフセットされている、請求項11に記載のスプロケット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本開発により形成された逆歯チェーン駆動システム100を示す。このシステム100は、駆動スプロケット150および表示されていない他の少なくとも1つのスプロケットと噛合する、通常の内側歯面係合型の逆歯チェーン10を含んでいる。スプロケットは、図示した例では回転軸Xを中心に時計方向に回転する。スプロケット150は本発明に従って形成され、歯面はインボリュート形である。ただし歯面はインボリュート形の代わりに円弧形を含んでいてもよく、及び/又は、本発明の全体の範囲及び意図から逸脱することなく1つまたは複数の平坦部を含んでいるか、平坦部で画定されてもよい。
【0012】
スプロケット150は複数の歯T(T1、T2、T3など)を含み、そのそれぞれは係合歯面(EまたはE’)と離脱歯面(DEまたはDE’)を歯中心TCの相対向する側に持っている。所与のスプロケット歯Tに関しては、スプロケット150の回転方向の前側に、係合歯面E、E’があり、後側に離脱歯面DE、DE’がある。スプロケット150には全部でN個の歯があり、歯中心TCは互いに角度αだけ離れている。ここでα=360/Nである。歯Tの係合歯面E、E’と離脱歯面DE、DE’が相互に対称的に画定されている場合には、歯中心TCが歯Tを二等分する。その他の場合には、歯Tは歯中心TCに対して非対称的に画定されている。外径ODおよび歯底円直径RDが、歯面の外側および内側の半径限界を決める。
【0013】
図2Aは、チェーン10の第1と第2のリンク列L(特に列L4、L5)を示す(ガイドリンクはその下にある内部リンクプレートを見せるために取り外されている)。各列Lの通常型内側リンクプレート30は、ある半径及び/又は他の面で画定される先端37で相互に接続されている、内側歯面Fiと外側歯面Foによってそれぞれ画定されるトウ(toe)38を備えている。図示した実施形態において、外側歯面Foは直線側面となっており、内側歯面Fiは凸型の弧となっていて、両者が股部(crotch)34で繋がっている。特にそれぞれのリンク30の内側歯面Fiは半径R
Fiで画定され、好ましくは当該のトウ38の先端37へ、また反対の端部は股部34へ、なだらかに繋がる。チェーン10が
図2Aに示すように真直ぐに引っ張られている場合(それが使用時にスパンから移動してスプロケット150に係合するときの公称の方向である)、内側歯面Fiが隣接して重なり合っている先行リンク列の外側歯面Foよりも突出高さλだけ外側に突出している。これによって列Lの内側歯面Fiが、噛合開始時にスプロケット歯Tの係合歯面E、E’と初期噛合接触することが可能となる。
図2Bはチェーン10のいくつかの列Lの平面図であり、挟み込まれた内部リンク30の列L1、L2、L3、L4、L5などを有する標準のチェーンレースを示しており、連続する列がピボットピン40またはロッカージョイントによって枢動可能に相互連結されている(「ピン」という用語は単純なピンやロッカージョイントまたは連続するリンク列Lを枢動可能に結合する任意の構造を含むことが意図されている)。列方向に積層された内部リンク30を有するそのほかの内部リンクレースもまた一般に使用される。各ピン40にはピン中心Cがあり、連続するピン中心をC1、C2、C3などで示して、相互に区別する。ピン中心Cはチェーンリンクのピッチ間隔Pで離間しており、それぞれのピン中心Cは、チェーンの隣接するリンク列Lが相互に関節状に折れ曲がる軸によって、またはその軸に一致して、画定される。
【0014】
再び
図1を参照すると、チェーン10はトート(張り)ストランド内の接線TL(チェーンピン40の中心Cにおける)に実質的に沿って駆動スプロケット150に近づき、列Lのチェーン内側リンク30が係合歯面E、E’と衝突するときに噛合が起きる。チェーン10が移動してスプロケットラップ内に入り、スプロケット150と完全に噛合すると、ピン40の中心は円形通路に沿って移動し、これがピッチ直径PDを画定する。
【0015】
図3Aと
図3Bは、通常のスプロケットに対する弦上昇を示す。弦上昇CRは通常、チェーンが角度α/2だけ移動する際のチェーンピン中心C(もしくは別のタイプのチェーン継手の中心)の垂直方向変位として定義される。ここで、
CR=r
p−r
c=r
p[1−cos(180°/N)]
であり、r
cは、弦半径、すなわちスプロケット中心から、チェーンのピッチ長さにも等しい、長さPのスプロケットピッチ弦までの距離であり、r
pは、スプロケットのピッチ半径の理論値、すなわちピッチ直径PDの半分であり、Nはスプロケット歯の数であり、
αはスプロケット歯角度、すなわち360°/Nである。
図3Aは、スプロケットと噛合した瞬間の第1の位置におけるチェーンピン中心Cを示し、そこでは、接線TLとスプロケットピッチ直径PDとに同時に整列している。当技術分野で周知であり、本明細書において使われるように、接線TLは、噛合するチェーンピン中心がそれに沿ってスプロケットに近づく、理論的な直線経路である。ここで示すように、接線TLは水平方向に位置し、その場合は、接線TLは上死点、すなわちピッチ直径PD上の12時の位置においてピッチ直径PDに対する接線となる。つまり、チェーンピン中心Cがピッチ直径PD上に中心を置いて配置され、かつ同一のピン中心Cが、接線TLに直交しスプロケットの回転軸を通る半径方向参照線上にも中心を置くように配置された位置において、接線TLはピッチ直径PDに接する(接線がここに示すように水平方向であれば、参照線は、垂直である)。
図3Bは、スプロケットが角度α/2だけ回転した後の、同じピン中心Cの位置を示し、ここでは、ピン中心Cがスプロケットラップの周りの移動を続けた結果、横方向に距離CRだけ変位したことがわかる。このピン中心の垂直変位は、上流のチェーンスパンとその接線TLに対応する変位をもたらす。チェーンのピン中心Cが弦上昇および弦下降を経ながら移動する際の、この横方向の変位は、フリーなチェーンスパンの望ましくない振動を誘起する。この弦上昇CRは、本明細書では代わりに理論的弦運動CM
THEORと呼ぶ。
【0016】
図1Aに示すように、チェーン10のリンク列L5は、スプロケット150のスプロケット歯T5と噛合開始しようとしている。通常、各列Lの前面に見える1つのチェーンリンクプレート30についてのみ参照しているが、当業者であれば、ここでの議論は各列Lの複数のリンクプレート30に当てはまることが理解されるであろう。連続するピン中心Cは、C1、C2、C3、C4などのように番号付けして、互いに識別できるようにした。
【0017】
リンク列L5は、対応するスプロケット歯T5と初期噛合接触をする瞬間を示しており、すなわち、チェーンリンクプレート30の前方内側歯面Fiとスプロケット歯T5の係合歯面Eとが、係合歯面E上の初期接触位置ICにおいて初期接触をする瞬間である。歯T5をここでは標準歯と呼び、その係合歯面Eは標準形をしている(緩和型ではない)。この初期接触ICの瞬間において、初期接触角θは、スプロケット150の回転軸を起点とし接線TLに対して直交する第1の半径方向参照線REF1と、回転軸Xを起点としスプロケット歯T5の歯中心TCを通る第2の半径方向参照線TC5とのなす角度として定義される。リンク列L5が初期噛合衝撃ICをする瞬間においては、先行するリンク列L6はチェーンスパンを出て、「浮遊状態」に入る。すなわち列L6のリンクプレート30はスプロケット150とは直接接触せず、噛合している列L5と、先行するスプロケット歯T6と完全噛合接触している先行列L7との間で宙吊りの状態となる。リンク列L6は、その噛合サイクルが完結して、その後方外側歯面Foが地点OFにおいてスプロケット歯T5と完全噛合接触する位置へ移行するまで、この宙吊り状態を保持する(
図1B参照)。
図1Bに示すように、噛合サイクルには「同時噛合接触」と呼ばれるポイントがあり、そこでは連続するリンク列L5とL6が同じスプロケット歯T5に同時に接触している。すなわち先行リンク列L6の後方外側歯面Foが関節状に折れ曲がって地点OFにおいて係合歯面Eと完全噛合接触する瞬間には、列L5の前方内側歯面Fiが地点IFで係合歯面Eにまだ接触している。スプロケット150がさらに回転すると、噛合リンク列L5の前方内側歯面Fiが係合歯面Eから離れてゆく。
【0018】
リンク列L5が初期噛合衝撃する瞬間(
図1Aを再び参照)より前に、列L5がスプロケット歯T5との噛合衝撃ICに向かって関節的に折れ曲がる際に、チェーンスパンはピン中心C6を中心とした回転を効果的に行うことに留意されたい。従って、ピン中心C6は「制御ピン中心」と呼ぶことができる。制御ピン中心C6は、噛合リンク列L5の前方ピン中心C5に対して直近の先行(下流)ピン中心Cである(制御ピン中心C6はまた、(チェーン移動方向に関して)直近の完全噛合リンク列L7の後方ピン中心でもある)。このようにして、以下の関係が規定される。
−初期接触角θが上記のように定義される。
−噛合接触角τは、接線TLと、制御ピン中心C6と初期接触位置ICとの両方を通る初期接触参照線80とがなす角度として定義される。
−初期接触参照線80は、制御ピン中心C6と、初期接触位置ICとの間のレバーアーム長Dを定義する。
−リンクプレートの入口角βは、初期接触参照線80と、内側歯面半径R
Fiの弧の中心89と初期接触位置ICとを通る内側歯面参照線84との間の角度で定義される(ここで、内側歯面参照線84は、スプロケット歯T1の係合歯面Eのインボリュート曲線(または円弧部分あるいはその他の曲面)に対して垂直となる)。
−噛合衝撃角σは、接線TLと内側歯面参照線84とのなす角度で定義される。すなわち、σ=τ+βとなる。
【0019】
引き続き
図1Aを参照すると、チェーン−スプロケットの噛合衝撃は、噛合リンク列L5とスプロケット歯T5の初期接触位置ICにおける速度差により発生する。そして、スプロケット歯が初期噛合衝撃の瞬間にチェーンスパンから噛合リンク列L5を受け止める際の、関連する衝撃エネルギーE
Iは、次式で与えられる。
E
I=C×m×D
2×ω
2×cos
2(90−β)
ここで、Cは定数、mは1つの噛合リンク列L5の質量に等しく、Dは制御ピン中心C6から初期接触位置ICまでの距離、ωはスプロケットの角速度、βはリンクプレートの噛合入口角である。噛合衝撃とそれに付随するノイズレベルは、速度差を小さくすることで低減可能であり、それは噛合入口角βを低減することで達成される。
【0020】
さらに、衝撃エネルギーE
Iの式は、噛合リンク列L5の質量のみを含み、チェーン張力T
cは考慮されていない。このチェーン張力は、生じる噛合衝撃エネルギーE
Iと付随する全ノイズレベルを増大させる。チェーン張力T
Cは、噛合開始時にスプロケット歯T5に作用し、リンク衝撃力F
Lに反対向きで等しい歯の衝撃反力F
Sは、噛合衝撃角σの大きさと共に変化する。ここで、
F
S=F
H/cosσ
であり、F
Hは、水平方向の合力がゼロであることを満足するためにT
Cと等しい。
図1Aにおいては、噛合衝撃角σとその成分角は、接線TLに平行で初期接触位置ICを通り、力ベクトルF
Hに一致する、参照線82に対する角度として示されていることに留意されたい。スプロケット歯T5は、歯T5の前方(下流側)にある次のいくつかの歯と共にチェーン張力T
Cの荷重分布を分担し、初期噛合接触の開始時に歯T1の位置ICにおいて最大の反力F
Hを生じることに留意されたい。歯T5の前方のいくつかの歯に掛かる、チェーン張力荷重の残りの部分は、噛合ノイズレベルには影響を与えないので、本発明の考慮の対象外とする。以上まとめると、リンク衝撃力ベクトルF
Lは、初期噛合接触時に噛合衝撃位置ICに作用し、全噛合衝撃エネルギーE
Iとそれに関連するノイズレベルを増大させる。
【0021】
図1Bは
図1Aに類似しているが、スプロケット150がさらに回転して噛合サイクルが進み、先行リンク列L6の後方外側歯面Foがスプロケット歯T5の係合歯面Eと外側歯面接触位置OFにおいて接触し、同時に、リンク列L5の前方内側歯面Fiも係合歯面Eと位置IFにおいて接触している。前述したように、歯T5がリンク列L5の前方内側歯面Fiとの内側歯面のみでの接触から、先行リンク列L6の後方外側歯面Foと外側歯面接触点OFにおいて外側歯面とも接触するように移行することは、「移行点」と称されて、標準歯T5の噛合サイクルの終了も規定する。なぜなら、リンク列L6はこの後前方ピン中心C6も後方ピン中心C5もピッチ直径PD上に位置して完全に噛合し、リンク列L6はこの後完全に噛合した位置となって弦位置に着座し、スプロケット150のラップ内にあるものとみなされる。移行角φは第1の半径方向参照線REF1と、歯T5の歯中心TCを通る第2の半径方向参照線TC5との間の角度として定義される。このようにして、以下の関係が規定される。
−移行角φが定義される。
−移行接触角τ’は、接線TLと、外側歯面接触位置OFと制御中心C6(これは移行現象に関しては、位置OFにおいて後方外側歯面接触に移行しようするリンク列の前方ピン中心である)の両方を通る移行接触参照線90とのなす角度として定義される。
−移行接触参照線90は、制御ピン中心C6と外側歯面接触位置OFとの間のレバーアーム長D’を定義する。
−リンクプレート移行角β’は、移行接触参照線90と、後方外側歯面Foに対して垂直に延びる外側歯面参照線94とのなす角度として定義される。ここで、外側歯面参照線94は、スプロケット歯T5の係合歯面Eのインボリュート曲線(または円弧部分あるいはその他の曲面)に対して垂直となる。
−移行衝撃角σ’は、接線TLと外側歯面参照線94とのなす角度で定義される。ここでは、σ’=τ’+β’となる。
【0022】
図1Bに示すように、結果として得られるリンクプレート移行角β’と移行衝撃角σ’は、位置OFにおける後方外側歯面Foの移行衝撃に関するリンク衝撃力F
L’とそれによる衝撃エネルギーE
Iとを決定づける。ここで、
図1Aの特徴に対応する
図1Bの特徴は、対応する参照符合に(’)を付して表されており、そのすべてを必ずしもこれ以上議論しないことに注意されたい。移行衝撃角σ’とその成分は、外側歯面接触位置OFを通り接線TLに平行な参照線92(これは力ベクトルF
H’に一致)からの角度として示されている。これらの、位置OFにおける後方外側歯面Foの移行衝撃は、位置ICにおける前方内側歯面Fiの初期噛合衝撃に比べるとノイズと振動に対する寄与は小さいと考えられる。しかし、移行衝撃角σ’とその成分、すなわちリンクプレート移行角β’と移行接触角τ’とを制御することは、システム100のノイズと振動の更なる最小化のために望ましいと考えられる。
【0023】
図4は
図1のスプロケット150の全体を示す正面図であり、歯T1,T2,T3の3つの歯の反復パターンを示している。これはスプロケットの外周の周りに連続して反復される。外周上の連続する歯T(すなわち、T1、T2、T3など)のそれぞれの対はそれぞれ歯溝160、170によって離間している。
図4Aに歯T1とT2に関して示すように、任意の対象とする歯T(
図4AではT1)に関して、離脱歯面DEまたは先行スプロケット歯T(
図4AではT2)の離脱歯面DE’は、当該スプロケット歯Tの係合歯面EまたはE’の歯中心線に関する鏡像の形となっている。
図4Aの仮想線は、歯T1が通常の、すなわち非緩和型の完全材料係合歯面Eを持つ標準スプロケット歯である場合、先行する歯T2は通常の、すなわち非緩和型の離脱歯面DEを持ち、標準歯溝160が、スプロケットの回転軸Xを通って歯溝160を二等分する歯溝中心線TSCの周りに画定されることを示している。標準歯溝160は標準歯底面R(これも仮想線で示す)を含み、それによって部分的に画定される。これがスプロケット150の最小の歯底直径RDを画定する。これとは別に、
図4Aの実線は、歯T1が負にオフセット、つまりその歯中心TCに対して量FRだけ緩和された係合歯面E’を持つ歯面緩和型のスプロケット歯である場合、先行する歯T2も同様に、負にオフセット、つまりその歯中心TCに対して量FRだけ緩和された離脱歯面DE’を持つことを示しており、こうして緩和型歯溝170が歯溝中心線TSCの周りに画定される。緩和型歯溝170は嵩上げされた歯底面R’(これも実線によって表示)を含み、それによって部分的に画定される。この歯底面R’は嵩上げされていて、標準の歯溝160の歯底面Rより相対的に半径方向外側に位置する。そして、嵩上げされた歯底面R’は、以下に詳細を述べる理由によって歯溝中心線TSCを中心に対称的に画定されている。このようにそれぞれの歯溝160、170は、外周上の連続する歯の1つの係合歯面E、E’、外周上の連続するもう一方の歯の離脱歯面DE、DE’、およびその歯溝の係合歯面と離脱歯面の間にある歯底面R、R’によって、少なくとも部分的に画定される。本明細書で使用されるように、それぞれの歯溝160、170は、第1の歯T1の係合歯面E、E’、第2の歯T2の離脱歯面DE、DE’、および第1の歯T1の係合歯面E、E’と第2の歯T2の離脱歯面DE、DE’との間にある歯底面R、R’を含む、あるいはそれらで構成されるといえる。それぞれの歯溝160、170を画定する、外周上の連続すなわち隣接する歯のことを、本明細書では連続または隣接する歯の「対」と呼ぶこともある。
【0024】
スプロケット150に関する上記の要件により、スプロケット150のそれぞれの歯Tは以下の4つのタイプのいずれかとなる。
−タイプAの標準歯:通常の非緩和型の完全材料係合歯面Eと、離脱歯面歯面DEを持つ、歯中心TCに関して対称的に画定される歯。
−タイプBの標準歯:通常の非緩和型の完全材料係合歯面Eと歯面緩和型の離脱歯面DE’を持つ、歯中心TCに関して非対称的に画定される歯。
−タイプAの緩和型歯:歯面緩和型の係合歯面E’と通常の非緩和型の完全材料離脱歯面DEを持つ、歯中心TCに関して非対称的に画定される歯。
−タイプBの緩和型歯:歯面緩和型の係合歯面E’と歯面緩和型の離脱歯面奪DE’を持つ、歯中心TCに関して対称的に画定される歯。
【0025】
本明細書で言う「標準」という用語は、通常すなわち従来技術ということを意味するものではなく、完全材料(非緩和型)係合歯面を、単に負にオフセットされた(緩和型)係合歯面とは区別するために使用されている。「負にオフセット」という表現は、歯面緩和型歯面E’、DE’が完全材料非緩和型歯面E、DEよりも、歯中心TCにより近く画定または配置されていることを意味している。
【0026】
少なくとも標準歯溝160の係合歯面Eと離脱歯面DEとの対称性、および係合歯面E’と離脱歯面DE’と緩和型歯溝170の歯底面R’との対称性は、スプロケット150の双方向性を可能として、いずれの回転方向に対しても、及び/又は所与の回転方向にいずれの側が向いていても、同じ機能を果たすことが可能である。
【0027】
図5Aは、
図1のチェーン駆動システムの部分拡大図であり、標準のスプロケット歯の係合歯面と初期噛合接触する瞬間の逆歯チェーンを示す。
図1Aの噛合リンク列L5と歯T5に関する角度θに関して説明したように、ここで、初期噛合角θ2が噛合リンク列L2と前述の標準歯T2に関して定義される。
【0028】
図5Bは、スプロケット150が噛合リンク列L2と標準歯T2に関する移行点まで回転した、
図5Aのシステムを示している。ここで、噛合チェーンリンク列L2は内側歯面接触IFをし、同時にチェーンの先行列L3が標準歯T2の係合歯面Eと外側歯面接触OFをしている。
図1Bにおいてリンク列L5、L6と歯T5に関して角度φを記述したように、移行角φ2がリンク列L2とL3と歯T2に関して定義される。
【0029】
図6Aは
図5Aと同様であるが、チェーン10のリンク列L1が歯面緩和型歯T1と初期噛合接触をする瞬間を示している。初期接触角θ1は噛合リンク列L1と歯面緩和型歯T1とに関して定義される。
図5Aの初期接触角θ2を
図6Aに重ねて表示してあり、θ2がθ1よりΔθだけ大きいことが分かる。したがってスプロケット150は、歯面緩和型歯T1と初期噛合接触ICをするためにはΔθだけ余分に回転する必要があり、これが実効的には標準歯形状に関する噛合周波数を変調させる役目をする。
【0030】
図6Bは
図5Bと同様であるが、リンク列L1、L2が歯面緩和型歯T1との移行点となるまで回転したスプロケット150を示す。したがって、噛合チェーンリンク列L1が係合歯面E’と内側歯面接触IFをし、同時に、先行チェーン列L2が折れ曲がって嵩上げされた歯底面R’と位置RCで歯底接触をしている。前述したように、リンク列L1、L2と歯面緩和型歯T1とに関して、移行角φ1が定義される。
図5Bの移行角φ2を
図6Bに重ねて表示してあり、φ1がφ2よりΔφだけ大きいことが分かる。したがってスプロケット150は、標準歯T2に対しては歯面緩和型歯T1に比べてΔφだけ余分に回転して移行点に到達する。これがシステム100へのさらなる変調を与える。
【0031】
上記のことより当業者には以下のことが理解されるであろう。
−スプロケット回転の観点から見ると,噛合リンク列が標準歯と初期接触ICをする場合に比べて、噛合リンク列が歯面緩和型歯と初期接触ICする方が遅くなる。
−初期接触ICからのスプロケット回転で考えると、噛合リンク列が移行点に到達するのは、歯面緩和型歯の場合が標準歯の場合よりも早くなる。
【0032】
歯T1のような歯面緩和型歯に関する移行点は、前述したT5のような標準歯に関して説明されたものとは必然的に異なる方法で定義されることに注意されたい。
図6Dは、
図6Bの拡大図であり、噛合リンク列L1を取り外して示している。
図6Dは以下のことを示している。係合歯面E’は歯中心に対して負にオフセットされた歯面緩和型歯面であるので、噛合リンク列L1に先行するリンク列L2の後方外側歯面Foは係合歯面E’とは決して接触しない。そして先行列L2の後方外側歯面Foと歯面緩和型歯の係合歯面E’との間に歯面空隙FCが画定される。先行リンク列L2が噛合サイクルを完結させ、後方ピン中心C1がピッチ直径PD上に配置されてラップ内に適切に配置されるためには、リンク30の後方トウ37が歯底面R’と位置RCでスプロケット150と歯底接触しなければならない。これが、歯T1のような歯面緩和型歯の係合歯面E’に隣接する位置にある歯底面R’が、歯T5のような標準歯に隣接して位置する歯底面Rにくらべて、嵩上げされて半径方向の外側に配置されなければならない理由である。リンク列L2の後方トウ37がRCで歯底R’と接触すると、リンク列L2の噛合サイクルは完結する。そしてその前方ピン中心C2と後方ピン中心C1の両方がピッチ直径PD上に配置される。歯面緩和型歯T1の移行点はこうして先行リンク列L2の後方トウ37が位置RCで歯底接触する最初の瞬間として定義され、このとき
図6Bに示すように、噛合リンク列L1の前方内側歯面Fiは歯T1の係合歯面Eと位置IFにおいてまだ接触している。こうして、前述したように、移行角φ1が、第1の半径方向参照線REF1と、噛合歯T1の歯中心TCを通る第2の半径方向参照線TC1との間に画定される。
【0033】
図6Cは
図6Bの部分拡大正面図であって、先行リンク列L2の後方トウ37が位置RCで嵩上げされた歯底面R’と歯底接触した後にリンク列L1が回転してスプロケットと完全係合する際の、噛合リンク列L1の前方トウ37と嵩上げされた歯底面R’との噛合関係を示している。移行地点における噛合リンク列L1の位置が実線で示されている。リンク列L1が回転して完全係合するときの歯底面R’に対する噛合リンク列L1の相対的な位置を仮想線で示している。
図6Cに実線で示した移行点において、噛合リンク列L1の前方トウ37は歯底面R’に近接しており(
図6CのRCのすぐ左)、スプロケットの回転とともに、ピン中心C1を中心とし、RCに接する円弧139上を動く。先行リンク列L2の後方トウ37と嵩上げされた歯底面R’とが位置RCにおいて歯底接触をすることにより、ピン中心C1はピッチ直径PD上に配置されている。前方トウ37は歯底面R’に対して相対的に移動するので、ピン中心C1をピッチ直径PDに対して望まれない形で外側に動かす可能性のあるカム作用を、歯底面R’に対して行わないということは重要である。このように歯底面R’は、歯底面の円弧中心173を中心とする半径によって画定される円弧部分で形成される。弧中心173は、歯溝を二等分する歯溝中心線TSC上に乗っている。弧中心173とピン中心C1と歯底接触位置RCとは一つの直線上に乗っており(
図6Dも参照)、これによってスプロケット150が回転するとき、噛合リンク列L1がピン中心C1の周りを枢動して、噛合リンク列L1の前方トウ37が位置RCで歯底面R’に接するようになる。こうして、前方トウ37が歯底面R’上を円弧運動することで、ピン中心C1をピッチ直径PDに対して半径方向外側に強制移動させないようにする。前述したように、スプロケットを双方向性とするために、歯底面R’は歯溝中心線TSCに対して対称的となっている(そして、歯溝の係合歯面E’と離脱歯面DE’も相互に対称的になっている)。
【0034】
図7は別の実施形態によって形成されたスプロケット250の正面図である。ススプロケット250の、スプロケット150と同じ特徴は、同じ参照符合で記した。スプロケット150に比べて変更された特徴は、スプロケット150に使用されている参照番号よりも100大きい番号で記した。スプロケット250には前述したような連続する標準歯で画定される歯溝160が含まれる。スプロケット250にはまた歯溝270も含まれる。これは前述の歯溝170に対応し、そこでは係合歯面E’’と離脱歯面DE’’は歯面緩和型である。係合歯面E’’と離脱歯面DE’’が歯溝170の係合歯面E’と離脱歯面DE’よりも小さい圧力角になっているという点で、歯溝270は前述の歯溝170とは異なっている。スプロケット250もまた双方向性を持っており、歯溝160の係合歯面Eと離脱歯面DEとが互いに鏡像となっているように、歯溝270の係合歯面E’’と離脱歯面DE’’とは互いに鏡像となっており、また歯溝270の嵩上げされた歯底面R’’は歯溝中心線TSCに関して対称的に画定されている。上記のように、簡単に言うとそれぞれの歯溝160、270は、第1の歯T1の係合歯面E、E’’と、第2の歯T2の離脱歯面DE、DE’’と、第1の歯T1の係合歯面E、E’’と第2の歯T2の離脱歯面DE、DE’’との間にある歯底面R、R’’と、を含むあるいはそれらで構成されているといえる。
【0035】
通常のスプロケットに関して一般的に言えば、係合歯面および離脱歯面のインボリュート形状は基準円から生成され、その基準円は次の様に定義される。
基準円=PDxCOS(PA)
ここで、PD=スプロケットピッチ直径、PA=歯の圧力角である。更に、ピッチ直径PDそのものは以下のように定義される。
PD=P/SIN(180/N)
ここで、P=ピッチ、N=スプロケットの歯の数である。
インボリュート歯形はラジアル歯形、すなわち1つまたは複数の円弧で近似することができ、ラジアル歯形の圧力角PAは、同様に決定することができる。いずれにせよ、大きな圧力角で画定される係合歯面に比べて、小さい圧力角で画定される係合歯面ほどより急峻となる(スプロケットの回転軸を起点とするラジアル線により近くなる)。こうして、前述の初期接触位置ICのような係合歯面上の所与の位置に関して、初期接触位置ICにおける係合歯面に接する参照線は、それ自身と、係合歯面とそのすぐ下流(前方)離脱歯面との間のラジアル参照線との間にある角度を画定する。この角度は、圧力角が減少すると小さくなり、圧力角が増加すると大きくなる。
【0036】
圧力角を小さくした歯溝270を設計する一つの方法は、標準歯溝160(
図8の実線で示す)から始めて、仮想線E
260で示すように係合歯面Eの圧力角を下げてゆくことである。その結果、係合歯面E
260は標準係合歯面Eに比べてより急峻となる。すなわち、係合歯面E
260は、係合歯面Eに比べると、歯溝中心線TSCとの間の角度がより小さくなる。歯溝160の離脱歯面は、DE
260で示すように、低減された圧力角を持つ係合歯面E
260を歯溝中心線に関する鏡像にして画定される。そして係合歯面E
260、離脱歯面DE
260のいずれもそれぞれの内側端部において歯底面Rに接して、小さい圧力角をもつ歯溝260を画定する。ここで
図8Aも参照すると、スプロケット250の最終的な歯面緩和型歯溝270は、中間的な歯溝260の係合歯面E
260と離脱歯面DE
260を歯面緩和量FRだけ緩和して画定され、図に仮想線で示すような低減された圧力角を持つ歯面緩和型係合歯面E’’および低減された圧力角を持つ歯面緩和型離脱歯面DE’’が形成される。上記のように、各歯溝270の係合歯面E’’と離脱歯面DE’’は互いに鏡像関係となっており、歯底面R’’は歯溝中心線TSC上にある弧中心273を中心とする半径274によって嵩上げされて、歯溝中心線TSCに関して対称に画定される。嵩上げされた歯底面は嵩上げされた歯底面直径RD’’を画定し、係合歯面E’’と離脱歯面DE’’の内側端部に接している。
図6Cに関連して述べたように、完全噛合リンク列の後方トウ37はRC’点において歯底面接触をし、完全噛合リンク列の後方ピン中心Cは弧中心273と歯底接触位置RC’とに整列して、噛合リンク列の前方トウ37が嵩上げされた歯底面R’’に対してカム動作することを防止している。スプロケット250の場合には、上記の圧力角変化は、スプロケット250のタイプAの標準歯およびタイプBの緩和型歯がそれぞれの歯中心TCに関して非対称になる可能性がある。これはそれらの歯の係合歯面と離脱歯面が、両方とも非緩和型で完全材料歯面であっても(タイプAの標準歯の場合)、あるいは両方とも緩和型で負にオフセットされた歯面であっても(タイプBの緩和型歯の場合)、そうであることに留意されたい。
【0037】
噛合衝撃並びにそれに付随するノイズレベルの大きさは、噛合入口角βを低減することにより減少させることができる。表1はリンクプレート入口角β(および噛合衝撃角σ)の変化(低減)を示している。これは標準歯溝160に対比した歯溝270と、歯面緩和型歯溝170(歯面緩和オフセット量FR=0.045mm)に対して達成することができる。
【表1】
【0038】
図9はシステム100に関して、スプロケット回転角度に対する噛合チェーンリンク列の弦運動で表した、
図5A、5B、6A、6Bの噛合運動のグラフである。
図9では歯面緩和量FRを0.045mmとした。理論上の接線TLは、ピッチ直径PDに接する接線TLの条件を表し、したがって、噛合弦運動が0mmの位置にある。理論上の弦運動線CM
THEORは、チェーンピン中心の理論上の最大弦運動(上昇/下降)を表し、−0.202mmの所にある。システム100においては、ピン中心Cが位置CM
ICにおいて接線TLから最大で−0.073mmだけ外れる経路に沿って移動することが分かる。このずれはCM
THEORの36.2%に過ぎない。CM
ICは、歯面緩和型歯の初期接触ICの瞬間における噛合ピン中心Cの接線TLからの相対位置に対応している。表2は歯面緩和量FRの最小値及び最大値を示す(チェーン10は7.7ピッチで、スプロケット歯数が30であるとする)。
【表2】
【0039】
歯面緩和オフセット量FRの最小値は、初期噛合衝撃をスプロケット回転角でθ2−θ1=Δθ=0.5度だけ変調する大きさであり、歯面緩和オフセット量の最大値は、初期噛合衝撃時の接線から測った弦運動を制限する関数として決定され、実際の弦運動の限界値は0.75×CM
THEORで定義される。ここでCM
THEORは理論上の最大弦運動である。それぞれの歯面緩和型歯は、同一のオフセット量つまり歯面緩和量を持ってもよいし、あるいは歯面緩和型歯の一部またはすべてが相互に異なる大きさの歯面緩和量つまりオフセットを持ってもよいが、それぞれの歯の係合歯面と離脱歯面160、170または160、270は相互に対称的に画定されている、ということに留意することが重要である。
【0040】
これまでの説明から当業者であれば、2つ(もしくはそれより多数)の異なる歯形をスプロケットの全スプロケット歯にランダム(不規則)に、あるいは決まったパターンで組み込むことで、チェーンとスプロケット歯との間の初期噛合による衝撃を変調することができ、また移行点における噛合衝撃も変調できることが分かるであろう。そうして、このスプロケットでは従来の逆歯スプロケットに比べて騒音および振動が改善される。歯溝TSが対称的であるので、スプロケットは機能を変更することなく双方向に回転することができる。
【0041】
本発明を好適な実施形態を参照して説明した。本発明の属する技術分野の当業者は修正および変更を思いつくであろうが、本発明はそのような修正および変更のすべてを包含するものとして解釈されることが意図されている。