特許第5795798号(P5795798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795798
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】安全装置を有する針
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   A61M5/32 510T
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-517074(P2013-517074)
(86)(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公表番号】特表2013-529518(P2013-529518A)
(43)【公表日】2013年7月22日
(86)【国際出願番号】EP2011003162
(87)【国際公開番号】WO2012000642
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2014年6月26日
(31)【優先権主張番号】1002701
(32)【優先日】2010年6月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511217485
【氏名又は名称】ビー.ブラウン メディカル エスエーエス
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MEDICAL SAS
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルベル,シモン
【審査官】 藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/101573(WO,A1)
【文献】 特表2006−519079(JP,A)
【文献】 特表2007−511285(JP,A)
【文献】 特開2008−000554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 − 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針(10)であって、
遠位端(11)と、近位端(12)と、その間に延在する軸(13)と、その遠位端(11)に先端(14)とを備え、
針の先端(14)による負傷から保護するための安全装置(20)が設けられ、
安全装置(20)は、軸(13)の近位領域(12)における第1の位置と軸(13)の遠位端(11)における第2の位置との間で軸(13)上を摺動することができるように配置され、さらに、
針の軸(13)が通過するための近位開口部(23)および遠位開口部(24)を有する閉鎖されたハウジング(21,22)を備え、
安全装置(20)が第2の位置にあるとき、針の先端(14)はハウジング(21,22)内に位置し、
安全装置(20)は、針の先端(14)がハウジング(21,22)内に位置しているときにハウジング(21,22)の遠位開口部を閉鎖する閉鎖装置(30)を含み、
閉鎖装置(30)が、開口部(24)から離れた第1の位置から開口部(24)に面する第2の位置に摺動し得る少なくとも1つの閉鎖要素(31)を含み、かつ針の軸(13)上に摺動するように配置されて少なくとも1つの閉鎖要素(31)に接続された作動要素(32,33)と協動
針の軸(13)上の作動要素(32,33)のストロークを遠位方向に規定するドライバ要素(35)が針の軸(13)上に配置されることと、
安全装置(20)をその第1の位置からその第2の位置に摺動させると作動要素(32,33)がドライバ要素(35)に当接し、安全装置(20)をさらに摺動させると、作動要素(32,33)が閉鎖要素(31)をその第1の位置からその第2の位置に移動させ、したがってハウジング(21,22)の開口部(24)を閉鎖することと、を特徴とする、針。
【請求項2】
針(10)の軸(13)の断面の変更がドライバ要素(35)を表わすことを特徴とする、請求項1に記載の針(10)。
【請求項3】
針(10)はヒューバー針であり、直線セクションと湾曲したセクション(16)との間の移行部がドライバ要素(35)を表わすことを特徴とする、請求項1に記載の針(10)。
【請求項4】
閉鎖要素(31)は、非弾性的に変形可能なアーム(34)によって、作動要素(32,33)に接続されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の針(10)。
【請求項5】
作動要素は、ハウジングの近位開口部(23)に摺動するように配置されるスリーブ(33)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の針(10)。
【請求項6】
ハウジング(21)は、針の通過領域にチャンバ(25)を有し、その寸法は、ドライバ要素(35)と針の先端(14)との間の針のセクション(16)を収容するのに好適であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の針(10)。
【請求項7】
安全装置(20)は、1つまたは2つの閉鎖要素(31)を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の針(10)。
【請求項8】
ハウジング(21,22)は、閉鎖要素(31)が第2の位置から離れるのを防ぐ止め具(37)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の針(10)。
【請求項9】
針(10)は近位領域(12)に基部(15)を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の針(10)。
【請求項10】
基部(15)および安全装置(20)は、第1の位置において取外し可能に互いに接続されることを特徴とする、請求項9に記載の針(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針の先端による負傷から保護するための安全装置を有する、流体の注射および採取のための針に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の身体に流体を注射するためまたは患者から流体を採取するために、異なる種類の針が医療で使用されてきた。すべての針は、特に血液で汚染されている場合の使用後、医療スタッフにとって相当な負傷の危険性を示す。したがって感染を防ぐためには、使用済の針を取出す際の負傷を防ぐことが重要である。
【0003】
針のための異なる安全装置が過去に提案されてきた。それらは、針、特に取出されると危険な先端を安全にするものとする。しかし、安全レベルおよび使用しやすさが明らかに不十分である。
【0004】
文献FR2740043は、最初に針に垂直に配置される2枚の可撓性シートを針の近位端に含む皮下注射針の保護装置について記載している。針の挿入後、シートは患者の皮膚の表面上にある。針を取出す際、シート上方に配置された止め具が保持され、針の遠位方向下方にずらされる。これは、シートが針に対して垂直な位置から針と平行な位置に離されることを意味する。したがって針は横方向に包囲される。負傷の危険性が低減する。
【0005】
この解決策には、依然として大きな欠点がある。針を包囲するためには大きな領域にわたって可撓性のシートを変形させなければならないため、ある程度の力を作用させなければ針を取出すことができない。シートは初期位置において患者の皮膚に接するため、針を取出す際にシートが皮膚上を移動し、皮膚をはさむかまたは針に対して横方向に力を及ぼし得る。その上、針の先端がそこから摺動することができないように、追加的な機構が安全装置を最終位置に固定しなければならない。
【0006】
文献US6,224,569B1は、開始位置において針の近位端にあり、円筒状スリーブの形態で針に沿って遠位方向に移動させることができる安全装置を開示している。2つのばねが装置内に配置され、それらは針の軸に対して予荷重によって保持される。装置を遠位方向に針の軸に沿って移動させると、装置の遠位端は針の先端を越えて押され、先端は装置内を貫通する。針の軸は、装置の遠位開口部の前で折畳むばねを解放する。針の先端は、このように装置内に収められる。
【0007】
しかしこの装置の欠点は、予荷重されたばねに対して針の軸に沿って変位させることができるにすぎないという点であり、これは比較的大きな力を要する。針が装置を完全に通過することができないように、止め具がさらに設けられる。針の軸上の止め具は、患者の組織を貫通しない領域にのみ置くことができる。その目的のため、針は対応する長さを有する必要があり、安全装置内に十分奥まで伸縮自在であるべきである。これは比較的長い安全装置を意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の欠点を回避し、特に、針を容易に可動性にしかつ装置の作動後その先端を確実に包囲する平坦なアセンブリを呈示する針、特に医療用針のための安全装置を示唆することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これは、発明に従って、遠位端と、近位端と、その間に延在する軸と、その遠位端に先端とを有する針によって実現される。発明に係る針には、針の先端による負傷から保護するための安全装置が設けられる。安全装置は、軸の近位領域における第1の位置と軸の遠位端における第2の位置との間で軸上を摺動し得るように配置される。安全装置は、針の軸を通らせるための近位開口部および遠位開口部を有する閉鎖されたハウジングを有する。安全装置が第2の位置にあるとき、針の先端はハウジング内にある。安全装置は、針の先端がハウジング内にあるときにハウジングの遠位開口部を閉鎖する閉鎖装置を含む。
【0010】
発明に係る針は、閉鎖装置が、開口部から離れた第1の位置から開口部に面する第2の位置に摺動し得る少なくとも1つの閉鎖要素を含むことを特徴とする。閉鎖要素は、針の軸上に摺動するように配置された作動要素と協動する。針の軸上の作動要素のストロークを遠位方向に規定するドライバ要素が針の軸上にさらに配置される。安全装置をその第1の位置からその第2の位置に摺動させると作動要素が移動し、ドライバ要素に当接し、安全装置をさらに摺動させると、作動要素が閉鎖要素をその第1の位置からその第2の位置に移動させ、したがってハウジングの開口部を閉鎖する。
【0011】
安全装置を有する発明に係る針は、針の安全な使用を可能にする。安全装置の第1の位置において針の先端が解放され、針は正常に使用可能である。まだ新しく、使用されておらず、一般に無菌で包装されているため、医療スタッフにとって特別な危険性を示さない。針の先端によって負傷した場合でも、感染の危険性はない。
【0012】
次いで針が患者の組織に挿入され、通常のやり方で使用される。針を取出す際、安全装置を針の先端に向かって遠位方向に移動させる。これが第一に、安全装置によって引起される追加的な抵抗なしに生じる。ストロークの終わりに向けて、針の先端がハウジング内で引出されるとすぐに、作動要素をドライバ要素と当接させることによって、閉鎖要素を開始位置からハウジングの遠位開口部に面する位置に移動させる。ハウジングはこのようにして完全に閉鎖される。汚染された針の先端による医療スタッフの負傷が排除される。
【0013】
発明の一実施例において、針は、湾曲した端部を有するヒューバー針とすることができる。直線セクションと湾曲したセクションとの間の移行部がドライバ要素を表わす。
【0014】
さらなる実施例において、ドライバ要素は、変更された断面を有する針の軸の一部分とすることができる。断面はたとえば、円形の代わりに局所的に楕円形とすることができる。軸の円形部分上を摺動する作動要素は、楕円形の断面を有する部分に当接し、したがって閉鎖要素を変位させる。
【0015】
閉鎖要素は、好ましくは、アーム、特に非弾性的に変形可能なアームによって、作動要素に接続されることができる。したがって、装置が作動され針頂部がハウジングから出て来ることができなくなると、誤まって閉鎖要素をハウジング開口部から引き離すことができなくなることが保証され得る。アームを変形させるために必要な力が小さいため、安全装置の作動には特別な力は必要とされない。
【0016】
作動要素は、ハウジングの近位開口部に摺動するように配置されるスリーブを含み得る。これにより、安全装置の所要スペースが特別に小さい構造が可能となる。
【0017】
ハウジングは針の通路の領域にチャンバを有利に示し、その寸法は、ドライバ要素と針の先端との間の針のセクションを収容するのに好適である。このチャンバは円筒状とすることができる。
【0018】
発明に係る針の安全装置は、特に1つまたは2つの閉鎖要素を有することができる。
有利に、ハウジングは、閉鎖要素が第2の位置から離れるのを防ぐ止め具を有し得る。この止め具は、とりわけ、遠位開口部の横方向に、安全装置のハウジングの底部に配置することができる。止め具は、閉鎖要素が開口部の前の第2の位置に到達すると、閉鎖要素がこの位置から離れることを防ぐ。
【0019】
針を容易に操作するために、近位領域に基部が設けられ得る。
安全装置は実質的な摩擦抵抗なしに針の軸上を摺動することができるため、好ましい実施例では、基部と安全装置との間の取外し可能な接続、とりわけスナップオン接続が設けられ得る。したがって、針の軸上の安全装置の初期の摺動を回避することができる。接続は、針を取出す際の操作中に何らかの問題を引き起こさないように、容易に取外し可能であることが好ましい。
【0020】
添付の図を用いて、発明の実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】安全装置を有する発明に係る針を分解図で例示する図である。
図2a】安全装置が第1の位置にある、図1に係る発明に係る針を断面で例示する図である。
図2b図2aの部分拡大図である。
図3a】安全装置が第2の位置にある、図1および図2に係る発明に係る針を断面で例示する図である。
図3b図3aの部分拡大図である。
図4a】第1の位置にある、発明の他の実施例を例示する図である。
図4b】第2の位置にある部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、安全装置20を有する発明に係る針10を分解図で例示する。表わされている針は、患者に薬物を供給するための、埋め込み可能なチャンバのための使用に鑑みたヒューバー針である。針10は、埋め込み可能なチャンバの膜の穿刺のために、先端14に湾曲した針部分16を有する。
【0023】
針10は、湾曲した先端14を有する遠位端11と、基部15が設けられた近位端12とを有する。
【0024】
針10には、針の軸13上に摺動するように配置されている安全装置20がさらに設けられる。安全装置20は、針を使用する前の針の軸13の近位端12における第1の位置から、針24の先端が固定される使用後の針10の遠位端11における第2の位置に摺動し得る。
【0025】
安全装置20は、ハウジング蓋21およびハウジング底部22を含むハウジングから成る。ハウジング蓋21は、針の軸13上を摺動することによってハウジングを案内する近位開口部23を含む。ハウジング22の底部は、針がそこを通ってハウジングを通り抜け得るハウジングの遠位開口部24を有する。
【0026】
閉鎖要素31は、ハウジング21,22内に配置される。閉鎖要素は、可撓性のアーム34によってスリーブ33を包囲するリング32に接続され、その下方の頸部36は、リング32の内径より大きな直径を有する。スリーブ33は、組み立てられた状態で針の軸13上を摺動する。安全装置20が使用後に針10の遠位端11における第2の位置にあるとき、閉鎖要素31、アーム34、およびリング32は図1の右側に作動された状態で表わされる。左側の図示は、閉鎖要素31、アーム34、およびリング32を、針の軸13の近位端12における針の使用前の安全装置20の第1の位置に示す。
【0027】
安全装置20は、基部15に近い軸13の近位領域12における第1の位置にある。針の軸13は、遠位方向に向かって近位に見られるように、ハウジング21の蓋の近位開口部23を通り、スリーブ33を通り、ハウジング22の底部のハウジング24の遠位開口部を通って延在し、したがって針の先端14が自由にアクセス可能であり、針10を使用することができる。
【0028】
次いで針10を患者の組織に挿入し、通常のやり方で使用することができる。ハウジングの底部22に配置されたリング38は、この実例では止め具として機能することができ、患者の皮膚を圧迫する。
【0029】
針を取出すには、針の基部15を一方の手でつかみ、針10を取出す際にハウジング21の蓋を他方の手で押すことによって安全装置20を所定の位置に保持する。
【0030】
安全装置20をその第1の位置に固定するスナップオン接続29が解放され、次いで針の軸13が安全装置20を通って摺動する。その特定の実例では、針の軸13と安全装置20との間に追加的な実質的な摩擦力は作用しないため、患者の組織から針を容易に取出すことができる。
【0031】
安全装置20が針の遠位端11に到達するまで、針10は安全装置20を通って摺動し得る。スリーブ33が針の湾曲した領域16に向かって移行部35に触れると、スリーブ33はさらに摺動することができず、針をさらに移動させると引張られる。スリーブ33は、その下方頸部36上に配置されたリング32を駆動し、そのリングは、針をさらに移動させると、スリーブ33によって持ち上げられる。その特定の実例では閉鎖要素31に属する接続アーム34が非弾性的に変形され、したがって閉鎖要素31が内方に引かれ、ハウジング24の遠位開口部が閉鎖される。ハウジング21の蓋およびハウジング22の底部はそのために設計されるため、閉鎖要素31を本質的に底部22と平行に移動させることができる。
【0032】
閉鎖装置30は、次いで図1の右側に例示された形態を取る。
針の先端14は、安全装置の第2の位置においてハウジング21,22に安全に囲まれる。アーム34の非弾性的変形のために閉鎖装置30を初期位置に戻すことはできないため、過失による装置の開放と針の先端が出ることとが不可能となる。湾曲した針セクション16がスリーブ33を通って摺動することができず、その結果スリーブ33はその拡大された下方頸部36のためにハウジング蓋21の近位開口部23から摺動することができないため、安全装置20は、針10から遠位方向に摺動することもできない。
【0033】
図2aおよび図2bは、横断面図として、図1の安全装置20を有する針を、使用前の第1の位置に例示する。図2bは図2aの部分拡大である。
【0034】
安全装置20は、基部15に近い軸13の近位領域12における第1の位置にある。針は、近位および遠位開口部23,24を通って安全装置のハウジング21,22を横断する。基部15および安全装置20はスナップオン接続によって互いに接続され、針10の遠位端11の方向への安全装置20の故意でない摺動を防ぐ。しかしスナップオン接続は、障害がない針の引出しを保証するように、容易に取外し可能である。
【0035】
閉鎖要素31は、針の軸13がそこを通り抜けるハウジング24の開口部に近いハウジング21,22内にある。閉鎖要素31は、ハウジングの蓋21と底部22との間のスロット27に、底部22の高さより少し高く配置されることが分かる。
【0036】
図2bの拡大において、閉鎖要素31がスリーブ33に載るリング32にアーム34によって接続されることが明確に分かる。安全装置が第2の位置に移動すると、リング32およびスリーブ33は、安全装置の閉鎖要素31の作動要素として機能する。
【0037】
スリーブ33は、ハウジング23の近位開口部に摺動するように配置され、針の軸13を案内する。
【0038】
作動に関し、針を取出す際、針の先端13に向かって遠位方向に安全装置を移動させる。スナップオン接続が基部15と安全装置29との間でまず解放され、したがって安全装置20が針の軸13上を摺動することができる。針の軸はスリーブ33を通って案内される。
【0039】
図3aおよび図3bは、使用後の第2の位置にある、図1および図2の安全装置を有する針を横断面図として例示する。針の先端は、装置内に固定される。図3bは、図3aの部分拡大である。
【0040】
使用後に針を組織から取出す場合、基部15をそのために一方の手でつかみ、他方の手で安全装置20のハウジング21,22を所定の位置に保持する。基部15と安全装置20との間のスナップオン接続29が解放され、針はスリーブ33によって案内されて、安全装置を通って摺動する。スリーブ33を通って湾曲した針セクション16まで摺動する。針の湾曲したセクション16に向かう移行部35は、ドライバ要素として作動する。針は、スリーブ33を通ってさらに摺動することはできない。スリーブは、さらなる摺動の場合には針上に持ち上げられ、次いで、ハウジング21の蓋の近位開口部23へと上方に摺動する。リング32も、事実上、スリーブ33の下方頸部36上に持ち上げられる。可撓性のアーム34は非弾性的に変形し、安全装置の遠位開口部24の前方で閉鎖要素31を内方に引張る。変位中に、閉鎖要素31は、可撓性のアーム34の変形によって押されて、スロット27内のその第1の位置から出て、ハウジングの中心区画28に次第に貫通し、最後にスロット27と中心区画28との間の段差37を下りる。
【0041】
針14の先端は次いで、ハウジング21,22内に完全に囲まれ、危険ではなくなる。閉鎖要素31は、装置の中心区画28と、第1の位置にある閉鎖要素のためのハウジングとして機能したスロット27との間の段差37に当接するため、アーム34の非弾性的変形のために開口部24の前方のその位置から離間させることはできない。したがって、針はハウジングから誤って外に出ることはできない。
【0042】
円筒状チャンバ25を有するハウジング21,22の平坦な形状が特別な利点をもたらすことが図2bおよび図3bから分かる。ハウジング21,22は平坦な設計を有し、針を取出しながら2本の指で所定の位置に確実に保持される十分な表面積を上側にもたらす。閉鎖要素31は、底部22と平行な位置に同時に保持される。スリーブ33が第1の位置にある円筒状チャンバ25は、アーム34を非弾性的に変形させることに寄与するが、開口部24の方向への閉鎖要素31の内方移動は、円筒状チャンバ25の隆起26を圧迫しているアーム34によって強化される。円筒状チャンバ25は、ハウジングの他の領域での安全装置の設計高さを増大させることなく、湾曲した針セクション16を収容するために十分に高い。
【0043】
図4aおよび図4bは、発明の他の実施例を例示する。図4aは針を示し、その軸13は円形断面を有し、変更された断面を有する部分35を示す。スリーブ33は、針の軸13の円形断面に適合化された円形の上側開口部39を含む。変更された断面35を有する部分は、その第2の位置に向かう安全装置のストロークの端に向かって軸13上に配置される。装置が第1の位置から第2の位置に軸13上を摺動すると、スリーブ33の開口部39は、図4bの部分拡大に表わされるような変更された断面35を有する部分に当接する。変更された断面35を有する部分はドライバ要素を表わす。次いで、この図に表わされていない閉鎖要素が、図1図3の実施例について上記したように作動される。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b