(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795802
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】接着性が改善したポリプロピレン/ポリエチレン多層フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
B32B27/32 E
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-524927(P2013-524927)
(86)(22)【出願日】2011年8月16日
(65)【公表番号】特表2014-510648(P2014-510648A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】US2011047912
(87)【国際公開番号】WO2012024292
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年6月26日
(31)【優先権主張番号】10382232.6
(32)【優先日】2010年8月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ニエト,ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】ペレス,マリオ
【審査官】
加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−271972(JP,A)
【文献】
特開2000−246848(JP,A)
【文献】
実開昭55−125440(JP,U)
【文献】
特開平05−293886(JP,A)
【文献】
特公昭37−006975(JP,B1)
【文献】
特表平02−503926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)プロピレン由来の単位を少なくとも50パーセント(第1のポリマー材料の重量に対して)含む第1のポリマー材料を50パーセント超(第1の層の重量に対して)含む第1の層であって、場合によって5〜20%(第1の層の重量に対して)第3のポリマー材料を含む第1の層、
b)エチレン由来の単位を少なくとも50パーセント(第2のポリマー材料の重量に対して)含む第2のポリマー材料から実質的に成り、第2のポリマー材料が0.935g/cm3以下の密度を有する第2の層であって、場合によって5〜40%(第2の層の重量に対して)第3のポリマー材料を含む第2の層
を備え、
第1の層が第2の層に隣接しており、
第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の双方が、エチレン由来の単位を少なくとも50パーセント(第3のポリマー材料の重量に対して)含む第3のポリマー材料を含有し、第3のポリマー材料が0.940g/cm3以上の密度を有する、多層フィルム。
【請求項2】
第3のポリマー材料が、HDPEまたはMDPEである、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
第1の層が、第3のポリマー材料を、5〜20%(第1の層の重量に対して)含む、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項4】
第2の層が、第3のポリマー材料を、5〜40%(第2の層の重量に対して)含む、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項5】
第3のポリマー材料が、2.5以下の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項6】
第3のポリマー材料が、100,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項2に記載の多層フィルム。
【請求項7】
第3のポリマー材料が、150,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項6に記載の多層フィルム。
【請求項8】
第3のポリマー材料が、250,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する、請求項7に記載の多層フィルム。
【請求項9】
1つまたは複数のさらなる層をさらに備える、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項10】
20〜300ミクロンの範囲の厚みを有する、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項11】
第1の層が、2〜280ミクロンの範囲の厚みを有する、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項12】
第2の層が、2〜280ミクロンの範囲の厚みを有する、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項13】
3.0Nを超える、第1の層と第2の層の間の剥離強度を有することによりさらに特徴づけられる、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項14】
第1のフィルム層と第2のフィルム層との間の接着性を改善する方法であって、
第1のフィルム層が、プロピレン由来の単位を少なくとも50パーセント(第1のポリマー材料の重量に対して)含む第1のポリマー材料を50パーセント超(第1のフィルム層の重量に対して)含み、また場合によって5〜20%(第1のフィルム層の重量に対して)第3のポリマー材料を含み、
第2のフィルム層が、エチレン由来の単位を少なくとも50パーセント(第2のポリマー材料の重量に対して)含む第2のポリマー材料から実質的に成り、第2のポリマー材料が0.935g/cm3以下の密度を有し、また場合によって5〜40%(第2のフィルム層の重量に対して)第3のポリマー材料を含み、
前記改善が、第3のポリマー材料を、第1のフィルム層、第2のフィルム層、または第1のフィルム層と第2のフィルム層の双方に添加することを含み、第3のポリマー材料が、エチレン由来の単位を少なくとも50パーセント(第3のポリマー材料の重量に対して)含み、0.940g/cm3以上の密度を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年8月16日に出願された欧州特許出願第10382232号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、少なくとも第1の層が、ポリプロピレンを主に含み、少なくとも第2の層が、第1の層に隣接しており、0.935g/cm
3未満の密度を有するポリエチレンを主に含む、多層構造物に関し、この多層構造物は、第1の層と第2の層の間に改善した接着性を有することにより特徴づけられる。改善した接着性は、0.940g/cm
3以上の密度を有するポリエチレン樹脂を、第1の層、第2の層、または双方の層に、少なくとも5重量%組み入れることにより得られる。
【背景技術】
【0003】
ポリエチレンは、その透明性、たわみ性、靭性、熱シール性、耐衝撃性、引き裂き抵抗性および官能特性のため、フィルム用途に広く使用されている。
【0004】
ポリエチレンは、フィルムに剛性を与えるために、例えばポリプロピレンなどの他のポリオレフィンに、共押出しする、ラミネート加工する、または接合させることができる。しかしながら、ポリエチレンをポリプロピレンに十分に接着させることは難しいと一般に認識されている。ポリプロピレン層への接着性が低いというこの問題は、約0.935g/cm
3未満の密度を有するポリエチレンで特に顕著であることが発見されている。したがって、適切な接着を確実にするために、ポリエチレンおよびポリプロピレン層の間にタイ層を使用することが、通常、推奨されている。タイ層は、フィルムにコストおよび複雑さを加えることから、タイ層を使用せずに接着性を改善する技術が探求されている。
【発明の概要】
【0005】
0.940g/cm
3を超える密度を有するポリエチレンを、ポリプロピレン層もしくは密度のより低いポリエチレン(0.935g/cm
3未満の密度を有するポリエチレンを意味すると定義される)層のいずれか、またはその双方に少量添加することにより、層の相互の接着性が改善されることを見出した。
【0006】
したがって、本発明の一態様は、第1の層と第2の層を備える多層フィルムである。第1の層は、ポリプロピレンを主に含み、一方、第2の層は、約0.935g/cm
3以下の密度を有するポリエチレンを主に含む。この多層フィルムは、第1の層、第2の層、または第1の層および第2の層の双方が、約0.940g/cm
3以上の密度を有するポリエチレンを少なくとも5%(第1または第2の層の重量に対して)さらに含むことを特徴とする。
【0007】
本発明のもう1つの態様は、ポリプロピレン層とポリエチレン層との間の接着性を改善する方法である。この方法は、ポリマー材料を、ポリプロピレン層、ポリエチレン層、またはポリプロピレン層およびポリエチレン層の双方に、5パーセント(当該層の重量に対して)添加することを含み、そのポリマー材料は、エチレン由来の単位を少なくとも50パーセント(第3のポリマー材料の重量に対して)含み、0.940g/cm
3以上の密度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
分析方法
特段の指示がない限り、本発明では、以下の分析方法を使用する:
プロピレン由来の単位を少なくとも50重量パーセント含むポリマーのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238、2.16kg、230℃に従って測定する。
エチレン由来の単位を少なくとも50重量パーセント含むポリマーのメルトインデックス(MI)は、ASTM D1238、2.16kg、190℃に従って測定する。
密度は、ASTM D−792に従って決定する。
分子量分布または「MWD」という用語は、重量平均分子量の数平均分子量に対する比(M
w/M
n)として定義される。M
wおよびM
nは、当技術分野で公知の方法に従い、従来の高温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して決定する。
剥離強度は、実験の部において記載した方法に従って決定する。
【0009】
本発明の多層フィルムは、ポリプロピレンポリマーから主に作製された第1の層を備える。本発明の目的では、ポリプロピレンポリマーは、当該ポリマーの50パーセント超(当該ポリマーの重量に対して)がプロピレン由来の単位であるものである。本発明の目的では、用語「ポリプロピレンポリマー」は、ホモポリマーのポリプロピレン、プロピレンと1種または複数のさらなるα−オレフィン(好ましくはエチレンまたはC
4〜C
10α−オレフィン)とのランダムコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびこれらの2つ以上の組合せを含む。
【0010】
プロピレン系ポリマーは、有利には、ホモポリマーのポリプロピレン、またはプロピレン系ランダムコポリマーであることができる(本出願の目的では、用語「コポリマー」はターポリマーを含む)。好ましいホモポリマーまたはランダムコポリマーのポリプロピレンは、好ましくは0.5〜30g/10分、より好ましくは5〜10、最も好ましくは8〜10g/10分以上のメルトフローレート(ASTM D1238、2.16kg、230℃に従って測定)を有する。
【0011】
ホモポリマーのポリプロピレンは、約89〜99%のアイソタクチシティー(メソペンタッドを用いる
13C NMR分光法により測定)を有するアイソタクチックなポリプロピレンホモポリマーであることができる。
【0012】
ポリプロピレン層で使用する好ましいホモポリマーまたはランダムコポリマーのポリプロピレンは、0.89g/cc以上の密度を有し、好ましい最大値0.91g/cmまでであることができる。
【0013】
ポリプロピレン層で使用する好ましいホモポリマーまたはランダムコポリマーのポリプロピレンは、2.5以上、好ましくは3.5以上のMWDを有する。
【0014】
本発明のフィルムのポリプロピレン層で使用する好ましいホモポリマーまたはランダムコポリマーのポリプロピレンは、有利にはチグラー−ナッタまたはメタロセン触媒を用いて生成することができる。
【0015】
好ましくは、ポリプロピレンは、ホモポリマーのポリプロピレン、プロピレンインパクトコポリマーまたはランダムコポリマーのポリプロピレンを少なくとも80%含み、より好ましくは、ホモポリマーのポリプロピレン、プロピレンインパクトコポリマーまたはランダムコポリマーのポリプロピレンを少なくとも90%含み、ポリプロピレン層において使用されるポリマー材料の本質的にすべてを構成することができる。
【0016】
好適なホモポリマーのポリプロピレンの例には、The Dow Chemical Companyが製造するDX5E66、またはH357−09RSBが挙げられ、好適なランダムコポリマーのポリプロピレンの例には、The Dow Chemical Companyが製造するDS6D21、DS6D81、およびINSPIRE(商標)361が挙げられ、プロピレンインパクトコポリマーの好適な例には、やはりThe Dow Chemical Companyが製造するINSPIRE(商標)137が挙げられる。
【0017】
ポリプロピレン層が、ホモポリマーのプロピレンまたはランダムコポリマーのポリプロピレン以外に1種または複数の樹脂を含む場合、他のその樹脂は、ホモポリマーのポリプロピレンまたはランダムコポリマーのポリプロピレンと適合性があるように選択されるべきである。好適な樹脂としては、プロピレン系プラストマーまたはエラストマー、0.935g/cm
3未満の密度を有するポリエチレン材料、およびエチレン−ビニルアセテートまたはエチレン−アクリル酸などのエチレン極性コポリマーが挙げられる。
【0018】
ポリプロピレン層は、鉱油などの他の添加剤、または他の可塑剤を含有してもよい。当技術分野で一般に公知の他の添加剤には、無機充填剤、導電性充填剤、顔料、核形成剤、除濁剤、抗酸化剤、酸捕捉剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ステアリン酸亜鉛などの加工助剤、押出助剤、スリップ剤、浸透調整剤、帯電防止剤、粘着防止剤などの材料、および他の熱可塑性ポリマーが挙げられる。
【0019】
また、2種以上の異なるプロピレン系ポリマーの組合せを、ポリプロピレン層において使用してもよいことが企図される。
【0020】
本発明の多層フィルムは、0.935g/cm
3以下の密度を有するポリエチレンポリマーから主に作製された第2の層を備える。本発明の目的では、ポリエチレンポリマーは、当該ポリマーの50%超(当該ポリマーの重量に対して)が、エチレン由来の単位であるものである。ポリエチレンポリマーには、高圧低密度型の低密度ポリエチレン(LDPE)、チグラー−ナッタ触媒した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、シングルサイト触媒した(メタロセンを含む)直鎖状低密度ポリエチレン(m−LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)が0.935g/cm
3以下の密度を有する限りMDPE;およびエチレンコポリマー、およびエチレン−ビニルアセテートまたはエチレン−アクリル酸などの極性コポリマー、ならびにこれらの2種以上の組合せが挙げられる。第2の層において使用されるこれらのポリエチレン樹脂は、当技術分野で一般に公知である。
【0021】
「LDPE」はまた、「高圧エチレンポリマー」または「高圧低密度型樹脂」または「高度に分枝したポリエチレン」とも呼ばれることがあり、当該ポリマーは、オートクレーブ中または管型反応装置中、14,500psi(100MPa)超の圧力で、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用することにより、部分的または全体的にホモポリマー化またはコポリマー化されていることを意味すると定義される(例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照されたい)。エチレンとエチレン−ビニルアセテートまたはエチレン−アクリル酸などの極性コモノマーとのコポリマーは、当技術分野で一般に公知なものと類似の工程条件下で通常作製される。
【0022】
「直鎖状低密度ポリエチレン」または「LLDPE」は、任意の直鎖状の(直鎖状の、実質的に直鎖状の、均質に分枝した、または不均質に分枝したを含む)ポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーを意味すると理解される。直鎖状低密度PEは、気相、溶液相、もしくはスラリー、またはこれらの組合せなどの任意の工程により作製することができる。直鎖状低密度PEは、それぞれがまた直鎖状低密度PEである1種または複数の成分から成ってもよい。
【0023】
中密度ポリエチレン(「MDPE」)および高密度ポリエチレン(「HDPE」)もまた、任意の直鎖状ポリエチレンのコポリマーまたはホモポリマーを意味すると理解される。LLDPE、MDPE、およびHDPEは、コモノマーの組入れ量によって密度が異なる、類似した材料である。本発明の目的では、「LLDPE」は、約0.935g/cm
3までの密度を有する直鎖状ポリエチレンを表すとみなされ、「MDPE」は、0.935g/cm
3から0.950g/cm
3の範囲の密度を有する直鎖状ポリエチレンを表すとみなされ、「HDPE」は、0.950g/cm
3を超える密度を有する直鎖状ポリエチレンを表すとみなされる。
【0024】
本発明における使用に必要とされる第3のポリマーは、0.940g/cm
3以上の密度を有するポリエチレンである。第3のポリマーは、ポリプロピレン層もしくは密度のより低いポリエチレン層のいずれか、またはポリプロピレン層およびポリエチレン層の双方へ添加することができる。第3のポリマーは、それが添加される少なくとも1つの層の重量に対して5パーセント(5%)以上の量で添加されるべきである。この密度のより高いポリエチレンは、有利には、第1の層の重量に対して20%以下、または第2の層中の重量に対して40%以下の量で添加することができる。第1の層には、第3のポリマーを、第1の層の重量に対して5〜20%の量で添加することが好ましく、より好ましくは7〜10%である。第2の層には、第3のポリマーを、第2の層の重量に対して5〜20%の量で添加することが好ましく、最も好ましくは10〜18%である。
【0025】
本発明で第3のポリマーとして使用される密度のより高いポリエチレンは、2.5以下の分子量分布(Mw/Mn)、および100,000以上、より好ましくは150,000以上、さらにより好ましくは250,000以上の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。
【0026】
本発明の第3のポリマーとして使用する0.940g/cm
3以上の密度を有するポリエチレンは、MDPE、またはHDPE、またはこれらの組合せであることができる。
【0027】
本発明のフィルム構造物は、第1の層が第2の層に隣接していることにより特徴づけられ、このことは、第1の層と第2の層の間にタイ層などの中間層が存在しないことを意味する。
【0028】
本発明のフィルム構造物は、さらなる層を、それらが第1の層と第2の層との間に存在するのではない限り、備えてもよい。こうした層は、さらなるポリオレフィン層であってもよく、第1または第2の層のいずれかと同一である層を含む。
本願発明には以下の態様が含まれる。
[1]
a)プロピレン由来の単位を、少なくとも50パーセント(第1のポリマー材料の重量に対して)含む第1のポリマー材料を、50パーセント超(第1の層の重量に対して)含む第1の層、
b)エチレン由来の単位を、少なくとも50パーセント(第2のポリマー材料の重量に対して)含む第2のポリマー材料を、50パーセント超(第2の層の重量に対して)含み、第2のポリマー材料が、0.935g/cm3以下の密度を有する第2の層
を備え、
第1の層が第2の層に隣接しており、
第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の双方が、エチレン由来の単位を、少なくとも50パーセント(第3のポリマー材料の重量に対して)含む第3のポリマー材料を、少なくとも5パーセント(層の重量に対して)含有し、第3のポリマー材料が、0.940g/cm3以上の密度を有する、多層フィルム。
[2]
第3のポリマー材料が、HDPEまたはMDPEである、上記[1]に記載の多層フィルム。
[3]
第1の層が、第3のポリマー材料を、5〜20%(第1の層の重量に対して)含む、上記[1]に記載の多層フィルム。
[4]
第2の層が、第3のポリマー材料を、5〜40%(第1の層の重量に対して)含む、上記[1]に記載の多層フィルム。
[5]
第3のポリマー材料が、2.5以下の分子量分布(Mw/Mn)を有する、上記[1]に記載の多層フィルム。
[6]
第3のポリマー材料が、100,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する、上記[2]に記載の多層フィルム。
[7]
第3のポリマー材料が、150,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する、上記[6]に記載の多層フィルム。
[8]
第3のポリマー材料が、250,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する、上記[7]に記載の多層フィルム。
[9]
1つまたは複数のさらなる層をさらに備える、上記[1]に記載の多層フィルム。
[10]
20〜300ミクロンの範囲の厚みを有する、上記[1]に記載の多層フィルム。
[11]
第1の層が、2〜280ミクロンの範囲の厚みを有する、上記[1]に記載の多層フィルム。
[12]
第2の層が、2〜280ミクロンの範囲の厚みを有する、上記[1]に記載の多層フィルム。
[13]
3.0Nを超える、第1の層と第2の層の間の剥離強度を有することによりさらに特徴づけられる、上記[1]に記載の多層フィルム。
[14]
第1のフィルム層と第2のフィルム層との間の接着性を改善する方法であって、第1のフィルム層が、プロピレン由来の単位を、少なくとも50パーセント(第1のポリマー材料の重量に対して)含む第1のポリマー材料を主に含み、第2のフィルム層が、エチレン由来の単位を、少なくとも50パーセント(第2のポリマー材料の重量に対して)含む第2のポリマー材料を主に含み、第2のポリマー材料が0.935g/cm3以下の密度を有し;前記改善が、第3のポリマー材料を、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の双方に添加することを含み、第3のポリマー材料が、エチレン由来の単位を、少なくとも50パーセント(第3のポリマー材料の重量に対して)含み、0.940g/cm3以上の密度を有し、第3のポリマー材料が、第1の層、第2の層、または第1の層と第2の層の双方の重量比で少なくとも5%の量で添加される、方法。
【実施例】
【0029】
以下の樹脂を、以下の実施例において使用する:
樹脂Aは、ポリプロピレンインパクトコポリマーであり、メルトフローレート(230℃、2.16kg)が0.4g/10分であり、密度が0.90g/cm
3であり、The Dow Chemical CompanyからINSPiRE(商標)114として市販されている。
樹脂Bは、チグラー−ナッタ触媒によるエチレン/1−オクテンのLLDPEであり、メルトインデックス(190℃、2.16kg)が1.05g/10分であり、密度が0.919g/cm
3である。
樹脂Cは、高圧、フリーラジカル工程下で作製されたLDPEであり、メルトインデックス(190℃、2.16kg)が0.9g/10分であり、密度が0.921g/cm
3である。
樹脂Dは、HDPEであり、メルトインデックス(190℃、5kg)が0.3g/10分であり、密度が0.958g/cm
3である。
樹脂Eは、HDPEであり、メルトフローインデックス(190℃、2.16kg)が0.4g/10分であり、密度が0.958g/cm
3である。
樹脂Fは、シングルサイト触媒したエチレン/1−オクテンのLLDPEであり、メルトインデックス(190℃、2.16kg)が1.0g/10分であり、密度が0.885g/cm
3である。
樹脂Gは、超低密度ポリエチレンであり、メルトインデックス(190℃、2.16kg)が1.0dg/分であり、密度が0.912g/cm3である。
【0030】
上記の樹脂を、表Iに示されたとおりの一連のフィルムを作製するために使用する。フィルムは、バレルの直径が25mmの1台とバレルの直径が30mmの他の1台との2台の押出機、および水でクエンチする冷却ロールを備えたCollin CR 136/350キャストフィルム押出機で共押出しされる。押出しされたフィルムを、速度約3.5m/分で回収する。温度プロフィールは、ポリプロピレンを入れた押出機では230、250、250、250および250℃であり、LLDPEを入れた押出機では200、220、230、230および230℃であり、ダイスでは240℃である。LDPEの押出しの場合では、温度プロフィールは、180、190、200、210および220℃に設定され、ダイスの温度は220℃に設定される。フィルム厚は、約200μmである。第3の成分(HDPEまたはMDPE)を、第3の成分のペレットと第1および/または第2の成分のペレットとの空練りにより混合し、5分間振とうした後、押出機に加える。フィルムを、研究室温度で2日間貯蔵してから分析にかける。
【0031】
次いで、これらのフィルムを評価して、層の間の剥離強度を決定する。剥離試験を行う前に、それぞれの厚みが500ミクロンである2つのフィルムを、測定中の試料の伸びを防ぐために、共押出しされたフィルムのバックシートとしてホットプレスする。本実施例では、バックシートは、メルトインデックスが1.0dg/分であり密度が0.916g/cm
3であるエチレン/1−オクテンコポリマーから作製されているが、PEおよびPPの双方に適度にシールする任意の他の材料、またはPEおよびPPの双方に接着できる任意の剛性シートもまた使用することができる。バックシートには、剥離試験がやりやすくなるように、共押出しされたフィルムと接していない側面に突起があってもよい。次いで、幅15mm、長さ10mmのフィルム試料を、160℃、16バールのプレス条件下で、35秒間、一緒にプレスする。剥離を開始するために、可能であれば、突起を、最初に手で少しだけ引いて離しておく。次いで、引張試験機(Instron)を使用し、バックシート層の突起を、125mm/分の一定速度で引く。クランプ間の初期距離は35mmである。力対伸びのカーブは、初期の急速な力の上昇、その後、力がプラトーに到達する安定化ゾーンを示すことになる。各試料につき少なくとも5つの試験片を試験し、フィルム剥離10cmについて記録された、安定化プラトーゾーンにおける、かけた力の平均値(Nで示す)を、表Iにおいて各実施例について報告する。
【0032】
【表1】