(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フタル酸エステル系可塑化液および前記可塑剤化合物の前記混合物が、前記電荷輸送層中に存在するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンとポリカーボネート結合剤を合わせた重量に対して3重量%〜30重量%の量で前記電荷輸送層中に存在する、請求項1又は2に記載の画像形成部材。
前記電荷輸送層中に存在するN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンとポリカーボネート結合剤を合わせた重量に対して、前記フタル酸エステル系可塑化液が3重量%〜9重量%、前記可塑剤化合物が10重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成部材。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において例示する態様によれば、可撓性基材と、導電性接地板と、正孔ブロック層と、電荷発生層と、最外電荷輸送層とを備え、前記基材上で前記電荷輸送層の反対側に配置されるカール防止バックコーティング層を適用しない、カール防止バックコーティングを含まない可撓性画像形成部材であって;前記電荷輸送層(ポリマー結合剤と電荷輸送化合物とからなる二元固溶体(binary solid solution))が、適した可塑剤を組み込むことによって内部のビルドイン歪み(internal build-in strain)が低減されるかまたは最小限であるように作製されている可撓性画像形成部材が存在する。カール防止バックコーティングの排除を達成するために、画像形成部材の電荷輸送層を可塑化するという意図した結果(intended imaging member charge transport layer plasticizing result)を得るために、電荷輸送層組込みのための様々な種類の可塑剤候補が選択され、可塑剤混合物の組成が調製され、それらは以下に記載されるように、フタル酸エステル系可塑化液と可塑剤化合物とに分類される。
【0008】
対象のフタル酸エステル系可塑化液は、1,2−ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)とアルコールとの反応から得られる生成物である。可撓性カール防止バックコーティングを含まない画像形成部材電荷輸送体への組込みには、フタル酸エステル系可塑化液(可塑剤化合物と混合するために用いられる)は、下記に表す式(I)〜(V)を有する分子構造からなる群のうちの1種から選択される。
【0009】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0010】
可塑剤混合物の作製には、上記から選択されたフタル酸エステル系可塑化液と混合するために可塑剤化合物を用いる。本開示用途に適した、実現可能な可塑剤化合物は、式(IA)および(IIA)の芳香族カーボネート;式(VI)および(VII)の芳香族カルボキシレート;式(1)〜(5)のジフェニルカーボネートモノマー;ならびに式(A)および(B)を有する液体オリゴマーポリスチレン(liquid oligmeric polystyrenes)からなる群のうちの1つから選択される。次の分子構造は、芳香族カーボネートおよび芳香族カルボキシレートである。
【0011】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0012】
次の分子構造は、ジフェニルカーボネートモノマーである。
【0013】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0014】
次に、式(A)のオリゴマーポリスチレンの分子構造:
【化15】
(式中、Rは、H、CH
3、CH
2CH
3、およびCH=CH
2からなる群より選択され、mは、0〜3の間である);および、
下記式(B)の分子構造を有するダイマースチレン:
【化16】
およびそれらの混合物であり、さらに前記可撓性画像形成部材はカール防止バックコーティング層を含まない。
【0015】
可塑剤混合物処方に適した、フタル酸エステル系可塑化液と可塑剤化合物の重量比は、約10:90〜約90:10の間である。しかし、等量のこれらの2種の可塑剤;すなわち重量比50:50を有するように調製した混合物であることが好ましい。
【0016】
具体的な一実施形態では、基材と、導電性接地板と、正孔ブロック層と、電荷発生層と、ポリカーボネート結合剤、電荷輸送化合物、および下記に示す式(I):
【化17】
の分子構造で示されるフタル酸ジメチルの単一可塑剤を含む最外電荷輸送層と、を備える可撓性画像形成部材を含む、実質的にカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材を提供する。
【0017】
具体的な別の実施形態では、基材と、導電性接地板と、正孔ブロック層と、電荷発生層と、ポリカーボネート結合剤、電荷輸送化合物、および下記に示す式(II):
【化18】
の分子構造を有するフタル酸ジエチルの単一可塑剤を含む最外電荷輸送層と、を備える可撓性画像形成部材を含む、実質的にカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材を提供する。
【0018】
本開示の他の実施形態では、実質的にカールが生じない複数の画像形成部材であって、各画像形成部材が、基材と、導電性接地板と、正孔ブロック層と、電荷発生層と、ポリカーボネート結合剤、電荷輸送化合物、ならびに上述の式(IA)、(IIA)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(A)、および(B)のうちの1つから選択される単一可塑剤を含む最外電荷輸送層と、を備える可撓性画像形成部材から構成される画像形成部材を提供する。
【0019】
本開示のさらに他の実施形態では、基材と、導電性接地板と、正孔ブロック層と、電荷発生層と、ポリカーボネート結合剤、電荷輸送化合物、および2つの可塑剤の等量混合物を含む最外電荷輸送層と、を備える可撓性画像形成部材から各々構成される、実質的にカールが生じない(複数の)画像形成部材を提供する。この可塑剤混合物は2つの処方を与えるように調製される。
【0020】
実施形態では、第1の処方は、式(I)のフタル酸ジメチル可塑化液を、式(IA)、(IIA)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(A)、および(B)から選択される可塑剤化合物の各々と混合することによって選択される。別の実施形態では、第2の処方は、式(II)であるフタル酸ジエチル可塑化液を式(IA)、(IIA)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(A)、および(B)から選択される可塑剤化合物の各々と混合することによって選択される。
【0021】
従来の負に帯電した可撓性電子写真画像形成部材の例示的な実施形態を
図1に例示している。基材10は導電層12を任意に有し得る。導電層12上に任意に配置され得る正孔ブロック層14は、接着剤層16で任意にコーティングされ得る。電荷発生層18は、接着剤層16と電荷輸送層20の間に位置している。任意に適用し得るグラウンドストリップ層19は、電荷発生層18および電荷輸送層20を導電性接地板12に機能的に作用し得るように接続し、オーバーコート層32は電荷輸送層20上に任意に適用され得る。画像形成部材を平坦にするために、電気的に活性の層とは反対の基材10の側面にカール防止バッキング層1が適用されている。
【0022】
電荷輸送層20は、電気的に不活性のポリマー材料中に分子状に分散させて固溶体を形成し、それによってこの材料を電気的に活性にする添加剤として有用な、任意の適した電荷輸送成分または電荷活性化化合物を含み得る二成分固溶体である。この電荷輸送化合物は、そうでなければ発生材料からの光発生正孔の注入を支持することができず、またこれらの正孔を貫通輸送させることができないポリマー材料の膜形成結合剤に添加され得る。これにより、電気的に不活性のポリマー材料が、電荷発生層18からの光発生正孔の注入を支持することができ、また電荷輸送層20を通じてこれらの正孔を輸送させて電荷輸送層の表面電荷を放電させることができる材料へと変換される。電荷輸送成分は、通常、有機化合物の小分子を含み、これらの小分子は協働して電荷を分子間で輸送し、最終的には電荷輸送層の表面へと輸送する。
【0023】
塩化メチレン、クロロベンゼン、または他の適した溶媒に可溶である任意の適した不活性樹脂結合剤を電荷輸送層に使用してもよい。例示的な結合剤としては、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、およびそれらの組合せが挙げられる。電荷輸送層に用いられるポリマー結合剤は、例えば、ポリカーボネート、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリスルホン、それらの組合せなどからなる群より選択してもよい。例示的なポリカーボネートとしては、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)、ポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)、およびそれらの組合せが挙げられる。電荷輸送層に用いられるポリマー結合剤の分子量は、例えば、約20,000〜約1,500,000であり得る。
【0024】
例示的な電荷輸送成分としては、芳香族ポリアミン、例えばアリ−ルジアミンおよびアリ−ルトリアミンが挙げられる。例示的な芳香族ジアミンとしては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(アルキルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4−ジアミン、例えば式(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[3−メチルフェニル]−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)を有するmTBD;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(クロロフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン;およびN,N’−ビス−(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−1,1’−3,3’−ジメチルビフェニル)−4,4’−ジアミン(Ae−16)、N,N’−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−4,4’−ビフェニルアミン(Ae−18)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0025】
電荷輸送層20中の電荷輸送成分の濃度は、例えば、少なくとも約5重量%であってもよく、最大約60重量%を含み得る。電荷輸送成分の濃度または組成は、電荷輸送層20によって変化し得る。
【0026】
1つの例示的な実施形態では、電荷輸送層20は、平均約10〜約60重量%のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、または約30〜約50重量%のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを含む。
【0027】
さらなる態様は、電荷輸送層20中に可変量の酸化防止剤、例えばヒンダードフェノールを含めることに関する。
【0028】
典型的には、
図1の先行技術の画像形成部材の一般的な従来のカール防止バックコーティング処方は、ポリカーボネートと接着剤とを92:8の比で有する。
【0029】
図2Aは、本開示の材料処方および方法論に従って調製されたカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材を開示している。実施形態では、開示されている画像形成部材の、基材10、導電性接地板12、正孔ブロック層14、接着界面層16、電荷発生層18は、
図1の従来の画像形成部材において記載されているものとまさに全く同じ材料、組成、厚さを有し、同一の手法に従うように調製される。ただし、電荷輸送層20は、電荷輸送層20に組み込まれる可塑剤である式(I)のフタル酸ジメチル液26を含み、その内部歪みの低減を達成して、得られる画像形成部材を、カール防止バックコーティングを適用しないで所望のカール制御を有するよう改質されている。本質的には、層材料マトリックス中に可塑剤液が存在することで、可塑化される電荷輸送層のTgが実質的に下がり、その結果、その程度(Tg−25℃)が電荷輸送層の内部歪みを低減する小さな値になり、効果的な画像形成部材のカール抑制が提供される。
【0030】
改質された電荷輸送層20は、電荷輸送化合物とポリマー結合剤の組み合わせた重量に対して、平均約30重量%〜約70重量%のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(mTBD)電荷輸送化合物と、約70重量%〜約30重量%のポリマー結合剤であるビスフェノールAポリカーボネートポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)とを含み、可塑化フタル酸ジメチル液が添加されている。この可塑化液の含量は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1−ビフェニル−4,4’−ジアミン(m−TBD)とポリカーボネート結合剤の合計重量に対して約3〜約30重量%または約10〜約20重量%の間の範囲内である。
【0031】
図2Aおよび
図2Bに示す改質された電荷輸送層は、m−TBDジアミン電荷輸送化合物およびビスフェノールAポリカーボネート結合剤からなる電荷輸送層材料マトリックスへ、液体フタル酸エステル26または28を組み込むことで構成される。すなわち、可塑化電荷輸送層20は、電荷輸送化合物とポリマー結合剤の組合せ重量に対して、約30重量%〜約70重量%のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(mTBD)電荷輸送化合物と、約70重量%〜約30重量%のポリマー結合剤であるビスフェノールAポリカーボネートポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)とを含み、さらに可塑化フタル酸ジメチルまたはジエチル液(a dimethyl or a diethyl plasticizing phthalate liquid)が添加されている。この可塑化液の含量は、m−TBDジアミンとポリカーボネート結合剤の合計重量に対して約3〜約30重量%または約10〜約20重量%間の範囲内である。
【0032】
さらなる実施形態では、
図2Bに示すカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材の調製は、上記と同じ工程に従い同じ材料組成を使用するが、ただし、電荷輸送層への組込みに用いられる可塑化成分28は、上述の(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(A)、および(B)で列挙される代替可塑剤の各々から選択される。
【0033】
図3に関して、本開示のカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材のさらなる実施形態は、
図2Aおよび
図2Bの実施形態で開示されるものに従い、同じジアミン(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチフェニル)−[1,1’−ビフェニル]4,4’ジアミン(m−TBD))およびビスフェノールAポリカーボネート結合剤組成物マトリックスを含むように改質された可塑化電荷輸送層20を有するように調製されているが、ただし、電荷輸送層中に存在する単一成分可塑剤は、代替として2つの異なる可塑剤26および28の等量混合物に置き換えられている。フタル酸エステル系可塑化液と可塑剤化合物とからなるこの二元可塑剤混合物は、数多くの種類の組成を有するように形成される、例えば:
【0034】
(1)フタル酸ジメチル可塑化液を、式(IIA)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(A)、および(B)の可塑剤化合物の各々と混合することによるもの;および
【0035】
(2)フタル酸ジエチル可塑化液を、式(IA)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(A)、および(B)の可塑剤化合物の各々と混合することによるもの、が挙げられる。
【0036】
図3に示すカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材の電荷輸送層中に存在する2種の可塑剤の混合物の総量は、ジアミンm−TBDとポリカーボネートの合計重量に対して約3〜約30重量%または約10〜約20重量%の間の範囲内である。
【0037】
図4に示すカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材の実施形態のなおさらなる拡大では、電荷輸送層20は、フタル酸ジメチル液を使用して下層20Bと上層20Tからなる可塑化二重層を有するように再設計される。これらの層は両方とも、ほぼ同じ厚さであり、ジアミンm−TBDとポリカーボネート結合剤の同じ組成を含み、同量のフタル酸ジメチル液の添加を含む。要するに、両層は、約30重量%〜約70重量%のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(mTBD)電荷輸送化合物、約70重量%〜約30重量%のポリマー結合剤ビスフェノールAポリカーボネートポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)からなり;一方二重層の各層へ組み込まれるフタル酸ジメチルは、各層中のジアミンm−TBDとポリカーボネート結合剤の合計重量に対して約3〜約30重量%または約10〜約20重量%間である。これらの拡大実施形態の変形では、フタル酸ジメチル液可塑化二重層は、下層20Bが上層20Tよりも多量のジアミンm−TBDを含むようにさらに改質される;すなわち下層20Bは、各層のジアミンm−TBDとポリカーボネート結合剤を合わせた重量に対して、約40〜約70重量%のジアミンm−TBDを含み、一方、上層20Tは、約20〜約60重量%のジアミンm−TBDを含む。
【0038】
図5に示すさらなる実施形態の画像形成部材における可塑化された電荷輸送層は、三重層:下層20B、中間層20C、および上層20Tを与え;これらの層は全てフタル酸ジメチル液で可塑化されるように再設計されている。これらの実施形態では、三重層は全て、ほぼ同じ厚さ、同じジアミンm−TBDおよびビスフェノールAポリカーボネート組成物マトリックス、および各個々の層のジアミンm−TBDとポリカーボネートの合計重量に対して約3〜約30重量%または約10〜約20重量%の間の同量添加のフタル酸ジメチル液を含む。これらのさらなる実施形態の改変では、フタル酸ジメチル液で可塑化された三重の電荷輸送層は、下層が約50〜約80重量%のジアミンm−TBDを有し、中間層が約40重量%および約70重量%のジアミンm−TBDを有し、上層が約20重量%〜約60重量%のジアミンm−TBDを有するように、下層から上層へと低下する順で、異なる量のジアミンm−TBD含量を含むようにさらに改質されている。
【0039】
図5に示すまたさらなる実施形態では、画像形成部材の三重電荷輸送層は全て、フタル酸ジエチル液で可塑化されている。
【0040】
革新的な実施形態では、
図6に示す画像形成部材は、約4〜約10の独立した層、または約4〜約6間の独立した層を有する可塑化多重電荷輸送層を有する。これらの多重層は、同じ厚さを有するように形成され、下(第1の)層20Fと、複数の(中間)層20Mと、最後の(最外)層20Lとからなる。これらの層は全て、ポリカーボネート結合剤、同量のフタル酸ジメチル液の組み込みおよび下層では約50〜約80重量%を有し、上層では約20重量%〜約60重量%を有するように下層から上層へと存在するジアミンm−TBD含有量が連続して順に低下するジアミンm−TBDを含む。これらの多重層への、可塑剤であるフタル酸ジメチル液の組み込み量は、各個々の層のジアミンm−TBDおよびポリカーボネートの合計重量に対して約3〜約30重量%または約10〜約20重量%の間である。
【0041】
これらの同じ革新的な実施形態の改変によれば、前記可塑化多重電荷輸送層はさらに改変され、各層のフタル酸ジメチル可塑剤の代わりにフタル酸ジエチルを含むように改質されている。
【0042】
図1に記載のもののような電荷輸送層20と電荷発生層18である2つの独立した別個の層の代替物として、他の全ての層が上述の図に記載した全く同じ方法で形成されている構造的に単純化された画像形成部材を、電荷発生能力と電荷輸送能力の両方を有し、さらに
図7に示す例示によるカール防止バックコーティングを不要にするためにここで開示される可塑剤を使用して可塑化されている単一画像形成層22を含むよう作製してもよい。単一画像形成層22は、静電気帯電、像様露光および現像中に暗所で静電を保持することができる単一電子写真活性層を含み得る。単一画像形成層22は、結合剤中に電荷輸送分子、上記の電荷輸送層20と同じものを含むように形成してもよく、また、上記の電荷発生層18に類似した光発生/光伝導材料も場合により含んでもよい。例示的な実施形態では、
図7に示す本開示の画像形成部材の単一画像形成層22は、単一可塑剤、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルまたは式(IA)、(IIA)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(A)、および(B)の代替可塑剤の各々を用いることによって可塑化してもよい。前記層への単一成分可塑剤の組み込み量は、各個々の層のジアミンm−TBDとポリカーボネートの合計重量に対して約3〜約30重量%または約10〜約20重量%の間である。
【0043】
一般的に言えば、カール防止バックコーティングを含まない可撓性画像形成部材全ての可塑化された電荷輸送層(可塑化単一層、二重層、または多重層である)の厚さは、上記で開示される
図2〜
図7に従って調製され、約10〜約100マイクロメートル、または約15〜約50マイクロメートル間の範囲内である。開示実施形態における複合電荷輸送層を使用する画像形成部材の最外部上層が、(下層から上層へと低下する濃度勾配で)最少量のジアミンm−TBD電荷輸送分子を含むように形成される理由は、(1)2つのコーティング層間の界面におけるジアミンm−TBDの結晶化を抑制すること、(2)さらに、現場での動的機械ベルト循環機能中の上層の疲労亀裂抵抗を高めること、および(3)それでも、得られたカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材ベルトが、現場で適切に機能することを確実にするために、望ましい良好な光電特性を維持することができることであることを強調することが重要である。
【0044】
カール防止バッキング層を適用しないで1または複数の可塑化電荷輸送層を含むように調製された本開示の可撓性画像形成部材は、各対照画像形成部材に関する光電的完全性を保っているべきである。電荷受容性(V
0)が約750〜約850ボルトの範囲内であり;感度(S)が約250〜約450ボルト/エルグ/cm
2の感度であり;残留電位(V
r)が約50ボルト未満であり;暗現像電位(Vddp)が約280〜約620ボルトの間であり;暗減衰電圧(Vdd)が約70〜約20ボルトの間であるということを意味する。
【0045】
開示される画像形成部材設計の機械的性能をさらに向上させるために、可塑化上部電荷輸送層または単一画像形成層は、より大きな耐摩耗性を付与および/または増強するための無機充填剤または有機充填剤の添加物も含んでもよい。機械的特性強化を成し遂げるために、ミクロンサイズまたはナノサイズの無機または有機粒子のいずれかを充填剤に用いてもよい。
【実施例】
【0046】
[対照例I]
図1に示した従来の可撓性電子写真画像形成部材ウェブは、厚さ3.5ミル(約89マイクロメートル)の二軸延伸ポリエチレンナフタレート基材(PEN)(KADALEX、デュポン・テイジン・フィルムズ(DuPont Teijin Films)から入手可能)の基材上に0.02マイクロメートル厚のチタンコーティング層を施すことにより調製した。チタン処理したKADALEX基材を、6.5グラムのγアミノプロピルトリエトキシシラン、39.4グラムの蒸留水、2.08グラムの酢酸、752.2gの200プルーフ変性アルコールおよび200グラムのヘプタンの混合物を含有する遮断層溶液で押出コーティングした。その後、この湿ったコーティング層を強制空気炉において135℃で5分間乾燥させ、そのコーティングから溶媒を除去し架橋シラン遮断層を形成した。得られた遮断層は、平均乾燥厚さ0.04マイクロマートルを有すると偏光解析器で測定された。
【0047】
次いで、テトラヒドロフラン/シクロヘキサノンの70:30(v/v)混合物中、溶液の総重量に対して5重量%のポリエステル接着剤(MOR−ESTER 49,000、モートン・インターナショナル社(Morton International,Inc.)から入手可能)を含有するウェットコーティングを遮断層に塗布することによって、接着界面層を押出コーティングした。得られた接着界面層は、炉に通した後、乾燥厚さ0.095マイクロメートルを有していた。
【0048】
その後、この接着界面層を電荷発生層でコーティングした。電荷発生層分散液は、1.5gのポリスチレン−コ−4−ビニルピリジンおよび44.33gのトルエンを4オンスのガラス瓶に入れることにより調製した。この溶液に1.5gのヒドロキシガリウムフタロシアニンV型および300gの1/8インチ(約3.2mm)径ステンレス鋼ショットを添加した。次に、この混合物をボールミルに約8〜約20時間かけた。その後、得られたスラリーを接着界面に押出塗布法によりコーティングし、湿潤厚0.25ミル(6.35μm)の層を形成した。しかし、遮断層と接着剤層を有する基材ウェブストックの一端に沿った約10ミリメートル幅のストリップを意図的に電荷発生層でコーティングしないで残し、後に塗布されるグラウンドストリップ層による十分な電気接触を容易にした。湿った電荷発生層を強制空気炉において125℃で2分間乾燥させ、厚さ0.4マイクロメートルを有する乾燥電荷発生層を形成した。
【0049】
このコーティングしたウェブストックを、2つのコーティング溶液の共押出により電荷輸送層とグラウンドストリップ層で同時にコーティングした。電荷輸送層は、琥珀色のガラス瓶でMAKROLON 5705、ファーベンサブリッケン・ベイヤー社(Farbensabricken Bayer A.G.)から市販されている分子量約120,000のビスフェノールAポリカーボネート熱可塑性プラスチックを、電荷輸送化合物N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンと重量比1:1(すなわち各々50重量%)で合わせることにより調製した。得られた混合物を、塩化メチレン中に固形分15重量%が得られように溶解させ、これを共押出コーティングプロセス中に電荷発生層とグラウンドストリップ層とに塗布した。
【0050】
電荷発生層でコーティングしないで残した接着剤層の約10mm幅のストリップは、電荷輸送層およびグラウンドストリップコーティングの共押出の際にグラウンドストリップ層でコーティングした。グラウンドストリップ層コーティング混合物は、カーボイ容器で23.81gのポリカーボネート樹脂(MAKROLON 5705、総重量に対して7.87%固形分、ベイヤー社(Bayer A.G.)から入手可能)と、332gの塩化メチレンとを合わせることにより調製した。この容器にしっかりとふたをし、ポリカーボネートが塩化メチレンに溶解するまでロールミルに約24時間かけた。得られた溶液を、9.41重量部のグラファイト、2.87重量部のエチルセルロースおよび87.7重量部の溶媒からなるグラファイト分散液(固形分12.3重量%)(Acheson Graphite dispersion RW22790、アチソン・コロイズ・カンパニー(Acheson Colloids Company)から入手可能)約93.89gと15〜30分間混合し、この分散液が過熱され溶媒が失われるのを防ぐために水冷式ジャケット付容器で高剪断ブレ−ド分散装置を用いた。次いで、得られた分散液を濾過し、塩化メチレンを用いて粘度を調整した。次いで、このグラウンドストリップ層コーティング混合物を、電荷輸送層との共押出コーティングにより電子写真画像形成部材ウェブに塗布し、導電性グラウンドストリップ層を形成した。
【0051】
上記層の全てを備える画像形成部材のウェブストックは、その後、60フィート/分(約18.3m/分)のウェブ速度で移動させ、125℃の生産用コーター強制空気炉を通過させ、共押出コーティングしたグラウンドストリップと電荷輸送層を同時に乾燥させ、各々19マイクロメートルと29マイクロメートルの乾燥厚さを得た。この時点では、画像形成部材は乾燥コーティング層の全てを有し、このウェブが室内環境25℃に冷却されると、制御を施していない場合には1.5インチ(38.1mm)のロールに自然に上方へカールすることになる。電荷輸送層はガラス転移温度(Tg)85℃および熱収縮係数約6.6×10
-5/℃であるため、熱収縮がより小さい約1.9×10
-5/℃のPEN基材のものよりも約3.7倍大きい寸法収縮を受けた。そのため、電荷輸送層に2.75%内部歪みが生じ、画像形成部材の上方へのカールが起こった。カール防止バックコーティング適用前のカールアップ画像形成部材が、対照として役立つよう使用される。
【0052】
カール防止コーティングは、カーボイ容器で88.2グラムのポリカーボネート樹脂(MAKROLON 5705)、7.12グラムのVITEL PE−2200コポリエステル(ボスティク社(Bostik,Inc.)マサチューセッツ州ミドルトン(Middleton,MA)から入手可能)および1,071グラムの塩化メチレンを合わせ、固形分8.9%を含有するコーティング溶液を形成することにより調製した。この容器にしっかりとふたをし、ポリカーボネートおよびポリエステルが塩化メチレンに溶解するまでロールミルに約24時間かけ、カール防止バックコーティング溶液を形成した。続いて、このカール防止バックコーティング溶液を押出コーティングにより電子写真画像形成部材ウェブの裏面(電荷発生層および電荷輸送層の反対側)に塗布し、強制空気炉で最高温度125℃に乾燥させ、厚さ17マイクロメートルの乾燥カール防止バッキング層を作製し、画像形成部材を平らにした。
図1に示したような、完成したコーティング層の全てを備えた、得られた画像形成部材は、29マイクロメートル厚の単一層の電荷輸送層を有する。このようにして調製した、得られた電荷輸送層は、電荷輸送成分N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンとビスフェノールAポリカーボネート結合剤を含む二元固溶体であった。
【0053】
[開示例I]
図2Aに示したような3つの可撓性電子写真画像形成部材ウェブを、対照例Iにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、カール防止バックコーティングを排除し、これらの画像形成部材ウェブの単一電荷輸送層を各々、電荷輸送層のMAKROLONと電荷輸送化合物を合わせた重量に対して5重量%、8重量%、および12重量%のフタル酸ジメチル液(シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Corporation)から入手可能)を組み込むことにより可塑化した。フタル酸ジメチルの分子構造は、下式(I)によって示される。
【0054】
【化19】
【0055】
[開示例II]
図2Bに示すような3つのカール防止バックコーティングを含まない可撓性電子写真画像形成部材ウェブも、開示例Iにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、カール防止バックコーティングを排除し、これらの画像形成部材ウェブの単一電荷輸送層に各々、MAKROLONと電荷輸送化合物を合わせた重量に対して5重量%、8重量%、および12重量%の別の可塑化液フタル酸ジエチル(シグマ−アルドリッチ社から入手可能)を組み込んだ。式(II)を有するフタル酸ジエチルを下記に表す。
【0056】
【化20】
【0057】
[開示例III]
図2Bに示すような3つのカール防止バックコーティングを含まない可撓性電子写真画像形成部材ウェブも、開示例Iにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、カール防止バックコーティングを適用せず、これらの画像形成部材ウェブの単一電荷輸送層に各々、MAKROLONと電荷輸送化合物の合わせた重量に対して5重量%、8重量%、および12重量%の代替の可塑化液モノマービスフェノールAカーボネートを組み込んだ。使用した可塑化液モノマービスフェノールAカーボネート(ピーピージー・インダストリーズ社(PPG Industries,Inc)から入手可能)は、次式(1)で示される。
【0058】
【化21】
【0059】
[開示例IV]
図3に示すような3つのカール防止バックコーティングを含まない可撓性電子写真画像形成部材ウェブも、開示例Iにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、カール防止バックコーティングを適用せず、これらの画像形成部材ウェブの単一電荷輸送層に各々、フタル酸ジメチル(DMP)とモノマービスフェノールAカーボネート(MBC)からなる可塑剤混合物を組み込んだ。これらの可塑剤混合物を処方するために選択したDMPとMBCの重量%の比(DMP:MBC)は、MAKROLONとジアミンm−TBD電荷輸送化合物を合わせた重量に対して3%:10%、6%:10%および9%:10%とし、均一混合液を得た。
【0060】
[開示例V]
図3に示すような3つのカール防止バックコーティングを含まない可撓性電子写真画像形成部材ウェブも、開示例IVにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、これらの画像形成部材ウェブの単一電荷輸送層に各々、DEPとMBCからなる可塑剤混合物を組み込んだ。これらの可塑剤混合物を処方するために選択したDEP:MBCの重量%の比は、MAKROLONとジアミンm−TBD電荷輸送化合物を合わせた重量に対して3%:10%、6%:10%および9%:10%とし、均一混合液を得た。
【0061】
[開示例VI]
図3に示すような1つのカール防止バックコーティングを含まない可撓性電子写真画像形成部材ウェブも、開示例IVにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、この画像形成部材ウェブの単一電荷輸送層に、12重量%の、等量のMBCとオリゴマーのメチルスチレンダイマー(MSD)からなる可塑剤混合物を組み込んだ。これらの可塑剤混合物を処方するために選択したMBC:MSDの重量%の比は、MAKROLONとジアミンm−TBD電荷輸送化合物を合わせた重量に対して6%MBC:6%MSDとし、均一混合液を得た。
【0062】
使用した可塑化液モノマービスフェノールAカーボネート(MBC、ピーピージー・インダストリーズ社から入手可能)は、式(1)で示される。
【0063】
【化22】
【0064】
一方、オリゴマーポリスチレン(メチルスチレンダイマー、MSD、シグマ−アルドリッチ社から入手可能)は、下記に示す式(B)を有する。
【0065】
【化23】
【0066】
[対照例A]
一般的な二重層の可撓性電子写真画像形成部材ウェブを、対照例Iにおいて記載したものと全く同じ材料、組成を用い、同一の手法に従うことにより調製した。ただし、単一電荷輸送層を、二重層:各々14.5マイクロメートルの厚さを有する下層および上層を有するように調製し;下層は、50:50重量比のジアミン電荷輸送化合物対ポリカーボネート(MAKROLON)結合剤を含有し、一方、上層におけるこれらの重量比は30:50であった。カール防止バックコーティングの適用を省略したため、調製した画像形成部材ウェブは、二重電荷輸送層の塗布完了後1.5インチ(38.1mm)のロールに自然に上方へカールした。
【0067】
[開示例A]
図4に示したような2つのカール防止バックコーティングを含まない可撓性電子写真画像形成部材ウェブを、対照例Aにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、二重電荷輸送層両方を、全く同じ量の式(I)のフタル酸ジメチルで可塑化した。二重層両方へのフタル酸ジメチルの組み込みは、第1および第2の画像形成部材について各々、電荷輸送層中のMAKROLONと電荷輸送化合物を合わせた重量に対して5重量%および8重量%とした。
【0068】
[開示例B]
2つのカール防止バックコーティングを含まない電子写真画像形成部材ウェブを、開示例Aにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、二重電荷輸送層両方を全く同じ量の式(II)のフタル酸ジエチルで可塑化した。二重層両方へのフタル酸ジエチルの組み込みは、第1および第2の画像形成部材について各々、電荷輸送層中のMAKROLONと電荷輸送化合物を合わせた重量に対して5重量%および8重量%とした。
【0069】
[開示例C]
カール防止バックコーティングを含まない電子写真画像形成部材ウェブを、開示例Aにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、二重電荷輸送層両方に、電荷輸送層中のMAKROLONと電荷輸送化合物を合わせた重量に対して8重量%の、等量のフタル酸ジメチル(DMP)とモノマービスフェノールAカーボネート(MBC)からなる可塑剤混合物を組み込んだ。
【0070】
[開示例D]
カール防止バックコーティングを含まない電子写真画像形成部材ウェブを、開示例Cにおいて記載したものと全く同じ材料組成を用い、同一の手法に従って調製した。ただし、二重電荷輸送層両方に、電荷輸送層中のMAKROLONと電荷輸送化合物を合わせた重量に対して8重量%の、等量のDEPとMBCからなる可塑剤混合物を組み込んだ。
【0071】
続いて、開示例の電荷輸送層材料マトリックスへの可塑剤または可塑剤混合物の組込みにより1または複数の可塑化電荷輸送層(CTL)を有するカール防止バックコーティングを含まない画像形成部材調製物を各々、その個々の画像形成部材対照に対して、上方への画像形成部材のカールの程度、CTLガラス転移温度(Tg)、光電特性完全性、および画像形成部材ベルト機械印刷品質試験について評価した。
【0072】
これらの可塑化単一CTL画像形成部材をカールアップの発現について評価し、個々の曲率径について測定し、カール防止バックコーティング適用前の対照例Iの画像形成部材のものに対して比較した。これらの画像形成部材全てを、示差走査熱量測定(DSC)法を用いてそれらのCTLガラス転移温度(Tg)についても決定した。DMP、DEP、MSD、およびMBCで可塑化したCTLおよびその対照を有する画像形成部材についての結果を表1および表2に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
上記の2つの表に記したデータは、単一層または二重層のCTLを可塑化するためのフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチルとモノマービスフェノールAカーボネートの混合物、またはフタル酸ジエチルとモノマービスフェノールAカーボネート混合物の使用が、可塑剤の添加レベルに関して単調に画像形成部材カールアップを低減するのに十分に適切であったことを示している。CTLへの12重量%組込みレベルでは、全ての可塑剤は、ほぼ同等のカール制御結果を得、画像形成部材カールを低レベルにすることができた。また、添加レベルを16重量%へ高めた場合には、可塑化CTLは完全なカール制御効果を与え、得られた画像形成部材を絶対的な平面性を有するものにすることができた。その後本開示例A〜Dの二重層のCTLを有する画像形成部材および対照例Aの対照画像形成部材について得られたTg測定値/評価から、二重層のCTLの可塑化は、上記実験添加レベル全てにおいて、単一層のCTLを含むように調製した画像形成部材で認められる結果と同等の結果が得られることも確認した。
【0076】
また、上記開示例全てで開示された添加レベルでは、CTLの可塑化は全て、接着仕様のものよりも高い良好な層接着値を有すことがわかったことにも留意すべきである。
【0077】
本開示のさらなる画像形成部材の実施形態では、カール防止を含まない画像形成部材画像形成部材ウェブの調製を、3.5ミル(88.9μm)のポリエチレンナフタレート基材の代わりに4.2ミル(106.68μm)厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)基材支持体を利用することによりさらに行った。このようにして得た、4.2ミル(106.68μm)PETおよび8重量%フタル酸ジエチル可塑化CTLを有する画像形成部材調製物は、実質的に平坦な形状を示した。観察された画像形成部材のカール制御の有効性は、基材厚さをほんの0.7ミル(17.78μm)加えたことによりPET基材の剛性(stiffness)(すなわち堅いこと(rigidity))が増加したことの直接の結果であった。
【0078】
前記の個々の可塑剤各々を含む、全画像形成部材の開示例I〜VIの単一層のCTLならびに開示例A〜Dの二重層のCTLの調製物を、それらの光電特性、例えば、電荷受容性(V
0)、感度(S)、残留電位(V
r)、および暗減衰電位(Vdd)について解析し、lab 5000 scanner試験法を用いることにより、適切な機能を、対照例Iおよび対照例Aの個々の対照画像形成部材対対応物に対して評価した。表3に示す結果は、開示される可塑剤のいずれを組み込んでも、調査した添加レベル全てにおいて、個々の対照画像形成部材対対応物に対する結果と比較して、得られた画像形成部材の重要な光電特性に対して有害な影響は生じなかったことを示している。
【0079】
【表3】
【0080】
2つの単一層のCTL画像形成部材ウェブ(1つは8重量%、もう1つは12重量%フタル酸ジエチルの、開示例IIに従って調製したCTLを有する)と対照例Iの画像形成部材ウェブを各々カットして、規定寸法の3枚の独立した方形の画像形成部材シ−トを得た。各カットシートの向かい合う両端を輪にし、重ね合わせた後、超音波溶接して3つの個別画像形成部材ベルトを作った。続いて、これらの溶接ベルトを各々、まさに全く同じ電子写真方式装置を使用して印刷試験し、各複写印刷出力品質、故障モード、および最終的な耐用年数を評価し比較した。このようにして機械ベルト印刷試験実行後に得られた結果は、可塑化CTLを有しカール防止バックコーティングを有さない本開示の画像形成部材両方では、摩損個所の線筋状の印刷欠陥複写が発生せず、100万枚以上にわたる複写印刷出力実行後に疲労によるCTL亀裂が生じないことを示した。比較すると、対照画像形成部材ベルトは、300,000枚の複写で摩損個所の線筋状の印刷欠陥を示すことが分かり、印刷枚数800,000でCTL亀裂を示した。