特許第5795863号(P5795863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795863
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ワーク係合装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20150928BHJP
   B23K 37/04 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B23P19/00 304C
   B23K37/04 F
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-38218(P2011-38218)
(22)【出願日】2011年2月24日
(65)【公開番号】特開2012-171007(P2012-171007A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白▲崎▼ 晃治
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−076020(JP,A)
【文献】 特開2003−211271(JP,A)
【文献】 実開昭58−113428(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00
B23K 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に延びる枢支軸心回りに往、復回動可能となるよう静止部材側に枢支され、所定位置にまで往回動してワークと係合可能とされる係合アームと、上記所定位置にまで往回動した上記係合アームを上記静止部材側に対し位置決めするキャッチャーとを備えたワーク係合装置において、
上記キャッチャーが、上記静止部材側に固着される静止ブロックと、上記係合アームと共に往、復回動する回動ブロックとを有し、上記静止ブロックに、上記X方向で互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びる第1、第2X面と、上記枢支軸心に直交して上記静止ブロックを貫通する仮想線に沿った方向をY方向とするとき、このY方向で互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びる第1、第2Y面と、上記X,Y方向に直交するZ方向で上記回動ブロックに向かうよう面するZ面とをそれぞれ形成し、上記第1、第2Y面のうち、上記枢支軸心から遠い側の第1Y面を、上記枢支軸心の周方向で見て上記仮想線よりも往回動前の上記回動ブロック側に位置させ、第2Y面を上記仮想線よりも上記回動ブロック側とは反対側に位置させることにより、上記第1、第2Y面を上記仮想線を基準としてZ方向で振り分け配置し、上記所定位置の近傍にまで往回動してきた上記回動ブロックの一部外面が上記第1、第2X面をそれぞれ摺動し、上記所定位置にまで往回動した上記回動ブロックの他部外面が上記第1、第2Y面とZ面とにそれぞれ当接するようにしたことを特徴とするワーク係合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定位置にまで往回動してワークと係合可能とされる係合アームを、上記所定位置で静止部材側に対し位置決めするキャッチャーを備えたワーク係合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記ワーク係合装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、ワーク係合装置は、ある水平なX方向に延びる枢支軸心回りに往、復回動可能となるよう静止部材側に枢支され、所定位置にまで往回動してワークと係合可能とされる係合アームと、上記所定位置にまで往回動した上記係合アームを上記静止部材側に対し位置決めするキャッチャーとを備えている。
【0003】
上記係合アームを往回動させ、この係合アームを上記キャッチャーにより静止部材側に対し位置決めすると共にワークに係合させて、このワークをクランプすれば、このワークは所定位置に精度よく保持されることとなる。このため、このようにクランプされたワークに対しては、その後の作業が精度よくできることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58−113428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の技術のキャッチャーは、往回動して所定位置に達した係合アームをその回動方向(Y方向)でのみ位置決めするものである。このため、仮に、上記静止部材側に対する係合アームの枢支部に多少のがたつきがある場合には、上記キャッチャーの存在にかかわらず、上記X方向や上記X,Y方向に直交するZ方向で、上記がたつきにより上記係合アームの位置に寸法誤差が生じがちとなる。そして、このような寸法誤差が生じた場合には、上記係合アームによりクランプされたワークの位置精度が低下するおそれがあり、この結果、このワークに対するその後の作業性が低下するおそれを生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、所定位置にまで往回動してワークと係合可能とされる係合アームを、上記所定位置でキャッチャーにより静止部材側に対し精度よく位置決めできるようにし、これにより、この係合アームと係合したワークに対するその後の作業性を向上させることである。
【0007】
請求項1の発明は、X方向に延びる枢支軸心5回りに往、復回動A,B可能となるよう静止部材側6に枢支され、所定位置にまで往回動Aしてワーク1と係合可能とされる係合アーム7と、上記所定位置にまで往回動Aした上記係合アーム7を上記静止部材側6に対し位置決めするキャッチャー15とを備えたワーク係合装置において、
上記キャッチャー15が、上記静止部材側6に固着される静止ブロック16と、上記係合アーム7と共に往、復回動A,Bする回動ブロック17とを有し、上記静止ブロック16に、上記X方向で互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びる第1、第2X面26,27と、上記枢支軸心5に直交して上記静止ブロック16を貫通する仮想線19に沿った方向をY方向とするとき、このY方向で互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びる第1、第2Y面28,29と、上記X,Y方向に直交するZ方向で上記回動ブロック17に向かうよう面するZ面30,31とをそれぞれ形成し、上記第1、第2Y面28,29のうち、上記枢支軸心5から遠い側の第1Y面28を、上記枢支軸心5の周方向で見て上記仮想線19よりも往回動A前の上記回動ブロック17側に位置させ、第2Y面29を上記仮想線19よりも上記回動ブロック17側とは反対側に位置させることにより、上記第1、第2Y面28,29を上記仮想線19を基準としてZ方向で振り分け配置し、上記所定位置の近傍にまで往回動Aしてきた上記回動ブロック17の一部外面が上記第1、第2X面26,27をそれぞれ摺動し、上記所定位置にまで往回動Aした上記回動ブロック17の他部外面が上記第1、第2Y面28,29とZ面30,31とにそれぞれ当接するようにしたことを特徴とするワーク係合装置である。
【0008】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明による効果は、次の如くである。
【0010】
請求項1の発明は、X方向に延びる枢支軸心回りに往、復回動可能となるよう静止部材側に枢支され、所定位置にまで往回動してワークと係合可能とされる係合アームと、上記所定位置にまで往回動した上記係合アームを上記静止部材側に対し位置決めするキャッチャーとを備えたワーク係合装置において、
上記キャッチャーが、上記静止部材側に固着される静止ブロックと、上記係合アームと共に往、復回動する回動ブロックとを有し、上記静止ブロックに、上記X方向で互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びる第1、第2X面と、上記枢支軸心に直交して上記静止ブロックを貫通する仮想線に沿った方向をY方向とするとき、このY方向で互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びる第1、第2Y面と、上記X,Y方向に直交するZ方向で上記回動ブロックに向かうよう面するZ面とをそれぞれ形成し、上記第1、第2Y面のうち、上記枢支軸心から遠い側の第1Y面を、上記枢支軸心の周方向で見て上記仮想線よりも往回動前の上記回動ブロック側に位置させ、第2Y面を上記仮想線よりも上記回動ブロック側とは反対側に位置させることにより、上記第1、第2Y面を上記仮想線を基準としてZ方向で振り分け配置し、上記所定位置の近傍にまで往回動してきた上記回動ブロックの一部外面が上記第1、第2X面をそれぞれ摺動し、上記所定位置にまで往回動した上記回動ブロックの他部外面が上記第1、第2Y面とZ面とにそれぞれ当接するようにしている。
【0011】
即ち、上記発明によれば、係合アームが上記所定位置まで往回動したとき、上記係合アームと共に往回動した回動ブロックが上記静止部材側に固着された静止ブロックに係合して、互いに直交するよう上記静止ブロックに形成されたX,Y,Z面にそれぞれ上記回動ブロックの外面が当接する。
【0012】
このため、上記静止部材側に対する係合アームの枢支部に多少のがたつきがあるとしても、上記所定位置にまで往回動してワークと係合する係合アームは、上記所定位置で互いに直交するX,Y,Z方向において、上記静止部材側に対しそれぞれ精度よく位置決めされる。よって、上記係合アームは上記ワークに対し寸法精度よく係合することから、この係合により、静止部材側に対しワークを精度よく位置決めできたり、このワークを精度よくクランプできたりして、このワークに対するその後の作業性を向上させることができる。
【0013】
そして、上記した静止部材側に対する係合アームの精度のよい位置決めは、精度の高い軸部材やアクチュエータなどの別途部材を不要とし、上記キャッチャーの静止ブロックと回動ブロックとの係合構造の工夫によって達成されることから、上記係合アームと係合したワークに対するその後の作業性の向上は、簡単な構成で安価に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図2の部分拡大図である。
図2】ワーク係合装置の側面部分断面図である。
図3】ワーク係合装置の斜視図である。
図4図1のIV−IV線矢視図である。
図5図3の部分拡大斜視図である。
図6図5で示したものの展開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のワーク係合装置に関し、所定位置にまで往回動してワークと係合可能とされる係合アームを、上記所定位置でキャッチャーにより静止部材側に対し精度よく位置決めできるようにし、これにより、この係合アームと係合したワークに対するその後の作業性を向上させる、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0016】
即ち、ワーク係合装置は、X方向に延びる枢支軸心回りに往、復回動可能となるよう静止部材側に枢支され、所定位置にまで往回動してワークと係合可能とされる係合アームと、上記所定位置にまで往回動した上記係合アームを上記静止部材側に対し位置決めするキャッチャーとを備える。
【0017】
上記キャッチャーは、上記静止部材側に固着される静止ブロックと、上記係合アームと共に往、復回動する回動ブロックとを有する。上記静止ブロックに、上記X方向で互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びる第1、第2X面と、上記枢支軸心に直交して上記静止ブロックを貫通する仮想線に沿った方向をY方向とするとき、このY方向で互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びる第1、第2Y面と、上記X,Y方向に直交するZ方向で上記回動ブロックに向かうよう面するZ面とをそれぞれ形成する。上記第1、第2Y面のうち、上記枢支軸心から遠い側の第1Y面を、上記枢支軸心の周方向で見て上記仮想線よりも往回動前の上記回動ブロック側に位置させ、第2Y面を上記仮想線よりも上記回動ブロック側とは反対側に位置させることにより、上記第1、第2Y面を上記仮想線を基準としてZ方向で振り分け配置する。上記所定位置の近傍にまで往回動してきた上記回動ブロックの一部外面が上記第1、第2X面をそれぞれ摺動し、上記所定位置にまで往回動した上記回動ブロックの他部外面が上記第1、第2Y面とZ面とにそれぞれ当接するようにしている。
【実施例】
【0018】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0019】
図2,3において、符号1は、車両の車体構成部品であって、水平方向に延びる形状のワークである。上記ワーク1は一対設けられて、水平なX方向に並設され、搬送台2上に載置されている。上記両ワーク1,1同士を寸法精度よくスポット溶接Sさせるために、上記各ワーク1をそれぞれ上記搬送台2上の所定位置に位置決めするための一対のワーク係合装置3,3が設けられている。
【0020】
上記ワーク係合装置3は、上記X方向に延びる枢支軸心5回りに往、復回動A,B可能となるよう静止部材側6に枢支される係合アーム7と、この係合アーム7を往、復回動A,Bさせるシリンダ式のアクチュエータ8とを備えている。上記静止部材側6は、作業床9上に設置された上記搬送台2や作業台10を有し、この作業台10に上記係合アーム7が枢支されている。上記係合アーム7が、図2,3中実線で示す所定位置にまで往回動Aしたとき、この係合アーム7の回動端部分が上記ワーク1と係合することとされている。
【0021】
具体的には、上記係合アーム7の回動端部分は位置決めピン12を有している。そして、上記係合アーム7が上記所定位置にまで往回動Aしたとき、上記位置決めピン12が上記ワーク1に形成された位置決め孔13に嵌脱可能に嵌入して、上記係合アーム7の回動部分が上記ワーク1と係合することとされ、これにより、ワーク1は上記静止部材側6の搬送台2に対し位置決めされる。
【0022】
また、上記ワーク係合装置3は、上記所定位置まで往回動Aした上記係合アーム7を上記静止部材側6の作業台10に対し位置決めするキャッチャー15を備えている。そして、上記したように往回動Aした係合アーム7の回動端部分が上記ワーク1に係合することと、上記係合アーム7が上記キャッチャー15により静止部材側6の作業台10に対し位置決めされることとによって、上記ワーク1は、静止部材側6の上記搬送台2に対し精度よく位置決めされるようになっている。
【0023】
全図において、上記キャッチャー15は、上記静止部材側6の作業台10の上面に不図示の締結具などにより固着される静止ブロック16と、上記係合アーム7に不図示の締結具などにより固着され、この係合アーム7と共に往、復回動A,Bする回動ブロック17とを有している。上記係合アーム7が上記所定位置まで往回動Aしたとき、上記静止ブロック16に上記回動ブロック17が係合し、この状態のキャッチャー15を介し係合アーム7が静止部材側6に対し位置決めされるようになっている。
【0024】
ここで、上記枢支軸心5に直交して上記静止ブロック16を貫通する仮想線19に沿った水平方向をY方向とする。また、このY方向での一方向を図中矢印Frで示した前方として、この前方に向かっての上記X方向を左右とする。更に、上記X,Y方向にそれぞれ直交する上下方向をZ方向として、以下説明する。
【0025】
上記静止ブロック16は、上記作業台10の上面に固着される基体22と、この基体22の前、後部からそれぞれ一体的に上方に突出する前、後突起23,24とを備えている。上記基体22の左右方向の中途部の上面には前後方向に延びる断面U字形状の溝25が形成されている。上記前、後突起23,24は、上記溝25の左右に振り分け配置されている。上記X方向に沿った視線で見て(図1)、上記前突起23は上記仮想線19を越えて上方に突出している。一方、上記後突起24は上記仮想線19を越えないよう上方に突出している。
【0026】
上記溝25の左右各内側面が第1、第2X面26,27とされている。これら第1、第2X面26,27は左右方向(X方向)で互いに離れて互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びている。具体的には、上記第1、第2X面26,27は、それぞれ前後方向かつ上下方向に向かって互いに平行に延び、かつ、互いに対面している。
【0027】
上記前突起23の上部後面が第1Y面28とされ、上記後突起24の前面が第2Y面29とされている。上記第1、第2Y面28,29は前後方向(Y方向)で互いに離れて互いに逆方向に向かうよう面して平行に延びている。具体的には、上記第1、第2Y面28,29は、それぞれ左右方向かつ上下方向に向かって互いに平行に延びている。また、上記第1、第2Y面28,29は、左右方向(X方向)で振り分け配置され、かつ、上記仮想線19を基準として上下方向(Z方向)で振り分け配置されている。より具体的には、上記第1、第2Y面28,29のうち、上記枢支軸心5から遠い側(前側)の第1Y面28は、前記仮想線19よりも往回動A前の係合アーム7側(上側)に位置させられ、第2Y面29は上記仮想線19よりも上記係合アーム7側とは反対側(下側)に位置させられている。
【0028】
上記基体22の左側部における前後方向の中途部上面が第1Z面30とされ、上記溝25の底面が第2Z面31とされている。上記第1、第2Z面30,31は、上記回動ブロック17に向かうよう面しており、具体的には、それぞれ上記第1、第2X面26,27と第1、第2Y面28,29とにそれぞれ直交する方向に延び、かつ、互いに平行に延びている。
【0029】
図1〜5中実線のように、上記係合アーム7を上記所定位置まで往回動Aさせたとき、この係合アーム7は枢支軸心5側から前方に向かって上記仮想線19と平行に直線的に延びている。この状態で、前記回動ブロック17は上記係合アーム7の下面に固着されている。上記回動ブロック17の一部外面である下端部の左右各外側面はそれぞれ前後方向かつ上下方向に向かって互いに平行に延びている。また、上記回動ブロック17の他部外面である上部側の前、後面はそれぞれ左右方向かつ上下方向に向かって互いに平行に延びている。また、上記回動ブロック17の更に他部外面である左側部の下面と、この回動ブロック17の更に他部外面である下端部の下面とはそれぞれ前後方向かつ左右方向に向かって互いに平行に延びている。
【0030】
上記回動ブロック17の下端部の左右下端縁部にはそれぞれ面取り部36,36が形成されている。なお、これら面取り部36と共に、もしくはこれに代えて、上記溝25の開口縁部に不図示の面取り部を形成してもよい。
【0031】
そして、上記係合アーム7が往回動A前の元位置(図2,3中一点鎖線)から、図1,2,4中二点鎖線で示すように、上記所定位置の近傍にまで往回動Aし、更に往回動Aするときには、上記回動ブロック17の下端部が上記静止ブロック16の溝25内の第1、第2X面26,27の間に嵌入し、これら第1、第2X面26,27を、上記回動ブロック17の一部外面である下端部の左右各外側面が下方に向かって摺動する。なお、上記回動ブロック17の下端部が上記第1、第2X面26,27の間に嵌入するとき、上記回動ブロック17の下端部の左右面取り部36,36により、上記嵌入が円滑になされる。
【0032】
そして、上記した回動ブロック17の一部外面である下端部の左右各外側面が上記静止ブロック16の第1、第2X面26,27に摺動しながら当接することにより、上記回動ブロック17はX方向で上記静止ブロック16を介し静止部材側6に対し位置決めされる。つまり。上記回動ブロック17を固着した係合アーム7がX方向で静止部材側6に対し位置決めされる。
【0033】
次に、上記係合アーム7が上記所定位置にまで往回動Aしたとき、この係合アーム7と共に往回動Aする上記回動ブロック17の他部外面である上部側の前、後面と、この回動ブロック17の更に他部外面である左側部の下面と、この回動ブロック17の更に他部外面である下端部の下面との4つの面は、上記静止ブロック16の第1、第2Y面28,29と、第1、第2Z面30,31との4つの面にそれぞれ同時に面接触するよう当接することとされている(図1図5中実線)。なお、上記したように係合アーム7と共に回動ブロック17が往回動Aするとき、この回動ブロック17の一部は上記後突起24の上方を通過して、この後突起24に接触することは回避される。
【0034】
そして、上記した回動ブロック17の他部外面である上記4つの面が上記静止ブロック16の上記4つの面に当接することにより、上記回動ブロック17はY,Z方向で上記静止ブロック16を介し静止部材側6に対し位置決めされる。つまり、上記回動ブロック17を固着した係合アーム7がY,Z方向で静止部材側6に対し位置決めされる。
【0035】
即ち、上記構成によれば、係合アーム7が上記所定位置まで往回動Aしたとき、上記係合アーム7と共に往回動Aした回動ブロック17が上記静止部材側6に固着された静止ブロック16に係合して、互いに直交するよう上記静止ブロック16に形成されたX,Y,Z面26〜31にそれぞれ上記回動ブロック17の外面が当接する。
【0036】
このため、上記静止部材側6に対する係合アーム7の枢支部に多少のがたつきがあるとしても、上記所定位置にまで往回動Aしてワーク1と係合する係合アーム7は、上記所定位置で互いに直交するX,Y,Z方向において、上記静止部材側6に対しそれぞれ精度よく位置決めされる。よって、上記係合アーム7は上記ワーク1に対し寸法精度よく係合することから、この係合により、静止部材側6に対しワーク1を精度よく位置決めできたり、このワーク1を精度よくクランプできたりして、このワーク1に対するその後の作業性を向上させることができる。
【0037】
そして、上記した静止部材側6に対する係合アーム7の精度のよい位置決めは、精度の高い軸部材やアクチュエータなどの別途部材を不要とし、上記キャッチャー15の静止ブロック16と回動ブロック17との係合構造の工夫によって達成されることから、上記係合アーム7と係合したワーク1に対するその後の作業性の向上は、簡単な構成で安価に達成できる。
【0038】
なお、以上は図示の例によるが、上記ワーク1に対する係合アーム7の係合は、上記ワーク1の位置決めのためだけでなく、このワーク1を静止部材側6の搬送台2などと協力してクランプする場合など種々の作業にも適用できる。また、互いに直交するX,Y,Z方向のそれぞれは、傾斜方向などのいずれの方向に向かって延びていてもよい。
【0039】
また、上記キャッチャー15の静止ブロック16は上記静止部材側6に一体的に形成してもよく、回動ブロック17は係合アーム7に一体的に形成してもよい。また、上記静止ブロック16や回動ブロック17は、その各部分をそれぞれ別体に形成して、これら各部分を締結具などにより組み立てたものであってもよい。また、上記静止ブロック16の第1、第2Z面30,31は、いずれか一方のみが上記回動ブロック17の他部外面と当接するようにしてもよい。
【0040】
また、図1における上記静止ブロック16と回動ブロック17とを上下で逆となるよう反転させて、図示の静止ブロック16を係合アーム7に固着して回動ブロックとし、図示の回動ブロック17を静止部材側6に固着して静止ブロックとしてもよく、このようにしても、前記と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0041】
1 ワーク
2 搬送台
3 ワーク係合装置
5 枢支軸心
6 静止部材側
7 係合アーム
8 アクチュエータ
15 キャッチャー
16 静止ブロック
17 回動ブロック
19 仮想線
26 第1X面
27 第2X面
28 第1Y面
29 第2Y面
30 第1Z面
31 第2Z面
36 面取り部
A 往回動
B 復回動
S スポット溶接
図1
図2
図3
図4
図5
図6