(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795883
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ロータ支持システム
(51)【国際特許分類】
F24F 3/14 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
F24F3/14
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-125326(P2011-125326)
(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公開番号】特開2012-93074(P2012-93074A)
(43)【公開日】2012年5月17日
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】12/926,101
(32)【優先日】2010年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511136108
【氏名又は名称】ムンタース コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Munters Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100165939
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 孝博
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジョン カリノウスキー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア ノエル ゴセリン
【審査官】
仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−000741(JP,A)
【文献】
特開2002−028437(JP,A)
【文献】
西独国特許出願公告第01204466(DE,B)
【文献】
米国特許第07050707(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ支持システムであり、
片側における第1軸線方向端面、反対側における第2軸線方向端面、および外周における外周面を有するロータと、
前記ロータの中心を通るシャフトであって、前記第1軸線方向端面から突出する第1端部および前記第2軸線方向端面から突出する第2端部を有するシャフトと、
前記ロータの軸線方向両側に位置し、設置位置において前記ロータの半径中心から半径方向外方に延在する第1支持レールおよび第2支持レールであって、それぞれ前記ロータを前記設置位置に固定するように構成した、前記第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方に取り付ける少なくとも1個のキーパー機構を設けた、該第1および第2の支持レールと
を備え、
前記少なくとも1個のキーパー機構は、前記第1および第2の支持レールに沿った前記ロータの並進運動を可能にするよう取り外し可能に構成したことを特徴とするロータ支持システム。
【請求項2】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、前記第1端部および前記第2端部のうち少なくとも一方は、前記シャフトの全周にわたる係合溝を有し、前記係合溝は前記シャフトの各端部から軸線方向に引っ込んだ位置に配置したことを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項3】
請求項2に記載のロータ支持システムであり、前記シャフトの前記第1および第2の端部のうち少なくとも一方における前記少なくとも1つの係合溝は、それぞれ第1の支持レールおよび第2の支持レールと係合することを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項4】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、前記第1および第2の支持レールは、前記シャフトを前記設置位置に着座できるよう構成したシャフト着座部を有することを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項5】
請求項4に記載のロータ支持システムであり、さらに、前記シャフトを前記シャフト着座部から離座させるよう構成したリフト装置を備えたことを特徴とするロータ支持システム。
【請求項6】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、さらに、前記シャフトの前記第1端部および前記第2端部のうち少なくとも一方を保持するように構成し、かつ前記第1支持レールおよび前記第2支持レールのうち少なくとも一方とそれぞれ係合する、少なくとも1つのキャリッジを備えたことを特徴とするロータ支持システム。
【請求項7】
請求項6に記載のロータ支持システムであり、前記キャリッジは、前記シャフトの前記第1端部および前記第2端部のうち少なくとも一方を前記第1支持レールおよび前記第2支持レールのうち前記少なくとも一方よりも下方に支持するように構成したことを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項8】
請求項6に記載のロータ支持システムであり、前記キャリッジは、前記シャフトの前記第1端部および前記第2端部のうち少なくとも一方を前記第1支持レールおよび前記第2支持レールのうち前記少なくとも一方と同じ高さに支持するように構成したことを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項9】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、さらに、前記ロータの前記外周面と少なくとも部分的に係合するように配置して、前記第1および第2の支持レールに沿った前記ロータの前記並進運動を容易にするベルトを備えることを特徴とするロータ支持システム。
【請求項10】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、さらに、前記ロータを前記第1および第2の支持レールに沿って押し引きするよう構成した、モータ駆動による取り外し可能な機構を備えることを特徴とするロータ支持システム。
【請求項11】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、前記第1および第2の支持レールは水平であることを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項12】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、前記第1および第2の支持レールは水平から逸脱していることを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項13】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、前記システムに対するアクセスは前記ロータの前記外周面に対面する位置で行い、前記ロータの前記第1および第2の軸線方向端面に沿ったアクセスは制限されるものとしたことを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項14】
請求項1に記載のロータ支持システムであり、前記第1および第2の支持レールのうち前記少なくとも一方は、前記第1および第2の支持レールに沿った前記ロータの並進運動を防止するように構成した少なくとも1つのスロットを有することを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項15】
請求項14に記載のロータ支持システムであり、前記少なくとも1つのスロット内に取り外し可能ガイドを配置し、前記取り外し可能ガイドは前記第1および第2の支持レールに沿った前記ロータの並進運動を可能にすることを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項16】
請求項15に記載のロータ支持システムであり、前記キーパー機構を前記取り外し可能ガイドとして使用するように構成したことを特徴とする、ロータ支持システム。
【請求項17】
ロータの支持および取り外し方法であり、
ロータの中心にシャフトを挿通するシャフト挿通ステップであって、前記ロータは、片側における第1軸線方向端面、反対側に第2軸線方向端面、および外周における外周面を有するものとし、前記シャフトは、前記第1軸線方向端面から突出する第1端部および前記第2軸線方向端面から突出する第2端部を有するものとした、該シャフト挿通ステップと、
前記シャフトおよび前記ロータを第1支持レールおよび第2支持レールによって支持するレール支持ステップであって、前記第1支持レールおよび前記第2支持レールは前記ロータの軸線方向両側にそれぞれ位置し、設置位置において前記ロータの半径中心から半径方向外方に延在するものとした、該レール支持ステップと、
前記ロータを前記設置位置に固定する少なくとも1つのキーパー機構を前記第1および第2の支持レールのそれぞれに配置するステップと、
前記少なくとも1つのキーパー機構を取り外して前記第1および第2の支持レールに沿った前記ロータの並進運動を可能にするステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であり、さらに、
前記第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方を、前記第1端部および前記第2端部のうちの少なくとも一方における係合溝と係合させるステップを有し、前記係合溝は、前記シャフトの全周にわたり設け、前記シャフト各端部から軸線方向に引っ込んだ位置に設ける構成とした、ことを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であり、前記ロータを前記第1および第2の支持レールに沿ってベルトによって移動させることを特徴とする、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であり、さらに、
前記シャフトを前記第1および第2の支持レール上のシャフト着座部に載置して前記シャフトを前記設置位置に着座できるようにするステップと、
前記シャフトをリフト装置によって持ち上げて前記シャフトを前記シャフト着座部から離座させるステップとを有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の発明は、空気調和システムに設置するデシカント(除湿)ロータを支持するための改良型ロータ支持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの空気調和システムは様々な寸法のデシカントロータを含む。これら空気調和システムでは、しばしばデシカントロータを保守または取替えのためにハウジングから定期的に取り外すことが必要となる。従来は大型のデシカントロータに対する媒介手段を
図7に全体的に示したように設置する。
図7は、従来の取り付けによるデシカントロータシステム70の外部ハウジングを取り外した状況を示す。デシカントロータを収容する本体72を、2本のシャフトに支持し、このときローラホイール74、76をデシカントロータハウジング72の下方に配置し、デシカントロータハウジング72を支持および回転させるようにする。モータ(図示せず)とデシカントロータ(図示せず)に巻き掛けるベルトとによってデシカントロータを回転させる。従来の方法に従って設置したデシカントロータハウジング72を取り外すには、デシカントロータハウジング72をストラップで持ち上げ、ローラホイール74、76を有するシャフトのうちの一方を取り外し、デシカントロータハウジング72を傾斜台(図示せず)上に降ろす。これらステップにより、デシカントロータハウジング72を転がして空気調和システム70から取り外すことができる。
【0003】
上記の大型のデシカントロータに対して媒介手段を設置する従来方法の代案は、ロータを「センターハング(center-hung)」するような方法を使用することである。センターハング式ロータは軸受ロータの中心における軸受に挿通するシャフトを含む。このシャフトは、ロータの第1および第2の軸線方向端面に直交する方向に延在する。
【0004】
シャフトを設置したとき、シャフトは一般に支持用の板金構体貫通して、シャフトおよびロータをそれぞれの設置位置に保持する。シャフトは所定位置に保持することができる。シャフトは、例えばシャフトの両端における肩付きボルトで保持することができる。このようなデシカントロータを回転させるための駆動システムはベルトを有することができる。このベルトはデシカントロータに巻き掛けて、モータによって駆動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センターハング式設置の難点は、このようなセンターハング式デシカントロータを一旦設置すると取り外しが困難になることである。センターハング式デシカントロータの取り外しでは、一般にシャフトの両端に対するアクセスが必要となる。しかしながら、このような形式のアクセスを必要とする空気調和システムは、特に空気調和システムの寸法および/または空気調和システムの収容面積の増大を招く。
【課題を解決するための手段】
【0006】
センターハング式デシカントロータの設置および取り外しをシャフトの両端にアクセスする必要なく達成することができるシステムおよび方法を提供することが有利であるだろう。
【0007】
デシカントロータの中心に軸受を介して挿通するセンターシャフトを使用したセンターハング式デシカントロータ支持システムを提供することが有利であるだろう。デシカントロータは第1軸線方向端面および第2軸線方向端面を有する。デシカントロータはセンターシャフトによって支持する。このセンターシャフトは、デシカントロータの第1軸線方向端面および第2軸線方向端面の双方から突出する。上記支持システムは、センターシャフトが第1支持レールおよび第2支持レールと接触する、または支持される、ように構成することができる。上記支持システムの第1および第2の支持レールは、ロータの軸線方向両側に配置することができ、かつデシカントロータが設置位置にあるときにロータの半径中心から半径方向外方に延在する構成とすることができる。上記デシカントロータ支持システムは、少なくとも1つのキーパー機構を含むことができる。キーパー機構を第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方に取り付けてデシカントロータを設置位置に固定することができる。キーパー機構は取り外し可能とすることができ、これによりデシカントロータを第1および第2の支持レールに沿って設置位置から取り外し位置および/または保守位置に並進運動させることができる。
【0008】
諸種の例示的な実施形態において、ロータ支持システムは少なくとも一方の端部に溝を配置したシャフトを有することができる。溝はシャフトの全周にわたり設ける。溝は第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方と係合するように構成することができ、これによりデシカントロータおよびシャフトを第1および第2の支持レールに沿って転動させることができる。溝は、シャフトの端部から軸線方向に引っ込んだ位置に設けることができる。代案として、シャフトはコネクタを有することもでき、このコネクタに第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方と係合する係合体を取り付けることができる。係合体は隆起部または窪みを有することができ、この隆起部または窪みにより、シャフトを第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方の支持レール上に保持することができる。
【0009】
諸種の例示的な実施形態において、第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方はシャフト着座部を有することができ、このシャフト着座部においてシャフトを設置位置に着座することができる。本開示の発明によるシステムはリフト装置も含むことができる。リフト装置はシャフトをシャフト着座部から離座させるように構成することができる。リフト装置はレバーまたは他の機械的リフト手段とすることができる。
【0010】
諸種の例示的な実施形態では、シャフトを
キャリッジに組み込むことができる。
キャリッジは第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方に乗り上げるよう構成することができる。
キャリッジは、シャフトを第1および第2の支持レールのうち少なくとも一方よりも上方、下方またはそれらの支持レールと同じ高さに保持するよう構成することができる。
【0011】
諸種の例示的な実施形態において、ロータ支持システムはモータ駆動ベルトを使用することができる。モータ駆動ベルトはデシカントロータの外周面と少なくとも部分的に係合するように配置することができる。このベルトを使用して第1および第2の支持レールに沿ったデシカントロータの並進運動を容易にすることができる。本開示の発明によるロータ支持システムは、代替的にまたは付加的にモータ駆動の取り外し機構を有することもでき、これにより第1および第2の支持レールに沿ったロータの並進運動を容易にすることができる。
【0012】
諸種の例示的な実施形態では、第1および第2の支持レールを水平、または水平から逸脱した状態にすることによりデシカントロータの並進運動を容易にすることができる。支持レールを調整可能としてデシカントロータの設置および取り外しを容易にすることもできる。
【0013】
諸種の例示的な実施形態において、第1および第2の支持レールには、係合可能な少なくとも1つの安全手段、例えば取り外し可能ピン、またはガイドのない第1および第2の支持レールに沿ったロータの並進運動を防止するスロットを組み込むことができる。スロットの場合は、第1および第2の支持レールに沿ったシャフトの並進運動を可能にする取り外し可能ガイドを設置することができる。このガイドは、ロータ支持システムとは別個のユニットとする、またはロータ支持システムに一体コンポーネントとして組み込むことができる。例えば、このガイドをキーパー機構とすることができる。その場合は、シャフトを設置位置に保持している位置からキーパー機構を取り外し、その後このキーパー機構をガイドとして使用して第1および第2の支持レールに沿ったデシカントロータの並進運動を可能にすることができる。
【0014】
本明細書に開示するシステムおよび方法に関する上記および他の特徴および利点は諸種の例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読めば明らかとなるであろう。
【0015】
以下添付図面につき、本明細書に開示するロータ支持システムの諸種の例示的な実施形態について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の発明によるロータ支持システムの第1実施形態の正面図である。
【
図2】本開示の発明によるロータ支持システムの第1実施形態の側面図である。
【
図3】A〜Eはそれぞれ、本開示の発明によるロータ支持システムの一実施形態の例示的なシャフト構成を示す図である。
【
図4】本開示の発明によるリフト機構を有するロータ支持システムの第2実施形態の正面図である。
【
図5】本開示の発明による支持レールに沿ったロータの移動を容易にするキャリッジを有するロータ支持システムの側面図である。
【
図6】ロータを本開示の発明によるロータ支持システム内に設置するまたは該ロータ支持システムから取り外すプロセスのフローチャートである。
【
図7】デシカントロータの従来の設置状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記の実施形態はロータ支持システムおよび方法の例を示す。これらのロータ支持システムおよび方法は、デシカントロータの設置、および空気調和システムのデシカントロータの外周面に対面する側からのデシカントロータの取り外しを可能にし、支持シャフトの両端にアクセスする必要なく、デシカントロータを設置した空気調和システムからデシカントロータを容易に取り外すことができるようにするものである。
【0018】
図1は、デシカントロータ12を支持するロータ支持システム10を示す。
図1は、ロータ支持システムの周囲のキャビネットを取り外した状況を示す。なお、デシカントロータ支持システム10は、空気調和システムの支持体に取り付けるものであり、この空気調和システムは典型的には
図1に示さない全体的なエンクロージャの内側にある。本明細書に開示する実施形態の一目的は、上記で簡単に述べたように、空気調和システム、および特にロータ支持システム10を収容し得るエンクロージャの全体的な寸法を最小限に抑えることである。
図1に示したロータ支持システム10ではデシカントロータ12をセンターハング式ロータとする。デシカントロータ12はセンターシャフト14によって支持する。センターシャフト14は軸受16に挿通する。軸受16はデシカントロータ12のほぼ中心軸線上に配置する。デシカントロータ12を支持するセンターシャフト14はデシカントロータ12の第1および第2の軸線方向端面から外方に突出する。センターシャフト14は、その第1端部をデシカントロータ12の片側にある第1支持レール18によって支持し、その第2端部をデシカントロータ12の反対側にある第2支持レール20によって支持する。第1および第2の支持レール18,20は、ほぼ水平な姿勢で設置し、水平状態から僅かに逸脱して設置し、また一方または双方の端部で垂直方向に定位置固定または調整可能とすることができる。センターシャフト14は設置位置でシャフト着座部22に載置することができる。センターシャフト14は、この設置位置に、キーパー機構24によって保持することができる。キーパー機構24は取り外し可能とし、デシカントロータ12を設置位置から移動すべきとき、デシカントロータ12を第1および第2の支持レール18,20に沿ってデシカントロータ12の半径方向に並進移動できるようにする。デシカントロータ12の並進移動はベルト25によって容易になり、ベルト25はデシカントロータ12と係合する駆動ベルト、またはデシカントロータ12を第1および第2の支持レール18,20に沿って移動させるのに使用する別のベルトとすることができる。
【0019】
デシカントロータ12を
図1に示す方向Aに移動させることより、ロータ支持システム10を空気調和システムに組み込む側からデシカントロータ12を取り外すことが容易となる。この場合、センターシャフト14の軸線方向端部側からセンターシャフト14に対するアクセスは不要となる。第1および第2の支持レール18,20には、さらに、安全機構27を設け、デシカントロータ12が支持システム10から外れるのを防止する。安全機構27は第1および第2の支持レール18,20のうち少なくとも一方に設けたスロットとすることができる。このスロットは、単に取り外し可能ガイド26を利用してシステム10に対するロータの設置または取り外しを行うことができるようにするためのものである。安全機構27はピンであって、設置位置にあるときにデシカントロータ12の移動を防止するピンとすることができる。
【0020】
図2は、デシカントロータ12の外周面に対面する側のロータ支持システム10の側面図である。デシカントロータ12は、デシカントロータ12の半径方向に支持レール18,20に沿って設置および取り外しを行うことができる。空気調和システム/デシカントロータのエンクロージャにおけるアクセスパネル(図示せず)を取り外し、またデシカントロータが、例えばベルト25(
図1参照)に係合した状態で、空気調和システムからのデシカントロータ12の取り外しは、デシカントロータ12を支持レール18,20に沿って引っ張ることにより容易に行うことができる。
【0021】
図3A〜
図3Eはセンターシャフト14の端部の例示的な構成を示す。センターシャフト14は、センターシャフト14の少なくとも一方の端部に外周溝28を有することができる。外周溝28は第1および第2の支持レール18,20のうち少なくとも一方に係合し、これによりセンターシャフト14は第1および第2の支持レール18,20に沿って転動できる。代案として、センターシャフト14には、溝33を有して、シャフトに取り付ける係合体31、またはセンターシャフト14の少なくとも一方の端部と一体の、もしくは該少なくとも一方の端部に取り付けた少なくとも1つの隆起部35を設けることができ、該隆起部が第1および第2の支持レール18,20のうち少なくとも一方に係合できるようにする。センターシャフト14の一方または両方の端部における外周溝28、係合体31または隆起部29が一方または両方の支持レール18、20に係合することにより、デシカントロータ12が設置位置にあるときまたは支持レール18、20に沿って半径方向に並進運動するとき、デシカントロータ12が支持レール18,20の一方または両方からセンターシャフト14の軸線方向に変位するのを防止する。
【0022】
図4は、リフト機構30の例示的な一実施形態を示す。リフト機構30を使用することにより、シャフト着座部22内の設置位置に載置したセンターシャフト14をシャフト着座部22から持ち上げることができる。リフト機構30は、手動レバータイプまたは別の機械的駆動手段とすることができ、これを利用することにより、センターシャフト14が設置状態で着座するシャフト着座部22から離座させることができる。
【0023】
図5は、キャリッジ34を示し、このキャリッジ34にセンターシャフト14を設置することができる。キャリッジ34は、第1および第2の支持レール18,20のうち少なくとも一方に乗り上げることができる。キャリッジ34は、センターシャフト14を第1および第2の支持レール18,20の上方、下方またはそれらの支持レールと同じ高さに保持することができる。キャリッジ34は第1および第2の支持レール18,20に沿って手動で移動させる、またはモータによって駆動することができる。キャリッジ34自体は設置位置にロックする、またはキャリッジ34がセンターシャフト14を設置位置に降下させせることができる。センターシャフト14を設置位置に降下させる場合は、リフト機構30を使用して該シャフトをキャリッジ34に装填し、ロータ支持システム10から取り外すことができるようにする。
【0024】
図6は、デシカントロータ12を設置し、またロータ支持システム10から取り外す方法の例示的な一実施形態のフローチャートである。
図6に示すように、本方法の動作はステップS100から開始し、またステップS200に進む。
【0025】
ステップS200で、デシカントロータ12をセンターシャフト14上に取り付ける。この取り付けはセンターシャフト14をデシカントロータ12に挿通することによって行う。次にステップS300に進む。
【0026】
ステップS300で、センターシャフト14を第1および第2の支持レール18,20に整列させ、各レールに載置する。このとき、外周溝28または他の係合機構が第1および第2の支持レール18,20に係合する。次にステップS400に進む。
【0027】
ステップS400で、デシカントロータ12をシャフトシート22内の設置位置に移動させる。この移動はデシカントロータ12を支持レール18,20に沿って半径方向に並進させることによって行う。次にステップS500に進む。
【0028】
ステップS500でキーパー機構24を設置する。キーパー機構24は、デシカントロータ12を設置位置に維持し、またデシカントロータ12の動作中に第1および第2の支持レール18,20に沿って並進運動するのを防止する。適切な時点でステップS600に進むことができる。
【0029】
ステップS600で、キーパー機構24を取り外してデシカントロータ12を第1および第2の支持レール18,20に沿ってデシカントロータ12の半径方向外方に並進運動させて設置位置から移動することができる。次にステップS700に進む。
【0030】
ステップS700で、リフト機構30を使用してセンターシャフト14をシャフト着座部22から離座させることができる。次にステップS800に進む。
【0031】
ステップS800で、デシカントロータ12を支持レール18,20に沿ってベルト25または他の機構によって移動させ、これによりデシカントロータ12を支持システム10から取り外すことができる。次にステップS900に進む。
【0032】
ステップS900で、デシカントロータ12を保守または取替えのためにロータ支持システム10から取り外す。次にステップS1000に進んで本方法の動作を終了し、または再設置を行う場合はステップS100に戻る。
【0033】
望ましくは、上述および他の様々な特徴および機能またはそれらの代案を組み合わせて様々なシステムまたは応用例を得ることができることが理解されるであろう。また、現時点で予測または予期されない様々な代案、修正例、変形例またはそれらの改良が将来当業者によって見出される可能性がある。これらもまた添付した特許請求の範囲に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0034】
10 ロータ支持システム
12 デシカントロータ
14 センターシャフト
16 軸受
18、20 支持レール
22 シャフトシート
24 キーパー機構
25 ベルト
26 取り外し可能ガイド
27 安全機構
28 外周溝
29、35 隆起部
30 リフト機構
31 係合部
33 溝
34 キャリッジ