特許第5795907号(P5795907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5795907基板コネクタ用の圧入端子およびその圧入端子のコネクタハウジングに対する固定構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795907
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】基板コネクタ用の圧入端子およびその圧入端子のコネクタハウジングに対する固定構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/55 20110101AFI20150928BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20150928BHJP
【FI】
   H01R12/55
   H01R12/71
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-186285(P2011-186285)
(22)【出願日】2011年8月29日
(65)【公開番号】特開2013-48060(P2013-48060A)
(43)【公開日】2013年3月7日
【審査請求日】2014年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悦郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 康晴
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−121142(JP,A)
【文献】 特開2007−299610(JP,A)
【文献】 特開2002−291135(JP,A)
【文献】 特開昭58−25091(JP,A)
【文献】 特開2006−100231(JP,A)
【文献】 特開2011−103251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/55
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に相手方コネクタ端子と電気接続される電気接続部を有し、後部に回路基板のスルーホールに挿入されて半田付けされる後足部を有し、前記電気接続部と前記後足部との中間に、コネクタハウジングの壁部を貫通する圧入孔に圧入されることで該コネクタハウジングの壁部に係止される係止部を有しており、前記コネクタハウジングの圧入孔に該圧入孔の前側から後側に向かって前記後足部を挿入することで、該コネクタハウジングに前記係止部によって固定される基板コネクタ用の圧入端子であって、
前記電気接続部から前記係止部までの範囲が断面角形の角ピン形状に形成され、前記後足部が前記コネクタハウジングの圧入孔の最小対向内壁面間寸法よりも径小の断面円形の丸ピン形状に形成されている基板コネクタ用の圧入端子において、
前記係止部として、前記圧入孔への端子の圧入時に、前記圧入孔の前側の係止壁に突き当たることで端子の挿入位置を規制するストッパ突起と、前記圧入孔を潜り抜けた後に該圧入孔の後側の係止壁に係止することで端子を抜け止めする係止突起とが設けられていることを特徴とする基板コネクタの圧入端子。
【請求項2】
前部に相手方コネクタ端子と電気接続される電気接続部を有し、後部に回路基板のスルーホールに挿入されて半田付けされる後足部を有し、前記電気接続部と前記後足部との中間に、コネクタハウジングの壁部を貫通する圧入孔に圧入されることで該コネクタハウジングの壁部に係止される係止部を有する圧入端子を、前記コネクタハウジングの圧入孔に該圧入孔の前側から後側に向かって前記後足部を挿入することで、前記コネクタハウジングに固定したコネクタハウジングに対する圧入端子の固定構造であって、
前記圧入端子の電気接続部から係止部までの範囲が断面角形の角ピン形状に形成され、前記後足部が前記コネクタハウジングの圧入孔の最小対向内壁面間寸法よりも径小の断面円形の丸ピン形状に形成されると共に、
前記係止部として、前記圧入孔への端子の圧入時に、前記圧入孔の前側の係止壁に突き当たることで端子の挿入位置を規制するストッパ突起と、前記圧入孔を潜り抜けた後に該圧入孔の後側の係止壁に係止することで端子を抜け止めする係止突起とが設けられており、
前記コネクタハウジングの圧入孔に該圧入孔の前側から後側に向かって前記後足部を挿入することで、前記ストッパ突起および係止突起によって前記圧入端子を前記コネクタハウジングに定位置で係止したことを特徴とするコネクタハウジングに対する圧入端子の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板コネクタ用の圧入端子およびその圧入端子のコネクタハウジングに対する固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コネクタハウジングの壁部に形成された圧入孔に端子を圧入して固定した基板コネクタが特許文献1などにおいて知られている。この種のコネクタでは、樹脂製のコネクタハウジングの後壁に前後方向に貫通した圧入孔が形成されており、その圧入孔にピン状のオス端子を圧入することで、相手方コネクタ端子に電気接続する前端の電気接触部をコネクタハウジングの嵌合フード部内に位置させると共に、回路基板に半田付けする後端の後足部をコネクタハウジングの後側に突出させた状態で、圧入端子がコネクタハウジングに固定されている。
【0003】
この種の基板コネクタに使用される圧入端子は、金属板をプレス成形して製造する関係から、前端の電気接続部から後端の後足部までの全体が断面角形の角ピン形状に形成されているのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−100231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、各端子の後足部を回路基板に半田付けする際に、後足部をスルーホールに挿入して半田付けする場合がある。このようにスルーホールに後足部を挿入して半田付けする場合、後足部の断面が角形であると、断面の対角線の長さが最大寸法であるから、その対角線の長さに合わせてスルーホールの径を決めなくてはならない。しかし、そうするとスルーホールの径が大きくなりがちであり、その結果、スルーホールのピッチが大きくなり、回路の集積化や基板の小型化の障害となることが分かった。
【0006】
また、コネクタハウジングの圧入孔に端子を圧入する際に後足部から圧入孔に挿入する場合、後足部が圧入孔の内壁を擦ることによって、端子表面のメッキが剥がれたりして、後足部を半田付けする際に半田付け不良を発生するおそれがあることが分かった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧入時の後足部のメッキ剥がれを未然に防ぐことができると共に、後足部を半田付けするスルーホールの径を小さくすることができて、回路の集積化や基板の小型化に貢献できる、基板コネクタ用の圧入端子、および、その圧入端子のコネクタハウジングに対する固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 前部に相手方コネクタ端子と電気接続される電気接続部を有し、後部に回路基板のスルーホールに挿入されて半田付けされる後足部を有し、前記電気接続部と前記後足部との中間に、コネクタハウジングの壁部を貫通する圧入孔に圧入されることで該コネクタハウジングの壁部に係止される係止部を有しており、前記コネクタハウジングの圧入孔に該圧入孔の前側から後側に向かって前記後足部を挿入することで、該コネクタハウジングに前記係止部によって固定される基板コネクタ用の圧入端子であって、
前記電気接続部から前記係止部までの範囲が断面角形の角ピン形状に形成され、前記後足部が前記コネクタハウジングの圧入孔の最小対向内壁面間寸法よりも径小の断面円形の丸ピン形状に形成されている基板コネクタ用の圧入端子において、
前記係止部として、前記圧入孔への端子の圧入時に、前記圧入孔の前側の係止壁に突き当たることで端子の挿入位置を規制するストッパ突起と、前記圧入孔を潜り抜けた後に該圧入孔の後側の係止壁に係止することで端子を抜け止めする係止突起とが設けられていることを特徴とする基板コネクタの圧入端子。
【0010】
(2) 前部に相手方コネクタ端子と電気接続される電気接続部を有し、後部に回路基板のスルーホールに挿入されて半田付けされる後足部を有し、前記電気接続部と前記後足部との中間に、コネクタハウジングの壁部を貫通する圧入孔に圧入されることで該コネクタハウジングの壁部に係止される係止部を有する圧入端子を、前記コネクタハウジングの圧入孔に該圧入孔の前側から後側に向かって前記後足部を挿入することで、前記コネクタハウジングに固定したコネクタハウジングに対する圧入端子の固定構造であって、
前記圧入端子の電気接続部から係止部までの範囲が断面角形の角ピン形状に形成され、前記後足部が前記コネクタハウジングの圧入孔の最小対向内壁面間寸法よりも径小の断面円形の丸ピン形状に形成されると共に、
前記係止部として、前記圧入孔への端子の圧入時に、前記圧入孔の前側の係止壁に突き当たることで端子の挿入位置を規制するストッパ突起と、前記圧入孔を潜り抜けた後に該圧入孔の後側の係止壁に係止することで端子を抜け止めする係止突起とが設けられており、
前記コネクタハウジングの圧入孔に該圧入孔の前側から後側に向かって前記後足部を挿入することで、前記ストッパ突起および係止突起によって前記圧入端子を前記コネクタハウジングに定位置で係止したことを特徴とするコネクタハウジングに対する圧入端子の固定構造。
【0011】
上記(1)の構成の圧入端子によれば、回路基板に半田付けする後足部がコネクタハウジングの圧入孔の最小対向内壁面間寸法よりも径小の断面円形の丸ピン形状に形成されているので、その後足部から端子を圧入孔に圧入する際に、後足部をコネクタハウジングの圧入孔の内壁に接触させずに挿通させることができる。従って、丸ピン形状の後足部の表面のメッキが圧入孔の内壁に擦れて剥がれたりするのを防止することができ、メッキ剥がれによって下地が露出し、その結果、後足部の半田付け不良が発生するのを回避することができる。また、回路基板のスルーホールに挿入する後足部を、断面角形の角ピン形状ではなく、断面円形の丸ピン形状にしたので、同じ断面積の角ピン形状の後足部を挿入するスルーホールと比べた場合、スルーホールの径を小さくすることができる。つまり、角ピンの場合は、角形断面の対角線の長さが最大寸法となるため、それに合わせてスルーホールの径を設定しなくてはならないが、丸ピンの場合は、同じ断面積でも最大寸法(直径)を前記対角線の長さよりも小さくすることができるので、丸ピンを通すスルーホールの径を角ピンを通すスルーホールの径よりも小さくすることができる。その結果、スルーホールのピッチを小さくすることができて、基板の回路集積化や基板の小型化に貢献することができる。
【0012】
また、上記(1)の構成の圧入端子によれば、コネクタハウジングの圧入孔に後足部から挿入することにより、ストッパ突起によって挿入位置を規制すると共に係止突起によって抜け止めした状態で、圧入端子を定位置にてコネクタハウジングに固定することができる。
【0013】
上記(2)の構成の圧入端子の固定構造によれば、回路基板に半田付けする後足部を、コネクタハウジングの圧入孔の最小対向内壁面間寸法よりも径小の断面円形の丸ピン形状に形成しているので、その後足部から端子を圧入孔に圧入する際に、後足部をコネクタハウジングの圧入孔の内壁に接触させずに挿通させることができる。従って、丸ピン形状の後足部の表面のメッキが圧入孔の内壁に擦れて剥がれたりするのを防止することができ、メッキ剥がれによって下地が露出し、その結果、後足部の半田付け不良が発生するのを回避することができる。
【0014】
また、回路基板のスルーホールに挿入する後足部を、断面角形の角ピン形状ではなく、断面円形の丸ピン形状にしたので、同じ断面積の角ピン形状の後足部を挿入するスルーホールと比べた場合、スルーホールの径を小さくすることができる。つまり、角ピンの場合は、角形断面の対角線の長さが最大寸法となるため、それに合わせてスルーホールの径を設定しなくてはならないが、丸ピンの場合は、同じ断面積でも最大寸法(直径)を前記対角線の長さよりも小さくすることができるので、丸ピンを通すスルーホールの径を角ピンを通すスルーホールの径よりも小さくすることができる。その結果、スルーホールのピッチを小さくすることができて、基板の回路集積化や基板の小型化に貢献することができる。
【0015】
また、圧入端子の係止部として、圧入孔の前側の係止壁と後側の係止壁とにそれぞれ係止するストッパ突起と係止突起とを設けているので、コネクタハウジングの圧入孔に後足部から端子を挿入することにより、ストッパ突起によって圧入端子の挿入位置を規制し且つ係止突起によって抜け止めした状態で、圧入端子を定位置にてコネクタハウジングに固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタハウジングへの圧入時の後足部のメッキ剥がれを未然に防ぐことができると共に、後足部を半田付けするスルーホールの径を小さくすることができて、回路の集積化や基板の小型化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の説明図で、図1(a)は圧入端子をコネクタハウジングの壁部(壁部の一部のみ図示)に形成された圧入孔に圧入する前の状態を示す斜視図、図1(b)は圧入端子の後足部と圧入孔の寸法関係を示す圧入孔の正面から見た図である。
図2】同実施形態の圧入端子の後足部をコネクタハウジングの圧入孔に挿入し始めたときの状態を示す斜視図である。
図3】同実施形態の圧入端子をコネクタハウジングの圧入孔に圧入して固定した状態を示す斜視図である。
図4】圧入端子の後足部を回路基板のスルーホールに挿入したときの後足部の断面形状とスルーホールの径の関係を示す図で、図4(a)は後足部を断面円形の丸ピン形状にした本発明の実施形態の場合、図4(b)は後足部を断面角形の角ピン形状にした比較例の場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は圧入端子をコネクタハウジングの壁部(壁部の一部のみ図示)に形成された圧入孔に圧入する前の状態を示す斜視図、図1(b)は圧入端子の後足部と圧入孔の寸法関係を示す圧入孔の正面から見た図、図2は圧入端子の後足部をコネクタハウジングの圧入孔に挿入し始めたときの状態を示す斜視図、図3は圧入端子をコネクタハウジングの圧入孔に圧入して固定した状態を示す斜視図である。
【0019】
本実施形態の圧入端子10は、図1(a)に示すように、全体がピン形状をなした金属部材(銅、アルミ、アルミ合金等)で、長手方向の前部に相手方コネクタ端子と電気接続される電気接続部11を有し、後部に回路基板のスルーホールに挿入されて半田付けされる後足部15を有し、電気接続部11と後足部15との中間に、樹脂製のコネクタハウジング1の壁部1Aを貫通する圧入孔20に圧入されることでコネクタハウジングの壁部1Aに係止される係止部14を有している。そして、電気接続部11の接触導通性を良くするためや後足部15の半田付け性を良くするために、錫等で全体が表面メッキされている。
【0020】
この圧入端子10は、図2および図3に示すように、コネクタハウジング1の圧入孔20に圧入孔20の前側から後側に向かって後足部15を挿入することで、コネクタハウジング1に係止部14によって固定される基板コネクタ用の圧入端子であり、電気接続部11から係止部14までの範囲が断面角形の厚さHの角ピン形状に形成され、後足部15がコネクタハウジング1の圧入孔20の最小対向内壁面間寸法H1よりも直径dの小さな断面円形の丸ピン形状に形成されている。ここでは、H1>dである。
【0021】
また、この圧入端子10では、係止部14として、圧入孔20への端子10の圧入時に、圧入孔20の前側の係止壁22aに突き当たることで端子10の挿入位置を規制するストッパ突起12と、圧入孔20を潜り抜けた後に圧入孔20の後側の係止壁23aに係止することで端子10を抜け止めする係止突起13とが設けられている。これらストッパ突起12と係止突起13は、角形断面の係止部14の左右両側面にそれぞれ突設されている。
【0022】
一方のコネクタハウジング1の圧入孔20は、コネクタハウジング1の嵌合フード部(図示略)の後端の壁部1Aに矩形断面の貫通孔として設けられており、前側にストッパ突起12の嵌まる凹部22を有し、後側に圧入端子10の係止部14の断面寸法と同程度の断面寸法に設定された圧入部23を有している。ここで、圧入部23の最小対向内壁面間寸法H1は、圧入端子10の厚み方向に対応した上下内壁面間の寸法である。また、凹部22と圧入部23の間の区間24は、圧入端子10の係止部14を挿入しやすいように、係止部14の断面寸法に対して多少余裕のある寸法に設定された傾斜区間となっている。傾斜区間の傾斜は特に左右両側面に設けられている。そして、凹部22の底壁が、ストッパ突起12の突き当たる前側の係止壁22aとされ、圧入部23の出口の周辺の壁が、係止突起13の係止する後側の係止壁23aとなっている。
【0023】
この圧入端子10をコネクタハウジング1の圧入孔20に組み付けるには、図2に示すように、丸ピン状に形成された後足部15を圧入孔20の前側から圧入孔20の中に挿入する。挿入する際に後足部15の直径dは圧入孔20の最小対向内壁面間寸法H1より小さくなっているので、圧入孔20の内壁に接触させずに後足部15を圧入孔20に挿通させることができる。
【0024】
後足部15が圧入孔20を通過するのに伴い、圧入端子10の係止突起13が圧入孔20の圧入部23に到達する。この左右の係止突起13の左右端間の寸法は圧入部23の左右幅間の寸法よりも大きく設定されているので、係止突起13が圧入部23の内壁を擦りながら圧入されていき、図3に示すように、係止突起13が圧入部23を潜り抜けたところで、係止突起13が、圧入孔20の後側の係止壁23aに係合して圧入端子10が抜け止めされる。それと同時にストッパ突起12が、凹部22の底壁である前側の係止壁22aに突き当たり、圧入端子10の挿入位置が規制される。そして、ストッパ突起12および係止突起13によって圧入端子10がコネクタハウジング1に定位置で係止されることにより、図3に示す圧入端子10の固定構造が出来上がる。
【0025】
以上の組み付けの際に、圧入端子10の後足部15を、コネクタハウジング1の圧入孔20の内壁に接触させずに挿通させることができるので、丸ピン形状の後足部15の表面のメッキが圧入孔20の内壁に擦れて剥がれたりするのを防止することができる。従って、メッキ剥がれによって下地が露出し、その結果、後足部15の回路基板への半田付けの際に半田付け不良が発生するのを回避することができる。
【0026】
また、回路基板30のスルーホール35に挿入する後足部を、図4(b)に示すような断面角形の角ピン形状の後足部15Bではなく、図4(a)に示すような断面円形の丸ピン形状の後足部15に形成したので、同じ断面積の角ピン形状の後足部15Bを挿入するスルーホール35Bと比べた場合、スルーホール35の径Dを小さくすることができる。つまり、角ピンの場合は、図4(b)に示すように角形断面の対角線の長さdBが最大寸法となるため、それに合わせてスルーホール35Bの径DBを設定しなくてはならないが、丸ピン形状の場合は、同じ断面積でも最大寸法(直径d)を前記対角線の長さdBよりも小さくすることができるので、丸ピンを通すスルーホール35の径Dを角ピンを通すスルーホール35Bの径DBよりも小さくすることができる。その結果、スルーホール35のピッチを小さくすることができて、回路基板30の回路集積化や回路基板30の小型化に貢献することができる。
【0027】
なお、丸ピン形状の後足部15は、ストレートな形状のまま回路基板に半田付けする場合もあるが、圧入後に図3中の二点鎖線で示すように90°曲げた形状に成形した上で、その先端部を回路基板のスルーホールに半田付けする場合もある。
【0028】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0029】
1 コネクタハウジング
1A 壁部
10 圧入端子
11 電気接続部
12 ストッパ突起
13 係止突起
14 係止部
15 後足部
20 圧入孔
22a 前側の係止壁
23a 後側の係止壁
30 回路基板
35 スルーホール
d 後足部の直径
H1 圧入孔の最小対向内壁面間寸法
図1
図2
図3
図4