(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のピックアップローラにそれぞれ近接する配置でピックアップ中の生地を下方へ押し出すノックアウト装置が設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の生地のピックアップ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至
図8は、本発明に係るピックアップ装置1の第1実施形態を示している。この
ピックアップ装置1は、
図2に示すように、一対(2個)のピックアップローラ2,2が互いに所定間隔をおいて設けられることで構成されている。これら一対のピックアップローラ2,2は、互いの回転軸心Pが略水平状態で平行するように保持されており、取り出そうとする生地Wの対向二辺部Wa,Wbに対応させるように、それぞれ各辺部Wa,Wbに振り分けて配置されている。生地Wの形状や大きさにより、例えば
図4に示すように、一枚の生地Wに対して複数対(
図4では3対で合計6個)のピックアップローラ2が用いられる。
【0013】
まず、ピックアップ装置1に装備されるピックアップローラ2について説明する。
このピックアップローラ2は、
図2及び
図3に示すように、回転軸心Pまわりに多数の針20が放射状に植設されて成るものであって、その細部構成は、
図1に示すように、針布21と、胴部22と、一対のフランジ部23,24と、針スペーサ25と、を有している。また一対のフランジ部23,24間に針スペーサ25を保持させるためのスペーサ止め軸26を有している。
【0014】
針布21は、胴部22への巻き付けが可能なように可撓性を有する台布27と、この台布27に対して縦横に整然と配置されて植設された多数の針20とを有して成るものである。針20は、ローラ回転方向(
図2参照)において、針先端が生地Wに鋭角に当接するように、突出方向の中途部分が腰折れ状に屈曲されたものとなっている。なお、このような屈曲構造は特に限定されるものではなく、真っ直ぐな針20としてもよい。
【0015】
胴部22は、針布21をその台布27がベースになるようにして巻き付けて保持させる(巻回によって形成された筒形をバックアップする)部分であって、円柱形に形成されている。なお、胴部22は、正六角形や正八角形などの断面多角形とされた角柱形に形成することもできる。この胴部22に針布21を巻き付けることで、針布21の針20を当該胴部22から径方向外方へ向けて放射状に突出させることができる。
【0016】
一対のフランジ部23,24は、胴部22から径方向外方へ張り出して互いに同径の円板状を呈するようになったもので、これら両フランジ部23,24により、胴部22に巻き付けられて筒形とされた針布21の軸方向両端部を挟持するようになっている。一方のフランジ部23には、周方向の複数箇所(
図1、
図2の例では4箇所)に雌ねじ孔30が形成されている。これに対し、他方のフランジ部24には、前記した雌ねじ孔30と軸方向で各一致する配置となるようにして、複数の貫通孔31が形成されている。
【0017】
なお、前記のようにフランジ部23に雌ねじ孔30を設けることで、後述のスペーサ止め軸26(具体的には丸頭付きネジ)を雌ねじ孔30へ螺合してもフランジ部23,24を変形させるおそれがなく、好適である。
針スペーサ25は、胴部22に巻回されて筒形とされた針布21に対して、その軸方向(
図3の左右方向)で隣接する針20間を仕切るためのものである。この仕切状態を可能にするため、針スペーサ25は、半円弧状に形成された一対のスペーサ半体25a,25bを有している。各スペーサ半体25a,25bは、それぞれ、胴部22の半周に相当して、その径方向外方へ張り出すようになったものと言うことができる。
【0018】
すなわち、これら一対のスペーサ半体25a,25bは、胴部22に巻回された筒形の針布21に対してその径方向両側から挟み込むように差し込むことができ、この差し込んだ状態として、両スペーサ半体25a,25bによって円環状の針スペーサ25が形成されるというものである。
筒形の針布21に対して針スペーサ25(一対のスペーサ半体25a,25b)を差し込み状態にすると、針布21の針20が、胴部22まわりで円環状に並ぶ針列として区割りされるようになる。なお、このように針スペーサ25は、円環状に並ぶ針列ごとに針20を区割りするものであるため、針列が複数列ある場合では、針スペーサ25も当然に複数枚を用いるようにする(
図3では針列が4列の円環状配置となっているため針スペーサ25を3枚用いている)。
【0019】
針スペーサ25は、針布21の針20よりも径方向外方へ張り出すような径方向寸法で形成されている。すなわち、針スペーサ25の外周面に対して針20の針先端が引っ込んでいる(埋没している)状態となっている。どの程度の引っ込み寸法とするかは、生地W
の厚さ、腰の強弱、生地質などに応じて適宜変更可能である。
なお、針スペーサ25は、針布21の針20と同じ径方向寸法で形成することも可能である。また、生地Wが分厚い場合などでは、針布21の針20よりも径方向内方に抑えられた寸法(針20の針先端が針スペーサ25より突出するようになる寸法)としてもよい。
【0020】
一対のスペーサ半体25a,25bには、フランジ部23の雌ねじ孔30やフランジ部24の貫通孔31と軸方向で各一致する配置で、複数の串刺し孔25cが形成されている。
スペーサ止め軸26は、一対のフランジ部23,24間へ架設するように設けるものであって、両フランジ部23,24間で、このスペーサ止め軸26によって針スペーサ25(串刺し孔25c)を串刺し状態に貫通して支持させる。本実施形態では、スペーサ止め軸26として丸頭付きネジを採用してあり、一方のフランジ部23に設けられた雌ねじ孔30へ螺合させ、他方のフランジ部24に設けられた貫通孔31内へネジ先端を突入させるようにしてある。
【0021】
このような構成のピックアップローラ2では、針スペーサ25によって針20の突出量が制限された状態となっているので、このピックアップローラ2を生地Wに当接させた際に、針20が生地裏側へ突き抜けるほどに突き刺さるといったことを防止できるようになる。そのため、生地Wの余計な取り出し(2枚取りなど)を防止できるものであり、生地Wに疵等をつけるおそれもない。
【0022】
また、スペーサ止め軸26を外すだけで針スペーサ25と共に針布21を外すことができるので、針20に摩耗や折損などが生じた際には新品の針布21と交換することが簡単に行えるという利点がある。
次に、前記ピックアップローラ2を2個一対で備えて構成されるピックアップ装置1について説明する。
【0023】
図5に示すように、このピックアップ装置1では、スタック位置11の上方と、取出位置50の上方との間を水平移動する移動枠51に対し、その下部に、ローラ支持部52を介してピックアップローラ2が設けられている。本実施形態では、
図4に示すように、3対で合計6個のピックアップローラ2が、各対ごとに、生地Wの平面形状に合わせて対向二辺部Wa,Wbに振り分けられるように配置されている。
【0024】
ローラ支持部52は、対を成す関係にあるピックアップローラ2,2をそれらの回転軸心Pが互いに平行するように保持している。このローラ支持部52には、電動力、電磁力又はエア圧で駆動される昇降具(例えばソレノイドやエアシリンダ等)が用いられており、ピックアップローラ2を移動枠51の下方で昇降させることができる。
また移動枠51には、対を成す関係のピックアップローラ2,2にそれぞれ近接する配置(
図4の例では両ピックアップローラ2,2の中間位置)で、ピックアップ中の生地Wを下方へ押し出すノックアウト装置53が設けられている。このノックアウト装置53は、電動力、電磁力又はエア圧で駆動される昇降具(例えばソレノイドやエアシリンダ等)により、ゴム等の弾性材によって形成された押圧パッド53aを下向きに出退させるように構成したものである。なお、このノックアウト装置53としては、エアノズルを下向きに設けて、ノックアウト時に圧空を生地Wへ吹きつけさせるように構成したものを採用することもできる。
【0025】
全てのピックアップローラ2には、それぞれアクチュエータ55が1対1対応で連結されている。アクチュエータ55にはモータが採用されている。対を成す関係にあるピックアップローラ2,2に連結されたアクチュエータ55,55は、コンピュータ等により構成される制御部56により、両ピックアップローラ2,2を互いのローラ下面が相互離反方向へ回転するように(
図2参照)回転駆動される。またこの際、制御部56は、両アクチュエータ(モータ)55,55に対して同一トルクを発生させるように電圧制御を行うようになっている。制御部56では、この場合に設定する電圧値を任意に変更できるようになっている。
【0026】
なお、アクチュエータ55には、モータに代えてロータリエアシリンダやロータリソレ
ノイドなどを採用することもできる。この場合も、両ピックアップローラ2,2を互いのローラ下面が相互離反方向へ回転するように、アクチュエータ55を回転駆動させることは言うまでもない。また、両アクチュエータ55,55が同一トルクを発生するように、供給エア圧や印加電圧の制御を行える構成(アクチュエータ55をモータとする場合の「制御部56」に対応する構成)を具備させておく。
【0027】
ところで、本実施形態では、前記ローラ支持部52を構成する昇降具に対し、ダンパー機構57を付加させてある。このダンパー機構57は、ピックアップローラ2を生地Wに当接させる作用を、ピックアップローラ2及びアクチュエータ55の自荷重による落下力で行わせるようにして、生地Wに過剰な押圧力が加わらないように緩和させるためのものである。
【0028】
このダンパー機構57の具体的な構造は、ローラ支持部52(昇降具)が、上下駆動させる昇降軸60を下方へ向けるように配置されていると共に、この昇降軸60の下端部に昇降台61が固定されている。また、そのうえでピックアップローラ2及びアクチュエータ55を支持する支持ブラケット62が、昇降軸60に対して上下動自在な状態に貫通保持されたものとなっている。
【0029】
ローラ支持部52(昇降具)は、ピックアップローラ2が生地Wに当接後も、昇降台61を少し(生地Wに当接しない範囲で)下降させるようになっている。すなわち、ローラ支持部52(昇降具)が昇降軸60と共に昇降台61を下降させると、ピックアップローラ2及びアクチュエータ55は、昇降台61上に支持される状態で一緒に下降するが、ピックアップローラ2が生地Wへ当接した後は、当然に下降しない(下降力が付与されない)状態となる。この当接後も昇降台61はさらに多少下降する。
【0030】
そのため、ピックアップローラ2の針20が生地Wを通り抜けるほど深く突き刺さるのを防止でき、生地Wの余計な取り出し(2枚取りなど)を確実に防止できる他、生地Wの繊維を折曲、伸長又は切断させてしまったり、或いは生地組織(編目や織目)を荒らしてしまったりして、生地Wを不良品化させることがないものとなる。また、ピックアップローラ2(針20)が破損することも防止できる利点がある。
【0031】
この他、本実施形態のピックアップ装置1では、スタック位置11に対して
図8に示すような生地さばき機構65を付加してある。この生地さばき機構65は、弾性を有する樹脂板等により形成された一対の擦過部材66を、生地Wの両端上面に被さるように係合させたものである。従って、静電気や負圧吸着などを原因とした生地Wの余計な連れ上がりが生じそうになったときも、余計となっている生地W(2枚目以下の生地W)を払い落とす作用が得られるものである。
【0032】
擦過部材66には、生地Wとの係合部分を細かく分割させるようなスリット67を複数本形成させてある。このスリット67を形成させてあることで、擦過部材66が生地Wに付与する係合力(弾性作用)は過不足のない適度なものとなり、また生地Wに対して確実な係合(生地Wの形状や波打ち状態に馴染んだ接触)となるという利点が得られる。なお、擦過部材66は、ブラシなどによって形成することも可能である。
【0033】
生地Wのスタック位置11では、積層した生地Wの最上面レベルを略一定に維持させるために、生地Wが取り出されるのに合わせて、生地Wの積載台(図示略)を上昇させるリフト機構を設けておくのが好ましい。
次に、ピックアップ装置1の動作状況を説明する。
まず、
図5に二点鎖線で示すように、スタック位置11の最上部に積層された生地Wに向けて、その上方で移動枠51を停止させる。そして、
図4(a)に示すように、中央配置の一対のピックアップローラ2,2と、その左隣となる一対のピックアップローラ2,2とを、それらの各ローラ支持部52(昇降具)の下降作動により、一斉に下降させる。
【0034】
各ピックアップローラ2,2を下降させるとき、原則として、制御部56は各アクチュエータ(モータ等)55,55を回転駆動させず、ピックアップローラ2,2を非回転の状態(停止状態)に保持させる。但し、生地Wが分厚いものである場合や腰の強いものである場合は、ピックアップローラ2,2を回転させながら下降させる(生地Wに当接させる)ようにしてもよい。
【0035】
一対のピックアップローラ2,2が下降によって生地Wに当接した後、制御部56が各アクチュエータ55,55を回転駆動させ、ピックアップローラ2,2の各ローラ下面を相互離反方向へ回転させる(
図2参照)。この際、制御部56は、両アクチュエータ55,55に対して同一トルクが発生するように、電圧制御を行うようになっている。
一対のピックアップローラ2,2が回転するのに伴い、それらの針20が積層状態の最上部となっている生地Wに引っ掛かり、当該生地Wに対して相反する方向へ引っ張るようなテンションを付与する。そしてこの状況下で、
図4(b)に示すように、中央配置の一対のピックアップローラ2,2と、その左隣となる一対のピックアップローラ2,2とについて、それらの各ローラ支持部52(昇降具)を上昇作動させ、各ピックアップローラ2,2を一斉に上昇させる。そのため、各ピックアップローラ2,2の上昇に伴い、生地Wはその左半分だけが持ち上げられる。
【0036】
前記したように、ピックアップローラ2では、針スペーサ25によって針20の突出量が制限されているので、針20が生地裏側へ突き抜けるほどに突き刺さるといったことはなく、生地Wの余計な取り出し(2枚取りなど)は防止される。加えて、生地さばき機構65により、静電気や負圧吸着などを原因として余計な連れ上がりを生じそうになった生地Wも浮上が阻止され又は払い落とされることになり、生地Wの余計な取り出しは一層確実とされている。
【0037】
また、一対のピックアップローラ2,2を回転駆動するアクチュエータ55,55に同一電圧が印加されていることから、生地Wは、両ピックアップローラ2,2によって均一に引っ張られ、バランスよくテンションが作用した状態に保持される。そのため、生地Wが位置的な偏りを起こしたり皺やゆがみを生じたりすることはない(いずれか一方のピックアップローラ2に引き寄せられるということがない)。
【0038】
このようにピックアップローラ2,2のローラ下面間で、1枚の生地Wが持ち上げられた後は、
図5に示すように、この持ち上げた方の生地端が先行するように移動枠51が水平移動して、生地Wを取出位置50の上方へと移動させる。
この移動に際し、制御部56は、両アクチュエータ55,55への印加電圧を下げるように制御を行う。但し、印加電圧を下げても、両アクチュエータ55,55が同一トルクを保持するように、電圧値は同じにする。この制御により、移動途中の生地Wに対して過剰なテンションが発生するのを防止し、生地Wに疵などを生起させることがないようにしている。
【0039】
移動枠51が取出位置50上の所定位置に到達して停止すると、制御部56は両アクチュエータ55,55に対する電圧の印加を切断させる。場合によっては、電圧の極性を瞬間的に入れ替えて、一対のピックアップローラ2,2の各ローラ下面を相互近接方向へ微少回転させ、両ピックアップローラ2,2の針20がより一層、生地Wから脱出しやすい状態にさせる。
【0040】
この状態で、ノックアウト装置53が作動し、押圧パッド53aで生地Wを下向きに押し出し、生地Wを確実にピックアップローラ2,2から取出位置50上へ落下させる。
その後、移動枠51がスタック位置11の上方へ戻るべく水平移動して、ピックアップ装置1としての1サイクル動作が完了する。
なお、スタック位置11から生地Wを持ち上げるに際し、中央配置の一対のピックアップローラ2,2と、その左隣となる一対のピックアップローラ2,2とを用いて生地Wを、その左半分だけ持ち上げるようにすることは、特に限定されるものではない。すなわち、中央配置の一対のピックアップローラ2,2の右隣となる一対のピックアップローラ2,2をも用いて(図例で言えば「3対で合計6個の全てのピックアップローラ2を用いて」の意味)生地Wの全体を一斉に持ち上げるようにしてもよい。
【0041】
ところで、スタック位置11において、生地Wが表裏向きを1枚ごとに反転させながら積層されている場合がある。このような場合に、取出位置50上へ取り出す生地Wの表裏向きを一定に揃える(例えば、全ての生地Wが表向きになるようにする)には、次のようにする。
すなわち、
図4及び
図5に関して説明した前記の1サイクル動作を、生地Wを積層時の
表裏向きのまま取出位置50上に取り出すための第1動作とし、次サイクルとなる第2動作では、生地Wを積層時の表裏向きから裏返しにして取出位置50上に取り出すものとする。
【0042】
この第2動作では、
図6(a)に示すように、中央配置の一対のピックアップローラ2,2と、その右隣となる一対のピックアップローラ2,2とについて、それらの各ローラ支持部52(昇降具)を下降作動させ、一斉に下降させる。
その後、各ローラ支持部52(昇降具)を上昇作動させて中央配置の一対のピックアップローラ2,2と、その右隣となる一対のピックアップローラ2,2とを上昇させる。そのため、生地Wはその右半分だけが持ち上げられる。
図7に示すように、この状態で移動枠51が取出位置50の上方へ向けて水平移動する。
【0043】
移動枠51が水平移動を開始した直後(水平移動の開始直前でもよい)、制御部56は、中央配置の一対のピックアップローラ2,2の各アクチュエータ55,55に対する電圧の印加を切断させるか、又は印加電圧を下げる。移動枠51が取出位置50に近づくと電圧の極性を瞬間的に入れ替えて、両ピックアップローラ2,2の針20から生地Wが脱出しやすい状態にさせる。必要に応じて、同時に中央配置の一対のピックアップローラ2,2に近接配置されたノックアウト装置53を作動させてもよい。
【0044】
このようにすることで、生地Wは、最も右側に配置された一対のピックアップローラ2,2のみで持ち上げられ、残りの大半が垂れ下がった状態となる。生地Wの垂れ下がり部分は、移動枠51の水平移動に伴って取出位置50へ乗り上げようとするときに、当該取出位置50の側面に引っ掛かり、その結果、生地Wは一対のピックアップローラ2,2で持ち上げられている生地端を除いて、表裏を反転されるようになる。
【0045】
移動枠51が取出位置50上の所定位置(第1動作のときよりやや先方)に到達して停止すると、制御部56は、最も右側に配置された一対のピックアップローラ2,2の両アクチュエータ55,55に対する電圧の印加を切断させるか、又は電圧の極性を瞬間的に入れ替えて、両ピックアップローラ2,2の針20から生地Wが脱出しやすい状態にさせる。また、ノックアウト装置53を作動させて押圧パッド53aで生地Wを下向きに押し出し、生地Wを確実にピックアップローラ2,2から取出位置50上へ落下させる。
【0046】
その後、移動枠51がスタック位置11の上方へ戻るべく移動して、第2動作としての1サイクル動作が完了する。このように、第1動作と第2動作とを交互に行うことで、取出位置50上へ取り出す生地Wの表裏向きを、全て同じ向きに揃えることができるものである。
以上詳説したところから明らかなように、本発明に係るピックアップローラ2及びこのピックアップローラ2を具備して構成されたピックアップ装置1では、スタック位置11などのピックアップ位置に準備された生地Wを、1枚ずつ取り出す作業を行うに際して、生地Wの余計な取り出し(2枚取りなど)が起こるのを防止でき、また取り出した生地Wが疵等によって不良品化することもない。更に、生地Wの材質によって取出精度(作業の信頼性)が変わることもない。
【0047】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、生地Wの素材は、綿や化繊など、何ら限定されるものではない。また、生地Wの大きさや形状なども、何ら限定されるものではない。
生地Wは、スタック位置11に積層状態で準備されることが限定されるものではなく、テーブル面等のピックアップ位置に平置き状態で準備されたものとしてもよい。
【0048】
一対のピックアップローラ2,2において、生地Wに対する配置は、生地Wに特定の伸縮性がある場合にはこの伸縮方向と直交する方向とさせるのが好適となる。但し、このような配置が限定されるものではなく、伸縮方向に沿わせる方向としてもよい。
ピックアップローラ2において、胴部22とフランジ部23,24とは一体でも別体でもよい。
【0049】
針20は、針布21として台布27に植設されたものを使用することが限定されるものではなく、例えば硬質の台(円筒形を半割にしたようなもの)に植設されたものを使用す
ることもできるし、胴部22に対して直接に植設されるように構成してもよい。
アクチュエータ55としてエアシリンダやソレノイドを用いる場合、直線動作形のエアシリンダやソレノイドを採用すると共に、このアクチュエータ55の動作部分とピックアップローラ2との間をリンク機構等で連結することで、ピックアップローラ2が部分回転(例えば、45°とか90°とかの小さな回転角度で回転)する構成にすることも可能である。