(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アクセル操作により回転数を上げることが可能なディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンから排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備えた排出ガス浄化装置と、前記排出ガス浄化装置のフィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去するフィルタ再生手段とを備えた作業機であって、
前記フィルタ再生手段は、前記排気ガスの温度を自動的に上げることで前記フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させて除去する自動再生を行い、前記自動再生の間に、前記ディーゼルエンジンの回転数を前記アクセル操作によって上げることを当該アクセル操作を行う作業者に要求することを特徴とする作業機。
前記フィルタ再生手段は、前記要求がなされている状態で、ディーゼルエンジンに関する温度指標が所定時間以上にわたって前記第1温度より高い第2温度以上であったときに、前記要求を停止することを特徴とする請求項2に記載の作業機。
前記フィルタ再生手段は、前記要求がなされている状態で、前記粒子状物質の堆積量が、前記第1堆積量より小さい第2堆積量以下となったときに、前記要求を停止することを特徴とする請求項4に記載の作業機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しながら、本発明の各実施形態を説明する。
[第1実施形態]
本発明の作業機は、ディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)を備えたものである。作業機としては、バックホーやコンパクトトラックローダ(CTL)などの建設機械、及びトラクタなどの農業機械があるが、本実施形態では、作業機の一例としてバックホーを説明する。
【0017】
図5は、バックホー1の概略構成を示す側面図である。
図5に示すように、バックホー1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とを備えている。
走行装置2は、ゴム製覆帯を有する左右一対の走行体4を備えたクローラ式走行装置である。また、走行装置2には、ディーゼルエンジン9の出力で動作する油圧ポンプから得た油圧を用いてクローラを走行させる油圧モータが設けられると共に、前部にはドーザ5が設けられている。
【0018】
旋回体3は、走行装置2上に旋回ベアリング6を介して上下方向の旋回軸回りに左右旋回自在に支持された旋回台7と、旋回台7の前部に備えられた作業装置8(掘削装置)とを有している。旋回台7上には、ディーゼルエンジン9、ラジエータ、運転席10、燃料タンク、作動油タンク、作動油タンクからの作動油を制御する制御弁等が設けられている。運転席10の周囲には、バックホー1に関する様々な情報を表示する表示装置11が設けられている。運転席10は、旋回台7上に設けられたキャビン12により囲まれている。
【0019】
作業装置8は、旋回台7の前部に設けられた支持ブラケット13に左右揺動自在に支持されたスイングブラケット14と、上下揺動自在となるように基部側がスイングブラケット14に支持されたブーム15とを備えている。ブーム15の先端側には、前後揺動自在となるようにアーム16が支持されており、アーム16の先端側に、スクイ・ダンプ動作が可能となるようにバケット17が設けられている。
【0020】
スイングブラケット14は、旋回台12内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動する。ブーム15は、ブーム15とスイングブラケット14との間に設けられたブームシリンダ18の伸縮によって揺動する。アーム16は、アーム16とブーム15との間に設けられたアームシリンダ19の伸縮によって揺動する。バケット17は、バケット17とアーム16との間に設けられたバケットシリンダ20の伸縮によってスクイ・ダンプ動作を行う。
【0021】
スイングシリンダ、ブームシリンダ18、アームシリンダ19、及びバケットシリンダ20の各シリンダは、制御弁によって流量が制御された作動油によって伸縮動作するように構成されている。
ここで
図1を参照しながら、運転席10の周囲に設けられた表示装置11について説明する。
【0022】
図1に示すように、表示装置11は、液晶パネル112と、LED表示部113とを備えている。液晶パネル112は、液晶表示によって文字や図形を自由に表示できると共に、表示する文字や図形を自在に変更することが可能である。例えば、
図1において、液晶パネル112の左側には、燃料の残量を棒グラフ状のゲージで示す燃料計が表示されており、ゲージの長さ、つまり棒グラフの長さが燃料の残量に対応している。また、液晶パネルの右側には、冷却水の水温をゲージで示す水温計が表示されており、現在の水温を示すカーソルが水温に応じて上下に移動する。
【0023】
さらに
図1において、液晶パネル112の中央部には、DPFの自動再生が行われていることを表すアイコンAと、DPFの再生に関する注意を喚起する文字情報、例えば「DPF再生中」や「排気温度上昇」などが表示されている。液晶パネル112に表示される情報の種類や、図形や文字などの表示形態の選択は任意である。
LED表示部113は、LED素子の点灯、消灯、点滅によって、後述する制御部46(エンジンECU32及びメインECU33)に接続された各センサで検出された検出情報を表示するものである。詳しくは、LED表示部113として、何らかの警告が発せられていることを示す警告LED表示部113a、エンジン油圧についての警告を示す油圧LED表示部113b、バッテリの充電状態についての警告を示すバッテリLED表示部113c、速度警告を示す速度LED表示部113d、排気温度についての警告を示す排気LED表示部などがある。これらLED表示部113は、点灯、消灯、点滅だけでなく、点灯時間、消灯時間、点滅間隔、点灯時の明るさを変更することによっても自由に表示の形態を変えることができる。
【0024】
このように
図1では、液晶パネル112を備えた表示装置11が示されているが、表示装置11は、上記の表示が可能なものであれば、液晶パネル112を用いて表示するものに限定されない。
また
図1は、ディーゼルエンジン9及びディーゼルエンジン9の排気系の構造を示す図である。まず、ディーゼルエンジン9の排気系について説明する。なお、ディーゼルエンジン9は、複数のシリンダ(気筒)を有する多気筒エンジンである場合が多いが、
図1では、そのうちの1つのシリンダ34の構成を示し説明する。
【0025】
図1に示すように、ディーゼルエンジン9は、例えばバックホー1に搭載された油圧モータや油圧ポンプ等の各種装置に動力を与えるものである。ディーゼルエンジン9のシリンダ34の上部には、シリンダ34内に空気を導入するための開口である吸気ポート35が形成されると共に、燃焼後のガス(燃焼ガス)をシリンダ34から排出するための開口である排気ポート36が形成されている。さらにシリンダ34の上部には、吸気ポート35を開閉するための吸気バルブ37と、排気ポート36を開閉するための排気バルブ38とが設けられている。
【0026】
吸気ポート35には、シリンダ34内に導入される空気の流路となる管状の吸気マニホールド39が接続されている。また、排気ポート36には、シリンダ34から排出される燃焼ガスの流路となる管状の排気マニホールド30が接続されている。排気マニホールド30の端部には排気音を低減するためのサイレンサ40が設けられていて、燃焼ガスはサイレンサ40を通過して環境中に排出される。
【0027】
排気マニホールド30において、排気ポート36とサイレンサ40との間には排出ガス浄化装置31が設けられている。排出ガス浄化装置31は、燃焼ガスを浄化するものであって、通過する燃焼ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集する。つまり、シリンダ34から排気ポート36を経て排出された粒子状物質を含む燃焼ガスは、排出ガスとして排気マニホールド30を通り、排出ガス浄化装置31で浄化されてサイレンサ40に至る。
【0028】
この排出ガス浄化装置31は、内部にディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)41を有している。DPF41は、燃焼ガスに含まれる粒子状物質PMを捕集するためのフィルタであり、例えば、セラミック製又は金属製で断面がハニカム構造となるように形成されている。つまり、DPF41の一端から他端にわたる長手方向に沿って、例えば六角柱のストロー状の多角形貫通孔が多数隣接しており、各貫通孔内には、DPF41の長手方向に沿って所定間隔で多孔質の隔壁が設けられている。このようなハニカム構造を有するDPF41は、貫通孔内に形成された隔壁のDPF41の長手方向における位置が、隣り合う貫通孔に形成された隔壁の位置とは異なるように構成されている。
【0029】
DPF41の一端側から進入した排出ガスは、貫通孔内に形成された多孔質の隔壁を通過しつつDPF41の他端側へ向かって流れる。排出ガスに含まれる粒子状物質は、多孔質の隔壁に付着したり、貫通孔の内壁に付着したりすることでDPF41に捕集されて堆積する。つまり、DPF41は、堆積した粒子状物質の量が多くなると目詰まりを起こす構造を有しているので、粒子状物質の堆積量(PM堆積量)が多くなり過ぎないように適宜クリーニングをしなくてはならない。
【0030】
本実施形態では、このDPF41のクリーニングを「DPFの再生」といい、そのための動作を「DPFの再生動作」という。DPF41の再生では、DPF41の温度を所定温度以上に上昇させることで堆積した粒子状物質を燃焼させてガス化し、排出ガスとともに環境中に排出する。
排出ガス浄化装置31は、このDPF41の他に、図示しないが、粒子状物質中の燃料及び燃焼ガス中の窒素酸化物を酸化するための酸化触媒などを有している。
【0031】
排出ガス浄化装置31の入側には、排出ガス浄化装置31の入口付近の排気圧力を検出する入側圧力センサ42が設けられ、出側には出口付近の排気圧力を検出する出側圧力センサ43が設けられている。入側圧力センサ42及び出側圧力センサ43は、例えば圧電素子などで構成される一般的な圧力センサである。入側圧力センサ42及び出側圧力センサ43は、次に説明する差圧センサ44に接続されている。
【0032】
差圧センサ44は、入側圧力センサ42が検出した排気圧力と、出側圧力センサ43が検出した排気圧力とから、排出ガス浄化装置31の入側と出側での排気圧力の差、つまり差圧を検出する。一般に、DPF41に粒子状物質の堆積がなく目詰まりがない場合、DPF41による圧力損失は非常に小さいので、入側圧力センサ42と出側圧力センサ43が検出した排気圧力の差はわずかであり、差圧センサ44が検出する差圧も小さな値となる。しかし、DPF41に粒子状物質が堆積し目詰まりの程度が大きくなってくると、DPF41による圧力損失が大きくなるので差圧センサ44が検出する差圧も大きくなる。この差圧の大きさは、DPF41の目詰まりの程度に対応するので、差圧の大きさを、DPF41の目詰まりの程度、すなわちDPF41におけるPM堆積量に換算することができる。
【0033】
図1に示すように、ディーゼルエンジン9と排出ガス浄化装置31とをつなぐ排気マニホールド30には、ディーゼルエンジン9から排出されて排出ガス浄化装置31へ向かう燃焼ガスの温度(排気温度)を検出する排気温度センサ45が設けられている。排気温度センサ45は、例えばサーミスタなどから構成されている。上述のような差圧センサ44が検出した差圧や、排気温度センサ45が検出した排気温度は、制御部46へ送られる。
【0034】
制御部46は、バックホー1を制御するものであって、1つ又は複数の制御装置(ECU)から構成されたもので、例えば、ディーゼルエンジン9を制御するエンジンECU32と、バックホー1全体の動作を制御するメインECU33とを有している。エンジンECU32及びメインECU33は、例えば、CPU等から構成されている。
エンジンECU32は、ディーゼルエンジン9や動力伝達系の各所に設置したセンサから情報を得て、ディーゼルエンジン9の状態に応じた最適な燃料噴射量や噴射時期、点火時期、アイドル回転数などを演算してディーゼルエンジン9等に制御指令を出すものである。例えば、運転席10の周囲に設けたアクセル(アクセルレバー)を操作すれば(アクセル操作を行うことによって)、エンジンECUがアクセルの操作量(開度)を検出して燃料噴射量などを増減させる。このようにアクセル操作を行うことによって、ディーゼルエンジン9の回転数を増減させることができる。
【0035】
エンジンECU32に情報を提供するセンサとしては、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ、排出ガス浄化装置31の差圧を検出する差圧センサ44、排気温度を検出する排気温度センサ45、吸入空気量を検出するためのエアフロメータ、エンジン回転数を検出するためのクランクポジションセンサ、冷却水の水温を検出するための水温センサ、バルブの開度を検出するためのスロットルポジションセンサなどがある。これら以外にも、クランク位置を検出するためのカムポジションセンサ、吸入空気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサなどがある。
【0036】
メインECU33は、エンジンECU32と連携しながらバックホー1に備えられた各種装置(走行装置、作業装置など)を制御するものである。例えば、メインECU33では、スイングシリンダ、ブームシリンダ18、アームシリンダ19及びバケットシリンダ20などの各シリンダに所定の作動油を供給する流量制御を行う。
この流量制御は、運転席10の周囲に設けられた操作部材(操作レバー)の操作量に基づいて行うもので、詳しくは、操作レバーを中立位置より一方(左側)に揺動させて左側の操作量を入力すると、操作したアクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダ18、アームシリンダ19及びバケットシリンダ20)に対応する電磁比例弁のソレノイドに所定値の電流(作動信号)を出力する。そうすると、電磁比例弁は電流値に応じて開き、操作したアクチュエータに対応する制御弁のパイロット圧が制御され、アクチュエータが一方に動作する。操作レバーを中立位置より上記とは反対側に揺動させて右側の操作量を入力すると、左側に揺動したときとは反対側にアクチュエータを動作させる。このように、操作レバーを操作することによって、バックホー1を作動させることができる。
【0037】
また、メインECU33は、運転席10の周囲に設けられたメータ及びモニタ等であってバックホー1の動作状態を表示する表示装置11を含むバックホー1全体の動作を制御するものでもある。本実施形態におけるメインECU33は、排出ガス浄化装置31のDPF41を再生するためのフィルタ再生手段47を有している。フィルタ再生手段47は、メインECU33で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。
【0038】
ここで、表示装置11、エンジンECU32、及びメインECU33は、互いにController Area Network(CAN通信)などの車両用通信ネットワークNを介して接続されていて、相互にデータの送受信が可能である。なお、車両用通信ネットワークは、表示装置11、エンジンECU32、及びメインECU33間でデータを送受信できるものであれば特に規格を限定するものではない。例えば、FlexRay(フレックスレイ)であっても、その他のネットワークであってもよい。
【0039】
図1に示すように、フィルタ再生手段47は、DPF41に堆積する粒子状物質の堆積量(PM堆積量)を取得する堆積量取得手段50と、この堆積量取得手段50によって取得したPM堆積量に基づいてDPF41の再生を行うフィルタ再生制御手段60とを備えている。
堆積量取得手段50は、エンジンECU32から、排出ガス浄化装置31の差圧(差圧センサ44で検出した値)、排気温度センサ45で検出した排気温度、冷却水の水温、吸入空気中の酸素濃度及び温度、燃料の噴射量などの情報を得て、DPF41に堆積する粒子状物質の堆積量(PM堆積量)を算出し取得する。
【0040】
フィルタ再生制御手段60は、DPF41を再生するための再生動作を複数の態様(モード)に分けて実施するものであり、例えば、第1の再生制御モード及び第2の再生制御モードといった2つのモードの再生動作を実施する。つまり、フィルタ再生制御手段60は、堆積量取得手段50が取得したPM堆積量に基づいて第1の再生制御モード及び第2の再生制御モードを実施して、DPF41の再生を行う。
【0041】
ここで、第1の再生制御モードとは、DPF41の自動再生を実施するモードであり、この自動再生の動作として、例えばディーゼルエンジン9の吸気スロットルが絞られ、この吸気スロットルの絞りによって排気温度が上昇する。
また第2の再生制御モードとは、作業者に対してディーゼルエンジン9の回転数を上げることを要求する報知(警告)を発するモードである。エンジン9の回転数を上げるとは、少なくともアイドリング回転数以上にエンジンの回転数を上げることであって、好ましくは、エンジン回転数を、例えばアイドリング回転数の1.5倍以上に上げることである。
【0042】
具体的には
図3(b)に示すように、第2の再生制御モード52では、作業者に対してエンジン回転数を上昇させる(例えば1800回転以上に上昇させる)ことを要求するアイコンBを、表示装置11に表示させるとともに、間欠的な報知音(警告音)も、表示装置11に発生させる。このとき作業者が、表示されたアイコンB及び発せられた警告音に従ってアクセル操作をし、エンジン回転数を例えば1800回転以上の所定の回転数以上に上昇させると、排気温度がさらに上昇し、DPF41に堆積した粒子状物質の燃焼が促進されてPM堆積量が減少する。
【0043】
フィルタ再生制御手段60は、第1の再生制御モードの実施を決定するための基準として、PM堆積量に応じた閾値THを有している。この閾値THは、上述したように自動再生を開始するためのものであって、例えばDPF41が捕集できる粒子状物質の上限量(捕集限界値)に対して約50%から約60%となる値に設定されている。例えば、PM堆積量が捕集限界値の60%を超えてしまった状態において、DPF41の再生動作を行わずバックホー1の通常の運転(操作レバーの操作など)を続けてしまうと、PM堆積量がさらに増加してしまう。このような場合、後からDPF41の自動再生を開始したとしても、排気温度などを上昇させるのに時間がかかり、DPF41内のPM堆積量の減少を、自動再生によって進めることが難しくなる可能性がある。そのため、フィルタ再生制御手段60が、PM堆積量が閾値TH以上となった時点で第1の再生制御モードにより自動再生を開始することとしている。
【0044】
具体的には、フィルタ再生制御手段60は、堆積量取得手段50にて算出したPM堆積量を閾値THと比較して、第1の再生制御モードを実施するか否かを決定する。具体的には、算出した現在のPM堆積量が閾値THよりも小さければ、第1の再生制御モードを実施せず、現在のPM堆積量が閾値TH以上であれば、第1の再生制御モードを実施する。
図2は、バックホー1の稼働時間に対する排出ガスの温度変化、つまり排出ガス温度(排気温度)の時間変化の一例を表すグラフである。
図2を用いて、フィルタ再生手段47が行うDPF41の再生動作について詳しく説明する。
【0045】
堆積量取得手段50は、バックホー1のディーゼルエンジン9が始動すると、継続的にDPF41のPM堆積量を算出し取得する。まず、堆積量取得手段50がPM堆積量を算出すると、フィルタ再生制御手段60は、算出されたPM堆積量と閾値THとの比較を行う。
比較の結果、算出されたPM堆積量が閾値TH未満であるとき、フィルタ再生制御手段60は、DPF41の再生は不要であると判断して、第1の再生制御モード及び第2の再生制御モードを実施しない(DPF41の再生を開始しない)。
【0046】
反対に、算出されたPM堆積量が閾値TH以上であるとき、つまり、
図2のグラフにおける時間T1において、フィルタ再生制御手段60は、DPF41の再生が必要であると判断して、まず第1の再生制御モードを実施する(DPF41の再生を開始する)。
フィルタ再生制御手段60は、第1の再生制御モードを実施することによって、自動再生を開始するための指令をエンジンECU32等に出力し、DPF41の再生を行う。自動再生の動作としては、例えば上述したように、ディーゼルエンジン9の吸気スロットルが絞られ、この吸気スロットルの絞りによって排気温度が上昇する。フィルタ再生制御手段60は、このようにしてDPF41の自動再生を開始し、DPF41に堆積した粒子状物質を燃焼させて除去する。
【0047】
図3(a)に示すように、フィルタ再生制御手段60は、さらに、表示装置11に対して自動再生が実行されていることを示すアイコンAを表示させ、連続的な警告音を発生させる。
上述したように、自動再生とは、バックホー1を操作している作業者に対して特別な操作を要求しない再生動作のことであって、バックホー1が独自に、つまり作業者から見れば、自動的にDPF41の温度を上昇させて堆積した粒子状物質を燃焼させようとする動作である。
【0048】
次に、フィルタ再生制御手段60は、自動再生の開始後、ディーゼルエンジン9に関する温度指標が第1温度未満であるときに、第2の再生制御モードを実施する。ここで、温度指標とは、DPF41の再生において粒子状物質が燃焼するか否かといった燃焼状況を評価可能な温度であって、ディーゼルエンジン9の吸気温度、排気温度、冷却水温度などのことである。
【0049】
例えば、温度指標がディーゼルエンジン9の排気温度である場合、排気温度が高い状態であると、DPF41に堆積した粒子状物質が燃焼し易くなり、自動再生によるDPF41の再生が進みやすいと考えられる。逆に、排気温度が低い状態であると、堆積した粒子状物質が燃焼しにくくなり、自動再生によるDPF41の再生が進みにくいと考えられる。
【0050】
本発明では、DPF41に堆積した粒子状物質の燃焼の程度(DPF41の再生の進みやすさ)を、ディーゼルエンジン9の排気温度などのような温度指標によって評価する。つまり、排気温度がDPF41の再生が進みにくい温度域(第1温度未満)であるときに、DPF41の自動再生を補助し促進するために、第2の再生制御モードを実施する。このように、温度指標はDPF41の再生の進みやすさを評価するために用いられるものであるため、第1温度の数値は採用する温度指標によって異なる。上述のように、温度指標がディーゼルエンジン9の排気温度である場合には、第1温度は、例えば250℃であり、温度指標が冷却水温度である場合には、第1温度は、例えば70℃である。
【0051】
この第1温度は、自動再生によるDPF41の再生が効率よく進むか否かを判断するための基準となる値であるとともに、後述する第2の再生制御モードによる温度上昇を考慮して設定することが好ましい。第1温度を、例えば、DPF41の再生におけるディーゼルエンジン9の排気温度の目標値の50%以下に設定する。本実施形態では、DPF41の再生における排気温度の目標値を580℃以上とし、第1温度を目標値の約43%である250℃に設定している。
【0052】
次に、DPF41の自動再生を補助し促進するための第2の再生制御モードについて、ディーゼルエンジン9の排気温度を温度指標とした場合を例にとり説明する。
第2の再生制御モードでは、第1の再生制御モードによる自動再生が行なわれている期間内に、ディーゼルエンジン9の回転数を上げることを要求する警告を発する。
具体的には、
図3(b)に示すように、フィルタ再生制御手段60は、表示装置11に対して、エンジン回転数を上昇させることを要求するアイコンBをアイコンAと交互に表示させて、かつ間欠的な警告音を発生させる。作業者がこの表示及び警告音に従ってアクセル操作をして、エンジン回転数を所定の回転数以上(アイドリングの回転数よりも高い回転数であって、例えば、1800回転以上)に上昇させた場合は、排気温度がさらに上昇し、DPF41に堆積した粒子状物質の燃焼が促進されてPM堆積量が減少する。
【0053】
ここで、排気温度が順調に上昇して、第2の再生制御モードを実施するか否かの基準となる第1温度(250℃)よりも高い第2温度(例えば、580℃)以上となり、かつ所定時間、言い換えれば継続時間P(例えば、10分間)にわたって第2温度以上を継続したとき、つまり、
図2のグラフにおける時間T2から時間T3にわたって排気温度が第2温度以上を継続したときに、フィルタ再生制御手段60は、DPF41に堆積した粒子状物質が燃焼して減少したと判断して、第2の再生制御モード、即ちディーゼルエンジン9の回転数を上げる要求を停止し、表示装置11でのアイコンBの表示を終了する。
【0054】
ここで、第2温度とは、上述したように、DPF41の再生における排気温度の目標値であって、DPF41に堆積した粒子状物質がほぼ確実に燃焼すると考えられる温度である。つまり、排気温度が第2温度以上に維持されると、DPF41に堆積した粒子状物質は、確実に燃焼して減少していると考えられるため、排気温度が第2温度以上となる状態が継続した場合にはDPF41の自動再生を補助し促進するための第2の再生制御モードを終了する。なお、排気温度が第2温度以上となった時間(継続時間)Pが長ければ多くの粒子状物質の量が燃焼したと考えられ、また、第2温度の継続時間が短ければ燃焼した粒子状物質の量が少ないと考えられるので、第2温度の継続時間によって燃焼した粒子状物質の量が変化する。このようなことから、本発明では、第2温度以上となった継続時間によって粒子状物質の燃焼した量を算出することとしている。
【0055】
排気温度が500℃を超え580℃程度となると、1分間当たりに燃焼する粒子状物質の量がほぼ安定して一定値となる。よって第2温度の所定継続時間Pとは、DPF41に堆積した粒子状物質が、時間あたり一定割合で安定的に燃焼した時間であるといえる。
これによって、例えば、本実施形態では、フィルタ再生制御手段60は、第2温度(580℃)が所定継続時間P(10分間)にわたって維持されれば、DPF41に堆積した粒子状物質を80%程度減少したと判断する。
【0056】
ここでフィルタ再生制御手段60は、第2の再生制御モードを終了しても、ただちに第1の再生制御モードを終了するわけではない。第1の再生制御モードは、PM堆積量を基準として、実施するか終了するかの判断がなされる。よって、第2の再生制御モードを終了した直後は、フィルタ再生制御手段60は、表示装置11でのアイコンBの表示を終了し、
図3(a)のようにアイコンAだけの表示に戻る。
【0057】
この後、フィルタ再生制御手段60は、第1の再生制御モードによる自動再生が行なわれている期間内に、ディーゼルエンジン9に関する温度指標が第1温度未満となったときに、再び第2の再生制御モードを実施する。
なお、上述したように温度指標は、ディーゼルエンジン9の吸気温度、排気温度、冷却水温度のいずれか1つを採用すればよい。
【0058】
例えば、温度指標として排気温度を選択した場合は、排気温度に対する基準温度(例えば、250度)を1つだけ設定すればよいが、例えば排気温度と冷却水温度など2つ以上の温度を選択した場合は、排気温度に対する基準温度と冷却水温度に対する基準温度(例えば、70度)とをそれぞれ設定する。その上で、排気温度と冷却水温度が、ともにそれぞれに対して設定された基準温度未満であるときに第2の再生制御モードを実施すればよい。また、排気温度及び冷却水温度のいずれか一方が基準温度未満であるときに第2の再生制御モードを実施するようにしてもよい。
【0059】
図2及び
図3を参照しながら、フィルタ再生手段47による「DPFの再生動作」についてまとめる。
作業者がバックホー1のディーゼルエンジン9を始動すると、フィルタ再生手段47の堆積量取得手段50は、エンジンECU32から、排出ガス浄化装置31の差圧、排気温度、冷却水の水温、吸入空気中の酸素濃度及び温度、燃料の噴射量などの情報を得て、DPF41に堆積する粒子状物質の堆積量(PM堆積量)を算出し取得する。
【0060】
バックホー1によって低負荷の作業が長時間続くと、堆積量取得手段50によって算出されるPM堆積量は時間を追って増加してゆき、排出ガス温度の時間変化を表す
図2のグラフにおける時間T1で閾値TH以上となる。このときフィルタ再生制御手段60は、DPF41の再生が必要であると判断して、まず第1の再生制御モードを実施し、DPF41の自動再生を開始する。
【0061】
作業者はこの自動再生の開始に気付かないので、フィルタ再生制御手段60は、表示装置11に
図3(a)示すアイコンAを表示させるとともに連続的な警告音を発生させ、現在自動再生が行なわれていることを作業者に知らせる。
このとき、フィルタ再生制御手段60は、ディーゼルエンジン9に関する温度指標の一つである排気温度と第1温度とを比較する。排気温度が第1温度未満であれば、フィルタ再生制御手段60は、排気温度をさらに上昇させてDPF41の自動再生を補助し促進するために第2の再生制御モードを実施する。
【0062】
フィルタ再生制御手段60は、第2の再生制御モードを実施することで、
図3(b)に示すように、回転数上昇を要求するアイコンBを、アイコンAと交互に表示器11に表示させ、第1の再生制御モードでアイコンAを表示したときに発した警告音とは異なる警告音を、おなじく表示器11に発生させる。作業者は、アイコンBの表示及び警告音によって、ディーゼルエンジン9の回転数を上昇させる必要があることを認識し、作業の合間など、任意のタイミングでアクセルレバーを操作してエンジンの回転数を上昇させる。
【0063】
このときフィルタ再生制御手段60は、堆積量取得手段50によって取得される排気温度が第2温度以上となったか否かを継続的または断続的に判断する。
図2に示すように、エンジン回転数が上昇すると、それに伴って排気温度が上昇し始め、時間T2で排気温度が第2温度以上となると、フィルタ再生制御手段60は、排気温度が継続的に第2温度以上となっている継続時間Pの計時を開始する。
【0064】
つまり、フィルタ再生制御手段60は、時間T2で排気温度が第2温度以上となっているか否かの判断と、継続時間Pの計時との両方を行っている。一旦排気温度が第2温度以上となって継続時間Pの計時を開始しても、排気温度が第2温度未満となれば、継続時間Pの計時を停止して継続時間Pを0に戻してリセットする。再び排気温度が第2温度以上となれば、再度、継続時間Pの計時を開始する。
【0065】
このように計時した継続時間Pが例えば10分となったとき、つまり、
図2における時間T3で、フィルタ再生制御手段60は、第2の再生制御モードを停止し、表示器11へのアイコンBの表示及び警告音を停止する(上昇要求停止)。これによって、表示装置11は、
図3(a)に示すアイコンAを継続して表示する状態に戻るとともに、アイコンAに関連した警告音のみを発するようになるため、作業者は、エンジン回転数を上昇させる必要がなくなったと判断し、アクセルレバーをアイドル位置まで戻す。
【0066】
この後、フィルタ再生制御手段60は、堆積量取得手段50が算出したPM堆積量が所定値未満になれば、第1の再生制御モードによる自動再生を停止する。しかし、第1の再生制御モードによる自動再生が行なわれている期間内に、ディーゼルエンジン9に関する温度指標が第1温度未満となるまで下がったときには、フィルタ再生制御手段60は、再び第2の再生制御モードを実施する。
【0067】
本実施形態では、ディーゼルエンジン9に関する温度指標として、ディーゼルエンジン9の吸気温度、排気温度、及び冷却水温度の3つの温度の少なくとも1つを用いると説明した。これらの温度は、上述の通り、堆積量取得手段50(エンジンECU等)によって継続的に取得されていると共に、PM堆積量の算出に直接的に関連のある温度指標である。よって、このような関連のある温度指標を用いれば、それら温度指標の時間変化を監視するだけで、簡便かつ正確にPM堆積量の増減に合わせて適切なタイミングでディーゼルエンジンの回転数上昇を要求及び停止することができる。
【0068】
本実施形態によれば、作業者に警告を発してエンジン回転数の上昇を促しているため、警告に気づいた作業者は、作業中においても適宜ディーゼルエンジン9の回転数を上昇させて、排気温度を上昇させることができる。排気温度が上昇した結果、吸気スロットルの絞りなどの自動再生によって上昇したDPF41の温度がさらに上昇し、DPF41に堆積した粒子状物質が燃焼する。このように本実施形態によれば、自動再生を補助(バックアップ)する操作(エンジン回転数の上昇)を作業者に促すことができるので、PM堆積量の減少を促進させることができ、DPF41の再生を効率よく行うことができる。
【0069】
また、作業者は、バックホー1の走行時や操作レバーの操作時などの作業時でも、アクセル操作によって自動再生のバックアップ操作であるエンジン回転数の上昇を実行することができるので、従来のように、DPF41の再生のためだけにバックホー1を停止させて作業を中断する必要がなくなる。
例えば、作業現場内で移動するためや作業現場から退避するために、バックホー1を走行させる場合がある。その場合、作業者は、運転席10の周囲に設けられた操作レバーを操作してバックホー1を走行させる。このような走行は、作業時に断続的に繰り返し行われることが多いので、繰り返し行われる走行の合間である空き時間に作業者の任意のタイミングでアクセル操作を手動で行い、エンジン回転数を上昇させて排気温度を上げることができる。
【0070】
また、作業現場において作業者は、バックホー1の走行に用いたものとは別の操作レバーを操作することで作業装置などを動作させて、例えば掘削作業などを実施する。通常、作業現場で行われる作業は複数の作業単位が連続しているので、作業者は、一つの作業単位が終了してから次の作業単位を開始するまでの間である空き時間に、任意のタイミングでアクセル操作を手動で行い、エンジン回転数を上昇させて排気温度を上げることができる。
【0071】
また、乗用車やトラック等の車両(自動車)とは異なり、一般的にバックホー1のディーゼルエンジン9は、例えばバックホー1に搭載された油圧モータや油圧ポンプ等の各種装置に動力を与えるものであるので、作業中や走行中であっても、エンジン回転数を上昇させることは可能である。よって、作業者は、作業や走行の合間に限らず、任意の時期にエンジン回転数を上昇させることができる。
【0072】
つまり、本実施形態によれば、DPF41の再生をさらに促進するためにエンジン回転数を上昇させる必要があることが警告によって知らされるので、作業者は、走行や作業を中断することなく適宜アクセル操作によってエンジン回転数を上昇させ、排気温度を上げることができる。これによって、従来のように、DPF41の再生のためだけにバックホー1を安全な場所に停車させてエンジン回転数を上昇させなくてはならず、その間は走行も作業もできなくなってしまうという問題が生じなくなる。
【0073】
また、本実施形態によれば、PM堆積量が閾値TH以上となって自動再生を開始した後で、かつ排気温度が第1温度未満であるときに、エンジン回転数の上昇を要求し、自動再生によるDPF41の燃焼を促す。これに加えて、排気温度が所定の継続時間Pにわたって第2温度以上を維持すれば、エンジン回転数上昇の要求を停止する。これによって、不適切なタイミングでのエンジン回転数の上昇を回避することができ、その結果、エンジン回転数の上昇に伴う燃料悪化を防止することができる。
【0074】
[第2実施形態]
第2実施形態は、フィルタ再生制御手段60による第2の再生制御モードの開始及び停止の判断基準が、上述の第1実施形態とは異なっている。
本実施形態によるフィルタ再生制御手段60は、第2の再生制御モードの開始及び停止の判断を、堆積量取得手段50によって算出されたPM堆積量に基づいて行うものである。この点以外の構成及び効果は、第1実施形態とほぼ同じであるので、
図4を参照しながら、第1実施形態と異なる点についてだけ説明する。
【0075】
第1実施形態においてフィルタ再生制御手段60は、第2の再生制御モードの開始及び停止を、排気温度を基準として実施していたが、本実施形態によるフィルタ再生制御手段60は、第2の再生制御モードの開始及び停止を、PM堆積量を基準として実施する。
まず、フィルタ再生制御手段60は、ディーゼルエンジン9が始動すると、堆積量取得手段50からPM堆積量を継続的又は断続的に取得し、取得したPM堆積量を第2堆積量と比較する。PM堆積量が第2堆積量以上となったとき、フィルタ再生制御手段60は、第1の再生制御モードを開始する。
【0076】
第1の再生制御モードを開始した後であっても、バックホー1による低負荷の作業が長時間続き排気温度が上昇しないような状態では、堆積量取得手段50によって算出されるPM堆積量は時間を追って増加してゆき、
図4のグラフに示すように、第2堆積量よりも大きな第1堆積量以上となる場合がある。つまり、PM堆積量が、第1の再生制御モードの自動再生によってはあまり減少せず、第1堆積量以上に増加してしまう場合がある。第1堆積量は、例えばDPF41が捕集できる粒子状物質の上限量に対して約60%から約70%となる値に設定される値である。PM堆積量が第1堆積量を超えるような状態は、第1の再生制御モードによる自動再生の効率を向上させて出来るだけ早くPM堆積量を減少させなくてはならない段階である。このため、PM堆積量が第1堆積量以上になると、DPF41の自動再生を補助し促進するために第2の再生制御モードを実施する。
【0077】
作業者が、第2の再生制御モードによる表示器11の表示及び警告音に従ってアクセル操作をして、エンジン回転数を所定の回転数以上に上昇させた場合は、排気温度がさらに上昇し、DPF41に堆積した粒子状物質の燃焼が促進されてPM堆積量が減少する。
ここで、PM堆積量が順調に減少して、第1の再生制御モードを実施するか否かの基準である第2堆積量未満となったとき、即ち、自動再生よって粒子状物質が順調に燃焼してPM堆積量が少なくなった段階(第2堆積量未満)で、フィルタ再生制御手段60は、第2の再生制御モードを終了する。
【0078】
本実施形態によれば、PM堆積量を基にしてエンジン回転数の上昇を要求し、自動再生によるDPF41の燃焼を促す。そして、自動再生が進み、PM堆積量が確実に減少した時点で適切に回転数上昇の要求を停止している。これによって、PM堆積量が所定値となるまでの適切な期間だけエンジン回転数の上昇を要求することができ、不用意なエンジン回転数の上昇が無くなり、自動再生による燃料消費を抑えることができる。
【0079】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
なお、上述した実施形態における自動再生について、「吸気スロットルの絞り」を一例として説明したが、自動再生は「吸気スロットルの絞り」だけに限定されず、燃料のポスト噴射によるDPFの再生を自動再生に加えてもよい。ポスト噴射とは燃焼後のガスに燃料を噴射することによって、DPF41の温度上昇を促進する動作のことである。
【0080】
また、各再生制御モードで行う自動再生において、「吸気スロットルの絞り」を行うか、「ポスト噴射」を行うかは、適宜組み合わせてもよい。例えば、第1の再生制御モードは、吸気スロットルの絞りを行うこととし、そのうえで、第2の再生制御モード52において、水温や排気温度が十分に上昇したときに、吸気スロットルの絞りに加えてポスト噴射を開始してもよい。
【0081】
さらに、上述の各実施形態では、PM堆積量が所定の堆積量以上となったこときっかけとして自動再生(第1の再生制御モード)を開始したが、自動再生を開始するきっかけは、PM堆積量を基準としなくてもよい。例えば、DPF41(又は、排出ガス浄化装置31)の入側と出側での排気圧力の差、つまり差圧センサ44が検出する差圧を基準としてもよい。差圧センサ44が検出する差圧が所定圧力以上となれば、既に述べたようにDPF41内のPM堆積量が所定の堆積量以上となっていると考えることができるので、差圧センサ44が検出する差圧を自動再生を開始するきっかけとして用いることができる。
【0082】
同様に、第2実施形態において、作業者に対してディーゼルエンジン9の回転数を上げることを要求する警告を発する動作(第2の再生制御モード)も、PM堆積量ではなく、DPF41(又は、排出ガス浄化装置31)の入側と出側での排気圧力の差(差圧)を基準として開始してもよい。
第2実施形態において、自動再生(第1の再生制御モード)を開始するきっかけに、DPF41(又は、排出ガス浄化装置31)の入側と出側での排気圧力の差(差圧)を採用した場合でも、PM堆積量を採用した場合と同様に、第1の再生制御モードを開始した後に第2の再生制御モードを開始する。このとき、第1の再生制御モードを開始するときの温度指標は、第2の再生制御モードを開始するときの温度指標以下の値である場合が多い。
【0083】
また、本発明のDPF41の再生制御は、バックホー1の他、コンパクトトラックローダ(CTL)、トラクタなどの作業を行う建設機械や農業機械についても、適用することができる。