特許第5795973号(P5795973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5795973磁性粒子を収集するためのテーパー状のキュベットおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795973
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】磁性粒子を収集するためのテーパー状のキュベットおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   G01N35/02 A
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-54478(P2012-54478)
(22)【出願日】2012年3月12日
(62)【分割の表示】特願2007-527655(P2007-527655)の分割
【原出願日】2005年6月7日
(65)【公開番号】特開2012-108162(P2012-108162A)
(43)【公開日】2012年6月7日
【審査請求日】2012年3月30日
【審判番号】不服2014-481(P2014-481/J1)
【審判請求日】2014年1月10日
(31)【優先権主張番号】10/863,881
(32)【優先日】2004年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507262268
【氏名又は名称】バイオキット, エセ.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】タルマー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】リマリック, キャスリン
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー, ゲイリー
【合議体】
【審判長】 尾崎 淳史
【審判官】 渡戸 正義
【審判官】 三崎 仁
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2003/090897(WO,A1)
【文献】 特開平06−160401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床分析時の光学分析のために、流体媒体における磁性粒子の操作に使用する容器であって、
a)垂直軸と、
b)前記垂直軸に実質的に垂直な開放頂部と、
c)閉鎖底部と、
d)光学分析用の一対の対向する側面と、磁性粒子接合用の別の一対の対向する側面とを含む4つの側面であって、前記4つの側面の各々は前記容器の開放頂部から前記容器の閉鎖底部に延び、光分析用の前記一対の対向する側面の各側面、または、磁性粒子接合用の前記一対の対向する側面の各側面は、長軸を含み、前記長軸に沿った平面が前記容器の前記垂直軸に実質的に平行であり、前記容器の開放頂部に隣接して前記容器の少なくとも一つの側面の外面上に位置し、かつ前記容器の基部に向かって延びる伸張突起を含み、各前記突起は、前記容器が同じ形状の容器と積み重ねられると、第1の容器の外面と第2の容器の内面との間に0mmより大きく約0.25mm以下の間隙を規定するような約4mm〜7mmの長さを有する容器。
【請求項2】
前記閉鎖底部は、凸面である、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記光分析用の前記一対の前記対向する側面の前記側面の各々、または、磁性粒子接合用の前記一対の前記対向する側面の前記側面の各々は、対称である、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
磁性粒子接合用の前記一対の対向する側面の合わせた表面積に対する、光学分析用の前記一対の対向する側面の合わせた表面積の比率が、約4:1〜約2:1の範囲にある、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記比率は、約3:1である、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
光学分析用の前記側面は、実質的に透明の材料から構成される、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記容器の前記底部におけるよりも前記容器の前記頂部において、前記容器の内部断面積がより大きい、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
磁性粒子接合用の前記一対の対向する側面の前記側面の各々、または、光学分析用の前記一対の対向する側面の前記側面の各々は、前記垂直線に対して5.8度の角度でテーパー状である、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記容器は、前記容器の前記頂部に位置するフランジをさらに備える、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
前記容器は、前記容器の対向する側面上に、前記容器の前記頂部から外側に1.33mm延びる2つのフランジを備える、請求項1に記載の容器。
【請求項11】
前記フランジは、前記容器の全ての側面上で前記容器の前記側面から実質的に同じ距離延びる、請求項9または10に記載の容器。
【請求項12】
前記第1の容器と前記第2の容器との間の前記間隙は、少なくとも0.01mmである、請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
本発明は、一般的に、サンプルを保持するためのキュベットに関する。より具体的には、本発明は、磁性粒子を使用している自動化イムノアッセイデバイスにおいて分析されるサンプルを保持するためのキュベット、およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]
キュベットは、光学測定を必要としている医学的診断試験手順用における使用のための、サンプル(例えば反応混合物のアリコート、環境サンプル、血液、尿またはそれらの画分)の保持のために、代表的に使われる。サンプルにおける目的の分析物の固定化、捕捉または回収は、磁性粒子を使用して達成され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]
医学的研究の目標は、臨床診断試験手順(例えばイムノアッセイ)を自動化し、スループットを増加させることよって、研究効率を強化することである。自動化臨床診断デバイスは、研究人員と、サンプルと、臨床診断機器との間の相互作用の数を最小化すると同時に、所定の時間枠における手動のアッセイよりもより大量のサンプル数を分析する。
臨床診断法において使用される臨床サンプル(通常、少量で利用可能)および試薬は、高コストである。
磁性粒子を利用する自動化アッセイは、目的の分析物を収集および分析するために、サンプルの磁性粒子を実質的に全て捕捉しなければならない。
【0004】
[0004]
従って、少量の流体(例えば、サンプル流体および試薬流体)に適応し、少量の流体中の磁性粒子を捕捉、洗浄、および再懸濁する自動化臨床診断デバイスにおいて使用するためのキュベットを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]
本願明細書に記載される本発明は、自動化臨床サンプル分析(例えば自動化イムノアッセイ)における使用のための容器を特徴とする。
【0006】
[0006]
一つの態様では、本発明は、デバイス(例えば開放頂部、閉鎖底部および少なくとも4つの側面を備える容器またはキュベット)に関する。4つの側面のうちの少なくとも2つは、互いに対向する。1つの実施形態において、対向する側面は、平坦かつ対称である。その容器の側面のうちの少なくとも2つは、開放頂部から容器の閉鎖底部に向かってテーパー状である。この容器は、開放頂部においてより大きな内部断面積を有し、閉鎖底部においてより小さい内部断面積を有する。この容器のテーパー状の側面は、垂線に対して約5.82°の角度でテーパー状である。1つの実施形態において、閉鎖底部は、凸面である。
【0007】
[0007]
本発明の1つの実施形態において、対向する側面の一対の合わせた表面積は、他の側面の合わせた表面積よりも大きい。他の側面の合わせた表面積と比較した、対向する側面の合わせた表面積の比率は、約4:1〜約2:1(好ましくは約3:1)の範囲である。本発明の1つの実施形態において、容器の内部断面積は、容器の底部よりも容器の頂部において大きい。
【0008】
[0008]
本発明の1つの実施形態において、対向する側面の少なくとも一つの一対は、実質的に透明な材料から構成される。
【0009】
[0009]
本発明の1つの実施形態において、上記容器はまた、分析機器において直立位置および水平位置にその容器を保持するために、容器の開放頂部に位置するフランジを備える。本発明の別の実施形態では、その容器は、容器の対向側面の容器の頂部から外へ1.33mm延びる2つのフランジを含む。別の実施形態では、そのフランジは、全ての側面上で、容器の側面から実質的に同じ距離だけ延びる。
【0010】
[00010]
本発明の1つの実施形態において、上記容器はまた、その容器の1つの側面の外面に突起を備える。この突起は、フランジから、容器の側面に沿って延びる。本発明の1つの実施形態において、容器は、類似の容器と積み上げられる。積層構造の場合は、容器の側面上の突起が、容器を分離させるのに役立つ。第1の容器の外面と第2の容器の内面とが、少なくとも4.5mmの第1の容器と第2の容器との間の空間を規定する。1つの実施形態において、容器間の空間は、その突起の深さと実質的に等価である。
【0011】
[00011]
別の態様においては、本発明は、自動化臨床診断デバイスに容器を装填するための容器カートリッジに関する。この容器カートリッジは、複数の容器を備える。第1の容器の外面と第2の容器の内面とが、第1の容器と第2の容器との間の空間を規定する。第1の容器と第2の容器との間の空間は、少なくとも4.5mmである。別の実施形態では、第1の容器と第2の容器との空間は、第1の容器の表面上の突起によって規定される。この容器カートリッジは、自動化臨床診断デバイスに装填されて、自動的に供給され得る。
【0012】
[00012]
別の態様において、本発明は磁性粒子を収集する方法に関し、この方法は、
磁石と、流体中の磁性粒子を含む容器とを提供する工程、
その磁性粒子をその磁石に引きつける工程、
その流体から磁石で磁性粒子を移動させる工程、
を包含する。1つの実施形態において、この方法は、磁性粒子が流体から外に移動した後、容器から流体を除去する工程をさらに包含する。1つの実施形態において、磁石が、流体から磁性粒子を移動させるために移動される。別の実施形態では、容器が、流体から磁性粒子を移動させるために移動される。
【0013】
[00013]
別の態様においては、本発明は、容器内の磁性粒子を洗浄するためのデバイスに関する。デバイスは、管腔を備えているかまたは容器を受容するホルダを備える。このホルダは、まっすぐな側面およびそのまっすぐな側面と対向する傾斜した側面を備える。まっすぐな側面は、ホルダ管腔内の位置からホルダ管腔の外の位置まで相互に移動可能であるレバーアームを備える。このレバーアームは、ホルダ管腔ないに容器を保持するために、ホルダ管腔に向かって付勢されている。本発明の1つの実施形態において、そのレバーアームは、ばねをさらに備える。本発明の別の実施形態では、デバイスは、磁石をさらに備える。
【0014】
[00014]
本発明のこれらの態様および他の態様は、一般的な例示を意味し、本発明を制限しない、以下の詳細な説明および添付の図面から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[00015] 本発明の例示的な実施形態に従う、テーパ状の容器の概略的な正面斜視図である。
図2】[00016] 本発明の例示的な実施形態に従う、テーパー状の容器の概略的な平面図である。
図3】[00017] 本発明の例示的な実施形態に従う、突起を備えるテーパー状の容器の概略的な側面図である。
図4】[00018] 本発明の例示的な実施形態に従う、テーパー状の容器の側面の突起の概略的な断面側面図である。
図5】[00019] 本発明の例示的な実施形態に従う、2つの積み重ねられたテーパー状の容器の概略的な側面図である。
図6】[00020] (A)は、磁性粒子洗浄デバイスに入り、磁石と接合しているテーパー状の容器の略図である。[00021] (B)は、容器の側面に磁性粒子を捕捉し、磁石が容器の上部へ移動するにつれて、磁性粒子が流体から外へ移動した後の、図6(A)に示される磁性粒子洗浄デバイスにおけるテーパー状の容器の略図である
【発明を実施するための形態】
【0016】
[00022]
本明細書中に記載される本発明は、臨床分析機器(イムノアッセイ計測器を含む)用の容器(例えば光学キュベット)に関する。後述する本発明の実施形態は、以下:
開放頂部および閉鎖底部、少なくとも4つの側面を備える容器であって、その4つの側面のうちの少なくとも2つは、テーパー状である、
という共通特徴を有する。この側面はまた、互いに対向し、かつ平坦である少なくとも2つの側面を含む。このテーパー状の側面は、開放頂部から閉鎖底部に向かってテーパー状である。
【0017】
[00023]
一般的に、上記容器は、流体媒体(例えば、分析用因子を含む懸濁液または溶液)の磁性粒子(例えばビーズ)を、洗浄するか、すすぐか、またはさもなければ操作するためのレザバーとして機能するキュベットである。
【0018】
[00024]
図1は、本発明の例示的な実施形態による、テーパ状の容器の概略正面斜視図である。図1を参照すると、図示されている容器2は、開放頂部20および閉鎖底部18を有する。この容器2は、4a、4a’、4b、4b’の少なくとも4つの側面を有し、この4a、4a’、4b、4b’の少なくとも4つの側面のうちの少なくとも2つは、互いに対向している。これら2つの対向する側面(例えば、2つの対向する側面4b、4b’)は、一対の対向する側面を形成する。この容器2は、4つより多い(例えば、5、6、7、8またはそれより多い)側面を有し得る。
【0019】
[00025]
図1への参照を続けて、一対の対向する側面(例えば、4b、4b’)は平坦である。これは、4b、4b’の各側面の全表面が、実質的に平面であり、この平面の外側に屈曲またはアークしていないことを意味する。本発明の別の実施形態では、4a、4a’、4b、4b’のうち2対の対向する側面が、平坦である。他の実施形態では、容器は4つより多い側面(図示せず)を有することができ、4a、4a’、4b、4b’のうち2対より多い対向する側面が平坦である。
【0020】
[00026]
図1への参照を続けて、1つの実施形態において、対向する側面の一対は、その側面の対の各側面に、光学測定計測器(例えば分光光度計)における使用のための光学窓を備える。光学窓を備える光学的側面の対(例えば、4b、4b’)は対称であり、このことは、4b、4b’が、それぞれ容器2の頂部20および容器の底部18において同一の幅を有し、かつこの側面4b、4b’が、容器2の頂部20から容器2の底部18に向かって同一のテーパーの角度24を有することを意味する。側面4a、4a’、4b、4b’のテーパー角度24は、容器2の頂部20から容器2の垂直軸と平行に、そしてその垂直軸に対して測定され、4℃〜10℃の範囲である。1つの実施形態において、各側面4a、4a’、4b、4b’は、二等辺の台形を形成する。
【0021】
[00027]
さらに図1を参照して、本発明の1つの実施形態において、光学窓を備える側面4b、4b’の一対の表面積は、光学窓を備えない側面4a、4a’の表面積より大きい。光学窓を備えない側面4a、4a’の表面積に対する、光学窓を備える側面4b、4b’の表面積の比率は、約4:1〜約2:1であり、好ましくは3:1である。本発明に従う別の実施形態では、容器2の各側面4a、4a’、4b、4b’の表面積は、等しい。
【0022】
[00028]
光学窓を備えていない側面(例えば4a、4a’)は、磁性粒洗浄手順の間の磁性粒子接合部位として機能する。例えば、1つの実施形態に従って、粒子接合側面4a、4a’は平坦であり、光学窓を有する側面4b、4b’よりも狭く、対向する側面の1つ以上の対を形成する。磁性洗浄手順の間、粒子接合表面4a、4a’の平面は、磁石が容器2に接合するための均一な表面を提供し、それによってその粒子接合部位4a、4a’の全表面にわたる均一な磁束密度を作成する。磁石が、容器2の粒子接合側面4a、4a’に接合する場合、磁性粒子は、磁石に引きつけられ、粒子接合側面4a、4a’の平面に沿って、一様に蓄積する。カーブ型またはアーチ型の表面と比較した平面の利点は、カーブ型またはアーチ型の粒子接合表面が中心1点の接合だけで磁石を接合し、磁石がこの点において非常に強い束密度となることである。磁石接合のこの中心点に隣接している表面では、磁束密度が減少する。磁束密度が変動する結果、磁性粒子は、最大の束密度の点に集合し、互いに積み重なる。粒子が積み重なる場合、少量の磁性粒子が溶液から抜かれ、より大量の磁性粒子が破壊され、損傷を受けるか、または磁性洗浄手順の間に失われる。粒子が積み重なると、粒子間に夾雑物および他の廃棄物質を捕捉してしまい、このことが不十分な洗浄をもたらす。
【0023】
[00029]
図1の参照を続けると、本発明の1つの実施形態において、容器2の閉鎖底部18は、容器2の内部体積と関連して種々の形状(例えば、凸面、凹形または平面が挙げられる)を有し得る。閉鎖底部18と、容器2の側面4a、4a’、4b、4b’との間の角部は、種々の形状(例えば、丸いかまたは四角が挙げられる)を有し得る。容器2の閉鎖底部18は、容器2の開放頂部20の表面積未満である表面積を有する。
【0024】
[00030]
なお図1を参照して、容器2の側面4a、4a’、4b、4b’は、容器2の開放頂部20から容器2の閉鎖底部18に向けてテーパー状である。この側面4a、4a’、4b、4b’がテーパー状であり、その結果、容器2の垂直軸28に対して垂直な平面において測定された容器2の内部断面積22は、容器2の底部18より容器2の上部20において大きい。容器2の側面4a、4a’、4b、4b’は、容器2の垂直軸28に対して、約5°〜約7°(好ましくは約5.8°)の角度24でテーパー状である。
【0025】
[00031]
容器2のテーパー状の側面4a、4a’、4b、4b’は、磁性粒子をそれらが懸濁されている流体媒体から分離するために使用される臨床機器において、磁石(例えばNeodymiumから構成される磁石)による容器2の1つの側面4a、4a’、4b、4b’へ磁性粒子を引き付けるのを容易にする。例えば、磁石(図示せず)は、容器2の狭い底部18に磁性粒子を引きつけ、その磁性粒子は、より短い距離を移動する。この磁石は次いで、一緒に磁性粒子を運搬しながら、その容器2の側面4a、4a’、4b、4b’に沿って垂直に動かされる。好ましい実施形態において、磁性粒子の収集は、図1に例示される狭い粒子接合側面4a、4aに沿って発生する。容器2の平坦な粒子接合側面4a、4a’の狭い幅に沿った磁性粒子の収集は、粒子分離のために必要とする時間がより短く、そして、円筒状の形状であり、カーブしているかまたは屈曲している側面を有する円筒状容器よりも粒子の損失がより少ないという結果をもたらす。
【0026】
[00032]
容器2のテーパー状の側面4a、4a’、4b、4b’はまた、容器2に含まれる流体サンプルの光学的読み取りを容易にする。好ましい実施形態において、容器2の光学的側面4b、4b’は、光学読み取りのために使用される。容器2の光学側面4b、4b’は、その容器の粒子接合側面4a、4a’よりも広い。隣接する狭い粒子接合側面4a、4a’と合わせて、テーパー状の容器2は、光学的検出のための光学側面4b、4b’の大きな表面積を提供し、このことによって、分析のためにより少量の流体しか必要としない。
【0027】
[00033]
なお図1を参照して、1つの実施形態において、容器2は、約0uL〜約1300uL、好ましくは約450uL〜約1340uL、そしてより好ましくは、約450uLの液量を有する。
【0028】
[00034]
図1への参照を続けて、本発明に従う1つの実施形態において、容器2は、容器2の頂部20において、対向する側面4a、4a’、4b、4b’の外面38上に突起8を備える。1つの実施形態において、この容器2は、対向する側面4a、4a’、4b、4b’の1つの対の上に突起8を備える。別の実施形態では、容器2は、対向する側面4a、4a’、4b、4b’の1つより多い対の上に突起8を備える。図1に例示される好ましい実施形態において、容器2は、狭い粒子接合側面4a、4a’の対の上に突起8を備える。
【0029】
[00035]
図2は、テーパー状の容器の模式的な平面図である。例示的な容器2は、開放頂部20の周囲にフランジ14、14’を備え、これらは、容器2の側面4a、4a’、4b、4b’の内面40からそれぞれ距離30、30’延びている。1つの実施形態において、このフランジ14、14’は、容器2の垂直軸28に垂直な平面上に延びる。1つの実施形態において、このフランジ14、14’の幅は、容器2の各側面4a、4a’、4b、4b’において実質的に等しく、容器2の頂部20上において容器2の側面4a、4a’、4b、4b’の内面40から約1mm〜2mm(好ましくは、約1.5mm)である。別の実施形態において、容器2の光学側面4b、4b’上のフランジ14は、等しい距離30だけ延びるが、しかしフランジ14’が粒子接合側面4a、4a’を延びる距離30’とは等しくない。別の実施形態において、フランジ14、14’は、各側面4a、4a’、4b、4b’上を等しくない距離30、30’だけ延びる。好ましい実施形態において、光学的側面4b、4b’上のフランジ14は、約0.5mm〜約2.0mm(好ましくは、約0.5mm)の距離30だけ延び、粒子接合側面4a、4a’上のフランジ14’は、約0.5mm〜約2.0mm(好ましくは、約0.5mm)の距離30’だけ延びる。フランジ14は、14’、直立および水平な位置に容器2を保持するように機能する。別の実施形態では、容器2は、フランジを有さない。
【0030】
[00036]
なお図2を参照して、本発明の1つの実施形態では、容器2の内側角部26(光学的側面4b、4b’と粒子接合側面4a、4a’とが出会う場所)の各々は、約70°〜約110°の範囲、好ましくは約80°〜約100°、そしてより好ましくは90°の角度を形成する。直角は、例えば容器2の長さを最小限にしながら、容器2の内部容量を最大にする。
【0031】
[00037]
図3は、本発明の例示的な実施形態に従う突起を備えるテーパー状の容器の模式的な側面図である。図3を参照すると、本発明の1つの実施形態によれば、容器2は、容器2の頂部20から容器2の側面4a、4a’に沿って、約4mm〜約7mm(好ましくは約5mm)の長さ10だけ延びる突起8を備える。この突起8は、容器2の側面4a、4a’から約3mm〜約4mm(好ましくは約3.5mm)の幅12だけ突出する。別の実施形態において、この突起8の幅12は、容器2の側面4a、4a’、4b、4b’の全ての幅を延びる。
【0032】
[00038]
図3への参照を続けて、1つの実施形態では、容器2の頂部20の表面に対して、この容器の側面4a、4a’、4b、4b’上の中央に配置される。
突起8の底部44は、例えば、種々の形状(例えば、丸いか、とがっているか、または平坦)を有し得る。
【0033】
[00039]
図4は、本発明の例示的な実施形態による、テーパー状の側面上の突起び断面側面図である。例示的な突起8の頂部幅50は、容器2の対応する側面4a、4a’、4b、4b’に沿った対応するフランジ14、14’の幅30、30’に等しい。別の実施形態では、突起8の頂部幅50は、約0.1%〜約30%の範囲の量だけ、容器2の対応する側面4a、4a’、4b、4b’に沿った対応するフランジ14、14’の幅30、30’よりも大きいかまたは小さい。
【0034】
[00040]
図4への参照を続けて、本発明の1つの実施形態によれば、突起8の外面52は、容器2の垂直軸28と実質的に平行である。突起8の外面52と、容器2の側面4a、4a’、4b、4b’との間の角度は、容器2の垂直軸28に対する容器2の側面4a、4a’、4b、4b’のテーパーの角度24と、実質的に等しい。
【0035】
[00041]
本発明の1つの実施形態に従って、容器2は、類似の光学的特性を有する分野の当業者に公知の、実質的に半透明のポリマーまたは他の物質から構成される。このポリマーは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンまたは四フッ化エチレン樹脂であり得る。
【0036】
[00042]
図5は、本発明の例示的な実施形態による、2つの積み重ねられたテーパ状容器の略図である。図示する容器2は、類似の容器2と積み重ね可能である。第1の容器2は、容器2の垂直軸28に沿って、第2の容器2’に嵌入される。積層構造にある場合は、1つの実施形態において、第1の容器2の突起8の底部44は、第2の容器2’の頂部20に支持される。他の実施形態では、第1の容器2は、第2の容器2’のフランジ14’に支持される。容器2、2’の頂部20、20’は、それぞれ、突起8の長さ10に実質的に等しい距離58だけ、分離される。第1の容器2と第2の容器2’との間の距離58は、約4mm〜約5mm(好ましくは4.2mm)である。
【0037】
[00043]
図5への参照を続けて、本発明の1つの実施形態によれば、容器2、2’が積層構造である場合は、第1の容器2の外面38は、分離間隙60だけ、第2の容器2’の内面40’から分離される。第1の容器2と第2の容器2’との間の分離間隙60は、突起8の長さ10によって決定される。突起8の長さ10を増加させることは、容器2、2’間の分離間隙60を増加させる。突起8の長さ10を減少させることは、容器2、2’間の分離間隙60を減少させる。
【0038】
[00044]
この分離間隙60は、容器2、2’の表面38、40’が接触し、傷つくのを防止するので、第1の容器2と第2の容器2’との間の分離間隙60は利点である。容器2の側面4a、4a’、4b、4b’の傷は、2つの対向する光学的側面および容器2に含まれる流体を通る光の分析的光線の透過に干渉する。光透過に対する干渉は、光を使用する分析機器(例えば、分光光度計)で測定されるサンプルの特性を変える。
【0039】
[00045]
図5への参照を続けて、1つの実施形態において、複数の容器2が積み重なり、自動化臨床診断デバイスに容器2を装填するための容器カートリッジ92を形成する。この容器カートリッジ92は、複数の容器2を備え、第1の容器2の外面38と第2の容器2’の内面40’とが、第1の容器2と第2容器2’との間の間隙60を規定している。第1の容器2と第2の容器2’との間の間隙60は、約0mm〜約0.25mm(好ましくは約0.1mm)の範囲である。第1の容器2と第2の容器2’との間の間隙60は、第1の容器2の外面38上の突起8により規定される。この容器カートリッジ92は、10〜20個の容器2(好ましくは15個の容器2)を含む。
【0040】
[00046]
さらに図5を参照して、容器カートリッジ92に容器2を積み重ねることによって、より多数の容器2が、同数の積み重ねられない容器よりも少ない体積で配置され得る。容器カートリッジ92は、一工程で、臨床分析機器に複数の容器2を装填する。この臨床分析機器に配置された容器装填器(図示せず)は、必要とされる時間で、その臨床分析機器に1つの容器2を自動的に供給する。この容器カートリッジ92はまた、保管の間に内部容器の滅菌を維持し、かつオペレーターの介入をより必要としない。
【0041】
[00047]
図6(A)は、磁性粒子洗浄デバイスに入り、磁石と接合しているテーパー状容器の略図である。図示する容器2は、磁性粒子洗浄デバイス90を備える自動化臨床診断デバイス(図示せず)において使用され、一つ以上の粒子洗浄手順を受ける。自動化臨床診断デバイスは、一つ以上の磁性粒子洗浄デバイス90ステーション(例えば、2、4、8、または12個のステーション)を有し得る。粒子洗浄手順は、容器2の中で反応流体80(例えば、サンプル)を、洗浄溶液で希釈する工程、反応流体80中の磁性粒子82を粒子接合側面4a、4a’に磁気的に引きつける工程、廃棄物容器(図示せず)に反応流体80を吸引する工程、および磁性粒子82を注入された洗浄溶液(図示せず)で洗浄する工程を包含する。
【0042】
[00048]
磁性粒子洗浄デバイス62において、本発明の1つの実施形態によれば、容器2は、レバーアーム64(例えば、ばね荷重式のレバーアーム64)によって、容器ホルダ62において、適所に維持される。容器2が容器ホルダ62まで降ろされるにつれて、容器2の力がレバーアーム64のばね84を圧縮する。レバーアーム64の本体は、容器ホルダ62の内面から測定して距離86だけ、レバーアーム64の外面に引っ込む。1つの実施形態において、容器ホルダ62の外面は、レバーアーム64が容器ホルダ62を通過できるように切り離されている。ばね荷重式のレバーアーム64の張力は、容器ホルダ62内で適切な向きに容器2を維持する。
【0043】
[00049]
さらに図6(A)を参照して、本発明に従う1つの実施形態において、容器2は、容器ホルダ62まで降ろされて、磁石66と接合する。磁石66は、最初に容器2の狭い底部18で、容器2を接合する。磁石66が容器2に接合する場所で、流体80に懸濁された磁性粒子82は磁石66に引きつけられ、容器2の粒子接合側面4a、4a’に沿って収集される。磁性粒子82は、容器2の狭い底の18の部分において収集され、この磁性粒子82は短い距離を移動し、低い磁束密度が磁性粒子82を流体80から抜き出すために必要とされる。容器2の頂部20の方向へ磁性粒子82を運びながら、磁石66は次いで、容器2の頂部20の方へ、粒子接合側面4a、4a’に沿って上方へ移動する。1つの実施形態において、磁石はNeodymium磁石であり、そして、約20mm〜約30mm(好ましくは約25mm)の接触面積を有し、約12,000ガウス〜約13,000ガウス(好ましくは約12,500ガウス)[グレード38のNeodymium磁石]の磁気強さを有する。
【0044】
[00050]
図6(B)は、磁性粒子が磁石によって容器の側面に捕捉され、流体から出された後の、図6(A)に示される磁性粒子洗浄デバイスのテーパー状容器の略図である。図示する容器2は、容器ホルダ62まで降ろされ、そして、ばね荷重式レバーアーム64がその容器2を、その容器2の粒子接合側面4aが粒子66に対して実質的に垂直になるまで傾ける。その傾けられた位置において、レバーアーム64に対する容器2の対向する側面4a’は、容器ホルダ62の垂直面に対して、約10°〜約14°(好ましくは約12°)の角度68に保持される。容器2がその垂直軸28のほぼ中央に置かれる場合、傾けられた位置における容器2の対向する側面4a’の角度68は、容器2のテーパーの角度24の2倍に実質的に等しい。同じ傾けられた位置において、容器2の底部18は、容器ホルダ62の水平表面に対して、約4°〜約6°(好ましくは約5°)の角度70で保持される。容器2がその垂直軸28のほぼ中央に置かれる場合、傾けられた位置の容器2の底部18の角度68は、容器2のテーパーの角度24に実質的に等しい。
【0045】
[00051]
さらに図6(B)を参照して、本発明に従う1つの方法において、容器2が容器ホルダ62まで降ろされるにつれて、磁石66の位置は、容器2の粒子接合側面4aに対して移動する。磁石66が容器2の粒子接合側面4aに沿って進むにつれて、磁性粒子82は、その磁石66に引きつけられたまま、容器2の粒子接合側面4aに対して磁石66とともに移動する。1つの実施形態において、容器ホルダ62、磁石66および磁性粒子82が上方に移動しながら、容器2は固定されたまま保持される。別の実施形態では、容器2が下方に移動しながら、容器ホルダ62、磁石66および磁性粒子82が固定されたまま保持される。容器2の粒子接合側面4a、4a’に沿って粒子を移動させるいずれの手段によっても、磁性粒子82は、容器2の粒子接合側面4aに沿って流体80内から容器2の頂部20の方へ移動し、流体80から出る。
【0046】
[00062]
図6(B)への参照を続けて、流体(例えば洗浄流体、試薬流体またはサンプル流体)を除去するための本発明による1つの方法において、吸引プローブ78が吸引位置72まで容器2に降ろされる間、傾けられた容器2は、傾けられた位置に保持される。吸引位置72は、容器2の傾けられた対向する側面4a’の角部に形成され、容器ホルダ62の垂直面に対して角度68で保持され、そして容器2の傾けられた底部18は、容器ホルダ62の水平面に対して角度72で保持される。この位置では、容器2内の流体媒体80は、吸引位置72に向かって流れ、吸引プローブ78によって容器2から吸引される。傾けられた容器2によって形成される吸引位置72によって、容器2が水平であり、かつ吸引が容器2の底部18の全ての表面積全体に実行される場合よりも完全な吸引が可能になる。容器2のテーパー状の側面4a、4a’、4b、4b’、によって、容器2が傾き、吸引位置72を想定することが可能になる。
【0047】
[00053]
さらに図6(B)を参照して、本発明の1つの方法によれば、流体80が容器2から吸引される前に、磁性粒子82は流体80から引き出され、容器2の粒子接合側面4aに沿って流体80より上に保持される。流体80の外に磁性粒子82を保持することにより、流体吸引の間に失われる磁性粒子82の数を減らす。
【実施例】
【0048】
[00054]
以下の実施例において、450uL+/−30uLの流体媒体および磁性粒子[Dynabeads M280、Dynal、Oslo,Denmark]を含む容器を、自動化臨床診断デバイスの磁性粒子洗浄デバイスに配置する。液量が420uL以下である場合、所望の液量に達するまで、流体媒体を加えた。磁石を容器と接触させ、磁性粒子を流体媒体から分離させるために、約25秒間静止状態に保持した。一旦磁性粒子が分離されたら、その磁石を上方へ移動させ、流体媒体の凹凸より上に磁性粒子を引き上げ、そして吸引プローブが流体媒体を取り除く間、流体より上にその磁性粒子を保持した。吸引後、磁石を下方へ移動させ、そして流体媒体中に磁性粒子を再度沈めた。
【0049】
[00055]
流体が容器から吸引された後、すすぎ溶液を、その容器の頂部より上に位置する注入用チューブによって、その容器内に注入した。すすぎ溶液は、容器の粒子接合側面に向かう角度で注入した。磁性粒子は、容器の壁面から洗い流され、このことにより磁性粒子を洗浄溶液中に再懸濁する。アッセイに依存して、いくつかの洗浄サイクルが実施され得る。各洗浄サイクルにおいて、流体媒体からの粒子の磁気分離、流体媒体の吸引、および注入すすぎ溶液による洗浄の工程が繰り返され、その後容器内容物の分析の前に流体媒体の最終的な吸引が行われる。
【0050】
[00056]
流体80の外で磁性粒子82を保持することにより、吸引の間に失われる磁性粒子82の数を、各サイクル当たりの流体媒体において磁気粒子総数の約0.0%〜約0.5%に減らす。同じデバイスを使用しているが、吸引の間流体80内に磁性粒子82を保持する試験において、吸引の間に失われる磁性粒子82の数は、約5%〜約20%の割合まで増加した。このパーセント損失は、500nmで1〜10回の磁性粒子洗浄サイクルの後、容器の吸光度を測定し、そして磁性粒子洗浄を受けなかった3〜5個の参照容器による平均吸光度から測定された吸光度を減算することによって決定した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6