特許第5795981号(P5795981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795981
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】スプリンクラヘッド取付具
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/68 20060101AFI20150928BHJP
   A62C 37/14 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   A62C35/68
   A62C37/14
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-63189(P2012-63189)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-192752(P2013-192752A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】沢田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】中川 治靖
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−108917(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/061238(WO,A1)
【文献】 特開2007−236443(JP,A)
【文献】 特開2002−306626(JP,A)
【文献】 実開昭57−154464(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/00 − 37/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火配管に連結される配管連結口、感熱部が接続される感熱部取付口、および消火ヘッドが接続されるヘッド連結口とを有する本体と、該本体内に設けられ、常時は、前記配管連結口を閉止する弁体と、前記感熱部に設けられ、前記弁体を常時閉弁状態に支持し、火災発生時には感熱により開弁せしめる感熱支持部材とを備えたスプリンクラヘッド取付具において、
前記弁体は、閉弁時は前記本体の配管連結口側の弁座に圧接され、開弁時は前記本体の感熱部取付口側の弁座に圧接される、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたシール部材を弁部外周部に有し、
前記弁体を開弁側に付勢し、開弁時に、前記配管連結口に接続された消火配管内が負圧であっても、該負圧に抗して前記弁体を押圧して開弁させる付勢手段を備える
ことを特徴とするスプリンクラヘッド取付具。
【請求項2】
消火配管に連結される配管連結口、感熱部が接続される感熱部取付口、および開放型消火ヘッドが接続されるヘッド連結口とを有する本体と、該本体内に設けられ、常時は、前記配管連結口を閉止する弁体と、前記感熱部に設けられ、前記弁体を常時閉弁状態に支持し、火災発生時には感熱により開弁せしめる感熱支持部材とを備えたスプリンクラヘッド取付具において、
前記本体の感熱部取付口側の弁座、または、前記弁体の前記感熱部取付口側の弁座と対向する面に設けられて、閉弁時は前記開放型消火ヘッドを介して外気に曝され、
開弁時は前記感熱部取付口側へ押圧される前記弁体と前記感熱部取付口側の弁座との間で圧接されて前記感熱部取付口を閉止する、
溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたシール部材と、
前記弁体を開弁側に付勢し、開弁時に、前記配管連結口に接続された消火配管内が負圧であっても、該負圧に抗して前記弁体を押圧して開弁させる付勢手段と、
を備えることを特徴とするスプリンクラヘッド取付具。
【請求項3】
前記本体の配管連結口側の弁座または前記弁体は、閉弁時は前記弁体と前記配管連結口側の弁座との間で圧接されて前記配管連結口を閉止する、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたシール部材を、さらに有することを特徴とする請求項に記載のスプリンクラヘッド取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラ消火設備に用いるスプリンクラヘッド取付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラ消火設備に用いる閉鎖型スプリンクラヘッドは、放水口を閉鎖する弁体と、該弁体を常時は閉弁状態に支持し、火災発生時には感熱により前記弁体を開弁せしめる感熱部と、該放水口から供給される消火水を分散させる散水部と、を備えている。このヘッドは、火災時に発生する熱を感熱部が早期に感知できるようにするため、通常天井下面近傍の熱気流通路に配設される。
【0003】
ところが、天井下面近傍にダクト等の障害物がある場合には、熱気流通路に該ヘッドを配設すると、散水時に障害物が邪魔となり、設計通りに散水することができない。
【0004】
そこで、常時は閉弁状態であり、火災発生時には感熱により開弁せしめる感熱部を備えたスプリンクラヘッド取付具が発明されている(特許文献1を参照)。
【0005】
このスプリンクラヘッド取付具は、消火配管とスプリンクラヘッドとの間に介在するように接続され、感熱部とスプリンクラヘッドとを互いに分離し、任意の位置に配設することができることから、感熱部は感熱に最適な位置に配設でき、又、スプリンクラヘッドは散水障害の発生しない適宜の位置に配設することができるので、火災発生時には感熱部が迅速に弁体を開放させ放水を開始させるとともに、スプリンクラヘッドから散水される消火水は設計通りの散水領域に散水される。
【0006】
上記のような従来のスプリンクラヘッド取付具に接続される消火配管は、一般的なスプリンクラ消火設備では、加圧された流体、すなわち、湿式スプリンクラ消火設備の場合は消火用水、乾式スプリンクラ消火設備の場合は空気や窒素等の気体、の何れかが充填されている。そして、その圧力によって、スプリンクラヘッド取付具内の弁体は開弁方向へ付勢される。この弁体は、常時は、感熱部によって閉弁状態に支持されているので閉弁しているが、火災発生時は、感熱部が発生する熱を感知して前記弁体の支持を開放せしめるように動作するので、消火配管からの圧力によって前記弁体が開弁し、消火ポンプから圧送されてくる消火用水は、開弁したスプリンクラヘッド取付具の二次側に接続されたスプリンクラヘッドから散水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−108917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のスプリンクラヘッド取付具に取り付けるスプリンクラヘッドは、通常、開放型スプリンクラヘッドが用いられる。すなわち、障害物を避けて散水障害の発生しない位置に配設すると、殆どの場合は感熱に最適な位置ではないことによる。開放型スプリンクラヘッドが取り付けられたスプリンクラヘッド取付具の内部は、開放型スプリンクラヘッドを介して外気に曝される。
【0009】
そして、外気が腐食雰囲気であった場合、スプリンクラヘッド取付具内部も腐食雰囲気に暴露し、内部の弁体が腐食によって弁座に固着してしまい、スプリンクラヘッド取付具内部の弁体が弁座に固着してしまうと、火災時に発生する熱を感知した感熱部が弁体の支持を開放せしめるように動作しても弁体は開弁せず、散水できない虞がある。
【0010】
また、先に述べたように、従来のスプリンクラヘッド取付具は、接続される消火配管内が加圧されていて火災時に開弁できるものである。
【0011】
しかしながら、常時、消火配管内を吸引して負圧に保ち、火災の熱によってスプリンクラヘッドの感熱部が作動して開弁することによって消火配管内の圧力が上昇したことを検出するとともに、火災区画の火災感知器が火災発報することによって、予作動弁を開弁する負圧型の予作動式スプリンクラ消火設備(例えば、特開2011−152269号公報に開示されているスプリンクラ消火設備)が用いられる場合がある。このような負圧式スプリンクラ消火設備は、スプリンクラヘッドが破損したような場合に、破損箇所から消火用水が流れ出さないよう、常時は予作動弁二次側の消火配管内を負圧にしている。
【0012】
そして、このような負圧式スプリンクラ消火設備の消火配管に、従来のスプリンクラヘッド取付具を接続した場合、その内部の弁体は負圧である消火配管側に吸引されるので、火災時に発生する熱を感知した感熱部が弁体の支持を開放せしめるように動作しても弁体は開弁せず、消火配管内の圧力が変化しないので、火災感知器が火災発報したとしても予作動弁が開弁されず、スプリンクラヘッドから散水することができない。
この発明は上記事情に鑑み、常時、消火配管内が負圧であるスプリンクラ消火設備であっても、火災時に開弁することができ、さらに、腐食雰囲気中であっても弁体が固着することがなく、確実に動作するスプリンクラヘッド取付具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)この発明のスプリンクラヘッド取付具は、消火配管に連結される配管連結口、感熱部が接続される感熱部取付口、および消火ヘッドが接続されるヘッド連結口とを有する本体と、該本体内に設けられ、常時は、前記配管連結口を閉止する弁体と、前記感熱部に設けられ、前記弁体を常時閉弁状態に支持し、火災発生時には感熱により開弁せしめる感熱支持部材とを備えたスプリンクラヘッド取付具において、前記弁体は、閉弁時は前記本体の配管連結口側の弁座に圧接され、開弁時は前記本体の感熱部取付口側の弁座に圧接される、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたシール部材を弁部外周部に有し、前記弁体を開弁側に付勢し、開弁時に、前記配管連結口に接続された消火配管内が負圧であっても、該負圧に抗して前記弁体を押圧して開弁させる付勢手段を備えることを特徴とする。
【0014】
(2)また、この発明のスプリンクラヘッド取付具は、消火配管に連結される配管連結口、感熱部が接続される感熱部取付口、および開放型消火ヘッドが接続されるヘッド連結口とを有する本体と、該本体内に設けられ、常時は、前記配管連結口を閉止する弁体と、前記感熱部に設けられ、前記弁体を常時閉弁状態に支持し、火災発生時には感熱により開弁せしめる感熱支持部材とを備えたスプリンクラヘッド取付具において、前記本体の感熱部取付口側の弁座、または、前記弁体の前記感熱部取付口側の弁座と対向する面に設けられて、閉弁時は前記開放型消火ヘッドを介して外気に曝され、開弁時は前記感熱部取付口側へ押圧される前記弁体と前記感熱部取付口側の弁座との間で圧接されて前記感熱部取付口を閉止する、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたシール部材と、前記弁体を開弁側に付勢し、開弁時に、前記配管連結口に接続された消火配管内が負圧であっても、該負圧に抗して前記弁体を押圧して開弁させる付勢手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
(3)また、この発明のスプリンクラヘッド取付具は、(2)において、前記本体の配管連結口側の弁座または前記弁体は、閉弁時は前記弁体と前記配管連結口側の弁座との間で圧接されて前記配管連結口を閉止する、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたシール部材を、さらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上記(1)、(2)に記載の構成によれば、スプリンクラヘッド取付具に接続される消火配管内が常時負圧であったとしても、火災発生時に発生する熱を感知した感熱部が弁体の支持を開放せしめるように動作した場合は、スプリンクラヘッド取付具の弁体が付勢手段によって開弁側に付勢されているので、弁体を開弁して、接続されたスプリンクラヘッドから散水させることができる。したがって、消火配管内が常時負圧であったとしても、従来のスプリンクラヘッド取付具と同様に、感熱部とスプリンクラヘッドとを互いに分離し、任意の位置に配設することができるので、感熱部は感熱に最適な位置に配設でき、又、スプリンクラヘッドは散水障害の発生しない適宜の位置に配設することができ、従って、火災発生時には感熱部が迅速に弁体を開放させ放水を開始させるとともに、スプリンクラヘッドから散水される消火水は設計通りの散水領域に散水されるので、迅速、かつ、効果的な消火を行うことができる。また、腐食雰囲気中であっても開弁時に感熱部取付口が完全に密封されるので、散水時にガイドの貫通部から消火用水が浸み出すことがない。
【0020】
また、上記(3)に記載の構成によれば、腐食雰囲気中であっても弁体が弁座に固着することがなく、火災時に散水できなくなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1に係るスプリンクラ取付具の外観図で、図1(a)は閉弁状体を、図1(b)は開弁状体を、それぞれ示す図である。
図2図1の縦断面図で、図2(a)は閉弁状体を、図2(b)は開弁状体を、それぞれ示す図である。
図3】実施の形態2に係るスプリンクラ取付具の縦断面図で、図3(a)は閉弁状態を、図3(b)は開弁状体を、それぞれ示す図である。
図4】実施の形態3に係るスプリンクラ取付具の縦断面図で、図4(a)は閉弁状体を、図4(b)は開弁状体を、それぞれ示す図である。
図5】実施の形態4に係るスプリンクラ取付具の縦断面図で、図5(a)は閉弁状体を、図5(b)は開弁状体を、それぞれ示す図である。
図6】実施の形態5に係るスプリンクラ取付具の縦断面図で、図6(a)は閉弁状体を、図6(b)は開弁状体を、それぞれ示す図である。
図7図1乃至図6のスプリンクラヘッド取付具を介して、開放型スプリンクラヘッドを消火配管に取り付けた、消火設備の配設状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、本発明のスプリンクラ取付具を用いる消火設備について、後述する各実施の形態に共通な配設状態の構成を図7に基づいて説明する。
【0024】
天井20の下面20a近傍に熱気流通路21が位置する。この熱気流通路21は火災時に発生する熱気流が通る通路であり、通常天井の下面20aより、例えば、10cm程度下方までに位置する。
【0025】
この熱気流通路21の範囲内に常時は閉弁しているスプリンクラヘッド取付具1の感熱部Dが位置するように配設され、天井下に配設された消火配管Kは、スプリンクラヘッド取付具1及びヘッド連結管Eを介してスプリンクラヘッドFが連結される。
【0026】
スプリンクラヘッド取付具1は、筒状の本体1aを備えている。この本体1aの側方の一端には消火配管Kに連結される配管連結口Aが形成され、本体1aの側方の他端には感熱部Dの取付口Jが形成され、又、両端の中央部下方にはヘッド連結口Bが突設され、該本体1aは全体としてT字形をなす。
【0027】
ヘッド連結口Bは、本体1aの両端の中央部下方に形成されているが、その位置は必要に応じて適宜選択することができる。このヘッド連結口Bには、ヘッド連結管Eが接続されるが、この管Eの長さはこのヘッド連結管Eに設けたスプリンクラヘッドFの設計配置位置になる様に決められる。この設計配置位置は散水する上で障害物となるダクトG等による散水障害が発生せず、かつ、効率よく散水できる位置である。
【0028】
ヘッド連結管Eの先端には、消火用水を分散せしめる散水部を備えた開放型スプリンクラヘッドFが設けられる。
【0029】
スプリンクラヘッド取付具1の取付状態は上記に限定されるものではなく、例えば、図7の状態を左に90度回転して感熱部Dだけを天上付近の熱気流通路21の範囲内に設けても良い。このような方向に設置すると、感熱部Dがどの方向からの熱気流も受け易くなるので、感度の方向性をなくすことができる。
【0030】
次に、本発明のスプリンクラ取付具の動作について、詳しくは後述する各実施の形態において説明するが、各実施の形態に共通な消火設備の動作を図7に基づいて説明する。
【0031】
常時、即ち、火災監視時には、スプリンクラヘッド取付具1内の弁体は、感熱部Dのグラスバルブ11により押圧され閉弁状態を維持しており、消火配管K内の消火用水Wはスプリンクラヘッド取付具1内へ流入しないようになっている。
【0032】
火災が発生すると、熱気流が天井下面20a近傍の熱気流通路21を通り、グラスバルブ11を加熱する。この熱気流による加熱によって、グラスバルブ11のアルコールが膨張し、作動温度(例えば、60℃〜122℃の範囲の所定温度)に達するとグラスバルブ11のガラス管を破壊するので、スプリンクラヘッド取付具1内部の弁体は、該弁体を開放側に付勢している付勢手段によって開弁し、配管連結口Aから消火用水Wがスプリンクラヘッド取付具1に流れ込み、さらにヘッド連結口B方向に流れ、ヘッド連結管Eを通り開放型スプリンクラヘッドFの散水部に衝突し分散されながら図示しない消火領域に散水される。この時、スプリンクラヘッド取付具1内部の弁体により感熱部取付口J側には水が流れないので、開放型スプリンクラヘッドFに十分な消火用水Wを供給できる。開放型スプリンクラヘッドFはダクトGの下方の設計配置位置に配設するので、散水障害が発生することはない。
【0033】
このように本発明のスプリンクラヘッド取付具1の感熱部は、放水口から分離独立してその上流側に離間して設けられている。このように感熱部と放水口とを分離し、離間させたので、両者は互いに独立して自由な位置に配設できる。そのため、感熱部は熱感知に最適な場所、例えば、熱気流通路内に配設し、又、散水部は散水障害が無い、消火に最適な場所に配設することができる。
【0034】
なお、感熱部Dにグラスバルブ11を用いて説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、前記作動温度が同等の、例えば、可溶金属やバイメタル等を用いてもよい。
【0035】
また、ヘッド連結管Eを用いる代わりに、ヘッド連結口Bを伸ばし、その先端をスプリンクラヘッドFの設計配置位置としても良い。
【0036】
また、ヘッド連結口Bが開放型スプリンクラヘッドFの設計配置位置まで伸びている時には、前記ヘッド連結管Eは省略することができる。
【0037】
また、ヘッド連結管Eと開放型スプリンクラヘッドFとの間に、接続継手としてのレジューサを介在させても良い。この場合、ヘッド連結管Eの先端に取り付けられたレジューサの先端をスプリンクラヘッドFの設計配置位置とする。
【0038】
また、開放型スプリンクラヘッドFとしては、例えば、過去において閉鎖型スプリンクラヘッドとして設置され、火災により開弁して開放型スプリンクラヘッドと同様な状態になったヘッド、いわゆる使用済みの閉鎖型スプリンクラヘッドを開放型スプリンクラヘッドとして再利用しても良い。
【0039】
また、感熱部取付口Jにフレーム型のスプリンクラヘッドの形状を有する感熱部Dを取り付ける代わりに、フラッシュ型のスプリンクラヘッドの形状を有する感熱部を取り付けても良い。
【0040】
なお、後述する各実施の形態において、上記スプリンクラヘッド取付具1は、各実施の形態で用いる符号に合わせて、スプリンクラヘッド取付具10、100、101、102と、上記スプリンクラヘッド取付具本体1aは、各実施の形態で用いる符号に合わせて、10a、100a、101a、102aと、それぞれ読み換える。
[実施の形態1]
【0041】
本発明に係るスプリンクラヘッド取付具の実施の形態1について、図1、2および7に基づいて、その構成を説明する。
【0042】
本発明に係るスプリンクラヘッド取付具1は、本体1aの一端(図7においては本体1aの側方の一端)に消火配管Kに連結される配管連結口Aを有し、本体1aの他端(図7においては本体1aの側方の他端)に感熱部取付口Jを有し、該両端間、すなわち配管連結口Aと感熱部取付口Jの間、の中央部(図7においては本体1a中央部下方)にヘッド連結口Bが突設され、全体としてT字形をなす筒状の本体1aを備える。
【0043】
感熱部取付口Jにはフレーム型スプリンクラヘッドの形状を有するフレーム2が(図7においては側方に)突設して設けられる。感熱部取付口Jに螺着されるフレーム2は、複数の支持部2aを備えている。支持部2aは、例えば円周方向に120゜または180°等の間隔をおいて配設された3本または2本等の支持部であり、感熱部取付口Jの反対側で連結されてフレーム2を形成しており、その連結部の中心には、感熱支持部材としてのグラスバルブ11を感熱部取付口J側へ押圧して固定するための止めねじ13が螺着される。
【0044】
本体1a内には、前記両連結口間を遮断する弁体3が配設されている。この弁体3は、弁部3aと、該弁部3aの裏面側の弁棒部3bとグラスバルブ受5とからなる弁体軸部と、からなるピストン型弁体である。該弁部3aの表面側、すなわち配管連結口A側は円錐台状に形成され、その裏面は平面状に形成されている。又、弁部3aの外径は、本体1aの内径と略等しく形成されている。弁部3aの表面側中央部には、さらに、配管連結口A側の弁座9内の開口部よりも小径の突起部が設けられ、該突起部の基端部周縁に第1のシール部材としてのOリング6が、閉弁時に本体1aの配管連結口A側の弁座9へ圧接されて閉止されるように設けられる。なお、Oリング6の詳細については後述する。
【0045】
弁体3の弁棒部3bの後端3cが挿入される貫通路を有するガイド4が、本体1aの感熱部取付口J側に設けられており、弁棒部3bはガイド4の貫通路内を摺動できるようになっている。弁棒部後端3cの後端面には、グラスバルブ受5が螺着されている。このグラスバルブ受5の先端側は前記弁棒部後端3cの後端面と一体化されるように形成されて弁体軸部を構成し、又、グラスバルブ受5の底部には、グラスバルブ11の挿着孔5aが設けられている。
【0046】
感熱部Dの感熱支持部材としてのグラスバルブ11は、ガラス管と、該ガラス管内に封入されたアルコールと、から構成されている。該グラスバルブ11の先端は、グラスバルブ受5の挿着孔5aに挿入され、その後端は、フレーム2に螺着された止めねじ6により押圧されている。このとき、弁体軸部としてグラスバルブ受5と一体化された弁棒部3bもグラスバルブ11によって押圧され、その先端に設けられOリング6を備えた弁部3aを弁座9へ圧接して常時閉弁状態に支持している。
【0047】
弁体3を開弁側へ付勢する付勢手段として、グラスバルブ受5周縁部に突設された凸部と、ガイド4の貫通路周囲であって前記凸部と対向するフレーム2の面との間に、ばね12が配設される。ばね12は、例えば、内径が弁棒部3bの外径より僅かに大きいコイルばねからなり、弁棒部3bの外周に配設される。そして、前記凸部は、ばね12の外径よりも大きな直径を有し、ばね12が脱落しないようにする。火災発生時には、火災による熱気流を感熱部Dが感熱して、感熱支持部材であるグラスバルブ11が破壊され、ばね12によって弁体3は開弁せしめられる。
【0048】
グラスバルブ受5と弁棒部3bとが一体化された弁体軸部の長さは、必要に応じて適宜選択されるが、例えば、開弁して放水する時、常時に感熱支持部材があった位置に、弁体軸部の後端が止めねじ13に当接するまで移動する様な長さが選ばれ、かつ、開弁時に前記後端が止めねじ13に当接するとき、弁部3aの裏面、すなわち弁部3aの感熱部取付口J側が本体1aの感熱部取付口側のガイド4の弁座面7に圧接されるように、前記弁体軸部の長さが決定される。
【0049】
こうすることで、開弁して放水する時、弁部3aによって本体1a内をヘッド接続口B側へと流れる消火用水の流れを損なうことがなく、また、ガイド4の貫通路を閉止して感熱部D側へ放水することがないようにしている。
【0050】
ところで、本体1aの内部は、閉鎖型のスプリンクラヘッド等と異なって、ヘッド連結口B、ヘッド連結管E、開放型スプリンクラヘッドFを介して外気に曝される構造であり、それ故、外気の影響を直接受ける。このため、Oリング6は、感熱部Dの感熱支持部材であるグラスバルブ11の作動温度(例えば、60℃〜122℃)よりも十分に高い温度の耐熱性が要求される。また、周囲が腐食性雰囲気の場合は、耐腐食性も要求される。すなわち、第1のシール部材としてのOリング6は、溶融温度が感熱部Dの作動温度よりも十分高い、例えば溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されることが望ましい。
【0051】
従来、消火設備における水密目的の封止構造で用いられていたシール部材としてのエラストマーは、耐腐食性がなく耐熱限界が80℃程度しかないゴムや、耐熱限界が200℃程度のフッ素ゴムやシリコーンゴム等がある(例えば、特開平11−253570号公報を参照)。しかしながら、その程度の耐熱限界では、安定した温度で燃焼するわけではない火災時に、感熱部Dが作動する前にシール部材が溶融し、弁体3が弁座9に固着してしまう虞がある。したがって、上記従来のエラストマーは本実施の形態におけるOリング6に用いることはできなかった。
【0052】
ここに、パーフロロエラストマーであるカルレッツ(登録商標)は、耐腐食性を備えるとともに、耐熱限界が316℃以上であり、エラストマーとして最高の耐熱温度を有しているので、本実施の形態における第1のシール部材としてのOリング6に用いることができる。
【0053】
そして、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマー、例えばカルレッツ(登録商標)で第1のシール部材であるOリング6を形成することによって、火災時に感熱部が作動する前に弁体3が弁座9に固着することがなく、また、腐食雰囲気中であっても弁体3が弁座9に固着することがない、スプリンクラヘッド取付具1を実現できる。
【0054】
また、感熱部Dについては、金属部品を用いないグラスバルブ11を使用することによって耐食性が向上する。
【0055】
次に、この実施の形態における動作について説明する。常時、即ち、火災監視時には、弁体3は感熱部Dのグラスバルブ11により押圧され閉弁状態を維持するので、消火配管K内の消火用水Wはスプリンクラヘッド取付具1内へ流入しない。
【0056】
火災が発生すると、熱気流が天井下面20a近傍の熱気流通路21を通り、グラスバルブ11を加熱する。そうすると、グラスバルブ11のアルコールが膨張してガラス管を破壊させる。弁体3は開弁方向へ付勢している付勢手段としてのばね12により押圧され、ガイド4に規制されながら摺動して開弁する。
【0057】
したがって、開弁時に、配管連結口Aに接続された消火配管K内が負圧であっても、前記付勢手段としてのばね12を、前記負圧に抗して弁体3を押圧するほどの付勢力としておくことによって、弁体3をガイド4に規制されながら摺動して開弁させることができ、ヘッド連結口Bに消火用水Wを流すと共に弁体3により感熱部取付口側Jには消火用水Wを流さないことができる。
【0058】
なお、弁体として、弁部と弁軸部とを備えたピストン型弁体を用いて説明したが、必ずしもこのタイプの弁体に限定されるものではない。
【0059】
また、第1のシール部材としてOリング6を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、同様の素材を用いたパッキンであっても良い。
【0060】
また、弁体を開弁側に付勢する付勢手段として、フレーム2とグラスバルブ受5周縁部に突設された凸部との間に介在し、弁棒部3bの外周に配設される、ばね12を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、付勢手段の配設位置は本体1aの内部であっても良いし、ばね以外の付勢手段であっても良い。
[実施の形態2]
【0061】
本発明に係るスプリンクラヘッド取付具の実施の形態2について、図3に基づいて、その構成を説明する。なお、実施の形態1と同じ構成、作用を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
本実施の形態に係るスプリンクラヘッド取付具10の構成が、実施の形態1と異なる点は、弁構造にある。すなわち、弁部3aに代えて配管連結口A側の面を円錐台状に形成した弁部30aを備え、第1のシール部材としてのOリング6に代えて弁部30aの配管連結口A側の突起部に係止され、弁部30aより僅かに小径の皿ばね60を備え、皿ばね60より小径であり、皿ばね60が弁体から脱落することを防止する止め輪8を前記突起部に設けたことにある。そして、これらの変更点との整合をとるために、本体1aを本体10aに、弁体3を弁体30に、弁棒部3bを弁棒部30bに、弁棒部後端3cを弁棒部30cに、配管連結口側の弁座9を弁座90に、それぞれ符号を変更している。
【0063】
皿ばね60は、テフロン(登録商標)のコーティングを施すことによって、耐腐食性およびシール性を高めることができる。テフロン(登録商標)の溶融温度は327℃であり、感熱部Dの感熱支持部材であるグラスバルブ11の作動温度(例えば、60℃〜122℃)よりも十分に高い温度の耐熱性を備えるので、火災時に感熱部が作動する前に弁体30が弁座90に固着することがない。
【0064】
なお、止め輪8は、皿ばね60の脱落を防止するものであるが、必ずしも設ける必要はなく、皿ばね60自体が弁部30aの突起部に係止されるようにしても良い。
【0065】
また、弁体30の皿ばね60、止め輪8を用いる代わりに、弁体30の弁部30aの表面を直接弁座90に圧接できるようにしても良い。このとき、弁部30aまたは弁座90に、テフロン(登録商標)のコーティングを施すことによって、耐腐食性およびシール性を高めることができることは、上記同様である。
【0066】
本実施の形態に係るスプリンクラヘッド取付具10の動作は、閉弁時以外は、実施の形態1に係るスプリンクラヘッド取付具1と同じである。そして、本実施の形態における閉弁時の動作を説明すると、閉弁時に皿ばね60は弁部30aに押圧されて本体10aの配管連結口A側の弁座90に圧接され、両連結口A、B間の連通を遮断するものである。
【0067】
実施の形態1と同様に、弁体30を開弁方向に付勢する付勢手段としてのばね12を備えるので、配管連結口Aに接続される消火配管K内が負圧であったとしても火災時に開弁することができる。また、第1のシール部材としての皿ばね60にテフロン(登録商標)のコーティングを施すことによって、腐食負雰囲気でも弁体が弁座に固着することを防止することができる。
【0068】
また、弁体を開弁側に付勢する付勢手段として、フレーム2とグラスバルブ受5周縁部に突設された凸部との間に介在し、弁棒部30bの外周に配設される、ばね12を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、付勢手段の配設位置は本体10aの内部であっても良いし、ばね以外の付勢手段であっても良い。
[実施の形態3]
【0069】
本発明に係るスプリンクラヘッド取付具の実施の形態3について、図4に基づいて、その構成を説明する。なお、実施の形態1と同じ構成、作用を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
本実施の形態に係るスプリンクラヘッド取付具100の構成が、実施の形態1と異なる点は、弁構造にある。
【0071】
すなわち、弁部3aの配管連結口A側の面に設けた第1のシール部材としてのOリング6に代えて、第1のシール部材として、配管連結口A側の弁座9に代えて設ける弁座900に設けられ、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたパッキン600を備える。該パッキン600はワッシャー状の形状であり、開弁時に配管連結口A側から流入する消火用水Wの流れを阻害しないように、その中央部が開口している。
【0072】
さらに、第2のシール部材として、本体100aの感熱部取付口J側の弁座700に設けられ、開弁時は弁体3に代えて設ける弁体300の弁部300aの感熱部取付口J側の弁座700と対向する側が圧接される、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたパッキン610を備える。該パッキン610はワッシャー状の形状であり、弁棒部3bに代えて設ける弁棒部300bがガイド4に挿入され摺動できるように中央部が開口している。
【0073】
また、弁部300aの配管連結口A側の面に、閉弁時にパッキン600を押圧して封止する円状の突起部710を備え、弁部300aの感熱部取付口J側の面に、開弁時にパッキン610を押圧して封止する円状の突起部720を備える。
【0074】
そして、これらの変更点との整合をとるために、弁棒部後端3cを弁棒部300cに、符号を変更している。
【0075】
次に、この実施の形態における動作について説明する。常時、即ち、火災監視時には、弁体300は感熱部Dのグラスバルブ11により押圧され、弁部300aの配管連結口A側の面に設けた突起部710が、本体100aの配管連結口A側の弁座900に設けたパッキン600に圧接され、閉弁状態を維持するので、消火配管K内の消火用水Wはスプリンクラヘッド取付具100内へ流入しない。
【0076】
火災が発生すると、熱気流が天井下面20a近傍の熱気流通路21を通り、グラスバルブ11を加熱する。そうすると、グラスバルブ11のアルコールが膨張してガラス管を破壊させる。弁体300は開弁方向へ付勢している付勢手段としてのばね12により押圧され、ガイド4に規制されながら摺動して開弁する。
【0077】
したがって、開弁時に、配管連結口Aに接続された消火配管K内が負圧であっても、前記付勢手段としてのばね12を、前記負圧に抗して弁体300を押圧するほどの付勢力としておくことによって、弁体300をガイド4に規制されながら摺動して開弁させることができ、ヘッド連結口Bに消火用水Wを流すことができる。同時に、弁体300は付勢手段としてのばね12により押圧され、弁部300aの感熱部取付口J側の面に設けた突起部720が、本体100aの感熱部取付口J側の弁座700に設けたパッキン610に圧接され、ガイド4と弁棒部300bとの間を封止するので、感熱部取付口側Jには消火用水Wを流さないことができる。
【0078】
そして、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマー、例えばカルレッツ(登録商標)で第1のシール部材であるパッキン600を形成することによって、火災時に感熱部が作動する前に弁体300が弁座900に固着することがなく、また、腐食雰囲気中であっても弁体300が弁座900に固着することがない、スプリンクラヘッド取付具100を実現できる。
【0079】
また、第2のシール部材であるパッキン610を設けることによって、開弁時に感熱部取付口Jが完全に密封されるので、散水時にガイドの貫通部から消火用水が浸み出すことがない。
【0080】
なお、弁体として、弁部と弁軸部とを備えたピストン型弁体を用いて説明したが、必ずしもこのタイプの弁体に限定されるものではない。
【0081】
また、第1のシール部材としてパッキン600、第2のシール部材としてパッキン610を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、同様の素材を用いたOリングであっても良い。
【0082】
また、弁体を開弁側に付勢する付勢手段として、フレーム2とグラスバルブ受5周縁部に突設された凸部との間に介在し、弁棒部300bの外周に配設される、ばね12を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、付勢手段の配設位置は本体100aの内部であっても良いし、ばね以外の付勢手段であっても良い。
【0083】
また、散水時にガイド4の貫通部から消火用水が浸みだしてもその量が無視できるほどであれば、第2のシール部材としてのパッキン610を設けなくても良い。
[実施の形態4]
【0084】
本発明に係るスプリンクラヘッド取付具の実施の形態4について、図5に基づいて、その構成を説明する。なお、実施の形態3と同じ構成、作用を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
本実施の形態に係るスプリンクラヘッド取付具101の構成が、実施の形態3と異なる点は、弁構造にある。
【0086】
すなわち、第1のシール部材として弁座900に設けたパッキン600に代えて、弁体300に代えて設けた弁体301の弁部301aの配管連結口A側の面に、第1のシール部材として、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたパッキン601を備えた。
【0087】
また、第2のシール部材として弁座700に設けたパッキン610に代えて、弁部301aの感熱部取付口J側の面に、第2のシール部材として、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたパッキン611を設けた。
【0088】
また、前記パッキン601および611が弁部301aから脱落することを防止する止め輪801、811を設け、止め輪801と弁部301aとでパッキン601を、止め輪811と弁部301aとでパッキン611を、それぞれ挟持するようにした。
【0089】
また、弁部300の配管連結口A側の面に設けた突起部710に代えて、本体101aの配管連結口A側に設けた弁座901に円状の突起部711を設け、閉弁時にパッキン601が圧接されて封止されるようにした。
【0090】
また、弁部300の感熱部取付口J側の面に設けた突起部720に代えて、本体100aの感熱部取付口J側に設けた弁座701に円状の突起部721を設け、開弁時にパッキン611が圧接されて封止されるようにした。
【0091】
そして、これらの変更点との整合をとるために、弁棒部300bを弁棒部301bに、弁棒部後端300cを弁棒部301cに、符号を変更している。
【0092】
すなわち、実施の形態3において、弁座に設けていた第1および第2の封止部材としてのパッキンを弁部に設けるようにし、さらに、前記パッキンと対向して弁部に設けていた円状の突起部を弁座に設けるようにしたものである。
【0093】
この実施の形態における動作は、実施の形態3の動作と同様であり、上記したように、前記パッキンと、該パッキンと対向して設ける円状の突起部の位置を読み換えることによって理解される。また、その効果も同様である。
【0094】
なお、弁体として、弁部と弁軸部とを備えたピストン型弁体を用いて説明したが、必ずしもこのタイプの弁体に限定されるものではない。
【0095】
また、第1のシール部材としてパッキン601、第2のシール部材としてパッキン611を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、同様の素材を用いたOリングであっても良い。
【0096】
また、弁体を開弁側に付勢する付勢手段として、フレーム2とグラスバルブ受5周縁部に突設された凸部との間に介在し、弁棒部301bの外周に配設される、ばね12を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、付勢手段の配設位置は本体101aの内部であっても良いし、ばね以外の付勢手段であっても良い。
【0097】
また、散水時にガイド4の貫通部から消火用水が浸みだしてもその量が無視できるほどであれば、第2のシール部材としてのパッキン611を設けなくても良い。
[実施の形態5]
【0098】
本発明に係るスプリンクラヘッド取付具の実施の形態5について、図6に基づいて、その構成を説明する。なお、実施の形態4と同じ構成、作用を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
本実施の形態に係るスプリンクラヘッド取付具102の構成が、実施の形態4と異なる点は、弁構造にある。
【0100】
すなわち、第1および第2のシール部材として弁部301aに設けたパッキン601、611に代えて、弁体301に代えて設けた弁体302の弁部302aの外周部に、第1および第2のシール部材を共用する、溶融温度が300℃より高く、かつ、耐腐食性のあるエラストマーで形成されたOリング602を備えた。
【0101】
また、閉弁時に前記弁部302が摺動して挿入され、その外周部のOリング602が圧接して封止する筒状の弁座902を、本体102aの配管連結口A側に設けた。
【0102】
そして、これらの変更点との整合をとるために、パッキン601、611を押圧する弁座の突起部を全て廃し、弁棒部301bを弁棒部302bに、弁棒部後端301cを弁棒部302cに、符号を変更している。
【0103】
すなわち、実施の形態4における第1および第2のシール部材としてのパッキンを弁部に設けたOリングで共用したものである。
【0104】
この実施の形態における動作は、実施の形態4の動作と同様であり、上記したように、第1および第2のシール部材としてのパッキンを、第1および第2のシール部材を共用するものとしてのOリングに読み換えることによって理解される。また、その効果も同様である。
【0105】
なお、弁体として、弁部と弁軸部とを備えたピストン型弁体を用いて説明したが、必ずしもこのタイプの弁体に限定されるものではない。
【0106】
また、弁体を開弁側に付勢する付勢手段として、フレーム2とグラスバルブ受5周縁部に突設された凸部との間に介在し、弁棒部302bの外周に配設される、ばね12を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、付勢手段の配設位置は本体102aの内部であっても良いし、ばね以外の付勢手段であっても良い。
【0107】
また、散水時にガイド4の貫通部から消火用水が浸みだしてもその量が無視できるほどであれば、感熱部取付口J側の筒状の弁座702を設けなくても良い。
【0108】
なお、従来技術として記載された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1、10、100、101、102 スプリンクラヘッド取付具、
1a、10a、100a、101a、102a 本体、
2 フレーム、2a 支持部、 3、30、300、301、302 弁体、
3a、30a、300a、301a、302a 弁部、
3b、30b、300b、301b、302b 弁棒部、
3c、30c、300c、301c、302c 弁棒部後端、
4 ガイド、 5 グラスバルブ受台、 5a グラスバルブ受口、
6、60、600、601、602 第1のシール部材、
610、611 第2のシール部材、
7、702、700、701、702 感熱部取付口側弁座、
710、711、720、721 突起部、8、801、811 止め輪、
9、90、900、901、902 配管連結部側弁座、
11 グラスバルブ、 12 ばね、 13 グラスバルブ支持部
20 天井、 20a 天井下面、 21 熱気流通路、
A 配管連結口、 B ヘッド連結口、 D 感熱部、
E ヘッド連結管、 F 開放型スプリンクラヘッド
G ダクト、 K 消火配管、 J 感熱部取付口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7