【実施例1】
【0026】
図1〜
図5には、長尺状の第1〜第3の各保護ダクトD
1 〜D
3 並びに短尺状の傾斜配管アダプタA
0 、T字ダクト継手J
4 及び異高アダプタA
5 の各配管材収容部材を使用して、並列配管状態で二段配管されて計4本の管P
1 〜P
4 のうち、上段の各管P
3 ,P
4 を上段側から下段側に傾斜配管すると共に、下段の2本の管P
1 ,P
2 を屈曲配管する状態が施工順に斜視図で示されている。第1〜第3の各保護ダクトD
1 〜D
3 、T字ダクト継手J
4 、異高アダプタA
5 及び傾斜配管アダプタA
0 の各配管材収容部材は、いずれも樹脂成形品であって、壁面Wにビスを介して固定されるベース体V
1 〜V
5 ,V
0 と、当該ベース体V
1 〜V
5 ,V
0 に組み付けられて内部に配管空間を形成するカバー体L
1 〜L
5 ,L
0 とから成って、各配管材収容部材の配管路に沿った開口端部は、いずれも隣接する配管材収容部材どうしを接続する接続口となっており、配管材を直状に配管する配管材収容部材では、配管路の両端に2つの接続口を備えており、分岐配管に使用されるT字ダクト継手J
4 のみが、3つの接続口を備えている。
【0027】
第1保護ダクトD
1 は、
図6に示されるように、計4本の管P
1 〜P
4 を横方向に並列配管した状態で上下二段に配管して保護するための配管材収容部材であって、ベース体V
1 と、当該ベース体V
1 に組み付けられて内部に管収容空間K
1 を形成するカバー体L
1 とから成る。ベース体V
1 には、給水管P
1 及び給湯管P
2 を横方向に並列配管可能なように左右一対の第1保持部T
1 が一体に設けられている。各第1保持部T
1 は、横断面視で左右対称に配置されて、いずれもベース板1に一体に形成された弾性変形可能な外壁部2と内壁部3とで構成され、相隣接する内壁部3の間には、保持具Sの差込板部21が差し込まれる差込空間4が形成されている。第1保持部T
1 を構成する外壁部2と内壁部3との間の空間は、管保持空間5となっていると共に、外壁部2と内壁部3の各先端部の間の開口は、管挿入開口6となっている。外壁部2の内側面には、管保持空間5に収容される給水管P
1 又は給湯管P
2 の斜下端部を保持する保持片7が全長に亘って形成されている。一対の第1保持部T
1 の各内壁部3は、内外二重壁構造になっていて、変形剛性の高い起立壁部3aの上端部が180°だけわん曲されて変形剛性が低くて弾性変形し易い保持壁部3bとなっていて、各管P
1 ,P
2 は、外壁部2と、内壁部3の保持壁部3bとで保持される。対向配置された各起立壁部3aの間の空間が前記差込空間4となっている。対向配置された起立壁部3aの対向面には、複数の摩擦突条8(
図12参照)が長手方向に連続して形成されている。
【0028】
ベース体V
1 にカバー体L
1 を組み付けて形成される管収容空間K
1 の高さは、横方向に並列配管された状態で、上下二段に配管される計4本の管P
1 〜P
4 を収容可能な高さを有している。ベース体V
1 の外壁部2の下端部の外側は、凹状に形成されて嵌合凹部9となっていて、カバー体L
1 の対向側板部11の開口に近い部分の内側には、ベース体V
1 の嵌合凹部9に対して嵌合されて、ベース体V
1 とカバー体L
1 との組付けを可能とする嵌合凸部12が形成されている。
【0029】
保持具Sは、第1保護ダクトD
1 のベース体V
1 に左右並列配管された給水管P
1 及び給湯管P
2 に対して、左右並列配管された別の2本の管P
3 ,P
4 を上下二段に配管するための部材であって、差込板部21の先端部に保持板部22が一体に形成され、当該保持板部22の幅方向の両端部には、パイプ体の周方向の一部を長手方向に連続して欠落された形態の弾性変形可能な左右一対の第2保持部T
2 が一体に設けられている。各第2保持部T
2 の管挿入開口23は、直上に対してそれぞれ外側を向いて配置されている。前記差込板部21の基端部には、当該差込板部21を第1保護ダクトD
1 のベース体V
1 の差込空間4に差し込んだ場合に抜止めの作用を果す抜止突条24が形成されており、前記差込板部21の両側面には、前記差込状態において、第1保護ダクトD
1 のベース体V
1 の各起立壁部3aとの間で摩擦作用を果して抜止防止機能を奏する摩擦突条25が形成されている。
【0030】
そして、ベース体V
1 の左右一対の第1保持部T
1 に給水管P
1 及び給湯管P
2 をそれぞれ保持させた状態で、当該ベース体V
1 の各起立壁部3aの間の差込空間4に保持具Sの差込板部21を差し込んで、その保持板部22を内壁部3の上端のわん曲部に当接させることにより、ベース体V
1 に対してその長手方向に沿って所定間隔をおいて複数の保持具Sを配置させて、各保持具Sの左右一対の第2保持部T
2 により2本の管P
3 ,P
4 を並列配管させると、計4本の管P
1 〜P
4 は、左右並列配管された2本の管P
1 ,P
2 と、同様の2本の管P
3 ,P
4 とが上下2段に配置される。即ち、並列配管された下段の2本の管P
1 ,P
2 及び上段の2本の管P
3 ,P
4 の壁面Wからの各配管高さは、それぞれ(H
1 ),(H
2 )である。また、上段の2本の管P
3 ,P
4 は、下段の2本の管P
1 ,P
2 よりも外径が小さくて、しかも上段の2本の管P
3 ,P
4 の中心間距離(N
2 ) は、下段の2本の管P
1 ,P
2 の中心間距離(N
1)よりも短くなっている。
【0031】
第2保護ダクトD
2 は、図 7(a)に示されるように、傾斜配管アダプタA
0 により配管位置を上段から下段に変換された2本の管P
3 ,P
4 を収容するための配管材収容部材であって、ベース体V
2 とカバー体L
2 とから成り、前記第1保護ダクトD
1 において、カバー体L
1 の高さを低くしたものである。即ち、第2保護ダクトD
2 のベース体V
2 は、第1保護ダクトD
1 のベース体V
1 と同一構成である。そして、壁面Wからの配管高さが(H
2)である2本の管P
3 ,P
4 の中心間距離(N
2)は、第1保護ダクトD
1 の下段に配管された2本の管P
1 ,P
2 の中心間距離(N
1)よりも短いために、ベース体V
2 の各内壁部3を構成する起立壁部3a及び保持壁部3bを、それぞれ当該ベース体V
1 の幅方向の中心側に向けて弾性変形させる形態で保持される。なお、第2保護ダクトD
2 は、管P
1 ,P
2 を保持のためであって、当該第2保護ダクトD
2 により管P
1 ,P
2 よりも外径の小さな管P
3 ,P
4 を保持する場合には、コの字形のクリップ13を使用して、当該クリップ13と内壁部3との間で左右一対の管P
3 ,P
4 を保持すると、当該保持が安定する。
【0032】
第3保護ダクトD
3 は、図 7(b)に示されるように、第1保護ダクトD
1 の配管路に対してT字ダクト継手J
4 により90°だけ屈曲された配管路に、同一配管高さ(H
1)を保持して配管される2本の管P
1 ,P
2 を保持する部材であり、前記第2保護ダクトD
2 と同一構成であって、ベース体V
3 とカバー体L
3 とから成る。即ち、2本の管P
1 ,P
2 は、それぞれ第1保持部T
1 を構成する外壁部2と内壁部3とで保持される。
【0033】
T字ダクト継手J
4 は、
図1〜
図5に示されるように、下段の2本の管P
1 ,P
2 における90°屈曲された部分、及び上段の2本の管P
1 ,P
2 における第1保護ダクトD
1 から出た部分を、上下二段にして部分的に収容するための配管材収容部材であって、壁面Wに固定されるベース体V
4 と、当該ベース体V
4 に組み付けられるカバー体L
4 とから成る。ベース体V
4 及びカバー体L
4 は、平面視でT字状をなしていて、カバー体L
4 の第1配管方向Q
1 に沿った部分の内側面には、一対一組となった二組の係止爪G
41が設けられていると共に、カバー体L
4 の第2配管方向Q
2 に沿った部分の内側面には、一対一組の係止爪G
41が設けられている。一方、ベース体V
4 の周縁部における接続口C
41,C
42,C
43(
図4参照)を除く部分には、立壁部31が設けられ、当該立壁部31における前記カバー体L
4 の計三組の係止爪G
41に対応する部分には、ベース体V
4 に対してカバー体L
4 を組み付ける際に、前記係止爪G
41と係止される係止溝G
42(
図1参照)が形成されている。なお、
図4及び
図5において、32は、カバー体L
4 の外側において、その内側の係止爪G
41の位置が判別できるように、当該カバー体L
4 の外側面における係止爪G
41が形成されている部分に設けられた係止爪位置表示部を示す。
【0034】
異高アダプタA
5 は、
図4及び
図5に示されるように、T字ダクト継手J
4 の接続口C
43と、当該T字ダクト継手J
4 よりも高さの低い第3保護ダクトD
3 とを接続するための配管材収容部材であって、壁面Wに固定されるベース体V
5 と、当該ベース体V
5 に組み付けられるカバー体L
5 とから成る。カバー体L
4 は、高さの異なる二つの配管材収容部材であるT字ダクト継手J
4 と第3保護ダクトD
3 とを接続可能なように、第2配管方向Q
2 に沿って高さが漸次変化している。即ち、カバー体L
5 におけるT字ダクト継手J
4 の接続口C
43に接続される接続口C
51の高さは、カバー体L
5 における第3保護ダクトD
3 に接続される接続口C
52の高さよりも低くなっている。カバー体L
5 の対向側板部の内側面には、一対一組の係止爪G
51が設けられて、ベース体V
5 の立壁部33(
図2参照)におけるカバー体L
5 の係止爪G
51に対応する部分には、当該ベース体V
5 にカバー体L
5 を組み付けるための一対の係止溝G
52が対向して形成されている。また、異高アダプタA
5 のカバー体L
5 におけるT字ダクト継手J
4 との接続側には、正面視で逆U字状をした大きさの異なる2つの接続片34,35が段差状となって設けられている。
【0035】
次に、
図8〜
図13を参照して、第1保護ダクトD
1 の上段に保持された管P
3 ,P
4 を、下段の高さまで傾斜配管させるための傾斜配管アダプタA
0 について説明する。傾斜配管アダプタA
0 は、壁面Wに固定されるベース体V
0 と、当該ベース体V
0 に組み付けられるカバー体L
0 とで構成される。ベース体V
0 は、ベース板部41の幅方向の両端部を除く部分に傾斜台部42が一体に設けられて、当該傾斜台部42の上面の傾斜配管面Mは、
図8及び
図12に示されるように、第1配管方向Q
1 に沿った中央部の傾斜面43の両端に互いに逆方向にわん曲されたわん曲接続面44,45を介して第1及び第2の固定面46,47がそれぞれ連続して設けられた構成である。第1及び第2の固定面46,47は、固定具Fを介して管P
3 ,P
4 のわん曲部の上下端の各延長部をベース体V
0 に対して固定する平面部である。
【0036】
ベース体V
0 の第1及び第2の各固定面46,47には、固定具Fをビス固定するための2本のビスB
1 を螺入させる一対のビス下孔48が第1配管方向Q
1 に沿って所定間隔をおいて形成され、当該一対のビス下孔48の両側の幅方向の両端部には、固定具Fの管押え片62の先端部を部分的に挿入するための押え片挿入孔49が第1配管方向Q
1 に沿って形成されている。また、ベース体V
0 の傾斜面43の傾斜方向、及び幅方向の双方の中央部には、当該ベース体V
0 を壁面Wにビス固定するためのビスB
2 の頭部を挿入可能な頭部挿入孔51が形成され、当該頭部挿入孔51の下端部には、前記ビスB
2 を挿通させるビス挿通孔52が貫通されている。また、ベース板部41の第1配管方向Q
1 に沿った両端部には、前記ベース体V
0 を壁面に固定するための別のビス(図示せず)を挿通させるための一対一組となった二組のビス挿通孔53,54がそれぞれ形成されている。ベース板部41の計4つの各コーナー部は、いずれも箱状に形成されて、箱状に形成された部分を構成する第1配管方向Q
1 に沿った立壁板部58には、カバー体L
0 の二組の係止爪G
01と係止される二組の係止溝G
02がそれぞれ形成されている。また、傾斜台部42は、壁面Wに対する接地面の側が開口した箱状をなしていて、幅方向の中央部には、補強リブ36が設けられ、当該補強リブ36の上端部は、前記ビス下孔48を形成可能にするために厚肉部37となっている。なお、
図8において、38は、ベース体V
1 の傾斜配管面Mの幅方向の中央部、傾斜台部42の両端面、ベース板部41の上面及び端面に形成された接続及び配管の案内線であり、39は、傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 に対して第2保護ダクトD
2 のベース体V
2 の幅方向の位置決めを行うための位置決め片を示す。
【0037】
カバー体L
0 における第1配管方向Q
1 に沿った両端の開口は、それぞれT字ダクト継手J
4 の接続口C
42及び第2保護ダクトD
2 の長手方向の一端の接続口C
21(
図4参照)とそれぞれ接続される接続口C
01,C
02となっている。カバー体L
0 の接続口C
01には、正面視でU字状をした2種類の接続片55,56が段差状となって形成されているが、他方の接続口C
02には、当該接続片は形成されておらず、第1配管方向Q
1 に沿って所定長の部分が、第2保護ダクトD
2 の外側に外嵌されることにより接続される。カバー体L
0 の対向側板部の内側面における組付開口57に臨む部分には、前記ベース体V
0 に設けられた一対一組となった二組の係止溝G
02に対して係止される二組の係止爪G
01が設けられている。
【0038】
傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 に対して2本の管P
3 ,P
4 を固定するための固定具Fが
図9に示されている。固定本体部61は、管P
3 ,P
4 の外径に対応する高さを有するブロック状をなしていて、第1配管方向Q
1 に沿って配置され、当該固定本体部61の両側には、当該固定本体部61の両側に配置された2本の管P
3 ,P
4 を上方から押えるための逆U字状をした管押え片62が一体に設けられている。固定本体部61の底面61aに近い部分には、第1配管方向Q
1 に沿って所定間隔をおいて一対のビス挿通孔63が貫通されている。各ビス挿通孔63には、ビスB
1 の頭部を挿入する頭部挿入孔64がビス挿通孔63と同心となって所定深さまで形成されている。固定本体部61の底面61aにおける前記ビス挿通孔63の外側の略半分、及びその延長面は、第1配管方向Q
1 に沿って傾斜角度(θ)のテーパー面61bに形成されている。なお、
図9において、65,66は、左右一対の管押え片62を補強するための内外のリブを示し、67は、前後一対のビス挿通孔63及び頭部挿入孔64の間に設けられた肉盗み孔を示す。
【0039】
管P
3 ,P
4 の各傾斜配管部P
3a,P
4aは、側面視でわん曲するように予め「曲がり癖」が付けられていて、傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 の傾斜配管面Mに配管された管P
3 ,P
4 の上下端部の各延長部は、それぞれベース体V
1 の第1及び第2の固定面46,47に配置されて、それぞれ固定具Fによりベース体V
1 に固定される。即ち、
図10〜
図12に示されるように、固定具Fの各管押え片62によって各管P
3 ,P
4 を上方から押えて、各管押え片62の先端部をベース体V
0 の各押え片挿入孔49に挿入した状態で、固定本体部61の各ビス挿通孔63に挿通されたビスB
1 を、ベース体V
0 に形成された各ビス下孔48に螺入させ、ベース体V
0 に対して固定具Fを固定することにより、当該一対の固定具Fを介して管P
3 ,P
4 の各傾斜配管部P
3a,P
4aがベース体V
0 に固定される。
【0040】
ベース体V
0 に対して一対のビスB
1 を介して固定具Fを固定する際に、
図12(a)に示されるように、固定本体部61の一方のビス挿通孔63にビスB
1 を挿通してベース体V
0 に螺入した場合に、「曲がり癖」が付けられた管P
3 ,P
4 の各傾斜配管部P
3a,P
4aによって、固定具Fの固定本体部61における第1配管方向Q
1 の一端部が側面視においてベース体V
1 から浮き上がってしまうことがある。この場合においては、固定本体部61の底面61aの第1配管方向Q
1 に沿った両端部は、ビス挿通孔63の下端面の略半分を含んだテーパー面61bとなっているために、最初のビスB
1 の螺入後においては、固定本体部61が側面視で傾斜するが、次のビスB
1 を螺入すると、
図12(b)に示されるように、管P
3 ,P
4 の各傾斜配管部P
3a,P
4aを強制的にわん曲変形させて、固定本体部61の底面61aの全面がベース体V
0 の第2固定面47に密着した状態で、ベース体V
0 に対して固定具Fが固定される。各管P
3 ,P
4 の各傾斜配管部P
3a,P
4aは、ベース体V
0 とカバー体L
0 とで形成される管収容空間K
0 に収容される。
【0041】
上記したように、傾斜配管アダプタA
0 内に収容された管P
3 ,P
4 における傾斜配管部P
3a,P
4aの上下端部は、それぞれ上下動しないように固定具Fを介してベース体V
0 に固定されているため、傾斜配管部P
3a,P
4aの傾斜を大きくできる。換言すると、傾斜配管部P
3a,P
4aの第1配管方向Q
1 に沿った長さ(N
0)を短くしても、管P
3 ,P
4 における傾斜配管部P
3a,P
4aをしっかりと固定できる。この結果、傾斜配管アダプタA
0 の第1配管方向Q
1 に沿った長さを短くできて、壁面Wにおける当該傾斜配管アダプタA
0 の占有する面積が小さくなって、施工が容易になると共に、配管状態の見栄えもよくなる。
【0042】
特に、配管材として「架橋ポリエチレン管」或いは「ポリブテン管」を使用した場合には、管としての剛性が高い。上段に配管される配管材(管P
3 ,P
4 )は、傾斜配管アダプタA
0 における配管材の傾斜角度(θ
0 )に対応した「曲がり癖」が予め付けてあるが、この「曲がり癖」は、傾斜配管部の長さ(N
0 )を含めて上記傾斜角度(θ
0 )に完全に一致していることは少ない。このため、配管時には、予め「曲がり癖」が付けられた剛性の高い配管材をいずれかの方向に更に曲げる必要性が生じ、この場合における曲げ(再度の曲げ)の程度は、当初の「曲がり癖」を付ける場合に比較して小さいために、「再度の曲げ」は、復元力により「曲がり癖」が付けられた状態、或いはこれにに近い状態に復元されてしまう。しかし、本発明では、配管材の傾斜配管部の上下端部は、それぞれ固定具F及び一対のビスB
1 により、傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 の第1及び第2の各固定面46,47に大きな力で確実に固定できるため、配管材の傾斜配管部は、上記した「再度の曲げ」を維持したままで、ベース体V
0 に固定可能である。
【0043】
また、
図1〜
図5に示されるように、第1保護ダクトD
1 の上段に配管された2本の管P
3 ,P
4 は、平面視では直線状に配管されて、傾斜配管アダプタA
0 の各接続口C
01,C
02は、
図13に示されるように、T字ダクト継手J
4 の接続口C
42及び第2保護ダクトD
2 の接続口C
21にそれぞれ接続される。即ち、傾斜配管アダプタA
0 の一方の接続口C
01では、サイズの大きな接続片55の外側に、T字ダクト継手J
4 のカバー体L
4 が無段差状となって外嵌されて接続され、他方の接続口C
02では、第2保護ダクトD
2 のカバー体L
2 の外側に、傾斜配管アダプタA
0 のカバー体L
0 が外嵌される。
【0044】
上記において、計4本の管P
1 〜P
4 を二段配管して保持する第1保護ダクトD
1 、下段の2本の管P
1 ,P
2 の90°の屈曲部、及び上段の2本の管P
3 ,P
4 の直線部の一部を収容するT字ダクト継手J
4 、上段の2本の管P
3 ,P
4 の一部が部分的にわん曲された傾斜配管部P
3a,P
4aを収容する傾斜配管アダプタA
0 、傾斜配管部P
3a,P
4aによって下段位置に単段配管された2本の管P
3 ,P
4 を収容する第2保護ダクトD
2 、第1保護ダクトD
1 に対して直角に配置されて、T字ダクト継手J
4 で分岐された下段の2本の管P
1 ,P
2 のみを収容する第3保護ダクトD
3 及び当該第3保護ダクトD
3 とT字ダクト継手J
4 とを連結する異高アダプタA
5 について、その構成及び機能について詳細に説明したので、以下においては、
図1〜
図5を参照して、上記した各配管材収容部材を用いて、壁面Wにおいて、第1保護ダクトD
1 内に二段配管された上段の2本の管P
3 ,P
4 を側面視で部分的にわん曲させることにより、下段位置に単段配管する配管例を施工順に説明する。
【0045】
まず、
図1に示されるように、上記した各配管材収容部材を構成する各ベース体V
0 ,V
1 〜V
5 をビスを使用して壁面に固定する。即ち、第1保護ダクトD
1 のベース体V
1 、T字ダクト継手J
4 のベース体V
4 の各接続口C
41,C
42、傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 及び第2保護ダクトD
2 のベース体V
2 を当該順序で第1配管方向Q
1 に沿って直線的に接続して配置すると共に、T字ダクト継手J
4 のベース体V
4 の接続口C
43、異高アダプタA
5 のベース体V
5 及び第3保護ダクトD
3 のベース体V
3 を当該順序で第2配管方向Q
2 に沿って直線的に配置する。
【0046】
次に、
図2に示されるように、エルボE
1 ,E
2 を介して90°屈曲された給水管P
1 及び給湯管P
2 の互いに直交する各直線部分を、それぞれ第1及び第3の各保護ダクトD
1 ,D
3 の各ベース体V
1 ,V
3 の各第1保持部T
1 でそれぞれ保持させる。これにより、各管P
1 ,P
2 のエルボE
1 ,E
2 の部分は、T字ダクト継手J
4 のベース体V
4 の上に配置される。そして、第1保護ダクトD
1 のベース体V
1 の各第1保持部T
1 に2本の管P
1 ,P
2 の第1配管方向Q
1 に沿った直線部を保持させた後に、ベース体V
1 に設けられた各内壁部3の間の差込空間4に保持具Sの差込板部21を差し込んで、当該ベース体V
1 に対して第1配管方向Q
1 に沿って所定間隔をおいて必要数の保持具Sを起立姿勢で取付ける。
【0047】
次に、
図2及び
図3に示されるように、追焚用の2本の管P
3 ,P
4 を第1配管方向Q
1 に沿って配管する。追焚用の2本の管P
3 ,P
4 は、第1保護ダクトD
1 の部分では二段配管の上段に配管され、T字ダクト継手J
4 の部分では、そのままの高さを維持して導かれ、傾斜配管アダプタA
0 の部分において、上段位置から下段位置への高さ方向に沿った配管位置が変換され、第2保護ダクトD
2 の部分では、下段位置において単段配管される。従って、2本の管P
3 ,P
4 は、傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 により定められる傾斜角度(θ
0)及び傾斜部の長さ(N
0)〔
図12(b)参照〕に対応するように、その一部が予めわん曲されて「曲がり癖」が付けられた傾斜配管部P
3a,P
4aが形成されている。
【0048】
そして、2本の管P
3 ,P
4 の傾斜配管部P
3a,P
4aを挟んでその一方の各直線部を第1保護ダクトD
1 のベース体V
1 に保持された複数の保護具Sの第2保持部T
2 で保持させると共に、その他方の各直線部を第2保護ダクトD
2 の第1保持部T
1 に保持させて、各傾斜配管部P
3a,P
4aを傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 上に配置させる。この状態で、段落「0040」〜「0042」で述べたようにして、傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 に段差を有して設けられた第1及び第2の各固定面46,47において、各管P
3 ,P
4 における傾斜配管部P
3a,P
4aに近い壁面Wに対して平行な部分を固定具Fを介してベース体V
0 に固定すると、配管作業は終了する。これにより、各管P
3 ,P
4 の傾斜配管部P
3a,P
4aは、長さ(N
0)が短くて、しかも傾斜角度(θ
0)が大きいにもかかわらず、当該傾斜配管部P
3a,P
4aをベース体V
0 に強固に固定できる。
【0049】
最後に、各配管材収容部材の各ベース体V
0,V
1 〜V
5 に対してカバー体L
0,L
1 〜L
5 を組み付ける。まず、
図5に示されるように、第1〜第3の各保護ダクトD
1 〜D
3 の各ベース体V
1 〜V
3 に対してそれぞれカバー体L
1 〜L
3 を組み付け、その後に、傾斜配管アダプタA
0 のベース体V
0 及び異高アダプタA
5 のベース体V
5 に対してそれぞれカバー体L
0 ,L
5 を組み付け、最後に、T字ダクト継手J
4 のベース体V
4 に対してカバー体L
4 を組み付ける。T字ダクト継手J
4 のカバー体L
4 は、傾斜配管アダプタA
0 のカバー体L
0 の大きなサイズの接続片55及び異高アダプタA
5 のカバー体L
5 の大きなサイズの接続片34にそれぞれ外嵌されて、外周面は無段差となっている(
図13参照)。なお、第1〜第3の各保護ダクトD
1 〜D
3 のカバー体L
1 〜L
3 の接続部では、当該カバー体L
1 〜L
3 の外側にT字ダクト継手J
4 のカバー体L
4 及び異高アダプタA
5 のカバー体L
5 が第1及び第2の各配管方向Q
1 ,Q
2 に沿って所定長だけ外嵌される(
図13参照)。