(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、200000〜1300000であり、前記第2のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、300〜1200であることを特徴とする請求項1に記載の剥離シート。
大気曝露なしの状態における前記剥離シートに対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの180°剥離力(mN/20mm)を剥離力X、クラス1万(ISOクラス7)、温度23℃および湿度50%RHの条件のクリーンルームにて7日間大気曝露した前記剥離シートに対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの180°剥離力(mN/20mm)を剥離力Yとしたときに、
{(剥離力Y−剥離力X)/剥離力X}×100%
の式で表わされる剥離力変化率が、30%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の剥離シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の大気曝露による剥離力増大の理由は必ずしも明らかではないが、大気中に含まれる塵や埃などが剥離剤層に付着することが主な原因と考えられる。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、剥離シートの剥離剤層が長時間大気に曝露された場合であっても、剥離力の増大を抑制することのできる剥離シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、基材と、少なくとも前記基材の一方の面に形成された剥離剤層とを備えた剥離シートにおいて、前記剥離剤層は、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する第1のポリジメチルシロキサンと、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する第2のポリジメチルシロキサンとを含有する剥離剤組成物であって、前記第1のポリジメチルシロキサンおよび前記第2のポリジメチルシロキサンの合計30g中に、前記アルケニル基を10.00〜16.00mmol含有し、前記ヒドロシリル基を40.00〜145.00mmol含有し、かつ前記アルケニル基(a)に対する前記ヒドロシリル基(b)のモル比(b/a)が2.0〜15.0である剥離剤組成物を使用して形成されてなることを特徴とする剥離シートを提供する(発明1)。
【0009】
上記発明(発明1)によれば、剥離シートの剥離剤層が長時間大気に曝露された場合であっても、剥離力の増大を抑制することができ、粘着シートから剥離シートを剥離するときの剥離不良を低減させることができる。
【0010】
上記発明(発明1)において、前記第1のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、200000〜1300000であり、前記第2のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、300〜1200であることが好ましい(発明2)。
【0011】
上記発明(発明1,2)において、前記剥離剤組成物は、触媒として白金族金属系化合物をさらに含有することが好ましい(発明3)。
【0012】
上記発明(発明1〜3)においては、大気曝露なしの状態における前記剥離シートに対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの180°剥離力(mN/20mm)を剥離力X、クラス1万(ISOクラス7)、温度23℃および湿度50%RHの条件のクリーンルームにて7日間大気曝露した前記剥離シートに対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの180°剥離力(mN/20mm)を剥離力Yとしたときに、
{(剥離力Y−剥離力X)/剥離力X}×100%
の式で表わされる剥離力変化率が、30%以下であることが好ましい(発明4)。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る剥離シートによれば、剥離シートの剥離剤層が長時間大気に曝露された場合であっても、剥離力の増大を抑制することができ、粘着シートから剥離シートを剥離するときの剥離不良を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る剥離シート1は、基材11と、基材11の一方の面に形成された剥離剤層12とを備えて構成される。
【0016】
基材11としては、特に制限はなく、従来公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような基材11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニルなどのプラスチックからなるフィルムが挙げられ、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0017】
上記のようなフィルムからなる基材11においては、その表面に設けられる剥離剤層12との密着性を向上させる目的で、所望により片面または両面に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果および操作性の面から好ましく用いられる。
【0018】
また、基材11としては、上記のようなフィルム以外にも、グラシン紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、ラミネート紙(ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙等)のような紙、あるいは不織布、金属箔等を用いることもできる。
【0019】
基材11の厚さは、通常10〜300μmであればよく、好ましくは15〜200μmであり、特に好ましくは20〜125μmである。
【0020】
本実施形態における剥離剤層12は、以下の剥離剤組成物を使用して形成されてなるものである。本実施形態における剥離剤組成物は、付加反応型シリコーン樹脂として、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する第1のポリジメチルシロキサンと、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する第2のポリジメチルシロキサンとを含有する。
【0021】
第1のポリジメチルシロキサンに含まれるアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等の1価炭化水素基が挙げられ、中でもビニル基が特に好ましい。
【0022】
第1のポリジメチルシロキサンおよび第2のポリジメチルシロキサンの合計30g中に、アルケニル基は10.00〜16.00mmol含まれ、好ましくは11.00〜15.80mmol含まれる。また、第1のポリジメチルシロキサンおよび第2のポリジメチルシロキサンの合計30g中に、ヒドロシリル基は40.00〜145.00mmol含まれ、好ましくは43.00〜142.00mmol含まれる。さらに、アルケニル基(a)に対するヒドロシリル基(b)のモル比(b/a)は、2.0〜15.0であり、好ましくは2.5〜13.0である。
【0023】
剥離剤層12が上記の条件を満たす剥離剤組成物を使用して形成されることで、剥離剤層12が長時間大気に曝露された場合であっても、当該剥離剤層12は剥離力の増大が抑制される。この理由は必ずしも明らかではないが、上記の条件を満たす剥離剤組成物を使用して形成された剥離剤層12は極性が低く、極性の高い塵や埃などが剥離剤層12に付着し難いためであると考えられる。
【0024】
ここで、第1のポリジメチルシロキサンおよび第2のポリジメチルシロキサンの合計30g中におけるアルケニル基の量が0.40mmol未満、またはヒドロシリル基の量が7.00mmol未満であると、剥離剤組成物の硬化不良が生じて、塗工機や粘着シートの粘着剤層等へのシリコーン移行が問題となり、さらには剥離性にも悪影響を与える。
【0025】
一方、第1のポリジメチルシロキサンおよび第2のポリジメチルシロキサンの合計30g中におけるアルケニル基(a)に対するヒドロシリル基(b)のモル比(b/a)の関係が上記の範囲外となると、剥離シート1が長時間大気に曝露される条件下で、剥離剤層12の粘着剤層に対する剥離力が、大気曝露前の剥離力よりも大きくなってしまうという問題が発生する。また、ヒドロシリル基を有する低分子量の第2のポリジメチルシロキサンの添加量が多くなると、塗工液の粘度が小さくなるため、剥離シート1を作製する際に剥離剤の塗工面にハジキが生じる問題や、剥離剤層12の粘着剤層に対する剥離力が大きくなり、粘着剤が凝集破壊したり剥離シート1側へ転写されてしまう問題が発生する。
【0026】
なお、第1のポリジメチルシロキサンは、ヒドロシリル基を有しないことが好ましく、第2のポリジメチルシロキサンは、アルケニル基を有しないことが好ましい。
【0027】
第1のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、20000〜1300000であることが好ましく、特に300000〜1200000であることが好ましい。また、第2のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、300〜1400であることが好ましく、特に500〜1200であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0028】
上記剥離剤組成物は、触媒を含有することが好ましい。触媒としては、本実施形態に係る剥離剤組成物を硬化させることができるものであれば特に限定されないが、中でも白金族金属系化合物が好ましい。白金族金属系化合物としては、例えば、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。剥離剤組成物がかかる触媒を含有することで、当該剥離剤組成物の硬化反応をより効率良く進行させることができる。
【0029】
上記剥離剤組成物中における触媒の含有量は、触媒以外の成分の合計量に対し、1〜1000ppm程度であることが好ましい。
【0030】
また、上記剥離剤組成物は、第1および第2のポリジメチルシロキサン、ならびに触媒の他、反応抑制剤、密着向上剤等を含有していてもよい。
【0031】
剥離剤層12の厚さ(坪量)は、特に限定されないが、0.01〜3g/m
2であることが好ましく、特に0.05〜2g/m
2であることが好ましい。剥離剤層12の厚さが0.01g/m
2未満であると、剥離剤層12を構成する材料等によっては、剥離剤層12としての機能が十分に発揮されない場合がある。一方、剥離剤層12の厚さが3g/m
2を超えると、剥離シート1をロール状に巻き取った際に、ブロッキングが発生し、繰り出しに不具合を生じる場合がある。
【0032】
剥離剤層12は、基材11の一方の面に、剥離剤組成物および所望により希釈剤を含有する塗工液を塗工した後、乾燥し、硬化させることにより形成することができる。塗工方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
【0033】
上記希釈剤としては特に制限はなく、様々なものを用いることができる。例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物をはじめ、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびこれらの混合物等が用いられる。
【0034】
上記のように塗工した剥離剤組成物は、熱硬化させることが好ましい。この場合の加熱温度は80〜180℃であることが好ましく、加熱時間は10〜90秒程度であることが好ましい。
【0035】
前述した通り、本実施形態に係る剥離シート1によれば、剥離シート1の剥離剤層12が長時間大気に曝露された場合であっても、剥離力の増大を抑制することができるが、具体的には、
大気曝露なしの状態における剥離シート1に対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの180°剥離力(mN/20mm)を剥離力X、
クラス1万(ISOクラス7)、温度23℃および湿度50%RHの条件のクリーンルームにて7日間大気曝露した剥離シート1に対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの180°剥離力(mN/20mm)を剥離力Yとしたときに、
{(剥離力Y−剥離力X)/剥離力X}×100%
の式で表わされる剥離力変化率が、30%以下であることが好ましく、25%以下であることが特に好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることが最も好ましい。また、剥離力が減少し過ぎないために、剥離力変化率は−30%以上であることが好ましい。
【0036】
なお、上記クリーンルーム内では、剥離シート1を地面に対し垂直に吊るして曝露するものとする。地面に対し垂直に吊るさない曝露である場合、クリーンルームといえどもわずかな塵や埃が存在するため、剥離剤層12の表面に塵または埃が堆積すると、剥離力測定において塵または埃の影響を受けて、剥離力が安定せず、正確な値が出ない可能性がある。
【0037】
剥離シート1の剥離力変化率が上記の値以下であることで、粘着シートの粘着剤層と剥離シート1の剥離剤層12とを貼合した後、粘着シートから剥離シート1を剥離するときの剥離不良を低減させることができる。
【0038】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0039】
例えば、基材1における剥離剤層12の反対側の面や、基材1と剥離剤層12との間には、帯電防止層等の他の層が設けられてもよい。
【実施例】
【0040】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕
第1のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:1100000)と、第2のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:1000)と、シリコーンレジンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーンレジン(重量平均分子量:10000)との混合物である、重量平均分子量が501000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物A)を、固形分30質量%となるようにトルエンで希釈して、シリコーン樹脂溶液を調製した。このシリコーン樹脂溶液100質量部に白金系触媒(東レ・ダウコーニング社製,BY24−835)2質量部を加え、トルエンで固形分濃度が1.5質量%となるように調整し、塗工液を得た。
【0042】
得られた塗工液を、乾燥後の膜厚が坪量0.09g/m
2となるように、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製,T−100,厚さ38μm)上にバーコート法により均一に塗布した後、130℃で1分間乾燥させ、剥離剤層が曝露しないように剥離剤層を基材で覆うようにして、基材上に剥離剤層が積層された剥離シートを得た。
【0043】
〔実施例2〕
実施例1における剥離剤組成物Aの替わりに、第1のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:1100000)と、第2のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:1000)と、シリコーンレジンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーンレジン(重量平均分子量:10000)との混合物である、重量平均分子量が583000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物B)を使用する以外、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。
【0044】
〔実施例3〕
実施例1における剥離剤組成物Aの替わりに、第1のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:1100000)と、第2のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:1000)と、シリコーンレジンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーンレジンとの混合物である、重量平均分子量が634000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物C)を使用する以外、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。
【0045】
〔実施例4〕
実施例1における剥離剤組成物Aの替わりに、第1のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:1100000)と、第2のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:1000)と、シリコーンレジンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーンレジンとの混合物である、重量平均分子量が658000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物D)を使用する以外、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。
【0046】
〔実施例5〕
実施例1における剥離剤組成物Aの替わりに、第1のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:1100000)と、第2のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:1000)と、シリコーンレジンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーンレジンとの混合物である、重量平均分子量が634000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物E)を使用する以外、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。
【0047】
〔比較例1〕
実施例1における剥離剤組成物Aの替わりに、第1のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するフェニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:400000)と、第2のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:1000)との混合物である、重量平均分子量が344000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物F)を使用する以外、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。
【0048】
〔比較例2〕
実施例1における剥離剤組成物Aの替わりに、第1のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:1100000)と、第2のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:1000)と、シリコーンレジンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーンレジンとの混合物である、重量平均分子量が440000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物G)を使用する以外、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。
【0049】
〔比較例3〕
実施例1における剥離剤組成物Aの替わりに、第1のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:1100000)と、第2のポリジメチルシロキサンとして、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:1000)と、シリコーンレジンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーンレジンとの混合物である、重量平均分子量が696000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物H)を使用する以外、実施例1と同様にして剥離シートを作製した。
【0050】
〔試験例1〕
実施例および比較例で使用した剥離剤組成物A〜Hにおける各官能基(ビニル基・ヒドロシリル基)の量を、次の測定方法に従って測定した。
【0051】
ポリジメチルシロキサン試料に対し、ポリジメチルシロキサン試料が固形分10質量%となるように重クロロホルム(関東化学社製,純度99.8%)を添加し、そこにピラジン(東京化成工業社製,PO554)をポリジメチルシロキサン試料に対し0.3質量%となるように添加し、得られた混合物をNMR管に入れた。NMR管に入れた試料について、核磁気共鳴装置(BRUKER社製,NMR Fourier300)を用いてNMR測定を行い、ビニル基およびヒドロシリル基の各官能基量(mmol)を定量した。
【0052】
上記の測定結果から、ビニル基(a)に対するヒドロシリル基(b)のモル比(b/a)を算出した。それぞれの結果を表1に示す。
【0053】
〔試験例2〕
クラス1万(ISOクラス7)、温度23℃および湿度50%RHの条件のクリーンルームにて、実施例および比較例で得られた剥離シートを地面に対し垂直に吊るし、1日または7日間大気曝露した。
【0054】
温度23℃、湿度50%RHの条件下で、大気曝露なしの剥離シートまたは上記大気曝露後の剥離シートの剥離剤層表面に、ポリエステル粘着テープ(日東電工社製,品番:No.31B,20mm幅)を、2kgローラーを1往復させて貼付し、剥離力測定用の試験片を得た。
【0055】
ポリエステル粘着テープの貼付から30分後に、得られた試験片について剥離力の測定を行った。剥離力の測定には、島津製作所社製の引張試験機(品名:AG-IS 500N(ロードセル 20N))を使用した。具体的には、試験片の剥離シート側をSUS板に固定し、ポリエステル粘着テープを180°に歪曲させながら、0.3m/minの速度で剥離して、このときの剥離力(mN/20mm)を測定した。また、得られた剥離力から、次の式に従って剥離力変化率(%)を算出した。結果をそれぞれ表2に示す。
剥離力変化率(%)={(剥離力Y−剥離力X)/剥離力X}×100
剥離力X:曝露なしのときの剥離力
剥離力Y:曝露1日又は7日のときの剥離力
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
表1および表2に示される結果から明らかなように、本発明の要件を満たす剥離剤組成物を使用した剥離シートにおいては、大気曝露による剥離力変化率が非常に小さかった。