(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796023
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】液晶表示装置及びその不良画素修復方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20151001BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20151001BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20151001BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20151001BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1368
G02F1/13 101
H01L29/78 612A
H01L29/78 619A
H01L29/78 619B
【請求項の数】28
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-2936(P2013-2936)
(22)【出願日】2013年1月10日
(62)【分割の表示】特願2007-213280(P2007-213280)の分割
【原出願日】2007年8月20日
(65)【公開番号】特開2013-80260(P2013-80260A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2013年2月8日
(31)【優先権主張番号】10-2006-0108410
(32)【優先日】2006年11月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】張 鐘 雄
(72)【発明者】
【氏名】姜 信 宅
【審査官】
鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−241192(JP,A)
【文献】
特開2001−281690(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2004−0026959(KR,A)
【文献】
特開2006−106660(JP,A)
【文献】
特開平04−090513(JP,A)
【文献】
特開平11−202316(JP,A)
【文献】
特開2002−196338(JP,A)
【文献】
特開平03−056942(JP,A)
【文献】
特開平08−201847(JP,A)
【文献】
特開2003−078143(JP,A)
【文献】
特開平10−260430(JP,A)
【文献】
特開2008−116912(JP,A)
【文献】
特開平08−320466(JP,A)
【文献】
特開2008−046625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁基板と、
前記第1の絶縁基板上に実質的に第1の方向に互いに平行するように配置されたゲート配線およびストレージ配線と、
前記ゲート配線およびストレージ配線と絶縁されて交差し、実質的に第2の方向に配置されたデータ配線と、
前記データ配線上に形成された保護膜と、
前記保護膜上に形成された画素電極と、
前記ゲート配線と隣接する隣接画素の一対の前記ストレージ配線を互いに電気的に接続するブリッジ電極を含み、
前記ストレージ配線は、実質的に前記第1の方向に延長され、少なくとも前記画素電極、前記ゲート配線及び前記データ配線とオーバーラップしないU字形状の折り曲げ部を含む水平部および前記水平部から実質的に第2の方向に分枝して延長され、前記データ配線とオーバーラップする垂直部を含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ブリッジ電極は、前記一対のストレージ配線のうち何れか一つの水平部と前記一対のストレージ配線のうち他の一つの垂直部を電気的に接続することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記ブリッジ電極および前記画素電極は、実質的に同一な物質からなり、実質的に同一な層に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ブリッジ電極は、ITO又はIZOからなることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記ブリッジ電極を含む前記画素の前記画素電極は、前記ブリッジ電極を含まない他の画素の他の画素電極より小さいことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記ブリッジ電極は、前記画素電極の隅を部分的に切断することによって前記ブリッジ電極を含む前記画素の画素電極と離隔されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装
置。
【請求項7】
前記ブリッジ電極は、前記一対のストレージ配線のうち何れか一つの水平部と前記一対のストレージ配線のうち他の一つの垂直部を、ブリッジ電極コンタクトホールを介して電気的に接続することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記保護膜は、無機物質からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記無機物質は、窒化シリコン又は酸化シリコンを含むことを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記保護膜は、有機物質からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第1の絶縁基板と対向する第2絶縁基板と、
前記第2の絶縁基板上に形成されるブラックマトリックスを含み、
前記ブラックマトリックスは、垂直部の少なくとも一部とオーバーラップすることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記垂直部は、前記ブラックマトリックスの幅と実質的に同一な幅を有することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記第2の絶縁基板の前記ブラックマトリックス上に形成される共通電極をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記ゲート配線と前記データ配線は、前記画素領域に対応するカラーフィルタの種類に応じて赤色画素領域、緑色画素領域、又は青色画素領域に定義された画素領域を定義し、前記ブリッジ電極は、前記赤色画素領域又は前記緑色画素領域又は前記青色画素領域上のうち少なくとも一つの領域上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記ブリッジ電極は、前記青色画素領域上に形成されることを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記ブリッジ電極は、前記一対のストレージ配線のうち何れか一つの水平部と前記一対のストレージ配線のうち他の一つの垂直部を電気的に接続することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記ブリッジ電極および前記画素電極は、実質的に同一な物質からなり、実質的に同一な層に形成されることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記ブリッジ電極は、ITO又はIZOからなることを特徴とする請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記ブリッジ電極を含む前記画素の前記画素電極は、前記ブリッジ電極を含まない他の画素の他の画素電極より小さいことを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記ブリッジ電極は、前記画素電極の隅を部分的に切断することによって前記ブリッジ電極を含む前記画素の画素電極と離隔されることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記ブリッジ電極は、前記一対のストレージ配線のうち何れか一つの水平部と前記一対のストレージ配線のうち他の一つの垂直部を、ブリッジ電極コンタクトホールを介して電気的に接続することを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記保護膜は、無機物質からなることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項23】
前記無機物質は、窒化シリコン又は酸化シリコンを含むことを特徴とする請求項22に記載の液晶表示装置。
【請求項24】
前記保護膜は、有機物質からなることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項25】
前記保護膜は、a-Si:C:O又はa-Si:O:Fを含む低誘電率絶縁物質からなることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項26】
前記第1の絶縁基板と対向する第2の絶縁基板と、
前記第2の絶縁基板上に形成されるブラックマトリックスを含み、
前記ブラックマトリックスは、垂直部の少なくとも一部分とオーバーラップすることを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項27】
前記垂直部は、前記ブラックマトリックスの幅と実質的に同一な幅を有することを特徴とする請求項26に記載の液晶表示装置。
【請求項28】
前記第2の絶縁基板の前記ブラックマトリックス上に形成された共通電極をさらに含み、前記ブラックマトリックスは、前記データ配線とオーバーラップする領域で前記共通電極とコンタクトすることを特徴とする請求項27に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置及びその不良画素修復方法に係り、さらに詳細には、液晶表示装置及びその不良画素修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に使用される画像表示装置の例として、陰極線管(CRT;cathode ray tube)、液晶表示装置(LCD;liquid crystal display)、プラズマ表示装置(PDP;plasma display panel)、電子ペーパー表示装置(EDP;electronic paper display)などが挙げられる。画像表示装置は、小型化、軽量化及び低消費電力化などの要求に応えるために活発に開発されている。
【0003】
液晶表示装置は、カラーフィルタを含むカラーフィルタ基板、薄膜トランジスタアレイを含む薄膜トランジスタ基板及び両基板の間に介在された液晶層を含む。
【0004】
液晶表示装置の薄膜トランジスタ基板は、多数のゲート線、多数のストレージ配線、多数のデータ線及び画素電極などを含み、これらそれぞれの配線には、断線が発生するか、或いはこれら配線相互間の短絡が惹起されるおそれがある。例えば、一つのデータ線が断線した場合、そのデータ線と接続された一つのカラムの全ての画素が作動しなくなる。
【0005】
前述したような画素不良が発生した場合、これを修復するための工程が行われるが、この工程が例えば、互いにオーバーラップする配線が短絡するなどの更なる画素不良が惹起されるおそれがある。
【0006】
従って、他の画素不良が惹起されないように効率的でかつ容易に不良画素を修復(リペア)する方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許公開第2005-105591号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、不良画素を効率的でかつ容易に修復できる液晶表示装置を提供することにある。
【0009】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、このような液晶表示装置の不良画素修復方法を提供することにある。
【0010】
本発明の技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されない他の技術的課題は、以下の記載により当業者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による液晶表示装置は、第1の絶縁基板と、第1の絶縁基板上に第1の方向に実質的に平行に配置されたゲート配線及びストレージ配線と、ゲート線及びストレージ配線と絶縁されて交差し、実質的に第2の方向に配置されたデータ配線と、データ配線上に形成された保護膜と、保護膜上に形成された画素電極と、ゲート配線と隣接する隣接画素の一対のストレージ配線を互いに電気的に接続するブリッジ電極を含み、ストレージ配線は、実質的に第1の方向に延長され、少なくとも前記画素電極、前記ゲート配線及び前記データ配線とオーバーラップしない
U字形状の折り曲げ部を含む水平部および水平部から実質的に第2の方向に分枝して延長され、データ配線とオーバーラップする垂直部と、を含む。
【0012】
前記他の技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による液晶表示装置の不良画素修復方法は、液晶表示装置の薄膜トランジスタ基板を提供し、水平部のうち画素電極とオーバーラップしない部位においてストレージ配線を断線させること、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態による液晶表示装置及びその不良画素修復方法によれば、以下の効果が一つ或いはその以上ある。
【0014】
第一に、データ線が断線して不良画素が生じても、ストレージ配線の折り曲げ部及びブリッジ電極を用いて、これを安全にかつ容易に修復できる。
【0015】
第二に、ストレージ配線とデータ線又は画素電極とが短絡して不良画素が生じても、ストレージ配線の折り曲げ部及びブリッジ電極を用いて、これを安全にかつ容易に修復できる。
【0016】
第三に、ストレージ配線が断線しても、ブリッジ電極が断線したストレージ配線と他の行に設けられたストレージ配線とを電気的に接続するため、断線部位が存在するストレージ配線に信号遅延が惹起されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態による液晶表示装置に含まれる薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【
図2】
図1の薄膜トランジスタ基板をA−A´線に沿って切った断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による液晶表示装置に含まれるカラーフィルタ基板の配置図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による液晶表示装置の配置図である。
【
図5】
図4の液晶表示装置をB−B´線に沿って切った断面図である。
【
図6】
図1の薄膜トランジスタ基板のデータ線に断線が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
【
図7】
図1の薄膜トランジスタ基板のデータ線に短絡が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
【
図8】
図1の薄膜トランジスタ基板の画素電極に短絡が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態による液晶表示装置に含まれる薄膜トランジスタ基板の配置図である。
【
図10】
図9の薄膜トランジスタ基板をC−C´線に沿って切った断面図である。
【
図11】
図9の薄膜トランジスタ基板のデータ線に断線が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
【
図12】
図9の薄膜トランジスタ基板のデータ線に短絡が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
【
図13】
図9の薄膜トランジスタ基板の画素電極に短絡が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
【
図14】
図9の薄膜トランジスタ基板のストレージ配線に断線が発生した場合におけるブリッジ電極の役割を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述される実施形態を参照することにより明確になる。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、相異なる多様な形態で実現されるものである。開示される実施形態は、本発明の開示が完全となり、当業者に発明の範疇を十分に理解させるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて決められなければならない。なお、明細書全体にかけて同一参照符号は同一構成要素を示すものとする。
【0019】
素子又は層が他の素子又は層の「上方(over)」又は「上(on)」にあると指称されることは、他の素子又は層の真上だけではなく、中間に他の層又は他の素子を介在した場合を全て含む。反面、素子が「直接上」又は「真上」にあると指称されることは、中間に他の素子又は層が介在しないことを示す。なお、明細書全体にかけて同一参照符号は同一構成要素を示すものとする。
【0020】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「下方(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図面に示すように、一つの素子又は構成要素と他の素子又は構成要素との相関関係を容易に記述するため使用できる。空間的に相対的な用語は、図面に示される方向に加えて使用時又は動作時における素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。なお、明細書全体にかけて同一参照符号は同一構成要素を示すものとする。
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
図1〜
図5を参照して、本発明の第1の実施形態による液晶表示装置について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による液晶表示装置に含まれる薄膜トランジスタ基板の配置図である。
図2は、
図1の薄膜トランジスタ基板をA−A´線に沿って切った断面図である。
図3は、本発明の第1の実施形態による液晶表示装置に含まれるカラーフィルタ基板の配置図である。
図4は、本発明の第1の実施形態による液晶表示装置の配置図である。
図5は、
図4の液晶表示装置をB−B´線に沿って切った断面図である。
【0023】
本発明の第1の実施形態による液晶表示装置は、
図4及び
図5に示すように、薄膜トランジスタ基板1と、これと対向するカラーフィルタ基板2と、これら両基板1、2の間に形成され、一定の方向に配向されている液晶層3と、から成る。
【0024】
先ず、
図1及び
図2を参照して、本発明の第1の実施形態による薄膜トランジスタ基板1について詳細に説明する。
【0025】
本発明の第1の実施形態による薄膜トランジスタ基板1は、第1の絶縁基板10上に形成されたゲート配線22,24、ストレージ配線28,29、ゲート絶縁膜30、アクティブ層40、オーミックコンタクト層55,56、データ配線62,65,66,67、保護膜70及び画素電極82などを含む。
【0026】
第1の絶縁基板10は、耐熱性及び透光性を有した物質、例えば透明ガラス又はプラスチックから成ってもよい。
【0027】
第1の絶縁基板10上には、第1の方向、本実施形態においては、画素電極の長手方向に直交する方向(以後、横方向ともいう)に実質的に平行に配列されたゲート配線22,24及びストレージ配線28,29が形成される。ゲート配線22,24及びストレージ配線28,29は同一の層、例えば第1の絶縁基板10の上に形成できる。
【0028】
ゲート配線22,24は、実質的に第1の方向に配置されてゲート信号を伝達するゲート線22及びゲート線22から突起形態で突出されたゲート電極24を含む。ゲート電極24は、後述するソース電極65及びドレイン電極66と共に薄膜トランジスタの三端子を構成する。
【0029】
ストレージ配線28,29は、第1の方向にゲート配線22,24と実質的に平行に配置された水平部28と、水平部28から第2の方向、本実施形態においては、第1の方向に直交する、画素電極の長手方向(以後、縦方向ともいう)に分枝されて後述するデータ配線62,65,66,67とオーバーラップする垂直部29と、を含む。
【0030】
ストレージ配線28,29は、ストレージ電圧が印加され、後述する画素電極82と共にストレージキャパシタを形成する一方、画素不良を修復する役割も果たす。
【0031】
水平部28は、ゲート配線22,24、より詳しくは、ゲート線22と離隔され、ゲート線22と平行に配置される。水平部28は後述する画素電極82とオーバーラップするように配置され、これにより画素電極82と水平部28との間にはストレージキャパシタが形成される。
【0032】
水平部28の少なくとも一部は、後述する画素電極82とオーバーラップしない。具体的には、水平部28は全体的にゲート線22と平行であるが、水平部28の一部には画素電極82とオーバーラップしないように画素電極82の周縁より突出した折り曲げ部(28a)が形成される。折り曲げ部(28a)は、水平部28に隣接したゲート線22側に折り曲げられるが、ゲート配線22,24及びデータ配線62,65,66,67とオーバーラップしない。折り曲げ部(28a)の形状は例えば、U字形状であってもよいが、画素電極82とオーバーラップしない限り円弧形状、V字形状などであってもよく、多様な変形が可能である。このようにストレージ配線28,29が画素電極82とオーバーラップしない折り曲げ部(28a)を含むことによって、データ線62及び画素電極82などに断線又は短絡が生じた場合に、これを効率的に修復できる。このような液晶表示装置の画素不良修復方法については詳細に後述する。
【0033】
垂直部29は、前述した水平部28から実質的に第2の方向(本実施形態においては縦方向)に分枝する。具体的には、水平部28は例えば、薄膜トランジスタ基板1の長辺に平行に横方向に沿って配置され、それぞれの水平部28から複数の垂直部29が分枝する。垂直部29は、薄膜トランジスタ基板1の短辺に平行に縦方向に配置される。
【0034】
垂直部29は、水平部28から分枝して、垂直部29の末端が隣接画素のゲート線22に隣接するように形成されるが、隣接画素のゲート線22と電気的に接続されないように離隔される。
【0035】
垂直部29は、後述するデータ線62とオーバーラップして、データ線62の断線又は短絡の修復に用いられる。これについても本実施形態の液晶表示装置の画素不良修復方法を説明しながら詳細に説明する。
【0036】
垂直部29の幅(W1)は、データ線62の幅(W2)より広く形成される。これによりデータ線62の修復が容易になる。垂直部29の周縁は、第2の方向(本実施形態においては縦方向)に沿って画素電極82とオーバーラップして、バックライトアセンブリ(図示せず)から照射された光が漏れないようにする。すなわち、垂直部29は、隣接する一対の画素電極82とオーバーラップする。また
図4を参照すれば、垂直部29の幅(W1)は、開口率が減少しないように、ブラックマトリックス120の幅(W3)と同一になるように形成される。
【0037】
再び
図1及び
図2を参照すれば、ゲート配線22,24及びストレージ配線28,29は、アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金などのアルミニウム系列の金属、銀(Ag)または銀合金など銀系列の金属、銅(Cu)または銅合金など銅系列の金属、モリブデン(Mo)またはモリブデン合金などモリブデン系列の金属、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)などからなってもよい。また、ゲート配線22,24及びストレージ配線28,29は、物理的性質が異なる二つの導電膜(図示せず)を含む多重膜構造を有してもよい。さらに、ゲート配線22,24及びストレージ配線28,29は、導電性有機高分子物質であるPEDOT(Poly Ethylene DiOxy Thiophene)のコーティング方法による塗布、又はインジェクト−プリンティング方法による印刷によって形成されてもよい。
【0038】
第1の絶縁基板10上には酸化シリコン(SiOx)又は窒化シリコン物(SiNx)などの無機絶縁物質、又はBCB(Benzo Cyclo Butene)、アクリル系物質、ポリイミドのような有機絶縁物質から成るゲート絶縁膜30が形成され、ゲート配線22,24及びストレージ配線28,29を覆っている。
【0039】
ゲート絶縁膜30上部の一部には、水素化アモルファスシリコン、多結晶シリコン又は導電性有機物質などから成るアクティブ層40が形成される。
【0040】
アクティブ層40は島形、線形などのように多様な形状を有してもよく、例えば本実施形態のように島形に形成された場合、アクティブ層40はゲート電極24上でゲート電極24とオーバーラップし、後述するソース電極65及びドレイン電極66と少なくとも一部がオーバーラップする。アクティブ層40の形は、島形に限定されず多様に変形できる。アクティブ層40が線形に形成される場合、データ線62下に設けられてゲート電極24上部まで延長された形状を有してもよい。
【0041】
アクティブ層40の上部には、シリサイド又はn型不純物が高濃度でドーピングされたn+水素化アモルファスシリコン又はp型不純物がドーピングされたITO(酸化インジウムスズ)などの物質から作られたオーミックコンタクト層55,56が形成されてもよい。オーミックコンタクト層55,56は対を成してアクティブ層40上に設けられ、後述するソース電極65及びドレイン電極66とアクティブ層40との接触特性を良好にする。アクティブ層40とアクティブ層40上部に形成されるソース電極65及びドレイン電極66との接触特性が良好な場合には、オーミックコンタクト層55,56は省略されてもよい。
【0042】
アクティブ層40及びゲート絶縁膜30上には、データ配線62,65,66,67が形成される。データ配線62,65,66,67は実質的に第2の方向(本実施形態においては縦方向)に配置される。データ配線62,65,66,67は、ゲート線22と絶縁されて交差することにより画素を定義するデータ線62、データ線62から分枝してアクティブ層40の上部まで延長されているソース電極65、及びソース電極65と分離されて対向するドレイン電極66を含む。
【0043】
データ線62は、縦方向に配置されてゲート線22と交差し、データ信号が印加される。
【0044】
ソース電極65は、データ線62から分枝してJ形状を有してもよく、アクティブ層40と少なくとも一部がオーバーラップする。
【0045】
ドレイン電極66の一端は、J形状であるソース電極65の凹部位に設けられ、アクティブ層40と少なくとも一部がオーバーラップする。
【0046】
一方、ドレイン電極66の一端から延長されて、画素電極82と電気的に接続されるドレイン電極拡張部67は、ドレイン電極66より幅が広く形成される。ドレイン電極拡張部67は、開口率を減少させないように画素領域外部に形成される。ドレイン電極66の一端からドレイン電極拡張部67に至る領域は、開口率減少を最小化するように線形に形成され、ストレージ配線28,29の水平部28とオーバーラップするように形成される。ここで、画素領域とは、ゲート配線22,24とデータ配線62,65,66,67によって定義される領域を指す。画素領域は、バックライトアセンブリから照射された光が通過する領域として理解されてもよい。従って、薄膜トランジスタ基板1の画素領域に対応するカラーフィルタ基板(
図5の2参照)のカラーフィルタ(
図3の130参照)領域も画素領域として理解されてもよい。
【0047】
データ配線62,65,66,67はクロム、モリブデン系列の金属、タンタル及びチタンなど高融点金属から成ってもよく、高融点金属などから成る下部膜(図示せず)とその上に設けられた低抵抗物質から成る上部膜(図示せず)とから成る多層膜構造を有してもよい。多層膜構造の例としては、クロム下部膜とアルミニウム上部膜の二重膜又はアルミニウム下部膜とモリブデン上部膜の二重膜、及びモリブデン膜−アルミニウム膜−モリブデン膜の三重膜を挙げることができる。
【0048】
データ線62、ドレイン電極66及び露出したアクティブ層40上には絶縁膜から成る保護膜70が形成される。ここで保護膜70は、窒化珪素又は酸化珪素から成る無機物、平坦化特性が良好であり、感光性を有する有機物又はプラズマ化学気相成長(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition;PECVD)で形成されるa−Si:C:O及びa−Si:O:Fなどの低誘電率絶縁物質などから成る。また、保護膜70は、有機膜の優秀な特性を生かしながら露出したアクティブ層40を保護するために下部無機膜と上部有機膜の二重膜構造を有してもよい。
【0049】
保護膜70には、ドレイン電極拡張部67を露出させるコンタクトホール72が形成される。
【0050】
保護膜70上には、コンタクトホール72を介してドレイン電極66と電気的に接続される画素電極82が形成される。画素電極82は、一側にドレイン電極接続部(82a)が形成されており、この部位はコンタクトホール72を介してドレイン電極66、具体的には、ドレイン電極拡張部67と電気的に接続され、ドレイン電極66を介してデータ電圧が印加される。ドレイン電極接続部(82a)は、開口率が減少しないようにバックライトアセンブリから照射される光が通過する画素領域の外部に突出してもよい。
【0051】
画素電極82は、ITO又はIZO(酸化インジウム亜鉛)などの透明導電体又はアルミニウムなどの反射性導電体から成ってもよい。
【0052】
図4及び
図5を参照すると、データ電圧が画素電極82に印加された場合、画素電極82は、カラーフィルタ基板2の共通電極140と共に電界を生成することによって画素電極82と共通電極140との間の液晶層3の液晶分子の配向を決定する。
【0053】
以下、
図3〜
図5を参照して、本実施形態の液晶表示装置に含まれるカラーフィルタ基板2について詳細に説明する。
【0054】
カラーフィルタ基板2は、第2の絶縁基板100下面に形成されたブラックマトリックス120、カラーフィルタ130、オーバーコート膜(図示せず)及び共通電極140などを含み、薄膜トランジスタ基板1と対向するように配置される。
【0055】
カラーフィルタ基板2の第2の絶縁基板100は、耐熱性及び透光性を有した物質、例えば透明ガラス又はプラスチックから成ってもよい。
【0056】
本実施形態の絶縁基板100上には、例えばクロム(Cr)などの不透明物質から成るブラックマトリックス120が形成され、画素領域を区画する。
【0057】
ブラックマトリックス120は、第1の方向及び第2の方向にマトリックス形状に配置され、第2の方向(本実施形態においては縦方向)の幅(W3)は、前述したようにストレージ配線28、29の垂直部29の幅と実質的に同一である。
【0058】
ブラックマトリックス120によって区画された画素領域には、順次に赤色、緑色、青色のカラーフィルタ130が形成される。カラーフィルタ130は、互いに異なる色の光を透過させる物質から成り、特定の波長帯の光だけを通過させる役割を果たす。
【0059】
カラーフィルタ130は、ストライプ、モザイク及びデルタ形状などで配置されてもよいが、本実施形態ではストライプ形状のカラーフィルタ130を例に挙げて説明する。ストライプ形状のカラーフィルタ130は、第2の方向(本実施形態においては縦方向)に同じ色のカラーフィルタ130が配置される。すなわち、第1の方向(本実施形態においては横方向)に見れば、任意のn番目(但し、nは自然数)カラーフィルタは赤色カラーフィルタであってもよく、n+1番目カラーフィルタは緑色カラーフィルタであってもよく、n+2番目カラーフィルタは青色カラーフィルタであってもよい。
【0060】
カラーフィルタ130上にはオーバーコート膜が形成される。オーバーコート膜の上にはITO又はIZOなどの透明な導電物質から成る共通電極140が形成される。また、図示されてはいないが、画素電極82上には薄膜トランジスタ基板1と共通電極140とを一定間隔に維持するためのスペーサが形成されてもよく、スペーサによって維持される間隙に液晶層3が介在する。
【0061】
以下、
図6〜
図8を参照して、本実施形態の液晶表示装置に画素不良が発生した場合における不良画素を修復する方法について詳細に説明する。
図6は、
図1の薄膜トランジスタ基板のデータ線に断線が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
図7は、
図1の薄膜トランジスタ基板のデータ線に短絡が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
図8は、
図1の薄膜トランジスタ基板の画素電極に短絡が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
【0062】
先ず、
図1及び
図2で説明したような薄膜トランジスタ基板1を提供する。薄膜トランジスタ基板1は、多数の配線及び電極から成っているため、個々の配線及び電極に断線が発生するか、或いは配線相互間又は配線と電極との間に短絡が発生する可能性がある。
【0063】
具体的には、
図6に示すように、データ線62に断線部位(O1)が発生すれば、断線したデータ線62と接続された全ての画素が作動しない。
【0064】
このような画素不良を修復するため、断線部位(O1)を中心にその両側に対応するデータ線62及びストレージ配線28,29を導通させるようにレーザービームを照射してレーザー短絡部位(LS1、LS2)を形成する。レーザービームは、データ線62及びその下部に配置されたストレージ配線28,29を一部溶かして、レーザー短絡部位(LS1、LS2)を形成し、これによりデータ線62及びストレージ配線28,29が互いに電気的に接続される。その結果、データ線62によって印加された信号がデータ線62の断線部位(O1)を通過せず、レーザー短絡部位(LS1、LS2)を経てストレージ配線28,29の垂直部29に迂回する別途の電流通路が形成されることによって、不良画素を容易に修復できる。この場合、例えば緑色波長帯(約532nm)を有したレーザービームが不良画素の修復に使用されてもよく、ストレージ配線28,29の垂直部29とデータ線62とを溶かすため約0.1mJ〜1mJのレーザービームが印加されてもよい。レーザービームスポットの直径は、例えば約1μm〜4μmであってもよい。
【0065】
しかしながら、前述した工程だけを行った場合、ストレージ配線28,29にはデータ線62を経て印加されたデータ信号が伝達され、これはストレージ配線28,29に印加されたストレージ電圧信号と干渉を起こして、不良が発生していない他の画素にも影響を及ぼす可能性がある。したがって、不良が発生した画素のストレージ配線28,29を断線させることが好ましい。具体的には、ストレージ配線28,29の水平部28のうち画素電極82とオーバーラップしない部分、すなわち折り曲げ部28aにレーザービームを照射してレーザー断線部位(LC1、LC2)を形成することによって、ストレージ配線28,29を断線させる。この場合、断線したデータ線62の両側に隣接した画素領域の折り曲げ部28aの全てにレーザー断線部位(LC1、LC2)を形成する。すなわち、一つのデータ線62が断線された場合、レーザー断線部位(LC1、LC2)は、断線したデータ線62両側に設けられる2個の折り曲げ部28aにそれぞれ形成される。画素電極82とオーバーラップしない部分、すなわち折り曲げ部28aを断線させることによって、不良画素の修復過程で発生しうる他の画素の信号干渉現象が防止できる。
【0066】
本実施形態のようにレーザービームの使用及び画素電極82とオーバーラップしない折り曲げ部(28a)を有するストレージ配線28,29によって、断線したデータ線62を修復するためCVD(Chemical Vapor Deposition)方式で断線部分を接続させる場合に比べて、データ線62とその下部に設けられたソース電極65とが短絡されることによって発生する前述した信号干渉、或いは微細データ線62の更なる断線の発生を防止できる。
【0067】
図7に示すように、データ線62とストレージ配線28,29とのオーバーラップ面積が広いため、これがパーティクルなどによって短絡されるおそれが大きい。データ線62とストレージ配線28,29との間に短絡部位(S1)が発生すれば、短絡したデータ線62と接続された全てのストレージ配線28,29に前述した信号干渉が起こるため、画素不良が惹起される。
【0068】
従って、この場合、ストレージ配線28,29の水平部28には画素電極82の周縁より突出した折り曲げ部28aが形成されているため、短絡したデータ線62の両側に隣接した画素領域の折り曲げ部28aにレーザー断線部位(LC3、LC4)を形成できる。すなわち、一つのデータ線62が短絡した場合、レーザー断線部位(LC3、LC4)は、短絡したデータ線62の両側に設けられた2個の折り曲げ部28aにそれぞれ形成されて、ストレージ配線28,29とデータ配線62,65,66,67とに信号干渉が発生することを防止する。
【0069】
このように、本実施形態の薄膜トランジスタ基板1は、ストレージ配線28,29に折り曲げ部28aが形成され、この折り曲げ部28aが画素電極82の周縁より突出しているため、データ線62とストレージ配線28,29の垂直部29とが短絡した場合、短絡部位(S1)に隣接したストレージ配線28,29の水平部28にレーザー断線部位(LC3、LC4)を容易に形成できる。これにより短絡したデータ線62による画素不良を容易に修復できる。
【0070】
図8に示すように、パーティクルなどによってストレージ配線28,29と画素電極82との間に短絡部位(S2)が発生すれば、画素電極82に所望していないストレージ電圧が印加され、画素不良が惹起される。
【0071】
この場合、ストレージ配線28,29の水平部28aには画素電極82の周縁より突出した折り曲げ部28aが形成されているため、短絡したストレージ配線28,29の両側に隣接した画素領域の折り曲げ部28aにレーザー断線部位(LC5、LC6)を形成できる。すなわち、一つのストレージ配線28,29が短絡した場合、レーザー断線部位(LC5、LC6)は短絡したストレージ配線28,29の両側に設けられた2個の折り曲げ部28aにそれぞれ形成される。これにより、短絡したストレージ配線28,29に接続された全ての画素に画素不良が惹起されることを防止できる。
【0072】
本実施形態の薄膜トランジスタ基板1は、ストレージ配線28,29に折り曲げ部28aが形成され、この折り曲げ部28aが画素電極82の周縁より突出しているため、画素電極82とストレージ配線28,29とが短絡した場合、ストレージ配線28,29にレーザー断線部位(LC5、LC6)を容易に形成できる。これにより、短絡したストレージ配線28,29に接続された全ての画素に画素不良が惹起されることを防止できる。このような不良画素修復方法においては、不良が発生した画素電極82にレーザービームを照射することにより、画素電極82とゲート線22とを短絡させて不良画素をオフさせなくとも不良画素を修復できる。
【0073】
以下、
図9及び
図10を参照して、本発明の第2の実施形態による液晶表示装置について詳細に説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態による液晶表示装置に含まれる薄膜トランジスタ基板の配置図である。
図10は
図9の薄膜トランジスタ基板をC−C´線に沿って切った断面図である。
【0074】
説明の便宜上、実施形態1の図面に示した各部材と同一の機能を有する部材は同一符号で示し、その説明は省略または簡略化する。本実施形態による液晶表示装置は、
図9及び
図10に示すように、本発明の実施形態1による液晶表示装置と以下を除外しては基本的に同一な構造を有する。すなわち、本実施形態による液晶表示装置は、隣接画素のストレージ配線28,29を互いに電気的に接続させるブリッジ電極84をさらに含む。
【0075】
本実施形態のストレージ配線28,29の垂直部29末端には突出部29aが形成される。突出部29aは、画素電極82´側に突出しており、隣接画素領域のストレージ配線28,29の折り曲げ部28aと共に垂直線上に設けられる。
【0076】
ブリッジ電極84は、ゲート配線22,24を中心に隣接する一対のストレージ配線28,29を電気的に接続する。具体的には、ブリッジ電極84は、隣接する一対のストレージ配線28,29のうち何れか一つの水平部28と一対のストレージ配線28,29のうち他の一つの垂直部29とを電気的に接続する。ブリッジ電極84は、ブリッジ電極コンタクトホール74,76によってストレージ配線28,29の折り曲げ部28aと突出部29aとを電気的に接続させる。これにより、ストレージ配線28,29がブリッジ電極84によって互いに電気的に接続されるため、画素不良を修復するために何れか一つのストレージ配線28,29を断線させても、他の画素に信号遅延が惹起されることを防止できる。これについては後述する。
【0077】
ブリッジ電極84は、ブリッジ電極84に隣接する画素電極82´と実質的に同一な物質から成り、実質的に同一な層に形成される。具体的には、画素電極82´がITO又はIZOなどのような透明導電性物質から成る場合、ブリッジ電極84もITO又はIZO電極から成る。
【0078】
ブリッジ電極84は、全ての画素領域毎に形成されてもよい。言い換えれば、画素領域は対応するカラーフィルタ(
図3の130参照)の種類に応じて赤色画素領域、緑色画素領域又は青色画素領域に区画され、ブリッジ電極84はこのような画素領域全てに形成されてもよい。ブリッジ電極84が形成された画素領域の画素電極82´は、ブリッジ電極84が形成されない画素領域の画素電極82に比べて面積が狭くてもよい。すなわち、ブリッジ電極84が形成された画素領域において、画素電極82´は、ブリッジ電極84と電気的に接続されないように隅の一部が切断されてブリッジ電極84と離隔される。ブリッジ電極84は全ての画素領域毎に形成されてもよいが、前述した赤色画素領域、緑色画素領域及び青色画素領域のうち何れか一つ又は二つの画素領域にだけ形成されてもよい。何れか一つの画素領域は、輝度貢献度(contribution to luminance)が最小である青色画素領域であってもよい。ブリッジ電極84が輝度貢献度が最小である青色画素領域毎に形成されることによって、ブリッジ電極84形成による輝度減少を最小化でき、カラーフィルタ基板(
図3の2参照)に形成されるスペーサがブリッジ電極84に対応する部分に形成されることによる開口率減少も防止できる。
【0079】
以下、
図11〜
図14を参照して、本実施形態の液晶表示装置に画素不良が発生した場合における不良画素を修復する方法について詳細に説明する。
図11は、
図9の薄膜トランジスタ基板のデータ線に断線が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
図12は、
図9の薄膜トランジスタ基板のデータ線に短絡が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
図13は、
図9の薄膜トランジスタ基板の画素電極に短絡が発生した場合において、その修復方法を示した概略図である。
図14は、
図9の薄膜トランジスタ基板のストレージ配線に断線が発生した場合において、ブリッジ電極の役割を示した概略図である。
【0080】
先ず、
図9及び
図10で説明したようなブリッジ電極84が形成された薄膜トランジスタ基板1´を提供する。
【0081】
図11に示すように、データ線62に断線部位(O1´)が発生すれば、画素不良が発生する。これを修復するため、断線部位(O1´)を中心にその両側に対応するデータ線62及びストレージ配線28,29の垂直部29にレーザービームを照射してレーザー短絡部位(LS1´、LS2´)を形成し、データ線62とストレージ配線28,29とを互いに導通させる。さらに、断線したデータ線62の両側に隣接したストレージ配線28,29の折り曲げ部28aにレーザービームを照射して、レーザー断線部位(LC1´、LC2´)を形成する。横方向に接続されたストレージ配線28,29は同一なストレージ電圧信号が印加されるため、何れか一つの画素領域のストレージ配線28,29にレーザー断線部位(LC1´、LC2´)が存在すれば、断線部位が存在する画素領域よりも後の画素領域には第1の方向に接続されたストレージ配線28,29のストレージ電圧信号が伝達されない。しかしながら、レーザー断線部位(LC1´、LC2´)を含むストレージ配線28,29は、すぐ次の行に配置されたストレージ配線28,29とブリッジ電極84によって電気的に接続されているため、次の行に配置されたストレージ配線28,29からストレージ電圧信号が印加される。このため、レーザー断線部位(LC1´、LC2´)が存在するストレージ配線28,29に接続された画素領域全体に信号遅延が発生することを防止できる。
【0082】
図12に示すように、データ線62とストレージ配線28,29との間に短絡部位(S1´)が発生すれば、短絡したデータ線62と接続された全てのストレージ配線28,29に信号干渉が起こるため、画素不良が惹起される。このような画素不良を修復するため、短絡したデータ線62の両側に設けられる2個の折り曲げ部28aにレーザー断線部位(LC3´、LC4´)をそれぞれ形成し、ストレージ配線28,29とデータ配線62,65,66,67とに信号干渉が発生することを防止する。ブリッジ電極84によってストレージ配線28,29が互いに電気的に接続されているため、何れか一つの画素領域にレーザー断線部位(LC3´、LC4´)が存在しても、その画素領域以後の他の画素領域に信号遅延が惹起されないことは、
図11を参照して説明したとおりである。
【0083】
図13に示すように、ストレージ配線28,29と画素電極82´との間に短絡部位(S2´)が発生した場合、短絡したストレージ配線28,29の両側に隣接した画素領域の折り曲げ部28aにレーザー断線部位(LC5´、LC6´)を形成する。ブリッジ電極84によってストレージ配線28,29が互いに電気的に接続されているため、何れか一つの画素領域にレーザー断線部位(LC5´、LC6´)が存在しても、その画素領域以後の他の画素領域に信号遅延が惹起されないことは
図11を参照して説明したとおりである。
【0084】
図14に示すように、ストレージ配線28,29、例えば水平部28に断線部位(O2´)が発生した場合、断線部位(O2´)が存在する画素領域には信号遅延が起こるが、ブリッジ電極84によってn番目の行のストレージ配線28、29とn+1番目の行のストレージ配線28,29とが互いに電気的に接続されているため、n番目の行のストレージ配線28,29にはn+1番目の行のストレージ配線28,29に印加されたストレージ電圧信号が伝達される。従って、n番目の行の何れかの画素領域に断線部位(O2´)が存在しても、同一行にある他の画素領域にストレージ電圧信号が伝達されない信号遅延は惹起されない。
【0085】
以上、添付した図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、当業者であれば、本発明は本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施されうることを理解することができる。したがって、上述した好適な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではないと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0086】
1 薄膜トランジスタ基板
2 カラーフィルタ基板
3 液晶層
10 第1の絶縁基板
22 ゲート線
24 ゲート電極
28 水平部
28a 折り曲げ部
29 垂直部
29a 突出部
30 ゲート絶縁膜
40 アクティブ層
55,56 オーミックコンタクト層
62 データ線
65 ソース電極
66 ドレイン電極
67 ドレイン電極拡張部
70 保護膜
72 コンタクトホール
74,76 ブリッジ電極コンタクトホール
82,82´ 画素電極
84 ブリッジ電極
100 第2の絶縁基板
120 ブラックマトリックス
130 カラーフィルタ
140 共通電極