(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アクチュエータによって直接又は間接的にディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部と、前記支持部に支持され且つ磁気ヘッドスライダを前記ディスク面に向けて押し付ける押し付け荷重を発生する荷重曲げ部と、前記荷重曲げ部を介して前記支持部に支持され且つ前記押し付け荷重を前記磁気ヘッドスライダに伝達するロードビーム部と、前記磁気ヘッドスライダを支持するヘッド搭載領域を有し、前記ロードビーム部に固着されたフレクシャ部とを備え、前記ロードビーム部は、前記ヘッド搭載領域における前記ディスク面とは反対側の裏面に係合するディンプルを有し、第1LB曲げ線回りに第1LB曲げ角度θ1で曲げられ且つ前記第1LB曲げ線とはサスペンション長手方向に関し異なる位置において第2LB曲げ線回りに第2LB曲げ角度θ2で前記第1LB曲げ線での曲げ方向とは異なる方向へ曲げられており、前記荷重曲げ部は、荷重曲げ線回りに荷重曲げ角度θ3で曲げられている磁気ヘッドサスペンションの製造方法であって、
前記磁気ヘッドサスペンションがロードオン状態の際に所定の押し付け荷重を発生しつつ前記ロードビーム部のうち前記第1及び第2LB曲げ線より基端側に位置する基端側領域を前記ディスク面に対して平行とさせる第1LB曲げ角度θ1、第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを複数見つけ出し、前記複数の曲げ角度セットのそれぞれについて捩れモードゲインに関する解析又は実測を行って第1LB曲げ角度θ1と捩れモードゲインとの関係を得て、前記関係から捩れモードゲインを最小とさせる第1LB曲げ角度θ1(min)を検出し、前記第1LB曲げ角度がθ1(min)とされた磁気ヘッドサスペンションがロードオン状態の際に所定の押し付け荷重を発生し且つ前記基端側領域を平行とさせる第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを見つけ出すことを特徴とする磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
ロードオン状態の際に所定の押し付け荷重を発生しつつ前記基端側領域を前記ディスク面に対して平行とさせる第1LB曲げ角度θ1、第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを複数見つけ出す工程は、前記第1LB曲げ角度θ1として任意角度を選択する第1LB曲げ角度選択工程と、前記第2LB曲げ角度θ2として任意角度を選択する第2LB曲げ角度選択工程と、前記第1LB曲げ角度θ1及び前記第2LB曲げ角度θ2として現在選択されている前記任意角度を有するサスペンションがロードオン状態とされた際に前記荷重曲げ部が所定の押し付け荷重を発生するように前記荷重曲げ角度θ3を決定する荷重曲げ角度決定工程と、前記第1LB曲げ角度θ1及び前記第2LB曲げ角度θ2として現在選択されている前記任意角度を有し且つ前記荷重曲げ角度θ3として前記荷重曲げ角度決定工程によって決定された角度を有するサスペンションがロードオン状態とされた際に、前記ロードビーム部のうち前記第1及び第2荷重曲げ線より基端側領域が前記ディスク面に対して平行となるか否かを判断する平行判定工程と、前記平行判定工程によって平行と判断される場合には、前記第2LB曲げ角度θ2及び前記荷重曲げ角度θ3として現時点で認識されている角度を、前記第1LB曲げ角度θ1として現在選択されている角度に対して、ロードオン状態の際に所定押し付け荷重を発生し且つ前記基端領域を平行とさせる曲げ角度セットとして認識し、前記平行判定工程によって平行で無いと判断される場合には、前記第2LB曲げ角度θ2として現在選択されている角度とは異なる他の角度を選択し直し、前記第1LB曲げ角度θ1として現在選択されている角度及び前記第2LB曲げ角度θ2として選択し直された角度を有するサスペンションがロードオン状態とされた際に前記荷重曲げ部が前記所定の押し付け荷重を発生するように前記荷重曲げ角度θ3を決定し、これらの曲げ角度を有するサスペンションがロードオン状態とされた際に前記基端側領域が前記ディスク面に対して平行となるか否かを判断する作業を繰り返して、前記第1LB曲げ角度θ1として現在選択されている角度に対して、ロードオン状態の際に所定押し付け荷重を発生し且つ前記基端領域を平行とさせる第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを見つけ出す曲げ角度セット検出工程と、前記第1LB曲げ角度θ1として前記任意角度とは異なる少なくとも1つの他の任意角度を選択し、選択された他の任意角度毎に、前記第2LB曲げ角度選択工程から前記曲げ角度セット検出工程に至る工程と同様の作業を行い、ロードオン状態の際に所定押し付け荷重を発生し且つ前記基端側領域を平行とさせる第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを見つけ出す他の曲げ角度セット検出工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
前記第1LB曲げ線は前記第2LB曲げ線よりもサスペンション長手方向基端側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
前記第1LB曲げ線は前記ロードビーム部の基端部及び前記ディンプル間のサスペンション長手方向略中央に配置され、前記第2LB曲げ線は前記第1LB曲げ線及び前記ディンプル間のサスペンション長手方向略中央に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の磁気ヘッドサスペンションの製造方法。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドスライダを支持する磁気ヘッドサスペンションには、前記磁気ヘッドスライダを目的トラックの中心に高速に且つ高精度に位置させることが要求される。
【0003】
即ち、前記磁気ヘッドサスペンションは、ボイスコイルモータ等のアクチュエータによって基端側が直接又は間接的に揺動中心回りに揺動されることで、先端側において支持する前記磁気ヘッドスライダをディスク面に平行なシーク方向に沿って目的トラックへ向けて移動させる。
【0004】
従って、前記磁気ヘッドスライダを目的トラックに高速に且つ正確に位置させる為には、前記アクチュエータの駆動信号の周波数を高めた場合であっても前記磁気ヘッドスライダの振動を可及的に低減し得るように、前記磁気ヘッドサスペンションを構成する必要がある。
【0005】
ところで、前記アクチュエータによって前記磁気ヘッドサスペンションを揺動させると前記磁気ヘッドサスペンションには種々の振動モードの振動が生じるが、この振動は前記磁気ヘッドスライダの目的トラックに対する正確な位置決めを阻害する。
【0006】
特に、前記磁気ヘッドサスペンションに生じ得る種々の振動モードのうち、捩れ1次モード、捩れ2次モード、捩れ3次モード及びSWAYモード(首振りモード)の共振周波数は低周波数帯域に存在する為、これらの振動モードの振動に起因する磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレを可及的に防止することが重要となる。
【0007】
例えば、下記特許文献1には、前記磁気ヘッドサスペンションにおける荷重曲げ部に2つの曲げ部を設けると共に、この2つの曲げ部の曲げ角度を同一とした磁気ヘッドサスペンションが開示されている。
【0008】
前記特許文献1に記載の磁気ヘッドサスペンションにおいては、前記荷重曲げ部に単一の曲げ部が設けられている構成に比して、前記2つの曲げ部の曲げ角度を小さくでき、従って、前記磁気ヘッドサスペンションをロード状態においた際のバンプ高さを低減して、共振時のゲインを低減できるとされている。
【0009】
この従来構成は、捩れ系モードの振動時におけるゲインを低減させるものであるが、SWAYモードの振動に起因する前記磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレ(ゲイン)については、全く考慮されていない。
【0010】
SWAYモードの振動に起因する前記磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレ量(ゲイン)は、前記磁気ヘッドサスペンションに設けられた曲げ部の曲げ角度の調整によって低減させることはできない。
【0011】
即ち、SWAYモードの振動に起因する前記磁気ヘッドスライダの目的トラックからの位置ズレを防止又は低減する為には、前記磁気ヘッドサスペンションをSWAYモードの振動が生じ難いように構成する必要がある。つまり、前記磁気ヘッドサスペンションのSWAYモードの共振周波数を可及的に高めることで、前記アクチュエータの駆動信号の周波数を高めたとしても、前記磁気ヘッドサスペンションにSWAYモードの共振が生じることを可及的に防止する必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る磁気ヘッドサスペンションの製造方法の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1に本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンションの製造方法によって製造される磁気ヘッドサスペンション1Aの上面図(ディスク面とは反対側から視た平面図)を、
図2に
図1におけるII-II線に沿った断面図を示す。
【0023】
さらに、
図3に、前記磁気ヘッドサスペンション1Aのロードオン状態(前記磁気ヘッドサスペンション1Aにおける下記荷重曲げ部20が曲げ戻された状態でハードディスク装置に実装され且つディスク面100の回転に伴う空気圧によって下記磁気ヘッドスライダ50が浮上することによって前記荷重曲げ部20がさらに曲げ戻された状態)の側面図を示す。
【0024】
まず、前記磁気ヘッドサスペンション1Aについて説明する。
前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、
図1〜
図3に示すように、ボイスコイルモータ等のアクチュエータ(図示せず)によって直接又は間接的に揺動中心回りにディスク面に平行なシーク方向へ揺動される支持部10と、磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面に向けて押し付ける為の押し付け荷重を発生し得るように基端部が前記支持部10に連結された前記荷重曲げ部20と、前記荷重曲げ部20を介して前記支持部10に支持され且つ前記押し付け荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達するロードビーム部30と、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30に支持されるフレクシャ部40とを備えている。
【0025】
前記支持部10は、前記アクチュエータに直接又は間接的に連結された状態で前記荷重曲げ部20を介して前記ロードビーム部30を支持する部材であり、比較的高剛性を有するものとされる。
【0026】
本実施の形態においては、
図1及び
図3に示すように、前記支持部10は、前記アクチュエータに連結されるキャリッジアーム(図示せず)の先端にかしめ加工によって接合されるボス部15を備えたベースプレートとされている。
【0027】
前記支持部10は、例えば、厚さ0.1mm〜0.8mmのステンレス板によって好適に形成される。
当然ながら、前記支持部10として、基端部が前記アクチュエータの揺動中心に連結されるアームを採用することも可能である。
【0028】
前記ロードビーム部30は、前述の通り、前記荷重曲げ部20によって発生される押し付け荷重を前記磁気ヘッドスライダ50に伝達する為の部材であり、従って、所定の剛性が要求される。
【0029】
図1及び
図3に示すように、前記ロードビーム部30は、前記ディスク面100と対向する平板状の本体部31を有している。
前記ロードビーム部30は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって好適に形成される。
【0030】
本実施の形態においては、
図1〜
図3に示すように、前記ロードビーム部30は、さらに、前記本体部31のサスペンション幅方向両側から前記ディスク面100とは反対方向へ延びる左右一対のフランジ部32を有しており、前記フランジ部32によって剛性を向上させている。
【0031】
図1及び
図3に示すように、前記ロードビーム部30は、前記本体部31の先端側にディンプル33と呼ばれる突起を有している。
前記ディンプル33は、前記ディスク面100に近接する方向に、例えば、0.05mm〜0.1mm程度突出されている。このディンプル33は、前記フレクシャ部40における下記ヘッド搭載領域415の上面(前記磁気ヘッドスライダ50を支持する支持面とは反対側の裏面)に接触し、このディンプル33を介して前記押し付け荷重を前記フレクシャ部40の前記ヘッド搭載領域415に伝達するようになっている。
【0032】
前記ロードビーム部30は、
図1及び
図3に示すように、第1LB曲げ線BL1回りに曲げられた第1LB曲げ部38(1)と、前記第1LB曲げ線BL1とはサスペンション長手方向に関し異なる位置に設けられた第2LB曲げ線BL2回りに曲げられた第2LB曲げ部38(2)とを有している。
【0033】
図4に、
図3におけるIV部のサスペンション長手方向中心線CL(
図1参照)に沿った拡大縦断側面図を示す。
図1、
図3及び
図4に示すように、本実施の形態においては、前記第1LB曲げ線BL1が前記第2LB曲げ線BL2よりサスペンション長手方向基端側に配置されている。
【0034】
斯かる構成においては、前記ロードビーム部30の前記本体部31は、前記第1LB曲げ線BL1よりサスペンション長手方向基端側に位置する基端側領域31aと、サスペンション長手方向に関し前記第1及び第2LB曲げ線BL1、BL2の間に位置する中間領域31bと、前記第2LB曲げ線BL2よりサスペンション長手方向先端側に位置する先端側領域31cとに区画される。
【0035】
図3及び
図4に示すように、本実施の形態においては、前記第1LB曲げ部38(1)は前記ディスク面100に向かって凸状とされている。
【0036】
詳しくは、前記中間領域31bが前記基端側領域31aに比して先端側へ行くに従って前記ディスク面100から離間するように、前記基端側領域31aに対して前記第1LB曲げ線BL1回りに曲げられており、これにより、前記第1LB曲げ部38(1)が前記ディスク面に向かう凸状を形成している。
【0037】
前記第2LB曲げ線BL2での曲げ方向は、前記第1LB曲げ線BL1での曲げ方向とは異なっている。
即ち、
図3及び
図4に示すように、前記第2LB曲げ部38(2)は前記ディスク面100とは反対側に向かって凸状とされている。
【0038】
詳しくは、前記先端側領域31cが前記中間領域31bに比して先端側へ行くに従って前記ディスク面100に近接するように、前記中間領域31bに対して前記第2LB曲げ線BL2回りに曲げられており、これにより、前記第2LB曲げ部38(2)が前記ディスク面100とは反対側に向かう凸状を形成している。
【0039】
なお、本実施の形態においては、
図1に示すように、前記第1及び第2LB曲げ線BL1、BL2は共にサスペンション幅方向に沿っているが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
【0040】
即ち、前記第1LB曲げ線BL1は、サスペンション長手方向中心線CLを基準にしてサスペンション幅方向に関し対称で、且つ、前記第1LB曲げ線BL1回りの曲げによって、当該第1LB曲げ線BL1より先端側の部位が基端側の部位に比して、前記ディスク面100に近接又は離間する限り、前記第1LB曲げ線BL1をサスペンション幅方向に対して傾斜させることも可能である。
【0041】
例えば、前記第1LB曲げ線BL1が、サスペンション長手方向中心線CL上の基準位置からサスペンション幅方向一方側へ行くに従ってサスペンション長手方向基端側又は先端側に位置するように傾斜されたサスペンション幅方向一方側の部分と、サスペンション長手方向中心線CLを基準にしてサスペンション幅方向一方側の部分とは対称とされたサスペンション幅方向他方側の部分とを有するように構成することができる。
【0042】
斯かる構成によれば、前記第1LB曲げ線BL1回りの曲げ加工による前記フランジ部32の変形具合を微調整でき、前記フランジ部32の変形を抑えつつ前記第1LB曲げ線BL2回りの曲げ加工を実現できる。
【0043】
同様に、前記第2LB曲げ線BL1は、サスペンション長手方向中心線CLを基準にしてサスペンション幅方向に関し対称で、且つ、前記第2LB曲げ線BL2回りの曲げによって、当該第2LB曲げ線BL2より先端側の部位が基端側の部位に比して、前記ディスク面100に近接又は離間する限り、前記第2LB曲げ線BL2をサスペンション幅方向に対して傾斜させることも可能である。
【0044】
例えば、前記第2LB曲げ線BL2が、サスペンション長手方向中心線CL上の基準位置からサスペンション幅方向一方側へ行くに従ってサスペンション長手方向基端側又は先端側に位置するように傾斜されたサスペンション幅方向一方側の部分と、サスペンション長手方向中心線CLを基準にしてサスペンション幅方向一方側の部分とは対称とされたサスペンション幅方向他方側の部分とを有するように構成することができる。
【0045】
斯かる構成によれば、前記第2LB曲げ線BL2回りの曲げ加工による前記フランジ部32の変形具合を微調整でき、前記フランジ部32の変形を抑えつつ前記第2LB曲げ線BL2回りの曲げ加工を実現できる。
【0046】
本実施の形態においては、
図1及び
図3に示すように、前記ロードビーム部30は、さらに、前記本体部31の先端からサスペンション長手方向先端側へ延びるリフトタブ34を一体的に有している。
【0047】
前記リフトタブ34は、前記磁気ヘッドスライダ50が前記ディスク面100の径方向外方へ位置するように前記磁気ヘッドサスペンション1Aが前記アクチュエータによって揺動された際に、前記ハードディスク装置に備えられたランプと係合して前記磁気ヘッドスライダ50を前記ディスク面100と直交するz方向に関し前記ディスク面100から離間させる為の部材である。
【0048】
本実施の形態においては、
図1及び
図3に示すように、前記ロードビーム部30の前記本体部31のサスペンション幅方向両側は、サスペンション長手方向基端側から先端側へ行くに従ってサスペンション長手方向中心線CLに近接するように略直線状に傾斜されている。
【0049】
斯かる構成によれば、前記ロードビーム部30の先端側における前記中心線CL回りの慣性モーメントを低減でき、捩れモード及びSWAYモードの共振周波数を上昇させることができる。
【0050】
図1及び
図3に示すように、前記荷重曲げ部20は、板面が前記ディスク面100に対向するように配置された左右一対の板バネ21を有している。
【0051】
前記一対の板バネ21は、サスペンション幅方向に関し互いに対して離間されており、基端部が前記支持部10の先端側に連結され且つ先端部が前記ロードビーム部30の前記本体部31の基端部に連結されている。
【0052】
前記一対の板バネ21は、
図1及び
図3に示すように、先端側が前記ディスク面100に近接するように荷重曲げ線PL回りに曲げられている。
この荷重曲げ線PL回りの曲げ角度は、前記磁気ヘッドサスペンション1Aがロードオン状態とされた際に所定の押し付け荷重を発生するように設定される。
【0053】
詳しくは、前記磁気ヘッドサスペンション1Aは、前記荷重曲げ線PL回りに曲げられた前記板バネ21が所定量だけ曲げ戻されて保有弾性を有する状態でハードディスク装置に組み込まれる。
【0054】
そして、前記ハードディスク装置が作動状態となって前記ディスク面100が回転されると、前記磁気ヘッドスライダ50が前記ディスク面100の回転に伴う空気圧を受けて前記ディスク面100から離間する方向へ浮上し、この磁気ヘッドスライダ50の浮上動作に応じて前記板バネ21が、さらに、曲げ戻し方向へ弾性変形して、保有弾性が大きくなる。
【0055】
前記ロードオン状態とは前記磁気ヘッドスライダ50が前記ディスク面100の回転に伴う空気圧を受けて浮上した状態を意味しており、この状態において前記荷重曲げ部20が所定の前記押し付け荷重を発生するように、前記荷重曲げ線PL回りの曲げ角度が設定される。
【0056】
具体的には、前記ロードオン状態の際の、前記磁気ヘッドスライダ50(例えば、前記磁気ヘッドスライダ50のディスク対向面)と前記磁気ヘッドサスペンション1Aのうち前記ディスク面100に直交するz方向に関し位置固定された基準部位(例えば、前記支持部10における前記ディスク面とは反対側の上面)との間のz方向距離ZHが、仕様に応じて、設定高さとして決められている。
【0057】
従って、前記磁気ヘッドサスペンション1Aを実際にはハードディスク装置に組み込むこと無く、前記磁気ヘッドスライダ50及び前記基準部位間のz方向距離ZHが所定設定高さとなるように前記板バネ21が曲げ戻された際に、前記荷重曲げ部20が前記所定の押し付け荷重を発生するように、前記荷重曲げ線PL回りの曲げ角度が決定される。
【0058】
なお、本実施の形態においては、
図1に示すように、前記荷重曲げ線PLはサスペンション幅方向に沿っているが、前記中心線CLを基準にしてサスペンション幅方向に関し対称とされる限り、前記荷重曲げ線PLをサスペンション幅方向に対して傾斜させることも可能である。
【0059】
例えば、前記一対の板バネ21の一方における前記荷重曲げ線PLはサスペンション幅方向内方から外方へ行くに従ってサスペンション長手方向先端側又は基端側の一方に位置するようにサスペンション幅方向に対して傾斜させ、前記一対の板バネ21の他方における前記荷重曲げ線PLは前記中心線CLを基準にして前記一対の板バネ21の一方における前記荷重曲げ線PLと対称となるようにサスペンション幅方向に対して傾斜させることができる。
【0060】
このように、前記荷重曲げ線PLをサスペンション幅方向に対して傾斜させることにより、製造工程を追加すること無く、前記ロードビーム部30の本体部31を前記ディスク面100に近接する方向又は離間する方向へ凸状に撓ませることができ、質量増加を招くこと無く前記ロードビーム部30の剛性を向上させることができる。斯かる構成によって、特に、捩れモードの共振周波数を高域化させることができる。
【0061】
前記荷重曲げ部20は、例えば、厚さ0.02mm〜0.1mmのステンレス板によって形成される。
なお、本実施の形態においては、前記荷重曲げ部20は前記ロードビーム部30を形成するロードビーム形成部材300に一体形成されている。
【0062】
詳しくは、本実施の形態においては、
図1に示すように、前記ロードビーム部形成部材300は、前記ロードビーム部30を形成するロードビーム形成領域301と、前記ロードビーム形成領域301から基端側へ延びる荷重曲げ部形成領域305とを一体的に有しており、前記荷重曲げ部形成領域305にはサスペンション幅方向中央に間隙が設けられて、前記一対の第1及び第2板バネ21を形成している。
【0063】
前記フレクシャ部40は、前記磁気ヘッドスライダ50を支持した状態で前記ロードビーム部30に溶接等によって固着される。
【0064】
詳しくは、
図3及び
図4に示すように、前記フレクシャ部40はフレクシャ基板410を有している。
【0065】
前記フレクシャ基板410は、前記ロードビーム部30の前記本体部31におけるディスク対向面に当接されるロードビーム部当接領域412と、基端部が前記ロードビーム部当接領域412に連結された左右一対の支持片413と、前記左右一対の支持片413の先端部によって支持された前記ヘッド搭載領域415とを有している。
【0066】
前記ヘッド搭載領域415は、
図3及び
図4に示すように、前記ディスク面と対向するディスク対向面において前記磁気ヘッドスライダ50を支持しつつ、前記ディスク面とは反対側の裏面において前記ディンプル33と接触しており、これにより、前記磁気ヘッドスライダ50は前記ディンプル33を支点としてロール方向及びピッチ方向に柔軟に揺動し得るようになっている。
【0067】
本実施の形態においては、前記ロードビーム部当接領域412は、前記本体部31のうち前記第1及び第2LB曲げ線BL1、BL2より基端側に位置する領域(本実施の形態においては、前記基端側領域31a)に前記サスペンション長手方向中心線CLを基準にして対称配置されたスポット溶接によって固着されている。
【0068】
前記ヘッド搭載領域415がロール方向及びピッチ方向に揺動し得るように、前記フレクシャ基板410は、前記ロードビーム部30よりも低剛性とされる。
前記フレクシャ基板410は、例えば、厚さ0.01mm〜0.025mm程度のステンレス等の金属材料によって好適に形成される。
【0069】
なお、本実施の形態においては、前記フレクシャ基板410は、前記ロードビーム部30の前記本体部31に加えて、前記支持部10にも固着されている。
【0070】
詳しくは、
図1及び
図3に示すように、前記フレクシャ基板410は、さらに、前記支持部10に当接され且つスポット溶接等によって固着される支持部当接領域411と、前記支持部当接領域411及び前記ロードビーム部当接領域412を連結し、サスペンション長手方向に関し前記荷重曲げ部20を通過する荷重曲げ部対応領域418とを有している。
【0071】
好ましくは、前記フレクシャ部40には、前記磁気ヘッドスライダ50を外部の部材に電気的に接続する為の導体層を含む配線構造体(図示せず)が備えられる。
【0072】
前記配線構造体は、前記フレクシャ基板410におけるディスク対向面に積層される絶縁層と前記絶縁層におけるディスク対向面に積層される導体層とを有する。
前記配線構造体には、さらに、前記導体層を囲繞する絶縁性のカバー層が備えられ得る。
【0073】
以下、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンションの製造方法について説明する。
本実施の形態に係る製造方法は、捩れモードの振動時における磁気ヘッドスライダ50のゲイン低減を図りつつ、SWAYモードの共振周波数を有効に上昇させ得る磁気ヘッドサスペンションの効率的な製造を可能とする。
【0074】
図5(a)〜(d)に、前記製造方法の工程ブロック図を示す。
前記製造方法は、前記支持部10、前記荷重曲げ部20、前記ロードビーム部30及び前記フレクシャ部40を固着させてサスペンションアッセンブリ1A’(
図5(a)参照)を形成した後に、前記第1LB曲げ線BL1回りの曲げ部の曲げ角度(以下、第1LB曲げ角度θ1という)を選択する第1LB曲げ角度選択工程及び前記第2LB曲げ線BL2回りの曲げ部の曲げ角度(以下、第2LB曲げ角度θ2という)を選択する第2LB曲げ角度選択工程を有している(
図5(b)参照)。
【0075】
前記製造方法は、前記第1LB曲げ角度選択工程及び前記第2LB曲げ角度選択工程の後に、前記荷重曲げ線PL回りの曲げ部の曲げ角度(以下、荷重曲げ角度θ3という)を決定する荷重曲げ角度決定工程を有している(
図5(c)参照)。
【0076】
前記荷重曲げ角度決定工程においては、前記第1LB曲げ角度θ1及び前記第2LB曲げ角度θ2として現在選択されている前記任意角度を有するサスペンションがロードオン状態(即ち、前記磁気ヘッドスライダ50と前記サスペンションの基準部位との間のz方向距離が所定の設定高さZHとなるように前記荷重曲げ部20が曲げ戻された状態)とされた際に前記荷重曲げ部20が所定の押し付け荷重を発生するように、前記荷重曲げ角度θ3が決定される。
【0077】
ここで、前記製造方法は、前記第1LB曲げ角度θ1及び前記第2LB曲げ角度θ2として現在選択されているそれぞれの任意角度を有し且つ前記荷重曲げ角度θ3として前記荷重曲げ角度決定工程によって決定された角度を有するサスペンションがロードオン状態とされた際に、前記ロードビーム部30の前記本体部31のうち前記第1及び第2LB曲げ線BL1、BL2より基端側に位置する前記基端側領域31aが前記ディスク面に対して平行となるか否かを判断する平行判定工程(
図5(d)参照)を有している。
【0078】
前記平行判定工程は、前記サスペンションがSWAYモードの振動に対して、所定値以上の高い共振周波数を有しているか否かを判断する工程として作用する。
【0079】
詳しく説明すると、SWAYモードの振動とは、前記ディスク面に平行なシーク方向の振動を主とした前記サスペンションの主共振モードの振動である。
従って、前記サスペンションが前記ロードオン状態とされた際に、前記ロードビーム部30の基端側が前記ディスク面に対して平行か否かを判定すれば、前記サスペンションがSWAYモードの振動に対して高い剛性を有するか否か、即ち、SWAYモードの振動に対して高い共振周波数を有しているか否かを判断することができる。
【0080】
例えば、前記サスペンションが前記ロードオン状態とされた際に、前記基端側領域31aの前記ディスク面100に対する傾きが所定の閾値以内であれば、平行と判断することができる。
【0081】
前記製造方法は、前記平行判定工程の後に、曲げ角度セット検出工程を有している。
前記曲げ角度セット検出工程は、前記第1LB曲げ角度θ1として現在選択されている角度に対して、前記ロードオン状態の際に前記基端側領域31aを平行とさせる第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを見つけ出す工程である。
【0082】
具体的には、前記曲げ角度セット検出工程は、前記平行判定工程によって平行と判断される場合には、前記第2LB曲げ角度θ2及び前記荷重曲げ角度θ3として現時点で設定されている角度を、前記第1LB曲げ角度θ1として現在選択されている角度に対して、前記ロードオン状態の際に所定の押し付け荷重を発生しつつ前記基端領域を平行とさせる曲げ角度セットとして認識する。
【0083】
これに対し、前記平行判定工程によって平行で無いと判断される場合には、前記曲げ角度セット検出工程は、前記第2LB曲げ角度θ2として現在選択されている角度とは異なる他の角度を選択し直し、前記第1LB曲げ角度θ1として現在選択されている角度及び前記第2LB曲げ角度θ2として選択し直された角度を有するサスペンションがロードオン状態とされた際に前記荷重曲げ部が前記所定の押し付け荷重を発生するように前記荷重曲げ角度θ3を決定し、これらの曲げ角度を有するサスペンションがロードオン状態とされた際に前記基端側領域31aが前記ディスク面100に対して平行となるか否かを判断する作業を繰り返して、前記第1LB曲げ角度θ1として現在選択されている角度に対して、前記ロードオン状態の際に所定の押し付け荷重を発生しつつ前記基端側領域を平行とさせる第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを見つけ出す。
【0084】
前記製造方法は、前記第1LB曲げ角度θ1として先の工程で選択した前記任意角度とは異なる少なくとも1つの他の任意角度を選択し、新たに選択された少なくとも1つの他の任意角度毎に、前記第2LB曲げ角度選択工程から前記曲げ角度セット検出工程に至る工程と同様の作業を行い、ロードオン状態の際に所定の押し付け荷重を発生しつつ前記基端側領域31aを平行とさせる第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを見つけ出す他の曲げ角度セット検出工程を有している。
【0085】
前記製造方法は、その後に、前記複数の曲げ角度セット検出工程によって見つけ出された複数の曲げ角度セットを有する複数のサスペンションのそれぞれに対して、捩れモードの振動と磁気ヘッドスライダ50の変位量との関係である捩れモードゲインに関する解析を行って、第1LB曲げ角度θ1と捩れモードゲインとの関係を得る捩れモードゲイン検出工程を有している。
【0086】
前記捩れモードゲインに関する解析は、下記方法によって行うことができる。
即ち、前記複数のサスペンションのそれぞれに対して、捩れモードの振動を生じさせる強制振動を所定部位に与え、前記所定部位の変位量に対する前記磁気ヘッドスライダ50の変位量の比を当該サスペンションにおける捩れモードゲインとして認識することができる。
【0087】
例えば、前記支持部10のうちz方向に関し強固に固定される位置(前記支持部10がベースプレートの場合には、前記アクチュエータに連結されたキャリッジアームにかしめを介して固定される前記ボス部15の位置、以下、支持部固定位置という)をz方向及びサスペンション長手方向に沿ったx方向に関し拘束し且つ前記磁気ヘッドスライダ50のディスク対向面をz方向に関し拘束した状態で、前記支持部固定位置にサスペンション幅方向に沿ったy方向に強制振動(周期的な外力による定常振動:周波数100Hz〜30kHz)を与えて捩れ1次モードの振動を生じさせ、前記支持部固定位置に加える前記強制振動による変位量(もしくは加速度)」に対する前記磁気ヘッドスライダ50のサスペンション幅方向変位量(もしくは加速度)」の比を前記磁気ヘッドスライダ50の捩れモードゲインとして求めることができる。
【0088】
なお、本実施の形態においては、前述の通り、前記捩れモードゲイン検出工程は、解析によって第1LB曲げ角度θ1と捩れモードゲインとの関係を得たが、解析に代えて、実測、即ち、実際に作成したサスペンションにおける前記所定部位に強制振動を与えて、前記所定部位の変位量及び前記磁気ヘッドスライダ50の変位量を実測し、これらの実測値に基づき捩れモードゲインを得ることも可能である。
【0089】
前記製造方法は、その後に、最小捩れモードゲイン・第1LB曲げ角度検出工程を有している。
前記最小捩れモードゲイン・第1LB曲げ角度検出工程は、前記捩れモードゲイン検出工程によって検出された第1LB曲げ角度θ1と捩れモードゲインとの関係から、捩れモードゲインを最小とさせる最小捩れモードゲイン・第1LB曲げ角度θ1(min)を得る工程である。
【0090】
例えば、横軸に第1LB曲げ角度θ1を取り且つ縦軸に捩れモードゲインを取ったグラフを作成し、このグラフにおける縦軸の最下点に対応した横軸位置を、前記θ1(min)として認識することができる。
【0091】
前記製造方法は、その後に、前記第1LB曲げ角度θ1が前記角度θ1(min)とされたサスペンションに対して、前記第2LB曲げ角度選択工程から前記曲げ角度セット検出工程に至る工程と同様の作業を行い、前記第1LB曲げ角度θ1が前記θ1(min)とされたサスペンションにおいて、ロードオン状態の際に所定の押し付け荷重を発生しつつ前記基端側領域31aを平行とさせる第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3の曲げ角度セットを見つけ出す最終の曲げ角度セット検出工程を有している。
【0092】
前記製造方法は、このようにして見つけ出された曲げ角度で前記第1LB曲げ線BL1、前記第2LB曲げ線BL2及び前記荷重曲げ線PL回りに曲げ加工を行う工程、即ち、前記第1LB曲げ線BL1回りに前記角度θ1(min)で曲げ加工を行い、前記第2LB曲げ線BL2及び前記荷重曲げ線PL回りに、それぞれ、前記最終の曲げ角度セット検出工程で見つけ出された第2LB曲げ角度θ2及び荷重曲げ角度θ3で曲げ加工を行う工程を有している。
【0093】
斯かる工程を備えた本実施の形態に係る前記製造方法によれば、捩れモードの振動時における磁気ヘッドスライダ50のゲイン低減を図りつつ、SWAYモードの共振周波数を有効に上昇させ得る磁気ヘッドサスペンションを効率良く製造することができる。
【0094】
好ましくは、前記第1及び第2LB曲げ線BL1、BL2のうちサスペンション長手方向基端側に位置する曲げ線(本実施の形態においては前記第1LB曲げ線BL1)を、前記ロードビーム部30の基端部及び前記ディンプル33間のサスペンション長手方向略中央に配置し、前記第1及び第2LB曲げ線BL1、BL2のうち先端側に位置する曲げ線(本実施の形態においては前記第2LB曲げ線BL2)を、基端側に位置するLB曲げ線及び前記ディンプル33間のサスペンション長手方向略中央に配置することができる。
【0095】
斯かる構成によれば、前記ロードオン状態の際に前記ディスク面に対して平行とされる前記基端側領域31aの長さを確保しつつ、前記曲げ線BL1、BL2回りの曲げ角度による捩れモードゲインの調整感度を向上させることができる。
【0096】
図6に、前記磁気ヘッドサスペンション1Aの変形例1Bの上面図を示す。
図6に示すように、前記基端側領域31aにおける前記ディスク面100とは反対側に制振材60を設けることも可能である。
前記制振材60を設ける場合には、前記基端側領域31aの長さを広げることにより、前記制振材60による減衰効果を高めることができる。
【0097】
なお、前記制振材60は、前記基端側領域31aの前記ディスク面とは反対側に固着される粘弾性材からなる第1層(図示せず)と前記第1層のディスク面とは反対側に固着される第2層(図示せず)とを有し得る。
【0098】
前記第1層としては、例えば、アクリルポリマーやシリコンが好適に使用される。
前記第2層としては、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属材料、若しくは、ポリエチレン・テレフタレート等の樹脂材料が好適に使用される。
【0099】
なお、本実施の形態においては、前述の通り、前記第1LB曲げ部38(1)が前記ディスク面100に向かって凸状となるように前記第1LB曲げ線BL1での曲げ方向が画され、且つ、前記第2LB曲げ部38(2)が前記ディスク面100とは反対側に向かって凸状となるように前記第2LB曲げ線BL2での曲げ方向が画されているが(
図4参照)、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
【0100】
図7(a)〜(d)に、前記第1及び第2曲げ線BL1、BL2での曲げ方向を本実施の形態とは反対とした磁気ヘッドサスペンション2Aの製造方法の工程ブロック図を示す。
【0101】
詳しくは、
図7(a)〜(d)に示すように、前記第1LB曲げ部38(1)が前記ディスク面100とは反対側に向かって凸状となるように前記第1LB曲げ線BL1での曲げを行い、且つ、前記第2LB曲げ部38(2)が前記ディスク面10に向かって凸状となるように前記第2LB曲げ線BL2での曲げを行うことも可能である。
【0102】
又、本実施の形態においては、前記荷重曲げ部20は単一の荷重曲げ線PLで曲げられている構成を例に説明したが、
図8に示すように、前記荷重曲げ部20を基端側荷重曲げ線PL1及び先端側荷重曲げ線PL2の2本の曲げ線回りに曲げることも可能である。
【0103】
図8に示す変形例に係る磁気ヘッドサスペンション1Cにおいては、当該サスペンション1Cを前記ハードディスク装置へ組み込む際及び前記ディスク面100の回転に伴って前記磁気ヘッドスライダ50が浮上動作する際に、前記荷重曲げ部20は前記基端側荷重曲げ線PL1及び前記先端側荷重曲げ線PL2の双方の曲げ線回りに曲げ戻し方向へ弾性変形されて保有弾性を有する状態となる。
【0104】
つまり、前記変形例1Cにおいては、前記基端側荷重曲げ線PL1において発生する荷重と前記先端側荷重曲げ線PL2において発生する荷重との合力によって前記押し付け荷重が画されることになる。
【0105】
斯かる構成においては、前記荷重曲げ部20が単一の荷重曲げ線PLで曲げられている構成における前記荷重曲げ線PLでの曲げ角度(前記荷重曲げ角度θ3)に比して、前記基端側荷重曲げ線PL1及び前記先端側荷重曲げ線PL2でのそれぞれの曲げ角度を小さくしつつ、所定の前記押し付け荷重を得ることができる。
【0106】
即ち、前記荷重曲げ部20が単一の荷重曲げ線PLで曲げられている構成に比して、前記荷重曲げ部20を前記ディスク面100に対して平行に近づけることができ、従って、サスペンション全体におけるSWAYモードの共振周波数を高めることができる。