(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術では、黒文字原稿の一部に赤や青などの色文字が含まれていたり、黒文字のみの文字原稿に赤い印鑑が押されていたりする場合、多値カラー画像と判定されるので、多値画像データが生成される。そして、多値画像データはデータ量が大きい。しかしながら、例えば黒文字原稿の一部に赤や青などの色文字が含まれている場合や、黒文字のみの文字原稿に赤い印鑑が押されている場合のように、カラー画像がわずかしか含まれていない画像についてはカラーの再現性を高めるよりも、画像データのデータ量を減少させたいというニーズがある。
【0005】
本発明の目的は、黒文字文書の一部にカラー画像が混在している画像を表す画像データのデータ量を減少させることができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、カラー画像を表す第1画像データを取得する画像データ取得部と、前記第1画像データによって表される画像が、黒文字主体の画像であるか否かを判定する画像判定部と、前記画像判定部によって前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であると判定された場合、前記第1画像データを二値画像データに変換することによって前記第1画像データを第2画像データに変換する画像データ変換部とを備え
、前記画像判定部は、前記第1画像データによって表される画像の各画素の、輝度又は濃度の分布に基づいて前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であるか否かを判定し、前記各画素の輝度又は濃度を階級とするヒストグラムを生成し、前記ヒストグラムにより示される度数が予め設定された第1閾値を超える階級の数を第1階級数として計数し、前記ヒストグラムにより示される度数が前記第1閾値以下の第2閾値に満たない階級の数を第2階級数として計数し、前記第1階級数と前記第2階級数との比率に基づき前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であるか否かを判定する。
【0007】
この構成によれば、画像データ取得部によってカラー画像を表す第1画像データが取得され、画像判定部によって、第1画像データで表される画像が黒文字主体の画像であるか否かが判定される。そして、画像判定部によって第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であると判定された場合、画像データ変換部によって、第1画像データが二値画像データに変換されて、第1画像データが第2画像データに変換される。これによれば、黒文字主体の画像は、多値画像データよりもデータ量が少ない二値画像データに変換されるので、黒文字文書の一部にカラー画像が混在している画像を表す画像データのデータ量を減少させることができる。
【0009】
本発明者らは、黒文字主体の画像であるか否かによって、画像を表す各画素の、輝度又は濃度の分布が異なることを見出した。この知見に基づき、画像判定部は、第1画像データによって表される画像の各画素の、輝度又は濃度の分布に基づいて第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であるか否かを判定することが可能となる。
【0011】
本発明者らは、画像に含まれる各画素の輝度又は濃度を階級とするヒストグラムを生成し、前記ヒストグラムにより示される度数が予め設定された第1閾値を超える階級の数を第1階級数として計数し、前記ヒストグラムにより示される度数が前記第1閾値以下の第2閾値に満たない階級の数を第2階級数として計数した場合、画像が黒文字主体の画像であるか否かによって、前記第1階級数と前記第2階級数との比率が異なることを見出した。この知見に基づき、画像判定部は、前記第1階級数と前記第2階級数との比率を算出することによって、その比率に基づき前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であるか否かを判定することが可能となる。
【0012】
また、前記画像判定部は、前記第2階級数に対する前記第1階級数の比率が予め設定された基準比率に満たず、かつ前記ヒストグラムの度数がゼロではない範囲における階級の下限付近と上限付近とに度数のピークがある場合、前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であると判定することが好ましい。
【0013】
本発明者らは、第2階級数に対する前記第1階級数の比率が予め設定された基準比率に満たず、かつ前記ヒストグラムの度数がゼロではない範囲における階級の下限付近と上限付近とに度数のピークがある場合に黒文字主体の画像であると判定することによって、判定精度が向上することを見出した。この知見に基づき、画像判定部は、前記第2階級数に対する前記第1階級数の比率が予め設定された基準比率に満たず、かつ前記ヒストグラムの度数がゼロではない範囲における階級の下限付近と上限付近とに度数のピークがある場合に前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であると判定することによって、判定精度を向上させることが可能となる。
【0014】
また、前記画像判定部は、前記第2階級数に対する前記第1階級数の比率が予め設定された基準比率に満たない場合、前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であると判定してもよい。
【0015】
画像判定部は、前記第2階級数に対する前記第1階級数の比率が予め設定された基準比率に満たない場合、前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像であると判定することができる。
【0016】
また、前記画像データ変換部は、前記画像判定部によって前記第1画像データによって表される画像が黒文字主体の画像ではないと判定された場合、前記第1画像データを多値画像データに変換することによって前記第1画像データを第2画像データに変換することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、黒文字主体の画像ではない画像については、多値画像データに変換されるので、画像の再現性が向上する。
【0018】
また、前記第2画像データに基づいて、用紙に画像を形成する画像形成部をさらに備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、用紙に画像を形成する画像形成装置において、上述の効果が得られる。
【発明の効果】
【0020】
このような構成の画像処理装置は、黒文字文書の一部にカラー画像が混在している画像を表す画像データのデータ量を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る画像処理装置の一例としての複合機1について、図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機1の構造を示す正面断面図である。
図1に示すように、複合機1は、装置本体2a内に画像形成部2を備える。画像形成部2は、用紙Pに対するカラー画像の形成(印刷)を行う。
【0023】
また、複合機1のフロント部には、操作部310が設けられている。この操作部310には、ユーザーが印刷実行指示を入力するためのスタートキー312と、印刷部数等を入力するためのテンキー313と、コピー動作等の操作ガイド情報等を表示し、これら各設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部311とが備えられている。
【0024】
画像形成部2は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色別に装置本体2a内に並列された画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kと、駆動ローラー11aや二次転写対向ローラー13等の複数のローラー間に画像形成における副走査方向へ無端走行可能に張架された中間転写ベルト10と、中間転写ベルト10を挟んで画像形成ユニット2M、2C、2Y、2Kの各感光体ドラム3に対向する位置にそれぞれ設けられた転写ローラー(転写部)9と、中間転写ベルト10が二次転写対向ローラー13に張架される部分で中間転写ベルト10の外周面に当接し、中間転写ベルト10上のトナー像を用紙Pに転写させる二次転写ローラー14と、ベルトクリーニング装置19とを備える。
【0025】
画像形成ユニット2M、2C、2Yおよび2Kは、トナータンク61、例えばアモルファスシリコン等からなる感光体ドラム3、この感光体ドラム3の周囲に配設された帯電装置4、露光装置5、現像装置6、およびドラムクリーニング装置7を備え、画像データに応じたトナー像を感光体ドラム3の周面に形成して中間転写ベルト10に転写させる。
【0026】
画像形成ユニット2Mのトナータンク61にはマゼンダのトナーが収容され、画像形成ユニット2Cのトナータンク61にはシアンのトナーが収容され、画像形成ユニット2Yのトナータンク61にはイエローのトナーが収容され、画像形成ユニット2Kのトナータンク61には黒のトナーが収容されている。これにより、画像形成ユニット2Mはマゼンダのトナー像を形成し、画像形成ユニット2Cはシアンのトナー像を形成し、画像形成ユニット2Yはイエローのトナー像を形成し、画像形成ユニット2Kは黒のトナー像を形成する。
【0027】
帯電装置4は、感光体ドラム3の周面を所定電位に均一に帯電させる。露光装置5は、後述の制御部111により送信されてきた画像データに基づき生成されたレーザ光を感光体ドラム3の周面に照射し、感光体ドラム3の周面に静電潜像を形成する。現像装置6は、感光体ドラム3に形成された静電潜像に対してトナータンク61から供給されるトナーを付着させ、トナー像として静電潜像を顕在化させる。ドラムクリーニング装置7は、後述する中間転写ベルト10への前記トナー像の一次転写終了後、感光体ドラム3の周面に残留しているトナーをクリーニングする。
【0028】
画像形成ユニット2M〜2Kの下方には、感光体ドラム3の周面に顕在化した前記トナー像が中間転写(一次転写)される中間転写ベルト10が配設されている。中間転写ベルト10は、各感光体ドラム3と対向配置された転写ローラー9によって感光体ドラム3に押圧された状態で、
図1における右側の駆動ローラー11aと、同左側の従動ローラー11bと、駆動ローラー11aおよび従動ローラー11bの下方に位置する二次転写対向ローラー13とに無端走行可能に張架されている。
【0029】
中間転写ベルト10は、駆動ローラー11aによって駆動され、上記各ローラー間を無端走行する。感光体ドラム3上に形成される各色のトナー像は、無端走行される中間転写ベルト10上に、それぞれタイミングを合わせて、M、C、Y、Kの順に転写されて重ね合わされる。これにより中間転写ベルト10上にM、C、Y、Kの4色からなるカラー画像が形成される。なお、本実施形態では、画像形成ユニット2Kのみによる画像形成を行うモノクロトナー像の形成も可能とされている。
【0030】
中間転写ベルト10の外周面において従動ローラー11bに対向する位置には、ベルトクリーニング装置19が設けられている。ベルトクリーニング装置19は、中間転写ベルト10上の残留トナーを除去(回収)する。
【0031】
二次転写ローラー14は、後述する制御部111からの指示に基づいて所定の転写バイアスを用紙Pに印加し、中間転写ベルト10上の前記カラー画像を用紙Pへ二次転写させる。
【0032】
また、複合機1は、画像形成ユニット2Y〜2Kへ向けて給紙を行う給紙部15を備えている。給紙部15は、用紙Pを収容する給紙カセット151、用紙Pが搬送される経路である用紙搬送路152、および用紙搬送路152中の用紙Pの搬送を行う搬送ローラー153等を備え、給紙カセット151から1枚ずつ取り出された用紙Pを、二次転写ローラー14の位置へ向けて搬送する。また、給紙部15は、二次転写処理された用紙Pを定着装置16へ搬送し、この定着処理された用紙Pを装置本体2a上部の排出トレイ17へ排出する。
【0033】
定着装置16は、用紙搬送路152における二次転写ローラー14よりも下流側に設けられ、用紙Pに転写されたトナー像を定着させる。定着装置16は、ヒートローラー161および圧ローラー162からなり、ヒートローラー161の熱によって用紙P上のトナーを溶かし、圧ローラー162によって圧力をかけてトナーを用紙P上に定着させる。
【0034】
複合機1本体の上部には、原稿読取部20と原稿給送部24とが設けられている。原稿読取部20は、複数の画素を有してなるCCD(Charge Coupled Device)センサおよび露光ランプ等からなるスキャナー部21(画像データ取得部)と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台22および原稿読取スリット23とを備える。スキャナー部21は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台22に載置された原稿を読み取るときは、原稿台22に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データD1(第1画像データ)を後述する記憶部32に記憶させる。また、スキャナー部21は、原稿給送部24により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット23と対向する位置に移動され、原稿読取スリット23を介して原稿給送部24による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データD1を後述する記憶部32に記憶させる。
【0035】
原稿給送部24は、原稿を載置するための原稿載置部25と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部26と、原稿載置部25に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット23に対向する位置へ搬送し、原稿排出部26へ排出するための給紙ローラーや搬送ローラー(図示せず)等からなる原稿搬送機構27を備える。原稿搬送機構27は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット23と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図示せず)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット23を介してスキャナー部21から読取可能にしている。
【0036】
また、原稿給送部24は、その前面側が上方に移動可能となるように複合機1本体に対して回動自在に設けられている。原稿給送部24の前面側を上方に移動させて原稿台22の上面を開放することにより、原稿台22の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等をユーザーが載置できるようになっている。
【0037】
次に、複合機1の制御系の構成を説明する。
図2は複合機1の電気的構成の概略を示したブロック図である。
【0038】
制御ユニット110は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。そして、制御ユニット110は、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部111、画像判定部112、及び画像データ変換部113を構成する。
【0039】
制御部111は、複合機1の全体的な動作制御を司り、装置各部の動作を制御する。また、制御部111には、通信部31(画像データ取得部)及び記憶部32が接続されている。
【0040】
通信部31は、例えばLAN(Local Area Network)や公衆回線等の通信ネットワークに接続可能に構成された通信インターフェースである。通信部31は、図略のネットワークを介して接続されたパーソナルコンピューターや他の複合機等の外部端末装置とデータ送受信可能に構成されている。そして、通信部31は、ネットワークを介して接続された外部端末装置から画像データD1(第1画像データ)を受信し、その画像データD1を記憶部32に記憶させる。
【0041】
記憶部32は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリー等を用いて構成された記憶装置である。
【0042】
画像判定部112は、画像データD1によって表される画像の各画素の輝度の分布に基づいて、画像データD1によって表される画像が黒文字主体の画像であるか否かを判定する。なお、黒文字主体の画像とは、例えば、画像全体に対して、黒文字が形成されている領域の面積比率が90%を超えている画像を意味するものとする。
【0043】
具体的には、画像判定部112は、画像データD1に含まれる各画素の輝度を階級とするヒストグラムを生成し、ヒストグラムにより示される度数が予め設定された第1閾値T1を超える階級の数を第1階級数N1として計数し、ヒストグラムにより示される度数が第1閾値T1より小さい第2閾値T2に満たない階級の数を第2階級数N2として計数し、第1階級数N1と第2階級数N2の比率N1/N2に基づき画像データD1によって表される画像が黒文字主体の画像であるか否かを判定する。
【0044】
例えば、画像判定部112は、比率N1/N2が予め設定された基準比率Rrefに満たず、かつヒストグラムの度数がゼロではない範囲における階級の下限付近と上限付近とに度数のピークがある場合、画像データD1によって表される画像が黒文字主体の画像であると判定する。
【0045】
なお、画像判定部112は、度数のピークにかかわらず、比率N1/N2が予め設定された基準比率Rrefに満たない場合に画像データD1によって表される画像が黒文字主体の画像であると判定してもよい。また、第1閾値T1と第2閾値T2とは、互いに等しい値であってもよい。
【0046】
画像データ変換部113は、画像判定部112によって、画像データD1によって表される画像が黒文字主体の画像であると判定された場合、画像データD1を例えばMMR(Modified Modified READ)形式やJBIG(Joint Bi-lebel Image experts Group)形式などの二値画像データに変換することによって画像データD1を画像データD2(第2画像データ)に変換する。また、画像データ変換部113は、画像判定部112によって、画像データD1により表される画像が黒文字主体の画像ではないと判定された場合、画像データD1を、例えばJPEG(Joint Photographic Expert Group)形式の多値画像データに変換することによって画像データD1を画像データD2に変換する。
【0047】
次に、上述のように構成された複合機1の動作について説明する。
図3は、
図2に示す複合機1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、スキャナー部21によって原稿の画像が読み取られ、原稿の画像を表す画像データD1が取得される(ステップS1)。なお、画像データD1は、通信部31によって、ネットワークを介して外部端末装置から受信されてもよい。そして、画像データD1は、スキャナー部21や通信部31から制御部111へ出力され、制御部111によって記憶部32に記憶される(ステップS2)。
【0048】
画像データD1は、例えば、各画素の色をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の色成分に対応する三つの画素値の組み合わせによって表したRGB形式の画像データである。なお、画像データD1は、例えば、各画素の色を、シアン(C)、マゼンダ(M)、及びイエロー(Y)の色成分に対応する三つの画素値の組み合わせによって表したCMY形式の画像データであってもよい。
【0049】
次に、画像判定部112によって、記憶部32に記憶された画像データD1が参照され、画像データD1が各画素の輝度を表す輝度データYに変換される(ステップS2)。具体的には、画像判定部112は、例えば下記の式(1)に基づき、RGB形式の画像データD1を、輝度データYに変換する。
【0050】
Y=0.299×R+0.587×G+0.114×B ・・・(1)
なお、画像データD1がCMY形式の画像データであった場合、画像判定部112は、画像データD1を、各画素の濃度を表す濃度データに変換してもよい。
【0051】
次に、画像判定部112は、輝度データYに基づき、輝度の分布を示すヒストグラムを生成する(ステップS3)。
【0052】
図4(a)は、黒文字主体の画像の一例を示す説明図である。
図4(b)は、写真画像の一例を示す説明図である。なお、
図4(a)、
図4(b)として、説明のために画像の一部を示しているが、画像判定部112は、画像データD1で示される画像全体からヒストグラムを生成してもよい。
【0053】
図5は、
図4(a)に示す黒文字主体の画像G1の輝度のヒストグラムH1を示す説明図である。
図6は、
図4(b)に示す写真の画像G2の輝度のヒストグラムH2を示す説明図である。
図5、
図6に示すヒストグラムは、横軸が階級に対応する輝度値を示しており、縦軸が度数に対応する画素数を示している。
【0054】
図4(a)に示す画像G1は、例えば青色の色文字M2を含み、色文字M2以外の大部分が黒文字M1となっている。画像G1の下地は白色である。
【0055】
画像G1のヒストグラムH1は、
図5に示すように、黒文字M1に対応するピークP1と、色文字M2に対応するピークP2と、画像G1の下地(白色)に対応するピークP3とを含んでいる。
【0056】
画像G1のヒストグラムH1は、画像G1中、最も面積の広い白色の下地部分に対応する高輝度のピークP3が最も大きく、その次に、黒文字M1に対応するピークP1が大きく、色文字M2に対応するピークP2は小さい。画像G1は、大部分が黒文字M1か、又は白色の下地であるため、画像G1に含まれる画素の輝度値は、低輝度のピークP1と高輝度のピークP3とに集中する。
【0057】
低輝度のピークP1は、ヒストグラムH1の画素数(度数)がゼロではない範囲における輝度値(階級)の下限L1の付近に位置している。また、高輝度のピークP3は、ヒストグラムH1の画素数(度数)がゼロではない範囲における輝度値(階級)の上限L2の付近に位置している。なお、下限付近とは、下限L1から上限L2までの範囲のうちの、下限L1から10%の範囲を意味するものとし、上限付近とは、下限L1から上限L2までの範囲のうちの、上限L2から10%の範囲を意味するものとする。
【0058】
図4(b)に示す画像G2は、例えば薄緑の画像が輝度に変換された輝度画像G21と、赤色の画像が輝度に変換された輝度画像G22と、オレンジ色の画像が輝度に変換された輝度画像G23と、黄色の画像が輝度に変換された輝度画像G24,G25と、緑色の画像が輝度に変換された輝度画像G26とを含んでいる。
【0059】
画像G2のヒストグラムH2は、
図6に示すように、下限L1及び上限L2の付近には、輝度値のピークが無く、下限L1と上限L2の中間領域に、輝度値のピークが数多く現れる。
【0060】
次に、画像判定部112は、度数(画素数)が第1閾値T1を超える階級(輝度値)の数を第1階級数N1として計数する(ステップS4)。例えば、
図5に示すヒストグラムH1では、第1階級数N1は、階級数N11+階級数N12となる。
図6に示すヒストグラムH2では、第1階級数N1は、階級数N13となる。
【0061】
次に、画像判定部112は、度数が第2閾値T2に満たない階級の数を第2階級数N2として計数する(ステップS5)。
図5に示すヒストグラムH1では、第2階級数N2は、階級数N25+階級数N26+階級数N27となる。
図6に示すヒストグラムH2では、第2階級数N2は、階級数N21+階級数N22+階級数N23となる。
【0062】
次に、画像判定部112は、第2階級数N2に対する第1階級数N1の比であるN1/N2を基準比率Rrefと比較する(ステップS6)。
【0063】
図5に示す黒文字主体の画像G1のヒストグラムH1と、
図6に示す写真の画像G2のヒストグラムH2とでは、ヒストグラムH1での比率N1/N2の方が、ヒストグラムH2での比率N1/N2よりも小さい。発明者らは、このように、黒文字主体の画像のヒストグラムは、写真や絵図等の画像のヒストグラムよりも比率N1/N2が小さくなることを見出した。
【0064】
このような知見に基づき、画像判定部112は、比率N1/N2が基準比率Rref以上であった場合(ステップS6でNO)、画像データD1が示す画像は黒文字主体の画像ではないと考えられるから、写真や絵図等の画像処理に適した多値画像処理を実行するべくステップS7へ移行する。
【0065】
なお、第1閾値T1、第2閾値T2、及び基準比率Rrefの値は、比率N1/N2に基づき画像が黒文字主体の画像であるか否かを判定するのに適した値を例えば実験的に求めて適宜設定すればよい。
【0066】
ステップS7において、画像データ変換部113は、画像データD1をJPEG形式に変換して画像データD2を生成し(ステップS7)、例えば画像データD2を記憶部32に記憶させ、ステップS11へ移行する。
【0067】
一方、画像判定部112は、比率N1/N2が基準比率Rrefに満たない場合(ステップS6でYES)、画像データD1が示す画像は黒文字主体の画像である可能性が高いと考えられるから、黒文字主体の画像であるか否かの判定精度を高めるべくステップS8へ移行する。
【0068】
ステップS8において、画像判定部112は、処理対象のヒストグラムの下限L1付近と上限L2付近とに度数(画素数)のピークがあるか否かをチェックする(ステップS8)。
【0069】
発明者らは、黒文字主体の画像G1のヒストグラムH1には、
図5に示すように、ヒストグラムH1の画素数(度数)がゼロではない範囲における輝度値(階級)の下限L1の付近と、ヒストグラムH1の画素数(度数)がゼロではない範囲における輝度値(階級)の上限L2の付近とに、画素数(度数)のピークが生じることを見出した。
【0070】
このような知見に基づき、処理対象のヒストグラムの下限L1付近と上限L2付近とのうちいずれかに、度数(画素数)のピークが無い場合(ステップS8でNO)、画像データD1が示す画像は黒文字主体の画像ではないと考えられるから、画像判定部112は、写真や絵図等の画像処理に適した多値画像処理を実行するべくステップS7へ移行する。
【0071】
一方、処理対象のヒストグラムの下限L1付近と上限L2付近とに度数(画素数)のピークが有る場合(ステップS8でYES)、画像判定部112は、画像データD1が示す画像は黒文字主体の画像であると判定し(ステップS9)、黒文字主体の画像の画像処理に適した二値画像処理を実行するべくステップS10へ移行する。
【0072】
ステップS10において、画像データ変換部113は、画像データD1を例えばMMR形式に変換して画像データD2を生成し(ステップS10)、例えば画像データD2を記憶部32に記憶させ、ステップS11へ移行する。
【0073】
これにより、黒文字文書の一部にカラー画像が混在している画像を表す画像データD2のデータ量を減少させることができる。従って、画像データD2を記憶させるために必要となる記憶部32の記憶容量を減少させることができるので、記憶部32のコストを低減することが可能となる。
【0074】
なお、画像データ変換部113は、画像データD1を二値画像データに変換する際に、例えば誤差拡散処理を行うことによって、カラー画像部分を他の黒色画像部分と区別可能にしてもよい。
【0075】
次に、制御部111は、記憶部32に記憶された画像データD2に基づき、画像形成部2によって用紙Pに画像を形成させ(ステップS11)、処理を終了する。
【0076】
なお、画像判定部112は、ステップS2において画像データD1を濃度データに変換し、ステップS3において濃度の分布を示すヒストグラムを生成してもよい。この場合、
図5、
図6に示すヒストグラムH1,H2において、横軸の輝度値の代わりに、図中、左側が濃度値が高く(濃く)、右側が濃度値が低く(薄く)なるように濃度値を階級として配置すれば、ヒストグラムH1,H2と同様のヒストグラムが得られる。
【0077】
また、画像判定部112は、ステップS8を実行せず、比率N1/N2が基準比率Rrefに満たない場合(ステップS6でYES)、ステップS9へ移行してもよい。しかしながら、画像判定部112がステップS8を実行することによって、黒文字主体の画像の判定精度が向上する。
【0078】
なお、画像判定部112による黒文字主体の画像か否かの判定方法は、必ずしもステップS3〜S6に示した方法でなくてもよい。画像判定部112は、他の判定方法を用いて画像データD1によって表される画像が黒文字主体の画像か否かを判定してもよい。
【0079】
また、画像処理装置は、必ずしも画像形成部2を備えた画像形成装置でなくてもよい。例えば原稿から画像データD1を読み取って画像データD2に変換するスキャナー装置等の画像処理装置であってもよい。