特許第5796046号(P5796046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796046
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】収容構造及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   G06F3/03 400E
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-161819(P2013-161819)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-32164(P2015-32164A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100132595
【弁理士】
【氏名又は名称】袴田 眞志
(72)【発明者】
【氏名】平野 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】永塚 充
(72)【発明者】
【氏名】中田 和夫
【審査官】 西田 聡子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0146974(US,A1)
【文献】 特開2013−077112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられた収容部へのペンの収容構造であって、
前記ペンは、先端に入力部を設けた軸部と、
前記軸部の基端側から径方向に突出した突起部とを備え、
前記収容部は、前記軸部が収容される挿入穴部と、
前記挿入穴部に対する前記ペンの挿入口と連通し、前記突起部が収容される切欠部とを備え、
前記筐体及び前記ペンには、相互に反発する磁石が設けられ
前記筐体の外面には、前記収容部へのペンの収容方向に対して傾いた傾斜面が形成されると共に、該傾斜面に前記収容部の挿入口が設けられており、
前記切欠部は、前記傾斜面の傾き方向における前記収容方向で先端側となる位置で前記挿入口と連通していることを特徴とする収容構造。
【請求項2】
請求項1記載の収容構造において、
前記筐体に設けられた磁石は、前記挿入口の側部であって前記切欠部と対向する位置に配置されていることを特徴とする収容構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の収容構造において、
前記ペンに設けられた磁石は、前記突起部に配置されていることを特徴とする収容構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の収容構造において、
前記突起部の先端面は、円弧形状であることを特徴とする収容構造。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の収容構造において、
前記筐体には、前記ペンに設けられた磁石と引き合う引寄用磁石が設けられていることを特徴とする収容構造。
【請求項6】
請求項記載の収容構造において、
前記引寄用磁石は、前記切欠部の側部に配置されていることを特徴とする収容構造。
【請求項7】
請求項1記載の収容構造において、
前記軸部の基端面には、該軸部に対して回転自由に軸支された回転体が設けられていることを特徴とする収容構造。
【請求項8】
入力手段となるペンの収容部を筐体に設けた電子機器であって、
前記ペンは、先端に入力部を設けた軸部と、
前記軸部の基端側から径方向に突出した突起部とを備え、
前記収容部は、前記軸部が収容される挿入穴部と、
前記挿入穴部に対する前記ペンの挿入口と連通し、前記突起部が収容される切欠部とを備え、
前記筐体及び前記ペンには、相互に反発する磁石が設けられ
前記筐体の外面には、前記収容部へのペンの収容方向に対して傾いた傾斜面が形成されると共に、該傾斜面に前記収容部の挿入口が設けられており、
前記切欠部は、前記傾斜面の傾き方向における前記収容方向で先端側となる位置で前記挿入口と連通していることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に設けられた収容部へのペンの収容構造、及び該収容構造を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナルコンピュータ(ラップトップパソコン)、タブレット型パーソナルコンピュータ(タブレット型PC)、及びスマートフォン等の携帯型の電子機器では、入力デバイスとしてペン(デジタイザペン)を用いることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ペンを入力デバイスとして備えたPDA(Personal Digital Assistant)端末において、その筐体にペンの収容部を設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−146508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成も含め、従来、ペンを電子機器の筐体に収容する収容構造では、収容部からペンを引き抜く際に指を引っ掛けるための取手となる突起部を、ペンの基端側外周面に突出形成している。このため、特許文献1の構成では、ペンの軸部を挿入・収容する筒状の挿入穴部の他に、突起部を収容するためのスリット状の切欠部を設けている。
【0006】
従って、このような切欠部を設けた収容部に突起部を有するペンを収容する際には、突起部を切欠部に合わせながら挿入する必要があり、手間がかかる。特に、ペンを収納部に収納する際、突起部が収容部の周縁部に当たってしまうと、ペンを収容部に円滑に収納することができず、使い勝手の点で問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、電子機器等の筐体に設けられた収容部へとペンを円滑に収容することができる収容構造及び該収容構造を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る収容構造は、筐体に設けられた収容部へのペンの収容構造であって、前記ペンは、先端に入力部を設けた軸部と、前記軸部の基端側から径方向に突出した突起部とを備え、前記収容部は、前記軸部が収容される挿入穴部と、前記挿入穴部に対する前記ペンの挿入口と連通し、前記突起部が収容される切欠部とを備え、前記筐体及び前記ペンには、相互に反発する磁石が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電子機器は、入力手段となるペンの収容部を筐体に設けた電子機器であって、前記ペンは、先端に入力部を設けた軸部と、前記軸部の基端側から径方向に突出した突起部とを備え、前記収容部は、前記軸部が収容される挿入穴部と、前記挿入穴部に対する前記ペンの挿入口と連通し、前記突起部が収容される切欠部とを備え、前記筐体及び前記ペンには、相互に反発する磁石が設けられていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、収容部を形成した筐体とペンとに、相互に反発する反発用磁石を設けている。これにより、突起部が切欠部から外れた角度位置にある状態でペンを収容部へと収容し始めた場合であっても、指先等でペンを収容部へと押込むだけで反発用磁石同士の反発作用によってペンを回転させ、突起部を切欠部へと円滑に位置合わせすることができる。このため、収容部へのペンの収容を円滑に行うことができる。
【0011】
前記筐体に設けられた磁石は、前記挿入口の側部であって前記切欠部と対向する位置に配置されていると、ペンを収容部に収容する際、反発用磁石同士の反発力により、ペンの角度位置を突起部が切欠部側へと導かれる方向へと一層円滑に回転させることができる。
【0012】
前記ペンに設けられた磁石は、前記突起部に配置されていると、突起部を切欠部側へとより円滑に回転させることができる。
【0013】
前記筐体の外面には、前記収容部へのペンの収容方向に対して傾いた傾斜面が形成されると共に、該傾斜面に前記収容部の挿入口が設けられており、前記切欠部は、前記傾斜面の傾き方向における前記収容方向で先端側となる位置で前記挿入口と連通している構成とすることが好ましい。そうすると、ペンを収容部に収容する際、ペンを押込むだけで、突起部の先端面が傾斜面上を滑り、突起部を自動的に切欠部側へと回転させることができるため、ペンの収容が一層容易なものとなる。この場合、前記突起部の先端面は、円弧形状であると、突起部を一層円滑に傾斜面で滑らせることができる。
【0014】
前記筐体には、前記ペンに設けられた磁石と引き合う引寄用磁石が設けられてもよい。そうすると、反発用磁石同士の反発作用によって回転したペンを引寄用磁石でさらに回転させることができ、突起部をより円滑に切欠部側へと導くことができる。この場合、前記引寄用磁石は、前記切欠部の側部に配置されていることが好ましい。
【0015】
前記軸部の基端面には、該軸部に対して回転自由に軸支された回転体が設けられていてもよい。そうすると、ペンを収容部に収容する際、指先等で回転体の基端面を押圧することにより、ペンを一層円滑に回転させ、その収容動作を一層容易に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、突起部が切欠部に一致しない角度位置にある姿勢でペンを収容部へと収容し始めた場合であっても、指先等でペンを収容部へと押込むだけで反発用磁石同士の反発作用によってペンを回転させ、突起部を切欠部へと円滑に位置合わせすることができる。このため、収容部へのペンの収容を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器でのペンの収容構造を示す斜視図である。
図2図2は、ペンを基端側から見た斜視図である。
図3図3は、筐体の収容部付近を拡大した斜視図である。
図4図4は、図3に示す収容部にペンを押込んで収容している状態を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示す状態からペンをさらに押込み、収容部にペンを完全に収容した状態での斜視図である。
図6図6は、筐体の収容部付近を拡大した側面図である。
図7図7は、収容部へのペンの収容動作を説明するために筐体の収容部付近を拡大した側面図であり、図7(A)は、ペンの収容部への挿入直前での状態を示す図であり、図7(B)は、図7(A)に示す状態からペンを収容部内へと押込んだ状態を示す図であり、図7(C)は、図7(B)に示す状態からペンをさらに押込み、収容部にペンを完全に収容した状態を示す図である。
図8図8は、収容部へのペンの収容動作を説明するために筐体の収容部付近を拡大した平面断面図であり、図8(A)は、ペンの収容部への挿入直前での状態を示す図であり、図8(B)は、図8(A)に示す状態からペンを収容部内へと押込んだ状態を示す図であり、図8(C)は、図8(B)に示す状態からペンをさらに押込み、収容部にペンを完全に収容した状態を示す図である。
図9図9は、ペンの基端側に回転体を設置した構成例を示す側面図である。
図10図10は、変形例に係る収容構造において、収容部にペンを完全に収容した状態での斜視図である。
図11図11は、図10に示すペンを基端側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る収容構造について、この構造を適用した電子機器を例示して好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10でのペン12の収容構造14を示す斜視図である。収容構造14は、デジタイザペンと呼ばれるペン12を入力デバイスとして利用可能な電子機器10に設けられ、その筐体16の一側面(右側面16a)にペン12を収容・保持する収容部18を備える。本実施形態では、収容構造14をノートブック型パーソナルコンピュータ(ラップトップパソコン)である電子機器10に適用した構成を例示するが、本発明は、ラップトップパソコン以外、例えば、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、又は電子手帳等、各種携帯用情報機器等の電子機器に対して好適に適用できる。
【0020】
以下では、電子機器10について、図1における手前側を前側(前方)、奥側を後側(後方)と呼び、筐体16の厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明する。
【0021】
収容構造14の適用対象の一例としての電子機器10は、図1に示すように、基体となる筐体16に対し、ヒンジ20を介して開閉可能に連結された蓋体22を備える。筐体16の上面にはキーボード24が設けられ、蓋体22の前面(内面)には表示装置26が設けられている。
【0022】
次に、本実施形態に係る収容構造14を構成するペン12及び収容部18について、順に説明する。
【0023】
図2は、ペン12を基端側から見た斜視図である。
【0024】
図2に示すように、ペン12は、長尺且つ細径な円柱形状であって、人手によって把持されて電子機器10の入力デバイスとして使用されるデジタイザペンであり、その全体が樹脂材料等によって形成されている。ペン12は、入力部30を先端に設けた円柱形状の軸部32と、軸部32の基端側外周面の一部から外径方向に突出した鋸形状の突起部34とを備える。以下では、ペン12について、軸部32の入力部30側を先端側、突起部34側を基端側と呼んで説明する。
【0025】
入力部30は、表示装置26の画面上をタッチして所定の入力操作を行うためのものであり、先細りテーパ形状に形成されている。軸部32の先端側及び基端側には、その外周面を周方向に凹ませた環状溝部32a,32bが形成されている。環状溝部32a,32bは、ペン12が収容部18内に挿入された際、収容部18内に形成された図示しない弾性凸部が係合することで、ペン12を収容部18内で抜け止めし、さらに収容時に操作感(クリック音)を生じさせるためのものである。
【0026】
突起部34は、軸部32の外周面から突出した平面視略三角形状の薄い板片であり、その外端面には、鋸状の段部34aが形成されている。段部34aは、収容部18に収容されたペン12を引き抜く際に指先や爪を引っ掛けるためのものである。段部34aの前端面となる突起部34の先端面34bは、ペン12の先端側に向かって凸形状とされた円弧形状の曲面となっている(図5も参照)。
【0027】
ペン12には、突起部34の内部に反発用磁石(磁石)36が設けられている。反発用磁石36は、突起部34の突出方向で先端側、つまり軸部32から外径方向に離間する方向で先端側(段部34a側)が、反発用の極(本実施形態では、N極)となる姿勢で突起部34内に埋設されている。
【0028】
図3は、筐体16の収容部18付近を拡大した斜視図である。図4は、図3に示す収容部18にペン12を押込んで収容している状態を示す斜視図である。図5は、図4に示す状態からペン12をさらに押込み、収容部18にペン12を完全に収容した状態での斜視図である。図6は、筐体16の収容部18付近を拡大した側面図である。
【0029】
図3及び図6に示すように、収容部18は、筐体16の右側面16aの前端角部を曲面状に面取りした傾斜面(R面)16bに開口形成されている(図1も参照)。収容部18は、ペン12の軸部32が挿入・収容される挿入穴部40と、傾斜面16bに沿って開口した挿入穴部40の挿入口40aと連通し、ペン12の突起部34が収容される切欠部42とを備える。
【0030】
挿入穴部40は、ペン12の軸部32を完全に収容可能な長さを有して筐体16の左側から右側へと延びた円筒形状の長穴であり、挿入口40aによって筐体16の傾斜面16bに沿って開口している。挿入口40aは、挿入穴部40に対するペン12の入口となる。
【0031】
切欠部42は、挿入穴部40の挿入口40aから連続して傾斜面16bに形成されたスリット状の開口である。図1及び図4に示すように、傾斜面16bは、収容部18へのペン12の収容方向に対して傾いた形状であり、切欠部42は、このような傾斜面16bの傾き方向における前記収容方向で先端側となる位置で挿入口40aと連通し、筐体16の前面16cまで達している(図8(A)も参照)。換言すれば、収容部18は、その入口となる開口が、切欠部42側に向かって傾斜面16aによって面取りされた形状となっている。
【0032】
収容部18では、図5に示すように、ペン12が収容されると、軸部32の基端面32cと、突起部34の外端面である段部34aとが、傾斜面16bと略面一又は僅かに突出若しくは埋没した状態となり(図8(C)も参照)、収容したペンが筐体16の外観の一部を構成するようになる。
【0033】
このような筐体16の収容部18近傍では、収容部18の側部であって切欠部42と対向する反対側の位置には、ペン12の反発用磁石36と反発する反発用磁石44が設けられている。反発用磁石44は、収容部18側が反発用の極(本実施形態では、N極)となる姿勢で筐体16内に埋設されている。
【0034】
次に、収容部18へのペン12の収容動作について説明する。
【0035】
図7は、収容部18へのペン12の収容動作を説明するために筐体16の収容部18付近を拡大した側面図であり、図7(A)は、ペン12の収容部18への挿入直前での状態を示す図であり、図7(B)は、図7(A)に示す状態からペン12を収容部18内へと押込んだ状態を示す図であり、図7(C)は、図7(B)に示す状態からペン12をさらに押込み、収容部18にペン12を完全に収容した状態を示す図である。また、図8は、収容部18へのペン12の収容動作を説明するために筐体16の収容部18付近を拡大した平面断面図であり、図8(A)は、ペン12の収容部18への挿入直前での状態を示す図であり、図8(B)は、図8(A)に示す状態からペン12を収容部18内へと押込んだ状態を示す図であり、図8(C)は、図8(B)に示す状態からペン12をさらに押込み、収容部18にペン12を完全に収容した状態を示す図である。
【0036】
ペン12を収容部18に収容する際には、図1及び図8(A)に示すように、入力部30を先頭としてペン12を挿入口40aから挿入穴部40内へと挿入する。この際、図7(A)及び図8(A)に示すように、突起部34がこれを収容するための切欠部42の反対側(切欠部42の位置を0度位置と規定した場合に、その反対側の180度位置)付近にある場合、従来の収容構造では、突起部34が挿入口40aの周縁部に当たってしまい、ペン12の円滑な収容が難しいという問題があった。
【0037】
これに対して、本実施形態に係る収容構造14では、突起部34がこれを収容するための切欠部42の反対側(180度位置)やその付近(例えば、90度位置から180度位置の間)にある場合であっても、図8(B)に示すように、例えば、指Fの腹をペン12の基端面32cに当ててそのまま押込めばよい。そうすると、図8(B)に示すように、互いに反発する極(本実施形態では、N極)が向かい合うように設置されたペン12の反発用磁石36と収容部18の反発用磁石44とが所定距離まで近接した際、互いに反発力を発生する。これにより、ペン12が指Fからの押圧力を受けて前進しつつ、反発用磁石36,44間の反発力により、軸部32の軸心を回転中心として回転する。そのため、図7(B)に示すように、ペン12は、例えば、突起部34が切欠部42に対して直交する位置(90度位置)程度まで回転する。
【0038】
そこで、指Fでペン12をさらに押込むと、ペン12は、今度は、ペン12が指Fからの押圧力を受けて前進しつつ、突起部34の円弧形状の先端面34bが挿入口40aの周縁部を滑ってさらに回転する。最終的には、図7(C)及び図8(C)に示すように、突起部34が切欠部42に収容され、軸部32も挿入穴部40に収容される。これにより、ペン12の収容部18への収容動作が完了する(図5も参照)。
【0039】
ペン12を収容部18に収容する際、突起部34が切欠部42と直交する位置(90度位置)付近にある場合(例えば、図7(B)の位置付近にある場合)には、上記のように、指Fでペン12を押込むだけでよい。これにより、ペン12は、指Fからの押圧力を受けて前進しつつ、突起部34の先端面34bが挿入口40aの周縁部を滑って回転するため、収容部18へと円滑に収容される(図7(B)、図7(C)、図8(B)及び図8(C)参照)。なお、ペン12を収容部18に収容する際、突起部34が切欠部42と一致又は略一致する位置(0度位置)付近にある場合(例えば、図7(C)の位置付近にある場合)には、指Fでペン12を押込むだけで収容部18へと円滑に収容することができる(図7(C)及び図8(C)参照)。
【0040】
収容部18に収容したペン12を該収容部18から引き抜く際には、図5及び図8(C)に示すように、切欠部42から露出している突起部34の段部34aを指先又は爪で引っ掛け、収容部18からペン12を引き抜けばよい。
【0041】
上記のように、ペン12を収容部18に収容する際に、突起部34が切欠部42と0度位置以外の角度位置にある場合には、突起部34を切欠部42に一致させるため、ペン12に回転動作を行わせる必要がある。そこで、図9に示すように、ペン12の基端面32cの基端側に回転体50を設置してもよい。回転体50は、回転軸50aによって軸部32と同軸で該軸部32に対して回転自由に軸支されている。この回転体50を設けることにより、ペン12を収容部18に収容する際、指Fで回転体50の基端面50bを押圧すると、回転体50に対して軸部32が回転するため、ペン12の収容動作を一層容易に行うことができるようになる。回転体50の基端面50bには、指Fの滑り止めの形状等を設けてもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る収容構造14及びこの収容構造14を設けた電子機器10によれば、ペン12は、先端に入力部30を設けた軸部32と、軸部32の基端側から径方向に突出した突起部34とを備え、収容部18は、軸部32が収容される挿入穴部40と、挿入穴部40に対するペン12の挿入口40aと連通し、突起部34が収容される切欠部42とを備え、収容部18を形成した筐体16とペン12とには、相互に反発する磁石(反発用磁石36,44)が設けられている。
【0043】
このように、収容構造14では、収容部18を形成した筐体16とペン12とに、相互に反発する反発用磁石36,44を設けている。これにより、突起部34が切欠部42から外れた角度位置(例えば、180度位置)にある場合であっても、指Fでペン12を収容部18へと押込むだけで反発用磁石36,44の反発作用によってペン12を回転させ、突起部34を切欠部42へと円滑に位置合わせすることができる。このため、収容部18へのペン12の収容を円滑に行うことができる。
【0044】
収容構造14では、筐体16(収容部18)に設けられた反発用磁石44は、挿入口40aの側部であって切欠部42と対向する位置(180度位置)に配置している。このため、ペン12を収容部18に収容する際、反発用磁石36,44の反発力により、ペン12の角度位置を突起部34が切欠部42側へと導かれる方向へと一層円滑に回転させることができる。さらに、ペン12に設けられた反発用磁石36を突起部34に配置しておくと、より円滑に突起部34を切欠部42側へと回転させることができる。
【0045】
反発用磁石36,44は、収容部18に収容するペン12を円滑に回転させることができれば、他の位置に設けても勿論よい。例えば、図8(B)中に2点鎖線で示すように、ペン12側の反発用磁石36を軸部32の途中に配置し、筐体16側の反発用磁石44を挿入穴部40の側部に配置してもよい。
【0046】
収容構造14では、筐体16の外面には、収容部18へのペン12の収容方向(左右方向)に対して傾いた傾斜面16bが形成されると共に、該傾斜面16bに収容部18の挿入口40aが設けられている。さらに、切欠部42は、傾斜面16bの傾き方向における前記収容方向で先端側となる位置で挿入口40aと連通している(図3参照)。より具体的には、収容構造14では、ペン12を右側面16a側から筐体16の左側面側に向かってペン12を挿入する構造の収容部18を有すると共に、筐体16の右側面16aと前面16cとの間の面取り形状部分である傾斜面16bに挿入口40aを形成し、傾斜面16bの前面16a側に切欠部42を設けている。
【0047】
このため、ペン12を収容部18に収容する際、ペン12を押込むだけで、突起部34の円弧状の先端面34bが傾斜面16b上を滑り、突起部34を自動的に切欠部42側へと回転させることができるため、ペン12の収容が一層容易なものとなっている。
【0048】
このような突起部34と傾斜面16bとの摺接作用によるペン12の回転をより円滑なものとするために、ペン12の反発用磁石36と引き合う引寄用磁石46a,46bを、図4中に2点鎖線で示すように切欠部42の両側部となる位置に設けてもよい。切欠部42の上部に設けられた引寄用磁石46aは、切欠部42側と反対側(筐体16の上面16d側)が、引寄用の極(本実施形態では、S極)となる姿勢で筐体16内に埋設されている。切欠部42の下部に設けられた引寄用磁石46bは、切欠部42側と反対側(筐体16の下面側)が、引寄用の極(本実施形態では、S極)となる姿勢で筐体16内に埋設されている。そうすると、突起部34を挿入口40aの周縁部(傾斜面16b)を滑らせてペン12を回転させる際、ペン12側の反発用磁石36が筐体16側の引寄用磁石46a(又は46b)に引寄せられることで、ペン12がさらに円滑に回転する。引寄用磁石46a,46bは、両方ではなく一方のみを設けてもよい。
【0049】
このように、収容構造14では、傾斜面16bによる滑り作用により、90度位置付近から先は、ペン12を円滑に回転させることができるが、ペン12を収容するための収容部18は、筐体16の傾斜面16b以外の面、例えば、右側面16aに設けてもよい。
【0050】
例えば、図10に示すように、平坦面である筐体16の右側面16aに設けられた収容部60は、挿入口40aが右側面16aに開口し、この挿入口40aから連通する切欠部42が筐体16の上面16dに開口し、収容構造61を構成している。このような収容部60に収容されるペン62は、図11に示すように、軸部32の基端側外周面の一部から外径方向に突出した板片状の突起部64を備える。突起部64の外面に指先や爪を引っ掛けるための段部64aが形成され、その先端面64bが円弧形状となっている。
【0051】
従って、このような収容構造61によれば、上記収容構造14のように傾斜面16bがないため、90度位置付近から0度位置付近までは、人手によってペン62を回転させる必要が生じることになる。しかしながら、180度位置付近から90度位置付近までは、突起部64の反発用磁石36と筐体16の反発用磁石44との反発力によりペン62を円滑に回転させることができる。収容構造61は、筐体16に傾斜面16bがない場合等、電子機器10の仕様等に応じて収容構造14と使い分けることが好ましい。収納構造61についても、図10中に2点鎖線で示すように、切欠部42の側方に引寄用磁石46a,46bを設け、90度位置付近から0度位置付近までのペン62の回転をこれら引寄用磁石46a,46bによって補助可能な構成としてもよい。
【0052】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 電子機器
12,62 ペン
14,61 収容構造
16 筐体
16a 右側面
16b 傾斜面
16c 前面
18,60 収容部
30 入力部
32 軸部
32c,50b 基端面
34,64 突起部
34a,64a 段部
34b,64b 先端面
36,44 反発用磁石
40 挿入穴部
40a 挿入口
42 切欠部
46a,46b 引寄用磁石
50 回転体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11