(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の他の態様は、以下に開示される。
【0020】
前記のように、本発明者らは、共有結合した1以上のフォト酸生成剤基を含む樹脂成分を含む、新規なフォトレジスト組成物を提供する。
【0021】
ポリマー
本発明のポリマーは、種々の繰り返し単位を含有していてもよい。好ましいポリマーは、別個の繰り返し単位を含んでいてもよく、例えば、コポリマー(ポリマー中に少なくとも2種の別個の繰り返し単位)、ターポリマー(3種の別個の繰り返し単位)、テトラポリマー(少なくとも4種の別個の繰り返し単位)およびその他の高次ポリマーであってもよい。
【0022】
本発明の樹脂を得るための好ましい重合試薬には、無水物、例えば、無水マレイン酸;ラクトン、例えば、ブチロラクトン;フッ素化オレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン;炭素脂環式基、例えば、任意に置換されたノルボルネンもしくは他の環式オレフィン;ヘテロ脂環式、例えば、任意に置換されたジヒドロピラン;またはアクリレート、例えば、2−メチルアダマンチルメタクリレートもしくは2−メチルアダマンチルアクリレートが含まれる。本明細書中に使用されるとき、用語「アクリレート」は、置換されたアクリレート、例えば、メタクリレートを包含する。
【0023】
従って、本発明の好ましいポリマーは、i)電子求引性基、例えば無水物またはフッ素化オレフィンの重合によって与えられるような電子求引性基を有する繰り返し単位、並びにii)脂環式基(炭素脂環式を含む、即ち、この基は、すべて炭素環員および/または複素環式(即ち、環員として1個以上のN、OもしくはS原子、好ましくは環員として1個もしくは2個の酸素もしくは硫黄原子を有する)のものを有する)の繰り返し単位を含有していてもよく、好ましくは、脂環式基がポリマー骨格に縮合し、例えば、脂環式環は、ポリマー骨格を構成する少なくとも2個の炭素環員を有する。好ましい縮合した炭素脂環式基は、環式オレフィン(環内二重結合)化合物、例えば、任意に置換されたノルボルネン基の重合によって与えられる。
【0024】
さらに、酸素ヘテロ脂環式基は、好ましくは、重合された炭素環式化合物、例えば、任意に置換されたノルボルネンと一緒にポリマー中に存在する。
【0025】
本明細書において参照されるとき、用語「炭素脂環式基」は、非芳香族基のそれぞれの環員が炭素であることを意味する。炭素脂環式基は、環が芳香族でない限り、1個以上の環内炭素−炭素二重結合を有していてもよい。
【0026】
本明細書において参照されるとき、用語「ヘテロ脂環式基」は、非芳香族環式基の少なくとも1個の環員が、炭素以外、例えば、N、OまたはS、典型的には1個または2個の酸素または硫黄原子であることを意味する。ヘテロ脂環式基は、環が芳香族でない限り、1個以上の環内炭素−炭素二重結合を有していてもよい。酸素ヘテロ脂環式基は、基が、少なくとも1個、典型的には1個のみの、酸素環原子を有することを意味する。
【0027】
好ましい脂環式ポリマー単位(炭素脂環式またはヘテロ脂環式)は、例えば、ヘテロアルキル基、例えば、好ましくは1〜約10個の炭素原子を有するエーテル(アルコキシ)、好ましくは1〜約10個の炭素原子を有するアルキルチオ、好ましくは1〜約10個の炭素原子を有するアルキルスルフィニル、好ましくは1〜約10個の炭素原子を有するアルキルスルホニル;C
1−20アルキルを含む任意に置換されたアルキル基;2〜約20個の炭素を有するエステルを含むエステルなどによって置換されていてもよい。
【0028】
ある好ましい系において、樹脂は、1)アクリレート化合物、例えば、形成されたポリマーにフォト酸不安定性基を提供することができるもの(例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸アダマンチルなど);2)無水物、例えば、無水マレイン酸;並びに/または3)不飽和炭素脂環式化合物、例えば、任意に置換されたノルボルネンおよび/もしくは不飽和ヘテロ脂環式化合物、例えば、任意に置換されたジヒドロピランを含む、重合試薬(例えば、不飽和モノマー)を反応させることによって与えられる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0029】
また、本発明のある好ましい系およびレジストにおいて、下記のポリマーが好適である。
【0030】
1)248nmで画像形成するために特に好適な、化学増幅型のポジ型レジストを得ることができる、酸不安定性基を含有するフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には、
i)ビニルフェノールおよびアルキルアクリレートの重合された単位を含有するポリマー(ここで、重合されたアルキルアクリレート単位は、フォト酸の存在下で脱ブロック反応を受けることができる)。フォト酸誘起脱ブロック反応を受けることができる代表的なアルキルアクリレートには、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル並びにフォト酸誘起反応を受けることができる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリレートが含まれる。例えば、米国特許第6,042,997号明細書および米国特許第5,492,793号明細書中のポリマー;
ii)ビニルフェノール;ヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含有していない任意に置換されたビニルフェニル(例えば、スチレン);および上記のポリマーi)で記載されたこれらの脱ブロック基のようなアルキルアクリレート;の重合された単位を含有するポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号明細書に記載されたポリマー;並びに
iii)フォト酸と反応するアセタールまたはケタールを含む繰り返し単位、および任意に芳香族繰り返し単位(例えば、フェニルまたはフェノール性基)を含有するポリマー、例えば、米国特許第5,929,176号明細書および米国特許第6,090,526号明細書に記載されたポリマー;が含まれる。
【0031】
2)200nm未満の波長、例えば、193nmで画像形成するために特に好適な、化学増幅型のポジ型レジストを得ることができる、フェニルまたは他の芳香族基を実質的にまたは完全に含有していない樹脂。この種の特に好ましい樹脂には、
i)非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、任意に置換されたノルボルネンの重合された単位を含有するポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号明細書および米国特許第6,048,664号明細書に記載されたポリマー;
ii)アルキルアクリレート単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル並びに他の非環式アルキルおよび脂環式アクリレートを含有するポリマー、このようなポリマーは、米国特許第6,057,083号明細書、欧州特許出願公開第01008913A1号明細書、欧州特許出願公開第00930542A1号明細書および米国係属特許出願第09/143,462号明細書に記載されている;並びに
iii)重合された無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含有するポリマー、例えば、欧州特許出願公開第01008913A1および米国特許第6,048,662号明細書に開示されたもの;が含まれる。
【0032】
3)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含有する繰り返し単位(しかし、無水物以外、即ち、この単位はケト環原子を含有しない)を含有し、好ましくはいかなる芳香族単位も実質的にまたは完全に含有しない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位は樹脂主鎖に縮合されており、さらに好ましくは、樹脂が、ノルボルネン基の重合によって得られるような縮合した炭素脂環式単位および/または無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の重合によって得られるような無水物単位を含む場合である。このような樹脂は、PCT/US第01/14914号明細書および米国特許出願第09/567,634号明細書中に開示されている。
【0033】
4)例えばテトラフルオロエチレン、フッ素化芳香族グループ、例えば、フルオロスチレン化合物などの重合によって得ることができるような、フッ素置換基を含有する樹脂(フルオロポリマー)。このような樹脂の例は、例えば、PCT/US99/21912号明細書に開示されている。
【0034】
ポジ型フォトレジスト組成物における使用について記載したように、ポリマーは、好適には、フォト酸不安定性部分を含む1種以上の単位を含む。このフォト酸不安定性基は、前記の単位の1種以上の置換基、例えば、重合されたビニル脂環式エーテル、ビニル脂環式チオエーテルまたは炭素脂環式基の置換基であってもよい。フォト酸不安定性部分は、また、追加のポリマー単位として、例えば、重合されたアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、特に、脂環式部分を有するアクリレート、例えば、アクリル酸メチルアダマンチルまたはメタクリル酸メチルアダマンチルとして存在することができる。好ましい脂環式フォト酸不安定性部分は、2以上の縮合されたまたは架橋された環を有する、ターシャリーエステル脂環式炭化水素基である。好ましいターシャリーエステル基には、任意に置換されたアダマンチル、特に前記のようなメチルアダマンチル;任意に置換されたフェンシル(fencyl)基、特にエチルフェンシル;任意に置換されたピンナニル(pinnanyl);並びに任意に置換されたトリシクロデカニル、特にアルキル置換されたトリシクロデカニル、例えば、8−エチル−8−トリシクロデカニルアクリレートと8−エチル−8−トリシクロデカニルメタクリレートの重合によって与えられるような、8−エチル−8−トリシクロデカニルが含まれる。追加の二環式、三環式および他の多環式単位を含む、追加の脂環式エステル基も好適である。
【0035】
前記のように、本発明のポリマーは、好ましくは、フォト酸不安定性基を含む1個以上の繰り返し単位を含有する。このフォト酸不安定性基は、例えば、ヘテロ脂環式環員または炭素脂環式環員の置換基であってもよい。代替的にはそして一般的に好ましくは、このフォト酸不安定性部分はヘテロ脂環式基を含有する繰り返し単位とは別個のポリマー繰り返し単位である。好ましくは、この別個の単位は、フォト酸不安定性エステル基を含むアクリレートまたはメタクリレートであってもよい。フォト酸不安定性基は、また、例えば、アセタール基、例えば、ビニルエーテルとポリマー繰り返し単位のヒドロキシ置換基との反応によって得られる多くのものであってもよい。
【0036】
好ましいフォト酸不安定性基は、エステル基、特に、ターシャリー脂環式炭化水素エステル部分を含有するエステルである。好ましいターシャリー脂環式炭化水素エステル部分は、多環式基、例えば、アダマンチル、エチルフェンシルまたはトリシクロデカニル部分である。「ターシャリー脂環式エステル基」または他の同様の用語に対する、本明細書における言及は、ターシャリー脂環式環炭素が、エステル酸素に共有結合している、即ち、−C(=O)O−TR’(式中、Tは、脂環式基R’の第三級環炭素である)であることを示す。少なくとも多くの場合に、好ましくは、脂環式部分の第三級環炭素は、例えば後で示す特に好ましいポリマーによって例示されるように、エステル酸素に共有結合している。しかしながら、エステル酸素に結合した第三級炭素は、また、脂環式環に対して環外であってもよく、典型的には、この場合、脂環式環は、環外第三級炭素の置換基の一つである。典型的には、エステル酸素に結合した第三級炭素は、脂環式環自体により置換され、および/または1〜約12個の炭素、さらに典型的には1〜約8個の炭素、なおさらに典型的には1、2、3もしくは4個の炭素を有する、1つ、2つもしくは3つのアルキル基によって置換されている。この脂環式基は、また、好ましくは、芳香族置換基を含有していない。この脂環式基は、好適には、単環式または多環式、特に二環式もしくは三環式であってもよい。
【0037】
本発明のポリマーのフォト酸不安定性エステル基の好ましい脂環式部分(例えば、−C(=O)O−TR’の基TR’)は、かなり大きい体積を有する。このような嵩張った脂環式基が、本発明のコポリマー中に使用されるとき、向上した解像度をもたらし得ることが見出された。
【0038】
より具体的には、フォト酸不安定性エステル基の好ましい脂環式基は、少なくとも約125または約130Å
3の分子体積、さらに好ましくは少なくとも約135、140、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195または200Å
3の分子体積を有する。少なくとも幾つかの用途において、約220または250Å
3よりも大きい脂環式基は、あまり好ましくない場合がある。分子体積に対する本明細書における言及は、最適化された化学結合長さおよび角度を得る、標準コンピュータモデル化によって決定されたときの体積サイズを指定する。本明細書において言及されるとき、分子体積を決定するための好ましいコンピュータプログラムは、Triposから入手可能なAlchemy 2000である。分子サイズのコンピュータに基づく決定のさらなる検討について、T Omoteら、Polymers for Advanced Technologies、第4巻、第277−287頁を参照されたい。
【0040】
フォト酸不安定性単位の特に好ましいターシャリー脂環式基には、上記のもの(式中、波線は、エステル基のカルボキシル酸素への結合を示し、そしてRは、好適には任意に置換されたアルキル、特にC
1−8アルキル、例えばメチル、エチルなどである)が含まれる。
【0041】
本発明のポリマーは、また、脂環式部分を含有しないフォト酸不安定性基を含有していてもよい。例えば、本発明のポリマーは、フォト酸不安定性エステル単位、例えば、フォト酸不安定性アルキルエステルを含有していてもよい。一般的に、フォト酸不安定性エステルのカルボキシル酸素(即ち、−C(=O)
Oの場合の下線を引いたカルボキシル酸素)は、第四級炭素に共有結合されている。分枝したフォト酸不安定性エステル、例えば、t−ブチルおよび−C(CH
3)
2CH(CH
3)
2が、一般的に好ましい。
【0042】
化学増幅型のポジ型フォトレジスト組成物中に使用される本発明のポリマーは、所望のようにレジストレリーフ画像の形成を可能にするために十分な量の、光生成した酸への不安定性基(例えば、エステルおよび/またはアセタール)を含有していなくてはならない。例えば、このような酸不安定性基の好適な量は、ポリマーの全単位の少なくとも1モルパーセント、さらに好ましくは全ポリマー単位の約2〜30モルパーセント、なおさらに典型的には約3〜20または30モルパーセントである。
【0043】
前記のように、本発明のポリマーは、好ましくはポリマー骨格に縮合されたヘテロ脂環式または炭素脂環式環を含有することができる。縮合されたヘテロ脂環式環単位は、好ましくは、1個以上の酸素および/または硫黄原子を含有する。前に示したように、本明細書において、環式基がポリマー骨格に縮合されていると記載することによって、環式基の2つの環員、典型的には環式基の2個の隣接する炭素原子が、ポリマー骨格の一部でもあることが意味される。このような縮合された環は、環内二重結合を有する環式モノマーを重合することによって得ることができる。
【0044】
好ましい酸素環ポリマー単位は、硫黄のような他のヘテロ原子を含有しない(即ち、酸素および炭素環員のみ)。典型的には、酸素環単位は、1個または2個の酸素環原子を含有し、および1以上の環置換基を有することができる。
【0045】
本発明の好ましいポリマーは、ポリマーの全単位基準で少なくとも約2〜5モルパーセントの縮合されたヘテロ脂環式単位、さらに好ましくはポリマーの全単位基準で約5〜50モルパーセントの縮合されたヘテロ脂環式単位、なおさらに好ましくはポリマーの全単位基準で約5または10モルパーセントから約40または50モルパーセントまでの縮合されたヘテロ脂環式単位を含有することができる。
【0046】
本発明の好ましいポリマーは、ポリマーの全単位基準で少なくとも約2〜5モルパーセントの炭素脂環式単位、さらに好ましくはポリマーの全単位基準で約5〜50モルパーセントの縮合された炭素脂環式単位、なおさらに好ましくはポリマーの全単位基準で約5または10モルパーセントから約25または30モルパーセントまでの縮合された炭素脂環式単位を含有することができる。
【0047】
前記のように、本発明のポリマーは、追加の単位、例えば、シアノ単位、ラクトン単位または無水物単位も含有することができる。例えば、アクリロニトリルもしくはメタクリロニトリルを重合させて、ペンダントシアノ基を得ることができまたは無水マレイン酸を重合させて、縮合された無水物単位を得ることができる。
【0048】
本発明の合成において、フリーラジカル付加物として実施する場合、好ましくは、反応は、不活性雰囲気(例えば、N
2またはアルゴン)下で、例えば約70℃以上のような上昇した温度で実施されるが、反応温度は、一般的に前に記載したように、使用する個々の試薬の反応性および(溶媒を使用する場合には)反応溶媒の沸点に依存して、変化させることができる。好適な反応溶媒には、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、乳酸エチル、DMFなどが含まれる。あらゆる特定の系のための好適な反応温度は、本明細書の開示に基づいて当業者によって経験的に容易に決定できる。種々のフリーラジカル開始剤を使用することができる。例えば、アゾ化合物、例えばアゾ−ビス−2,4−ジメチルペンタンニトリルも使用することができる。過酸化物、過エステル、過酸および過硫酸塩を使用することもできる。ラジカルフラックスまたは濃度を制御するための連鎖移動剤または他の試薬を、この反応において使用することもできる。
【0049】
本発明の所望のポリマーを得るために反応させることができるモノマーは、当業者によって同定することができる。例えば、フォト酸不安定性単位を得るために、好適なモノマーには、例えば、エステル基のカルボキシ酸素上に適切な置換基(例えば、ターシャリー脂環式、t−ブチルなど)を含有するメタクリレートまたはアクリレートが含まれる。無水マレイン酸は、縮合された無水物ポリマー単位を得るための好ましい試薬である。無水イタコン酸も、無水物ポリマー単位を得るための好ましい試薬であり、好ましくは、この場合、無水イタコン酸は、例えば、重合の前にクロロホルムによる抽出によって精製されたものである。ビニルラクトン(例えばα−ブチロラクトンのような)も、好ましい試薬である。ポリマーの中にフォト酸生成剤基を含有させるために、フォト酸生成剤基を含有するモノマー(例えば、下記の実施例1のアクリレートフォト酸生成剤のような、フォト酸生成剤部分を含有するアクリレートモノマー)を、1種以上の他のモノマーと共に共重合させることができる。他の好適で好ましい反応性モノマーおよび他の試薬は、前記に同定されている。
【0050】
本発明のポリマーの追加の特に好ましい繰り返し単位には、(例えば米国特許公開第10/082,769号明細書中に開示されているような)ヒドロキシアダマンチル基および(例えば米国特許公開第2005/0208418号明細書中に開示されているような)シアノアダマンチル基が含まれる。これらの基は、共有結合したフォト酸生成剤基を含むポリマーまたはフォト酸生成剤基を含有していないポリマー上に存在してもよい。
【0051】
好ましくは、本発明のポリマーは、約3以下の分子量分布(Mw/Mn)、さらに好ましくは約2以下の分子量分布で、なおさらに好ましくは1.5以下または1.2もしくは1以下の分子量分布で、約800または1,000〜約100,000、さらに好ましくは約2,000〜約30,000、なおさらに好ましくは約2,000〜15,000または20,000の重量平均分子量(Mw)を有する。本発明の合成方法は、このような低い(狭い)分子量分布を得ることができる。本発明のポリマーの分子量(MwまたはMn)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって好適に決定される。
【0052】
前述したように、本発明の一つの態様において、(i)第一ポリマーが、共有結合した1以上のフォト酸生成剤基を含み、および(ii)フォト酸生成剤基を含まない第二ポリマー(第一ポリマーとは別個である)の、別個のポリマーのブレンドが提供される。好ましくは、第一ポリマーおよび第二ポリマーの少なくとも一方は、フォト酸不安定性基を含む。ある好ましい実施形態において、フォト酸生成剤基を含まない第二樹脂が、フォト酸不安定性基を含有する。第一ポリマーおよび第二ポリマーの両方がフォト酸不安定性基を含むことも好適である。
【0053】
本態様において、第一ポリマーおよび第二ポリマーは、様々な量で存在することができる。例えば、本発明のフォトレジストまたは樹脂ブレンド中の第一ポリマー:第二ポリマーの重量比は、適切には、1:10〜10:1または1:5〜5:1である。
【0054】
また、本態様において、複数の別個のポリマーは、好適には、同じ種のポリマー(例えば、共に、アクリレート、環式オレフィンポリマー(例えば、ノルボルニル/無水物ポリマー)、フルオロポリマー)であってもよく、またはポリマーは別々の種のものであってもよく、例えば、第一ポリマーがアクリレート基を含んでよくかつ第二ポリマーが重合されたノルボルニルおよび無水マレイン酸基を含んで(アクリレート基を含まない)もよい。フォト酸生成剤基を含有しないブレンドの第二ポリマーは、適切には、本明細書に開示されているような繰り返し単位の何れを含んでもよくまたはポリマー種類の何れのものであってもよい。
【0055】
フォト酸生成剤基
前に記載したように、種々のフォト酸生成剤基を、本発明に従って樹脂に共有結合させることができる。
【0056】
一つの態様において、イオン性フォト酸生成剤基が樹脂に共有結合されている。イオン性フォト酸生成剤基に対する言及は、酸が塩形、例えば、オニウム塩で存在し、この場合、酸(例えば、スルホニウムまたはヨードニウム)は、アニオン性種、例えば、カルボキシレートアニオンまたはスルホネートアニオンによって錯化されていることを示す。活性化放射線(例えば、193nmまたは248nm)に曝露させると、イオン性錯体は解離されて、活性酸種をもたらす。
【0057】
かかるイオン性フォト酸生成剤基の一つの実施形態において、イオン性フォト酸生成剤基のカチオン性部分は樹脂に共有結合しているが、アニオン性部分は樹脂に共有結合していない。
【0058】
かかるイオン性フォト酸生成剤基の別の実施形態において、イオン性フォト酸生成剤基のアニオン性部分は樹脂に共有結合しているが、カチオン性部分は樹脂に共有結合していない。
【0059】
かかるイオン性フォト酸生成剤基のさらに別の実施形態において、アニオン性部分およびカチオン性部分の両方が樹脂に共有結合していてもよい。
【0060】
他の態様において、非イオン性フォト酸生成剤基が樹脂に共有結合されている。非イオン性フォト酸生成剤基に対する言及は、基が、塩として錯化された酸基を含有していないことを示す。むしろ、活性化放射線(例えば、193nmまたは248nm)は、酸部分を生成するための基の反応(例えば、結合破壊反応)を起こす。
【0061】
このような非イオン性フォト酸生成剤基の一つの実施形態において、非イオン性フォト酸生成剤基(これは、活性化放射線によって「脱マスキング」される)の酸部分は樹脂に共有結合され、一方、活性化放射線は、酸性または非酸性開裂生成物(樹脂には共有的ではない)を遊離させる。
【0062】
かかる非イオン性フォト酸生成剤基の別の実施形態において、非イオン性フォト酸生成剤基(これは、193nmまたは248nmのような活性化放射線によって「脱マスキング」される)の酸部分は、かかる光生成の結果として樹脂から開裂され(即ち、共有結合ではない)、一方、フォト酸生成剤基の酸性部分または非酸性部分は樹脂に共有結合したままである。
【0063】
かかる非イオン性フォト酸生成剤基のさらに別の実施形態において、193nmまたは248nmのような活性化放射線への、非イオン性フォト酸生成剤基の曝露の際に、開裂生成物は生成しない。
【0064】
示したように、好適なイオン性フォト酸生成剤基は、1種以上のオニウム塩を含んでいてもよい。好適なオニウム塩の例には、例えば、ハロニウム塩、第四級アンモニウム、ホスホニウムおよびアルソニウム塩、スルホニウム塩およびスルホキソニウム塩またはセレニウム塩が含まれる。オニウム塩は、文献、例えば、米国特許第4,442,197号明細書、米国特許第4,603,101号明細書および米国特許第4,624,912号明細書に記載されている。
【0065】
一般的に好ましいオニウム塩には、ヨードニウム塩フォト酸生成剤、例えば、欧州特許出願公開第0708368A1号明細書中に開示されているこれらの化合物が含まれる。このような塩には、下記の式によって表されるものが含まれる。
【0067】
式中、Ar
1およびAr
2は、それぞれ独立に、置換されたまたは置換されていないアリール基を表す。アリール基の好ましい例には、C
6−14単環式または縮合環アリール基が含まれる。アリール基上の置換基の好ましい例には、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基およびハロゲン原子が含まれる。
【0068】
スルホニウム塩、例えば、下記の式のような化合物は、本発明のPAGブレンドおよびレジストのための特に適切なイオン性フォト酸生成剤である。
【0070】
式中、R
3、R
4およびR
5は、それぞれ独立に、置換されたまたは置換されていないアルキル基またはアリール基を表す。上記の式のそれぞれに関して、置換されたまたは置換されていないアルキル基およびアリール基の好ましい例には、C
6−14アリール基、C
1−5アルキル基およびこれらの置換された誘起体が含まれる。アルキル基上の置換基の好ましい例には、C
1−8アルコキシ基、C
1−8アルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびハロゲン原子が含まれる。アリール基上の置換基の好ましい例には、C
1−8アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、C
1−8ハロアルキル基、C
5−8シクロアルキル基およびC
1−8アルキルチオ基が含まれる。R
3、R
4およびR
5並びにAr
1およびAr
2の2つは、その単結合または置換基を介して、相互に連結することができる。
【0071】
イオン性フォト酸生成剤基は、例えば、式RSO
3−(式中、Rは、アダマンタン、アルキル(例えば、C
1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C
1−12アルキル)である)のアニオン、特に、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナンスルホネートなどのペルフルオロ対アニオンを含む、種々の錯化(アニオン性)基を含み得る。
【0072】
好適なイオン性には、イミドスルホネート、例えば、下記の式の化合物が含まれる。
【0074】
式中、それぞれのR
1およびR
1 は、それぞれ独立に、水素またはC
1−12アルキル、さらに好ましくは水素またはメチルであり;そしてRは、前記定義された通り、即ち、アルキル(例えば、C
1−12アルキル)、ショウノウ、アダマンタンおよび典型的には5〜約12個の環員を有する他のシクロアルキル並びにペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C
1−12アルキル)、特に、ペルフルオロ化基、例えば、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートなどである。この種の特に好ましいフォト酸生成剤は、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0075】
国際特許出願公開第WO94/10608号明細書に開示されているこれらのN−スルホニルオキシイミド(例えば、下記の式の化合物)をはじめとする、N−スルホニルオキシイミドフォト酸生成剤もまた、好適な非イオン性フォト酸生成剤基である。
【0077】
式中、炭素原子は、単一、二重もしくは芳香族結合を有する2炭素構造を形成し、あるいは、これらが3炭素構造を形成し、それどころかそれは環が5員もしくは6員環であり;XaRは、−C
nH
2n+1(式中、n=1〜8である)、−C
nF
2n+1(式中、n=1〜8である)、ショウノウ置換基、−2(9,10−ジエトキシアントラセン)、−(CH
2)
n−Zもしくは−(CF
2)
n−Z(式中、n=1〜4であり、Zは、H、C
1−6アルキル、ショウノウ置換基、−2(9,10−ジエトキシアントラセン)またはアリール、例えばフェニルである)であり;XおよびYは、(1)1個以上のヘテロ原子を含有してもよい環式もしくは多環式環を形成しまたは(2)縮合芳香族環を形成しまたは(3)独立に水素、アルキルもしくはアリールであってもよくまたは(4)他のスルホニルオキシイミド含有残基に結合されてもよくまたは(5)ポリマー鎖もしくは主鎖に結合されてもよくまたは代替的には、下記式を形成し、XおよびYは、(1)1個以上のヘテロ原子を含有してもよい環式もしくは多環式環を形成し、(2)縮合芳香族環を形成し、(3)独立にH、アルキルもしくはアリールであってもよく、(4)他のスルホニルオキシイミド含有残基に結合されてもよくまたは(5)ポリマー鎖もしくは主鎖に結合されてもよい。
【0079】
式中、R
1は、H、アセチル、アセトアミド、1〜4個の炭素を有するアルキル(但し、m=1〜3)、NO
2(但し、m=1〜2)、F(但し、m=1〜5)、Cl(但し、m=1〜2)、CF
3(但し、m=1〜2)およびOCH
3(但し、m=1〜2)、(mは、その他の場合1〜5であってもよい)並びにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0080】
追加の好ましいイミドスルホネートには、下記の式のもののような基が含まれる。
【0082】
式中、Rは、ショウノウ、アダマンタン、アルキル(例えば、C
1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C
1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナンスルホネートなどである。特に好ましい非イオン性フォト酸生成剤基は、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0083】
好適な非イオン性フォト酸生成剤基の他の種には、例えば米国特許第5,558,976号明細書中に開示されているような追加のスルホノ基が含まれる。これらのフォト酸生成剤の代表的な例には、下記式のものが含まれる。
【0085】
式中、XaRは、好適には、場合によりハロゲン、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシまたはC
1−6ハロアルキルによって置換されていてもよいフェニルであり、R
7は、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖、分枝鎖または環式アルキル基であり、およびZはスルホニル基またはカルボニル基である:
【0087】
式中、Rは、前記定義された通りであり:および
【0089】
式中、R
22は、水素であるか、ヒドロキシルであるか、または式X
aRSO
2O−(式中、X
aRは前記定義された通りである)によって表される基であり、およびR
23は、1〜5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基または下記式で表わされる基である:
【0091】
式中、R
24およびR
30は、独立に、水素原子であるか、ハロゲン原子であるか、1〜5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基であるか、1〜5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ基であるか、または下記式の基である:
【0093】
式中、それぞれのR
25は、独立に、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基、フェニル基、置換されたフェニル基またはアラルキル基であり、R
26は、水素原子であるか、ハロゲン原子であるか、または1〜6個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖もしくは環式アルキル基である。
【0094】
さらなる好適な非イオン性フォト酸生成剤基には、欧州特許出願公開第EP0717319A1号明細書中に開示されているものをはじめとする、ニトロベンジル系基が含まれる。適切なニトロベンジル系化合物には、下記の式ものが含まれる。
【0096】
式中、それぞれのR
1、R
2およびR
3は、個々に、水素および、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル基からなる群から選択され、R
4およびR
5は、個々に、CF
3およびNO
2からなる群から選択され、RX
aは、任意に置換された炭素環式アリール、特に任意に置換されたフェニル、例えば、2、3および4位置換基が、水素およびC
1−4アルキルから選択され、かつ5および6環位が、CF
3、NO
2およびSO
3R’(式中、R’は、任意に置換されたC
1−12アルキルまたはアリール、例えば、フェニル(但し、このような任意の置換基は、C
1−4アルキル、C
1−4アルコキシ、NO
2またはCF
3であってもよい)である)から選択される。
【0097】
ジスルホン誘起体もまた、好適な非イオン性フォト酸生成剤基である。好適な基は、例えば、欧州特許出願公開第EP0708368A1号明細書中に開示されている。このような物質は、下記の式によって表すことができる:
Ar
3−SO
2−SO
2−RX
a
(式中、RX
aは、好ましくは、直ぐ上に定義された通りであり、Ar
3は、置換されたまたは置換されていないアリール基を表す)。アリール基の好ましい例には、C
6−14単環式または縮合環アリール基が含まれる。アリール基上の置換基の好ましい例には、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、メルカプト基およびハロゲンが含まれる。
【0098】
例えば米国特許第6,482,567号明細書中に開示されているような、オキシムスルホネートおよびN−オキシイミドスルホネートフォト酸生成剤基も、本発明のポリマー中に使用するために適している。
【0099】
また、本発明のポリマーへの共有結合のために、活性化放射線への曝露の際に、α,α−ジフルオロアルキルスルホン酸フォト酸を生成することができるフォト酸生成剤基、例えば、米国特許第6,849,374号明細書に開示されているようなこの種類のフォト酸生成剤基も好適である。
【0100】
さらに、本発明のポリマーへの共有結合のために、置換されたスルホン基の間に介在された、ジアゾ、置換されたメチレンまたはヒドラジン部分を含有する、ジスルホンフォト酸生成剤基を含有するジスルホンフォト酸生成剤基、例えば、米国特許第6,783,912号明細書に開示されているようなジスルホンフォト酸生成剤基が好適である。
【0101】
ハロゲン化非イオン性フォト酸生成化合物はまた、本発明のブレンドおよびレジスト中に使用するために好適であり、例えば、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン(DDT);1,1−ビス[p−メトキシフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン;1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロデカン;1,10−ジブロモデカン;1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2−ジクロロエタン;4,4−ジクロロ−2−(トリクロロメチル)ベンズヒドロール(=ケルタン);ヘキサクロロジメチルスルホン;2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン;o,o−ジエチル−o−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジル)ホスホロチオネート;1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン;N(1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエチル)アセトアミド;トリス[2,3−ジブロモプロピル]イソシアヌラート;2,2−ビス[p−クロロフェニル]−1,1−ジクロロエチレン;トリス[トリクロロメチル]s−トリアジン並びにこれらの異性体、アナローグ、ホモローグおよび残留化合物が挙げられる。好適なフォト酸生成剤はまた、欧州特許出願第0164248号明細書および0232972号明細書中に開示されている。深UV曝露のために特に好ましい酸生成剤には、1,1−ビス(p−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン(DDT);1,1−ビス(p−メトキシフェノール)−2,2,2−トリクロロエタン;1,1−ビス(クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール;トリス(1,2,3−メタンスルホニル)ベンゼンおよびトリス(トリクロロメチル)トリアジンが含まれる。
【0102】
前述したように、本発明のフォトレジスト組成物は、好適には、共有結合した1以上のフォト酸生成剤基を含むポリマーに加えて、非ポリマー性フォト酸生成剤化合物を含んでよい。このように組み合わせて使用するための好適なフォト酸生成剤化合物は、例えば、米国特許第6,482,567号明細書、米国特許第6,783,912号明細書、米国特許第6,849,374号明細書および米国特許第6,458,506号明細書に開示されている。
【0103】
本発明のフォトレジストは、リソグラフ処理(露光および現像)の際にレリーフ画像の生成を可能にするために十分な量のフォト酸生成剤基を含んでいなくてはならない。かかるフォト酸生成剤基は、フォトレジストのポリマーに共有結合しているフォト酸生成剤基により単独で提供されるてもよく、またはポリマーに共有結合しているフォト酸生成剤基と、ポリマー性フォト酸生成剤と共にフォトレジスト組成物中に存在している非ポリマー性フォト酸生成剤化合物との組合せにより提供されても良い。一般的に、フォトレジストの全固体(溶媒担体を除くすべての成分)の少なくとも1、2または3重量パーセントがフォト酸生成剤基であってもよく、さらに典型的には、フォトレジストの全固体(溶媒担体を除くすべての成分)の少なくとも5、8または10重量パーセントがフォト酸生成剤基であってもよい。一般的に、フォトレジスト組成物の全固体の約25、30、35または40重量パーセントを超えて、フォト酸生成剤基を使用する必要はない。
【0104】
他のレジスト成分
本発明のレジストの好ましい任意の添加物は、現像されたレジストレリーフ画像の解像度を向上させることができる、添加される塩基、特に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクタートである。193nmで画像形成されるレジストのために、好ましい添加される塩基は、ヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。添加される塩基は、比較的少量、例えば、全固体に対して約0.03〜5重量パーセントで好適に使用される。
【0105】
本発明のフォトレジストにはまた、他の任意の物質が含有されていてもよい。例えば、他の任意の添加物には、ストリエーション防止剤(anti−striation agent)、可塑剤、感度増強剤などが含まれる。このような任意の添加物は、典型的には、比較的高濃度(例えば、レジストの乾燥成分の全重量の約5〜30重量パーセントの量)で存在していてもよい充填材および染料以外は、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0106】
本発明のネガ型フォトレジストは、典型的には、好ましくは別のレジスト成分として、架橋成分を含有する。アミン系架橋剤、例えば、メラミン、例えば、サイメル(Cymel)メラミン樹脂が、しばしば好ましい。
【0107】
レジスト調製およびリソグラフ処理
本発明のレジストは、当業者によって容易に調製することができる。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジストの成分を、好適な溶媒、例えば、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートおよび3−エトキシエチルプロピオネート中に溶解させることによって調製することができる。典型的には、組成物中の固体含有量は、フォトレジスト組成物の全重量の約5重量パーセントと35重量パーセントとの間で変化する。樹脂バインダーおよび光活性成分は、フィルムコーティング層並びに良好な品質の潜像およびレリーフ画像の形成を提供するために十分な量で存在する必要がある。レジスト成分の代表的な好ましい量について、下記の実施例3を参照されたい。
【0108】
本発明の組成物は、一般的に公知の手順に従って使用される。本発明の液体コーティング組成物は、例えば、スピニング、浸漬、ローラコーティングまたは他の一般的コーティング技術によって、基体に適用される。スピンコーティングのとき、コーティング溶液中の固体含有量は、使用する個々のスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度およびスピニングのために許容される時間の長さに基づいて、所望のフィルム厚さを提供するように調節することができる。
【0109】
本発明のレジスト組成物は、フォトレジストでコーティングすることを含むプロセスで一般的に使用される基体に好適に適用される。例えば、この組成物は、マイクロプロセッサおよびその他の集積回路コンポーネントの製造のための、シリコンウエハーまたは二酸化シリコンでコートされたシリコンウエハーの上に適用することができる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウム砒素、セラミック、石英、銅、ガラス基体なども、好適に使用される。本発明のレジストは、また、反射防止層、特に有機反射防止層の上に適用することができる。
【0110】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、これを、好ましくはフォトレジスト皮膜が粘着性でなくなるまで、加熱して溶媒を除去することによって乾燥させる。その後、これを、一般的な方法でマスクを通して画像形成する。露光することで、フォトレジスト系の光活性成分を有効に活性化して、レジストコーティング層内にパターン化された画像を作るために十分であり、より具体的には、露光エネルギーは、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的には、約1〜100mJ/cm
2の範囲内である。
【0111】
前記のように、本発明のレジスト組成物のコーティング層を、好ましくは、短い露光波長、特に300nm未満および200nm未満の露光波長によって光活性化させる。前記のように、193nmおよび248nmが特に好ましい露光波長である。しかしながら、本発明のレジスト組成物は、より高い波長で好適に画像形成することもできる。
【0112】
露光に続いて、この組成物のフィルム層を、好ましくは、約70℃〜約160℃の範囲内の温度でベークする。その後、フィルムを現像する。曝露させたレジストフィルムを、極性現像液、好ましくは水性現像液、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラ−アルキルアンモニウムヒドロキシド溶液;種々のアミン溶液、好ましくは0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミンまたはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えば、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン;環式アミン、例えば、ピロール、ピリジンなどを使用することによって、ポジ型作用させる。一般的に、現像は当該技術分野で認められた手順に従う。
【0113】
基体上のフォトレジストコーティングの現像に続いて、現像された基体を、例えば、レジストが除去された基体領域を当該技術分野で公知の手順に従って、化学的エッチングまたはメッキすることによって、レジストが除去されたこれらの領域上で選択的に処理することができる。マイクロ電子基体の製造、例えば、二酸化シリコンウエハーの製造のために、好適なエッチング剤には、ガスエッチング剤、例えばハロゲンプラズマエッチング剤、例えば、プラズマストリームとして適用されるCl
2またはCF
4/CHF
3エッチング剤のような塩素またはフッ素系エッチング剤などが含まれる。かかる処理の後で、公知の剥離手順を使用して、処理した基体からレジストを除去することができる。
【0114】
本明細書に記載したすべての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。下記の非限定的な実施例は、本発明の例示である。
【実施例1】
【0115】
フォト酸生成剤モノマー合成
4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンスルホネートを、Geeら、Tetrahedron Letters,1999,40,1471に記載されているようにして調製した。次いで、このベンゼンスルホネートを、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロ酢酸無水物中で、窒素雰囲気下で一晩、メタクリル酸と反応させて、ナトリウム4−メタクリルオキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンスルホネート[F
4−MBS−Na]を97%収率で得た。これは、下記のデータによってキャラクタリゼーションされた。
1H NMR(25℃、ppm)δ7.42−7.92(m,15H),6.45(s,1H),6.12(s,1H),2.03(s,3H);
13C(25℃、ppm)δ162.8,141.0,136.3,134.5,133.1,132.5,131.3,130.4,128.7,125.4,124.2および17.9;
19F NMR(25℃、ppm,extCF
3COOH)δ−152.55(m,2F),−137.62(m,2F);分析、C
28H
20F
4O
5S
2についての計算値:C58.33,H3.50,F13.18,O13.87,S11.12,実測値C58.39,H3.34,F12.85,O13.83,S11.06。
【実施例2】
【0116】
ポリマー合成
2.39gのフリーラジカル開始剤V601を、15mLの脱気したアセトニトリル中で室温で混合する。
【0117】
別個に、下記の4つのモノマーを、下記の量で、24mLの脱気したアセトニトリル中で混合する。メチルアダマンチルメタクリレート4.63グラム;α−ブチロラクトンメタクリレート3.36グラム;シアノアダマンチルメタクリレート2.02グラム;および上記実施例1で調製したフォト酸生成剤モノマー1.5グラム。
【0118】
次いで、このモノマー混合物を、3時間掛けて、開始剤溶液に添加する。モノマー混合物の最初の滴が開始剤溶液に到達したとき、開始剤溶液を80℃浴中に沈める。添加が完結して、この混合物をさらに1時間還流させる。次いで、得られるポリマーを、イソプロパノールとの混合物によって沈殿させ、ポリマーを濾過によって単離し、40℃にて真空下で一晩乾燥させる。かかる乾燥の後、ポリマーをテトラヒドロフラン中に溶解し(25〜30重量%)、0.2ミクロンフィルターによって濾過し、次いでイソプロパノールにゆっくり添加して、THF:イソプロパノール 1:10v/v溶液を得る。沈殿したポリマーを濾過によって単離し、40℃で真空下で一晩乾燥させる。
【実施例3】
【0119】
フォトレジスト調製およびリソグラフ処理
本発明のフォトレジストを、下記の成分を、レジスト組成物の全重量基準で重量パーセントとして表した量で混合することによって調製する。
【0120】
【表1】
【0121】
この樹脂は、上記実施例2のポリマーである。塩基性添加物は、トリイソプロパノールアミンである。界面活性剤は、Silwet(Dow Chemical)である。これらのレジスト成分を、2−ヘプタトンの溶媒中において16重量%で配合した。
【0122】
配合したレジスト組成物を、HMDS蒸気下塗りした4インチのシリコンウエハーの上にスピンコートし、真空ホットプレートにより、130℃で60秒間ソフトベークする。このレジストコーティング層を、フォトマスクを通して、193nmで、ISIマイクロステッパーを使用して露光させ、次いで露光させたコーティング層を、約130℃で露光後ベーク(PEB)する。次いで、コーティングしたウエハーを、アルカリ性水性現像液(0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)で処理して、画像形成されたレジスト層を現像し、レリーフ画像を得る。
【実施例4】
【0123】
さらなるリソグラフ処理
図1および
図2は、示したような25nmラインを得るために、上記の実施例2に記載したようにして、パターン化した193nm放射線で画像形成し、現像した、実施例2の種類のフォトレジストの走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。