特許第5796087号(P5796087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5796087亜鉛結合部分を有するヘッジホッグアンタゴニスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796087
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】亜鉛結合部分を有するヘッジホッグアンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/82 20060101AFI20151001BHJP
   C07D 213/40 20060101ALI20151001BHJP
   C07D 239/28 20060101ALI20151001BHJP
   C07D 213/65 20060101ALI20151001BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20151001BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20151001BHJP
   C07D 235/14 20060101ALI20151001BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20151001BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20151001BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20151001BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20151001BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20151001BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20151001BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20151001BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20151001BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20151001BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20151001BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20151001BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20151001BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20151001BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   C07D213/82CSP
   C07D213/40
   C07D239/28
   C07D213/65
   C07D401/12
   C07D401/14
   C07D235/14
   C07D403/12
   A61K31/4418
   A61K31/505
   A61K31/44
   A61K31/4402
   A61K31/506
   A61K31/4184
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P29/00
   A61P9/00
   A61P17/14
   A61P17/06
   A61P43/00 111
   A61P43/00 105
【請求項の数】24
【全頁数】134
(21)【出願番号】特願2013-547726(P2013-547726)
(86)(22)【出願日】2012年1月3日
(65)【公表番号】特表2014-502622(P2014-502622A)
(43)【公表日】2014年2月3日
(86)【国際出願番号】US2012020092
(87)【国際公開番号】WO2012094328
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2013年10月9日
(31)【優先権主張番号】61/429,350
(32)【優先日】2011年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/564,549
(32)【優先日】2011年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501188889
【氏名又は名称】キュリス,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,シオン
(72)【発明者】
【氏名】チアン,チャンクン
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,ハイシャオ
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−511675(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/126863(WO,A1)
【文献】 特表2008−519044(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/144586(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0281089(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0063779(US,A1)
【文献】 特表2007−535569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(VII):
【化1】

(式中
Eは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
Lは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールであり
Kは、ハロゲンであり;
Xは、非存在、-O-、-N(R2)-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R2)-、-N(R2)C(O)-、-S(O)2N(R2)-または-N(R2)S(O)2-であり;
R2は、水素または脂肪族であり;
Bは、直鎖または分岐鎖の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、またはアルキニルヘテロアリールであり、これらの基において、1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R2)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換複素環で中断され得るかまたは終結され得
Dは
【化2】

(式中、WはOであり;Y2およびR32は非存在であり;ZはNであり;R34はヒドロキシでり;R33は水素または脂肪族基である);
である)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
式(VIII):
【化3】

(式中
Qは置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
Gは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
Kは、ハロゲンであり;
X非存在、-O-、-N(R2)-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R2)-、-N(R2)C(O)-、-S(O)2N(R2)-または-N(R2)S(O)2-であり;
R2は、水素または脂肪族であり;
Bは結合あるいは直鎖または分岐鎖の、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、またはアルキニルヘテロアリールであり、これらの基において、1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R2)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換複素環で中断され得るかまたは終結され得;
Dは、
【化4】

(式中、WはOであり;ZはNであり;Y2およびR32は両方、非存在であり; R34はヒドロキシであり;R33は水素または脂肪族基である);
であ)
化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
式XI:
【化5】

(式中、
W1-W5の1つは、C(X-B-D)であり、その他は、それぞれ独立してNまたはCR3であり、ただしW1-W5の3つ以下はNであり;
各R3は、独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、CF3、CN、NO2、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環から選択され;
E、X、BおよびDは、請求項1においてこれらの変数について示される意味を有する)
で表される請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
Eが、置換もしくは非置換ピリジル、または置換もしくは非置換ベンゾイミダゾリルである、請求項記載の化合物。
【請求項5】
Eが、以下:
【化6】

に示される基より選択される、請求項記載の化合物。
【請求項6】

【化7】

が以下の基:
【化8】

から選択される、請求項記載の化合物。
【請求項7】
式XII:
【化9】

(式中、
X1-X5は、それぞれ独立してNおよびCR3から選択され、ただしX1-X5の少なくとも2つはCR3であり;
各R3は、独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、CF3、CN、NO2、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環から選択され;
Q、D、BおよびXは、請求項においてこれらの変数について示される意味を有する)
で表される請求項記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
Qが、置換もしくは非置換ピリジル、置換もしくは非置換ピリミジル、または置換もしくは非置換ベンゾイミダゾリルである、請求項記載の化合物。
【請求項9】
Qが、以下の基:
【化10】

(式中、ベンゼン環に対する結合は、
【化11】

で示され、Xに対する結合は、
【化12】

で示される)
から選択される、請求項記載の化合物。
【請求項10】
【化13】

が、置換もしくは非置換フェニル、置換もしくは非置換ピリジル、または置換もしくは非置換ピリミジルである、請求項記載の化合物。
【請求項11】
【化14】

が、
【化15】

からなる群より選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
式XIII:
【化16】

(式中、
M1は、非存在、O、S、NR2、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、SO、SO2またはC=Oであり;
M2は、非存在、C1-C6アルキル、O、NR2、複素環、アリール、ヘテロアリール、またはC=Oであり;
M3は、非存在、O、NR2、S、SO、SO2、CO、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり;
M4は、非存在、O、NR2、ヘテロアリール、複素環またはアリールであり;
M5は、非存在、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、ヘテロアリール、複素環またはアリールであり;
ただし、M1〜M5は、一緒になって4〜24炭素原子を有する基を形成し;
E、L、Z、Y2、R2、R32、R33およびR34は、請求項1において規定されるとおりである)
で表される請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
Bは、アリール、ヘテロアリール、C2-C10-アルキル、C2-C10-アルケニル、アリール-C2-C10-アルキル、アリール-C2-C10-アルケニル、アリールオキシ-C1-C10-アルキル、ヘテロシクリルヘテロアリール、C1-C10-アルキルヘテロシクリルヘテロアリール、またはC1-C10-アルキレンアミノヘテロアリールである、請求項1〜11いずれか記載の化合物。
【請求項14】
式XIV:
【化17】

(式中、
M1は、非存在、O、S、NR2、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、SO、SO2またはC=Oであり;
M2は、非存在、C1-C6アルキル、O、NR2、複素環、アリール、ヘテロアリール、またはC=Oであり;
M3は、非存在、O、NR2、S、SO、SO2、CO、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、または複素環であり;
M4は、非存在、O、NR2、ヘテロアリール、複素環またはアリールであり;
M5は、非存在、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、ヘテロアリール、複素環またはアリールであり;
G、Q、Z、Y2、R2、R32、R33およびR34は、請求項において規定されるとおりである)
で表される請求項記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
R33がHである、請求項1〜14いずれか記載の化合物。
【請求項16】
【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

(式中、nは1〜6であり、RはHまたはメチルである)
からなる群より選択される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1〜16いずれか記載の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項18】
ヘッジホッグに関連する疾患または障害を治療するための請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記ヘッジホッグに関連する疾患または障害が、細胞増殖性障害である、請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記細胞増殖性障害が、基底細胞癌;髄芽腫、髄膜腫などの神経外胚葉腫瘍;血管腫;グリア芽腫;膵臓腺癌;肺扁平上皮癌;軟骨肉腫;乳癌;横紋筋肉腫;食道癌;胃癌;胆道癌;腎癌;白血病;リンパ腫;骨髄腫および甲状腺癌からなる群より選択される、請求項19記載の医薬組成物。
【請求項21】
炎症性状態および脈管形成に関連する状態から選択される疾患または障害を治療するための、あるいは脱毛薬としての、請求項17記載の医薬組成物。
【請求項22】
疾患または障害が乾癬および黄斑変性から選択される、請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
HDAC媒介性疾患を治療するための請求項17記載の医薬組成物。
【請求項24】
ヘッジホッグおよびHDACの両方に関連する疾患を治療するための請求項17記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2011年1月3日に出願された米国仮特許出願第61/429,350号、および2011年11月29日に出願された米国仮特許出願第61/564,549号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヘッジホッグ(Hh)タンパク質は最初、胚のパターン形成に関連する体節極性遺伝子としてキイロショウジョウバエで同定された(Nusslein-Voihard et al., Roux. Arch. Dev. Biol., 193: 267-282 (1984))。その後、ショウジョウバエヘッジホッグの3つのオーソログ(ソニック(Sonic)、デザート(Desert)およびインディアン(Indian))が、魚類、鳥類および哺乳類を含む全ての脊椎動物中に存在することが見いだされた。デザートヘッジホッグ(Desert hedgehog)(DHh)は主に、マウスの胚発生ならびに成体のげっ歯類およびヒトの両方で、精巣中で発現し、インディアンヘッジホッグ(Indian hedgehog)(IHh)は、胚形成中の骨発生および成体の骨形成に関連し、ソニックヘッジホッグ(Sonic hedgehog)(SHh)は、発生中の脊椎動物胚の脊索および底板において高レベルで発現する。インビトロ外植片アッセイおよびトランスジェニック動物におけるSHhの異所性発生により、SHhは、神経管パターン形成に重要な役割を果たすことが示されている(Echelard et al., Cell, 75: 1417-1430 (1993); Ericson et al., Cell, 81: 747-56 (1995);Marti et al., Nature, 375: 322-5 (1995);Krauss et al., Cell, 75: 1432-44 (1993);Riddle et al., Cell, 75: 1401-16 (1993);Roelink et al., Cell, 81: 445-55 (1995);Hynes et al., Neuron, 19: 15-26 (1997))。Hhは四肢 (Krauss et al., Cell, 75: 143-144 (1993);Laufer et al., Cell, 79: 993-1003 (1994))、体節(Fan and Tessier-Lavigne, Cell, 79: 1175-86 (1994);Johnson et al., Cell, 79: 1165-73 (1994))、肺(Bellusci et al., Develop., 124: 53-63 (1997))および皮膚(Oro et al., Science, 276: 817-21 (1997))の発生においても役割を果たす。
【0003】
同様に、IHhおよびDHhは、骨、消化管および胚細胞の発生に関与する(Apelqvist et al., Curr. Biol., 7: 801-4 (1997);Bellusci et al., Development, 124: 53-63 (1997);Bitgood et al., Curr. Biol., 6: 298-304 (1996);Roberts et al., Development, 121: 3163-74 (1995))。
【0004】
ヒトSHhは、45kDa前駆体タンパク質として合成され、自己触媒的に切断されて、正常なヘッジホッグシグナル伝達活性の原因となる20kDa N末端断片およびN末端断片がコレステロール部分にコンジュゲートする自己プロセッシング活性の原因となる25kDa C末端断片を生じる(Lee, J.J., et al. (1994) Science, 266: 1528-1536;Bumcrot, D.A., et al. (1995), Mol. Cell Biol., 15: 2294-2303;Porter, J.A., et al. (1995) Nature, 374: 363-366)。N末端断片は、全長前駆体配列のアミノ酸残基24〜197からなり、そのC末端で、コレステロールを介して膜に結合したままである(Porter, J.A., et al. (1996) Science, 274: 255-258;Porter, J.A., et al. (1995) Cell, 86(2): 1-34)。コレステロール共役は、ヘッジホッグシグナルの組織局在化の原因となる。
【0005】
細胞表面で、Hhシグナルは、12膜貫通ドメインタンパク質Patched(Ptc) (Hooper and Scott, Cell, 59: 751-65 (1989);Nakano et al., Nature, 341 : 508-13 (1989))およびGタンパク質共役様受容体Smoothened(Smo) (Alcedo et al., Cell, 86(22): 1-232 (1996);van den Heuvel and Ingham, Nature, 382: 547-551 (1996))により中継されていると考えられる。遺伝的および生化学的な両方の証拠により、PtcおよびSmoが多成分受容体複合体の一部となる受容体モデルが裏付けられている(Chen and Struhl, Cell, 87: 553-63 (1996);Marigo et al., Nature, 384: 176-9 (1996);Stone et al., Nature, 384: 129-34 (1996))。HhがPtcに結合する際に、Smoに対するPtcの正常な阻害効果が緩和され、Smoが、細胞膜を通過してHhシグナルを伝達することが可能になる。しかしながら、PtcがSmo活性を制御する正確な機構は、依然として解明する必要がある。
【0006】
Smoによって開始されるシグナル伝達カスケードは、核に移行してそこで標的遺伝子の転写を調節するGli転写因子の活性化をもたらす。Gliは、PtcおよびHip 1などの負のフィードバックループにおけるHh経路インヒビターの転写に影響を及ぼすことが示されており、これは、Hh経路活性の厳重な調節が、適切な細胞分化および器官形成に必要であることを示している。
【0007】
ヘッジホッグ経路シグナル伝達は、散発的な突然変異または他の機構を通じて成体組織で再活性化される際には、腫瘍形成を意味している。癌におけるヘッジホッグ経路の関与について3つの機構が提唱されている:1型の癌は、構成的なヘッジホッグ(Hh)経路の活性化を引き起こすPatched 1(PTCHl)の機能消失突然変異またはSmoothened(SMOH)の機能獲得突然変異により引き起こされる。2型の癌は、腫瘍細胞自身がHhリガンドを産生してそれに反応するオートクラインモデルによる。3型は、腫瘍細胞がHhリガンドを産生し、周囲のストロマ細胞が反応してさらなる成長因子、例えばIGF(インスリン様成長因子)およびVEGF(脈管内皮成長因子)を産生することにより腫瘍の増殖または生存を支持するパラクラインモデルである(Rubin, L.L. and de Sauvage, F.J. Nature Rev. Drug Discovery, 5: 1026-1033 (2006))。
【0008】
機能障害性のPtc遺伝子突然変異はまた、散発的な基底細胞癌腫瘍の大部分に関連している(Chidambaram et al., Cancer Research, 56: 4599-601 (1996);Gailani et al., Nature Genet., 14: 78-81 (1996);Haim et al., Cell, 85: 841-51 (1996);Jolmson et al., Science, 272: 1668-71 (1996);Unden et al, Cancer Res., 56: 4562-5;Wicking etal., Am. J. Hum. Genet., 60: 21-6 (1997))。Ptc機能の消失は、基底細胞癌における制御されないSmoシグナル伝達を引き起こすと考えられている。同様に、Smo活性化突然変異が、散発的なBCC腫瘍において同定され(Xie et al., Nature, 391 : 90-2 (1998))、SHhについての受容体複合体におけるシグナル伝達サブユニットとしてのSmoの役割が強調される。
【0009】
Shh経路インヒビターに対する抵抗性の発生が動物腫瘍モデル(Buonamici, S. et al., Science Trans. Med., 2010, 2: 51ra70; Osherovich, L. SciBX 2010, 3(40))およびヒト(Yauch, R. et al., Science, 2009)において観察されている。SMO変異、Gli2増幅およびIGF-1R-PI3Kシグナル伝達経路の上方制御などの、抵抗性についてのいくつかの機構が同定された。
【0010】
ヘッジホッグシグナル伝達の種々のインヒビターが研究されている。最初に発見されたヘッジホッグシグナル伝達インヒビターは、細胞周期をG0〜G1で休止し、SCLCにおいてアポトーシスを誘導することが示されている天然のアルカロイドであるサイクロパミンであった。現在、多くの合成低分子ヘッジホッグ経路インヒビターが開発中である(Trembley, M.R. et al., Expert Opin. Ther. Patents, 19(8): 1039-56 (2009))。これらおよび他の化合物の進歩にかかわらず、ヘッジホッグシグナル伝達経路の有力なインヒビターの必要性がまだある。
【0011】
ヒストンアセチル化は可逆的な修飾であり、脱アセチル化はヒストンデアセチラーゼ(HDAC)と称される酵素のファミリーにより触媒される。HDACは、ヒトにおいて18の遺伝子により示され、4つの異なるクラスに分けられる(J. Mol Biol, 2004, 338(1): 17-31)。哺乳動物においてクラス1 HDAC(HDAC1〜3およびHDAC8)は、酵母RPD3 HDACと関連があり、クラス2 HDAC(HDAC4〜7、HDAC9およびHDAC10)は、酵母HDAC1に関連があり、クラス4(HDAC11)およびクラス3 HDAC(サーチュインを含む別のクラス)は酵母Sir2に関連がある。
【0012】
Csordas(Biochem. J., 1990, 286: 23-38)は、ヒストンが、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT1)により触媒される反応であるN末端リジン残基のεアミノ基の翻訳後アセチル化に供されることを教示している。アセチル化によりリジン側鎖の正の電荷が中和され、クロマチン構造に影響を与えると考えられる。実際に、転写因子のクロマチン鋳型への接触は、ヒストンの過剰アセチル化により促進され、低アセチル化(underacetylated)ヒストンH4の富化がゲノムの転写サイレント領域中に見いだされている(Taunton et al., Science, 1996, 272:408-411)。腫瘍サプレッサー遺伝子の場合、ヒストン修飾による転写サイレンシングは、癌遺伝子のトランスフォーメーションおよび癌を引き起こす。
【0013】
現在、数種類のHDACインヒビターが市販されているか、臨床試験において評価されている。例としては、市販されているヒドロキサム酸誘導体のスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)およびロミデプシン、ならびに現在臨床開発中のPXD101、LH-589およびLAQ824が挙げられる。HDACインヒビターのベンズアミドクラスにおいて、現在MS-275、MGCD0103およびCI-994が臨床試験で検査中である。Mourneら(Abstract #4725, AACR 2005)は、ベンズアミドのチオフェニル修飾により、HDAC 1に対するHDAC阻害活性が有意に増強されることを示す。
【0014】
また、最近の研究により、Gliタンパク質のアセチル化はヘッジホッグシグナル伝達の重要な転写チェックポイントとして機能することが示されている。ShhがHDAC1レベルを上昇させ、HDAC1が順にGli1およびGli2の脱アセチル化によるHh誘導シグナル活性化を増強させる自己制御ループが存在することが見いだされた。さらに、クラス1 HDACのインヒビターは、Gli1およびGli2の活性化を抑制して、神経前駆細胞および腫瘍細胞のHh依存性増殖を抑制する。(Canettieri, G. et al., Nature Cell Biology, 2010, 12: 132-142)。
【0015】
特定の癌は、複数のシグナル伝達経路を標的化する薬剤を用いて効果的に治療されている。最近の研究により、HDACおよびHhシグナル伝達の組み合わせた標的化が膵臓の腺癌における細胞傷害性を増強することが示された。(Chun, S. et al., Cancer Biol. & Therapy, 2009, 8(14): 1328-1339)。しかしながら、細胞傷害性薬物のカクテルを使用した治療養生法は、しばしば用量限定的な傷害性および薬物-薬物相互作用により制限される。分子標的化薬物を使用したさらに最近の進歩は、癌についての併用治療のためのいくつかの新しいアプローチを提供し、多重標的化剤を同時に使用することを可能にするか、またはこれらの新規の治療と標準的な化学療法剤もしくは放射線を組み合わせて、用量限定的な傷害性に達することなく結果を向上させる。しかしながら、多くの場合、薬学的に有意なレベルの曝露が達成される前に用量限定的な傷害性に達し、現在、かかる組み合わせを使用する能力は、両立する薬物動態学的かつ薬力学的な性質を示す薬物にまで制限される。また、併用療法の安全性および有効性を示す規制要件は、対応する単一薬剤試験よりも多く費用がかかり長くなり得る。いったん承認されれば、併用戦略は、患者に対する費用の増加および患者コンプライアンスの低下にもつながり得る。
【発明の概要】
【0016】
発明の概要
本発明は、亜鉛結合部分を有するヘッジホッグアンタゴニスト化合物、ならびにヘッジホッグおよびHDACが関連する癌などの疾患および障害、ならびに制御されない細胞増殖を特徴とする他の疾患および障害の治療におけるその使用に関する。本発明の化合物は、亜鉛イオンに結合するというその能力のためにHDACインヒビターとして働き、ヘッジホッグシグナル伝達経路のインヒビターとして働く。ヘッジホッグアンタゴニズムとHDAC阻害を単一の分子中で組み合わせることにより、治療適用、特に癌の治療に対して相乗的な効果がもたらされ得る。
【0017】
従って、本発明の一局面は、式(I)または式(II):
【化1】
(式中;
環Aは、芳香族、飽和もしくは部分不飽和炭素環、好ましくは単環式、二環式または多環式C3-C12炭素環であり;
Eは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換の飽和もしくは部分不飽和ヘテロシクリルであり;
Lは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換の飽和もしくは部分不飽和ヘテロシクリルであり;
Qは、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換の飽和もしくは部分不飽和ヘテロシクリルであり;
Gは、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換の飽和もしくは部分不飽和ヘテロシクリルであり;
Kは、ハロゲン、好ましくはClであり;
Xは、非存在、-O-、-N(R2)-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R2)-、-N(R2)C(O)-、-S(O)2N(R2)-または-N(R2)S(O)2-であり;
R2は、水素または脂肪族、好ましくは水素またはC1-C6-アルキル、より好ましくは水素またはメチルであり;
nは、0または1であり;
Bは、結合またはリンカーであり;
Dは、
(a)
【化2】
(式中、WはOまたはSであり;JはO、NHまたはNCH3であり;R31は水素または低級アルキルである);
(b)
【化3】
(式中、WはOまたはSであり;Y2は非存在、NまたはCHであり;ZはNまたはCHであり;R32およびR34は、独立して水素、OR'、脂肪族基であり、ただしR32とR34が共に存在する場合、R32またはR34の一方はOR'でなければならず、Y2が非存在の場合、R34はOR'でなければならず;R33は、水素または脂肪族基であり;R'は、水素、脂肪族またはアシル、好ましくは水素であり;好ましくはY2およびR32は非存在であり、ZはNであり、R34はヒドロキシであり、R33は水素である);
(c)
【化4】
(式中、WはOまたはSであり;Y1およびZ1は、独立してN、CまたはCHである);および
(d)
【化5】
(式中、Z、Y2およびWは上述に規定のとおりであり;R11およびR12は、独立して水素または脂肪族から選択され;R21、R22およびR23は、独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、CF3、CN、NO2、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環から選択される)
から選択される)
の化合物、またはその幾何異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグを提供する。
【0018】
本発明の別の局面は、細胞と、有効なヘッジホッグ阻害量の式Iもしくは式IIの化合物、またはその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物または薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグとを接触させることによる、細胞におけるヘッジホッグシグナル伝達活性を阻害する方法を提供する。
【0019】
本発明の別の局面は、細胞と、有効なHDAC阻害量の式Iもしくは式IIの化合物、またはその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物または薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグとを接触させることによる、細胞におけるHDAC活性を阻害する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
一態様において、本発明は、式IIIまたは式IV:
【化6】
【化7】
(式中、環A、K、G、Q、X、B、D、LおよびEは、上記の意味を有する)
で表される化合物を提供する。
【0021】
別の態様において、本発明の化合物は、式VまたはVI:
【化8】
(式中、E、K、L、X、B、G、QおよびDは、上記の意味を有する)
で表される化合物、ならびにその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグである。
【0022】
ある態様において、本発明の化合物は、式VIIまたはVIII:
【化9】
(式中E、K、L、X、B、G、QおよびDは、上記の意味を有する)
で表される化合物、ならびにその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグである。好ましくは、GおよびLは、それぞれ独立して置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリール、より好ましくは、GおよびLは、それぞれ独立して置換もしくは非置換フェニルまたは置換もしくは非置換ピリジルである。好ましくは、EおよびQは、それぞれ独立して置換もしくは非置換ヘテロアリールである。
【0023】
ある態様において、本発明の化合物は、式IXまたはX:
【化10】
【化11】
(式中、E、K、L、X、B、G、QおよびDは上記の意味を有する)
で表される化合物、その立体異性体、幾何異性体、互変異性体、薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグである。好ましくは、GおよびLは、それぞれ独立してヘテロシクリル、好ましくはヘテロシクロアルキルである。
【0024】
一態様において、本発明は、式XI:
【化12】
(式中、
W1-W5の1つは、はC(X-B-D)であり、その他は、それぞれ独立してNまたはCR3であり、ただしW1-W5の3つ以下はNであり;
各R3は、独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、CF3、CN、NO2、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環および置換複素環から選択され;
X、BおよびDは、これらの変数について上記の意味を有する)
で表される化合物、ならびにその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグを提供する。
【0025】
式XIの化合物の好ましい態様において、Eは、置換もしくは非置換ピリド-2-イル、ピリド-3-イルもしくはピリド-4-イルなどの置換もしくは非置換のピリジル、または置換もしくは非置換ベンズイミダゾル-2-イルなどの置換もしくは非置換ベンズイミダゾリルである。特に好ましい態様において、Eは、以下の基:
【化13】
から選択される。
【0026】
式XIの化合物の別の好ましい態様において、基
【化14】
は、以下に示される基:
【化15】
から選択される。
【0027】
別の態様において、本発明は、式XII:
【化16】
(式中、
X1-X5は、それぞれ独立してNおよびCR3から選択され、ただしX1-X5の少なくとも2つはCR3であり;
Q、D、B、XおよびR3は、これらの変数について上記の意味を有する)
で表される化合物、ならびにその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグを提供する。
【0028】
式XIIの化合物の好ましい態様において、Qは、置換もしくは非置換ピリジル、置換もしくは非置換ピリミジル、または置換もしくは非置換ベンズイミダゾリルである。特に好ましい態様において、Qは、以下の基:
【化17】
(式中、ベンゼン環に対する結合は
【化18】
で示され、Xに対する結合は、
【化19】
で示される)
から選択される。
【0029】
式XIIの化合物の他の好ましい態様において、基
【化20】
は、置換もしくは非置換フェニル;置換もしくは非置換のピリド-2-イル、ピリド-3-イルもしくはピリド-4-イルなどの置換もしくは非置換ピリジル;またはピリミド-2-イル、ピリミド-4-イルもしくはピリミド-5-イルなどの置換もしくは非置換ピリミジルである。特に好ましい態様において、この基は、以下
【化21】
に示されるものから選択される。
【0030】
好ましい態様において、二価のBは、直接結合であるか、または直鎖もしくは分岐の置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル, シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル(alkylhererocyclylalkynyl)、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、またはアルキニルヘテロアリールであり、ここで1つ以上のメチレン基は、O、S、S(O)、SO2、N(R2)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリールまたは置換もしくは非置換複素環で中断され得るかまたは終結され得;かかる二価のBリンカーとしては、限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロシクリルアリール、アルキルヘテロシクリルアリールアルキル、アルキルヘテロシクリルヘテロアリール、アルキルヘテロシクリルヘテロアリールアルキル、アルコキシアリール、アルキルアミノアリール、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルアミノ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、N(R2)アルケニル、N(R2)アルキニル、N(R2)アルコキシアルキル、N(R2)アルキルアミノアルキル、N(R2)アルキルアミノカルボニル、N(R2)アルキルアリール、N(R2)アルケニルアリール、N(R2)アルキニルアリール、N(R2)アルコキシアリール、N(R2)アルキルアミノアリール、N(R2)シクロアルキル、N(R2)アリール、N(R2)ヘテロアリール、N(R2)ヘテロシクロアルキル、N(R2)アルキルヘテロシクロアルキル、アルコキシ、O-アルケニル、O-アルキニル、O-アルコキシアルキル、O-アルキルアミノアルキル、O-アルキルアミノカルボニル、O-アルキルアリール、O-アルケニルアリール、O-アルキニルアリール、O-アルコキシアリール、O-アルキルアミノアリール、O-シクロアルキル、O-アリール、O-ヘテロアリール、O-ヘテロシクロアルキル、O-アルキルヘテロシクロアルキル、C(O)アルキル、C(O)-アルケニル、C(O)アルキニル、C(O)アルキルアリール、C(O)アルケニルアリール、C(O)アルキニルアリール、C(O)アルコキシアルキル、C(O)アルキルアミノアルキル、C(O)アルキルアミノカルボニル、C(O)シクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)ヘテロシクロアルキル、CON(R2)、CON(R2)アルキル、CON(R2)アルケニル、CON(R2)アルキニル、CON(R2)アルキルアリール、CON(R2)アルケニルアリール、CON(R2)アルキニルアリール、CON(R2)アルコキシアルキル、CON(R2)アルキルアミノアルキル、CON(R2)アルキルアミノカルボニル、CON(R2)アルコキシアリール、CON(R2)アルキルアミノアリール、CON(R2)シクロアルキル、CON(R2)アリール、CON(R2)ヘテロアリール、CON(R2)ヘテロシクロアルキル、CON(R2)アルキルヘテロシクロアルキル、N(R2)C(O)アルキル、N(R2)C(O)アルケニル、N(R2)C(O)-アルキニル、N(R2)C(O)アルキルアリール、N(R2)C(O)アルケニルアリール、N(R2)C(O)アルキニルアリール、N(R2)C(O)アルコキシアルキル、N(R2)C(O)アルキルアミノアルキル、N(R2)C(O)アルキルアミノカルボニル、N(R2)C(O)アルコキシアリール、N(R2)C(O)アルキルアミノアリール、N(R2)C(O)シクロアルキル、N(R2)C(O)アリール、N(R2)C(O)ヘテロアリール、N(R2)C(O)ヘテロシクロアルキル、N(R2)C(O)アルキルヘテロシクロアルキル、NHC(O)NH、NHC(O)NH-アルキル、NHC(O)NH-アルケニル、NHC(O)NH-アルキニル、NHC(O)NH-アルキルアリール、NHC(O)NH-アルケニルアリール、NHC(O)NH-アルキニルアリール、NHC(O)NH-アルコキシアリール、NHC(O)NH-アルキルアミノアリール、NHC(O)NH-シクロアルキル、NHC(O)NH-アリール、NHC(O)NH-ヘテロアリール、NHC(O)NH-ヘテロシクロアルキル、NHC(O)NH-アルキルヘテロシクロアルキル、S-アルキル、S-アルケニル、S-アルキニル、S-アルコキシアルキル、S-アルキルアミノアルキル、S-アルキルアリール、S-アルキルアミノカルボニル、S-アルキルアリール、S-アルキニルアリール、S-アルコキシアリール、S-アルキルアミノアリール、S-シクロアルキル、S-アリール、S-ヘテロアリール、S-ヘテロシクロアルキル、S-アルキルヘテロシクロアルキル、S(O)アルキル、S(O)アルケニル、S(O)アルキニル、S(O)アルコキシアルキル、S(O)アルキルアミノアルキル、S(O)アルキルアミノカルボニル、S(O)アルキルアリール、S(O)アルケニルアリール、S(O)アルキニルアリール、S(O)アルコキシアリール、S(O)アルキルアミノアリール、S(O)シクロアルキル、S(O)アリール、S(O)ヘテロアリール、S(O)ヘテロシクロアルキル、S(O)アルキルヘテロシクロアルキル、S(O)2アルキル、S(O)2アルケニル、S(O)2アルキニル、S(O)2アルコキシアルキル、S(O)2アルキルアミノアルキル、S(O)2アルキルアミノカルボニル、S(O)2アルキルアリール、S(O)2アルケニルアリール、S(O)2アルキニルアリール、S(O)2アルコキシアリール、S(O)2アルキルアミノアリール、S(O)2シクロアルキル、S(O)2アリール、S(O)2ヘテロアリール、S(O)2ヘテロシクロアルキル、S(O)2アルキルヘテロシクロアルキル、S(O)2ヘテロシクリルアルキル、S(O)2ヘテロシクリルアルケニル、S(O)2ヘテロシクリルアルキニル、SO2NH、SO2NH-アルキル、SO2NH-アルケニル、SO2NH-アルキニル、SO2NH-アルキルアリール、SO2NH-アルケニルアリール、SO2NH-アルキニルアリール、SO2NH-シクロアルキル、SO2NH-アリール、SO2NH-ヘテロアリール、SO2NH-ヘテロシクロアルキル、SO2NH-アルキルヘテロシクロアルキル、アルキルアリールオキシアルコキシ、アルキルアリールオキシアルキルアミノ、アルキルアリールアミノアルコキシ、アルキルアリールアミノアルキルアミノ、アルキルアリールアルキルアミノアルコキシ、アルキルアリールアルキルアミノアルコキシ、アルケニルアリールオキシアルコキシ、アルケニルアリールオキシアルキルアミノ、アルケニルアリールアミノアルコキシ、アルケニルアリールアミノアルキルアミノ、アルケニルアリールアルキルアミノアルコキシ、アルケニルアリールアルキルアミノアルキルアミノが挙げられる。
【0031】
より好ましい態様において、Bは、直鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル(alkylhererocyclylalkynyl)、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、またはアルキニルヘテロアリール(alkynylhereroaryl)である。これらのリンカーにおいて、1つ以上のメチレンは、-O-、-N(R2)-、-C(O)-、-C(O)N(R2)-または-C(O)O-で中断され得るかまたは終結され得る。
【0032】
一態様において、リンカーBは、1〜24個の炭素原子、好ましくは4〜24個の炭素原子、好ましくは4〜18個の炭素原子、より好ましくは4〜12個の炭素原子、最も好ましくは約4〜10個の炭素原子である。
【0033】
好ましい態様において、Bは、直鎖のC1-C10アルキル、C1-C10アルケニル、C1-C10アルキニル、C1-C10アルコキシ、アルコキシC1-C10アルコキシ、C1-C10アルキルアミノ、アルコキシC1-C10アルキルアミノ、C1-C10アルキルカルボニルアミノ、C1-C10アルキルアミノカルボニル、アリールオキシC1-C10アルコキシ、アリールオキシC1-C10アルキルアミノ、アリールオキシC1-C10アルキルアミノカルボニル、C1-C10-アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、C1-C10アルキル(N-アルキル)アミノアルキル-アミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノアルキルアミノ、アルキル(N-アルキル)アミノアルキルアミノ、(N-アルキル)アルキルカルボニルアミノアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アルキルアミノアルキルアミノアルキル、アルキルピペラジノアルキル、ピペラジノアルキル、アルキルピペラジノ、アルケニルアリールオキシC1-C10アルコキシ、アルケニルアリールアミノC1-C10アルコキシ、アルケニルアリールアルキルアミノC1-C10アルコキシ、アルケニルアリールオキシC1-C10アルキルアミノ、アルケニルアリールオキシC1-C10アルキルアミノカルボニル、ピペラジノアルキルアリール、ヘテロアリールC1-C10アルキル、ヘテロアリールC2-C10アルケニル、ヘテロアリールC2-C10アルキニル、ヘテロアリールC1-C10アルキルアミノ、ヘテロアリールC1-C10アルコキシ、ヘテロアリールオキシC1-C10アルキル、ヘテロアリールオキシC2-C10アルケニル、ヘテロアリールオキシC2-C10アルキニル、ヘテロアリールオキシC1-C10アルキルアミノ、ヘテロアリールオキシC1-C10アルコキシから選択される。最も好ましい態様において、D基は、B中の脂肪族部分炭素鎖、アリール基またはヘテロアリール基を介してBに結合する。
【0034】
別の好ましい態様において、Bは、直接結合、アリール、ヘテロアリール、C2-C10-アルキル、C2-C10-アルケニル、アリール-C2-C10-アルキル、アリール-C2-C10-アルケニル、アリールオキシ-C1-C10-アルキル、ヘテロシクリルヘテロアリール、C1-C10-アルキルヘテロシクリルヘテロアリール、またはC1-C10-アルキルアミノヘテロアリールである。
【0035】
アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル等はさらに置換され得ることが理解される。
【0036】
ある態様において、式IおよびIIの化合物は、式XIIIおよびXIV:
【化22】
(式中、M1は、非存在、O、S、NR2、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、SO、SO2またはC=Oであり;M2は、非存在、C1-C6アルキル、O、NR2、複素環、アリール、ヘテロアリールまたはC=Oであり;M3は、非存在、O、NR2、S、SO、SO2、CO、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環であり;M4は、非存在、O、NR2、ヘテロアリール、複素環またはアリールであり;M5は、非存在、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、ヘテロアリール、複素環またはアリールであり;E、L、Q、G、Z、Y2、R32、R33およびR34は、これらの変数について上記の規定を有する)
のそれぞれで表される。好ましくは、Y2およびR32は、非存在であり、ZはNであり、R33はHであり、R34はヒドロキシである。
【0037】
本発明の具体的な化合物を以下の表に記載する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【0038】
本発明はさらに、ヘッジホッグに関連する疾患または障害、特に細胞の異常な増殖、分化または生存に関与する疾患または障害の予防または治療のための方法を提供する。一態様において、本発明はさらに、細胞の異常な増殖、分化または生存に関与する疾患を停止または減少させるための医薬の製造における1つ以上の本発明の化合物の使用を提供する。好ましい態様において、該疾患は癌である。一態様において、本発明は、治療を必要とする被験体に、治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を含む、該被験体における癌の治療方法に関する。別の態様において、本発明はさらに、乾癬などの非癌性ヘッジホッグ関連疾患または障害の予防または治療のための方法を提供する。本発明の化合物は、黄斑変性、糖尿病性網膜症、未熟網膜症、関節リウマチおよび肥満などの異常なまたは制御できない脈管形成に関連する疾患または障害を治療するためにも使用され得る。また、本発明の化合物は、毛髪の成長を下方制御するために使用され得る。
【0039】
本発明の化合物の二重のHDACおよびヘッジホッグの阻害活性のために、本発明はさらに、ヘッジホッグ経路シグナル伝達インヒビター単独の作用に耐性のある特定の癌を治療するための方法を提供する。かかる耐性は、Gli転写活性化のレベルを超えたヘッジホッグシグナル伝達カスケードに関連するタンパク質の1つ以上の変異を特徴とし得る。それにもかかわらずHDAC阻害活性を有する本発明の化合物は、Gli1およびGli2転写活性化因子の脱アセチル化を阻害することにより、ヘッジホッグレベルの増加を有する癌を治療するために有用であり得る。
【0040】
用語「癌」は、悪性の新形成細胞の増殖により引き起こされる任意の癌、例えば腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫などのことをいう。例えば、癌としては、限定されないが、中皮腫、白血病およびリンパ腫、例えば皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、非皮膚末梢T細胞性リンパ腫、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス(HTLV)に関連するリンパ腫、例えば成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)、B細胞性リンパ腫、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、または肝細胞癌が挙げられる。さらなる例としては、骨髄異形成症候群、小児期充実性腫瘍、例えば脳腫瘍、神経芽腫、網膜芽腫、ウィルムス腫瘍、骨腫瘍、および軟組織肉腫、成人の共通の充実性腫瘍、例えば頭部頚部癌(例えば、口、咽頭、鼻咽頭および食道)、尿生殖器癌(例えば、前立腺、膀胱、腎臓、子宮、卵巣、精巣)、肺癌(例えば、小細胞および非小細胞)、乳癌、膵臓癌、黒色腫および他の皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、ゴーリン症候群に関連する腫瘍(例えば、髄芽腫、髄膜腫等)、および肝臓癌が挙げられる。本発明の化合物により治療され得る癌のさらなる例示的な形態としては、限定されないが、骨格筋または平滑筋の癌、胃癌、小腸の癌、直腸(rectum)癌、唾液腺の癌、子宮内膜癌、副腎癌、肛門癌、直腸(rectal)癌、副甲状腺癌および下垂体癌が挙げられる。
【0041】
好ましい態様において、癌は、異常なヘッジホッグシグナル伝達、例えば、PatchedがSmoothenedを抑制できないか、不適切に抑制する場合(Ptc機能消失表現型)および/またはSmoothenedがPatched抑制に関係なく活性である場合(Smo機能獲得表現型)および/またはヘッジホッグリガンドが、patchedまたはsmoothenedの変異状態に関係なく上方制御される場合に関連する。かかる癌の種類の例としては、基底細胞癌、神経外胚葉腫瘍、例えば髄芽腫、髄膜腫、血管腫、グリア芽腫、膵臓腺癌、肺扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝臓癌、軟骨肉腫、乳癌、横紋筋肉腫、食道癌、胃癌、胆道癌、腎癌および甲状腺癌が挙げられる。さらに、本発明の化合物は、上述の白血病、リンパ腫および骨髄腫などの血液の腫瘍の治療に有用であり得る。
【0042】
本明細書に記載される化合物が治療に有用であり得るさらなる癌は、例えば結腸癌、家族性腺癌ポリープ癌および遺伝性非ポリープ結腸直腸癌または黒色腫である。さらに、癌としては、限定されないが、口唇癌、咽頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃(gastric)癌、腺癌、甲状腺癌(髄質および乳頭の甲状腺癌)、腎臓癌、腎実質癌、子宮頸癌、子宮体癌、子宮内膜癌、絨毛膜癌、精巣癌、尿道(urinary)癌、黒色腫、脳腫瘍、例えばグリア芽腫、星状細胞腫、髄膜腫、髄芽腫および末梢神経外胚葉腫瘍、胆のう癌、気管支癌、多発性骨髄腫、基底細胞腫(basalioma)、奇形腫、網膜芽腫、脈絡膜黒色腫、セミノーマ、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫および形質細胞腫が挙げられる。
【0043】
本発明の一局面において、本発明は、癌の治療のための医薬の製造における本発明の1つ以上の化合物の使用を提供する。
【0044】
一態様において、本発明は、さらに細胞の異常な増殖、分化または生存を予防する医薬の製造における本発明の1つ以上の化合物の使用を含む。例えば、本発明の化合物は、腫瘍の大きさが増すことまたは腫瘍が転移状態に達することを防ぐのに有用であり得る。本発明の化合物は、癌の進行または発達を停止するため、または腫瘍のアポトーシスを誘導するため、または腫瘍の脈管形成を阻害するために投与され得る。また、本発明は、癌の再発を予防するための本発明の化合物の使用を含む。
【0045】
本発明はさらに、過形成、形成異常および前癌性病変などの細胞増殖性の障害の治療または予防を含む。形成異常は、病理学者が生検中で認識し得る前癌性病変のもっとも初期の形態である。本発明の化合物は、前記過形成、形成異常または前癌性病変が広がり続けることを予防し、または癌性になることを予防するために投与され得る。前癌性病変の例は、皮膚、食道組織、胸部および頚部内皮内部組織に生じ得る。
【0046】
「併用療法」は、他の生物学的有効成分(例えば、限定されないが、第2の異なる抗新形成剤)および非薬物療法(例えば限定されないが、手術または放射線治療)とさらに組み合わせた対象の化合物の投与を含む。例えば、本発明の化合物は、他の薬学的に活性な化合物、好ましくは本発明の化合物の効果を増強し得る化合物と併用され得る。本発明の化合物は、他の薬物療法と同時(単一の製剤または別々の製剤として)にまたは連続して投与され得る。一般的に、併用療法は、治療の一回のサイクルまたは一連の過程の間に2種類以上の薬物の投与を構想する。
【0047】
本発明の一局面において、本発明の化合物は、種々の疾患状態に関与するプロテインキナーゼまたはその下流の標的を調節する1つ以上の別々の薬剤と併せて投与され得る。かかるキナーゼの例としては、限定されないが、セリン/トレオニン特異的キナーゼ、受容体チロシン特異的キナーゼおよび非受容体チロシン特異的キナーゼが挙げられ得る。セリン/トレオニンキナーゼとしては、有糸分裂活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、減数分裂特異的キナーゼ(MEK)、RAFおよびオーロラキナーゼが挙げられる。受容体キナーゼファミリーの例としては、上皮成長因子受容体(EGFR)(例えば、HER2/neu、HER3、HER4、ErbB、ErbB2、ErbB3、ErbB4、Xmrk、DER、Let23);線維芽細胞成長因子(FGF)受容体(例えば、FGF-R1、GFF-R2/BEK/CEK3、FGF-R3/CEK2、FGF-R4/TKF、KGF-R);肝細胞成長/散乱因子受容体(HGFR)(例えば、MET、RON、SEA、SEX);インスリン受容体(例えば、IGFI-R、PI3K、AKT、mTor);Eph(例えば、CEK5、CEK8、EBK、ECK、EEK、EHK-1、EHK-2、ELK、EPH、ERK、HEK、MDK2、MDK5、SEK);Axl(例えば、Mer/Nyk, Rse);RET;および血小板由来成長因子受容体(PDGFR)(例えば、PDGFα-R、PDGβ-R、CSF1-R/FMS、SCF-R/C-KIT、VEGF-R/FLT、NEK/FLK1、FLT3/FLK2/STK-1)が挙げられる。非受容体チロシンキナーゼファミリーとしては、限定されないが、BCR-ABL(例えば、p43abl、ARG);BTK(例えば、ITK/EMT、TEC);CSK、FAK、FPS、JAK、SRC、BMX、FER、CDKおよびSYKが挙げられる。
【0048】
本発明の別の局面において、本発明の化合物は、非キナーゼ性の生物学的標的またはプロセスを調節する1つ以上の別々の薬剤と組み合わせて投与され得る。かかる標的としては、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)、熱ショックタンパク質(例えば、HSP90)およびプロテオソームが挙げられる。
【0049】
好ましい態様において、本発明の化合物は、ゾリンザ、タルセバ、イレッサ、タイカルブ、グリーベック、スーテント、スプリセル、ネクサバール、CNF2024、RG108、BMS387032、アフィニタク(Affinitak)、アバスチン、ハーセプチン、アービタックス、AG24322、PD325901、ZD6474、PD184322、オバトダックス(Obatodax)、ABT737およびAEE788などの、1つ以上の生物学的標的を阻害する抗新形成剤(例えば、低分子、モノクローナル抗体、アンチセンスRNAおよび融合タンパク質)と合わせられ得る。かかる組み合わせは、該薬剤のいずれか単独で達成される効力以上に治療効力を増強し得、抵抗性変異バリアントの出現を予防または遅延し得る。例えば、本発明の化合物は、有利に、白血病、リンパ腫および骨髄腫などの血液腫瘍の治療のために、スプリセルなどのBCL-ABLインヒビターと組み合わせて使用され得る。
【0050】
ある好ましい態様において、本発明の化合物は、化学療法剤と組み合わせて投与される。化学療法剤は、腫瘍学の分野における広範囲な治療的処置を包含する。これらの薬剤は、腫瘍の縮小、術後残存する癌細胞の破壊、寛解の誘導、寛解の維持および/または癌もしくはその治療に関する症状の緩和のために、疾患の種々の段階で投与される。かかる薬剤の例としては、限定されないが、アルキル化剤、例えばマスタードガス誘導体(メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、イホスファミド)、エチレンイミン(チオテパ、ヘキサメチルメラニン)、アルキルスルホネート(ブスルファン)、ヒドラジンおよびトリアジン(アルトレタミン、プロカルバジン、ダカルバジンおよびテモゾロミド)、ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチンおよびストレプトゾシン)、イホスファミドおよび金属塩(カルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチン);植物アルカロイド、例えばポドフィロトキシン(エトポシドおよびテニポシド(Tenisopide))、タキサン(パクリタキセルおよびドセタキセル)、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)、およびカンプトテカン(Camptothecan)アナログ(イリノテカンおよびトポテカン);抗腫瘍抗生物質、例えばクロモマイシン(ダクチノマイシンおよびプリカマイシン)、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、バルルビシンおよびイダルビシン)、および種々の抗生物質、例えばマイトマイシン、アクチノマイシンおよびブレオマイシン;代謝拮抗薬、例えば葉酸アンタゴニスト(メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、アミノプテリン)、ピリミジンアンタゴニスト(5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、カペシタビンおよびゲムシタビン)、プリンアンタゴニスト(6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン)およびアデノシンデアミナーゼインヒビター(クラドリビン、フルダラビン、メルカプトプリン、クロファラビン、チオグアニン、ネララビンおよびペントスタチン);トポイソメラーゼインヒビター、例えばトポイソメラーゼIインヒビター(イロノテカン(Ironotecan)、トポテカン)およびトポイソメラーゼIIインヒビター(アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド);モノクローナル抗体(アレムツズマブ、ゲムツズマブ オゾガマイシン、リツキシマブ、トラスツズマブ、イブリツモマブ チオキセタン(Tioxetan)、セツキシマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、ベバシズマブ);ならびに種々の抗新形成剤、例えばリボヌクレオチドレダクターゼインヒビター(ヒドロキシ尿素);副腎皮質ステロイドインヒビター(ミトタン);酵素(アスパラギナーゼおよびペグアスパルガーゼ);微小管阻害剤(エストラムスチン);ならびにレチノイド(ベキサロテン、イソトレチノイン、トレチノイン(ATRA)が挙げられる。例えば、本発明の化合物は有利に、膵臓腺癌などの膵臓癌などの充実性腫瘍の治療のために、ゲムシタビンなどのピリミジンアンタゴニストと併用され得る。
【0051】
ある好ましい態様において、本発明の化合物は、化学保護剤と組み合わせて投与される。化学保護剤は、身体を保護するか、または化学療法の副作用を最小限にするように作用する。かかる剤の例としては、限定されないが、アムフォスチン、メスナおよびデキスラゾキサン(dexrazoxane)が挙げられる。
【0052】
本発明の一局面において、本発明の化合物は、放射線療法と組み合わせて投与される。一般に、放射線は、光子(x線またはγ線)または粒子放射線を使用する機械から内部に(癌部位の近位に放射性物質を埋め込む)または外部に送達される。併用療法がさらに放射線治療を含む場合、放射線治療は、治療剤および放射線治療の組み合わせの共作用の有益な効果が達成されるならば、任意の公的な時間で行うことができる。例えば、適切な場合、放射線治療が治療剤の投与より一時的に取り除かれる場合、おそらくは数日または数週間、有益な効果は依然として達成される。
【0053】
本発明の化合物は免疫療法剤と併用され得ることが理解される。免疫療法の1つの形態は、腫瘍から離れた部位にワクチン組成物を投与することにより、宿主由来の活性な全身性の腫瘍特異的免疫応答を生じることである。単離腫瘍抗原ワクチンおよび抗イディオタイプワクチンなどの種々の型のワクチンが提唱されている。別のアプローチは、治療対象の被験体由来の腫瘍細胞、またはかかる細胞の誘導体を使用することである(Schirrmacher et al. (1995) J. Cancer Res. Clin. Oncol., 121: 487に概説)。米国特許第5,484,596号において、Hanna Jr.らは、腫瘍を外科的に除去する工程、コラゲナーゼにより細胞を分散させる工程、細胞に放射線照射する工程、および少なくとも3回の連続する約107個の細胞の用量で患者をワクチン接種する工程を含む、再発または転移を予防するために、切除可能な癌を治療する方法を特許請求している。
【0054】
本発明の化合物は、1つ以上の補助療法剤と有利に併用され得ることが理解される。補助療法のための好適な薬剤の例としては、5HT1アゴニスト、例えばトリプタン(例えば、スマトリプタンまたはナラトリプタン);ホスホイノシトール-3-キナーゼ(PI3K)ファミリーのインヒビター;ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)のインヒビター;Bcr-Ablのインヒビター;アデノシンA1アゴニスト;EPリガンド;NMDA調節因子、例えばグリシンアンタゴニスト;ナトリウムチャネルブロッカー(例えば、ラモトリジン);P物質アンタゴニスト(例えば、NK1アンタゴニスト);カンナビノイド;アセトアミノフェンまたはフェナセチン;5-リポキシゲナーゼインヒビター;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;DMARD(例えば、メトトレキサート);ガバペンチンおよび関連化合物;三環系抗鬱剤(例えば、アミノトリプチリン);ニューロン安定化抗てんかん薬;モノアミン作動性取り込みインヒビター(例えば、ベンラファキシン);マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター;一酸化窒素シンテターゼ(NOS)インヒビター、例えばiNOSまたはnNOSインヒビター;腫瘍壊死因子αの放出または作用のインヒビター;抗体療法、例えばモノクローナル抗体療法;抗ウイルス剤、例えばヌクレオシドインヒビター(例えば、ラミブジン)または免疫系調節因子(例えば、インターフェロン);オピオイド鎮痛剤;局所麻酔剤;興奮薬、例えばカフェイン;H2-アンタゴニスト(例えば、ラニチジン);プロトンポンプインヒビター(例えば、オメプラゾール);制酸剤(例えば、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム);抗膨満剤(例えば、シメチコン);うっ血除去薬(例えば、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリンまたはレボ-デスオキシエフェドリン(levo-desoxyephedrine));鎮咳剤(例えば、コデイン、ヒドロコドン、カルミフェン(carmiphen)、カルベタペンタンまたはデキストラメトルファン);利尿剤;または鎮静もしくは非鎮静抗ヒスタミン剤が挙げられる。
【0055】
該化合物はまた、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の制御異常に関与する、関連するまたは伴う障害の治療にも使用され得る。HDAC活性に示されているかまたは少なくとも部分的にHDAC活性に媒介されることが知られている多くの障害があり、ここでHDAC活性は、疾患の発症を誘発するのに役割を果たすことが知られているか、またはその症状は、HDACインヒビターにより緩和されることが知られているかもしくは示されている。本発明の化合物を用いた治療に影響を受けやすいと期待されるこの種の障害としては、限定されないが、以下のもの:抗増殖性障害(例えば、癌);神経変性疾患、例えばハンチントン病、ポリグルタミン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、発作、線条体黒質変性、進行性核上麻痺、ねじれ失調症、痙性斜頸およびジスキネジー、家族性振せん、ジルドラツレット症候群、びまん性レヴィー小体病、進行性核上麻痺、ピック病、脳内出血、原発性側索硬化症、脊髄性筋萎縮、筋萎縮性側索硬化症、肥厚性間質性ポリニューロパシー、色素性網膜炎、遺伝性眼萎縮、遺伝性痙性対麻痺、進行性失調およびシャイ-ドレーガー症候群;代謝性疾患、例えば2型糖尿病;目の変性疾患、例えば緑内障、加齢黄斑変性、血管新生緑内障;炎症性疾患および/または免疫系障害、例えば関節リウマチ(RA)、変形性関節症、若年性慢性関節炎、移植片対宿主病、乾癬、喘息、脊椎関節症、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、アルコール性肝炎、糖尿病、シェーグレン症候群、多発性硬化症、強直性脊椎炎、膜性糸球体症、椎間板性疼痛、全身性エリテマトーデス;脈管形成に関連する疾患、例えば癌、乾癬、関節リウマチ;精神障害、例えば双極性障害、統合失調症、躁病、うつ病および認知症;心臓血管疾患、例えば虚血または再灌流の予防および治療関連の血管および心筋組織の損傷、心不全、再狭窄および動脈硬化;線維症性疾患、例えば肝臓線維症、嚢胞性線維症および血管線維腫;感染性疾患、例えば真菌感染、例えばカンジダ症またはカンジダアルビカンス、細菌感染、ウイルス感染、例えば単純ヘルペス、ポリオウイルス、ライノウイルスおよびコクサッキーウイルス、原生動物感染、例えばマラリア、リーシュマニア感染、ブルーストリパノゾーマ感染、トキソプラズマ症およびコクシジウム症、ならびに造血性障害、例えばサラセミア、貧血および鎌状赤血球貧血が挙げられる。
【0056】
本発明の化合物は、脈管形成を阻害するので、腫瘍、特に充実性腫瘍、例えば結腸、肺、膵臓、卵巣、乳房および神経膠腫などの脈管形成により媒介される疾患または状態の治療に有用である。さらに、本発明の化合物は、黄斑変性、例えば湿性加齢黄斑変性を治療することに有用である。本発明の化合物はまた、炎症性/免疫疾患、例えばクローン病、炎症性腸疾患、シェーグレン症候群、喘息、臓器移植拒絶、全身性エリテマトーデス、乾癬性関節炎、乾癬および多発性硬化症を治療することに有用である。該化合物はまた、毛髪の成長の下方制御または美容目的または多毛症の治療の脱毛薬として使用し得る。
【0057】
本発明は、上述の本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物を包含する。本発明はまた、本発明の化合物の溶媒和物、および水和物、メタノレート(methanolate)またはエタノレート(ethanolate)などのかかる溶媒和物を含む医薬組成物を包含する。用語「溶媒和物」は、結晶格子中に溶媒分子の存在を含む化合物の固体、好ましくは結晶形態のことをいう。所定の溶媒を含む化合物の溶媒和物は、典型的に該溶媒からの化合物の結晶化により調製される。溶媒和物は、水、メタノールおよびエタノールなどの種々の溶媒を含み得る。用語「水和物」は、溶媒が水である溶媒和物のことをいい、限定されないが、半水化物、一水和物、二水和物、三水和物などが挙げられる。本発明はさらに、結晶および結晶溶媒和物形態などの本発明の化合物の固体または液体のいずれかの物理的形態を含む医薬組成物を包含する。例えば、該化合物は、結晶形態や、非晶質形態であり得、任意の粒径を有し得る。粒子は、微粉化され得るか、あるいは凝集され得、粒状の顆粒、粉末、油状物、油状懸濁物または任意の他の固体もしくは液体の物理形態を有する。
【0058】
本発明の化合物、およびその誘導体、断片、アナログ、ホモログ、薬学的に許容され得る塩または溶媒和物は、薬学的に許容され得る担体または賦形剤と共に、投与に適する医薬組成物に取り込まれ得る。典型的に、かかる組成物は、治療有効量の任意の上述の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む。好ましくは、癌を治療する場合の有効量は、好適な新形成細胞の最終的な分化を選択的に誘導するのに有効な量であり、患者において毒性を生じる量未満である。
【0059】
本発明の化合物は、限定されないが、非経口、静脈内、筋肉内、皮下、埋め込み、経口、舌下、口内、鼻腔、肺、経皮、局所、膣、直腸および経粘膜の投与などの任意の好適な手段により投与され得る。また、局所投与は、経皮パッチまたはイオン導入デバイスなどの経皮投与の使用を含み得る。医薬製剤としては、有効成分として本発明の化合物を含み、選択された投与形態に適切な固体、半固体または液体製剤(錠剤、ペレット、トローチ、カプセル、坐剤、クリーム、軟膏、エアロゾル、粉末、液体、エマルジョン、懸濁剤、シロップ、注射剤など)が挙げられる。一態様において、該医薬組成物は、経口投与されるので、経口投与に好適な形態、すなわち固体または液体の製剤として調製される。適切な固体経口製剤としては、錠剤、カプセル、丸薬、顆粒、ペレット、サシェおよび起沸剤、粉末などが挙げられる。好適な液体経口製剤としては、溶液、懸濁液、分散剤、エマルジョン、油状物などが挙げられる。本発明の一態様において、該組成物はカプセルに調製される。この態様によると、本発明の組成物は、活性化合物に加えて、不活性な担体または希釈剤を含み、硬質ゼラチンカプセルをなす。
【0060】
担体または希釈剤として一般的に使用される任意の不活性賦形剤、例えばガム状物、デンプン、糖、セルロース物質、アクリレート、またはそれらの混合物などは、本発明の製剤中で使用され得る。好ましい希釈剤は微小質セルロースである。該組成物はさらに、崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含み得、さらに結合剤、バッファー、プロテアーゼインヒビター、界面活性剤、可溶化剤、可塑剤、乳化剤、安定化剤、粘度増強剤、甘味剤、膜形成剤またはそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の添加剤を含み得る。さらに、本発明の組成物は、制御放出製剤の形態または即時放出製剤の形態であり得る。
【0061】
液体製剤について、薬学的に許容され得る担体は、水性または非水性の溶液、懸濁液、エマルジョンまたは油状物である。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびオレイン酸エチルなどの注射可能有機エステルである。水性担体としては、水、ならびに食塩水および緩衝媒体を含むアルコール性/水性の溶液、エマルジョンまたは懸濁物が挙げられる。油状物の例は、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、オリーブ油、ヒマワリ油および魚肝油である。また、溶液または懸濁物は、以下の成分:滅菌希釈物、例えば注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);バッファー、例えば酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度の調整のための薬剤を含み得る。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整され得る。
【0062】
また、該組成物はさらに、結合剤(例えば、アカシア、トウモロコシデンプン、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアールガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアールガム、グリコール酸デンプンナトリウム、プリモゲル)、種々のpHおよびイオン強度のバッファー(例えば、トリスHCL、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸着を予防するためのアルブミンまたはゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(detergent)(例えば、Tween 20、Tween 80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼインヒビター、界面活性剤(surfactant)(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過促進剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、滑剤(glidant)(例えば、コロイダル二酸化シリコーン)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度増強剤(例えば、カルボマー、コロイダル二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアールガム)、甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテーム、クエン酸)、矯味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバー)、保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、潤滑剤(lubricant)(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動補助剤(例えば、コロイダル二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)、コーティングおよび膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)および/またはアジュバントを含み得る。
【0063】
一態様において、制御放出製剤、例えばインプラントおよび微小カプセル化送達系などの活性化合物は、化合物が体内から迅速に排除されることを保護する担体を用いて調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生分解性で生体適合性のポリマーが使用され得る。かかる製剤の調製方法は、当業者に明白である。該物質はまた、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals, Inc.から購入し得る。リポソーム懸濁物(例えば、ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞を標的化するリポソーム)も、薬学的に許容され得る担体として使用し得る。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるように当業者に公知の方法に従って調製され得る。
【0064】
投与の容易さおよび用量の均一化のために単位投与形態の経口組成物を調製することが特に有利である。本明細書で使用されるように、単位投与形態は、治療対象の被験体について単位用量として適する物理的に離散した単位をいい、それぞれの単位は、必要とされる医薬担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の単位投与形態について、本明細書は、活性化合物の特有の特徴および達成される特定の治療効果、ならびに個体の治療のためのかかる活性化合物を調製する当該技術分野に特有の制限により決定し、それらに依存する。
【0065】
医薬組成物は、投与のための指示書と共に、容器、パックまたはディスペンサー中に含まれ得る。
【0066】
数日から数年の期間、毎日投与は連続的に反復され得る。経口治療は、1週間から患者の生涯までの間継続し得る。好ましくは、投与は連続して5日間行われ得、その後さらなる投与が必要かどうかを決定するために患者を評価し得る。投与は、連続的または断続的であり得、例えば連続した多くの日数の後、休息の期間が続く。本発明の化合物は、治療の初日に静脈内投与され得、2日目およびそれ以降の全ての連続した日数で経口投与され得る。
【0067】
活性成分を含む医薬組成物の調製は、当該技術分野で良く理解されており、例えば混合、顆粒化または錠剤形成プロセスによる。しばしば、治療有効成分は、薬学的に許容され得、有効成分と適合性である賦形剤と混合される。経口投与のために、活性薬剤は、ビヒクル、安定化剤または不活性希釈剤などの従来よりこの目的に合わされた添加剤と混合され、従来法により、例えば上述の錠剤、コーティング錠剤、硬質または軟質ゼラチンカプセル、水性、アルコール性または油状の溶液などの投与に好適な形態に変換される。
【0068】
患者に投与される化合物の量は、患者において毒性を生じる量未満である。ある態様において、患者に投与される化合物の量は、化合物の毒性レベル以上の患者の血漿中の化合物の濃度を生じる量未満である。好ましくは、患者の血漿中の化合物の濃度は、約10nMで維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約25nMに維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約50nMに維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約100nMに維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約500nMに維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約1000nMに維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約2500nMに維持される。一態様において、患者の血漿中の化合物の濃度は、約5000nMに維持される。本発明の実施において患者に投与されるべき化合物の最適量は、使用される特異的な化合物および治療される癌の種類に依存する。
【0069】
定義
本発明を説明するために使用される種々の用語の定義が以下に列挙される。これらの定義は、他に具体的な例で限定されない限りは、個々に、または大きな群の一部のいずれかとして本明細書および特許請求の範囲を通して使用される際の用語に適用される。
【0070】
「脂肪族基」または「脂肪族」は、飽和され得るか(例えば単結合)、または1つ以上の不飽和の単位、例えば二重結合および/または三重結合を含み得る非芳香族部分である。脂肪族基は、直鎖、分岐または環状で、炭素、水素もしくは任意に1つ以上のへテロ原子を含み得、置換または非置換であり得る。リンカーとして使用する場合、脂肪族基は、好ましくは約1〜約24個の原子、より好ましくは約4〜約24個の原子、より好ましくは約4〜12個の原子、より典型的には約4〜約8個の原子を含む。置換基として使用する場合、脂肪族基は、好ましくは約1〜約24個の原子、より好ましくは約1〜約10個の原子、より好ましくは約1〜8個の原子、より典型的には約1〜約6個の原子を含む。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基としては、例えばポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンなどのポリアルコキシアルキルが挙げられる。かかる脂肪族基はさらに置換され得る。脂肪族基としては本明細書に記載のアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル基が挙げられることが理解される。
【0071】
用語「置換カルボニル」には、二重結合で酸素原子に結合した炭素を含む化合物および部分ならびにその互変異性体が含まれる。置換カルボニルを含む部分の例としては、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物等が挙げられる。用語「カルボニル部分」とは、アルキル基がカルボニル基に共有結合した「アルキルカルボニル」基、アルケニル基がカルボニル基に共有結合した「アルケニルカルボニル」基、アルキニル基がカルボニル基に共有結合した「アルキニルカルボニル」基、アリール基がカルボニル基に共有結合した「アリールカルボニル」基などの基のことをいう。さらに、該用語はまた、1つ以上のへテロ原子がカルボニル部分に共有結合した基のことをいう。例えば、該用語は、例えばアミノカルボニル部分などの部分(ここでは窒素原子がカルボニル基の炭素に結合する、例えばアミド)を含む。
【0072】
用語「アシル」とは、水素、アルキル、部分飽和または完全飽和シクロアルキル、部分飽和または完全飽和複素環、アリールおよびヘテロアリール置換カルボニル基のことをいう。例えば、アシルとしては、(C1〜C6)アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、t-ブチルアセチル等)、(C3〜C6)シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、複素環式カルボニル(例えば、ピロリジニルカルボニル、ピロリド-2-オン-5-カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、テトラヒドロフラニルカルボニル等)、アロイル(例えば、ベンゾイル)およびヘテロアロイル(例えば、チオフェニル-2-カルボニル、チオフェニル-3-カルボニル、フラニル-2-カルボニル、フラニル-3-カルボニル、1H-ピロイル-2-カルボニル、1H-ピロイル-3-カルボニル、ベンゾ[b]チオフェニル-2-カルボニル等)などの基が挙げられる。また、アシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、それぞれの定義に記載される基のいずれか1つであり得る。「任意に置換される」と示される場合、アシル基は、非置換であり得るか、もしくは独立して、「置換された」についての定義で以下に列挙される置換基の群から選択される1つ以上の置換基(典型的には1〜3個の置換基)で任意に置換され得るか、またはアシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分はそれぞれの置換基の好ましいおよびより好ましい一覧において上述されるように置換され得る。
【0073】
用語「アルキル」は、1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する直鎖または分岐の基を包含する。より好ましいアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキル」基である。1〜約8個の炭素原子を有する低級アルキル基が最も好ましい。かかる基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル等が挙げられる。
【0074】
用語「アルケニル」は、2〜約20個の炭素原子、好ましくは2〜約12個の炭素原子の少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐の基を包含する。より好ましいアルケニル基は、2〜約10個の炭素原子、より好ましくは約2〜約8個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。アルケニル基の例としては、エテニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよび4-メチルブテニルが挙げられる。用語「アルケニル」および「低級アルケニル」は「シス」および「トランス」配置、または代替的に「E」および「Z」配置を有する基を包含する。
【0075】
用語「アルキニル」は、2〜約20個の炭素原子、好ましくは2〜約12個の炭素原子の少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分岐の基を包含する。より好ましいアルキニル基は、2〜約10個の炭素原子、より好ましくは約2〜約8個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。アルキニル基の例としては、プロパルギル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチン、2-ブチニルおよび1-ペンチニルが挙げられる。
【0076】
用語「シクロアルキル」は、3〜約12個の炭素原子を有する飽和炭素環式基を包含する。用語「シクロアルキル」は、3〜約12個の炭素原子を有する飽和炭素環式基を包含する。より好ましいシクロアルキル基は、3〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルキル」基である。かかる基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0077】
用語「シクロアルケニル」は、3〜12個の炭素原子を有する部分不飽和炭素環式基を包含する。2つの二重結合(共役していてもしていなくてもよい)を含有する部分不飽和炭素環式基であるシクロアルケニル基は、「シクロアルキルジエニル」と呼ばれ得る。より好ましいシクロアルケニル基は、4〜約8個の炭素原子を有する「低級シクロアルケニル」基である。かかる基の例としては、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。
【0078】
用語「アルコキシ」は、各々が1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル部分を有する直鎖または分岐のオキシ含有基を包含する。より好ましいアルコキシ基は、1〜約10個の炭素原子を有する、より好ましくは1〜約8個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。かかる基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびtert-ブトキシが挙げられる。
【0079】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基に結合された1つ以上のアルコキシ基を有する、すなわち、モノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル基を形成するアルキル基を包含する。
【0080】
用語「アリール」は、単独または組合せで、1、2または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、ここで、かかる環は、吊り下げ様式で先に結合され得るか、または縮合され得る。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの芳香族基を包含する。
【0081】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環」、「複素環式」または「ヘテロシクロ」は、飽和、部分不飽和および不飽和ヘテロ原子含有環形状の基を包含し、これらは、相応じて「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルケニル」および「ヘテロアリール」と呼ばれることもあり得、ヘテロ原子は、窒素、硫黄および酸素から選択され得る。飽和ヘテロシクリル基の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニルなど);1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、モルホリニルなど);1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員ヘテロ単環式基(例えば、チアゾリジニルなど)が挙げられる。部分不飽和ヘテロシクリル基の例としては、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチアゾールが挙げられる。ヘテロシクリル基としては、テトラゾリウムおよびピリジニウム基などの5価窒素が挙げられ得る。用語「複素環」はまた、ヘテロシクリル基がアリールまたはシクロアルキル基と縮合された基を包含する。かかる縮合二環式基の例としては、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンなどが挙げられる。
【0082】
用語「ヘテロアリール」は、不飽和ヘテロシクリル基を包含する。ヘテロアリール基の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリルなど)テトラゾリル(例えば、1H-テトラゾリル、2H-テトラゾリルなど)など;1〜5個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えば、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニルなど)など;酸素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、ピラニル、フリルなど;硫黄原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チエニルなど;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリルなど)など;1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリルなど);1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員ヘテロ単環式基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリルなど)など;1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロシクリル基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなど)などが挙げられる。
【0083】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、ヘテロシクロ置換アルキル基を包含する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、ヘテロシクロ基内に1〜6個の炭素原子を有する「低級ヘテロシクロアルキル」基である。
【0084】
用語「アルキルチオ」は、2価の硫黄原子に結合された1〜約10個の炭素原子の直鎖または分岐のアルキル基を含有する基を包含する。好ましいアルキルチオ基は、1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子のアルキル基を有する。より好ましいアルキルチオ基は、1〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキルチオ」基であるアルキル基を有する。1〜約8個の炭素原子の低級アルキル基を有するアルキルチオ基が最も好ましい。かかる低級アルキルチオ基の例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオである。
【0085】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、およびジフェニルエチルなどのアリール置換アルキル基を包含する。
【0086】
用語「アリールオキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合されたアリール基を包含する。
【0087】
用語「アラルコキシ」または「アリールアルコキシ」は、酸素原子を介して他の基に結合されたアラルキル基を包含する。
【0088】
用語「アミノアルキル」は、アミノ基で置換されたアルキル基を包含する。好ましいアミノアルキル基は、約1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアミノアルキル基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アミノアルキル」である。1〜8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアミノアルキル基が最も好ましい。かかる基の例としては、アミノメチル、アミノエチルなどが挙げられる。
【0089】
用語「アルキルアミノ」は、1つまたは2つのアルキル基で置換されたアミノ基を表す。好ましいアルキルアミノ基は、約1〜約20個の炭素原子、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を有する。より好ましいアルキルアミノ基は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基を有する「低級アルキルアミノ」である。1〜約8個の炭素原子を有する低級アルキル基を有するアルキルアミノ基が最も好ましい。好適な低級アルキルアミノは、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどの一置換N-アルキルアミノまたは二置換N,N-アルキルアミノであり得る。
【0090】
用語「リンカー」は、化合物の2つの部分を連結する有機部分を意味する。典型的にリンカーは、直接結合または酸素もしくは硫黄などの原子、NR2、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHなどの単位、または置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリールなどの原子鎖を含み、1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R2)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換複素環で中断または終結され得、ここでR2は、水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族である。一態様において、リンカーBは、1〜24原子長、好ましくは4〜24原子長、好ましくは4〜18原子長、より好ましくは4〜12原子長、最も好ましくは約4〜10原子長である。いくつかの態様において、リンカーはC(O)NH(アルキル)鎖またはアルコキシ鎖である。アルキルアリールなどの非対称リンカーは、構造的に異なる2つの部分を、その2つの可能な向きのいずれかで連結し得ることが理解される。
【0091】
用語「置換」は、所定の構造内の1つ以上の水素基の、特定の置換基の基、例えば、限定されないが、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキル、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アシル、アラルコキシカルボニル、カルボン酸、スルホン酸、スルホニル、ホスホン酸、アリール、ヘテロアリール、複素環および脂肪族による置き換えをいう。置換基がさらに置換され得ることが理解される。
【0092】
簡単にするため、全体を通して定義され言及される化学部分は、当業者に明白な、適切な構造状況下において、一価の化学部分(例えば、アルキル、アリールなど)または多価部分であり得る。例えば、「アルキル」部分は、一価の基(例えば、CH3-CH2-)を指し得、または他の場合では、二価の連結部分が「アルキル」であり得、この場合、当業者は、アルキルが、用語「アルキレン」に等価である二価の基(例えば、-CH2-CH2-)であると理解する。同様に、2価の部分が必要とされ、「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」、または「シクロアルキル」であると記載されている状況において、当業者は、用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「複素環」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「脂肪族」、または「シクロアルキル」が、対応する2価の部分をいうと理解する。
【0093】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、本明細書で使用されるように、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子をいう。
【0094】
本明細書で使用されるように、用語「異常増殖」は、異常な細胞増殖をいう。
【0095】
句「補助療法」は、本発明の併用療法に関連する副作用を低減または回避する薬剤、例えば限定されないが、例えば、抗癌薬の毒性効果を低減する薬剤、例えば、骨吸収インヒビター、心臓保護剤;化学療法、放射線療法もしくは手術に関連する吐気および嘔吐の発生を予防もしくは低減する薬剤;または骨髄抑制性抗癌薬の投与に関連する感染の発生を低減する薬剤での被験体の治療を包含する。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「脈管形成」は、血管の形成のことをいう。具体的には、脈管形成は、内皮細胞が病巣的に(focally)自身の基底膜を破壊して侵入し、間隙性ストロマを介して脈管形成刺激に向かって移動し、近位から移動の先端に向かって増殖し、血管を組織して、新たに合成された基底膜に再度接着する多段階プロセスである(Folkman et al, Adv. Cancer Res., Vol. 43, pp. 175-203 (1985)参照)。抗脈管形成剤はこのプロセスを妨害する。これらの段階のいくつかを妨害する剤の例としては、トロンボスポンジン-1、アンギオスタチン、エンドスタチン、インターフェロンα、および経路から障害物を除き、引き続き血管を新たに形成する酵素の作用を阻害するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)インヒビターなどの化合物;親血管と腫瘍を橋渡しするために血管細胞が用いる分子を妨害するαvβ3インヒビターなどの化合物;新たな血管を形成する細胞の成長を防ぐ特異的COX-2インヒビターなどの剤;ならびにこれらの標的のいくつかを同時に妨害するタンパク質系化合物が挙げられる。
【0097】
用語「アポトーシス」は、本明細書で使用されるように、年齢または細胞の健康状態および条件により指令された場合、正常に機能しているヒトおよび動物細胞の核によってシグナル伝達されるプログラムされた細胞死をいう。「アポトーシス誘導剤」は、プログラムされた細胞死のプロセスを誘発する。
【0098】
用語「癌」は、本明細書で使用されるように、制御されない細胞分裂、およびこれらの細胞が、侵入を介した隣接組織内への直接増殖または転移による遠位部位への埋め込みのいずれかによって他の組織に侵入する能力を特徴とする疾患または障害の種類を表す。
【0099】
用語「化合物」は、本明細書において、本明細書に示す式を有する化合物の薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物、多型、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物などを含むものと定義される。
【0100】
用語「デバイス」は、特定の機能を行うように設計された通常機械的または電気的である任意の器具をいう。
【0101】
本明細書で使用されるように、用語「形成異常」は、異常な細胞増殖をいい、典型的に、病理学者が生検材料において認識可能な前癌性病変の最も初期の形態をいう。
【0102】
本明細書で使用されるように、本発明の治療方法に関する用語「本発明の化合物の有効量」は、所望の投与養生法の一部として送達された場合、例えば細胞増殖速度および/または分化の状態および/または細胞の生存の比の、臨床的に許容され得る標準への変化をもたらす本発明の化合物の量をいう。この量は、さらに、新形成障害の症状の1つ以上をある程度緩和し得、例えば限定されないが、1)癌細胞の数を低減;2)腫瘍の大きさを縮小;3)末梢器官内への癌細胞浸潤を阻害(すなわち、ある程度の遅延、好ましくは停止);4)腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度の遅延、好ましくは停止);5)腫瘍増殖をある程度阻害;6)該障害に関連する症状の1つ以上をある程度軽減もしくは低減;および/または7)抗癌剤の投与に関連する副作用を軽減もしくは低減し得る。
【0103】
用語「過形成」は、本明細書で使用されるように、過剰な細胞分裂または増殖をいう。
【0104】
句「免疫療法剤」は、接種によって、免疫ドナー、例えば、別の人または動物の免疫性を宿主に移すために使用される薬剤をいう。該用語は、別の個体または動物によって産生された予め形成された(performed)抗体を含有する血清またはγグロブリン;非特異的全身刺激;補助剤;能動特異的免疫療法;および養子免疫療法の使用を包含する。養子免疫療法は、感作リンパ球、転移因子、免疫RNA、または血清中抗体もしくはγグロブリンの宿主接種を含む療法または薬剤による疾患の治療をいう。
【0105】
新形成、腫瘍増殖または腫瘍細胞増殖の文脈における用語「阻害」は、とりわけ、原発性または続発性腫瘍出現の遅延、原発性または続発性腫瘍発達の遅延、原発性または続発性腫瘍発生の減少、疾患の副次効果の重症度の遅延または減少、腫瘍増殖停止および腫瘍後退によって評価され得る。極端には、本明細書において、完全な阻害は、予防または化学的予防をいう。
【0106】
用語「転移」は、本明細書で使用されるように、元の腫瘍部位から血管およびリンパ管を介して癌細胞が移動し、他の組織において癌を生じることをいう。また、転移は、遠位部位での続発性癌増殖に対して使用される用語である。
【0107】
用語「新生物」は、本明細書で使用されるように、過剰な細胞分裂により生じる異常な組織塊をいう。新生物は、良性(癌性でない)、または悪性(癌性)であり得、腫瘍とも呼ばれ得る。用語「新形成」は、腫瘍形成をもたらす病理学的過程である。
【0108】
本明細書で使用されるように、用語「前癌性」は、悪性ではないが、治療しないままだと悪性となる可能性のある状態をいう。
【0109】
用語「増殖」は、有糸分裂している細胞をいう。
【0110】
句「ヘッジホッグに関連する疾患または障害」は、不適切なヘッジホッグシグナル伝達活性を特徴とする疾患または障害のことをいう。かかる不適切なヘッジホッグシグナル伝達活性は、PatchedがSmoothenedの抑制に失敗するか、Smoothenedを不充分に抑制する場合(Ptc機能消失表現型)および/またはSmoothenedがPatchedの抑制に関係なく活性である場合(Smo機能獲得表現型)に生じ得る。
【0111】
句「放射線療法剤」は、新形成の治療における電磁放射線または粒状放射線の使用をいう。
【0112】
用語「再発」は、本明細書で使用されるように、寛解の期間後の癌の戻りをいう。これは、最初の癌からの細胞の不完全な除去によるものであり得、局所(最初の癌の同じ部位)、限局(最初の癌の近傍、おそらくはリンパ節または組織)、および/または転移の結果として遠位で起こり得る。
【0113】
用語「治療」は、ヒトを含む哺乳動物が、哺乳動物の状態を直接または間接的に改善する目的で医療補助に供される任意のプロセス、作用、適用、療法などをいう。
【0114】
用語「ワクチン」は、腫瘍関連抗原(Tea)を発現する細胞を攻撃することにより、患者の免疫系が腫瘍に対する免疫応答を示すように誘導する薬剤を含む。
【0115】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得る塩」は、論理的に正しい医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などなく、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適し、妥当な利益/リスク比に見合った塩をいう。薬学的に許容され得る塩は当該技術分野で周知である。例えば、S. M. Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences,66:1-19 (1977)において薬学的に許容され得る塩を詳細に記載する。該塩は、本発明の化合物の最終の単離および精製中にインサイチュで、または遊離塩基官能基と好適な有機酸もしくは無機酸とを反応させることにより別々に調製され得る。薬学的に許容され得る無毒性の酸付加塩の例としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸により、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、ラクトビオン酸もしくはマロン酸などの有機酸により形成されるか、あるいはイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することにより形成されるアミノ基の塩が挙げられる。他の薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨウ化物塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容され得る塩としては、適宜、無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウム、ならびにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、スルホネートおよびアリールスルホネートなどの対イオンを用いて形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0116】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得るエステル」は、インビボで加水分解するエステルをいい、ヒト体内で容易に分解して親化合物またはその塩から離脱するものが挙げられる。好適なエステル基としては、例えば、薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカンジオン酸に由来するものであって、各アルキルまたはアルケニル部分が有利には6個以下の炭素原子を有するものが挙げられる。特定なエステルの例としては、限定されないが、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0117】
用語「薬学的に許容され得るプロドラッグ」は、本明細書で使用されるように、論理的に正しい医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などなく、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適し、妥当な利益/リスク比に見合い、その意図される使用に有効な本発明の化合物のプロドラッグ、ならびに可能な場合は本発明の化合物の両性イオン形態をいう。
【0118】
「プロドラッグ」は、本明細書で使用されるように、代謝的手段によって(例えば、加水分解によって)インビボで本発明の化合物に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグの種々の形態は、例えば、Bundgaard(編),Design of Prodrugs,Elsevier (1985);Widder,et al. (編),Methods in Enzymology,第4巻,Academic Press (1985);Krogsgaard-Larsen,et al.(編)."Design and Application of Prodrugs,Textbook of Drug Design and Development,第5章,113-191 (1991);Bundgaard,et al., Journal of Drug Deliver Reviews,8:1-38(1992);Bundgaard,J. of Pharmaceutical Sciences,77:285 以下参照 (1988);HiguchiおよびStella (編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society (1975);ならびにBernard Testa & Joachim Mayer,“Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry And Enzymology,” John Wiley and Sons,Ltd. (2002)に記載のように、当該技術分野で公知である。
【0119】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容され得る担体」は、滅菌発熱物質無含有水などの医薬投与と適合する任意の全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを含むことが意図される。好適な担体は、参照により本明細書に援用される当該技術分野の標準的な参考教科書であるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。かかる担体または希釈剤の好ましい例としては、限定されないが、水、生理食塩水、リンゲル(finger's)液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソームおよび固定油などの非水性ビヒクルもまた使用され得る。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と適合性でない場合を除き、該組成物におけるその使用が企図される。補助活性化合物もまた該組成物中に組み込まれ得る。
【0120】
本明細書で使用されるように、用語「前癌性」は、悪性ではないが、治療しないままだと悪性となる可能性のある状態をいう。
【0121】
用語「被験体」は、本明細書で使用されるように動物をいう。好ましくは、動物は哺乳動物である。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。被験体とは、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚類、鳥類などもいう。
【0122】
本発明の化合物は、選択的な生物学的性質を増強させるために適切な官能基を付加することにより修飾され得る。かかる修飾は当該技術分野で公知であり、所定の生物系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)内への生物学的浸透を増大させるもの、経口アベイラビリティを増大させるもの、注射による投与を可能にするために溶解性を増大させるもの、代謝を改変するもの、および排出速度を改変するものが挙げられ得る。
【0123】
合成された化合物は、反応混合物から分離され得、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、または再結晶化などの方法によってさらに精製され得る。当業者によって認識され得るように、本明細書の式の化合物のさらなる合成方法は、当業者に明白である。さらに、種々の合成工程は、所望の化合物を得るために、代替的なシーケンスまたは順序で行なわれ得る。本明細書に記載の化合物の合成に有用な合成化学変換および保護基の方法論(保護および脱保護)は当該技術分野で公知であり、例えば、R. Larock,Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989);T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版, John Wiley and Sons (1991);L. FieserおよびM. Fieser,Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons (1994);ならびにL. Paquette編,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons (1995)、ならびにその後続版などに記載のものが挙げられる。
【0124】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学に関してアミノ酸について(R)もしくは(S)、または(D)もしくは(L)で定義され得る他の立体異性形態が生じる。本発明は、かかる可能な全ての異性体、ならびにそのラセミ形態および光学的に純粋な形態を含むことが意図される。光学異性体は、上記の手順によって、またはラセミ混合物を分割することによって、そのそれぞれの光学的に活性な前駆体から調製され得る。該分割は、分割剤の存在下で、クロマトグラフィーまたは反復結晶化または当業者に公知のこれらの技術のいくつかの組合せによって行なわれ得る。分割に関するさらなる詳細は、Jacques,et al., Enantiomers,Racemates,and Resolutions (John Wiley & Sons,1981)に見られ得る。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合、他の不飽和、または他の幾何不斉中心を含む場合、特定されない限り、該化合物は、EおよびZ幾何異性体および/またはシス-およびトランス-異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性形態もまた含まれることが意図される。本明細書に示された任意の炭素-炭素二重結合の立体配置は、便宜上のみのために選択され、本文中にそうと記載されていない限り、特定の立体配置を指定することを意図しない。したがって、本明細書において随意にトランスと示された炭素-炭素二重結合または炭素-ヘテロ原子二重結合は、シス、トランス、または両者の任意の比率の混合物であり得る。
【0125】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1種類以上の薬学的に許容され得る担体または賦形剤とともに製剤化された、治療有効量の本発明の化合物を含む。
【0126】
本明細書で使用されるように、用語「薬学的に許容され得る担体または賦形剤」は、無毒性で不活性な固形、半固形または液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料または任意の型の製剤化補助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体として働き得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;アルファ-(α)、ベータ-(β)およびガンマ-(γ)シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質無含有水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒性の適合性潤滑剤であり、加えて、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、矯味剤および香料剤、保存剤ならびに酸化防止剤もまた、製剤者の判断に従って組成物中に存在し得る。
【0127】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレーにより、局所、直腸、鼻腔内、口内、膣または埋め込みレザバーにより、好ましくは経口投与または注射による投与によって投与され得る。本発明の医薬組成物は、任意の従来の無毒性の薬学的に許容され得る担体、補助剤またはビヒクルを含有し得る。いくつかの場合において、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を増強させるため、薬学的に許容され得る酸、塩基またはバッファーで製剤のpHが調整され得る。本明細書で使用されるように、非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、槽内、鞘内、病変内および頭蓋内の注射または注入技術を含む。
【0128】
経口投与のための液体剤型としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加え、液体剤型は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、ラッカセイ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの当該技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含有し得る。不活性な希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味剤および香料剤などの補助剤を含み得る。
【0129】
注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の技術に従って製剤化され得る。また、滅菌注射用製剤は、無毒性の非経口に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液またはエマルジョン、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。許容され得るビヒクルおよび溶媒のうち、使用され得るものは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液である。また、滅菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として従前より使用されている。この目的のため、任意の無刺激固定油、例えば、合成モノ-またはジグリセリドが使用され得る。また、オレイン酸などの脂肪酸が注射用剤の調製に使用される。
【0130】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用前に、滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散され得る滅菌剤を滅菌固形組成物の形態で組み込むことによって滅菌され得る。
【0131】
薬物の効果を延長するため、しばしば、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の乏しい結晶性または非晶質物質の懸濁液の使用によって達成され得る。したがって、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これは、結晶サイズおよび結晶性形態に依存し得る。あるいは、非経口投与薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する薬物の比および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射用デポー製剤はまた、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を閉じ込めることにより調製される。
【0132】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、ココアバター、ポリエチレングリコールなどの適当な非刺激性賦形剤もしくは担体または常温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸もしくは膣腔で融解し、活性化合物を放出する坐剤用ワックスと本発明の化合物を混合することにより調製され得る坐剤である。
【0133】
経口投与用の固形剤型としては、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、および顆粒が挙げられる。かかる固形剤型において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容され得る賦形剤もしくは担体および/または:a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤および丸剤の場合、剤型は緩衝剤も含み得る。
【0134】
類似した型の固形組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールのような賦形剤を使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用され得る。
【0135】
腸溶性コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよび殻を用いて錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤および顆粒の固形剤型が調製され得る。これらは、任意に、不透明化剤を含有し得、また、活性成分(1種類または複数種)のみを、または優先的に、腸管の特定部分に任意に遅延様式で放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0136】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤型としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で薬学的に許容され得る担体および必要に応じて任意の必要とされる保存剤またはバッファーと混合される。眼科用製剤、点耳剤、眼用軟膏、粉末および溶液も、本発明の範囲内にあることが企図される。
【0137】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの賦形剤を含有し得る。
【0138】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物の他に、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーはさらに、クロロフルオロヒドロカーボンなどの通例のプロペラントを含み得る。
【0139】
経皮パッチは、体内への化合物の制御送達を提供するというさらなる利点を有する。かかる剤型は、化合物を適切な媒体に溶解または分散することにより作製することができる。また、吸収促進剤を使用して、皮膚に浸透する化合物の流入を高めることができる。速度制御膜を設けるかまたは化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させるかのいずれかにより速度を制御することができる。
【0140】
肺系送達のためには、本発明の治療組成物を、固体または液体粒状形態で製剤化し、直接投与、例えば呼吸器系への吸入によって患者に投与する。本発明を実施するために調製された活性化合物の固体または液体粒状形態は吸入可能な大きさの粒子:つまり、吸入時に口および咽頭を通過し、ならびに肺の気管支および肺胞に侵入するほど充分に小さいサイズの粒子を含む。エーロゾル化治療剤、特にエーロゾル化抗生物質の送達は当該技術分野に公知である(例えば、その全てが本明細書中で参照により援用される、VanDevanterらの米国特許第5,767,068号、Smithらの米国特許第5,508,269号、およびMontgomeryによるWO 98/43650参照)。抗生物質の肺系送達の記載は、参照により本明細書中に援用される米国特許第6,014,969号にも見られる。
【0141】
本発明の化合物の「治療有効量」は、任意の医学的治療に適用可能な妥当な利益/リスク比で、治療される被験体に治療効果を付与する化合物の量を意味する。治療効果は客観的であり得る(つまり、いくつかの試験またはマーカーにより測定可能)か、または主観的であり得る(つまり、被検体が効果の兆候を示すかまたは効果を感じる)。上述の化合物の有効量は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kg、好ましくは約1〜約50mg/Kgの範囲であり得る。有効用量は、投与経路および他の薬剤の併用の可能性によっても変化する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日当たりの全使用量は、適正な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解される。任意の特定の患者についての具体的な治療有効投与レベルは、治療される障害および障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;使用される具体的な化合物の投与時間、投与経路および排泄速度;治療期間;使用される具体的な化合物と併用されるかまたは同時に使用される薬物;ならびに医学分野に周知の同様の要素などの種々の要素に依存する。
【0142】
ヒトまたは他の動物に単回または分割投与で投与される本発明の化合物の1日当たりの全用量は、例えば0.01〜50mg/体重kgまたはより通常的には0.1〜25mg/体重kgの量であり得る。単回用量組成物はかかる量、または1日当たりの用量をなすかかる量の約数分量を含み得る。一般的に、本発明による治療養生法は、かかる治療が必要な患者に、単回または複数回投与で1日あたり約10mg〜約1000mgの本発明の化合物(1つまたは複数)の投与を含む。
【0143】
本明細書に記載される式の化合物は、例えば、静脈内、動脈内、皮下(subdermal)、腹腔内、筋肉内もしくは皮下(subcutaneous)の注射により;または経口、口内、鼻腔、経粘膜、局所、眼用製剤で、または吸入により、約0.1〜約500mg/体重kgの範囲の投薬量、あるいは1mg〜1000mg/投与の投薬量で、4〜120時間毎に、または特定の薬物の要件に従って投与され得る。本明細書における方法は、所望のまたは規定の効果を達成するための、有効量の化合物または化合物組成物の投与を企図する。典型的に、本発明の医薬組成物は、1日当たり約1〜約6回投与されるか、または代替的に連続点滴として投与される。かかる投与は慢性または急性治療法として使用され得る。単一剤型を作製するために医薬賦形剤または担体と合わされ得る活性成分の量は、治療される宿主および特定の投与形態に応じて変化する。典型的な製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含む。あるいは、かかる製剤は約20%〜約80%の活性化合物を含み得る。
【0144】
上述のものよりも低いかまたは高い用量が必要とされ得る。任意の特定の患者についての具体的な用量および治療養生法は、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物組合せ、疾患の重症度および経過、状態または症状、疾患に対する患者の素質、状態または症状、ならびに治療する医師の判断などの種々の要素に依存する。
【0145】
患者の状態の改善の際に、必要に応じて本発明の化合物、組成物または組合せの維持用量を投与してもよい。その後、症状が所望のレベルまで改善された場合には、改善された状態が維持されるレベルまで、症状に応じて投与の用量もしくは頻度、またはその両方を減らしてもよい。しかしながら、患者は、疾患症状の任意の再発時には長期ベースで間欠的な治療を必要とし得る。
【0146】
合成方法
本発明の化合物および方法は、本発明の化合物が調製され得る方法を示す以下の合成スキームおよび実施例に関連して良好に理解されるが、これらは単なる例示として意図され、本発明の範囲を限定しない。
【0147】
中心的な中間体の合成のための一般的な方法
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【実施例】
【0148】
中間体の合成
1) 1-クロロ-2-ヨード-4-ニトロベンゼン(化合物1-3)の調製
2-クロロ-5-ニトロアニリン(40g、232.0mmol)を、機械的に撹拌しながら濃硫酸(32mL)の水溶液(320mL)に添加した。該溶液を-5℃に冷却して、硝酸ナトリウム(18.2g、0.26mol)の水溶液(69mL)をゆっくり添加した。混合物を氷浴中で0.5時間撹拌し、次いでヨウ化カリウム(69.3g、0.41mol)の水溶液(277mL)を、内部温度を5℃未満に維持しながら滴下した。溶液を0℃で3時間撹拌した後、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和Na2S2O3で洗浄して、Na2SO4で乾燥させて濃縮した。残渣をiPrOH/ヘキサン(300mL/100mL)から再結晶化して、化合物1-3を、淡黄褐色結晶固体として得た(38g、58%収率)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.61 (d, J=8.8 Hz, 1H), 8.16 (dd, J=8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 8.70 (d, J=2.8 Hz, 1H).
【0149】
2) 4-クロロ-3-ヨードアニリン(化合物1-4)の調製
EtOH/H2O(200mL/100mL)中の化合物1-3(37g、0.13mol)、鉄粉末(29.3g、0.52mol)およびNH4Cl(7g、0.13mol)の混合物を75℃で3時間撹拌した。反応混合物をろ過して濃縮し、大部分のEtOHを除去した。残りの混合物を酢酸エチルで抽出し、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濃縮後、表題の化合物1-4を黄色固体として得た(32g、97%収率)。LCMS: m/z 254.0 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.65 (br, 2H), 6.58 (dd, J=8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.15-7.17 (m, 2H).
【0150】
3) 4-クロロ-3-(4,4,5,5,-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(化合物1-5)の調製
1,4-ジオキサン(60mL)中の化合物1-4(10g、39.5mmol)、4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(20.0g、79.0mmol)、KOAc(11.6g、118.5mmol)およびPdCl2(dppf)(960mg、1mmol)の混合物を、N2下、105℃で8時間撹拌した。真空下で反応混合物を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン:3/1〜1/1)で精製し、化合物1-5を淡黄色固体として得た(6.0g、60%収率)。LCMS: m/z 295.1 [M+42]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.36 (s, 12H), 3.61 (br, 2H), 6.65 (dd, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.00 (d, J=2.8 Hz, 1H), 7.11 (d, J=8.8 Hz, 1H).
【0151】
4) 4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)アニリン(化合物1-8)の調製
1,4-ジオキサン/水(20mL/10mL)中の化合物1-5(1.50g、5.9mmol)、2-ブロモピリジン(1.87g、11.8mmol)、重炭酸ナトリウム(1.49g、17.8mmol)、PdCl2(Ph3P)2(100mg、0.09mmol)の混合物を110℃で一晩加熱した。室温に冷却後、混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:3/1)で精製し、化合物1-8を黄色固体として得た(1.38g、約100%)。LCMS: m/z 205.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 5.32 (s, 2H), 6.61 (dd, J=8.4 Hz, 2.8 Hz, 1H), 6.77 (d, J=2.8 Hz, 1H), 7.14 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.35-7.39 (m, 1H), 7.57 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.83-7.87 (m, 1H), 8.63-8.65 (m, 1H)。
【0152】
5) 2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-4-(メチルスルホニル)ベンズアミド(化合物1-9)の調製
ジクロロメタン(20mL)中の化合物1-5(1g、3.9mmol)、2-クロロ-4-(メチルスルホニル)安息香酸(1.1g、4.7mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1g、7.8mmol)およびO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(2.6g、7.8mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、ろ過した。固体を回収して真空下で乾燥させ、化合物1-9を白色固体として得た(1.2g、65%収率)。LCMS: m/z 470.1 [M+1]+. 1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.32 (s, 12H), 3.35 (s, 3H), 7.43 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.81 (dd, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.89 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.98-8.01 (m, 2H), 8.12 (d, J=1.6 Hz, 1H), 10.82 (s, 1H).
【0153】
6) 2-クロロ-5-ニトロ-N-(2-ニトロフェニル)ベンズアミド(化合物2-2)の調製
2-ニトロアニリン(5.0g、0.036mol)のCH3CN溶液(50mL)に、2-クロロ-5-ニトロベンゾイルクロライド(8.0g、0.037mol)のCH3CN溶液(10mL)を、内部温度を25℃未満に維持しながらN2下で滴下した。添加の完了時に、反応混合物を75℃で1時間加熱した。混合物を0℃に冷却してろ過した。固体を、冷CH3CNですすいで2-2を淡黄色固体として得た(5.3g、50%)。
【0154】
7) 3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-4-クロロアニリン(化合物2-3)の調製
化合物2-2(5.3g、0.017mol)をEtOH(100mL)に入れ、40℃に加熱した。内部温度が40℃に達したところで、第1のアリコートのSnCl2/HCl(各3回、3部に分割)を添加した。反応混合物を60℃に加熱して、第2のアリコートのSnCl2/HClを添加した。反応混合物を80℃に加熱して、第3のアリコートSnCl2/HClを添加して、2時間還流を続けた。反応混合物を0℃に冷却して、NaOH(1N水溶液)を10℃未満で添加して、pHを12〜13に調整した。混合物をEAおよび水で希釈した。有機層をブラインで洗浄して濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、ジクロロメタン/メタノール(60:1)で溶出して化合物2-3を黄色固体として得た(2.7g、68%収率)。LCMS: m/z 244.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 5.48 (s, 2H), 6.71 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.21-7.24 (m, 3H), 7.57 (br, 1H), 7.64 (br, 1H), 12.52 (s , 1H).
【0155】
実施例1:(E)-2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(5-(3-(ヒドロキシアミノ)-3-オキソプロプ-1-エニル)ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(メチルスルホニル)ベンズアミド(化合物1)の調製
工程1a. (E)-メチル 3-(6-ブロモピリジン-3-イル)アクリレート(化合物1001-1)
ジクロロメタン(10mL)中の6-ブロモニコチンアルデヒド(500mg、2.7mmol)およびメチル(トリフェニルホスホルアニリデン)(1g、3.2mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、ろ過した。固体をヘキサンで洗浄し、粗製の化合物1001-1を白色固体として得た(1.5g)。
【0156】
工程1b. (E)-メチル-3-(6-(2-クロロ-5-(2-クロロ-4-(メチルスルホニル)ベンズアミド)フェニル)ピリジン-3-イル)アクリレート(1002-1)
1,4-ジオキサン(6mL)およびNaHCO3水溶液(2mL)中の1001(121mg、0.5mmol)、1-9(200mg、0.4mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(30mg)の混合物を、N2下、110℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン:1/20)で精製し、化合物1002を淡黄色固体として得た(160mg、74%収率)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.09 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 6.57 (d, J=16.0 Hz, 1H), 7.44-7.48 (m, 1H), 7.52-7.55 (m, 1H), 7.62-7.67 (m, 1H), 7.73 (d, J=16.0 Hz, 1H), 7.80 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.81-7.86 (m, 2H), 7.89 (s, 1H), 7.89-7.95 (m, 2H), 8.03 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.80 (d, J=2.0 Hz, 1H).
【0157】
工程1c. (E)-2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(5-(3-(ヒドロキシアミノ)-3-オキソプロプ-1-エニル)ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(メチルスルホニル)ベンズアミド(化合物1)
MeOH(400mL)中のNH2OH.HCl(80g、1.15mol)の混合物を撹拌しながら60〜65℃で加熱して、透明な溶液を生成した。還流でさらに1時間後、これを0〜10℃に冷却した。反応混合物に、MeOH(237mL)中のKOH(96g、純度>85%)の予め生成した溶液(メタノールに0〜10℃でKOHを滴下して調製)を、内部温度を<10℃に維持しながら滴下した。得られた混合物を0〜10℃で30分間撹拌し続けた。無水Na2SO4(700g)を予め充填した(1L)圧力一定滴下漏斗に懸濁液を注ぎ、0.5時間静置した。透明の濾液を、NH2OHメタノール溶液として回収した。
【0158】
NH2OHメタノール溶液(5mL、1.79M)中の1002(150mg、0.3mmol)の混合物を、室温で3〜4時間撹拌した。反応混合物を、1.2M HClでpH6〜7に調整して濃縮した。残渣を、水で粉砕し、ろ過し、真空下で乾燥させ、化合物1をオフホワイトの固体として得た(90mg、60%収率)。M.p: 185〜187℃. LCMS: m/z 506.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.35 (s, 3H), 6.65 (d, J=16.0 Hz, 1H), 7.55-7.61 (m, 2H), 7.74-7.78 (m, 2H), 7.91 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.01 (d, J=8.4 Hz, 1H), 8.06 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.11-8.13 (m, 2H), 8.90 (s, 1H), 10.90 (br, 1H), 10.96 (s, 1H).
【0159】
実施例2:6-(2-クロロ-5-(2-クロロ-4-(メチルスルホニル)ベンズアミド)フェニル)-N-ヒドロキシニコチンアミド(化合物5)の調製
工程2a. メチル6-ブロモニコチネート(化合物1001-5)
ジクロロメタン(10mL)およびTHF(5mL)中の6-ブロモニコチン酸(500mg、2.5mmol)の溶液に塩化オキサリル(1.4mL、0.016mol)を添加して、次いでDMFを一滴添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒の除去後、残渣を無水メタノール(5mL)に溶解し、10分間撹拌し続けた。反応混合物を氷水でクエンチし、ろ過して1001-5を淡黄色固体として得た(212mg、40%)。LCMS:m/z 213.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.96 (s, 3H), 7.42 (d, J=8.4 Hz, 1H), 8.25 (dd, J=8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 9.00 (d, J=2.0 Hz, 1H).
【0160】
工程2b. メチル6-(2-クロロ-5-(2-クロロ-4-(メチルスルホニル)ベンズアミド)フェニル)ニコチネート(化合物1002-5)
飽和NaHCO3(2mL)および1,4-ジオキサン(6mL)中の化合物1001-5(200mg、0.9mmol)、1-9(367mg、0.8mmol)およびPd(PPh3)4(21mg、0.018mmol)の混合物を100℃で3時間撹拌した。反応混合物にNaOH(37mg、0.9mmol)を添加して、0.5時間撹拌した。1.2M HClで反応混合物をpH6に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この反応条件中にメチルエステルを加水分解して、得られた粗製の酸生成物(365mg)(LCMS: m/z 465.1 [M+1]+)をさらに精製せずに次の工程に使用した。MeOH(15mL)およびH2SO4(0.25mL)中の粗製酸生成物の混合物(365mg、0.8mmol)を85℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。残渣を水と酢酸エチルに分離した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:20/1)で精製して、1002-5を白色固体として得た(176mg、2工程で39%収率)。LCMS: m/z 479.1 [M+1]+. 1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ 3.07 (s, 3H), 3.99 (s, 3H), 7.52 (d, J=8.8Hz,lH), 7.81-7.86 (m, 4H), 7.88 (dd, J=8.8 Hz, 2.8Hz, 1H), 7.97 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.37 (dd, J=8.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 8.62 (s, 1H), 9.17 (d, J=1.2Hz, 1H).
【0161】
工程2c. 6-(2-クロロ-5-(2-クロロ-4-(メチルスルホニル)ベンズアミド)フェニル)-N-ヒドロキシニコチンアミド(化合物5)
NH2OHメタノール溶液(5mL、1.79M)中の1002-5(176mg、0.4mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。1.2M HClで反応混合物をpH6〜7に調整した。反応混合物をろ過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物5をオフホワイトの固体として得た(120mg、70%収率)。M.p.: 190〜193℃. LCMS: m/z 480.2 [M+1]+. HNMR: (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.35 (s, 3H), δ 7.61 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.76 (dd, J=8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.82 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.91 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.01 (dd, J=8.0Hz, 1.6Hz, 1H), 8.05 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.13 (d, J=1.6 Hz, 1H), 8.22 (dd, J=8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 9.02 (d, J=1.6 Hz, 1H), 9.28 (s, 1H), 10.96 (s, 1H), 11.48 (s, 1H).
【0162】
実施例3:2-[2-クロロ-5-(2-クロロ-4-メタンスルホニル-ベンゾイルアミノ)-フェニル]-ピリミジン-5-カルボン酸ヒドロキシアミド(化合物7)の調製
工程3a. 2-クロロ-ピリミジン-5-カルボン酸メチルエステル(化合物1001-7)
無水1,2-ジメトキシエタン(300mL)中のNaH(27g、鉱物油中60%、0.675mol)の混合物を40〜50℃に加熱した。メチル3,3-ジメトキシプロピオネート(100g、0.675mol)を滴下した。得られた混合物を0.5時間撹拌して、無水メチルホルメート(81g、1.35mol)を40〜50℃で滴下した。得られた混合物を40〜50℃(内部温度)で2時間撹拌して、その後0℃に冷却した。反応混合物を25℃までゆっくり温めて一晩撹拌した。Et2O(150mL)を添加して、30分撹拌した。得られた懸濁物をろ過した。固体をEt2O(100mL)で洗浄し、回収して、乾燥させて、ナトリウム(Z)-2-(ジメトキシメチル)-3-メトキシ-3-オキシプロプ-1-エン-1-オレートをオフホワイトの固体として得た(82g、61%)。LCMS: m/z 130.8 [M+1]+. 1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ 3.36 (s, 6H), 3.60 (s, 3H), 5.34 (s, 1H), 8.92 (s, 1H).
【0163】
DMF(300mL)中の塩酸グアニジン(42.2g、0.44mol)の混合物に上述のオフホワイトの固体(80g、0.40mol)を添加した。得られた混合物を100℃で1時間加熱した。反応混合物をろ過して、その後冷却した。ろ過ケーキを50mLのDMFで洗浄し、合わせたろ液を濃縮して、残った残渣を冷EtOHに懸濁し、冷EtOH(50mL)で洗浄し、中間体2-アミノ-ピリミジン-5-カルボン酸メチルエステルを黄色固体として得た(38g、61.5%)。LCMS: m/z 154.2 [M+1]+, 195.1 [M+42]+. 1HNMR (400 MHz, CD3OD): δ 3.88 (s, 3H), 8.77 (s, 2H).
【0164】
上述の中間体(7g、0.046mol)を濃塩酸(15.2mL)およびCH2Cl2(60mL)の混合物に添加した。冷却後、ZnCl2(18.6g、0.138mol)を15〜20℃で添加した。混合物を15〜20℃で0.5時間撹拌して、5〜10℃に冷却した。内部温度を5〜10℃に維持したままNaNO2(9.5g、0.138mol)を滴下した。反応を約2時間続けた。反応混合物を氷水(50mL)に注いだ。有機層を分離し、水層をCH2Cl2(30mLx2)で抽出した。合わせた有機抽出物を濃縮して粗生成物を得た(4.2g)。粗製化合物をヘキサン(20mL)に懸濁し、60℃で30分間加熱し、ろ過した。ろ液を濃縮して、表題の化合物1001-7(3.5g、44.4%)をオフホワイトの固体として得た。LCMS: m/z 214.1 [M+42]+. 1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ 4.00 (s, 3H), 9.15 (s, 2H).
【0165】
工程3b. 2-[2-クロロ-5-(2-クロロ-4-メタンスルホニル-ベンゾイルアミノ)-フェニル]-ピリミジン-5-カルボン酸メチルエステル(化合物1002-7)
飽和NaHCO3(2mL)およびDMSO(6mL)中の1001-7(200mg、1.1mmol)、1-9(756mg、1.6mmol)およびPd(PPh3)4(60mg、0.05mmol)の混合物を100℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、NaOH(43mg、1.1mmol)を反応溶液に添加して、0.5時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した。1.2M HClで水層をpH6に調整し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、さらに精製せずに粗製の酸(300mg)を得た。
【0166】
MeOH(15mL)およびH2SO4(0.25mL)中の粗製の酸(300mg)の混合物を85℃で1時間撹拌した。溶媒の除去後、残渣を水と酢酸エチルに分離した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:1/1)で精製し、化合物1002-7を白色固体として得た(160mg、2工程で78%収率)。LCMS: m/z 480.2[M+1]+. 1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δ 3.36 (s, 3H), 3.96 (s, 3H), 7.65 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.81 (dd, J=8.8 Hz, J=2.4 Hz, 1H), 7.93 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.02 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 8.14 (d, J=1.2Hz, 1H), 8.30 (d, J=2.4 Hz, 1H), 9.40 (s, 2H), 11.02 (s, 1H).
【0167】
工程3c. 2-[2-クロロ-5-(2-クロロ-4-メタンスルホニル-ベンゾイルアミノ)-フェニル]-ピリミジン-5-カルボン酸ヒドロキシアミド(化合物7)
NH2OHメタノール溶液(5mL、1.79M)中の化合物1002-7(160mg、0.3mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。1.2M HClで反応混合物をpH6〜7に調整し、濃縮した。残渣を水で粉砕し、ろ過した。粗生成物を分取HPLCで精製して、化合物7をオフホワイトの固体として得た(28mg、18%収率)。M.p.: 170〜172℃. LCMS: m/z 481.1 [M+1]+. 1H NMR: (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.35 (s, 3H), 7.63 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.79 (dd, J=8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.93 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.01 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 8.14 (d, J=1.6Hz, 1H), 8.26 (d, J=2.4 Hz, 1H), 9.23 (s, 2H), 11.01 (s, 1H).
【0168】
実施例4:2-クロロ-N-{4-クロロ-3-[5-(6-ヒドロキシカルバモイル-ヘキシルオキシ)-ピリジン-2-イル]-フェニル}-4-メタンスルホニル-ベンズアミド(化合物23)
工程4a. 6-ブロモ-ピリジン-3-オール(化合物2002)
3-アミノ-6-ブロモピリジン(1g、5.8mmol)をHBF4(3.6mL、40%水溶液)および水(3mL)に溶解した。氷浴下で冷却した褐色溶液にNaNO2(441mg、6.4mmol)水溶液(3mL)を滴下した。得られた混合物をこの温度で1時間撹拌した。水(3mL)の添加後、混合物を100℃で3.5時間撹拌した。反応混合物をNaHCO3水溶液(5%)で中和して、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄して、無水Na2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:9/1)で精製して、化合物2002を白色固体として得た(270mg、27%収率)。LCMS: m/z 174.0 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 6.65 (br, 1H), 7.13 (dd, J=8.4 Hz, 3.2 Hz, 1H), 7.36 (d, J=8.4 Hz, 1H), 8.03 (d, J=3.2 Hz, 1H).
【0169】
工程4b. 7-(ピリジン-3-イルオキシ)-ヘプタン酸エチルエステル(化合物2003-23)
DMF(10mL)中の2002(270mg、1.5mmol)、エチル7-ブロモヘプタノエート(736mg、3.1mmol)およびK2CO3(430mg、3.1mmol)の混合物を75℃で1時間撹拌した。溶液を水と酢酸エチルに分離した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:20/1)で精製して、化合物2003-23を白色固体として得た(440mg、86%収率)。LCMS: m/z 330.1 [M+1]+. 1H NMR: (400 MHz, CDCl3): δ 1.25 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.36-1.52 (m, 4H), 1.62-1.68 (m, 2H), 1.76-1.83 (m, 2H), 2.31 (t, J=7.2 Hz, 2H), 3.97 (t, J=6.4 Hz, 2H), 4.13 (q, J=7.2 Hz, 2H), 7.08 (dd, J=8.8 Hz, 3.2 Hz, 1H), 7.35 (d, J=8.8 Hz, 1H), 8.04 (d, J=2.8 Hz, 1H).
【0170】
工程4c. 7-{6-[2-クロロ-5-(2-クロロ-4-メタンスルホニル-ベンゾイルアミノ)-フェニル]-ピリジン-3-イルオキシ}-ヘプタン酸エチルエステル(化合物2004-23)
飽和NaHCO3(2mL)および1,4-ジオキサン(6mL)中の2003-23(168mg、0.51mmol)、1-9(200mg、0.43mmol)およびPd(PPh3)4(24.6mg、0.03mmol)の混合物を100℃で3時間撹拌した。溶液を水と酢酸エチルに分離した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:100/1)で精製し、2004-23を白色固体として得た(130mg、43%収率)。LCMS: m/z 593.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.26 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.37-1.54 (m, 4H), 1.63-1.71 (m, 2H), 1.78-1.85 (m, 2H), 2.32 (t, J=7.2 Hz, 2H), 3.00 (s, 3H), 3.98 (t, J=6.4 Hz, 2H), 4.12 (q, J=7.2 Hz, 2H), 7.19 (dd, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.58 (d, J=1.2 Hz, 1H), 7.61 (d, J=1.2Hz, 1H), 7.63 (d, J=1.6Hz, 1H), 7.69 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.73 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.86 (d, J=1.6 Hz, 1H), 8.02 (dd, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 8.05 (d, J=2.8 Hz, 1H), 9.88 (s, 1H).
【0171】
工程4d. 2-クロロ-N-{4-クロロ-3-[5-(6-ヒドロキシカルバモイル-ヘキシルオキシ)-ピリジン-2-イル]-フェニル}-4-メタンスルホニル-ベンズアミド(化合物23)
NH2OHメタノール溶液(5mL、1.79M)中の2004-23(130mg、0.22mmol)の混合物を室温で1時間撹拌した。1.2M HClで反応混合物をpH6〜7に調整した。得られた混合物をろ過した。回収した固体を分取HPLCで精製して、化合物23を白色固体として得た(27mg、21%収率)。M.p.: 140〜145℃. LCMS: m/z 580.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.29-1.35 (m, 2H), 1.40-1.47 (m, 2H), 1.49-1.56 (m, 2H), 1.72-1.78 (m, 2H), 1.96 (t, J=7.2 Hz, 2H), 3.35 (s, 3H), 4.10 (t, J=6.4 Hz, 2H), 7.50 (dd, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.55 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.64 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.70 (dd, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.91 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.99-8.02 (m, 2H), 8.13 (d, J=1.6Hz, 1H), 8.40 (d, J=2.8 Hz, 1H), 8.66 (s, 1H), 10.34(s, 1H), 10.90 (s, 1H).
【0172】
実施例5: 2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(N-(7-(ヒドロキシアミノ)-7-オキソヘプチル)スルファモイル)ベンズアミド(化合物59)
工程5a. 4-アミノ-2-クロロ安息香酸(化合物3002)
EtOH/水(50/50mL)中の2-クロロ-4-ニトロ安息香酸(5.0g、24.8mmol)、鉄粉末(8.0g、142.9mmol)およびNH4Cl(7.6g、142.9mmol)の混合物を還流で2時間加熱した。熱い混合物を、セライトを通してろ過し、酢酸エチルで洗浄した。混合物を分離し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:5/1、3/1、1/1)で精製して、化合物3002を白色固体として得た(1.0g、24%収率)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 6.04 (s, 2H), 6.49 (dd, J=8.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.61 (d, J=2.0 Hz, 1H), 6.63 (d, J=8.8 Hz, 1H), 12.21 (br, 1H).
【0173】
工程5b. 2-クロロ-4-(クロロスルホニル)安息香酸(化合物3003)
HOAc(20mL)中の3002(1.00g、5.4mmol)の溶液に、濃HCl(5mL)を0℃で添加した。15分後、NaNO2水溶液(水4.5mL中1.10g、16.2mmol)を-5〜-10℃で滴下して、45分間、この温度で撹拌し続けた。上述の反応混合物を、酢酸(40mL)中の塩化第一銅(0.14g、1.4mmol)および二酸化硫黄に0℃で滴下した。添加の完了後、得られた混合物を10℃に温め、30分間撹拌した。反応混合物を氷水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:100/2、100/5、100/10)で精製して、化合物3003をオフホワイトの固体として得た(500mg、34%収率)。
【0174】
工程5c. 2-クロロ-4-(N-(7-エトキシ-7-オキソヘプチル)スルファモイル)安息香酸(化合物3004-59)
ジクロロメタン(80mL)中の塩酸エチル7-アミノヘプタノエート (777mg、3.7mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.0g、31.2mmol)の混合物に化合物3003(1.0g、3.9mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。2M HClで反応混合物をpH6〜7に調整し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:100/2、100/5、100/10)で精製して、化合物3004-59を白色固体として得た(520mg、44%収率)。LCMS: m/z 392.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ1.25-1.33 (m, 7H), 1.44-1.62 (m, 4H), 2.28 (t, J=7.2 Hz, 2H), 2.98-3.02 (m, 2H), 4.13 (q, J=7.2Hz, 2H), 5.07 (t, J=5.6 Hz, 1H), 7.82 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 8.08 (d, J=8.0Hz, 1H).
【0175】
工程5d. エチル7-(3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)ヘプタノエート(3005-59)
ジクロロメタン中の3004-59(520mg、1.3mmol)、塩化オキサリル(1.59g、12.5mmol)およびDMF(0.05mL)の混合物を室温で2時間撹拌した。蒸発後、残渣をジクロロメタンに溶解し、化合物1-8(244mg、1.2mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(325mg、2.5mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:5/1、3/1、1/1)で精製し、化合物3005-59を白色固体として得た(250mg、33%収率)。LCMS: m/z 578.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.13-1.22 (m, 7H), 1.38-1.49 (m, 4H), 2.22-2.27 (m, 2H), 2.76 (t, J=6.8Hz, 2H), 4.03 (q, J=6.8 Hz, 2H), 7.44-7.47 (m, 1H), 7.59 (dd, J=8.4 Hz, 3.2 Hz, 1H), 7.69 (d, J=7.6Hz, 1H), 7.74-7.79 (m, 1H), 7.85 (s, 2H), 7.91-7.95 (m, 3H), 8.02 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.71 (d, J=4.8 Hz, 1H), 10.93 (s, 1H).
【0176】
工程5e. 2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(N-(7-(ヒドロキシアミノ)-7-オキソヘプチル)スルファモイル)ベンズアミド(化合物59)
NH2OHメタノール溶液(10mL、1.79M)中の3005-59(150mg、0.2mmol)の混合物を室温で2.5時間撹拌した。TLCは、反応の完了を示した。2M HClで反応混合物をpH5〜6に調整し、濃縮した。残渣を水で粉砕してろ過し、分取HPLCで精製して、化合物59を白色固体として得た(46mg、32%)。M.p.: 158.7〜159.3℃. LCMS: m/z 565.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.14-1.23 (m, 2H), 1.36-1.46 (m, 4H), 1.91 (t, J=7.2 Hz, 2H), 2.77 (q, J=6.4Hz, 2H), 3.40-3.47 (m, 2H), 7.44-7.47 (m, 1H), 7.58 (d, J=8.8H, 1H), 7.69 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.75 (dd, J=8.4Hz, 2.4Hz, 1H), 7.83-7.85 (m, 3H), 7.91-7.95 (m, 2H), 8.02 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.71 (d, J=4.8 Hz, 1H), 10.32 (s, 1H), 10.89 (s, 1H).
【0177】
実施例6:2-{4-[2-クロロ-4-(4-クロロ-3-ピリジン-2-イル-フェニルカルバモイル)-ベンゼンスルホニル]-ピペラジン-1-イル}-ピリミジン-5-カルボン酸ヒドロキシアミド(化合物86)
工程6a. (Z)-エチル-2-(エトキシメチル)-3-メトキシアクリレート(化合物4002)
ナトリウム(27.6g、1.2mol)をヘキサン(400mL)およびエタノール(27g、1.17mol)に、室温で滴下した。混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、エチル3-エトキシプロパノエート(88.0g、602mmol)を0℃で滴下して、次いでエチルホルメート(90g、1.22mol)を滴下した。反応混合物を0℃で2時間撹拌して、硫酸ジメチル(160g、1.27mol)を同温度で滴下した。得られた混合物を50℃で一晩加熱し、ろ過し、ヘキサン(300〜500mL)で洗浄した。合わせた濾過物にトリエチルアンモニウムクロライド(80g、0.58mol)および水酸化ナトリウム(14.00g、0.35mol)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌して、ろ過した。ろ過物を水で洗浄し、Na2SO4で洗浄して濃縮した。残渣を蒸留により精製して、所望の化合物4002(63.5g、56%)を無色油状物として得た。LCMS: m/z 211 [M+23]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.20 (t, J= 7.2 Hz, 3H), 1.28 (t, J= 7.2 Hz, 3H), 3.50 (q, J= 7.2 Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 4.20 (m, 4H), 7.45 (s, 1H).
【0178】
工程6b. エチル2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物4003)
エタノール(300mL)中の化合物4002(63.5g、337mmol)、尿素(18.7g、312mmol)および濃塩酸(16mL)の混合物を還流で一晩加熱した。大部分のエタノール(約250mL)が蒸発した後、得られた懸濁物をろ過して、少量のエタノールで洗浄して、乾燥させ、化合物4003(23.5g、44%)を白色固体として得た。LCMS: m/z 171 [M+1]+ . 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.27 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 4.19 (m, 4H), 5.28 (s, 1H), 7.21 (d, J= 5.6 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H).
【0179】
工程6c. エチル2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物4004)
酢酸(300mL)中の化合物4003(23.5g、138mmol)の溶液に臭素(22.7g、142mmol)を添加した。混合物を還流で3時間加熱して真空下で濃縮し、粗製化合物4004の臭化水素塩を黄色固体として得た。生成物をさらに精製せずに、次の工程に直接使用した。LCMS: m/z 169 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.27 (t, J= 7.2 Hz, 3H), 4.28 (q, J= 7.2 Hz, 2H), 8.85 (s, 2H), 12.19 (br, s, 2H).
【0180】
工程6d. エチル2-クロロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物4005)
粗製化合物4004およびホスホリルトリクロライド(300mL)の混合物を還流で3時間加熱し、室温に冷却して濃縮した。残渣を室温に冷却し、酢酸エチル(500mL)に溶解した。EtOAc溶液を氷水(300mL)で注意深く処理し、氷水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン:10%で溶出)で精製して、化合物4005(14g、54%、二工程)を白色固体として得た。LCMS: m/z 187 [M+1]+. 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 1.42 (t, J= 7.5 Hz, 3H), 4.48 (q, J= 7.5 Hz, 2H), 9.15 (s, 2H).
【0181】
工程6e. エチル2-(ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物4006)
CH2Cl2(10mL)中のtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(1.1g、5.9mmol)および4005(1g、5.4mmol)、Et3N(1.1g、10.8mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をH2Oで洗浄した。有機層を濃縮した。残渣を、ヘキサン/EtOAc=250:10、次いで250:20で溶出するクロマトグラフィーで精製し、化合物エチル2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(900mg、45.4%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.37 (t, 3H, J=6.8Hz), 1.49 (s, 9H), 3.51 (t, 4H, J=4.8Hz), 3.92 (t, 4H, J=5.2Hz), 4.35 (q, 2H, J=7.2 Hz), 8.85 (s, 2H).
【0182】
上述の生成物(500mg、1.49mmol)およびHCl/ジオキサン(10mL)の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。残渣をEtOAcと飽和NaHCO3水溶液で分離した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、表題の化合物4006を白色固体として得た(370mg、88.2%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.39 (t, 3H, J=6.8Hz), 2.96 (t, 4H, J=4.8Hz), 3.95 (t, 4H, J=5.2Hz), 4.36 (q, 2H, J=7.2 Hz), 8.86 (s, 2H).
【0183】
工程6f. 2-[4-(4-カルボキシ-3-クロロ-ベンゼンスルホニル)-ピペラジン-1-イル]-ピリミジン-5-カルボン酸メチルエステル(化合物4007)
ジクロロメタン(dicholoromethane)(80mL)中の4006(1.04g、4.7mmol)およびDIPEA(4.0g、31.2mmol)の混合物に、化合物3003(1.0g、3.9mmol)を添加した。混合液を室温で一晩撹拌した。2M HClで反応混合物をpH6〜7に調整し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(メタン/ジクロロメタン:1/20)で精製して、化合物4007を白色固体として得た(520mg、30%収率)。LCMS: m/z 455.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.27 (t, J=7.2 Hz, 3H), 3.08 (br, 4H), 3.96 (br, 4H), 4.25 (q, J=7.2 Hz, 2H), 7.72 (dd, J=8.0Hz, 1.6Hz, 1H), 7.78 (d, J=1.2Hz, 1H), 7.87 (d, J=8.0Hz, 1H), 8.76 (s, 2H).
【0184】
工程6g. 2-{4-[2-クロロ-4-(4-クロロ-3-ピリジン-2-イル-フェニルカルバモイル)-ベンゼンスルホニル]-ピペラジン-1-イル}-ピリミジン-5-カルボン酸メチルエステル(化合物4008)
ジクロロメタン(10mL)中の4007(500mg、1.1mmol)、塩化オキサリル(1.59g、12.5mmol)およびDMF(0.05mL)の混合物を、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、残渣をジクロロメタン(15mL)に溶解した。化合物1-8(278mg、1.2mmol)およびDIPEA(325mg、2.5mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン:1/20)で精製し、化合物4008を白色固体として得た(180mg、25%収率)。LCMS: m/z 641.2[M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.28 (t, J=7.2Hz, 3H), 3.11 (br, 4H), 3.99 (br, 4H), 4.26 (q, J=7.2Hz, 2H), 7.43-7.46 (m, 1H), 7.58 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.69 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.72 (dd, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.83 (dd, J=8.0Hz, 1.2Hz, 1H), 7.88-7.91 (m, 2H), 7.93 (dd, J=8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 7.99 (d, J=2.8 Hz, 1H), 8.71 (d, J=4.4 Hz, 1H), 8.78 (s, 2H), 10.84 (s, 1H).
【0185】
工程6h. 2-{4-[2-クロロ-4-(4-クロロ-3-ピリジン-2-イル-フェニルカルバモイル)-ベンゼンスルホニル]-ピペラジン-1-イル}-ピリミジン-5-カルボン酸ヒドロキシアミド(化合物86)
4008(180mg、0.3mmol)およびNH2OH(15mL、1.79M)メタノール溶液の混合物を室温で2.5時間撹拌した。2M HClで反応混合物をpH5〜6に調整し、蒸発させた。得られた混合物をろ過した。粗生成物を分取HPLCで精製して、化合物86を白色固体として得た(50mg、26%収率)。M.p.: 158.7〜159.3℃ LCMS: m/z 628.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.09 (br, 4H), 3.93 (br, 4H), 7.43-7.46 (m, 1H), 7.58 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.69-7.73 (m, 2H), 7.83 (dd, J=8.0Hz, 1.2Hz, 1H), 7.87-7.90 (m, 2H), 7.93 (dd, J=7.6 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.99 (d, J=2.4Hz, 1H), 8.66 (s, 2H), 8.70 (d, J=4.0Hz, 1H), 9.02 (s, 1H), 10.84 (s, 1H), 11.09 (s, 1H).
【0186】
実施例7: N-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル)-3-(7-(ヒドロキシアミノ)-7-オキソヘプチルオキシ)ベンズアミド(化合物111)
工程7a. 3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルアセテート(化合物5001-111)
3-アセトキシ安息香酸(2.6g、0.015mol)をジクロロメタン(30mL)中の化合物2-3(3.5g、0.012mol)、HATU(6.9g、0.018mol)およびEt3N(2.5mL、0.018mol)の混合物に添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:1/1)で精製して、化合物5001-111を白色固体として得た(2.6g、49%収率)。LCMS: m/z 449.2 [M+1]+.
【0187】
工程7b. N-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル)-3-ヒドロキシベンズアミド(化合物5002-111)
化合物5001-111(1.0g、0.002mol)のMeOH溶液(15mL)に、H2O(15mL)中のNaOH(0.89g、0.02mol)の溶液を添加した。反応混合物を還流で一晩加熱した。氷浴で冷却後、1M HClで混合物をpH7〜8に調整し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させ、粗製化合物5002-111を黄色固体として得た(0.81g、100%収率)。LCMS: m/z 407.2 [M+1]+.
【0188】
工程7c. エチル-7-(3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)フェノキシ)ヘプタノエート(化合物5003-111)
無水THF(20mL)中の化合物5002-111(1.40g、0.0034mol)、エチル7-ヒドロキシヘプタノエート(0.89g、0.0052mol)およびPPh3(1.8g、0.0069mol)の混合物に、DIAD(1.39g、0.0069mol)を、窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた溶液を65℃で一晩加熱した。室温に冷却後、反応混合物を真空下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル:1:1)で精製して、化合物5003-111を白色固体として得た(0.9g、47%収率)。LCMS: m/z 563.3 [M+1]+.
【0189】
工程7d. N-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル)-3-(7-(ヒドロキシアミノ)-7-オキソヘプチルオキシ)ベンズアミド(化合物111)
化合物5003-111(120mg、0.21mmol)をNH2OHメタノール溶液(10mL、1.79M)に入れた。混合物を室温で40分間撹拌した。反応混合物を酢酸でpH8〜9に調整し、真空下で濃縮した。残渣を分取HPLCで精製して、化合物111を白色固体として得た(30mg、26%収率)。M.p: 140〜142℃. LCMS: m/z 550.3 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.28-1.35 (m, 2H),1.40-1.56 (m, 4H), 1.72-1.76 (m, 2H), 1.96 (t, J=3.2 Hz, 2H), 2.93 (s, 6H), 4.05 (t, J=6.4 Hz, 2H), 6.84 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.16-7.18 (m, 1H), 7.43-7.61 (m, 5H), 7.97 (dd, J=8.8Hz, 2.4Hz, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.42 (d, J=2.4 Hz, 1H), 10.36 (s, 1H), 10.47 (s, 1H), 12.23 (br, 1H).
【0190】
実施例8:2-((3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)ベンジル)(メチル)アミノ)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物263)
工程8a. 1-ブロモ-4-(ブロモメチル)-2-クロロベンゼン(化合物6002)
CCl4(50mL)中の1-ブロモ-2-クロロ-4-メチルベンゼン(5g、24mmol)、NBS(5.19g、29mmol)、AIBN(0.39g、2.0mmol)の混合物を還流で一晩加熱した。熱い反応混合物をろ過してCCl4ですすいだ。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、NaSO4で乾燥させ、真空下で蒸発させ、化合物6002を白色固体として得た(5.6g、82%収率)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 4.39 (s, 2H), 7.14 (dd, J=8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 7.48 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.58 (d, J=8.4 Hz, 1H).
【0191】
工程8b. tert-ブチル4-ブロモ-3-クロロベンジル(メチル)カルバメート(化合物6003)
0℃に冷却したDMF(10mL)中のMeNHBocの撹拌溶液に、水素化ナトリウム(590mg、24.6mmol)を添加した。得られた混合物を10分間撹拌して、次いでDMF(5mL)中の6002(4.67g、16.0mmol)の溶液を添加した。反応混合物を室温に温めて、8時間撹拌した。反応混合物を氷水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン:1/10)で精製し、6003を白色固体として得た(1.8g、34%収率)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.47 (s, 9H), 2.83 (d, J=18.4 Hz, 3H), 4.35 (s, 2H), 6.99 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.56 (d, J=8.4 Hz, 1H).
【0192】
工程8c. tert-ブチル3-クロロ-4-ホルミルベンジル(メチル)カルバメート(化合物6004)
無水THF(20mL)中の6003(2.15g、6.4mmol)の溶液に、n-BuLi(3.8mL、2.5M、9.5mmol)を-78℃で滴下した。得られた混合物を2時間撹拌し続けて、次いでN-ホルミルモルホリン(884mg、7.7mmol)を-78℃で添加した。得られた混合物を室温に温めて、一晩撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン:1/10)で精製して、化合物6004を赤色油状物として得た(570mg、25%収率)。LCMS: m/z 282.1 [M-1]-. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ1.45, 1.50 (2シングルピーク, 9H), 2.85, 2.90 (2シングルピーク, 3H), 4.46 (br, 2H), 7.23 (d, J=6.8 Hz, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.90 (d, J=8.0Hz, 1H), 10.45 (s, 1H).
【0193】
工程8d. エチル2-((3-クロロ-4-ホルミルベンジル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物6005)
TFA(10mL)中の6004(570mg、2.0mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。残渣を4005(560mg、3.0mmol)およびTEA(10ml)と混合し、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン:1/5)で精製して、化合物6005を黄色固体として得た(425mg、65%収率). LCMS: m/z 334.1 [M+1]+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6): δ 1.29 (t, J=7.2 Hz, 3H), 3.22 (s, 3H), 4.27 (q, J=7.2 Hz, 2H), 5.02 (s, 2H), 7.36 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.47 (s, 1H), 7.83 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.79, 8.86 (2シングルピーク, 2H), 10.29 (s, 1H).
【0194】
工程8e. 2-クロロ-4-(((5-(エトキシカルボニル)ピリミジン-2-イル)(メチル)アミノ)メチル)安息香酸(化合物6006)
CH3CN(15mL)中の化合物6005(425mg、1.27mmol)、NaIO4(408mg、1.9mmol)、RuCl3(40mg、0.2mmol)の混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。粗製化合物6006を白色固体として得て(188mg)、これを直接次の工程に使用した。LCMS: m/z 350.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.29 (t, J=7.2 Hz, 3H), 3.21 (s, 3H), 4.28 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.98 (s, 2H), 7.26 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.76 (d, J=7.6 Hz, 1H), 8.80, 8.86 (2シングルピーク, 2H).
【0195】
工程8f. エチル2-((3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)ベンジル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物6007)
DMF(0.10mL)、塩化チオニル(2mL、27.5mmol)中の6006(118mg、0.3mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮して、残渣を無水ジクロロメタン(5mL)に溶解して、氷浴で冷却した。混合物にDIPEA(1.0mL、6.0mmol)および化合物1-8(83mg、0.4mmol)を添加して、得られた混合物を室温に温め、一晩撹拌した。反応を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、NaSO4で乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン:5/1)で精製して、化合物6007を白色固体として得た(100mg 50%収率)。LCMS: m/z 536.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.29 (t, J=7.2 Hz, 3H), 3.22 (s, 3H), 4.28 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.99 (s, 2H), 7.31 (d, J=7.6Hz, 1H), 7.43-7.45 (m, 2H), 7.54-7.58 (m, 2H), 7.68 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.75 (dd, J=8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.90-7.94 (m, 1H), 8.02 (d, J=2.8 Hz, 1H), 8.70 (d, J= 4.4 Hz, 1H), 8.82-8.86 (m, 2H), 10.71 (s, 1H).
【0196】
工程8g. 2-((3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)ベンジル)(メチル)アミノ)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物263)
化合物6007(100mg、0.2mmol)をNH2OHメタノール溶液(10mL、1.79M)に入れた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を酢酸でpH7〜8に調整して、濃縮した。残渣を水で粉砕し、ろ過して化合物263を白色固体として得た(60mg、60%収率)。LCMS: m/z 523.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 3.19 (s, 3H), 4.96 (s, 2H), 7.29 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.42-7.46 (m, 2H), 7.54-7.57 (m, 2H), 7.67 (d, J=8.0Hz, 1H), 7.75 (d, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.90-7.94 (m, 1H), 8.01 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.70 (d, J=4.4 Hz, 1H), 8.74 (s, 2H), 9.03 (s, 1H), 10.75 (s, 1H), 11.21 (s, 1H).
【0197】
実施例9:2-(3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物265)
工程9a. メチル2-クロロ-4-スルファモイル安息香酸(化合物7001)
化合物3003(200mg、0.7mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、次いで飽和NH3メタノール溶液(0.5mL)を0℃で添加した。添加後、反応混合物を室温に温め、5分間撹拌した。蒸発後、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:3/1)で精製し、化合物7001を白色固体として得た(160mg、86%収率)。LCMS: m/z 248.0[M-1]-. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.91 (s, 3H), 7.69 (s, 2H), 7.88 (dd, J=8.4 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.97 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.02 (d, J=8.0 Hz, 1H).
【0198】
工程9b. 4-(N-(tert-ブトキシカルボニル)スルファモイル)-2-クロロ安息香酸(化合物7002)
ジクロロメタン(30mL)中の7001(1.44g、5.8mmol)、Boc2O(2.51g、11.5mmol)およびDMAP(71mg)の混合物を還流で一晩加熱した。室温に冷却後、混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:2/1)で精製し、化合物4-(N-(tert-ブトキシカルボニル)スルファモイル)-2-クロロ安息香酸メチルを白色固体として得た(1.20g、60%収率)。LCMS: m/z 350.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.32 (s, 9H), 3.91 (s, 3H), 7.94 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.97 (d, J=1.6 Hz, 1H), 8.07 (d, J=8.0 Hz, 1H), 12.03 (br, 1H).
【0199】
THF/H2O(10mL/10mL)中の上述の生成物(1.22g、3.5mmol)、LiOH(1.46g、34.9mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。蒸発後、1M HClで混合物をpH1〜2に調整し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、真空下で蒸発させ、化合物7002を白色固体として得た(1.00g、85%収率)。LCMS: m/z 334.0 [M-1]-. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.32 (s, 1H), 7.90 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.94 (d, J=1.6 Hz, 1H), 8.02 (d, J=8.4 Hz, 1H), 11.99 (br, 1H).
【0200】
工程9c. tert-ブチル3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホニルカルバメート(化合物7003)
DMF(5mL)中の化合物7002(328mg、1.0mmol)、1-8(100mg、0.5mmol)、HATU(559mg、1.5mmol)、DIPEA(253mg、2.0mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を飽和重炭酸ナトリウムでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル:2/1)で精製して、化合物7003を白色固体として得た(270mg、約100%収率)。LCMS: m/z 522.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.36 (s, 9H), 7.44-7.47 (m, 1H), 7.59 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.70 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.76 (dd, J=8.8 Hz, J=2.4 Hz, 1H), 7.91-7.98 (m, 4H), 8.01 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.71 (d, J=4.4 Hz, 1H), 10.93 (s, 1H), 11.98 (br, 1H).
【0201】
工程9d. 2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-スルファモイルベンズアミド(化合物7004)
TFA(5mL)中の7003(270mg、0.5mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。蒸発後、混合物を飽和NaHCO3でクエンチして、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させ、化合物7004を白色固体として得た(180mg、84%収率)。LCMS: m/z 422.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ7.43-7.47 (m, 1H), 7.58 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.64 (s, 2H), 7.69 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.75 (dd, J=8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.82-7.88 (m, 2H), 7.91-7.96 (m, 2H), 8.01 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.71 (d, J=4.8 Hz, 1H), 10.88 (s, 1H).
【0202】
工程9e. エチル2-(3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物7005)
1,4-ジオキサン(15mL)中の化合物7004(460mg、1.1mmo)、4005(203mg、1.1mmol)、炭酸セシウム(533mg、1.6mmol)、キサントホス(20mg、0.03mmol)、Pd2(dba)3(20mg、0.02mmol)の混合物を85℃で一晩加熱した。室温に冷却後、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル:2/1)で精製して、化合物7005を淡黄色固体として得た(300mg、48%収率)。LCMS: m/z 572.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.29 (t, J=7.2 Hz, 3H), 4.29 (q, J=7.2 Hz, 2H), 7.43-7.46 (m ,1H), 7.57 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.67-7.73 (m, 2H), 7.84 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.90-7.94 (m, 1H), 7.99 (d, J=2.8 Hz, 1H), 8.06 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 8.10 (d, J=1.6 Hz, 1H), 8.69-8.71 (m, 1H), 8.96 (s, 2H), 9.05 (s, 1H).
【0203】
工程9f. 2-(3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物265)
化合物7005(300mg、0.5mmol)を、NH2OHメタノール溶液(10mL、1.79M)に入れた。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を酢酸でpH7〜8に調整し、濃縮した。残渣を水で粉砕し、ろ過した。固体をジクロロメタンに懸濁し、室温で一晩撹拌し、ろ過した。回収した固体を真空下で乾燥させ、化合物265を白色固体として得た(60mg、21%収率)。M.p: 215〜220℃. LCMS: m/z 559.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.42-7.46 (m, 1H), 7.56 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.64 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.68 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.73 (dd, J=8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.85 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.90-7.94 (m, 2H), 8.01 (d, J=2.4 Hz, 1H), 8.53 (s, 2H), 8.70 (d, J=4.4 Hz, 1H), 8.93 (s, 1H), 10.79 (s, 1H), 10.96 (br, 1H).
【0204】
実施例10: (E)-2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(N-(3-(3-(ヒドロキシアミノ)-3-オキソプロプ-1-エニル)フェニル)スルファモイル)ベンズアミド(化合物254)
工程10a. 2-(3-ニトロフェニル)-1,3-ジオキソラン(化合物8002)
トルエン(80mL)中の3-ニトロベンズアルデヒド(7.0g、46.3mmol)、エチレングリコール(14.4g、231.5mmol)、p-トルエンスルホン酸(0.79g、4.6mmol)の混合物を還流で一晩加熱した。室温に冷却後、反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させ、化合物8002を黄色油状物として得た(8.6g、95%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 4.05-4.11 (m, 2H), 4.12-4.16 (m, 2H), 5.89 (s, 1H), 7.56 (t, J=8.0 Hz, 1H), 7.81 (d, J=7.6 Hz, 1H), 8.21-8.24 (m, 1H), 8.35-8.36 (m, 1H).
【0205】
工程10b. 3-(1,3-ジオキソラン-2-イル)アニリン(化合物8003)
エタノール(10mL)中の8002(215mg、1.1mmol)、Pd/C(100mg、50%)の混合物を、水素下、室温で一晩撹拌した。混合物をろ過し、ろ過物を真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:8/1)で精製して、化合物8003を黄色固体として得た(100mg、55%)。LCMS: m/z 166.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.86-4.03 (m, 4H), 5.10 (s, 1H), 5.55 (s, 1H), 6.54 (d, J=7.6 Hz, 2H), 6.63 (s, 1H), 6.99 (t, J=7.6 Hz, 1H).
【0206】
工程10c. 4-(N-(3-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)スルファモイル)-2-クロロ安息香酸メチル(化合物8004)
無水CH2Cl2(10mL)中の8003(1.12g、6.8mmol)、3003(2.21g、8.2mmol)、無水ピリジン(1.3g、16.4mmol)の混合物を還流で30分加熱した。混合物を水でクエンチし、HCl(1.0M)でpH2〜3に調整した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:10/1)で精製し、化合物8004を黄色油状物として得た(2.16g、80%)。LCMS: m/z 398.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.87 (s, 3H), 3.91-3.93 (m, 2H), 3.94-3.96 (m, 2H), 5.66 (s, 1H), 7.10-7.17 (m, 3H), 7.29 (t, J=8 Hz, 1H). 7.77 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.85 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.96 (d, J=8.0 Hz, 1H), 10.58 (s, 1H).
【0207】
工程10d. 4-(N-(3-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)スルファモイル)-2-クロロ安息香酸(化合物8005)
LiOH(264mg、6.25mmol)をTHF/H2O(5mL/5mL)中の8004(500mg、1.25mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をHCl(1M)でクエンチし、pH1〜2に調整した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させ、化合物8005を赤色固体として得た(450mg、94%)。LCMS: m/z 384.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 3.91-3.93 (m, 2H), 3.95-3.97 (m, 2H), 5.67 (s, 1H), 7.11-7.18 (m, 3H), 7.30 (t, J=8.0 Hz, 1H). 7.74 (dd, J=8.4 Hz, 2.0Hz, 1H), 7.83 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.92 (d, J=8.4 Hz, 1H), 10.57 (s, 1H).
【0208】
工程10e. 4-(N-(3-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)スルファモイル)-2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)ベンズアミド(化合物8006)
無水DMF(5mL)中の8005(284mg、0.74mmol)、1-8(100mg、0.49mmol)、HATU(373mg、0.98mmol)、DIPEA(159mg、1.23mmol)の混合物を一晩撹拌した。混合物を水でクエンチして、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:5/1)で精製して、化合物8006を黄色固体として得た(248g、88%)。LCMS: m/z 570.2 [M+1]+.
【0209】
工程10f. 2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(N-(3-ホルミルフェニル)スルファモイル)ベンズアミド(化合物8007)
THF/H2O(5mL/5mL)中の8006(120mg、0.18mmol)およびHCl(5mL)の混合物を1時間還流した。混合物を水でクエンチして、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインでpH7まで洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル:5/1)で精製して、化合物8007を黄色固体として得た(90mg、82%)。LCMS: m/z 526.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 7.42-7.50 (m, 2H), 7.53-7.57 (m, 2H), 7.60-7.72 (m, 5H), 7.81-7.86 (m, 2H), 7.91 (dd, J=7.6Hz, 1.6Hz, 1H), 7.94 (br, 1H), 7.96 (d, J=2.4Hz, 1H), 8.70 (d, J=4.8 Hz, 2H), 9.94 (s, 1H), 10.84 (s, 1H), 10.91 (s, 1H).
【0210】
工程10g. (E)-メチル3-(3-(3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)フェニル)アクリレート(化合物8008)
無水DMF中の8007(110mg、0.21mmol)、メチル-(ジメトキシホスホリル)アセテート(58mg、0.32mmol)およびナトリウムメトキシド(34mg、0.63mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をHCl(1M)でクエンチして、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/酢酸エチル:6/1)で精製して、化合物8008を黄色固体として得た(45mg、37%)。LCMS: m/z 582.2[M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 3.72 (s, 3H), 6.52 (d, J=16.4 Hz, 1H), 7.19 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.34 (t, J=7.2 Hz, 1H), 7.41-7.49 (m, 3H), 7.55-7.61 (m, 2H), 7.66-7.72 (m, 2H), 7.80-7.86 (m, 2H), 7.90 (dd, J=8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 7.93-7.96 (m, 2H), 8.70 (d, J=4.4 Hz, 1H), 10.71 (s, 1H), 10.83 (s, 1H).
【0211】
工程10h. (E)-2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(N-(3-(3-(ヒドロキシアミノ)-3-オキシプロプ-1-エニル)フェニル)スルファモイル)ベンズアミド(化合物254)
化合物8008(45mg、0.077mmol)をNH2OHメタノール溶液(10mL、1.79M)に入れた。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を酢酸でpH7〜8に調整し、濃縮した。残渣を水で粉砕してろ過した。回収した固体を分取HPLCで精製して、化合物254をオフホワイトの固体として得た(13mg、31%収率)。M.p.: 217〜221℃ LCMS: m/z 583.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 6.41 (d, J=15.6 Hz, 1H), 7.12 (d, J=7.6, 1H), 7.18 (s, 1H), 7.25-7.38 (m, 4H), 7.42-7.45 (m, 1H), 7.56 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.66-7.72 (m, 2H), 7.80-7.90 (m, 1H), 7.90-7.97 (m, 3H), 8.70 (d, J=4.4 Hz, 1H), 10.71 (s, 1H), 10.80 (br, 1H), 10.84 (s, 1H).
【0212】
実施例11:2-(4-((3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)メチル)ピペリジン-1-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物90)
工程11a. tert-ブチル4-((3-クロロ-4-(メトキシカルボニル)フェニルスルホンアミド)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物9001)
ジクロロメタン(10mL)中のtert-ブチル4-(アミノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(570mg、2.6mmol)および3003(600mg、2.2mmol)の混合物にトリエチルアミン(0.6mL、4.4mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N HClで洗浄した。酢酸エチル層を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して、化合物9001を白色固体として得た(610mg、62%収率)。LCMS: m/z 445.1 [M-1]-. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 0.87-0.98 (m, 2H), 1.37 (s, 9H), 1.49-1.60 (m, 3H), 2.62-2.70 (m, 4H), 3.86 (br, 2H), 3.90 (s, 3H), 7.84 (dd, J=8.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 7.91 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.94 (t, J=5.6 Hz, 1H), 8.01 (d, J=8.0 Hz, 1H).
【0213】
工程11b. 4-(N-((1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イル)メチル)スルファモイル)-2-クロロ安息香酸(化合物9002)
THF(16mL)およびH2O(8mL)中の9001(610mg、1.4mmol)の溶液に、LiOH(286mg、12.0mmol)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を、1N HClでpH=5に酸性化して、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して、真空下で濃縮し、化合物9002を白色固体として得た(530mg、90%収率)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 0.89-0.98 (m, 2H), 1.37 (s, 9H), 1.52-1.61 (m, 3H), 2.65-2.69 (m, 4H), 3.89 (d, J=12.0 Hz, 2H), 7.80 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.91 (t, J=6.0 Hz, 1H), 7.95 (d, J=8.0 Hz, 1H).
【0214】
工程11c. tert-ブチル4-((3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物9003)
DMF(2.0mL)中の9002(530mg、1.2mmol)および1-8(200mg、1.0mmol)の混合物にDIPEA(300mg、2.3mmol)、次いでHATU(733mg、1.9mmol)を添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注いで、酢酸エチルで抽出した。有機層をNH4Cl溶液、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗製の固体を、酢酸エチル:ジクロロメタン=3:1で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物9003を黄色固体として得た(120mg、16%)。LCMS: m/z 619.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 0.90-1.09 (m, 2H), 1.38 (s, 9H), 1.52-1.63 (m, 3H), 2.66-2.69(m, 4H), 3.90 (d, J=10.8Hz, 2H), 7.40-7.47 (m, 1H), 7.58-7.60 (m, 1H), 7.68 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.75 (dd, J=8.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 7.84 (s, 2H), 7.90-7.92 (m, 3H), 8.01 (d, J=2.0 Hz, 1H), 8.65, 8.70 (2重ピーク, J=5.2Hz, 1H), 10.87 (s, 1H).
【0215】
工程11d. 2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(N-(ピペリジン-4-イルメチル)スルファモイル)ベンズアミド(化合物9004)
ジクロロメタン(1mL)中の9003(120mg、0.2mmol)の溶液にTFA(1mL)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応溶液を濃縮した。残渣を酢酸エチルで溶解し、NaHCO3溶液で洗浄した。酢酸エチル層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して、真空下で濃縮して、化合物9004を黄色固体として得た(100mg、99%収率)。LCMS: m/z 519.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.10-1.15 (m, 2H), 1.57 (br, 1H), 1.69 (d, J= 13.2Hz, 2H), 2.60-2.69 (m, 4H), 3.10 (d, J=12.0 Hz, 2H), 7.43 (t, J=6.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.69 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.75 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.85 (s, 2H), 7.91-7.94 (m, 2H), 8.01 (s, 1H), 8.71 (d, J=4.4 Hz, 1H), 10.88 (s, 1H).
【0216】
工程11e. エチル2-(4-((3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)メチル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物9005)
DCM(2mL)中の9004(100mg、0.2mmol)およびEt3N(0.2mL、1.4mmol)の溶液に4005(39mg、0.2mmol)を添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈して、1N HClで洗浄した。酢酸エチル層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮し、化合物9005を黄色固体として得た(135mg、96%収率)。LCMS: m/z 669.3 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.10-1.18 (m, 2H), 1.29 (t, J=7.2Hz, 3H), 1.76 (d, J-6.0Hz, 2H), 2.68-2.72 (m, 2H), 2.94-3.00 (m, 2H), 4.27 (q, J=6.8Hz, 2H), 4.72 (d, J=12.8 Hz, 2H), 7.45 (t, J=6.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.70 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.75 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.86 (s, 2H), 7.92-8.01 (m, 3H), 8.71 (d, J=4.8 Hz, 1H), 8.77 (s, 2H), 9.28 (br, 1H), 10.89 (s, 1H).
【0217】
工程11f. 2-(4-((3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)メチル)ピペリジン-1-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物90)
化合物9005(135mg、0.2mmol)をNH2OHメタノール溶液(1.79M、10mL)に入れた。得られた混合物を密封したチューブ中、室温で3時間撹拌した。TLCは、反応が完了したことを示した。酢酸を添加してpHを6〜7に調整し、次いで氷水を添加した。反応混合物をろ過して、水で洗浄した。粗生成物を分取HPLCで精製して、化合物90を白色固体として得た(30mg、22%収率)。M.p.: 172〜173℃. LCMS: m/z 656.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.04-1.07 (m, 2H), 1.73-1.76 (m, 3H), 2.70-2.72 (m, 2H), 2.89-2.95 (m, 2H), 4.69 (d, J=12.8 Hz, 2H), 7.45 (t, J=6.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.70 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.75 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.86 (s, 2H), 7.91-7.95 (m, 2H), 8.02 (s, 1H), 8.65 (s, 2H), 8.71 (d, J=4.4 Hz, 1H), 8.99 (br, 1H), 10.88 (s, 1H), 10.99 (br, 1H).
【0218】
実施例12: 2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(N-(2-(4- (ヒドロキシカルバモイル)フェノキシ)エチル)スルファモイル)ベンズアミド(化合物266)
工程12a. 2-クロロ-4-(N-(2-(4-(エトキシカルボニル)フェノキシ)エチル)スルファモイル)安息香酸(化合物1001)
ジクロロメタン(10mL)中の4-(2-アミノエトキシ)安息香酸エチル(330mg、1.6mmol)および3003(400mg、1.6mmol)の混合物にトリエチルアミン(0.6mL、4.4mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N HClで洗浄した。酢酸エチル層を真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:MeOH=50:1)で精製して、化合物1001を黄色固体として得た(270mg、40%収率)。LCMS: m/z 428.0 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.30 (t, J=7.2 Hz, 3H), 3.20-3.22 (m, 2H), 4.04 (t, J=4.8 Hz, 2H), 4.27 (q, J=7.2Hz, 2H), 6.93 (d, J=8.8 Hz, 2H), 7.66 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.71 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.77 (s, 1H), 7.87 (d, J=8.4 Hz, 2H), 8.12 (br, 1H).
【0219】
工程12b. 4-(2-(3-クロロ-4-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニルカルバモイル)フェニルスルホンアミド)エトキシ)安息香酸エチル(化合物1002)
DMF(2.0mL)中の化合物1001(270mg、0.6mmol)および1-8(108mg、0.5mmol)の混合物にDIPEA(164mg、1.3mmol)、次いでHATU(289mg、0.8mmol)を添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N HCl溶液、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。粗製の固体を、ジクロロメタン/MeOH=100/1で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1002を黄色固体として得た(130mg、33%)。LCMS: m/z 614.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.28 (t, J=6.8Hz, 3H), 3.24-3.26 (m, 2H), 4.06-4.09 (m, 2H), 4.25 (q, J=6.8Hz, 2H), 6.89 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.43-7.47 (m, 1H), 7.59 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.70 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.80-7.95 (m, 7H), 8.01 (s, 1H), 8.24-8.27 (m, 1H), 8.70-8.72 (d, J=4.0 Hz, 1H), 10.86 (s, 1H).
【0220】
工程12c. 2-クロロ-N-(4-クロロ-3-(ピリジン-2-イル)フェニル)-4-(N-(2-(4-(ヒドロキシカルバモイル)フェノキシ)エチル)スルファモイル)ベンズアミド(化合物266)
化合物1002(130mg、0.2mmol)をNH2OHメタノール溶液(1.79M、10mL)に入れた。得られた混合物を、密封したチューブ中、室温で3時間撹拌した。TLCは、反応が完了したことを示した。1N HClを添加してpHを6〜7に調整し、次いで氷水を添加した。反応混合物をろ過し、水で洗浄した。粗生成物を分取HPLCで精製して、化合物266を黄色固体として得た(41mg、32%収率)。mp: 138〜139℃. LCMS: m/z 601.2 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.23 (t, J=4.0 Hz, 2H), 4.06 (t, J=4.8 Hz, 2H), 6.92 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.45 (t, J=6.4 Hz, 1H), 7.58 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.68-7.76 (m, 4H), 7.86-7.96 (m, 4H), 8.02 (s, 1H), 8.19 (d, J=4.0Hz, 1H), 8.71 (d, J=4.4 Hz, 1H), 8.89 (br, 1H), 10.88 (s, 1H), 11.05 (s, 1H).
【0221】
実施例13:2-(4-((5-(3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-4-クロロフェニルカルバモイル)-6-メチルピリジン-2-イルアミノ)メチル)ピペリジン-1-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物91)
工程13a. 6-ブロモ-2-メチルニコチンアルデヒド(化合物1102)
ドライTHF(20mL)中の3,6-ジブロモ-2-メチルピリジン(2.0g、8.0mmol)の撹拌溶液にn-BuLi(1.6M、6.0mL)を-78℃で滴下した。添加が完了した場合、反応を1時間続けた。ジクロロメタン(642.4mg、8.8mmol)を-78℃で添加して、撹拌を1時間続けた。反応を室温まで温めて、次いでHCl(1M、10mL)を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、濃縮した。粗生成物を、ジクロロメタン/メタノール(30:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1102を白色固体として得た(1.4g、90%)。
【0222】
工程13b. 6-ブロモ-2-メチルニコチン酸(化合物1103)
アセトン(20mL)中の化合物1102(1.4g、6.7mmol)の撹拌溶液に、ジョーンズ試薬(2.67M、5.2ml)を0℃で添加した。反応混合物を室温に温めて、30分間撹拌した。飽和NaHCO3溶液を添加して、pH=5〜6に調整した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン(1:8)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して化合物1103を白色固体として得た(1.0g、66%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.87 (s, 3H), 7.46 (d, J=8.4Hz, 1H), 8.15 (d, J=8.4Hz, 1H).
【0223】
工程13c. N-(3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-4-クロロフェニル)-6-ブロモ-2-メチルニコチンアミド(化合物1104)
化合物1103(1.0g、4.6mmol)をジクロロメタン(30mL)中の化合物2-3(1.2g、4.6mmol)、HATU(3.5g、5.5mmol)およびEt3N(19mL、13.8mmol)の混合物に添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を水でクエンチして、ジクロロメタンで抽出して濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1104を白色固体として得た(1.0g、50%)。LCMS: m/z 443.1 [M+1]+.
【0224】
工程13d. tert-ブチル4-((5-(3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-4-クロロフェニルカルバモイル)-6-メチルピリジン-2-イルアミノ)メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(化合物1105)
i-PiOH(10mL)中の化合物1104(500mg、1.13mmol)の撹拌溶液にtert-ブチル4-(アミノメチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(930mg、4.4mmol)およびK2CO3(1.2g、8.7mmol)を添加した。混合物を100℃で48時間撹拌した。混合物を水でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1105を黄色固体として得た(250mg、38%収率)。LCMS: m/z 575.4[M+1]+ 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.06-1.12 (m, 2H),1.45 (s, 9H), 1.73-1.76 (m, 3H), 2.50 (s, 3H), 2.73-2.75 (m, 2H), 3.25 (s, 2H), 3.98-4.02 (m, 2H), 6.43 (d, J= 8.8Hz, 1H), 7.02-7.05 (m, 1H), 7.25-7.34 (m, 2H), 7.63-7.66 (m, 3H), 7.76 (d, J= 7.6Hz, 1H), 7.92 (d, J= 8.8Hz, 2H), 8.41 (s, 1H), 10.28 (s, 1H), 12.72 (s, 1H).
【0225】
工程13e. メチル2-(4-((5-(3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-4-クロロフェニルカルバモイル)-6-メチルピリジン-2-イルアミノ)メチル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物1106)
ジクロロメタン中の化合物1105(70mg、0.12mmol)の撹拌溶液にTFA(3mL)を添加した。混合物を30分間撹拌した。反応溶液を濃縮して、残渣をジクロロメタン(10mL)に溶解した。溶液に4005(31mg、0.14mmol)およびEt3N(1mL)を添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌して濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物1106を黄色固体として得た(70mg、94%)。LCMS: m/z 611.3 [M+1]+ 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.08-1.14 (m, 2H),1.72-2.02 (m, 4H), 2.45 (s, 3H), 2.94-3.05 (m, 3H), 3.80 (s, 3H), 4.77 (d, J= 13.2Hz, 2H), 6.39 (d, J= 8.8Hz ,1H), 7.03 (d, J= 5.2Hz, 1H), 7.23-7.27 (m, 2H), 7.58-7.60 (m, 2H), 7.71 (d, J= 7.2Hz, 1H), 7.87 (d, J= 7.6Hz, 2H), 8.35 (s, 1H), 8.77 (s, 2H), 10.23 (s, 1H), 12.69 (s, 1H).
【0226】
工程13f. 2-(4-((5-(3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-4-クロロフェニルカルバモイル)-6-メチルピリジン-2-イルアミノ)メチル)ピペリジン-1-イル)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物91)
化合物1106(70mg、0.11mmol)をNH2OHメタノール溶液(10mL、1.79M)に入れた。混合物を室温で40分間撹拌した。反応混合物を酢酸でpH8〜9に調整し、濃縮した。残渣をHPLCで精製して、表題の化合物91を白色固体として得た(37mg、53%)。M.p.: 194〜196℃. LCMS: m/z 612.3[M+1]+ 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ1.13-1.18 (m, 2H), 1.78-2.00 (m, 3H), 2.45 (s, 3H), 2.91-2.98 (m, 2H), 3.22 (s, 2H), 4.73 (d, J= 12.4Hz, 2H), 6.38 (d, J= 8.4Hz, 1H), 7.00-7.02 (m, 1H), 7.24-7.26 (m, 2H), 7.57-7.60 (m, 3H), 7.69-7.71 (d, J= 7.2Hz ,1H), 7.86 (d, J= 8.8Hz ,1H), 8.35 (s, 1H), 8.65 (s, 2H), 8.97 (br, 1H),10.23 (s, 1H), 10.98 (br, 1H), 12.68 (s, 1H).
【0227】
実施例14:2-(3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)-5-メトキシベンジルアミノ)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物258)
工程14a. 3-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシ安息香酸メチル(化合物1202)
THF(10mL)中のジメチル5-メトキシイソフタレート(1.0g、4.5mmol)の撹拌溶液にDIBAL-H(6.6mL、6.6mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水およびブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/EA(2:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1202を黄色固体として得た(600mg、68%収率)。LCMS: m/z 197.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.80 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 4.53 (d, J=6.0 Hz, 2H), 5.35 (t, J=5.8 Hz, 1H), 7.15 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.54 (s, 1H).
【0228】
工程14b. 3-(ブロモメチル)-5-メトキシ安息香酸メチル(化合物1203)
ジクロロメタン(10mL)中の化合物1202(800mg、4.0mmol)の撹拌溶液にPBr3(0.4mL、4.3mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応を酢酸エチルで希釈して、水およびブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(5:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1203を黄色油状物として得た(640mg、61%収率)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 3.85 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 7.12 (br, 1H), 7.49 (br, 1H), 7.65 (br, 1H).
【0229】
工程14c. 3-(アジドメチル)-5-メトキシ安息香酸メチル(化合物1204)
DMF(5mL)中の化合物1203(640mg、2.5mmol)の撹拌溶液にNaN3(1.1g 16.9mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈して、水およびブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(5:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1204を黄色油状物として得た(500mg、91%収率)。LCMS: m/z 263.2[M+1+41]+.
【0230】
工程14d. 3-(アミノメチル)-5-メトキシ安息香酸メチル化合物1205)
THF(10mL)中の化合物1204(500mg、2.3mmol)の撹拌溶液に、PPh3(650mg、2.5mmol)を添加して30分間撹拌した。水(100mg、5.5mmol)を添加した。混合物を60℃に温めて、2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、ジクロロメタン/MeOH(50:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1205を黄色油状物として得た(300mg、68%収率)。LCMS: m/z 196.1 [M+1]+.
【0231】
工程14e. 3-(アミノメチル)-5-メトキシ安息香酸(化合物1206)
化合物1205(300mg、1.5mmol)をEtOH(2mL)およびH2O(2mL)中のLiOH(180mg、7.5mmol)の混合物に添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を2N HClでpH6に調整した。混合物を濃縮して、さらに精製せずに次の工程に直接使用した。
【0232】
工程14f. 3-メトキシ-5-((5-(メトキシカルボニル)ピリミジン-2-イルアミノ)メチル)安息香酸(化合物1207)
ジクロロメタン(5mL)中の1206(200mg、1.0mmol)およびEt3N(300mg、3.0mmol)の撹拌溶液に4005(176mg、1.0mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、次いで濃縮した。粗生成物を、ジクロロメタン/MeOH(50:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1207を黄色固体として得た(110mg、31%収率)。LCMS: m/z 318.2[M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 3.78 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 4.60 (d, J=6.4 Hz, 2H), 7.13 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.49 (s, 1H), 8.67 (t, J=6.0 Hz, 1H), 8.75 (s, 2H).
【0233】
工程14g. メチル2-(3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)-5-メトキシベンジルアミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物1208)
DMF中の化合物1207(110mg、0.3mmol)、2-3(90mg、0.3mmol)およびDIPEA(90mg、0.7mmol)の撹拌溶液にHATU(160mg、0.4mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水およびブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物1208を黄色固体として得た(60mg、30%収率)。LCMS: m/z 586.3[M+1]+.
【0234】
工程14h. 2-(3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)-5-メトキシベンジルアミノ)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物258)
化合物1208(70mg、0.1mmol)をNH2OHメタノール溶液(10mL、1.79M)に入れた。混合物を室温で40分間撹拌した。反応混合物を酢酸でpH8〜9に調整し、濃縮した。残渣を分取HPLCで精製して、表題の化合物258を黄色固体として得た(35mg、50%)。M.p.: 158〜159℃. LCMS: m/z 587.3[M+1]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 2.93 (s, 6H), 3.82 (s, 3H), 4.60 (d, J=6.0 Hz, 2H), 6.78-6.97 (m, 2H), 7.10 (s, 1H), 7.41 (s, 1H), 7.49-7.52 (m, 2H), 7.58 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.94 (dd, J=8.8, 2.8 Hz, 1H), 8.30 (t, J=6.2 Hz, 1H), 8.37 (br, 1H), 8.61 (s, 2H), 8.94 (br, 1H), 10.42 (s, 1H), 10.98 (br, 1H), 12.17, 12.30 (2シングルピーク, 1H).
【0235】
実施例15:2-((3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)-5-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物259)
工程15a. 3-メトキシ-5-((メチルアミノ)メチル) 安息香酸メチル(化合物1301)
DMF(3mL)中の1203(150mg、0.6mmol)の溶液にメチルアミンメタノール溶液(2.5mL)を添加した。反応混合物を室温で10分間撹拌した。水(10mL)を反応混合物に添加して、得られた反応混合物を酢酸エチル(10mLx2)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して、蒸発させ、生成物1301を淡黄色油状物として得た(100mg、83%)。LCMS: m/z 210.1 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.45 (s, 3H), 3.77 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 7.10 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.59(s, 1H).
【0236】
工程15b. 3-((tert-ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)メチル)-5-メトキシ安息香酸メチル(化合物1302)
(Boc)2O(154mg、0.7mmol)、NEt3(101mg、1.0mmol)およびDMAP(6mg、0.05mmol)を無水ジクロロメタン(10mL)中の化合物1301(100mg、0.5mmol)の溶液に添加した。TLCが、化合物1301を消費したことを示すまで反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、残渣を、CH2Cl2:MeOH(10:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物1302を淡黄色油状物として得た(110mg、75%)。
【0237】
工程15c. 3-((tert-ブトキシカルボニル(メチル)アミノ)メチル)-5-メトキシ安息香酸(化合物1303)
NaOH水溶液(4.0M、10mL)をメタノール(5mL)中の化合物1302(160mg、0.5mmol)の溶液に添加した。溶液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃HCl溶液でpH3〜4に酸性化して、酢酸エチル(10mLx2)で抽出し、Na2SO4で乾燥させた。濃縮後、表題化合物1303を黄色固体として得た(100mg、66%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.42 (s, 9H), 2.78 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 4.37 (s, 2H), 6.96 (s, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.50 (s, 1H).
【0238】
工程15d. tert-ブチル3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)-5-メトキシベンジル(メチル)カルバメート(化合物1304)
化合物2-3(97mg、0.3mmol)をDMF(4mL)中の化合物1303(100mg、0.3mmol)、HATU(137mg、0.4mmol)およびDIPEA(78mg、0.6mmol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(10mLx2)で抽出した。有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。濃縮後、表題の化合物1304を黄色固体として得た(150mg、89%)。LCMS: m/z 564.3 [M+1]+.
【0239】
工程15e. N-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル)-3-メトキシ-5-((メチルアミノ)メチル)ベンズアミド(化合物1305)
化合物1304(150mg)をトリフルオロ酢酸(10mL)に溶解した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、反応を濃縮して大部分のトリフルオロ酢酸を除去した。残渣を飽和NaHCO3水溶液でpH7〜8に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、CH2Cl2:MeOH(20:1)で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、表題の化合物1305を淡黄色固体として得た(50mg、40%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.69 (s, 3H), 3.00 (s, 6H), 3.76 (s, 3H), 3.91 (s, 2H), 6.85 (s, 2H), 6.90 (dd, J=9.2 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.33〜7.38 (m, 2H), 7.52 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.58 (s, 1H), 8.06〜8.11 (m, 2H), 9.03 (br, 1H).
【0240】
工程15f. エチル2-((3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)-5-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物1306)
ジクロロメタン中の化合物1305(50mg、0.1mmol)の溶液に化合物4005(19mg、0.1mmol)およびNEt3(30mg、0.3mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、濃縮して、表題の化合物1306を得た(90mg)。LCMS: 614.3 [M+1]+. 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1.36 (t, J=7.2Hz, 3H), 3.00 (s, 6H), 3.24 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 4.34 (q, J=7.2Hz, 2H), 4.99 (s, 2H), 6.87〜6.92 (m, 2H), 6.98 (s, 1H), 7.32 (s, 2H), 7.47 (d, J=9.2 Hz, 1H), 7.57 (d, J=8.8 Hz, 1H), 8.23〜8.24 (m, 3H), 8.90 (s, 2H).
【0241】
工程15g. 2-((3-(4-クロロ-3-(5-(ジメチルアミノ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニルカルバモイル)-5-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)-N-ヒドロキシピリミジン-5-カルボキサミド(化合物259)
化合物1306(90mg、0.1mmol)をNH2OHメタノール溶液(20mL、1.79M)に溶解した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を2N HClでpH8〜9に調整して、真空下で蒸発させた。残渣を水で粉砕して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLCでさらに精製して、化合物259を黄色固体として得た(18mg、20%)。M.p.: 207〜208℃. LCMS: m/z 601.3 [M+1]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 2.93 (s, 6H), 3.18 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 4.96 (s, 2H), 6.78〜6.88 (m, 2H), 7.00 (s, 1H), 7.41〜7.51 (m, 3H), 7.57 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.94 (d, J=8.4 Hz, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 8.71 (s, 2H), 8.98 (br, 1H), 10.42 (s, 1H), 11.03 (s, 1H), 12.15 (s, 1H).
【0242】
実施例16: HDAC酵素活性を阻害する能力を決定する試験化合物のインビトロアッセイ
HDAC阻害活性は、Biomol Color de Lys system (AK-500, Biomol, Plymouth Meeting, PA)を使用して評価した。簡潔に、HeLa細胞核抽出物をHDACの供給源として使用した。異なる濃度の試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に連続希釈して、比色人工基質の存在下でHeLa細胞核抽出物に添加した。最終アッセイ条件は、50mM Tris/Cl、pH8.0、137mM NaCl、2.7mM KClおよび1mM MgCl2を含んだ。反応は、室温(25℃)で1時間行い、その後終結のために顕色剤を添加した。WALLAC Victor II 1420マイクロプレートリーダー中で、蛍光強度として相対酵素活性を測定した(励起:350〜380nm;発光:440〜460nm)。シグモイド用量応答曲線がIC50計算値に適合するGraphPad Prism (v4.0a)を使用してデータを分析した。
【0243】
実施例17:ヘッジホッグシグナル伝達を阻害する試験化合物の能力を決定するインビトロアッセイ
試験対象の化合物を10mMの濃度までDMSOに溶解して、-20℃で保存した。アッセイ細胞中のヘッジホッグ経路を活性化するために、ソニックヘッジホッグタンパク質のN末端断片のオクチル化(脂質修飾)形態(OCT-SHH)を使用した。このN末端SHH断片は、細菌により産生される。例えばTaylor FR, et al, Biochemistry, 2001, 40: 4359-71参照。
【0244】
細胞株10T1/2(s12)を使用して、以下の「Gli-Luc」アッセイにおいて化合物を試験した。該細胞は、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼを使用するヘッジホッグ応答性レポーターコンストラクトを含む。ヘッジホッグ経路シグナル伝達活性は、Gli-Luc応答を介して測定される。
【0245】
10T1/2(s12)細胞を、96ウェルマイクロタイタープレート(MTP)上、完全培地[10% FBS添加DMEM]中20,000細胞/ウェルで平板培養した。次いで、一晩(O/N)のインキュベーションの間、37℃および5%CO2で、プレートをインキュベーターに静置した。24時間後、培地をルシフェラーゼアッセイ培地(0.5% FBS添加DMEM)と取り換えた。試験化合物を解凍して、約0.0003uM〜30uMの開始濃度になるように、アッセイ培地中に3:1000(約300倍)で希釈した。続いて、150ulのそれぞれの試料を1番目のウェルに添加した(3通り)。次いで、MTP試料を全部で7つのウェルに3倍希釈液で希釈し、最終的にそれぞれの化合物について、3通りの7種類の希釈液の群(regiment)を生じた。次いで、タンパク質リガンドOCT-SHHをルシフェラーゼアッセイ培地に希釈し、0.3μg/mlの終濃度でそれぞれのウェルに添加した。その後、プレートをインキュベーターに戻し、さらに一晩、37℃、5% CO2でインキュベートした。約24時間後、プレートをインキュベーターから取出し、培地を吸い取って/廃棄した。
【0246】
ウェルを一度、アッセイバッファー[PBS+1mM Mg2+および1mM Ca2+]で洗浄した。次いで、50μlのアッセイバッファーをそれぞれのウェルに添加した。ルシフェラーゼアッセイ試薬は、業者(PackardのLucLite kit)が記載するように調製し、50μlをそれぞれのウェルに添加した。プレートを室温(RT)で約30分インキュベートした後、再度RTでTopcount (Packard)を用いてシグナルを読み取った。
【0247】
ヒト細胞株(具体的には、上述のGli-Lucコンストラクトで改変したヒト胚性胎盤間葉細胞)を使用して、MEM/ピルビン酸ナトリウムw/10% FBSの増殖培地およびMEM/ピルビン酸ナトリウムw/0.5% FBSのアッセイ培地中で同様のアッセイを行った。1μg/mlの終濃度になるようにOCT-SHHを添加した。
【0248】
実施例16および17それぞれに記載したHDAC阻害アッセイおよびヘッジホッグ阻害アッセイの結果を以下の表に示す。以下の表は、それぞれのアッセイにおいて測定されたIC50を、以下:I>1000nM;1000nM≧II>100nM;100nM≧III>10nM;10nM≧IV>1nM;1nM≧Vのように示す。
【表29】
【0249】
【化38】
【0250】
実施例18 ヘッジホッグのSmoothenedへの結合を阻害する試験化合物の能力を決定するインビトロアッセイ
Smoを293T細胞において一時的に過剰発現させ、膜を回収し、[3H]-Hh-Ag 1.5を2nMで添加した96ウェルプレート中でろ過膜-競合-結合アッセイを行う。膜は以下のように調製する。簡潔に、約108個の細胞に、Fugene 6 (Roche)を使用して、ヒトSmoothenedを有するpCMV6-XL5コンストラクト(OriGene)をトランスフェクトする。48時間後、細胞をPBS中にばらばらにして、1,000xgで10分間遠心分離して回収し、約10mlのEDTA非含有プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)を含有する50mM Tris pH7.5、250mMスクロースバッファに緩やかに再懸濁する。次いで、この細胞懸濁液を窒素キャビテーションデバイス(Parr Instrument Co, Moline, USA)に入れ、10分間窒素ガス(230psi)に曝露する。溶解した細胞をデバイスから出し、SS34ローター中20,000rpmで20分間、4℃で遠心分離する。上清を廃棄し、電力設定12のPolytron (Brinkman; Westbury, USA)を用いて、3回の10秒パルスを使用してペレットを10%スクロース、50mM Tris pH7.5、5mM MgCl2、1mM EDTA溶液に再懸濁する。これらの膜を使用して、標準的なプロトコルに従い、ろ過結合アッセイを行う。簡潔に、試験化合物は、細胞膜溶解物、[3H]-Hh-Ag 1.5およびプロテアーゼインヒビターを含む以下の結合バッファー(50mm Tris 7.5、5mM MgCl2、1mM EDTA、0.1% BSA)中で、室温で1時間インキュベートする。インキュベーション後、反応を、96ウェルフィルタープレートに移し、真空をかけて反応バッファーを抜き取り、ウェルを2回洗浄し、シンチレーション溶液を添加する。Top Countマイクロプレートリーダーで反応を読み取り、smoothened含有膜調製物に結合した[3H]-Hh-Ag 1.5の画分を決定する。
【0251】
【化39】
【0252】
本発明は、その好ましい態様に関して具体的に示され、記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、本発明中に形態および詳細における種々の変更がなされ得ることを当業者は理解しよう。