特許第5796090号(P5796090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796090
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】エレベータかご室の壁パネル
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/02 20060101AFI20151001BHJP
   B66B 1/50 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B66B11/02 N
   B66B1/50 B
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-555943(P2013-555943)
(86)(22)【出願日】2011年3月4日
(65)【公表番号】特表2014-509998(P2014-509998A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】IB2011000718
(87)【国際公開番号】WO2012120323
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2013年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】グレッシエン,クリステル
(72)【発明者】
【氏名】コンヴァール,エマニュエル
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−001134(JP,A)
【文献】 特開平09−194154(JP,A)
【文献】 実開昭51−001676(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/02
B66B 1/46
B66B 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル部材を備えるエレベータかご室の壁パネルであって、
前記複数のパネル部材は、かご操作パネルと、これに隣接するエレベータかご室の面との間のスペースを選択的に覆い、該スペースに仕上げ壁面を付与するように、前記壁パネルの大きさを調節すべく互いに対して移動可能であり、
前記パネル部材は、前記壁パネルが第1の外側寸法を有する収縮位置と、前記壁パネルがより大きい第2の外側寸法を有する拡張位置との間に亘って互いに対して移動可能であり、
前記パネル部材の各々は、主パネル部分と、第2のパネル部分と、を含み、
前記パネル部材が収縮位置にあるときに、前記主パネル部分は、隣接する主パネル部分に当接して、集合的に仕上げ面を付与し、
前記パネル部材が拡張位置にあるときに、前記主パネル部分及び前記第2のパネル部分は、集合的に仕上げ面を付与することを特徴とするエレベータかご室壁パネル。
【請求項2】
前記パネル部材は、前記収縮位置と最大拡張位置との間における複数の拡張位置へと移動可能であることを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室壁パネル。
【請求項3】
前記パネル部材を拡張位置へと付勢する複数の付勢部材を有することを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室壁パネル。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記パネル部材を互いに対して離間させるばねからなることを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室壁パネル。
【請求項5】
隣接する一のパネル部材から離間する一のパネル部材の移動量を制限する複数のストップ部材を備えることを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室壁パネル。
【請求項6】
前記ストップ部材は、一端が一のパネル部材に固定された軸部を含み、
前記軸部は、隣接する一のパネル部材に形成されたスロット内に少なくとも部分的に受容され、
対応する一の付勢部材によって一のパネル部材が隣接するパネル部材から離間する距離が最大となるように、各ストップ部材は、前記隣接するパネル部材に当接するストップ面を含むことを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室壁パネル。
【請求項7】
床と、
前記床の上方にある天井と、
前記床と前記天井との間に位置する複数の壁部と、
一の壁部に支持されているかご操作パネルと、
壁パネルと、
を備え、
前記かご操作パネルと、前記床又は前記天井の少なくとも一方との間には前記かご操作パネルに隣接するスペースが形成され、
前記壁パネルは、互いに対して移動可能な複数のパネル部材を有し、
前記複数のパネル部材は、前記かご操作パネルに隣接する前記スペースを選択的に覆い、該スペースにおける仕上げ壁面となるように、前記パネルの大きさを調節すべく移動可能であり、
前記パネル部材は、前記壁パネルが第1の外側寸法を有する収縮位置と、前記壁パネルがより大きい第2の外側寸法を有する拡張位置との間に亘って互いに対して移動可能であり、
前記パネル部材の各々は、主パネル部分と、第2のパネル部分と、を含み、
前記パネル部材が収縮位置にあるときに、前記主パネル部分は、隣接する主パネル部分に当接して、集合的に仕上げ面を付与し、
前記パネル部材が拡張位置にあるときに、前記主パネル部分及び前記第2のパネル部分は、集合的に仕上げ面を付与することを特徴とするエレベータかご室。
【請求項8】
前記パネル部材は、前記収縮位置と最大拡張位置との間における複数の拡張位置へと移動可能であることを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室。
【請求項9】
前記パネル部材を拡張位置へと付勢する複数の付勢部材を有することを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室。
【請求項10】
前記付勢部材は、前記パネル部材を互いに対して離間させるばねからなることを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室。
【請求項11】
隣接する一のパネル部材から離間する一のパネル部材の移動量を制限する複数のストップ部材を備えることを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室。
【請求項12】
前記ストップ部材は、一端が一のパネル部材に固定された軸部を含み、
前記軸部は、隣接する一のパネル部材に形成されたスロット内に少なくとも部分的に受容され、
対応する一の付勢部材によって一のパネル部材が隣接するパネル部材から離間する距離が最大となるように、各ストップ部材は、前記隣接するパネル部材に当接するストップ面を含むことを特徴とする請求項11に記載のエレベータかご室。
【請求項13】
前記パネル部材は、前記スペースを覆う前記壁パネルに対応する拡張位置へと自動的に移動することを特徴とする請求項に記載のエレベータかご室。
【請求項14】
かご操作パネルと、これに隣接するエレベータかご室の面との間のスペースを覆う方法であって、
前記かご操作パネルと、前記隣接するエレベータかご室の面との間に複数のパネル部材を配置するステップと、
前記パネル部材が前記スペースを覆い、前記スペースを覆うための仕上げ面を付与するまで、前記パネル部材が互いに対して移動することを許容するステップと
前記複数のパネル部材を一緒に収縮位置に位置させるステップと、
前記パネル部材が収縮位置にあるときに、前記かご操作パネルと前記隣接するエレベータかご室の面との間に前記パネル部材を配置するステップと、
前記パネル部材が拡張位置へと移動することを許容するステップと、
を含み、
前記収縮位置では、前記パネル部材は、前記スペースの寸法と最大でも同じ寸法となる第1の外側寸法を集合的に構成し、
前記拡張位置では、前記パネル部材は、前記スペースの寸法と実質的に同じ寸法であるより大きい第2の外側寸法を集合的に構成し、
前記パネル部材の各々は、主パネル部分と、第2のパネル部分と、を含み、
前記パネル部材が収縮位置にあるときに、前記主パネル部分は、隣接する主パネル部分に当接して、集合的に仕上げ面を付与し、
前記パネル部材が拡張位置にあるときに、前記主パネル部分及び前記第2のパネル部分は、集合的に仕上げ面を付与することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記パネル部材は拡張位置へと自動的に移動することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータかご室の壁パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータかご室は、例えば、ビルの異なる階の間に亘って乗客を運ぶ。エレベータかご室の室内は、種々のスタイルで仕上げられている。多くのエレベータかご室は、乗客が行き先階を選択するためのかご操作パネルを含む。かご操作パネルは、通常、かご室の室内と調和するように仕上げられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エレベータかご室を組み立てる際に、種々の問題が生じる。例えば、かご室の大きさに合わせて特注部品を設計することが必要な場合がある。種々のかご室の大きさに合わせて特注部品を設計することは、コストが増加するとともに、取付作業者が揃えておくべき部品が多くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的なエレベータかご室の壁パネルは、壁パネルの大きさを調節するように互いに対して選択的に移動可能な複数のパネル部材を備える。壁パネルは、かご操作パネルと、これに隣接するエレベータかご室の面との間のスペースを選択的に覆うのに有用である。壁パネルは、スペースに仕上げ壁面を付与する。
【0005】
例示的なエレベータかご室は、床と、床の上方にある天井と、床と天井との間に位置する複数の壁部と、を備える。一の壁部によりかご操作パネルが支持されており、かご操作パネルと、床又は天井の少なくとも一方との間にはかご操作パネルに隣接するスペースが形成されている。壁パネルは、かご操作パネルに隣接するスペースを選択的に覆うべく、壁パネルの大きさを調節するように互いに対して選択的に移動可能な複数のパネル部材を有する。壁パネルは、スペースに仕上げ壁面を付与する。
【0006】
かご操作パネルと、これに隣接するエレベータかご室の面との間のスペースを覆う例示的な方法は、かご操作パネルと、隣接するエレベータかご室の面との間に複数のパネル部材を配置するステップを含む。パネル部材は、パネル部材がスペースを覆い、スペースを覆うための仕上げ面を付与するまで、互いに対して移動することが許容される。
【0007】
本発明の開示する実施例の種々の利点及び特徴は、以下の詳細な説明によって当業者に明らかになるであろう。詳細な説明に付随する図面について、以下に簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例により設計されたエレベータかご室の一部を示す概略図。
図2】互いに対して第1の位置にあるパネル部材を有する本発明の一実施例により設計された例示的な壁パネルを示す概略図。
図3】互いに対して第2の位置にあるパネル部材を有する図2の例示的な壁パネルを示す概略図。
図4図2の実施例の一部の特徴を示す概略図。
図5】他の位置における図4の実施例の一部の特徴を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、エレベータかご室20の一部を概略的に示したものである。本実施例では、かご室20は、周知のように開閉してエレベータかご室内へのアクセスを許容するエレベータかごドア22を有する。ドア22の一方の側には一の壁部24があり、ドア22の他方の側には他の壁部26がある。本実施例では、壁部26にかご操作パネル28が設けられている。かご操作パネル28により、例えば、乗客が所望の行き先階を選択することができる。
【0010】
かご操作パネル28と、エレベータかご室20の床32との間には、壁パネル30が位置する。かご操作パネル28を取り付けたとき、かご操作パネル28と、これに隣接するエレベータかご22の面(例えば、床32の面)との間にスペースSが生じる。壁パネル30は、スペースSを覆い、スペースSにおける仕上げ面となる。例示的な壁パネル30を取り付けた後は、スペースSの仕上げのために何も要求されない。
【0011】
壁パネル30は、異なるエレベータかご室において大きさが異なるスペースSに合わせて外側の寸法を選択的に調節することができる。スペースSは、例えば、かご操作パネル28の底部と、エレベータかご室20の床32との間で異なっていることがある。例示的な壁パネル30は、スペースSを容易に満たし、スペースSを覆って仕上げ面を付与することで、エレベータかご室20の経済的な組立及び設置を促進する。
【0012】
図1に示したスペースSは説明を目的として図示したものであることを理解されたい。図示したエレベータかご室20の異なる特徴部分の相対的な比率や寸法は、図示したものと異なる場合がある。例えば、壁部26に対するかご操作パネル28の寸法が異なることがある。スペースSの大きさは、エレベータかご室内から見た場合に、例えば、高さが10mm〜15mm程度であり、幅が500mm程度とし得る。
【0013】
図2から分かるように、壁パネル30は、複数のパネル部材34を有する。図には4つのパネル部材34A,34B,34C,34Dを示している。壁パネル30の他の実施例として、異なる数のパネル部材を有していてもよい。図2では、パネル部材34は、互いに対して密に収縮(圧縮)されて、第1の外側寸法H1が形成される。この第1の収縮位置では、複数の主パネル部分36A,36B,36C,36Dは、第1の外側寸法H1に対応する大きさを有するスペースSを覆う仕上げ面を構成する。図2に示す収縮位置では、複数の主パネル部分36は、互いに隣接して受容され、該部分が集って(集合的に)、スペースSを覆うために用いられる仕上げ面をもたらす。
【0014】
図3は、第2の拡張位置にあるパネル部材34を図示している。図3に示すように、パネル部材34は、主パネル部分36と、第2のパネル部分38A,38B,38C,38Dと、を有する。図3の拡張位置では、主パネル部分36及び第2のパネル部分38は、より大きい第2の外側寸法H2を集合的に構成する。
【0015】
図2図3とを比較すると、壁パネル30が、かご操作パネル28と、これに隣接するエレベータかご室の面との間におけるスペースSの異なる寸法に対応して、スペースSを覆い、仕上げ面を付与するために、壁パネル30をどのように調節しているかが分かる。図3の実施例では、主パネル部分36及び第2のパネル部分38は、壁パネル30がエレベータかご室内に集合的に配設されたときに仕上げ面を付与する。
【0016】
図2,3の実施例では、パネル部材34は、図2に示す収縮位置から、図3に示す拡張位置まで自動的に移動可能である。図4は、このような自動的な移動をもたらす一の例示的な構成を概略的に示している。パネル部材34は、複数の付勢部材40によって互いに対して選択的に遠ざけられて図3の拡張位置へと押しやられる。本実施例では、付勢部材40は、一のパネル部材に固定された第1の端部42と、隣接する一のパネル部材の反応面46に当接する第2の端部44と、を有するバネからなる。一実施例では、パネル部材34及び付勢部材40は、単一部品として一体的に形成される。一実施例には、プラスチック製のパネル部材34と、プラスチック製の付勢部材40と、が含まれる。
【0017】
図示した実施例には、互いに対するパネル部材34の調節及び拡張量を制限する制限部材が含まれる。本実施例では、各制限部材は、一のパネル部材34に接続された軸部(ステム)50を含む。軸部50は、隣接する一のパネル部材34に設けられたスロット52内に少なくとも部分的に受容される。パネル部材34が互いに対して移動するとき、軸部50はスロット52を通して移動する。
【0018】
例示的な制限部材の各々は、隣接する一のパネル部材34の反応面56に当接するストップ面54を含み、付勢部材40によってパネル部材34が互いに対して離間したときに、軸部50の長さによって、許容される最大距離(長さ)が生じるようになっている。
【0019】
図から分かるように、例示的な壁パネル30は、かご操作パネル28と、エレベータかご室における隣接する面との間に生じる種々の大きさのスペースSに対応する。収縮位置と最大拡張位置との間において、種々の拡張位置とすることができる。一実施例において、前記収縮位置では、主パネル部分36が互いに対して密に接して受容されており、前記最大拡張位置では、主パネル部分36は拡張位置における最大距離に亘って互いに離間し、第2のパネル部分38が隣接する主パネル部分36間の距離を覆うように位置している。
【0020】
例示的な壁パネル30を設置することは、例示的な実施例によれば比較的容易である。パネル部材34は、例えば、付勢部材40の付勢に対抗して、図2の収縮位置まで互いに対して収縮される。次いで、壁パネル30は、エレベータかご室内において、かご操作パネル28と、床32などの隣接する面との間に位置する。その後、付勢部材40の作用によって、スペースSの寸法と実質的に同じ外側寸法を有する拡張位置へとパネル部材34が移動するまで、パネル部材34は互いに対して自動的に移動する。換言すると、パネル部材34は、スペースSをカバーし、かご操作パネル28と、床32などの隣接する面との間においてかご室内に仕上げ面を付与するため、互いに対する所定の位置へと自動的に移動する。
【0021】
上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではない。当業者であれば、開示した実施例に対して、本発明の本質から逸脱することなく種々の変更や修正が加え得ることを理解されるであろう。本発明に与えられる法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することにより判断され得る。
図1
図2
図3
図4
図5