(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
EL素子による画素がマトリックス状に配置された表示領域と、前記画素に映像信号を供給するソース信号線と、前記画素の発光の選択/非選択を制御する信号を供給するゲート信号線とを備えた表示パネルを有し、
前記表示パネルは入射光を偏光させる偏光板を有し、かつ表示パネルは入射光の方向を変化させる特性を有する座標検出マークを備え、
前記座標検出マークは画素に形成される
情報表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施の形態における情報表示装置について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、一実施の形態におけるEL表示装置の画素の概略構成と駆動回路の一例を示す構成図である。なお、
図1においては、EL表示装置の主要部のみ示している。
【0011】
図1に示すように、EL表示装置は、EL表示パネル1と駆動回路を搭載した配線基板とから構成されている。EL表示パネル1は、表示領域2にEL素子を有する複数個の画素をマトリクス状に配置した構成である。
【0012】
まず、画素の構成について説明する。1個の画素10は、Pチャンネルの駆動用のトランジスタ11aのドレイン端子に、スイッチ用のトランジスタ11dのソース端子が接続され、トランジスタ11dのドレイン端子にEL素子12のアノード端子が接続された構成を有している。トランジスタ11b、11c、11e、11fは、画素10に設けられた他のスイッチ用のトランジスタであり、またコンデンサ13a、13b、13c、13d、13eは、トランジスタ11a〜11fのオンオフを制御するためのコンデンサである。
【0013】
また、EL素子12のカソード端子には、カソード電圧Vssが印加されており、トランジスタ11aのソース端子には、EL表示装置のアノード電極からアノード電圧Vddが印加されており、それらのアノード電圧Vddとカソード電圧Vssとは、アノード電圧Vdd>カソード電圧Vssの関係になるように設定されている。
【0014】
また、駆動回路は、ソースドライバ回路としてのソースドライバIC14と、ゲートドライバ回路としてのゲートドライバIC15、16とを有している。ソースドライバIC14およびゲートドライバIC15、16と、画素10とは、ゲート信号線17(17a、17b、17c、17d、17e)およびソース信号線18を介して電気的に接続されている。また、ゲートドライバIC15は、配線基板としてのフレキシブル基板(COF)19に搭載され、このCOF19を介してゲートドライバIC16がEL表示パネル1に接続されている。
【0015】
図1において、画素10の発光の選択/非選択を制御する信号が供給されるゲート信号線において、ゲート信号線17d(Gd)にオン電圧が印加されると、トランジスタ11dがオンし、トランジスタ11aからの発光電流がEL素子12に供給され、EL素子12は、発光電流の大きさに基づき発光する。発光電流の大きさは、ソース信号線18に印加された映像信号を、スイッチ用のトランジスタ11bを通して画素10に印加することにより決定される。
【0016】
すなわち、トランジスタ11aのゲート端子とドレイン端子間には、トランジスタ11bのソース端子とドレイン端子が接続され、ゲート信号線17b(Gb)にオン電圧が印加されることにより、トランジスタ11aのゲート端子とドレイン端子間を短絡(接続)する。トランジスタ11aのゲート端子には、コンデンサ13bの一方の端子が接続され、コンデンサ13bの他方の端子は、トランジスタ11bのドレイン端子と接続されている。トランジスタ11cのソース端子は、トランジスタ11bを介してソース信号線18と接続されており、トランジスタ11cのゲート端子にゲート信号線17c(Gc)のオン電圧が印加されると、トランジスタ11cがオンして、ソース信号線18に供給された映像信号に応じて、電圧Vsが画素10に印加される。
【0017】
また、画素10のコンデンサ13aの一方の端子は、トランジスタ11bのドレイン端子と接続され、他方の端子は、EL表示装置のアノード電極に接続され、アノード電圧Vddが印加されている。
【0018】
トランジスタ11eのドレイン端子は、トランジスタ11bのドレイン端子と接続され、トランジスタ11eのソース端子は、リセット電圧Vaが印加された信号線と接続されている。ゲート信号線17a(Ga)にオン電圧が印加されることにより、トランジスタ11eがオンし、リセット電圧Vaがコンデンサ13aに印加される。
【0019】
ここで、トランジスタ11c、11eはPチャンネルにし、LDD構造を採用する。つまり、複数のトランジスタのゲートが直列に接続した構造を採用することにより、トランジスタ11c、11eのオフ特性を良好にできる。トランジスタ11c、11e以外のトランジスタもPチャンネルを採用し、LDD構造を採用することが好ましく、必要に応じて、マルチゲート構造とすることにより、オフリークを抑制でき、良好なコントラスト、オフセットキャンセル動作を実現できる。
【0020】
なお、コンデンサ13aについて、アノード電圧Vddを印加する構成としているが、これに限定するものではなく、他の任意の直流電圧と接続してもよい。トランジスタ11aについても同様にアノード電圧Vdd以外の任意の直流電圧を印加する構成としてもよい。つまり、コンデンサ13aと、トランジスタ11aのソース端子には、同じ電圧を印加するのではなく、異なる電圧を印加するようにしてもよい。例えば、トランジスタ11aのソース端子は、アノード電圧Vddを印加し、コンデンサ13aには、直流電圧Vb(5(V))の電圧を印加する接続構成としてもよい。
【0021】
また、PWM駆動方式のように、画素10を点滅あるいはデジタル的に点灯させて表示するデジタル駆動方式の場合は、所定の電圧値
がトランジスタ11bを通して画素10に印加
され、映像信号の階調に対応するビット数に応じて、トランジスタ11d
がオンオフ
して階調表示することにより発光駆動制御を行う。また、トランジスタ11dをオンオフ制御し、表示領域2に帯状の黒表示(非表示)を発生させ、表示領域2に流れる電流量を制御する。
【0022】
次に、
図1において、点線で示しているコンデンサ13c、13dの作用について説明する。コンデンサ13cは、ゲート信号線17bとトランジスタ11aの間に形成され、コンデンサ13dは、ゲート信号線17dとトランジスタ11aのゲート端子の間に形成される。このコンデンサ13c、13dなどを突き抜けコンデンサと呼び、また、変化させる電圧あるいは変化した電圧を、突き抜け電圧と呼ぶ。
【0023】
図1において、ゲート信号線17bにオン電圧(VGL)が印加されている時には、トランジスタ11bがオン状態であり、ソース信号線18に印加されている映像信号を画素10に印加される。次に、ゲート信号線17bに印加される電圧が、オン電圧VGLからオフ電圧VGHに変化すると、トランジスタ11bはオフする。その際、コンデンサ13cの一端の電圧もVGLからVGHに変化し、変化に基づいた電圧がトランジスタ11aのゲート端子に伝達される。伝達された電圧は、トランジスタ11aのゲート端子電圧を上昇させる方向であり、またトランジスタ11aがPチャンネルトランジスタであるため、電圧変化は、トランジスタ11aがEL素子12に流す電流を減少させる方向となり、良好な黒表示を実現できる。
【0024】
このように、コンデンサ13cの容量を介して駆動用のトランジスタ11aのゲート端子電圧(コンデンサ13eの電位)を変化させることにより、良好な黒表示を行うことができる。
【0025】
また、トランジスタ11dがオンのときは、ゲート信号線17dには、VGL2電圧が印加され、トランジスタ11dがオフのときは、ゲート信号線17dには、VGH2電圧が印加される。トランジスタ11dは、オフセットキャンセル動作の時は、オフ状態であり、EL素子12を発光させるときは、オン状態である。したがって、表示開始時に、ゲート信号線17dは、VGH2電圧→VGL2電圧に変化する。そのため、トランジスタ11aのゲート端子の電圧は、突き抜けコンデンサ13dの作用により低下する。トランジスタ11aのゲート端子の電圧が低下すると、トランジスタ11aは、EL素子12に大きな電流を流すことができ、高輝度表示が可能である。
【0026】
このように、コンデンサ13dの容量を介して駆動用のトランジスタ11aのゲート端子電圧を変化させることにより、EL素子12に流す電流の振幅を大きくして、高輝度表示が可能となる。
【0027】
コンデンサ13cの容量は、コンデンサ13aまたはコンデンサ13bの容量の1/12以上で1/3以下とすることが好ましい。コンデンサ13cの容量比が小さすぎると、トランジスタ11aのゲート端子電圧の変化割合が大きくなりすぎ、オフセットキャンセルした状態の理想値からの差異が大きくなりすぎる。また、容量比が大きすぎると、トランジスタ11aのゲート端子電圧の変化は小さくなり、効果が得られにくい。
【0028】
なお、駆動用のトランジスタ11aのゲート端子電圧を変化させる方法として、コンデンサ13cにより直接に変化させることのみに限定されない。例えば、他のコンデンサを介して、間接的に駆動用のトランジスタ11aのゲート端子電圧を変化させてもよい。
【0029】
図2A〜
図2Dは、一実施の形態におけるEL表示装置の画素の動作の説明図である。
図2A〜
図2Dを用いて、画素10の点灯動作についてさらに詳しく説明する。画素に映像信号を書き込む動作、EL素子12の発光動作は、
図2A→
図2B→
図2C→
図2Dで進行する。
【0030】
図2Aは一実施の形態におけるEL表示装置の画素の初期動作の説明図である。水平同期信号(HD)後、初期化動作が実施される。
図1において、ゲート信号線17a、17d、17eにオン電圧が印加され、トランジスタ11d、11e、11fがオンする。ゲート信号線17b、17cにはオフ電圧が印加され、トランジスタ11b、11cがオフする。リセット電圧Vaが印加された信号線から、リセット電圧Vaが、コンデンサ13aの一方の端子に供給される。
【0031】
トランジスタ11aには、ソース端子の電位Vddから、トランジスタ11a、11c、11fのチャンネルを介して、トランジスタ11fのドレイン端子の電極に印加された直流電圧Vbに向かってオフセットキャンセル電流Ifが流れる。なお、電圧の大きさは、アノード電圧Vdd>直流電圧Vb、リセット電圧Va>直流電圧Vbなる関係としている。
【0032】
オフセットキャンセル電流Ifが流れることにより、トランジスタ11aのドレイン端子電位が低下する。また、リセット電圧Vaによりリセット電流Irが流れ、コンデンサ13bの端子にVa電圧が印加される。
【0033】
トランジスタ11aはオンし、僅かな期間の間、オフセットキャンセル電流Ifを流す。オフセットキャンセル電流Ifにより、少なくともトランジスタ11aのドレイン端子電圧はアノード電圧Vddより降下し、動作可能状態となる。
【0034】
図2Bは、一実施の形態におけるEL表示装置の画素のリセット動作の説明図である。
図1において、ゲート信号線17cにオン電圧が印加され、ゲート信号線17dにオフ電圧が印加される。トランジスタ11dがオフし、トランジスタ11cがオンする。
【0035】
トランジスタ11dがオフし、トランジスタ11cがオンすることにより、オフセットキャンセル電流Ifが、トランジスタ11aのゲート端子に向かって流れる。オフセットキャンセル電流Ifは、最初は比較的大きな電流が流れる。トランジスタ11aのゲート端子の電位が上昇し、オフ状態に近づくにつれ、流れる電流は減少する。最終的には、0(μA)あるいは0(μA)近傍の電流値となる。
【0036】
以上の動作により、トランジスタ11aは、オフセットキャンセルの状態となる。オフセットキャンセル電圧は、コンデンサ13bに保持される。コンデンサ13bは、一方の端子がリセット電圧Vaに保持されている。他の端子(トランジスタ11aのゲート端子に接続されている端子)に、オフセットキャンセル電圧が保持される。
【0037】
図2Cは、一実施の形態におけるEL表示装置の画素のプログラム動作の説明図である。プログラム動作では、
図1において、ゲート信号線17a、17c、17dにオフ電圧が印加され、トランジスタ11e、11c、11dがオフする。ゲート信号線17bにオン電圧が印加され、トランジスタ11bがオンする。
【0038】
一方、ソース信号線18には、映像信号電圧Vsが印加される。トランジスタ11bがオンすることにより、映像信号電圧Vsがコンデンサ13bに印加される。コンデンサ13bの端子は、リセット電圧Vaから映像信号電圧Vsに変化する。したがって、コンデンサ13bには、映像信号電圧Vs+オフセットキャンセル電圧に基づいた電圧が保持されることになる。
【0039】
なお、映像信号電圧Vsは、アノード電圧Vddを基準とした電圧である。アノード電圧Vdd電圧は、パネル内の配線電圧降下により、パネル内で異なる。したがって、映像信号電圧Vsも画素に印加されるアノード電圧Vddに基づいて、可変あるいは変化させる。
【0040】
図2Dは、一実施の形態におけるEL表示装置の画素の発光動作の説明図である。
図2Cのプログラム動作後、
図1において、ゲート信号線17bにはオフ電圧が印加され、トランジスタ11bはオフ状態となる。画素10はソース信号線18から切り離される。ゲート信号線17dには、オン電圧が印加され、トランジスタ11dがオンし、トランジスタ11aからの発光電流Ieが、EL素子12に供給される。EL素子12は、供給される発光電流Ieに基づいて発光する。
【0041】
なお、
図1、
図2A〜
図2Dにおいて、トランジスタ11fを削除してもよい。トランジスタ11fがない画素構成では、
図2Aにおいて、トランジスタ11dがオンしたとき、オフセットキャンセル電流Ifは、EL素子12に流れる。オフセットキャンセル電流IfがEL素子12に流れることにより、EL素子12が発光するが、オフセットキャンセル電流Ifが流れる時間は、1μsec以下であるので、EL素子12が発光する時間はわずかである。したがって、本開示のEL表示装置(EL表示パネル)のコントラスト低下は、ほとんど発生しない。
【0042】
ソースドライバ回路としてのソースドライバIC14は、単なるドライバ機能だけでなく、電源回路、バッファ回路(シフトレジスタなどの回路を含む)、データ変換回路、ラッチ回路、コマンドデコーダ、シフト回路、アドレス変換回路、画像メモリなどを内蔵させてもよい。
【0043】
ゲートドライバIC16は、Pチャンネルトランジスタと、コンデンサを用いてシフトレジスタ、出力バッファ回路を構成してもよい。Pチャンネルトランジスタのみ構成することにより、プロセスで使用するマスク数が少なくなり、パネルの低コスト化を実現することができる。
【0044】
また、トランジスタ11a〜11fは、高温ポリシリコン、低温ポリシリコン、連続粒界シリコン、透明アモルファス酸化物半導体、アモルファスシリコン、赤外線RTA(で形成したもののうち、いずれでもよい。これらのトランジスタは、トップゲート構造にすることにより、寄生容量が低減し、トップゲートのゲート電極パターンが遮光層となり、EL素子12から出射された光を遮光層で遮断し、トランジスタの誤動作、オフリーク電流を低減できる。
【0045】
ゲート信号線17またはソース信号線18、もしくはゲート信号線17とソース信号線18の両方の配線材料としては、配線抵抗を低減でき、より大型のEL表示パネルを実現できることから、銅配線または銅合金配線を採用できるプロセスを実施することが好ましい。
【0046】
図3は一実施の形態におけるEL表示装置のEL表示パネルの一例を示す断面図である。
図3に示すように、EL表示パネルの背面側には封止板30が配置されるとともに、表示面側にはアレイ基板31が配置され、そしてアレイ基板31の表示面には、円偏光フィルム、円偏光フィルター、円偏光シートなどからなる偏光板32が配置されている。このアレイ基板31の構成材料としては、光透過性を有するガラス基板、シリコンウエハ、金属基板、セラミック基板、プラスチックシートなどや放熱性を良好にするためにサファイアガラスなどが用いられる。封止板30の構成材料としては、アレイ基板31と同様な材料が用いられる。なお、封止板30とアレイ基板31との空間には、湿度に弱いEL材料の劣化を防止するために乾燥剤(図示せず)が配置されている。封止板30とアレイ基板31とは、周辺部を封止樹脂(図示せず)により封止されている。
【0047】
また、封止板30とアレイ基板31との間の空間、あるいは封止板30の表面などには、温度センサ(図示せず)が配置されており、この温度センサの出力結果により、EL表示パネルのデューティ比制御や点灯率制御などを実施する。さらに、パネル検査時、温度センサの検出出力に基づいて、ゲートドライバ回路の動作速度を調整するようにしている。
【0048】
偏光板32は、直線偏光フィルムに1/4位相差フィルム(1/4波長板)を貼り合せることにより構成され、直線偏光フィルムの吸収軸に対し、1/4位相差フィルムを45度に貼れば、右回転円偏光板となり、135度(−45度)で貼れば、左回転の円偏光板になる。位相差フィルム側を内側にして、左右の円偏光板を重ねると、パネル内部で発生する外光反射を遮断することができる。なお、偏光板32は、円偏光フィルム、円偏光フィルター、円偏光シート以外に楕円偏光や直線偏光を行うものであってもよい。また、1/4波長板は、位相差フィルムに限定されるものではなく、水晶や雲母などの結晶を用いて位相を変える素子であってもよい。位相差フィルムとしては、一軸延伸のポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーからなるフィルムを用いることができ、波長550nmにおけるリタデーション120〜150nmにすることが好ましい。さらに、偏光板32は、ガラスウエハ上にアルミニウム薄膜を形成し、そこに微細なスリットを入れることによって偏光性能を発生させたものを用いてもよい。
【0049】
まず、薄膜トランジスタアレイ基板側について説明すると、
図3において、アレイ基板31内面には、赤(R)、緑(G)、青(B)からなるカラーフィルター(図示せず)が形成されている。なお、カラーフィルターは、RGBに限定されものではない、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)色の画素を形成してもよい。また、白(W)の画素を形成してもよい。カラー表示を行うための1つの画素は、RGBの3画素で正方形の形状となるように作製されている。なお、R、G、Bの画素開口率は、異ならせてもよい。開口率を異ならせることにより、各画素のRGBのEL素子12に流れる電流密度を異ならせることができ、これにより、RGBのEL素子12の劣化速度を同一にすることができる。
【0050】
EL表示パネルにおいて、カラー表示を行う方法としては、上記のようにカラーフィルターを用いる以外に、青色発光のEL層を形成し、発光する青色光を、R、G、Bの色変換層でR、G、B光に変換してもよい。
【0051】
また、アレイ基板31上に形成される各画素は、
図1に示すように、複数個のトランジスタ11を有しており、そして画素間にはゲート信号線(図示せず)が配置されている。また、トランジスタ11上には、遮光膜33が形成される。また、必要に応じて、トランジスタ11の下層、ゲートドライバ回路の下層/上層に、遮光膜33が形成される。画素電極としてのアノード電極34とトランジスタ11とは、接続部35により電気的に接続されている。アノード電極34には、ITO、IGZO、IZO、Mg−Agなどからなる透明電極が用いられる。
【0052】
前記遮光膜33は、クロムなどの金属薄膜で形成し、その膜厚は50nm以上150nm以下にする。遮光膜33の膜厚が薄いと、遮光効果が乏しく、厚いと凹凸が発生して上層のトランジスタ11のパターニングが困難になる。そして、カラーフィルター上には、トランジスタ11やゲート信号線およびソース信号線(図示せず)を覆うように層間絶縁膜としての絶縁膜36が形成され、さらにカラーフィルター間にはブラックマトリクス(図示せず)が形成されている。
【0053】
また、絶縁膜36内には、アレイ基板31側のトランジスタ11と発光部側のアノード電極34を接続するための接続部35が配置されている。絶縁膜36は、2.0μm以下の膜厚で形成する。絶縁膜36の膜厚が0.4μm以下であれば、層間絶縁が不良になり、2.0μm以上であれば、接続部35の形成が困難になり、コンタクト不良の原因となる。
【0054】
次に、発光部側について説明すると、
図3において、アノード電極34の周辺部には、各画素間を仕切るようにリブ37が形成され、そのリブ37内に、赤(R)、緑(G)、青(B)のEL層38が形成されている。そして、EL層38には、アノード電極34とでEL層38を挟むようにカソード電極39が形成されている。このカソード電極39としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)あるいはこれらの合金や、ITO、IGZO、IZOなどの透明電極を用いることができる。
【0055】
また、カソード電極39において、リブ37と対応する部分には、反射膜40が形成されている。EL表示パネル1に偏光板32側から入射してくる外光は、偏光板32を通過するときに、外光の約43%程度が吸収され、残りが透過するが、偏光板32を透過した光は、位相フィルムを通るときに右まわりに回転する光となり、反射膜40などで反射されて回転方向が反転して左回りの光となって再び偏光板32に戻ってくる。このとき、偏光板32は右回りの光だけを透過させて、左回りの光は吸収するため、最終的に外光の反射光は、ほとんどゼロになる。
【0056】
ここで、偏光板32部分について詳細に説明すると、
図3において、偏光板32は、アレイ基板31に接着層41により貼り付けられている。接着層41は、熱硬化型、熱可塑型のいずれのものでもよいが、光透過性が良好なものがよく、例えば、熱可塑性の接着材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、ナイロン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる接着材料を用いることができる。熱硬化性の接着材料としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂からなる接着材料を用いることができる。なお、接着層41は、接着材に限定されるものでなく、エチレングリコール、サルチル酸メチルなどのオプティカルカップリング剤であってもよい。
【0057】
偏光板32の下層において、アレイ基板31の表面には、入射光の方向を変化させるように光散乱や回折格子の特性を有する座標検出マーク42が形成されている。この座標検出マーク42は、光散乱材を塗布することにより形成する場合、光散乱材の塗布量によって、透過率や散乱度合いを調整することができる。なお、光散乱材としては、例えばカルシウムを主剤とした光散乱材樹脂材料に酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどを拡散させたものや、オパールガラスなどの光散乱物や、溶媒に白色顔料、またはガラスやセラミクスのビーズを分散されたものや、ポリマーマトリックス内にミクロな不均一構造を形成することにより、光の導波と散乱出射の機能をあわせ持つ光散乱ポリマー導光体などを用いることができる。
【0058】
また、座標検出マーク42として、特定の波長の光、例えば赤外(IR)が照射されることに、一定の波長の光を散乱、反射、吸収などする材料で形成してもよい。さらに、膜に着色するための顔料や、膜に凹凸をつけたり、光を散乱させたりするための体質顔料などを添加した材料を用いて形成してもよい。なお、体質顔料は、トレーシングフィルムのマット材から、インクジェットのインキ吸収性向上や散乱フィルムの光散乱のために使用されているものを用いることができる。他に、導電性を上げるために用いるアンチモンドープ酸化錫のような金属酸化物を用いたり、粘着剤の銀糊のようにアルミの粉を用いたりしてもよい。さらに、座標検出マーク42の形成方法として、表面に微細な凹凸を形成し、入射した円偏光の偏光状態を乱す構成としたり、パターニングにより形成した後、表面を酸化あるいはエッチングにより、粗面化、白濁化する構成としてもよい。その他に、位相を変化させる材料で形成した構成であってもよい。例えば、アレイ基板31に、光学的樹脂を塗布して硬化させ、座標検出マーク42部に、押圧、圧延、加熱することにより、光学位相差を発生させることによりた座標検出マーク42を形成してもよい。また、均一な位相を有するフィルムを作製し、アレイ基板31に貼り付けた後、座標検出マーク42部に、押圧、圧延、加熱することにより、光学位相差を発生させることにより構成してもよい。
【0059】
このように座標検出マーク42が光散乱性、回折性を有していることにより、座標検出マーク42に入射した光が座標検出マーク42で反射して円偏光状態が乱れ、その光の一部が、偏光板32を透過することとなり、外光(IR)により、座標検出マーク42を検出することができる。
【0060】
以上のように、本開示のEL表示装置においては、座標検出マーク42を有していることにより、外部からパネル内部に入射した光は座標検出マーク42により反射(散乱、拡散、回折、位相変化、屈曲も含む)され、再びパネル外部に出力されることができ、これにより座標検出マーク42を検出することができる。
【0061】
ここで、
図3に示す例は、アレイ基板31側から光を取り出す構成の例であるが、
図4に示すように、発光部側から光を取り出す構成のEL表示パネルを用いてもよい。
【0062】
図4に示す例のパネルにおいては、カソード電極39の上層あるいは下層に、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)の中から選ばれる金属の積層構造や複数の金属材料の合金金属薄膜からなる低抵抗化配線43を形成している。そして、この低抵抗化配線43を含め、カソード電極39を封止膜44で覆った後、ガラス基板や光透過性のフィルムからなる封止板30を接着した構成としている。偏光板32は、封止板30の表示面側に貼り付けにより配置し、座標検出マーク42は、封止膜44側に形成している。
【0063】
なお、
図4に示す例においても、座標検出マーク42で、乱れた光を、より良好に反射させるために、
図3に示すように、反射膜40を形成してもよい。
【0064】
図5と
図6は一実施の形態におけるEL表示装置を用いた情報表示装置の一例を示す説明図である。この実施の形態においては、
図4に示すEL表示装置を用いた例を示している。なお、
図5、
図6においては、主要な構成部分のみ示している。
【0065】
図5において、電子ペン51には、赤外線(IR)56を放射する光発生手段としてのLED(IR−LED)52と、座標検出マーク42を含む所定範囲の画像を取り込む画像取得手段としてのCCD53とが内蔵されている。なお、LED52は、赤外線(IR)に限定されるものではなく、可視光を発光するものであってもよい。また、紫外線を放出するものであってもよい。IRの場合は、EL表示パネルが発生する可視光と分離できるので好ましい。一方、可視光の場合は、座標入力(座標取得)位置が、視覚的に認識することができるので好ましい。また、可視光の場合は、R、G、Bなど好みに応じて色を可変、光強度を調整できるようにしておくのがよい。
【0066】
LED52は、赤外線56を連続的に、あるいは、画像表示の垂直同期信号、水平同期信号と同期して、パルス状にEL表示パネル1に照射する。赤外線56は、集光レンズ54と略球状の先端レンズ55を透過して、EL表示パネル1に照射される(光の軌跡A)。集光レンズ54、先端レンズ55として、蛍石を用いても良い。蛍石は軽量で透過率や屈折率の波長分散が極めて小さく、透過波長領域が広い。この異常部分分散性を利用し、通常の光学ガラスと組み合わせることで、非常に色収差の少ない光学系を作ることができる。
【0067】
先端レンズ55を用いることにより、CCD53の光軸と電子ペン51の中心軸を略一致させることができる。なお、先端レンズ55は、球面レンズに限定されるものではない。凸レンズ、凹レンズなどを適時、組み合わせたものを用いてもよい。
【0068】
一方、EL表示パネル1で反射した光(光の軌跡B)は、先端レンズ55、集光レンズ54を透過してCCD53に入射する。CCD53の光軸と電子ペン51の中心軸とは、15度(DEG.)以内にすることが好ましい。さらに好ましくは、CCD53の光軸と電子ペン51の中心軸とは、10度(DEG.)以内にすることが好ましい。
【0069】
CCD53、集光レンズ54などの組み合わせは、カメラとして機能する。なお、CCD53の代わりに、フォトトランジスタやフォトダイオードなどの他の受光素子を用いることも可能である。その場合には、集光レンズ54と受光素子との間に、(6ドット×3倍)×(6ドット×3倍)個の格子を有する液晶シャッターを設ける。
【0070】
液晶シャッターが個々の格子の光の透過と遮断とを制御して座標検出マーク42に含まれるドットの読取情報をドットごとに順次受光素子の受光面上に入射させるようにすることで、受光面と同様の分解能を実現できる。
【0071】
電子ペン51は、表示画面上の所定の領域の情報を読取ることができるように構成されている。電子ペン51は、ペン先が表示画面に接すると、その位置における光学的情報を読取る。電子ペン51から放射された赤外線56は、偏光板32を透過し、円偏光の光Aとなる。
図5では、円偏光の光Aは、反射膜40で反射し、円偏光の回転方向は、逆となる反射光Bとなる。反射光Bは、偏光板32の位相差フィルム(図示せず)に入射し、直線偏光となる。しかし、この直線偏光は、偏光板32の偏光軸に直交しているため、偏光板32の偏光フィルム(図示せず)で吸収される。したがって、偏光板32から出射されない。
【0072】
図6において、電子ペン51から放射された赤外線56は、偏光板32を透過し、円偏光の光Aとなる。
図6では、円偏光の光Aは、座標検出マーク42に照射される。座標検出マーク42は、光散乱材料で形成されている。したがって、反射光Bの少なくとも一部は散乱され、円偏光状態は乱される。反射光Bは、偏光板32の位相差フィルム(図示せず)に入射するが、座標検出マーク42で乱された光は、直線偏光とはならない。つまり、2方向の偏光軸を有する光が混在したものとなる。したがって、偏光板32の偏光フィルムの偏光軸と一致した光は、EL表示パネル1から出射される。
【0073】
EL表示パネル1の画素10で発生した光は、偏光板32の偏光軸に一致する光だけがEL表示パネル1から出射される。
【0074】
以上のことから、電子ペン51から放射された赤外線56は、座標検出マーク42で反射した光の一部が、EL表示パネル1から出射される。画素10のアノード電極34などで反射した光は、EL表示パネル1から出射されない。したがって、座標検出マーク42に入射した光が、CCD53に入射することにより、座標検出マーク42を認識することができる。
【0075】
図7は電子ペンとタブレット端末の基本構成を示す模式図である。
図5、
図6では、電子ペン51に先端レンズ55を設けた構成であったが、
図7では、ペン先61を設けた構成である。なお、71は、表示パネルを用いたタブレットなどの情報機器である。なお、ペン先61に先端レンズ55を付加してもよい。
【0076】
図7において、電子ペン51は、LED52、CCD53、集光レンズ54以外に、ペン先61、赤外線フィルター(IRフィルター)62、圧力センサ63、MPU(処理回路)64、加速度センサ65、角度センサ66、スイッチ67、送信部68、表示LED69などを備えている。タブレット端末71は、EL表示パネル1の表示画面72、パネル駆動回路73、受信部74、MPU(処理回路)75、スピーカ76を備えている。
【0077】
電子ペン51のLED52から放射された赤外線56は、集光レンズ54で集光などされ、表示画面72を照明する。表示画面72で反射された赤外線56は、集光レンズ54で集光され、可視光をカットし、赤外線光を透過させる赤外線フィルター(IRフィルター)62を通過する。通過した赤外線56は、CCD53に入射する。
【0078】
表示画面72のうち、所定範囲の読取領域の光が集光レンズ54によってCCD53の受光面上に集光され、CCD53が読取領域に含まれる座標検出マーク42の画像を読取る。CCD53によって読取られた画像情報は、MPU(処理回路)64に送られる。
【0079】
図8は情報読み取り例を説明する説明図である。
図8に示すように、EL表示パネル1の表示面から、距離B、離れた位置で、画素10、座標検出マーク42の像をCCD53に結像させることができる。
図8に示すCCD53が画像を取り込む取り込み範囲Xは、50×50ドット(50画素×50画素)以上、200×200ドット以下とする。1画素に1つの座標検出マーク42が形成されていれば、取り込み範囲X内に、50×50個以上、200×200個以下の座標検出マーク42を取り込むことができる。座標検出マーク42を取り込み、検出した座標位置YをEL表示パネル1の表示画面72に「+」などで表示する。
【0080】
電子ペン51が読取ったデータ(座標検出マーク42の位置データなど)は、MPU(処理回路)64に送られる。MPU(処理回路)64は、座標検出マーク42に含まれるドットイメージを認識し、認識したドットイメージのデータを処理して、電子ペン51が指示した位置の座標を検出する。
【0081】
MPU(処理回路)64は、読取画像の情報をデータ信号に変換して送信部68に送る。送信部68は、無線通信により、タブレット端末71の受信部74に座標データを送信する。
【0082】
タブレット端末71の受信部74が受信した受信データは、MPU(処理回路)75で処理され、電子ペン51のパネル面の接触状態に基づいてスピーカ76を鳴らす。また、パネル駆動回路73を制御する。パネル駆動回路73は、電子ペン51が認識した座標位置を表示画面72に表示する。
【0083】
以上の一連の読取動作は、電子ペン51の先端が表示画面72に接しているときに行われる。すなわち、集光レンズ54の接着部に設けられた圧力センサ63が、集光レンズ54が表示画面72に接していることを示す信号をMPU(処理回路)64に送る。この信号が送られてきたことに応答して、MPU(処理回路)64は、CCD53の読取出力を処理するように動作する。
【0084】
なお、電子ペン51の先端が表示画面72に接しているときに読取動作を行うような構成に限らず、例えば、使用者が読取指令を入力するためのスイッチを設け、そのスイッチが押されたことに応答して、電子ペン51が表示画面72と離れている場合であっても読取動作が行われるように構成してもよい。
【0085】
一方、電子ペン51の出力信号をMPU(処理回路)64に送信する手段としては、信号線46に限らず、例えば赤外線通信などによって送信可能にし、電子ペン51をコードレスの指示手段として用いることができるようにしてもよい。
【0086】
ペン先61は、圧力センサ63と接している。ペン先61がEL表示パネル1に接すると、圧力センサ63に圧力が印加され、ペン先61が表示パネルに接したという情報が、MPU(処理回路)64に伝達される。
【0087】
角度センサ66は、電子ペン51の角度を検出する。電子ペン51の傾きにより、ペン先の座標位置が異なるからである。電子ペン51が垂直の場合は、電子ペン51の真下にペン先座標がある。電子ペン51が大きく傾くと、ペン先の座標は、電子ペン51の真下から大きく離れた位置になる。
【0088】
角度センサ66は、電子ペン51の傾きを計測し、電子ペン51の傾きデータをMPU(処理回路)64に伝送する。MPU(処理回路)64は、CCD53で取得した座標検出マーク42の位置を、角度センサ66の傾きデータで補正することにより、使用者が筆記している位置を求める。この傾きデータによる補正は、CCD53の光軸と、電子ペン51の中心軸がずれている場合に、特に必要となる。
【0089】
CCD53の光軸と電子ペン51の中心軸とは、15度(DEG.)以内にすることが好ましい。さらに好ましくは、CCD53の光軸と電子ペン51の中心軸とは、10度(DEG.)以内にすることが好ましい。角度センサ66の傾きデータで行う傾きデータによる補正は、CCD53の光軸と電子ペン51の中心軸との角度に基づいて補正する。CCD53の光軸とペンの中心軸が略一致するように、CCD53の光路中に、折り曲げミラー(図示せず)、非球面ミラー(図示せず)、レンズ(図示せず)のうち、少なくとも1つ以上を配置してもよい。
【0090】
加速度センサ65は、電子ペン51の移動速度(加速度を含む)を検出し、また、移動方向を検出する。加速度センサ65により、電子ペン51により、文字、記号、絵の形状、線のベクトル方向、長さを求めることができる。加速度センサ65は、電子ペン51の移動方向、加速度データをMPU(処理回路)64に伝送し、MPU(処理回路)64は、移動方向データ、加速度データから、電子ペン51の移動量、移動方向などを求める。
【0091】
図9は電子ペンによる入力の説明図である。
図9(a)は電子ペンによる空中入力(ホバリング入力)の説明図であり、
図9(b)は電子ペンによる接触入力の説明図である。
【0092】
図9(b)に示すように、ペン先61がEL表示パネル1に接触することにより、圧力センサ63に圧力が印加され、文字、線などの入力が行われるものである。
【0093】
また、
図9(a)に示すように、空中入力時には、ペン先61はEL表示パネル1などには接触していない。空中入力を実施する場合は、スイッチ67を押す。
【0094】
なお、スイッチ67が押されること、ペン先がEL表示パネル1に接触することにより、表示LED69が点灯する。また、表示LED69は、電子ペン51に電源が印加されている時に、一定時間の間、点灯する。スイッチ67が押されることにより、ペン先61がEL表示パネル1に接触しているのと同様の効果が得られる。
【0095】
CCD53の光入射面に配置された集光レンズ54の焦点深度Bが長い。F番号は、8以上20以下で設定することが好ましい。焦点深度Bは、20mm以内に設定する。したがって、
図8に示す焦点深度Bの範囲で、座標検出マーク42を結像することができる。
【0096】
スイッチ67を押すと、取り込み範囲X内の座標検出マーク42の画像を読み取り、座標検出マーク42の形成位置から、電子ペン51を行おうとしている位置はMPU(処理回路)64などを用いて求められ、求めた検出した座標位置Yを、表示画面72に表示する。
【0097】
電子ペン51が表示画面72に遠近に係わらず、Bの範囲内では、リアルタイムで、取り込み範囲X内の座標検出マーク42の画像を読み取る。座標検出マーク42の形成位置から、電子ペン51を行おうとしている位置はMPU(処理回路)64を用いて求める。求めた検出した座標位置Yを、表示画面72に「+」などの記号で表示する。したがって、空中入力であっても、座標入力などをする位置を認識することができる。入力する位置と、「+」などの記号が一致あるいは所定範囲に入れば、スイッチ67を押圧して、入力が完了する。
【0098】
座標検出マーク42などの2次元コードをより有効に活用すべく、2次元コードとともに、別の画像情報を読み取り、読み取った情報をコンピュータなどの処理装置に入力して処理する技術も提案されている。光学的に読み取り可能な2次元コードシンボルを表示画面72にマトリックス状に並べ、電子ペン51で表示画面72に加筆すると同時に、カメラで2次元コードシンボルを読み取って座標情報を取得する技術が知られている。これらの事項も本開示に採用することが好ましい。
【0099】
図7に示す情報表示装置としてのタブレット端末71は、メモリやMPU(処理回路)75を有しており、上述のように情報入力手段により受け付けられた手書き入力の各種情報を、電子ペン51により認識された識別情報、と関連付けてMPU(処理回路)75によりメモリに記憶させる。ここに、メモリとしては例えば大容量のフラッシュメモリやハードディスクなどが用いられている。
【0100】
また、本実施の形態の情報表示装置は持ち運んで任意の場所で使用することを主に想定しているので、本体電源としては、本体内部に内蔵されて再充電可能な2次電池を用いるのが望ましい。このような本体電源の消費電力を考慮し、電子ペン51は本体電源が起動されて動作可能となるように設定されている。このような機能がMPU(処理回路)75による制御の下に電源起動手段により実行される。
【0101】
画像撮像器は、集光レンズ54、CCD53やCMOS(図示せず)などの画像撮像素子及び画像撮像素子を制御するコントローラからなる。取り込み範囲Xの画像を撮影して白黒8ビット画像を出力する。CCD53の画素数はQVGAやCIF程度のものが必要である。
【0102】
MPU(処理回路)64は、CCD53の撮像タイミング、シャッタースピード、ゲインなどの調整を行い、画像を白とび、或いは黒潰れしないような露出の画像を撮影できるようにする。CCD53で撮影された画像は、ドット検出器に入力され、画像内のドットを検出し、ドットを黒画素、それ以外を白画素とするドット画像を出力する。ドット画像はコード枠検出器に入力され、2次元コードの枠を検出する。コード枠検出器は検出した枠の座標(コード位置情報)とドット画像を出力する。コード位置情報とドット画像はデータ取得器に入力される。データ取得器はコード枠内のドットの有無により、「1」、「0」のコードデータを取得し、データを整列させる。誤り訂正器は、取得したデータの誤りを訂正する。誤り訂正を行った結果、誤りが無いか、または誤り訂正が可能な場合は、誤り訂正判定情報を「可」として出力するとともに、訂正したデータを出力する。誤りが訂正できない場合は、誤り訂正判定情報を「不可」として出力するとともに、訂正不能のデータを出力する。データ復号器は訂正したデータから座標情報を復号する。
【0103】
図10はLEDおよびCCDの制御方法の説明図である。MPU(処理回路)64は、CCD53をオンオフさせる制御信号と、信号に同期したLED52の制御信号を出力する。制御信号に基づき、CCD53の駆動回路53aを制御し、LED52のIR−LED駆動回路52aを制御する。
【0104】
CCD駆動回路53a、LED駆動回路52aは、制御信号に基づき、CCD53、LED52を制御する。CCD53が画像取り込み(露光)を行っている期間は、LED52を点灯させる。CCD53が画像取り込み(露光)を行っていない時は、LED52を消灯させる。少なくとも、CCD53が画像を取り込んでいる時は、LED52を点灯させる。
【0105】
ところで、
図7に示す電子ペン51の実施例は、電子ペン51の筐体に、LED52を具備する構成であった。しかし、LED52とCCD53の両方を電子ペン51の筐体中に配置すると、CCD53の光軸を電子ペン51の中心軸に一致することが困難となることがある。また、LED52とCCD53の両方を電子ペン51に収めるため、電子ペン51のサイズが大きくなってしまう。
【0106】
図11の実施例は、電子ペン51には、CCD53のみを収納し、EL表示パネル1側にLED52を配置したものである。81はLED52を配置した保護カバーで、EL表示パネル1の表示面側に配置されるものである。CCD53のみが電子ペン51の筐体中に配置されているので、CCD53の光軸を、容易に電子ペン51の中心軸と一致させることができる。また、CCD53のみが電子ペン51に配置するだけでよいので、電子ペン51のサイズを小さく、また、電子ペン51の太さを細くすることができる。
【0107】
図11において、LED52から放射された赤外線56は、保護カバー81などで、EL表示パネル1の表示画面72の全域に伝播される。伝播した赤外線56は、偏光板32を透過し、反射膜40、座標検出マーク42などに入射する。
【0108】
座標検出マーク42に入射した赤外線56は、散乱し、再び偏光板32を透過し、電子ペン51のCCD53に入射する。LED52とCCD53とは、
図10の回路方式により、同期を取る。
【0109】
図12はLEDの基板などへの取り付け状態と、LEDの点灯制御の状態を示す説明図である。基板とは、保護カバー81、封止板30、アレイ基板31などが該当する。しかし、これに限定するものではない。LED52から放射される赤外線56を伝播させる基板などであればいずれのものであってもよい。
【0110】
図12において、LED52は、少なくとも基板の両辺に取り付けられている。もしくは配置されている。なお、LED52は、基板の四辺に取り付けてもよい。
図12などにおいて、黒丸は非点灯のLED52を示しており、白丸は点灯しているLED52を示している。
【0111】
図12の(a)と
図12の(b)は、交互に繰り返される。電子ペン51の位置に応じて、LED52を点灯制御してもよい。
【0112】
図13の(a1)〜(a4)は、LED52の点灯位置を表示画面の上下方向あるいは左右方向に、走査した実施例である。走査することにより、LED52で使用する電力を低減させることができる。走査方向は、走査速度は、電子ペン51の位置に基づいて、変化させることが好ましい。
【0113】
図13の(b1)〜(b4)は、電子ペン51で検出した検出位置Yに応じて、LED52の点灯位置を、変化させる方式である。電子ペン51の位置を検出あるいは予測し、検出あるいは予測した位置および近傍に対応するLED52を点灯させる。電子ペン51のペン先位置に応じて、点灯するLED52が変化する。以上のように制御することにより、LED52の消費電力を低減でき、また、座標検出精度を向上させることができる。
【0114】
図14に示す例では、LED52は、封止板30に取り付けられている。LED52から放射された赤外線56は、封止板30によりEL表示パネル1の表示画面72の全域に伝播される。封止板30は、偏光板32より、表示層側に配置されているため、
図11のように、偏光板32の外部にLED52が配置された場合に比較して、偏光板32により、減光されることがない。したがって、LED52の赤外線56の使用効率が良好である。
【0115】
伝播した赤外線56は、封止板30などを伝播し、また、反射膜40、座標検出マーク42などに入射し、一部は反射する。
【0116】
座標検出マーク42に入射した赤外線56は、散乱し、また反射し、再び偏光板32を透過し、電子ペン51のCCD53に入射する。LED52とCCD53とは、
図10の回路方式などにより、同期を取るように構成する。また、駆動方式は
図12、
図13と同様に行えばよい。
【0117】
図15に示す例は、保護カバー81にLED52を取り付けた構成の実施例において、保護カバー81の表面に粗面加工81aを施したものである。粗面加工81aとは、保護カバー81の表面を機械的加工、化学的加工により、凹凸を形成した構成である。粗面加工81aにすることにより、ペン先61あるいは先端レンズ55が、表示パネルの粗面加工81aに接触することにより、適度は摩擦感が発生する。粗面加工81aに加工されていないと、ペン先61がすべり、「書き味」が低下する。なお、粗面加工81aとは、保護カバー81、封止板30、アレイ基板31に直接に加工あるいは処理することに限定されるものではない。例えば、粗面あるいは凹凸に形成した基板、シートなどを、前記基板などに貼り付けた構成でもよい。
【0118】
図16に示す例は、LED52は、アレイ基板31に取り付けられている。LED52から放射された赤外線56は、アレイ基板31、反射膜31aなどで、反射または散乱され、EL表示パネル1の表示画面72の全域に伝播される。アレイ基板31などは、偏光板32より、下層側に配置されているため、
図11のように、偏光板32の外部にLED52が配置された場合に比較して、偏光板32により、減光されることがない。したがって、LED52の赤外線56の使用効率が良好である。反射膜31aは、光を散乱される光拡散材でもよい。
【0119】
図16において、伝播した赤外線56は、アノード電極34に形成された通過穴34a(非反射領域)を通過し、封止板30側などに伝播する。また、赤外線56は、座標検出マーク42などで散乱し、また反射し、再び偏光板32を透過し、電子ペン51のCCD53に入射する。駆動方式は、上述の例と同様に行えばよい。
【0120】
図14、
図15、
図16のように、偏光板32より下層に、LED52を伝播する基板あるいは、LED52を伝播あるいは照射する方式の場合は、座標検出マーク42は、光散乱材料など、円偏光、偏光状態を乱す構成とする必要はないことは言うまでもない。例えば、座標検出マーク42を光反射構成とすればよい。LED52から、自然光が座標検出マーク42に照射されるので、座標検出マーク42に入射したLED52は、偏光板32を透過できるからである。
【0121】
図17〜
図26は座標検出マークの配置例を示す図である。
【0122】
図17(a)においては、座標検出マーク42は、ドット状に形成されている。また、リブ37にオーバーラップして、もしくは一部をオーバーラップさせて配置している。座標検出マーク42をCCD53などで画像取り込みすることにより、数学的にあるいは符号化理論などに基づいて、座標検出マーク42の形成位置が、表示画面72のどこに位置するかを特定できるように配置されている。
【0123】
図17(b)においては、座標検出マーク42は、矩形または楕円状に形成されている。また、リブ37、画素電極としてのアノード電極にオーバーラップして、もしくは一部をオーバーラップさせて配置している。座標検出マーク42をCCD53などで画像取り込みすることにより、座標検出マーク42の形成位置が、表示画面72のどこに位置するかを特定できるように配置されている。リブ37に座標検出マーク42を形成することにより、画素電極が座標検出マーク42で遮光されることがなく、高輝度表示が可能となる。
【0124】
図18においては、座標検出マーク42は、画素の交点または、交点近傍に形成されている。基本的には、1つの画素10あるいは、RGBの画素を1組として1つの座標検出マーク42が形成されている。
【0125】
図19においては、1つの画素に対して、複数の座標検出マーク42が形成された実施例である。座標検出マーク42の個数、間隔、位置で、座標位置を示す。
【0126】
図20においては、座標検出マーク42は、形状の異なる複数のものが配置されている。形状としては、円、矩形、楕円状が例示される。また、リブ37、画素電極にオーバーラップして、もしくは一部をオーバーラップさせて配置している。座標検出マーク42をCCD53などで画像取り込みすることにより、座標検出マーク42の形成位置が、表示画面72のどこに位置するかを特定できるように配置されている。
【0127】
図21においては、1つの画素電極に、複数の座標検出マーク42が形成された実施例である。座標検出マーク42の個数、間隔、位置で、座標位置を示す。
【0128】
図22においては、一部の画素電極に、座標検出マーク42が形成された実施例である。赤色の画素10R、青色の画素10Bの画素に座標検出マーク42が形成され、緑色の画素10Gには、座標検出マーク42が形成されていない。
【0129】
図23においては、青色の画素10Bに、座標検出マーク42が形成された実施例である。青色の画素10Bの画素に座標検出マーク42が形成され、赤色の画素10R、緑色の画素10Gには、座標検出マーク42が形成されていない。
【0130】
図24、
図25においては、
図22の実施例に加えて、位置合わせマーク42aを形成した実施例である。なお、位置合わせマーク42aは、座標検出マーク42としても用いることができることは言うまでもない。位置合わせマーク42aを電子ペン51で読み取り、EL表示パネル1の概略座標位置を検出する。座標検出マーク42の形状と、位置合わせマーク42aの形状、位置は異ならせることが好ましい。
【0131】
図26においては、位置合わせマーク42aの変形例である。
図26(a)は、位置合わせマーク42aを1画素に2つ形成した実施例である。
図26(b)は、座標検出マーク42bを複数個組み合わせることにより、位置合わせマーク42aとした実施例である。
図26(c)は、位置合わせマーク42a内に座標検出マーク42cの集合体を形成した実施例である。一例として、位置合わせマーク42aを点字文字で構成している。
【0132】
図27は一実施の形態による情報表示装置におけるEL表示パネルの他の例を示す概略断面図である。
【0133】
EL表示パネル1に電子ペン51により入力を行う場合、視差の課題がある。視差は、EL表示パネル1の表示領域上に偏光板32などが配置されているために発生する。電子ペン51のペン先が偏光板32上に位置しているのに、画像はEL表示パネル1の発光部に表示されているために、ペン先と表示画像との視差が発生する。
【0134】
そこで、本実施の形態においては、EL表示パネル1において、ファイバープレート82をカソード電極39に接着層41で接着し、偏光板32と座標検出マーク42との間に配置し、視差を軽減するようにしたものである。ファイバープレート82は、画素10よりも小さい口径を有する複数のファイバー82aを配列することにより構成されたものである。ファイバー82aの周囲には、反射膜82bを形成するとともに、ファイバー82aと屈折率を異ならせることにより、ファイバー82aに入射した表示光83を反射させて伝達し、EL表示パネル1から出射するように構成している。
【0135】
以上のように一実施の形態における情報表示装置は、EL素子12による画素10がマトリックス状に配置された表示領域2を備えたEL表示パネル1において、入射光を偏光させる偏光板32を配置し、かつEL表示パネル1に入射光の方向を変化させる特性、例えば光散乱部材や回折格子により前記偏光板による偏光状態を変化させる座標検出マーク42を備えている。これによって、座標検出マークを検出するための赤外線などの光を放射するLED52などの光発生手段と、座標検出マーク42を含む所定範囲の画像を取り込むCCD53などの画像取得手段とを備えた電子ペン51を用いれば、座標検出マーク42を通過した光あるいは反射した光をCCD53などの画像取得手段で検出することにより、座標位置を容易に特定することができる。
【0136】
また、一実施の形態によれば、EL表示装置において、容易に実現することができる。これにより、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末、記録媒体を備えた画像再生装置などの記録媒体を再生し、その画像を表示する機器などのディスプレイ装置として幅広く応用することが可能となる。