(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カムフォロア駆動機構は、前記加圧プレートにより電子部品が測定ソケットに所定圧力で押し付けられたときに前記カムフォロア駆動機構の前進を停止させるストッパを有する、請求項1のコンタクトモジュール。
前記コンタクトユニット支持部材は前記コンタクトユニットを吊り下げる懸架装置を含み、この懸架装置は、コンタクトユニット吊り下げ板と、前記コンタクトユニットを前記コンタクトユニット吊り下げ板に圧縮ばねを介して吊り下げるばね機構と、を含む請求項1のコンタクトモジュール。
前記測定加圧機構のカムフォロア駆動機構は、エアシリンダと、このエアシリンダに結合されたエアピストンと、このエアピストンに連結されたカムフォロア駆動軸と、このカムフォロア駆動軸を水平方向に案内する直動ガイド機構と、前記カムフォロア駆動軸の先端に設けられたカムフォロアと、
を具備し、
前記測定加圧機構が駆動されて前記カムブロックを介して前記コンタクトユニットが押し下げられたときに、前記測定加圧機構は前記ばね機構の張力に抗して前記コンタクトユニットを押し下げる請求項3のコンタクトモジュール。
前記測定加圧機構のカムフォロア駆動機構は、サーボドライバと、このサーボドライバにより駆動されるサーボモータと、このサーボモータにより駆動されるボールネジに連結されたカムフォロア駆動軸と、このカムフォロア駆動軸を水平方向に案内する直動ガイド機構と、前記カムフォロア駆動軸の先端に設けられたカムフォロアと、
を具備し、
前記測定加圧機構が駆動されて前記カムブロックを介して前記コンタクトユニットが押し下げられたときに、前記測定加圧機構は前記ばね機構の張力に抗して前記コンタクトユニットを押し下げる請求項3のコンタクトモジュール。
前記垂直軸の延長線は前記加圧プレートの略中央部を通るように配置され、前記加圧プレートはこの中央部を挟んで対称の二つの懸架位置で前記垂直軸ユニットに懸架され、この二つの懸架位置の近傍で前記加圧プレート上にカムブロックが固定され、このカムブロックに第一、第二のカムフォロア駆動機構のカムフォロアがそれぞれ係合し、前記加圧プレートにより複数の電子部品が対応する複数の測定ソケット内で同時に加圧される、請求項1のコンタクトモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本発明の実施形態はICデバイスなどの電子部品の電気的特性を測定する際に用いられるコンタクトモジュールを提供し、その一つとして可搬型のデスクトップコンタクトモジュールを含む。しかしながら、可搬型のデスクトップコンタクトモジュールはこの発明の一実施形態であり、据え置き型のコンタクトモジュールも他の実施形態であることは勿論である。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係るデスクトップコンタクトモジュール1の全体の構成を示し、電子部品の電気的特性を計測するテスターと呼ばれる計測装置に搭載可能な構成としてもよい。
【0013】
図1において、デスクトップコンタクトモジュール1の本体ベース10は、後で説明する測定加圧機構と垂直軸支持ベース、およびこれらに付随する部品類を配置するための基部であり、電子部品の電気的特性を計測するテスター上の、測定ソケット配置エリアに対応する位置に搭載されて固定される。
【0014】
この本体ベース10には、モジュール1がテスター上に固定されたときに、テスターの測定ユニット2の測定ソケット配置エリアに対応する位置に開口部11を有する。この開口部11は測定のために設けられ、この開口部11周縁部に近接する本体ベース10には垂直軸支持ベース12が固定される。
【0015】
この垂直軸支持ベース12には、本体ベース10に形成された開口部11の上方に所定距離をおいて水平に延長された水平天板部12Aが一体に形成され、この水平天板部12A上には垂直軸支持機構13が設けられる。
【0016】
この垂直軸支持機構13は、天板部12Aを貫通して開口部11に向かって垂直に垂下される垂直軸14Aを含む垂直軸ユニット14を、垂直方向に移動可能に支持するための直動ガイド13Aを有する。垂直軸14Aの上端にはストッパ14Bが形成され、このストッパ14Bが直動ガイド13Aの上端に係止されて垂直軸14Aはこの位置で停止される。
【0017】
垂直軸14Aの下端部近傍の側面には、この垂直軸14Aを垂直方向に駆動するための垂直軸駆動機構15を構成するエアシリンダ15Aのピストン15Bの下端を固定するための固定部14Cが形成される。この垂直軸駆動機構15の他の実施形態としては、例えばピストン15Bの代わりにボールねじを用い、このボールネジの一部を固定部14Cに固定し、このボールねじを例えばサーボモータで回転させ、ボールねじを垂直方向に移動させるように構成した駆動機構を用いることもできる。これについては後で
図8、
図9を参照して詳細に説明する。
【0018】
電子部品が後述する測定ソケット21A、21Bに装着される際には、この垂直軸駆動機構15により垂直軸14Aが上方の原位置方向に移動され、部品の測定時には下方に移動される。
【0019】
垂直軸14Aの下端部には後述するコンタクトユニット16を吊り下げるための吊り下げ板14Dが水平に取り付けられる。吊り下げ板14Dには垂直軸14Aを挟んでその両側の略等距離の位置に、コンタクトユニット吊り下げ孔14E1、14E2が形成される コンタクトユニット16は、電子部品の加圧の際に用いられる加圧プレート16Aと、この加圧プレート16Aの上側表面に垂直に稙立された一対の吊り下げアーム16B1、16B2とを有する。この吊り下げアーム16B1、16B2はそれぞれ吊り下げ孔14E1、14E2内を貫通して取付られ、アーム16B1、16B2の上端に形成されたストッパ16C1、16C2により、加圧プレート16Aが吊り下げ板14Dに吊り下げられる。ここで、吊り下げアーム16B1、16B2はそれぞれ吊り下げ板14Dの厚さの寸法よりも所定寸法だけ長く形成され、かつ、その直径がそれぞれ吊り下げ孔14E1、14E2の内径よりも所定寸法だけ細く形成される。これにより、コンタクトユニット16は垂直軸ユニット14の下方で、水平方向、垂直方向に前記所定寸法に対応する自由度を持った状態で懸架される。
【0020】
この構成により、コンタクトユニット16は本体ベース10に形成された開口部11内側で、垂直軸14Aが上下に移動される際に垂直軸14Aと一体となって上下するように構成される。
【0021】
コンタクトユニット16の前記加圧プレート16Aの周縁部上面には一対のカム斜面17A1、17B1を有するカムブロック17が固定される。
【0022】
このカムブロック17に形成されたカム斜面17A1、17B1にはカムフォロア18A、18Bが係合される。このカムフォロア駆動機構は、それぞれカムフォロア駆動軸18A1、18B1の先端に回転自在に取り付けられるローラであるカムフォロア18A、18Bと、カムフォロア駆動軸18A1、18B1をそれぞれ支持部材18A11、18B11を介して水平方向に保持する直動ガイド機構18A2、18B2と、この直動ガイド機構18A2、18B2内でカムフォロア駆動軸18A1、18B1に結合されたピストン18A4、18B4を駆動するエアシリンダ18A3、18B3とを含んで構成される。カムフォロア駆動軸18A1、18B1の他の端部にはそれぞれストッパ18A5、18B5が形成されている。このカムフォロア駆動機構は前記本体ベース10上に固定された測定加圧機構19A、19Bを構成している。
【0023】
更に、カムフォロア駆動軸18A1、18B1の駆動にエアシリンダ18A3、18B3を用いる場合には、このエアシリンダ18A3、18B3の上にコンタクトユニット高さ調整機構20A、20Bが取り付けられ、測定対象の電子部品あるいはテスターの測定ソケットに適合するようにコンタクトユニット16の高さを調整することができる。これらのコンタクトユニット高さ調整機構20A、20Bは本体ベース10上に固定される。詳細な構成は後で説明する。
【0024】
また、カムフォロア駆動軸18A1、18B1の駆動にエアシリンダ18A3、18B3の代わりにサーボモータとボールネジとを組み合わせて用いることもできる。その構成の実施形態を
図8、
図9に示す。この実施形態はカムフォロア駆動軸18A1、18B1の駆動にサーボモータとボールネジを用いる他は
図1の実施形態と同じ構成であり、重複する部分の説明は省略する。
【0025】
図8、
図9において、一方のカムフォロア駆動軸18A1の支持部材18A11には駆動力伝達ブロック30Aが固定され、この駆動力伝達ブロック30Aには、本体ベース10上に固定されたボールネジ支持ブロック31Aにより回転自在に支持されたボールネジ32Aが螺合して連結される。このボールネジ32Aはボールネジ支持ブロック31Aの外側で本体ベース10上に固定されたサーボモータ33Aにより回転駆動される。このサーボモータ33Aの回転がボールネジ32Aに伝達される。ボールネジ32Aの回転に従って、駆動力伝達ブロック30Aがボールネジ支持ブロック31A内をボールネジ32Aに沿って水平に前進、後退し、この動きが支持部材18A11を介してカムフォロア駆動軸18A1に伝えられる。この結果、このカムフォロア駆動軸18A1が直動ガイド機構18A2に沿って水平に前進、後退される。
【0026】
他方のカムフォロア駆動軸18B1の支持部材18B11にも同様に駆動力伝達ブロック30Bが固定され、この駆動力伝達ブロック30Bには、本体ベース10上に固定されたボールネジ支持ブロック31Bにより回転自在に支持されたボールネジ32Bが螺合して連結される。このボールネジ32Bはボールネジ支持ブロック31Bの外側で本体ベース10上に固定されたサーボモータ33Bにより回転駆動される。このサーボモータ33Bの回転がボールネジ32Bに伝達される。ボールネジ32Bの回転に従って、駆動力伝達ブロック30Bがボールネジ支持ブロック31B内をボールネジ32Bに沿って水平に前進、後退し、この動きが支持部材18B11を介してカムフォロア駆動軸18B1に伝えられる。この結果、このカムフォロア駆動軸18B1が直動ガイド機構18B2に沿って水平に前進、後退される。
【0027】
図1に戻って、電子部品の測定時には、電子部品の電気的特性を計測するためのテスターの複数(ここでは2個のみ図示)の測定ソケット21A、21B上に電子部品22A、22Bが載置され、この電子部品22A、22Bの上にはジグ部品23A、23Bが載置される。このジグ部品23A、23Bは測定対象の電子部品の形状に合わせて形成された測定補助部品であり、電子部品の種類に応じて交換して用いられ、例えば電子部品を所定の温度に設定する機能を持つ。この所定の温度としては例えば摂氏零度のような低温、あるいは摂氏80度などの高温を含む。
【0028】
この状態で垂直軸駆動機構15を駆動してコンタクトユニット16がジグ部品23A、23Bに接触するまで下降させ、つぎに測定加圧機構19A、19Bを駆動してカムフォロア18A、18Bをカム斜面17A1、17B1に沿って前進させる。この結果、コンタクトユニット16はジグ部品23A、23Bを介して電子部品22A、22Bを測定ソケット21A、21Bに向かって所定圧力で押し付ける。この時の押し付け圧力は、測定加圧機構19A、19Bにより前進されるカムフォロア駆動軸18A1、18B1の前進距離に比例することになる。したがって、カムフォロア駆動軸18A1、18B1の前進距離をエアシリンダ18A3、18B3により正確に制御すれば、コンタクトユニット16の押し付け圧力を正確に制御できることになる。
【0029】
カムフォロア駆動軸18A1、18B1を
図8、
図9に示したサーボモータ33A,33Bで駆動する場合には、後で
図10により説明するように、サーボモータ33A,33Bの回転数に応じてカムフォロア駆動軸18A1、18B1の移動距離を制御できるので、より正確にコンタクトユニット16の押し付け圧力を制御できることになる。
【0030】
以下、
図1乃至
図7を参照してこの発明の実施形態の構成、動作、機能を詳細に説明する。
【0031】
図2は、
図1に示した構成のデスクトップコンタクトモジュール1が測定位置に設置され、コンタクトユニット16が測定開始以前の原位置にある状態を示す斜視図である。
図3はこの
図2の状態のモジュール1を側面から見た側面図である。
【0032】
図2、
図3において、測定開始前に測定対象の電子部品22A、22Bは、テスターの測定ユニット2内に設けられている測定ソケット21A、21B上に、図示しない電子部品ハンドラーを用いて所定の集積場所から移送されて載置される。この状態でデスクトップコンタクトモジュール1がテスター上の測定位置に設置され、コンタクトユニット16が丁度測定ユニット2内の測定ソケット21A、21B直上の測定開始以前の原位置に来るように位置決めされる。
【0033】
この原位置では、測定加圧機構19A、19Bが駆動され、そのエアシリンダ18A3、18B3内の空気が吸い出されて、エアピストン18A4、18B4がその測定位置から互いに離れる方向に移動され、このエアピストン18A4、18B4に連結されたカムフォロア駆動軸18A1、18B1がその原位置までそれぞれ後退される。この原位置では、カムフォロア駆動軸18A1、18B1の先端に設けられたカムフォロア18A、18Bとカム斜面18A1、18B1との係合が解除される。ここで、カムフォロア18A、18Bは
図1ではカムフォロア駆動軸18A1、18B1の先端にそれぞれ1個づつ図示されているが、実際は
図2に示すようにカムフォロア駆動軸18A1、18B1の先端が二股に分岐した構成となっている。一方のカムフォロア駆動軸18A1の分岐部18A1a,18A1bの夫々の先端には一対のカムフォロア18Aを構成するローラが回転自在に取り付けられ、他方のカムフォロア駆動軸18B1の分岐部18B1a,18B1bの夫々の先端には一対のカムフォロア18Bを構成するローラが回転自在に取り付けられる。
【0034】
この状態で垂直軸駆動機構15が駆動され、そのエアシリンダ15A内のエアピストン15Bが上方に押し上げられる。エアピストン15Bがその最上端に停止した状態が
図3に示されている。エアピストン15Bの上昇につれて、垂直軸ユニット14の垂直軸14Aが垂直軸支持機構13のガイド13Aに沿って上方に引き上げられる。これに伴い、垂直軸14Aの下端に取り付けられた吊り下げ板14Dに一対の吊り下げアーム16B1、16B2を介して吊り下げられている加圧プレート16Aも上方に引き上げられる。加圧プレート16Aの上側表面に垂直に稙立された一対の吊り下げアーム16B1、16B2は、それぞれ
図1に示したように、吊り下げ板14Dに形成された吊り下げ孔14E1、14E2内を貫通し、吊り下げアーム16B1、16B2の上端はそれぞれ吊り下げ板14Dの上に突出される。吊り下げアーム16B1、16B2の上端に形成されたストッパ16C1、16C2と吊り下げ板14Dの上面との間にはそれぞれ圧縮バネ16Dが設けられ、この圧縮バネ16Dにより加圧プレート16Aは吊り下げ板14Dに常に押し付けられた状態となり、その姿勢が常に安定化され、かつ、加圧プレート16Aは圧縮バネ16Dにより垂直方向への移動の自由も有する。ここで、吊り下げアーム16B1、16B2はそれぞれ吊り下げ板14Dの厚さの寸法よりも所定寸法だけ長く形成され、かつ、その直径がそれぞれ吊り下げ孔14E1、14E2の内径よりも所定寸法だけ細く形成されているので、加圧プレート16A、即ち、コンタクトユニット16は垂直軸ユニット14の下方で、水平方向、垂直方向に前記所定寸法に対応する自由度を持った状態で懸架されることになる。
【0035】
このようにして、コンタクトユニット16は本体ベース10に形成された開口部11の上方へ、垂直軸14Aが上下に移動される際に垂直軸14Aと一体となって上昇するように構成される。
【0036】
次に、電子部品の測定時には、
図3に示したように、電子部品22A、22Bが測定ソケット21A、21Bの上に載置された状態で、垂直軸駆動機構15が駆動され、そのエアシリンダ15A内に空気が圧入されてエアピストン15Bが下方に押し下げられ、垂直軸ユニット14が下降される。エアピストン15Bの下降駆動は、コンタクトユニット16の下面に取り付けられたジグ部品23A、23Bの下端が、本体ベース10に形成された開口部11内にわずかに進入した位置で停止される。この状態が
図4、
図5に示されている。エアピストン15Bの下降につれて、垂直軸ユニット14の垂直軸14Aが垂直軸支持機構13のガイド13Aに沿って下方に移動される。これに伴い、垂直軸14Aの下端に取り付けられた吊り下げ板14Dに一対の吊り下げアーム16B1、16B2を介して吊り下げられている加圧プレート16Aも下方に移動する。
【0037】
図5に示したように、コンタクトユニット16の下面に取り付けられたジグ部品23A、23Bの下端が、本体ベース10に形成された開口部11内にわずかに進入した位置で垂直軸駆動機構15の駆動が停止される。この状態では、一対のカム斜面17A1、17B1のカムフォロア18A、18Bに近接する下端部は、これらのカムフォロア18A、18Bの下端部より低い位置で停止される。この状態が
図5に明示されている。
【0038】
次に、
図6、
図7を参照して測定加圧機構19A、19Bによる電子部品22A、22Bの測定時における加圧動作を説明する。
【0039】
図5に示された位置で垂直軸駆動機構15による垂直軸ユニット14の下降が停止されると、次に測定加圧機構19A、19B内のエアシリンダ18A3、18B3内に空気が圧入される。この結果、
図1に示されたエアピストン18A4、18B4に連結されているカムフォロア駆動軸18A1、18B1が前進される。これにより、カムの先端の分岐部18A1a,18A1bおよび分岐部18B1a,18B1bの夫々の先端に取り付けられた一対のカムフォロア18A、18Bを構成するローラが、カム斜面17A1、17B1に係合し、このカム斜面17A1、17B1に沿って前進させられる。
【0040】
カムフォロア駆動軸18A1、18B1は水平方向にのみ前進、後退するように直動ガイド機構18A2、18B2によって本体ベース10上に規制されているから、一対のカムフォロア18A、18Bがカム斜面17A1、17B1に沿って前進するにつれて、カムブロック17A、17Bが下方に押し下げられ、その結果、コンタクトユニット16の加圧プレート16Aも下方に押し下げられる。ここで、コンタクトユニット16は、圧縮バネ16Dと2対の吊り下げアーム16B1、16B2を介して吊り下げ板14Dに吊り下げられているので、カムブロック17A、17Bが下方に押し下げられると、
図5の位置で停止されている吊り下げ板14Dに対してコンタクトユニット16のみが圧縮バネ16Dを圧縮しながらそのバネ張力に抗して押し下げられる。
【0041】
このコンタクトユニット16の下降により、コンタクトユニット16の加圧プレート16Aはジグ部品23A、23Bを介して電子部品22A、22Bを測定ソケット21A、21Bに向かって所定圧力で押し付ける。この状態が
図7に示されている。この時の押し付け圧力は、測定加圧機構19A、19Bにより前進されるカムフォロア駆動軸18A1、18B1の前進距離に比例することになる。したがって、カムフォロア駆動軸18A1、18B1の前進距離をエアシリンダ18A3、18B3により正確に制御すれば、コンタクトユニット16の押し付け圧力を正確に制御できることになる。
【0042】
この状態で測定ソケット21A、21Bに載置された電子部品22A、22Bの測定が行われるが、その際の測定温度の設定のためにジグ部品23A、23Bが所定温度に保たれており、ジグ部品23A、23Bが電子部品22A、22Bに接触することにより所定の測定温度が電子部品22A、22Bに与えられる。
【0043】
以上の説明では測定加圧機構19A、19Bをエアシリンダを用いて構成した例を説明したが、以下では、
図8乃至
図10を参照して、エアシリンダの代わりにサーボモータとボールネジとを組み合わせて用いる場合の測定加圧機構19A、19Bによる電子部品22A、22Bの測定時における加圧動作を説明する。
【0044】
測定開始前に測定対象の電子部品22A、22Bは、
図2、
図3で説明した場合と同様に、
図9において、テスターの測定ユニット2内に設けられている測定ソケット21A、21B上に、図示しない電子部品ハンドラーを用いて所定の集積場所から移送されて載置される。この状態でデスクトップコンタクトモジュール1がテスター上の測定位置に設置され、コンタクトユニット16が丁度測定ユニット2内の測定ソケット21A、21B直上の測定開始以前の原位置に来るように位置決めされる。
【0045】
この原位置の状態で、
図10に示す制御システム40内の例えばコンピュータで構成されたコントローラ41からサーボドライバ42に位置指令信号Pが送られ、サーボドライバ42からの駆動信号Dにより測定加圧機構19Bのサーボモータ33Bが駆動される。サーボドライバ42により測定加圧機構19Aも同時に駆動されるが、冗長となるので、ここでは測定加圧機構19Bのみの動作の説明を行う。
【0046】
サーボモータ33Bが駆動されると、ボールネジ32Bが逆回転し、カムフォロア駆動軸18B1がその測定位置から離れる方向に移動される。サーボモータ33Bには、図示しないが、サーボモータ33Bの回転に応じた位置信号Epを出力するエンコーダが付随して設けられており、この位置信号Epがエンコーダからサーボドライバ42に送信される。サーボドライバ42はこの位置信号Epとコントローラ41からの位置指令Pとを比較して、原位置を示す位置指令Pと位置信号Epとが一致したときにサーボモータ33Bの駆動を停止する。このとき、サーボドライバ42からコントローラ41には動作完了信号Cが送られる。これにより、カムフォロア駆動軸18B1がその原位置まで後退されたことがコントローラ41に通知されたことになる。これと同時に測定加圧機構19Aのカムフォロア駆動軸18A1もその原位置まで後退する。この原位置では、カムフォロア駆動軸18A1、18B1の先端に設けられたカムフォロア18A、18Bとカム斜面18A1、18B1との係合が、
図5に示されたように、解除される。なお、
図9にはカムフォロア18A、18Bとカム斜面18A1、18B1とが係合された状態が示されているが、これは後で説明する加圧開始状態である。
【0047】
図5と同じ係合解除状態で、完了信号Cを受け取ったコントローラ41からはバルブ43の動作信号Bが出力され、バルブ43から送られるエアA2により垂直軸駆動機構15のエアピストン15Bが上方に駆動される。エアピストン15Bがその動作範囲の最上端にくると、エアピストン15Bにより上限センサ44が駆動されてセンサ信号S1がコントローラ41に送られ、エアピストン15Bが最上端で停止する。この状態はすでに
図3に示したとおりである。
【0048】
エアピストン15Bの最上端では、すでに説明したように、垂直軸14Aの下端に取り付けられた吊り下げ板14Dに吊り下げられている加圧プレート16Aも上方に引き上げられる。この結果、コンタクトユニット16は本体ベース10に形成された開口部11の上方へ、垂直軸14Aが上下に移動される際に垂直軸14Aと一体となって上昇して停止される。
【0049】
次に、電子部品の測定時には、
図3で説明したと同様に、電子部品22A、22Bが測定ソケット21A、21Bの上に載置された状態で、コントローラ41によりバルブ43が駆動されて垂直軸駆動機構15が駆動され、そのエアシリンダ15A内にエアA1が圧入されてエアピストン15Bが下方に押し下げられ、垂直軸ユニット14が下降される。エアピストン15Bの下降駆動は、下限センサ45が駆動されてセンサ信号S2がコントローラ41に出力されると停止される。この状態では、コンタクトユニット16の下面に取り付けられたジグ部品23A、23Bの下端が、本体ベース10に形成された開口部11内にわずかに進入した位置で停止される。この状態はすでに
図4、
図5に示されているとおりである。
【0050】
図5に示したように、コンタクトユニット16の下面に取り付けられたジグ部品23A、23Bの下端が、本体ベース10に形成された開口部11内にわずかに進入した位置でコントローラ41による垂直軸駆動機構15の駆動が停止される。この状態では、一対のカム斜面17A1、17B1のカムフォロア18A、18Bに近接する下端部は、これらのカムフォロア18A、18Bの下端部より低い位置で停止される。この状態は
図5ですでに明示したとおりである。
【0051】
次に、
図8、
図9に示した実施携帯における測定加圧機構19A、19Bによる電子部品22A、22Bの測定時における加圧動作を説明する。
【0052】
カムフォロア駆動軸18A1、18B1の先端に設けられたカムフォロア18A、18Bとカム斜面18A1、18B1との係合が、
図5に示されたと同じ位置で解除された状態で、コントローラ41からの位置指令Pによりサーボドライバ42が駆動され、駆動信号Dによりサーボモータ33A、33Bが正転される。これによりボールネジ32A、32Bが正転され、この結果、駆動力伝達ブロック30A、30Bに支持部材18A11、18B11を介して連結されているカムフォロア駆動軸18A1、18B1が互いに近接する方向に前進される。これにより
図8、
図9に示したように、カムフォロア18A、18Bがカム斜面17A1、17B1に係合し、このカム斜面17A1、17B1に沿って前進させられる。
【0053】
カムフォロア18A、18Bがカム斜面17A1、17B1に沿って前進するにつれて、カムブロック17が下方に押し下げられ、コンタクトユニット16の加圧プレート16Aも下方に押し下げられる。
【0054】
このコンタクトユニット16が下降すると、コンタクトユニット16の加圧プレート16Aによりジグ部品23A、23Bを介して電子部品22A、22Bが測定ソケット21A、21Bに向かって所定圧力で押し付けられる。この状態が
図9に示されている。この時の押し付け圧力は、測定加圧機構19A、19Bにより前進されるカムフォロア駆動軸18A1、18B1の前進距離に比例することになる。したがって、カムフォロア駆動軸18A1、18B1の前進距離を、サーボドライバ42によりサーボモータ33A、33Bのエンコーダの回転信号Epとコントローラ41からの位置指令Pとを比較することで監視すれば、コンタクトユニット16の押し付け圧力を正確に制御できることになる。
【0055】
なお、サーボモータのエンコーダからの回転信号により表されるカムフォロア駆動軸18A1、18B1の位置データを用いる代わりに、
図10に示したように、コンタクトユニット16に近接してリニアスケール50を設置し、リニアスケール50から得られるコンタクトユニット16の上下の移動の位置データEp1をサーボドライバ42に供給して位置指令Pと比較するフィードバック制御を行うこともできる。この場合はエンコーダからの回転信号Epを位置データとして用いるより更に正確な位置制御が可能である。
【0056】
この状態で測定ソケット21A、21Bに載置された電子部品22A、22Bの測定が行われる。
【0057】
図11は
図10の制御システム40による
図8乃至
図10に示した実施形態のコンタクトモジュール1の駆動方法を示す流れ図である。
図11において、コンタクトモジュール1はコントローラ41を構成するコンピュータからの位置指令Pにより、スタートの状態である
図2、
図3に示したと同様の原位置にあるように制御される。
【0058】
最初のステップS1では、コントローラ41からの動作信号Bによりバルブ43が駆動され、これにより電子部品22A、22Bの測定位置の上方で垂直軸駆動機構15が駆動されて、測定ソケット21A、21Bに載置された電子部品22A、22Bを電子部品測定装置2の測定ソケット21A、21Bに押し付けるためのコンタクプレート16Aを、前記電子部品22A、22Bに向けて垂直に下降させる。
【0059】
次のステップS2では、前記コンタクトプレート16Aが前記電子部品22A、22Bの直上の所定位置、例えばコンタクトプレート16Aに取り付けられたジグ部品23A、23Bの下面が電子部品22A、22Bの表面に近接したときに、動作信号Bによりバルブ43を制御して垂直軸駆動機構15の駆動を停止し、コンタクトプレート16Aの下降を停止させる。このとき、前述したように、カムフォロア駆動軸18A1、18B1の先端に取り付けられたカムフォロア18A、18Bが、カムブロック17のカム斜面17A1、17B1の下端位置よりわずかに上方の位置にある位置でコンタクトプレート16Aは停止される。
【0060】
次のステップS3では、コントローラ41からの位置指令Pによりサーボドライバ42が駆動され、サーボモータ33Bを駆動して、前記コンタクトプレート16A上に設けられたカムブロック17のカム斜面17A1、17B1にカムフォロア18A、18Bが係合した状態でカムフォロア駆動軸18A1、18B1を水平方向に移動させて、カムブロック17を下方に押し付ける。
【0061】
次のステップS4では、前記カムブロック17により前記コンタクトプレート16Aが前記電子部品21A、21Bを所定圧力で前記測定ソケット22A、22Bに押し付けたときにサーボモータ33Bによるボールネジ32Bの正転が停止され、前記カムフォロア駆動軸18A1、18B1の水平方向への前進が停止される。
【0062】
この状態で、電子部品測定装置2が駆動され、電子部品21A、21Bの所定の電気的特性が測定される。
【0063】
この発明の上記に示した実施態様は2個の電子部品を測定する場合として説明したが、前記垂直軸14Aの延長線がこの加圧プレート16Aの略中央部を通るように配置し、前記加圧プレート16Aはこの中央部を挟んで対称の二つの懸架位置で前記垂直軸ユニット14の吊り下げ板14Dに懸架され、この二つの懸架位置の近傍で前記加圧プレート16A上の周縁側位置に一対のカム斜面17A1、17B1を有するカムブロック17が固定され、この第一、第二のカム斜面に第一、第二のカムフォロア駆動軸18A1、18B1のカムフォロア18A、18Bがそれぞれ係合した構成において、前記加圧プレート16Aにより2個またはそれ以上の多数の電子部品が測定ソケット21A、21B内で同時に加圧される、コンタクトモジュールとして構成してもよい。
【0064】
また、上記の実施形態では第一、第二のカム斜面に第一、第二のカムフォロア駆動機構のカムフォロアがそれぞれ係合した構成としたが、いずれか一方のカム斜面とこれに係合するカムフォロアを用いるようにしてもよい。あるいは、多数の電子部品を同時に測定するために、多数のカムブロックを用いるように構成することもできる。
【0065】
この発明の他の実施態様として、可搬型のデスクトップコンタクトモジュールを構成することもできる。この場合、前記加圧プレートが電子部品測定装置の測定ソケット内に置かれた電子部品に近接した上方に位置した状態で、前記コンタクトモジュールの本体ベースが前記電子部品測定装置の上に測定時に固定されるように構成される、デスクトップコンタクトモジュールを提供することができる。
【0066】
本発明の各実施形態によれば、電子部品の多ピン化に対応して簡単な構成で必要な加圧力を正確に与えることが出来、電子部品の破損、変形を防止しつつ正確な測定結果が得られる電子部品の電気的特性を測定する際に用いられるコンタクトモジュールを提供することができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【課題】電子部品の多ピン化に対応して簡単な構成で必要な加圧力を測定ソケット上の電子部品に正確に与えることが出来、電子部品の破損を防止しつつ正確な測定結果が得られる電子部品の測定用のコンタクトモジュールを提供する。
【解決手段】加圧プレート(16A)が電子部品測定装置(2)の測定ソケット(21A、21B)内に置かれた電子部品(22A、22B)の上方に位置した状態で、測定加圧機構(19A、19B)のカムフォロア駆動軸(18A1、18B1)を水平方向に駆動してカムブロック(17)を介して前記加圧プレート(16A)を下方に移動させ、加圧プレート(16A)により電子部品(22A、22B)を測定ソケット21A、21B)に押し付ける。