特許第5796106号(P5796106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796106
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】キャリーケース
(51)【国際特許分類】
   A45C 5/14 20060101AFI20151001BHJP
   A45C 13/26 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   A45C5/14 A
   A45C13/26 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-100237(P2014-100237)
(22)【出願日】2014年5月14日
(62)【分割の表示】特願2013-269954(P2013-269954)の分割
【原出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-123369(P2015-123369A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2014年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】593044274
【氏名又は名称】広和エムテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591091674
【氏名又は名称】広和機械設計工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】山本 英雄
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−360322(JP,A)
【文献】 実開昭61−100220(JP,U)
【文献】 特開2005−53424(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2522244(EP,A1)
【文献】 実開昭60−126022(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3151289(JP,U)
【文献】 特開2007−8435(JP,A)
【文献】 実開昭56−142616(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 5/14
A45C 13/26
A45C 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状に形成されたケース本体と、
ケース本体を移動させる際に把持される把持部と、
把持部を先端に設けた支持部と、
ケース本体は、上下方向および前後方向に所定の長さに形成された矩形板状の一側壁、一側壁に対向する矩形板状の他側壁、一側壁および他側壁の縁部で厚み方向に亘る板枠状の枠壁を備え、
支持部の基端は、ケース本体の一側壁および他側壁のうちの何れか一方の外側面に対して、ケース本体の厚み方向に沿う軸体回りに回動自在に配置され、
支持部の基端を軸体回りに保持および解除する保持・解除機構部が設けられたことを特徴とするキャリーケース。
【請求項2】
保持・解除機構部による支持部の基端の保持および解除の操作を行う操作部が設けられ、操作部が把持部に設けられた請求項1記載のキャリーケース。
【請求項3】
枠壁には、その壁面から突出する滑り部材が、上下方向に亘って取付けられた請求項1または請求項2の何れかに記載のキャリーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行時等において衣類等の荷物を収容して持ち運ぶキャリーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のキャリーケースとして、下記特許文献1に記載された技術が提案されている。特許文献1に記載のキャリーケースは、上下方向、前後方向、厚み方向に所定の長さを有して矩形状に形成されたケース本体と、ケース本体を移動等させる際に把持する把持部と、ケース本体に基端部が可動部を介して回動自在に取付けられた支持部とを備え、把持部は支持部の先端に設けられている。支持部は、ケース本体の上端部に配置され、支持部は前後方向に沿う横軸回りに、回動角度を変更自在に取付けられている。
【0003】
そしてキャリーケースのユーザーは、必要に応じて支持部を横軸回りに回動させることで、ユーザーの体型にあわせた位置に把持部を位置させて把持し、キャリーケースを移動させ易くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−8435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のキャリーケースにおいて、キャリーケースを厚み方向に移動させる場合では、支持部を前後方向に沿う横軸回りに回動させてユーザーの体型にあわせた位置に把持部を位置させられるが、特に、キャリーケースを、厚み方向ではなく、前後方向に移動させる場合では、支持部を前後方向に沿う横軸回りに回動させても、把持部をユーザーの体型にあわせた位置に位置させることはできない。このため、キャリーケースを移動させにくい。
【0006】
そこで本発明は、特に、幅方向での移動をさせ易いキャリーケースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のキャリーケースは、直方体形状に形成されたケース本体と、ケース本体を移動させる際に把持される把持部と、把持部を先端に設けた支持部と、ケース本体は、上下方向および前後方向に所定の長さに形成された矩形板状の一側壁、一側壁に対向する矩形板状の他側壁、一側壁および他側壁の縁部で厚み方向に亘る板枠状の枠壁を備え、支持部の基端は、ケース本体の一側壁および他側壁のうちの何れか一方の外側面に対して、ケース本体の厚み方向に沿う軸体回りに回動自在に配置され、支持部の基端を軸体回りに保持および解除する保持・解除機構部が設けられたことを特徴としている。
【0008】
上記構成において、キャリーケースのユーザーは、操作部を操作して保持・解除機構部によって軸体回りの支持部の保持を解除した状態で支持部を軸体回りに回動することで、把持部がユーザーの体型に合う高さとなるよう調節し、保持・解除機構部によって軸体回りに支持部を保持し、把持部を把持してケース本体をその前後方向に移動させる。
【0009】
本発明における移動とは、キャリーケースをユーザーの後方で引くことに限らず、ユーザーの側方にキャリーケースを添わせて運搬する場合、あるいはユーザーがキャリーケースを先行させて押すようにして運搬する場合を含むものとする。
【0010】
本発明のキャリーケースでは、保持・解除機構部による支持部の基端の保持および解除の操作を行う操作部が設けられ、操作部が把持部に設けられた構成を採用することができる。この構成のように、操作部が把持部に設けられていることで、ユーザーは、操作部の操作がし易い。
【0011】
本発明のキャリーケースでは、枠壁には、その壁面から突出する滑り部材が、上下方向に亘って取付けられた構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のキャリーケースでは、ユーザーは、操作部を操作して保持・解除機構部によって軸体回りの支持部の保持を解除した状態で支持部を軸体回りに回動することで、把持部がユーザーの体型に合う高さとなるよう調節し、操作部を操作し、保持・解除機構部によって軸体回りに支持部を保持し、把持部を把持してケース本体をその前後方向に移動させると、特に、前後方向での移動をさせ易い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るキャリーケースの全体構成を表す側面図である。
図2】同平面図である。
図3】同正面図である。
図4】同回動部および横軸体の拡大側面図である。
図5】同保持・解除機構部を主に表した背面側からの断面図である。
図6】同キャリーケースの使用方法を現す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るキャリーケースを、図面を参照しつつ説明する。図1図3に示すように、キャリーケース1は、中空状の直方体形状に形成されたケース本体2と、ケース本体2を移動させる際に把持される移動用把持部3と、移動用把持部3を先端に設けた支持部4,4と、ケース本体2を移動させる際に路面5に接触して転動するキャスタ6とを備えている。
【0015】
ケース本体2は、上下方向X、および前後方向Yに所定の長さに形成された矩形板状の一側壁7、一側壁7にケース本体2の厚み方向Zで対向する矩形板状の他側壁8、一側壁7および他側壁8の縁部でケース本体2の厚み方向Zに亘る板枠状の枠壁9を備えている。
【0016】
本実施形態において、上下方向Xとは、ユーザーHの立位方向に沿う方向である。前後方向Yとは、キャリーケース1のユーザーH(図6参照)が、キャリーケース1を自らの側方に位置させて移動させる際に、ユーザーHの前進、後退に沿う方向である。厚み方向Zとは、一側壁7と他側壁8が対向する方向である。
【0017】
図3に示すように、一側壁7は、枠壁9に、例えばスライド・ファスナ10を介して開閉自在に取付けられている。枠壁9のうちの上壁面には、把手11が固定されている。キャスタ6は枠壁9のうち、下壁面の四箇所に配置されている。枠壁9のうち前後の壁面には、それぞれ二条の滑り部材12が、上下方向に亘って取付けられている。滑り部材12は、自己潤滑性のある合成樹脂から形成されることが好ましい。なお、この滑り部材12は、キャリーケース1の前後の壁面から突出するよう形成されるとともに、断面が円弧状(半円状)に形成されており、壁面を路面5(階段を含む)側にして、すなわち壁面を下側にして、キャリーケース1を移動させる際に、キャリーケース1を滑らすようにすることで楽に移動させ得るとともに、キャリーケース1(壁面)を保護する機能を備えている。このため、滑り部材12は、プロテクター、あるいはプロテクトバーとも称される。
【0018】
図1に示すように、キャリーケース1は、回動部13を備えている。回動部13は、前記支持部4,4、移動用把持部3、および回動用円盤体14を備えている。回動部13(支持部4,4の基端)は、ケース本体2の一側壁7および他側壁8のうち、他側壁8の外側面に配置されている。
【0019】
図4に示すように、支持部4,4と移動用把持部3とは連結されており、門型に形成されている。移動用把持部3の垂直方向の断面は矩形であり、移動用把持部3は中空断面に形成されている。支持部4,4の水平方向の断面は矩形であり、支持部4,4は中空断面に形成されている。移動用把持部3および支持部4,4の内部空間は連通されている。支持部4,4および移動用把持部3はアルミニウム等の金属製である。
【0020】
図1の実線で示すように、支持部4,4は互いに平行に配置されて一対設けられており、支持部4,4の上端に、移動用把持部3が渡すように配置されている。支持部4,4と移動用把持部3は同一平面内にあって、それらの長手方向軸線どうしは、互いに直交する。なお、支持部4,4はテレスコピックに構成されており、不図示の伸縮機構部により、上下方向に伸縮自在に構成されている。
【0021】
図4および図5に示すように、回動用円盤体14は、支持部4,4の基端に一体的に形成されている。回動用円盤体14は、支持部4,4を、厚み方向Zに沿う軸心15回りに回動自在に支持する部分である。回動用円盤体14は、後述する保持・解除機構部16の一部を構成する固定部に、軸受17(例えば滑り軸受が用いられる)を介して軸心15回りに回動自在に外嵌されている。なお、軸心15は、他側壁8の外側面において、前後方向略中心部で、上下方向中心部よりも下方寄りにある。回動用円盤体14はアルミニウム等の金属製である。
【0022】
キャリーケース1は、前記保持・解除機構部16を備えている。保持・解除機構部16は、支持部4,4の基端(回動用円盤体14)を、軸心15回りに保持および解除するよう構成されている。保持・解除機構部16は、前記固定部である円盤状の横軸体(軸体に相当する)18と、操作杆19と、操作杆19を移動させるよう操作する(保持・解除機構部16による支持部4,4の基端の保持および解除の操作を行う)操作部20と、操作杆19の移動によって後述する保持用穴21に対して出退する出退部材22を備えた出退機構部23とを備えている。
【0023】
横軸体18は、扁平な円盤状部分24と、円盤状部分24の中心から厚み方向外側へ向けて突出した扁平な円柱状の軸部25とを備える。横軸体18の中心は、軸心15に一致するよう他側壁8の外側面にボルト26等の固定手段によって固定されている。横軸体18は、例えばアルミニウム等の金属や、テフロン(登録商標)系の合成樹脂により形成されている。
【0024】
保持用穴21は、円盤状部分24の外周側の表面の全域に亘り、周方向等間隔に形成されている。保持用穴21は円盤状部分24を貫通していてもよいし、貫通していなくともよい。具体的に本実施形態では、保持用穴21は円盤状部分24を、厚み方向Zで貫通しており、保持用穴21は二十四個形成されている。本実施形態では、保持用穴21は二十四個形成されているが、回動部13を、所定の範囲内で前後方向Yに傾動(回動)できれば、二十五個以上であってもよいし、二十三個以下であってよい。
【0025】
操作杆19は、移動用把持部3および支持部4,4の内部空間の略全域に亘って内装されており、移動用把持部3に内装された横杆27と、横杆27の前後各端部から下方に向けて延長された縦杆28,28とを備える。そして、移動用把持部3の前後方向中間部の上面には開口29が形成されており、ユーザーHが横杆27を下方に押圧するための前記操作部20が、横杆27に一体的に形成され、操作部20は開口29に露出している。すなわち操作部20は、移動用把持部3に設けられている。
【0026】
各縦杆28,28の下端部に、出退機構部23の出退部材22を直接的に押圧操作する押圧部材30が取付けられている。押圧部材30は上下方向を長手方向とする略角柱状に形成されており、下端部には押圧用傾斜面31が形成されている。また、押圧部材30の上部には、押圧部材30の上下方向(この場合、下方)への移動量を制限する鍔状の制限部材32が形成されている。押圧用傾斜面31の傾斜方向は、厚み方向Zにおける一方側である円盤状部分24側が、厚み方向Zにおける他方側に対して下側になっている。
【0027】
出退機構部23の基本的構成は、支持部4,4の内部に配置されている。出退機構部23は、厚み方向Zを長手方向とする外筐体33と、外筐体33に厚み方向Zに移動自在に内装された出退部材22と、出退部材22を厚み方向Zに付勢するとともに縦杆28,28を上方に付勢するばね34とを備える。
【0028】
外筐体33は中空状に形成されるとともに、支持部4,4内の厚み方向Zに亘るよう支持部4,4内に固定され、厚み方向Zの略中心の上部に、制限部材32を当接させ得るストッパ35が上方へ向けて突出するよう形成されている。ストッパ35は例えば角筒状に形成されており、押圧部材30が上下方向Xに案内されるよう、常時的に内嵌されている。
【0029】
出退部材22はその先端(厚み方向Zにおける一方側である円盤状部分24側)に、保持用穴21に出退(挿抜)自在な凸起36を備えている。したがって、支持部4,4には、凸起36を挿通する挿通穴37が形成されている。また、出退部材22には、押圧部材30における押圧用傾斜面31の下部を含んだ一部が入り込んでいる。この一部は、外筐体33の上壁の内面に係止可能な係止部30aとして構成される。出退部材22はその基端部に、押圧用傾斜面31が常時的に当接する被操作部38を備えている。被操作部38において押圧用傾斜面31と接触する面は、押圧用傾斜面31と同方向に傾斜する傾斜面に形成されている。
【0030】
ばね34は、本実施形態ではコイルばねであり、外筐体33の内部にあって、出退部材22を円盤状部分24側へ付勢するよう、出退部材22に対して、厚み方向Zにおける他方側に配置されている。出退部材22には、ばね34の軸心方向に沿って挿通する案内杆39が形成され、外筐体33の他側壁に、案内杆39の他方側部を挿入可能な案内穴40が形成されている。
【0031】
上記構成のキャリーケース1において、出退機構部23のばね34の弾性により、出退部材22は厚み方向Zに付勢されており、これによって、凸起36が保持用穴21内に突出している。さらに具体的には、各支持部4,4内にそれぞれ設けた出退機構部23のばね34の弾性により、出退部材22は厚み方向Zに付勢されており、これによって、凸起36が最も離間した保持用穴21内に突出している。つまり、回動部13は、軸心15には非回転の状態に保持されている。
【0032】
回動部13が軸心15に非回転の状態においては、ばね34の弾性により、出退部材22が厚み方向Zに付勢されていることで、被操作部38が係止部30aを厚み方向Zに押圧しており、被操作部38と係止部30aは同方向に傾斜している傾斜面どうしで接触している。このことから、押圧部材30は上方に付勢され、係止部30aが外筐体33の上壁の内面に係止して保持されている。また、制限部材32は、ストッパ35に対し上方に離間している。
【0033】
このような、回動部13の保持状態から、回動部13を軸心15回りに回動させるには、ユーザーHは、操作部20をばね34の弾性に抗して下方に押圧する。操作部20が下方に押圧されて移動することで、その分だけ横杆27および縦杆28,28が下方に移動し、特に、縦杆28,28が下方に移動することで、係止部30aが被操作部38を、傾斜面を介して厚み方向Zの他方側へ押圧し、ばね34が縮む。これによって、出退部材22が厚み方向Zの他方側へ移動し、したがって、凸起36が保持用穴21から抜ける。そして案内杆39の一部が、案内穴40に入る。
【0034】
凸起36が保持用穴21から抜ければ、回動部13の軸心15回りの回動がフリーになる。そこでユーザーHは、回動部13を軸心15に対し好みの角度(ユーザーHの体型に合う角度)に回動する。この場合、横軸体18は他側壁8に固定されているから回動せず、回動部13の回動用円盤体14が、軸部25回りに回動する。そしてユーザーHが操作部20の押圧を解除すると、ばね34が弾性復元して、出退部材22が厚み方向Zの一方側へ移動し、ユーザーHの好みの角度に対応する位置にある保持用穴21に出退部材22の凸起36が挿入される。これによって、回動部13の軸心15回りの位置が保持される(図1の仮想線参照)。
【0035】
なお、本実施形態では、保持用穴21は、円盤状部分24の外周側の表面の全域に亘り、周方向等間隔に形成されている。このため、回動部13は軸心15回りに360°回動可能である。
【0036】
キャリーケース1をユーザーHの後方で引くか、ユーザーHの側方にキャリーケース1を添わせて運搬するか、ユーザーHがキャリーケース1を先行させて押すようにして運搬するかは、ユーザーHの好みである。
【0037】
例えば、ユーザーHがキャリーケース1を先行させて押すようにして運搬する場合では、図1の右側を前方とすれば、図1の左側の仮想線で示すように回動部13を回動させるのもよい。何れにしても、軸心15は、他側壁8の外側面において、前後方向略中心部で、上下方向中心部よりも下方寄りにある。このため、キャリーケース1を移動させる際の力が作用する位置を、ケース本体2の下方寄りとすることができ、ケース本体2の移動を安定した状態で行える。
【0038】
図6で示すように路面5が階段である場合で、図6に示す上り階段では、ユーザーHは、回動部13を回動させてケース本体2を階段の角部で滑らすように移動させることができる。このようにしても、ケース本体2には滑り部材12が枠壁9に設けられていることから、キャリーケース1を階段に載せないように持ち上げて運搬する必要がなく、キャリーケース1を楽に移動させられる。
【0039】
図6に示す下り階段では、回動部13を、上り階段の場合とは反対方向に回動させて、ケース本体2を階段の角部で滑らすように先行させることができる。このようにしても、ケース本体2には滑り部材12が枠壁9に設けられていることから、キャリーケース1を階段に載せないように持ち上げて運搬する必要がなく、キャリーケース1を楽に移動させることができる。なお、図6の中央に示すような平坦な路面5では、把手11を把持することでも、キャリーケース1を移動させられる。
【0040】
本発明に係るキャリーケース1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、保持・解除機構部16として、凸起36は最も離間した二つの保持用穴21内に突出することで、回動部13を保持する構成を説明した。
【0041】
しかしながら、支持部4,4の前後方向Yでの間隔を狭め、最も離間した二つの保持用穴21ではない別の二つの保持用穴21に、それぞれの凸起36が挿抜されるよう構成してもよい。この場合、回動部13を垂直にした状態で、最も離間した二つの保持用穴21ではない別の二つの保持用穴21は、軸心15より上側の保持用穴21でも、下側の保持用穴21であってもよい。但し、キャリーケース1を移動させる際の力が作用する位置を、ケース本体2の下方寄りとすることが、ケース本体2の移動を安定した状態で行えることから考えると、最も離間した二つの保持用穴21ではない別の二つの保持用穴21は、軸心15よりも下側の保持用穴21が好ましい。
【0042】
上記構成のキャリーケース1では、保持用穴21は厚み方向Zに沿うよう形成し、凸起36が保持用穴21に厚み方向Zで出退するよう構成した。しかしながら、図示しないが例えば、固定部に保持用穴を軸心15に対して径方向に沿うよう形成し、凸起を保持用穴に、軸心15に対する径方向で出退するよう構成してもよい。
【0043】
上記実施形態では、保持・解除機構部16として、凸起36と保持用穴21の構成を説明したが、回動部13を保持・解除する構成としては凸起36と保持用穴21に限定されるものではない。例えば、固定部に対する回動部の保持・解除は、摩擦力の付与・解除を用いたり、あるいはギヤどうしの噛合・解除を用いたりする機構であってもよい。
【0044】
上記実施形態では、軸心15は、他側壁8の外側面において、前後方向略中心部で、上下方向中心部よりも下方寄りに配置することで、キャリーケース1を移動させる際の力が作用する位置を、ケース本体2の下方寄りとして、ケース本体2の移動を安定した状態で行う場合を説明した。しかしながら、場合によっては、軸心15を他側壁8の外側面において、前後方向略中心部で、上下方向中心部よりも上方寄りに配置することも考えられる。軸心15が上下方向中心部よりも下方寄りに配置されているほうがキャリーケース1を移動させ易いか、上方寄りに配置されているほうがキャリーケース1を移動させ易いかは、キャリーケース1を用いるユーザーの体型や好みによるところである。
【符号の説明】
【0045】
1…キャリーケース、2…ケース本体、3…移動用把持部、4,4…支持部、7…一側壁、8…他側壁、9…枠壁、12…滑り部材、13…回動部、14…回動用円盤体、16…保持・解除機構部、18…横軸体、19…操作杆、20…操作部、21…保持用穴、22…出退部材、23…出退機構部、24…円盤状部分、25…軸部、30…押圧部材、31…押圧用傾斜面、33…外筐体、36…凸起、37…挿通穴、38…被操作部、39…案内杆、40…案内穴、H…ユーザー、X…上下方向、Y…前後方向、Z…厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6