特許第5796110号(P5796110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5796110無線通信ネットワークにおけるデータ伝送管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796110
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】無線通信ネットワークにおけるデータ伝送管理
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/02 20090101AFI20151001BHJP
   H04W 36/38 20090101ALI20151001BHJP
【FI】
   H04W36/02
   H04W36/38
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-116620(P2014-116620)
(22)【出願日】2014年6月5日
(62)【分割の表示】特願2012-179500(P2012-179500)の分割
【原出願日】2006年10月27日
(65)【公開番号】特開2014-180048(P2014-180048A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2014年6月5日
(31)【優先権主張番号】60/732,080
(32)【優先日】2005年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/732,288
(32)【優先日】2005年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10-2006-0063641
(32)【優先日】2006年7月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チョン スン−ダク
(72)【発明者】
【氏名】リ ヨン−デ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ミュン−チュル
(72)【発明者】
【氏名】パク スン−チュン
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−69531(JP,A)
【文献】 特開2003−102055(JP,A)
【文献】 3GPP;Technical Specification Group Radio Access Network;Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN);Radio interface protocol aspects(Release 7)[online],3GPP TR 25.813 V7.0.0(2006-06),インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/25_series/25.813/25813-700.zip>,2006年 6月19日,pages 27-29(9.1.5 Handover)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムのためのデータ転送管理の方法であって、前記方法は、移動端末によって実行され、
前記方法は、
ソース基地局からハンドオーバー命令を受信することと、
前記ソース基地局から離れることと、ターゲット基地局と同期化することとにより、前記受信されたハンドオーバー命令に基づいて無線リンクを再設定することと、
前記再設定された無線リンクで第1の状態報告を前記ターゲット基地局に伝送することと、
前記再設定された無線リンクで第2の状態報告を前記ターゲット基地局から受信することと
を含み、
前記第1の状態報告は、前記ターゲット基地局に、前記移動端末により正確または不正確に受信されたユーザデータを通知し、
前記第2の状態報告は、前記移動端末に、前記ターゲット基地局により正確または不正確に受信されたユーザデータを通知する、方法。
【請求項2】
前記ハンドオーバー命令は、前記移動端末に対する新しい一時識別子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターゲット基地局に同期化情報を送信することと、
前記ターゲット基地局から前記移動端末のためのタイミングアドバンス情報およびアップリンク割り当てリソースを受信することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ハンドオーバーが完了したことを示すハンドオーバー確認メッセージを前記ターゲット基地局に送信することをさらに含み、前記ハンドオーバー確認メッセージを送信した後、前記第1の状態報告が前記ターゲット基地局に伝送される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ハンドオーバーが完了した後、前記第2の状態報告が前記ターゲット基地局から受信される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の状態報告は、ハンドオーバー確認メッセージを利用して伝送される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
移動端末であって、
前記移動端末は、
ソース基地局からハンドオーバー命令を受信することと、
前記ソース基地局から離れることと、ターゲット基地局と同期化することとにより、前記受信されたハンドオーバー命令に基づいて無線リンクを再設定することと、
前記再設定された無線リンクで第1の状態報告を前記ターゲット基地局に伝送することと、
前記再設定された無線リンクで第2の状態報告を前記ターゲット基地局から受信することと
を実行するように構成され、
前記第1の状態報告は、前記ターゲット基地局に、前記移動端末により正確または不正確に受信されたユーザデータを通知し、
前記第2の状態報告は、前記移動端末に、前記ターゲット基地局により正確または不正確に受信されたユーザデータを通知する、移動端末。
【請求項8】
前記第1の状態報告は、前記ターゲット基地局に、前記移動端末により正確に受信されたユーザデータおよび不正確に受信されたユーザデータの両方を通知する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の状態報告は、前記移動端末に、前記ターゲット基地局により正確に受信されたユーザデータおよび不正確に受信されたユーザデータの両方を通知する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の状態報告は、前記ターゲット基地局に、前記移動端末により正確に受信されたユーザデータおよび不正確に受信されたユーザデータの両方を通知する、請求項7に記載の移動端末。
【請求項11】
前記第2の状態報告は、前記移動端末に、前記ターゲット基地局により正確に受信されたユーザデータおよび不正確に受信されたユーザデータの両方を通知する、請求項7に記載の移動端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を提供する無線移動通信システム及び無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
無線システムにおいて、無線ネットワークの第1ノードに現在アクセスしている移動端末が前記無線ネットワークの第2ノード(第1ノードとは異なる)にアクセスする場合、前記第1ノード及び前記移動端末は、送受信確認に関する情報を前記第2ノードに伝送し、データの不要な重複伝送及び新しいデータのための伝送遅延を最小化する。
【0003】
広帯域無線アクセス技術(例えば、WiMAX)をサポートするために、セルラー3G技術(例えば、UMTS、WCDMAなど)及びマルチキャリアベース多元接続技術(例えば、OFDMA、OFDM−TDMA、OFDM−CDMAなど)などの様々なタイプの広帯域無線(エア)インタフェースが存在する。周波数分割多重方式は、サブチャネル化(subchannelization)に関連し、少なくとも4つのタイプ(OFDM、フラッシュOFDM、sOFDMA、及びOFDMA)が存在する。
【0004】
直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing:OFDM)方式とは、無線信号を異なる周波数で同時に受信機に伝送される複数の小さいサブ信号に分割することである。OFDMは、全てのサブキャリアが互いに直交するマルチキャリア伝送の形式を意味する。特定IEEE標準及び3GPP標準がこのOFDMの多様な態様に関連している。例えば、長期的発展(Long-TermEvolution:LTE)(例えば、E−UMTSなど)の多様な態様に関連した前記3GPP標準の一部はOFDM概念に基づいている。
【0005】
図1及び図2は、E−UMTS(Evolved Universal Mobile Telecommunications System)の構造の例を示す。前記E−UMTSシステムは、UMTSシステムから進化したシステムであり、現在3GPP標準機構でこれに関する標準化作業が行われている。
【0006】
図1及び図2に示すように、E−UMTSネットワークは、一般的に、コアネットワーク(Core Network:CN)、E−UTRAN、及び端末(例えば、UE)から構成される。前記E−UTRANは、基地局(すなわち、eNodeB又はeNB)、及び前記E−UMTSネットワークの終端に位置して1つ以上の外部ネットワークに接続されるアクセスノード(例えば、アクセスゲートウェイ(AG)など)から構成される。前記AGは、ユーザトラフィックを処理する部分と制御トラフィックを処理する部分に分けられる。この場合、前記ユーザトラフィックを処理するAGと前記制御トラフィックを処理するAGは、新しく定義されるインタフェースを介して通信できる。1つのeNodeBには1つ以上のセルが存在する。前記eNode B間には、ユーザトラフィック及び制御トラフィックの伝送のためのインタフェースが使用される。前記コアネットワーク(CN)は、前記UEのユーザのための登録及び他の機能のために使用されるノードなどと前記AGとから構成される。また、前記E−UTRANと前記CNを区別するためのインタフェースが使用される。
【0007】
また、前記E−UMTSネットワークは、無線制御機能を行う制御プレーンサーバ(Control Plane Server:CPS)、無線リソース管理機能を行う無線リソース管理(Radio Resource Management:RRM)エンティティ、及び移動端末の移動性管理機能を行う移動性管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)を含む。ここで、前記多様なネットワークエンティティの特定名称は、前述したものに限定されない。
【0008】
前記移動端末と前記ネットワーク間の無線インタフェースプロトコルの多様な層は、通信システム分野において公知の開放型システム間相互接続(OSI)モデルの下位3層に基づいてL1(レイヤ1)、L2(レイヤ2)、及びL3(レイヤ3)に区分される。このような層のうち、レイヤ1の一部である物理層は、物理チャネルを利用して情報伝送サービスを提供し、レイヤ3に位置する無線リソース制御(Radio Resource Control:RRC)層は、移動端末とネットワーク間の無線リソースを制御する機能を果たす。このために、前記RRC層は、移動端末とネットワーク間でRRCメッセージを交換する。前記RRC層の機能は、NodeB、CPS/RRM、及び/又はMME間で分配されてこれらの内部で行われる。
【0009】
無線インタフェースプロトコルは、水平的には、物理層、データリンク層、及びネットワーク層から構成され、垂直的には、ユーザデータを伝送するユーザプレーンと制御信号を伝送する制御プレーンとから構成される。前記無線インタフェースプロトコル層は、通信システム分野において公知の開放型システム間相互接続(OSI)モデルの下位3層に基づいてL1(レイヤ1)、L2(レイヤ2)、及びL3(レイヤ3)に区分される。
【0010】
図3及び図4は、3GPP無線接続ネットワーク標準に準拠した無線プロトコルの構造の例を示す。以下、図3の無線プロトコル制御プレーン及び図4の無線プロトコルユーザプレーンの特定層について説明する。前記物理層(すなわち、レイヤ1)は、物理チャネルを利用して上位層に情報伝送サービスを提供する。前記物理層は、トランスポートチャネルで上位に位置する媒体アクセス制御(Medium Access Control:MAC)層に接続され、データは、前記トランスポートチャネルを介して物理層とMAC層間を移動する。また、データ伝送は、相異なる物理層間、すなわち、送信側(送信機)の物理層と受信側(受信機)の物理層間で物理チャネルを介して行われる。
【0011】
レイヤ2のMAC層は、論理チャネルを介して(上位層である)無線リンク制御(Radio Link Control:RLC)層にサービスを提供する。前記レイヤ2のRLC層は、信頼性のあるデータ伝送をサポートする。RLC機能がMAC層の内部で実現されて前記MAC層により行われる場合、前記RLC層自体が存在する必要がなくなるため、図3及び図4においては前記RLC層を点線で示す。第2層のPDCP層は、IPv4又はIPv6などのIPパケットを利用して伝送されるデータが相対的に帯域幅が小さい無線インタフェースを介して効率的に伝送できるように不要な制御情報を減らすヘッダ圧縮機能を果たす。
【0012】
レイヤ3の最下部に位置する無線リソース制御(Radio Resource Control:RRC)層は、制御プレーンにおいてのみ定義され、無線ベアラ(Radio Bearer:RB)の設定、再設定、及び解除に関連して論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルの制御を担当する。ここで、前記RBは、移動端末とUTRAN間のデータ伝送のためにレイヤ2により提供されるサービスである。
【0013】
前記ネットワークから前記移動端末にデータを伝送するダウンリンク伝送に利用されるチャネルとしては、システム情報の伝送のためのブロードキャストチャネル(BCH)及びユーザトラフィックや制御メッセージなどの送信に利用される共有チャネル(Shared Channel:SCH)がある。前記移動端末から前記ネットワークにデータを伝送するアップリンク伝送に利用されるチャネルとしては、初期制御メッセージ(initial control message)の伝送に利用されるRACH(Random Access Channel)及びユーザトラフィックや制御メッセージなどの送信に利用されるSCHがある。
【0014】
以下、前記RLC層の特徴について詳細に説明する。
【0015】
前記RLC層の基本機能は、各無線ベアラ(RB)のためのサービス品質(Quality of Service:QoS)の保障、及びこれに応じて行われるデータの伝送である。前記RBサービスがレイヤ2の前記無線プロトコルにより上位層に提供されるサービスであるので、レイヤ2の全体がQoSに影響を与えるが、特に、前記RLCの影響が大きい。前記RBに固有のQoSを保障するために、前記RLCは、各RBのための別途の(独立した)RLCエンティティを有し、多様なQoSをサポートする2つのタイプのRLCモード、すなわち、無応答モード(UnacknowledgedMode:UM)及び応答モード(Acknowledged Mode:AM)を提供する。この2つのRLCモードは、サポートされるQoSがそれぞれ異なるため、動作方法が異なり、詳細な機能も異なる。従って、前記RLCは、その動作モードによって考慮する必要がある。
【0016】
前記RLCは、伝送されたデータの受信に対する応答又は確認を提供しないモード(UM)、及び応答又は確認を提供するモード(AM)の2つのモードを有する。前記UMRLCは、各PDUにシーケンスナンバー(SN)を含むヘッダを加えて伝送することにより、伝送中に失ったPDUを受信側が認知できるようにする。このような機能により、前記UMRLCは、前記ユーザプレーンにおいて、ブロードキャスト/マルチキャストデータの伝送、又はパケットサービス(PacketService:PS)ドメインの音声(例えば、VoIP)及びストリーミングなどのリアルタイムパケットデータの伝送を担当するが、前記制御プレーンにおいては、セル内の特定端末又は特定端末グループに伝送される前記RRCメッセージのうち受信応答を必要としないRRCメッセージの送信を担当する。
【0017】
前記AM RLCは、前記UM RLCと同様に、シーケンスナンバー(SN)を含むPDUヘッダを加えることによりPDUを形成するが、前記UMRLCとは異なり、前記受信側が送信側から伝送されたPDUに対する応答を提供するという点で大きな相違点がある。AM RLCにおいて、前記受信側が応答を提供する理由は、正常に受信されていないPDUの再伝送を前記受信側が要求できるようにするためであり、この再伝送機能は、前記AMRLCの最も重要な特徴である。その結果として、前記AM RLCの目的は、再伝送の利用によりエラーのないデータ伝送を保障することであり、この目的により、前記AMRLCは、一般的に前記ユーザプレーンにおいては、前記PSドメインのTCP/IPのような非リアルタイムパケットデータ伝送を担当し、制御プレーンにおいては、セル内の特定端末に送信されるRRCメッセージのうち受信応答を必要とするRRCメッセージの送信を担当する。
【0018】
方向性の面では、前記UM RLCは、単方向通信に利用されるが、前記AMRLCは、前記受信側からのフィードバックがあるため、双方向通信に利用される。前記双方向通信は、一般的に1対1通信に利用されるため、前記AM RLCは、専用論理チャネルのみを採用する。構造面でも差がある。前記UMRLCは、送信又は受信のための1つのRLCエンティティを有する単一タイプの構造を有するが、AM RLCの場合、1つのRLCエンティティに送信機及び受信機の両方が存在する。
【0019】
前記AM RLCが複雑になる理由は、再伝送機能のためである。再伝送を管理するために、前記AMRLCは、送受信バッファ以外にも再伝送バッファを備える、フロー制御のための送受信ウィンドウを利用する、前記送信側が受信側のピアRLCエンティティに状態情報を要求できるようにするポーリング機能を利用する、前記受信側が自身のバッファ状態を前記送信側のピアRLCに報告する状態報告を利用する、状態情報を伝送するための状態PDUを利用する、状態PDUをデータPDUに挿入してデータ伝送効率を向上させるピギーバック機能を利用するなど、多様な機能を行う。また、前記AMRLCエンティティが自身の動作手順に深刻なエラーを発見すると、前記ピアAM RLCエンティティに全ての動作及びパラメータのリセットを要求するためのReset PDU及びそのResetPDUに応答するためのReset Ack PDUが利用される。また、このような機能をサポートするために、様々なタイプのプロトコルパラメータ、状態変数、及びタイマーが必要である。状態報告又は状態PDU、及びResetPDUなどのように前記AM RLCからのデータ伝送の制御に利用されるPDUをControl PDUという。また、ユーザデータの伝送に利用されるPDUをDataPDUという。
【0020】
移動通信システムは、サービスが移動性を有する端末に途切れなく提供されるべきであるという点で有線ネットワークと異なる。すなわち、前記端末が1つの領域から他の領域に移動する状況をサポートする必要がある。前記端末が現在アクセス中の基地局から離れて新しい基地局にアクセスする場合、前記ネットワークは、前記端末のアクセスポイントを新しい基地局に移す動作を行う。前記端末が以前の基地局とのアクセスを中断して新しい基地局へのアクセスを完了するまで、データ送受信は実行できない。
【0021】
しかしながら、全てのユーザデータは制限時間を有する。例えば、音声呼の場合、音声データ(又は、情報)は、設定された時間周期内に受信側に伝送されなければならない。また、TCPのようなデータは、所定時間周期内に送信側から伝送されて受信側により受信されなければならない。また、前記受信側は、所定時間周期内に前記送信側に受信確認を伝送しなければならない。そうしないと、前記送信側は、TCPデータを再伝送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
一般的に、端末と基地局は、送受信されたデータに対する送受信確認情報を連続的に交換する。例えば、TCPパケットの場合、1つのパケットが伝送中に下位層エンティティにより失われると、前記TCPエンティティの伝送速度は急激に低下する。例えば、TCPエンティティが100Mbits/secでデータを交換中に1つのパケットが失われても、前記TCPエンティティの伝送速度は、例えば、10Kbit/secに急激に低下する。
【0023】
従って、TCPパケットに対する影響を低減するために、移動通信システムにおいては、エアインタフェース(すなわち、基地局と端末間のインタフェース)のためのデータトラフィック(例えば、TCPパケットなど)をサポートするために無損失モード(no-loss mode)を使用する。この無損失モードは、AM RLCを利用するのに等しいとみなすことができ、送信側により伝送されたデータに対する受信確認を送信側が所定時間周期内に受信していない場合、又は、前記伝送されたデータに対して受信失敗を受信した場合、前記データは再伝送される。
【0024】
しかしながら、前述したように、再伝送は、常に行われるのでなく、エアインタフェースのために定義された最大伝送遅延時間内に送受信確認がない場合にのみ行われる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
無線通信ネットワークにおいて向上したデータ伝送管理を提供する必要がある。
【0026】
従って、本発明の特徴は、前述した従来の問題を解決するために開発された。本発明は、移動端末のためのハンドオーバー手順における効率的なデータ管理を行うことにより、エアインタフェース上でユーザデータの不要な重複伝送を最小化し、ユーザデータに対する伝送効率を向上させることによりユーザ満足度を向上させる。
(項目1)
移動端末から受信状態報告を受信する段階と、
ハンドオーバーをサポートするために前記受信された受信状態報告をターゲットネットワークノードに送信する段階と
を含むことを特徴とするソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目2)
前記受信状態報告は、
正常に受信されたデータ、正常に受信されていないデータ、又は、その両方に関連していることを特徴とする項目1に記載のソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目3)
前記受信された受信状態報告が受信状態情報の形式で前記ソースネットワークノードから前記ターゲットネットワークノードに送信されるように、適切なプロトコルフォーマットを行うことにより、前記受信された受信状態報告を処理する段階をさらに含むことを特徴とする項目2に記載のソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目4)
前記ソースネットワークノードから前記ターゲットネットワークノードに移動端末のハンドオーバーを行う必要があるか否かを決定する段階をさらに含むことを特徴とする項目1に記載のソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目5)
前記受信は、
前記移動端末との無線インタフェースを介して行われることを特徴とする項目1に記載のソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目6)
前記送信は、
前記ターゲットネットワークノードとの有線インタフェースを介して行われることを特徴とする項目1に記載のソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目7)
前記ネットワークノードは、
基地局、Node B、又は改善されたNode Bの少なくとも1つであることを特徴とする項目1に記載のソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目8)
ネットワークからハンドオーバー命令を受信する段階と、
前記受信されたハンドオーバー命令に基づいて無線リンクを再設定する段階と、
前記再設定された無線リンクで受信状態報告をターゲットネットワークノードに送信する段階と
を含むことを特徴とする移動端末による無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目9)
前記ハンドオーバー命令は、
前記移動端末のための新しい一時識別子を含むことを特徴とする項目8に記載の移動端末による無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目10)
前記再設定する段階は、
ソースネットワークノードから離れる段階と、
前記ターゲットネットワークノードと同期化する段階とをさらに含むことを特徴とする項目8に記載の移動端末による無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目11)
前記ターゲットネットワークノードに同期化情報を伝送する段階と、
前記ターゲットネットワークノードから前記移動端末のためのアップリンク割り当てリソース及びタイミングアドバンス情報を受信する段階とをさらに含むことを特徴とする項目8に記載の移動端末による無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目12)
ハンドオーバーの完了を示すハンドオーバー確認メッセージを前記ターゲットネットワークノードに送信する段階と、
前記ハンドオーバー確認メッセージを送信した後、前記ターゲットネットワークノードに受信状態報告を送信する段階とをさらに含むことを特徴とする項目8に記載の移動端末による無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目13)
ハンドオーバーが完了した後、前記ターゲットネットワークノードから状態報告を受信する段階をさらに含むことを特徴とする項目12に記載の移動端末による無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目14)
前記ターゲットネットワークノードへの受信状態報告は、前記ハンドオーバー確認メッセージの送信後に送信されることを特徴とする項目12に記載の移動端末による無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目15)
前記受信状態報告は、ハンドオーバー確認メッセージを利用して送信されることを特徴とする項目8に記載の移動端末による無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目16)
移動端末にハンドオーバー命令を伝送する段階と、
ダウンリンクユーザデータをターゲットネットワークノードに伝送する段階と、
前記ターゲットネットワークノードにユーザデータの送受信に関する情報を示す状態情報を伝送する段階と
を含むことを特徴とするソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
(項目17)
前記移動端末から受信されたハンドオーバー確認メッセージを前記ターゲットネットワークに送信する段階をさらに含むことを特徴とする項目16に記載のソースネットワークノードによる無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】E−UMTS(LTE)ネットワーク構造の一例を示す図である。
図2】E−UMTS(LTE)ネットワーク構造の他の例を示す図である。
図3】3GPP無線接続ネットワーク標準に準拠した無線インタフェースプロトコル構造の例を示す図である。
図4】3GPP無線接続ネットワーク標準に準拠した無線インタフェースプロトコル構造の例を示す図である。
図5】本発明の1つ以上の可能な実施形態のためのハンドオーバー手順の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、現在長期的発展(LTE)標準に定義されているハンドオーバー手順の例について説明する。前記手順は、以下の段階に要約されるが、これは、例示に過ぎず、可能な追加的及び/又は代案的な段階又はエンティティを限定するものではない。
1)基地局(BS)により指定された所定条件が満たされると、移動端末は、前記基地局(BS)に測定報告を伝送する。
2)ソースBSは、前記移動端末からの測定報告を参照してハンドオーバーを決定する。前記ソースBSは、ターゲットBSにハンドオーバー準備を要求する。
3)リソースを取得した後、前記ターゲットBSは、該当移動端末に対する一時識別子(C−RNTI)とともに設定情報を前記ソースBSに伝送する。前記ソースBSは、前記ターゲットBSにユーザデータを伝送する。
4)前記移動端末は、前記ソースBSからハンドオーバー命令を受信する。
5)前記移動端末は、前記ターゲットBSに無線環境を再設定する。ここで、タイミング同期化も含まれる。
6)前記ターゲットBSは、タイミング情報で応答する。その後、前記移動端末は、前記ターゲットBSにハンドオーバー確認メッセージを送信する。
7a)前記ターゲットBSは、前記ソースBSにハンドオーバーの成功について通知する。
7b)前記移動端末の位置は、コアネットワーク(CN)でアップデートされる。
【0029】
しかしながら、前述した手順において、前記ソースBSの全てのダウンリンクユーザデータは、前記ターゲットBSに伝送され、受信に成功した全てのアップリンクユーザデータは、前記ソースBSから前記コアネットワークに伝送される。また、前記ハンドオーバー手順において、前記コアネットワークに到着した全ての新しいダウンリンクユーザデータは、前記コアネットワークから前記ターゲットBSに直接伝送される。前記ターゲットBSは、前記コアネットワーク及び前記ソースBSから受信した全てのユーザデータを前記移動端末に伝送する。
【0030】
前述した従来のハンドオーバー手順においては、相当の有無線リソースが浪費される。例えば、前記ソースBSが所定ダウンリンクユーザデータを前記移動端末に伝送し、これが前記移動端末により正常に受信されても、前記ターゲットBSは、これが分からないため、同一のユーザデータが前記移動端末に再び伝送される。
【0031】
同様に、前記移動端末により伝送されたアップリンクユーザデータがハンドオーバーの開始前に該当基地局に正常に受信されても、その情報が前記移動端末に伝送されないと、該当基地局は、そのユーザデータを失ったと判断して前記端末に再び伝送することを要求する。これにより、前記移動端末がそのユーザデータを再び伝送する場合、無線リソースの浪費を招く。
【0032】
このような無線リソースの浪費は避けるべきである。無線リソースが無限のものなら構わないが、無線リソースは有限のものであるため、同一のデータを繰り返し伝送することは、新しいデータを伝送する機会を奪うことになる。これは、所定のユーザデータが制限時間内に伝送されないことを意味するので、深刻な伝送速度低下の原因となる。
【0033】
本発明の一態様は、前述したようなハンドオーバー手順の問題に関する本発明者らの知見に基づくものであり、以下に詳細に説明する。このような知見に基づいて、本発明が完成された。
【0034】
本発明の特徴は、前述したハンドオーバー過程の改善とみなされる。例えば、3GPP標準及び現在のLTE標準は、ハンドオーバー(又は、ハンドオフ)が行われる場合、ネットワーク(NodeB)と移動端末(UE)間の状態情報(多様なデータユニットの受信状態に関する情報)を交換する必要性に適切に対応できない。より詳しくは、ハンドオーバーを行うとき、ソース基地局(NodeB、eNBなど)は、アップリンク及び/又はダウンリンクで受信された(又は、受信されていない)データユニットに関連する情報をターゲット基地局(Node B、eNBなど)に伝送する。そうすることにより、ハンドオーバー中及びハンドオーバー後に、前記ターゲット基地局と前記移動端末(UE)間の改善されたシグナリングが可能になる。その結果、限られた無線リソースの浪費が最小となり、最適なデータ伝送速度が適用できる。
【0035】
本発明は、一般的に伝送制御プロトコル(Transmission Control Protocol:TCP)及びユーザデータグラムプロトコル(User Datagram Protocol:UDP)により規定できるインターネットプロトコル(Internet Protocol:IP)の伝送に関する。一般に、TCPは、フロー制御及びエラー修正を活用してデータ伝送を保障し、通常はエラーのないトラフィックに利用される。一般に、UDPは、フロー制御もエラー修正もないため、TCPより速く、通常はオーディオ及びビデオストリーミングに利用される。
【0036】
ソース基地局とターゲット基地局間の通信がIPベースのネットワーク上で行われるので、本発明の特徴は、シグナリング問題を抱えている。データユニットの順次伝送をサポートするためにATM技術を用いる3GPPネットワークとは異なり、IPネットワークにおいては、データユニットの再配置(re-ordering)が必要である。例えば、タイマー又は他の構成要素の使用及び処理技術は、前記再配置機能をサポートするために利用される。また、本発明の特徴が状態報告を採用するため、この状態報告を送受信する場合、他のデータは伝送できない。しかしながら、このような問題にもかかわらず、前記ハンドオーバー手順による最適化によりデータ伝送効率が向上する。
【0037】
本発明は、ハンドオーバー手順中にデータ受信状態情報(例えば、状態報告)がユーザ(例えば、移動端末)とネットワーク(例えば、基地局)間で交換されることを提案する。
【0038】
例えば、前記移動端末がハンドオーバー確認メッセージを新しい基地局に送信するとき、状態報告も共に送信される。状態報告メッセージは、前記ハンドオーバー確認メッセージに含まれる。前記ハンドオーバー確認メッセージとは別に、前記状態報告メッセージがRLCエンティティ間で送受信される。前記ハンドオーバー確認メッセージとは別に、前記状態報告メッセージがMACエンティティ間で送受信される。前記状態報告メッセージは、前記移動端末により正常に受信されたユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、前記移動端末により正常に受信されていないユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、新しい基地局にアクセスする前に最後にアクセスした基地局から前記移動端末によりダウンリンクで正常に受信された連続したシーケンスナンバーを有するユーザデータのうち、最高のシーケンスナンバーを有するユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、新しい基地局にアクセスする前に最後にアクセスした基地局から前記移動端末によりダウンリンクで受信されたユーザデータのうち、前記移動端末により上位層に最後に伝送されたユーザデータのシーケンスナンバーを含む。
【0039】
以前の基地局、すなわち、前記ソース基地局が前記移動端末にハンドオーバー命令を伝送するとき、状態報告も共に送信される。前記状態報告メッセージは、ハンドオーバー命令メッセージを含む。前記ハンドオーバー命令メッセージとは別に、前記状態報告メッセージがRLCエンティティ間で送受信される。前記ハンドオーバー命令メッセージとは別に、前記状態報告メッセージがMACエンティティ間で送受信される。前記状態報告メッセージは、前記ソース基地局により正常に受信されたユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、前記ソース基地局により正常に受信されていないユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、前記ソース基地局によりアップリンクで受信されたユーザデータのうち、最高のシーケンスナンバーを有するユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、前記ソース基地局によりアップリンクで受信されたユーザデータのうち、前記ソース基地局により上位層に最後に伝送されたユーザデータのシーケンスナンバーを含む。前記状態報告メッセージは、前記ソース基地局によりアップリンクで受信されたユーザデータのうち、前記ソース基地局により上位層に伝送されたユーザデータの全てのシーケンスナンバーを含む。前記状態報告メッセージは、前記ソース基地局によりアップリンクで受信されたユーザデータのうち、前記移動端末にハンドオーバー命令を伝送した後、前記ソース基地局により上位層に伝送されたユーザデータの全てのシーケンスナンバーを含む。前記上位層は、コアネットワークでもよい。前記状態報告メッセージ情報は、前記ソース基地局が前記移動端末にハンドオーバー命令を伝送するまでに送受信されたユーザデータに基づいて生成される。
【0040】
また、本発明は、移動端末が新しい基地局(すなわち、ターゲット基地局)にアクセスするとき、前記新しい基地局により管理される領域又は地域において前記移動端末がアクセスを行うと、前記移動端末が状態報告を送信することを提案する。
【0041】
ハンドオーバー確認メッセージが移動端末から受信されると、前記ターゲット基地局は、ターゲット基地局の応答メッセージに状態報告メッセージを含む。ハンドオーバー確認メッセージが移動端末から受信されると、前記ターゲット基地局は、状態報告メッセージを応答として送信する。ハンドオーバー確認メッセージに対する応答として利用されるメッセージとは別に、前記状態報告メッセージがRLCエンティティ間で送受信される。ハンドオーバー確認メッセージに対する応答として利用されるメッセージとは別に、前記状態報告メッセージがMACエンティティ間で送受信される。前記状態報告メッセージは、ネットワークにより正常に受信されたユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、ネットワークにより正常に受信されていないユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、ネットワークによりアップリンクで受信されたユーザデータのうち、最高のシーケンスナンバーを有するユーザデータに関する情報を含む。前記状態報告メッセージは、ネットワークによりアップリンクで受信されたユーザデータのうち、ネットワークにより上位層に最後に伝送されたユーザデータのシーケンスナンバーを含む。前記状態報告メッセージは、ネットワークによりアップリンクで受信されたユーザデータのうち、ネットワークにより上位層に伝送されたユーザデータの全てのシーケンスナンバーを含む。前記状態報告メッセージは、ソース基地局によりアップリンクで受信されたユーザデータのうち、移動端末にハンドオーバー命令を伝送した後、前記ソース基地局により上位層に伝送されたユーザデータの全てのシーケンスナンバーを含む。前記上位層は、コアネットワークでもよい。前記ネットワークは、ソース基地局もしくはターゲット基地局であるか、又はその両方である。前記状態報告メッセージ情報は、前記ソース基地局が前記移動端末にハンドオーバー命令を伝送するまでに送受信されたユーザデータに基づいて生成される。
【0042】
ハンドオーバー命令を伝送した後、前記ソース基地局は、ソース基地局のバッファに位置するダウンリンクユーザデータを前記ターゲット基地局に伝送する。この過程で、前記ソース基地局は、ソース基地局が有する全てのダウンリンクユーザデータのうち、ソース基地局がハンドオーバー命令を伝送するまで移動端末から受信確認を受信していないユーザデータのみを前記ターゲット基地局に伝送する。
【0043】
ハンドオーバー命令を伝送した後、前記ソース基地局は、ソース基地局のバッファに位置するダウンリンクユーザデータを前記ターゲット基地局に伝送する。この過程で、前記ソース基地局は、ソース基地局が有する全てのダウンリンクユーザデータのうち、前記移動端末に伝送されたハンドオーバー命令に対する受信確認が前記移動端末から受信されるまで前記移動端末から受信確認を受信していないユーザデータのみを前記ターゲット基地局に伝送する。前記ソース基地局は、前記ターゲット基地局にソース基地局が受信に成功したユーザデータに関する情報を通知する。前記移動端末にハンドオーバー命令を伝送した後、前記ソース基地局は、前記移動端末から受信に成功して前記コアネットワークに伝送されたアップリンクユーザデータに関する情報を前記ターゲット基地局に通知する。
【0044】
図5は、本発明の1つ以上の可能な実施形態によるハンドオーバー手順を示す。前記手順は、以下の段階に要約されるが、これは、例示に過ぎず、適用できる追加的及び/又は代案的な段階又はエンティティを限定するものではない。
1)基地局により指定された所定の条件が満たされると、移動端末は基地局(例えば、NodeB(NB)、enhanced Node B:(eNB)など)に測定報告を送信する。
2)ソースeNBは、前記移動端末からの測定報告を参照してハンドオーバーを決定する。前記ソースeNBは、ターゲットeNBにハンドオーバー準備を要求する。
3)リソースを取得した後、前記ターゲットeNBは、該当移動端末に関する一時識別子(C−RNTI)とともに設定情報を前記ソースeNBに伝送する。前記ソースeNBは、前記ターゲットeNBにユーザデータなどを伝送する。
4)前記移動端末は、前記ソースeNBからハンドオーバー命令を受信する。その後、前記ソース基地局は、ソース基地局が有するダウンリンクユーザデータをターゲット基地局に伝送する。ここで、さらに、前記ソース基地局は、最近のユーザデータ送受信情報を前記ターゲット基地局に伝送する。
5)前記移動端末は、前記ターゲットeNBに無線環境を再設定する。ここで、タイミング同期化も含まれる。
6)前記ターゲットeNBは、タイミング情報で応答する。その後、前記移動端末は、前記ターゲットeNBにハンドオーバー確認メッセージを送信する。
6a)さらに、前記移動端末は、前記ターゲットeNBに受信確認情報を伝送する。
7a)前記ターゲットeNBは、前記ソースeNBにハンドオーバーの成功について通知する。
7b)前記移動端末の位置は、コアネットワーク(MME/UPE)でアップデートされる。
7c)さらに、前記ターゲットeNBは、前記移動端末に受信確認情報を伝送する。
【0045】
図5を参照すれば、本発明のハンドオーバー過程の例を次の方式で詳細に説明することもできる。図5に示すように、様々なタイプの矢印により示される異なるタイプのシグナリング(例えば、L3シグナリング、L1/L2シグナリング)及びデータ(例えば、ユーザデータ)は、所定のネットワークエンティティ間のみでなく、ネットワークと移動端末間でも送受信される。
【0046】
まず、パケットデータ(すなわち、ユーザデータ)が第1基地局(例えば、ソースNodeB、ソースeNBなど)を介してコアネットワーク(例えば、MME/UPE)から移動端末(例えば、UE)に伝送される。前記ソースNode Bは、前記UEにアップリンク(UL)割り当て情報を伝送し、これにより、前記UEは、適切に割り当てられたULリソースを利用してアップリンクで情報を伝送できる。
【0047】
その後、前記UEは、前記UEの所定通信特性に関する情報(例えば、測定報告)を前記ソースNodeBに伝送する(段階1)。前記UEは、前記ネットワーク(例えば、基地局)により定義された所定の状況が発生すると、その情報を伝送する。このような状況は、測定報告が周期的に伝送されるか、又は、あるイベントが発生すると送信されることを示す。
【0048】
前記受信された情報に基づいて、前記ソースNode Bは、前記UEをターゲットNodeB(例えば、ターゲットeNB)内のセルに移動(すなわち、ハンドオーバー(HO))するのためのハンドオーバーを決定する。その後、前記ソースNode Bが前記ターゲットNodeBに情報(例えば、コンテキストデータ)を伝送することにより、前記コンテキストデータは、UE RANコンテキスト情報を含むことができる(段階2)。
【0049】
受信後、前記ターゲットNode Bは、前記コンテキストデータ(UERANコンテキスト)を保存し、所定の識別子(例えば、C−RNTI)を予約する。その後、前記ターゲットNode Bがコンテキスト確認を前記ソースNode Bに送り返すことにより、前記コンテキスト確認は、新しいC−RNTI及び他の情報を含むことができる(段階3)。
【0050】
コンテキスト情報を受信すると、前記ソースNode Bは、前記UEにダウンリンク(DL)割り当て情報を伝送する。また、前記ソースNodeBが前記UEにハンドオーバー命令を伝送することにより、前記ハンドオーバー命令は、新しいC−RNTI及び他の情報を含むことができる(段階4)。
【0051】
その後、前記UEは、前のセル(すなわち、ソースNodeB)から離れて新しいセル(すなわち、ターゲットNode B)と同期化するための手順を行う。ここで、前記ソースNode Bは、バッファリングされて移動中のパケットを前記ターゲットNode Bに伝送する。すなわち、前記ソースNode Bは、前記ターゲットNode Bにユーザデータを伝送する。受信すると、前記ターゲットNode Bは、前記ソースNode Bから受信したパケットを保存(バッファリング)する。また、前記ソースNode Bは、パケット(ユーザデータ)の伝送及び/又は受信に関する最近の情報について通知するために前記ターゲットNodeBに状態情報を伝送する。
【0052】
その後、前記UEは、タイミング同期化を含むパラメータを前記ターゲットNodeBに伝送することにより、前記ターゲットNode Bとの無線環境を再設定した後、前記ターゲットNode Bへのアクセスを開始する(段階5)。
【0053】
前記ターゲットNode Bは、リソースのアップリンク(UL)割り当て及びタイミング調整(timing adjustment:TA)に関する情報を前記UEに伝送する。
【0054】
これに応えて、前記UEは、前記ターゲットNode Bにハンドオーバーに関する確認(例えば、ハンドオーバー確認メッセージ)を送信する(段階6)。さらに、前記UEは、送受信されたパケットの状態に関する情報(例えば、状態報告)を前記ターゲットNodeBに伝送する(段階6a)。
【0055】
その結果、前記ハンドオーバー過程は完了したとみなされる。前記ターゲットNodeBは、前記ソースNode Bにハンドオーバー完了メッセージを送信する(段階7a)。また、前記ターゲットNode Bは、前記コアネットワーク(MME/UPE)に前記UEのアップデートされた状態(位置)を、すなわち、前記UEがハンドオーバーを行ったことを通知する(段階7b)。さらに、前記ターゲットNodeBは、前記UEに前記ターゲットNode Bの状態報告を提供する(段階7c)。
【0056】
ハンドオーバー中(すなわち、ハンドオーバーの完了前)に、前記コアネットワークは、前記UEの前記ターゲットNodeBへのハンドオーバーが実行中であるという事実が通知されるまで、前記ソースNode Bにパケットデータを伝送する。このように、ハンドオーバーの完了後(すなわち、段階7a〜段階7c)、前記ソースNodeBは、ソースNode Bのダウンリンク(DL)バッファをフラッシュし、移動中のパケットを伝送し続ける。すなわち、ハンドオーバーの実行中に前記ソースNode Bにより受信されたパケット(又は、ユーザデータ)は、前記ターゲットNodeBに伝送される。前記ターゲットNode Bは、継続してこのパケット(又は、ユーザデータ)を前記UEに伝送する。
【0057】
前記アップデートされたUE位置(すなわち、UEハンドオーバー完了)が通知されると、前記コアネットワーク(MME/UPE)は、ハンドオーバー前に前記ソースNodeBに伝送されたパケットがハンドオーバー後に前記ターゲットNode Bに伝送されるようにパススイッチ(pathswitching)を行う。その結果、前記ターゲットNode Bは、前記ユーザ(UE)がハンドオーバー中及びハンドオーバー後も連続して所望のユーザデータ又はパケットを受信できるように、前記コアネットワークから受信されたパケットを前記UEに伝送する。
【0058】
前述したように、本発明の特徴は、移動端末及び基地局がハンドオーバー過程で最新の受信確認情報を交換することを可能にすることにより、同一のユーザデータがエアインタフェースで不要に複数回伝送されないようにする。その結果、データ伝送速度が高くなり、ユーザが経験するサービスの切断時間が最小となる。
【0059】
本発明は、ハンドオーバー手順が、第1基地局へのアクセスを中止する段階と、第2基地局へのアクセスを設定する段階と、接続確認メッセージ及び送受信確認情報を前記第2基地局に送信する段階と、前記第2基地局から送受信確認情報を受信する段階とからなることを特徴とする、無線インタフェースを介してデータを送受信する移動通信システムを提供する。
【0060】
本発明は、無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法を提供し、ソースネットワークノードにより行われる前記方法は、移動端末から受信状態報告を受信する段階と、ハンドオーバーをサポートするために前記受信された受信状態報告をターゲットネットワークノードに送信する段階と、前記受信された受信状態報告が受信状態情報の形式で前記ソースネットワークノードから前記ターゲットネットワークノードに送信されるように適切なプロトコルフォーマットを行うことにより前記受信された受信状態報告を処理する段階と、前記ソースネットワークノードから前記ターゲットネットワークノードに移動端末のハンドオーバーを行う必要があるか否かを決定する段階とを含み、ここで、前記受信状態報告は、正常に受信されたデータ、正常に受信されていないデータ、又はその両方に関連し、前記受信は、前記移動端末との無線インタフェースを介して行われ、前記送信は、前記ターゲットネットワークノードとの無線インタフェースを介して行われ、前記ネットワークノードは、基地局、NodeB、改善されたNode Bの少なくとも1つである。
【0061】
また、本発明は、無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法を提供し、移動端末により行われる前記方法は、ネットワークからハンドオーバー命令を受信する段階と、前記受信されたハンドオーバー命令に基づいて無線リンクを再設定する段階と、前記再設定された無線リンクで受信状態報告をターゲットネットワークノードに送信する段階と、前記ターゲットネットワークノードに同期化情報を伝送する段階と、前記ターゲットネットワークノードから前記移動端末のためのアップリンク割り当てリソース及びタイミングアドバンス情報を受信する段階と、ハンドオーバーの完了を示すハンドオーバー確認メッセージを前記ターゲットネットワークノードに送信する段階と、前記ハンドオーバー確認メッセージを送信した後、前記ターゲットネットワークノードに受信状態報告を送信する段階と、ハンドオーバーが完了した後、前記ターゲットネットワークノードから状態報告を受信する段階とを含み、ここで、前記ハンドオーバー命令は、前記移動端末のための新しい一時識別子を含み、前記再設定する過程は、ソースネットワークノードから離れる段階及び前記ターゲットネットワークノードと同期化する段階をさらに含み、前記ターゲットネットワークノードへの受信状態報告は、前記ハンドオーバー確認メッセージを送信した後に送信され、前記受信状態報告は、ハンドオーバー確認メッセージを利用して送信される。
【0062】
また、本発明は、無線通信システムにおけるデータ伝送管理方法を提供し、ソースネットワークノードにより行われる前記方法は、移動端末にハンドオーバー命令を伝送する段階と、ダウンリンクユーザデータをターゲットネットワークノードに伝送する段階と、前記ターゲットネットワークノードに状態情報を伝送する段階と、前記移動端末から受信されたハンドオーバー確認メッセージを前記ターゲットネットワークノードに送信する段階とを含み、ここで、前記状態情報は、ユーザデータの送受信に関する情報を示す。
【0063】
本発明の特徴は、3GPP標準の長期的発展(long term evolution:LTE)に関する問題に係わる。従って、3GPP TS 25.813(LTE TR)及びその関連部門、又はこれらの一部、さらに、これらの多様な開発向上が本発明に係わる。その向上及び進化は、多様なネットワークエンティティ(例えば、eNodeB)、プロトコル層、チャネルなどをラベリングするとき、特定接頭辞(文字E)を使用することになる。しかし、このようなラベリング及び他の専門用語は、単なる例示であるので、現在進行中又は今後の論議の結果によって変更され得る(又は、後で明確になる)ことを理解できる。
【0064】
本明細書は本発明の多様な実施形態を例示的に説明する。本発明の請求の範囲は本明細書に記述された例示的な実施形態の多様な変形及び均等物を含むものである。従って、本発明の請求の範囲は記述された本発明の思想及び範囲内で行われる変形、均等物、及び特徴を包むように広く解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5