(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
在宅療養中の高齢者は毎日決まった時間に服薬することが大変であり、特に独居者や認知
症患者においては本人の管理が難しいと考えられる。認知症患者は3割しか処方通りに服
薬していないという報告もある。
【0003】
また、高血圧性疾患や認知症の慢性疾患を抱えた後期高齢者に対して薬剤の4週間処方が
増えてきており、薬剤の種類、数、服薬回数が多いために服薬管理がますます困難になっ
てきていると考えられる。
【0004】
現状の患者の服薬方法は、本人あるいは家族が服薬時間になると薬局からもらった薬袋や
薬箱から必要な薬剤を選んで服薬する。または、患者が自分で服薬管理できない場合には
、訪問看護師が訪問時に服薬を行っている。
【0005】
現在市販されている服薬を知らせる製品は、薬箱にタイマーが付いており服薬時間になる
とアラームが鳴って服薬を知らせるものであり、薬剤と服薬時間のセット、そして服薬管
理は患者あるいは介護者等の個人の責任で行うしかない。
【0006】
一方、薬剤を処方した医師は、患者が処方通りに服薬していることを前提に診察を行って
おり、特に高血圧患者においては降圧薬を服用したという前提で血圧測定を行い、服薬せ
ずに血圧が下がっていない場合にも薬剤の効果が出ていないと判断され、薬剤を過剰投与
することになって患者の副作用等による身体負担を増加し、さらには医療費の増加につな
がると考えられる。
【0007】
服薬時間をアラームで知らせる薬箱の一例として、例えば特許文献1は薬箱に時計機能と
開閉センサを有し、服薬時刻をアラームで知らせ、薬箱の開閉を記録して服薬したことを
患者に記憶させるものがある。
【0008】
また、服薬情報を外部に知らせる方法の一例として、例えば特許文献2は端末装置の電子
メールによって服用スケジュール情報を受け取るものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする第1の課題は、患者に服薬時間を知らせるとともに、服薬数だけ取り出
せる服薬管理装置を提供することにある。
【0011】
解決しようとする第2の課題は、患者が服薬時間を過ぎても服薬しない場合に介護者等に
未服用情報を通知し、介護者は患者に連絡して服薬を促すことにある。
【0012】
解決しようとする第3の課題は、患者自身が服薬管理装置に薬剤を入れるのではなく、処
方時に薬局等の薬剤師が薬剤を入れることにある。
【0013】
解決しようとする第4の課題は、患者の服薬管理情報を介護者、薬剤師、訪問看護師、医
師等で情報共有することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の第1、第2の課題を解決するために、薬剤収納部と、薬剤収納部を動作させる回転
機構部と、薬剤取り出し口開閉機構部と、薬剤を取り出したことを検知する薬剤取り出し
センサと、時間を計測する計時機構と、服薬時刻と警報持続時間設定と連絡先電話番号を
入力する設定部と、時間と設定内容を表示する表示部と、服薬時刻を知らせる警報出力部
と、外出時に所定の薬剤を取り出す外出スイッチと、薬剤の服用、未服用、外出時の情報
を外部に送信する通信制御部と、上記の設定及び情報を記憶する記憶部で構成した。そし
て、患者に服薬時間を知らせ、服薬数だけ薬剤を取り出せるようにした。また、服薬時間
を過ぎても服薬しない場合に、登録された介護者や訪問看護師等に一般電話回線で未服用
情報を通信し、介護者や訪問看護師等から患者に電話等で連絡して服薬を促すことができ
るようにした。
【0015】
上記の第3の課題を解決するために、薬剤収納部は帯状になった一包化された薬剤を巻き
つける薬剤ドラム、または28回分の仕切りがついた薬剤トレイを1日の服薬回数分収納
することができるようにして、薬局の薬剤師が薬剤ドラムや薬剤トレイに薬剤を入れ、薬
剤収納部に収めるようにして、患者が薬剤を装置に入れることをなくした。また、薬剤師
が薬剤ドラムに薬剤を巻きつけるために薬剤巻きつけ機を用いて行うようにした。薬剤が
なくなったときには、病院通院時に服薬管理装置の回転機構部から薬剤収納部を分離して
、薬局に持って行き薬剤師に薬剤をセットしてもらうようにした。
【0016】
上記の第4の課題を解決するために、管理サーバで服薬、未服薬、外出の情報、そして連
絡先や患者への連絡情報をその時刻とともに蓄積して、患者の服薬管理情報を介護者、薬
剤師、訪問看護師、医師等で情報共有できるようにして、患者の医療福祉サービスに対し
て人的ネットワークを形成することができるようにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明の服薬管理装置は、薬局で薬剤師が薬を処方する時に薬剤をセットするので、患者
個人が薬をセットする必要がないため、装置に確実に薬剤をセットすることができる。
【0018】
患者は、本発明の服薬管理装置を使用することによって服薬時間を知ることができ、決め
られた服薬時間に決められた薬剤を取り出すことができる。もし、服薬時間を忘れた場合
でも警報によって服薬時間を知ることができる。服薬時間を過ぎても服薬されない場合に
は、あらかじめ登録された介護者や訪問看護師等の登録者に自動で未服薬情報が通知され
、登録者は患者に電話連絡して患者に服用を促すことによって薬剤の飲み忘れをなくすこ
とができる。
【0019】
本発明の服薬管理装置を患者が運用することによって、次回の処方時に薬局に薬剤収納部
を持っていけば、薬剤師に薬剤をセットしてもらうことができ、従来薬局で処方時に配布
していた薬袋が不要になるので、コストを削減することができ、また、薬袋の紙削減によ
り環境にも配慮することができる。
【0020】
本発明の服薬管理装置を薬局等で患者に月額レンタルとして貸し出すか、あるいは広告宣
伝として無償で患者に提供することによって、次回処方時にも必ず同じ薬局を使うことな
り、薬局は確実に顧客獲得ができる。
【0021】
本発明の服薬管理装置の提供元を地域の薬局チェーン等にすることによって、患者に広く
普及し、市場への大量投入が可能となり、製品コストが下がる可能性がある。
【0022】
従来から研究開発されている在宅患者の健康管理システムの多くはインターネット回線を
必要とするため、実際に高齢者宅に導入する際にインターネットの新規契約と運用コスト
がかかるため、市場展開する際の足かせとなり、ビジネスとして成り立ちにくかった。本
発明の服薬管理装置は高齢者宅でも一般的に普及している一般電話回線に接続して運用す
るので、高齢者にも導入しやすい装置である。
【0023】
本発明の服薬管理装置の連絡先を訪問看護師が行うことによって、訪問看護師が担当患者
の服薬管理指導に使用することができる。
【0024】
本発明の服薬管理装置の連絡先を薬剤師が行うことによって、薬剤師が担当患者の服薬管
理指導に使用することができる。
【0025】
本発明の服薬管理装置を薬局等が管理サーバを管理し、在宅看護支援センター、病院等で
服薬管理情報を共有することによって、患者の服薬状況を薬剤師、訪問看護師、医師で確
実に管理することができ、医師は薬剤の効果を判定することができる。特に高血圧患者に
対する降圧剤の効果判定、または認知症患者に対する薬剤投与後の深夜徘徊の効果判定に
は有用である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0036】
図1〜
図6は本発明の第1の実施の形態に係り、
図1はその外観斜視図、
図2は薬剤収納
部の薬剤ドラムの正面図と側面図、
図3は薬剤ドラムに薬剤を巻き付けるための薬剤巻き
つけ機の正面図、
図4は設定方法のブロック図、
図5は装置制御に関するブロック図、図
6は服薬管理方法のブロック図である。
【0037】
まず本発明の装置の設定方法について薬剤設定4aから説明する。薬局において薬剤師が
薬剤を患者に処方するときに、例えば朝服用の一包化された薬剤7が28日分で帯状にな
ったものを、1個の薬剤ドラム1aに薬剤巻きつけ機8を用いて巻きつける。薬剤ドラム
1aは朝、昼、夜、寝る前などの服薬回数分を用意する。薬剤7は処方された日数分でよ
いのは言うまでもない。薬剤ドラム1aはらせん状に溝が付いているなどして、薬剤が巻
き付けやすい構造にするのが良い。
【0038】
薬剤を巻きつけた薬剤ドラム1aを薬剤収納部1に収納する。薬剤収納部1は1〜4回等の
服薬回数分を収納できる構造になっている。薬剤収納部1には取っ手が付いて持ち運びで
きるようになっており、患者宅に本発明の服薬管理装置を設置して、薬剤がなくなったと
きには、病院通院時に薬剤収納部1を薬局に持っていき、薬剤師に薬剤をセットしてもら
い、持ち帰ることによって本発明の服薬管理装置を再度使用することができる。薬剤収納
部1と機構部2は分離可能である。
【0039】
次に
図4の服薬時間設定4bと警報持続時間設定4cと連絡先電話番号設定4dについて
説明する。薬局の薬剤師は、患者から聴取した食事時間を基に服薬時間設定4bで例えば
朝の服薬時刻7時30分、昼の服薬時刻12時30分、夜の服薬時刻18時30分、寝る
前の服薬時刻21時00分と設定部4で入力する。次に警報持続時間設定4cで、服薬時
刻から警報を連続して出力する時間を例えば30分と設定部4で入力する。この警報持続
時間は変更可能である。次に連絡先電話番号設定4dで、患者が薬剤を飲み忘れたときに
電話で連絡してもらうために訪問看護師や介護者等の連絡先電話番号を設定部4で入力す
る。電話番号は複数登録しても良い。以上の設定は記憶部33に記憶される。
【0040】
患者は薬剤師から薬剤の入った本発明の服薬管理装置を家庭に持ち帰り、居間のポット付
近等の薬剤を服用しやすい場所に設置し、電話回線用モジュラージャック5を家庭内の一
般電話回線から分岐して接続する。
【0041】
次に本発明の服薬管理装置の服薬管理方法について
図5を用いて説明する。時計機能は計
時機構11で設定を行い、表示ディスプレイ10に表示される。服薬時間設定4bで設定
した服薬時刻になると、薬剤ドラム回転モータ1b等により構成される薬剤収納部回転機
構13で薬剤収納部1の薬剤ドラム1aが回転して、薬剤取り出し口開閉モータ3a等に
より構成される薬剤取り出し口開閉機構14で、例えば朝の薬剤取り出し口3が開いて1
回分の薬剤を取り出すことができる。薬剤収納部回転機構13はモータによらず他の方法
を用いても良い。また、薬剤取り出し口開閉機構14はモータによらず、例えば電磁シャ
ッター等によって薬剤取り出し口のロックを解除し、手動によって薬剤取り出し口を開い
ても良い。また警報持続時間設定4cで設定した例えば30分間は警報出力部12から服
薬を促すアラーム音やメロディを出力して、患者に服薬時間を知らせる。アラーム音やメ
ロディは変更可能である。アラーム音やメロディは患者が所定の薬剤を取り出すまで鳴り
続ける。患者が薬剤を取り出すと薬剤取り出しセンサ15が検知して薬剤取り出し口開閉
機構14によって薬剤取り出し口3を閉じる。
【0042】
警報持続時間設定4cで設定した時間、例えば30分を過ぎても薬剤が薬剤取り出し口3
から取り出されない場合には、連絡先電話番号設定4dで入力した電話番号に通信制御部
16から一般電話回線に通信して、連絡先の電話のナンバーディスプレィに電話番号を表
示し、「ピー」という連続音を発信することによって患者が服薬時間に服用していないこ
とを連絡先電話に通信する。連絡先電話に電話番号登録機能があれば、患者の電話番号を
登録することによって、電話のディスプレイ上に患者名が表示される。連絡先を複数登録
していた場合で、1番目に登録した連絡者が電話を受け取らない場合には、2番目に登録
した連絡先に通信する。以降同様に連絡先に通信する。
【0043】
患者が服薬していないことを知った訪問看護師等は、患者に電話等を用いて口頭で服薬を
忘れていることを知らせて服薬を促す。電話を用いて口頭で話すのは患者とのコミュニケ
ーションを図り、信頼関係を築くことも兼ねている。
【0044】
本発明の服薬管理方法に関して人手を介すことを強調するのは、患者と介護者あるいは医
療福祉サービス関係者との信頼関係を築くことを副次的に求めているからである。
【0045】
患者が外出するときには、例えば昼は家庭で服薬することができないので外出前にあらか
じめ外出スイッチ6を押すことによって、所定の薬剤を取り出すことができる。外出スイ
ッチ6が押されたことによって、例えば昼に服薬したとみなして昼の装置の起動はリセッ
トされる。
【0046】
本発明の服薬管理装置の服薬管理方法を
図6を用いてさらに説明する。患者は服薬時間1
7になると薬剤取り出し口3から薬剤取り出し18を行い、薬剤服用19を行う。もし、
服薬時間17に薬剤取り出し18されないで設定時間経過20したら、登録した連絡先電
話発信+「ピー発信音」21を発信して訪問看護師等に患者が薬剤を服用していないこと
を知らせる。発信情報等は全て記憶部33に記憶される。「ピー発信音」は別の発信音で
も良いし、別の手段を用いてもよい。次に訪問看護師等は電話等で患者に連絡して薬剤服
用19を促す。
【0047】
以上、本発明の第1の実施の形態を患者と介護者等の1対1の関係に用いることによって
、患者に服薬時間を知らせ、または介護者が患者に服薬を促すことが実現できる。この時
管理サーバ等は必要なく、簡単に患者宅に導入でき、導入コストを抑えた服薬管理ができ
る。
【0048】
次に本発明の第1の実施の形態に係り、管理サーバを設置して服薬管理情報を共有する方
法について図を用いて説明する。
図7は服薬管理情報を共有する場合の構成図で、
図8は
管理サーバで管理する場合の服薬管理方法のブロック図である。
【0049】
患者宅に設置した本発明の服薬管理装置22は一般回線電話23の電話回線から分岐して
、薬局の管理サーバ24と回線で接続されている。管理サーバ24は薬局等のデータを管
理する場所に設置する。訪問看護支援センターや医療機関等に服薬管理情報端末25を設
置して、訪問看護師や医師等が患者の服薬情報を確認することができる。未服薬情報を受
け取った訪問看護師等は携帯電話26等で患者の一般回線電話23に電話して、患者に服
薬していないことを知らせて服薬を促す。
【0050】
次に服薬管理方法について
図8を用いて説明する。患者が服薬時間17になって、薬剤取
り出し18を行うと、管理サーバ電話番号+「#2」27を発信し、薬剤服用19の情報
と時刻を管理サーバ24に蓄積する。
【0051】
患者が設定時間経過20しても薬剤取り出し18を行わない場合には、管理サーバ電話番
号+「#1」29を発信する。未服用情報を受け取った管理サーバ24は訪問看護師等の
電話に通信して、音声通話30で患者が服薬していないことを知らせる。訪問看護師等に
電話通信した情報も管理サーバ24に蓄積する。1番目に登録した連絡者が電話を受け取
らない場合には、2番目に登録した連絡先に通信し、その情報を管理サーバ24に蓄積す
るのはいうまでもない。患者が服薬していないことを知った訪問看護師等は、患者に電話
等で連絡して服薬を忘れていることを知らせて服薬を促す。訪問看護師等は電子メール等
の手段によって患者連絡終了通知31を管理サーバ24に送信し、データはその時刻とと
もに管理サーバ24に蓄積する。管理サーバ24から音声通話30によって患者宅に直接
電話をかけることによって運用するという方法もある。
【0052】
患者が外出するときに外出スイッチ6を押したら、管理サーバ電話番号+「#3」28を
発信し、外出情報と時刻を管理サーバ24に蓄積する。
【0053】
患者の服用、未服用、外出の情報、そして連絡先や患者への連絡情報はその時刻とともに
管理サーバ24に蓄積される。
【0054】
患者の服薬管理情報は、管理サーバ24で管理され、介護者、薬剤師、訪問看護師、医師
等で服薬情報の共有を行う。
【0055】
次に本発明の第1の実施の形態に係り、薬剤ドラム1aの別法について図を用いて説明す
る。
図9は薬剤トレイの外観斜視図である。薬剤トレイ32は28回分に仕切りが付いた
ものである。薬剤師が一包化された薬剤7を薬剤トレイ32の仕切りに一包ずつ入れても
よいし、帯状になった薬剤を切り離しながら薬剤トレイ32に入れる器具等を用いてもよ
い。薬剤トレイ32は服薬回数分薬剤収納部1に収納できるようになっている。