特許第5796128号(P5796128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許57961282つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体、その調製方法及び使用
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  • 特許5796128-2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体、その調製方法及び使用 図000020
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796128
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/22 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   C07D213/22CSP
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-527454(P2014-527454)
(86)(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公表番号】特表2014-525419(P2014-525419A)
(43)【公表日】2014年9月29日
(86)【国際出願番号】CN2011079118
(87)【国際公開番号】WO2013029237
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2014年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】511215230
【氏名又は名称】オーシャンズ キング ライティング サイエンスアンドテクノロジー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】514052553
【氏名又は名称】シェンジェン オーシャンズ キング ライティング エンジニアリング カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN OCEAN’S KING LIGHTING ENGINEERING CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ミンジェ
(72)【発明者】
【氏名】リゥ ダーシー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤオビン
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−143783(JP,A)
【文献】 特表2005−530894(JP,A)
【文献】 K. Chandrasekaran et al.,Photoelectrochemical Cells Based on Hydrogen-Atom Abstraction and Electron-Transfer Reactions in Solution: Systems Based on Benzophenone, 2-Propanol, Trialkylamines, and Methyl Viologen,Journal of the American Chemical Society,1981年,103(24),p. 7270-7275
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H01G9/02
H01M10/0568
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式を有することを特徴とする、2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体。
【化1】
(ここで、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。)
【請求項2】
[ステップ1]保護雰囲気下で、ビピリジンとハロゲン化アルキルとをモル比1:2〜1:2.5で混合した後、60℃〜80℃に加熱し、撹拌して反応させることによりジアルキルビピリジルハライドを得、ここで、前記ハロゲン化アルキルはメトキシエトキシクロロメタン又はメトキシエトキシブロモメタンであるステップと、
[ステップ2]ステップ1で調製したジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMの塩とをモル比1:2で混合した後、脱イオン水に添加し、撹拌してイオン交換反応を行い、下記の構造式で示す2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を得るステップとを含むことを特徴とする、2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法。
【化2】
(ここで、MはNa、K又はNH,YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。)
【請求項3】
ステップ1では、前記ビピリジンと前記ハロゲン化アルキルとを撹拌して反応させる時間は、24時間〜72時間であり、反応液を冷却した後、酢酸エチルで洗浄し、洗浄後に得られた生成物を真空乾燥させ、精製のジアルキルビピリジルハライドを得ることを特徴とする、請求項2に記載の2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法。
【請求項4】
ステップ1では、前記保護ガス雰囲気は、窒素ガス雰囲気又はアルゴンガス雰囲気であることを特徴とする、請求項2に記載の2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法。
【請求項5】
ステップ2では、前記イオン交換反応において、温度が室温であり、反応時間が8時間〜24時間であることを特徴とする、請求項2に記載の2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法。
【請求項6】
ステップ2は、前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を分離して精製するステップをさらに含み、前記分離精製ステップにおいて、ジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とを撹拌して反応させた後に得られた混合溶液を、ジクロロメタンで抽出し、得られた水相をAgNO飽和水溶液で滴定して沈殿が生じなくなるまで、当該抽出を続け、ジクロロメタンの抽出液を蒸発させ濃縮した後、真空乾燥して、精製の2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を得ることを特徴とする、請求項2に記載の2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法。
【請求項7】
下記の構造式で示す2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体と、有機溶剤と、リチウム塩とを含むことを特徴とする、有機電解液。
【化3】
(ここで、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOであり、前記有機溶剤と前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体との質量比は1:100〜100:1であり、前記リチウム塩の濃度は0.3〜1.2 mol/Lである。)
【請求項8】
前記リチウム塩は、テトラフルオロほう酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及びリチウム・ビス(フルオロメタンスルホニル)イミドからなる群から任意に選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項7に記載の有機電解液。
【請求項9】
前記有機溶剤は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート及びプロピオン酸エチルから任意に選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項7に記載の有機電解液。
【請求項10】
[ステップ1]保護雰囲気下で、ビピリジンとハロゲン化アルキルとをモル比1:2〜1:2.5で混合した後、60℃〜80℃に加熱し、撹拌して反応させることによりジアルキルビピリジルハライドを得、ここで、前記ハロゲン化アルキルはメトキシエトキシクロロメタン又はメトキシエトキシブロモメタンであるステップと、
[ステップ2]ステップ1で調製したジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMの塩とをモル比1:2で混合した後、脱イオン水に添加し、撹拌してイオン交換反応を行い、下記の構造式で示す2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を得るステップと、
【化4】
(ここで、MはNa、K又はNHであり、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。)
[ステップ3]有機溶剤を提供し、前記有機溶剤に、前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を添加して均一になるように撹拌し、前記有機溶剤と前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体との質量比は1:100〜100:1であるステップと、
[ステップ4]前記有機溶剤及び前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体とから形成された混合液に対して、リチウム塩を添加し、さらに撹拌して溶解させることにより前記有機電解液を得、前記有機電解液における前記リチウム塩の濃度は0.3mol/L〜1.2mol/Lであるステップとを含むことを特徴とする、有機電解液の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン液体に関し、特に、2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体、その調製方法、当該2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を含む有機電解液、及びその有機電解液の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン液体(Ionic liquids)は、室温範囲内(一般的に、100℃以下)で液体を呈し、有機カチオンと無機アニオン(又は有機アニオン)とから構成されるものである。イオン液体は、調節可能であり、必要に応じてその陰陽イオンの構造を変更することで設計者の目的を果たすことができる。そのため、イオン液体はデザイナーのための溶剤であると呼ばれる。1914年に、最初のイオン液体として、エチルアンモニウムニトラートが発見されていたが、当該分野におけるその後の進展が遅れていた。その後、1992年に、Wikesが率いた研究チームにより、低融点、耐加水分解性、かつ安定性が優れた1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボラートのイオン液体([EMIM]BF)を合成した後、イオン液体の研究が飛躍的な発展を遂げ、さらに一連のイオン液体系が開発されてきた。最初に開発されたイオン液体は、主に電気化学的な研究に使用されていたが、最近、イオン液体は、グリーン溶剤として、有機及び高分子の合成において有用であることが重要視されている。
【0003】
従来の有機溶剤と電解質とに対して、イオン液体は、次のメリットを有する。すなわち、(1)融点が室温より低く、又は室温に近いため、液体を呈する温度範囲が広い。(2)蒸気圧が低く、ほとんど揮発せず、無色、無臭である。(3)安定的な温度範囲が比較的大きく、良好な化学安定性及び比較的広い電位窓を有する。(4)良好な溶解性を有し、無機物及び有機物のいずれにとっても良好な溶解能力を示す。(5)着火点を有しておらず、難燃的である。(6)リサイクル可能であり、環境を汚染しない。したがって、イオン液体は、有望な二重層キャパシタの電解液である。
【0004】
しかしながら、有機電解液は、高電圧下で分解しやすく、キャパシタの内部抵抗の急増加及び電気容量の急低下を引き起こすことがある。そのため、電解液の安定性は、キャパシタの比エネルギーを制約する要因の1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したことに鑑みて、本発明の課題は、高電圧で分解しにくい2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を提供することである。
【0006】
さらに、本発明の別の課題は、上述した2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法を提供することである。
【0007】
さらに、本発明の別の課題は、上述した2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を含む有機電解液、及びその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体は、下記の構造式を有する。
【0009】
【化1】
【0010】
ここで、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。
【0011】
本発明に係る2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法は、下記のステップを含む。
【0012】
[ステップ1]保護ガス雰囲気下で、ビピリジンとハロゲン化アルキルとをモル比1:2〜1:2.5で混合した後、60℃〜80℃に加熱し、撹拌して反応させることによりジアルキルビピリジルハライドを得る。ここで、前記ハロゲン化アルキルはメトキシエトキシクロロメタン又はメトキシエトキシブロモメタンである。
【0013】
[ステップ2]ステップ1で調製したジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とをモル比1:2で混合した後、脱イオン水に添加し、撹拌してイオン交換反応を行う。下記の構造式で示す2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を得る。
【0014】
【化2】
【0015】
ここで、MはNa、K又はNHであり、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。
【0016】
好ましくは、ステップ1では、前記ビピリジンと前記ハロゲン化アルキルとを撹拌して反応させる時間は、24時間〜72時間であり、反応液を冷却した後、酢酸エチルで洗浄した。洗浄後に得られた生成物を真空乾燥させ、精製されたジアルキルビピリジルハライドを得る。
【0017】
好ましくは、ステップ1では、前記保護ガス雰囲気は、窒素ガス雰囲気又はアルゴンガス雰囲気である。
【0018】
好ましくは、ステップ2では、前記イオン交換反応において、温度が室温であり、反応時間が8時間〜24時間である。
【0019】
好ましくは、ステップ2は、前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を分離して精製するステップをさらに含む。前記分離精製ステップにおいて、ジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とを撹拌して反応させた後に得られた混合溶液を、ジクロロメタンで抽出し、得られた水相をAgNO飽和水溶液で滴定して沈殿が生じなくなるまで、当該抽出を続ける。ジクロロメタンの抽出液を蒸発させ濃縮した後、真空乾燥して、精製された2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を得る。
【0020】
本発明に係る有機電解液は、2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体と、有機溶剤と、リチウム塩とを含み、前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体は、下記に示す構造式を有する。
【0021】
【化3】
【0022】
ここで、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOであり、前記有機溶剤と前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体との質量比は0〜100であり、前記リチウム塩の濃度は0.3mol/L〜1.2mol/Lである。
【0023】
好ましくは、前記リチウム塩は、テトラフルオロほう酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及びリチウム・ビス(フルオロスルホニル)イミドからなる群から任意に選択される少なくとも1つである。
【0024】
好ましくは,前記有機溶剤は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート及びプロピオン酸エチルから任意に選択される少なくとも1つである。
【0025】
本発明に係る有機電解液の調製方法は、その特徴として、下記のステップを含む。
【0026】
[ステップ1]保護ガス雰囲気下で、ビピリジンとハロゲン化アルキルとをモル比1:2〜1:2.5で混合した後、60℃〜80℃に加熱し、撹拌して反応させることによりジアルキルビピリジルハライドを得る。ここで、前記ハロゲン化アルキルはメトキシエトキシクロロメタン又はメトキシエトキシブロモメタンである。
【0027】
[ステップ2]ステップ1で調製したジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とをモル比1:2で混合した後、脱イオン水に添加し、撹拌してイオン交換反応を行う。下記の構造式で示す2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を得る。
【0028】
【化4】
【0029】
ここで、MはNa、K又はNHであり、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。
【0030】
[ステップ3]有機溶剤を提供し、前記有機溶剤に、前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を添加して均一になるように撹拌する。前記有機溶剤と前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体との質量比は0〜100である。
【0031】
[ステップ4]前記有機溶剤及び前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体とから形成された混合液に対して、リチウム塩を添加し、さらに撹拌して溶解させることにより前記有機電解液を得る。前記有機電解液における前記リチウム塩の濃度は0.3mol/L〜1.2mol/Lである。
【0032】

当該2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体は、電位窓が4Vを超え、優れた電気化学的安定性を有し、高電圧下でも分解しにくい。したがって、当該2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を含む有機電解液は、比較的高い充電電圧において、良好な安定性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施例6で調製した有機電解液と電極材料とから形成されたスーパーキャパシタを通常テストで測定した標準の充放電曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面及び具体的な実施例を用いて、2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体及びその調製方法、使用についてさらに詳細に説明する。
【0035】
本発明の一実施形態における2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体は、下記の構造式を有する。
【0036】
【化5】
【0037】
ここで、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。
【0038】
当該2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体は、電位窓が4Vを超え、比較的良好な電気化学の安定性を有し、高電圧において分解しにくい。
【0039】
当該2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体は、その側鎖に導入されるアルコキシル基構造によれば、イオン液体の粘度を低減可能であると共に、このような酸素含有官能基が電解液中のリチウムイオンとの配位形成を助けるため、リチウム塩の溶解度を向上することができる。
【0040】
上述した2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法を提供し、当該調製方法は、下記のステップを含む。
【0041】
[ステップS11]窒素ガス又はアルゴンガスによる保護ガス雰囲気下で、ビピリジンとハロゲン化アルキルとをモル比1:2〜1:2.5で混合した後、60℃〜80℃に加熱し、撹拌して反応させることにより、ジアルキルビピリジルハライドを得る。
【0042】
反応式は、次の通りである。
【0043】
【化6】
【0044】
RXはハロゲン化アルキルである。
【0045】
洗浄後の生成物を、80℃で48時間真空干燥し、精製のジアルキルビピリジルハライドを得る。
【0046】
ハロゲン化アルキルは、メトキシエトキシクロロメタン
【0047】
【化7】
【0048】
又はメトキシエトキシブロモメタン
【0049】
【化8】
【0050】
である。
【0051】
撹拌反応時間は、24時間〜72時間であってよく、通常、2つの中心を有する第四級アンモニウム塩とハロゲン化アルキルとを完全に反応させるように設定すればよい。
【0052】
ビピリジンとハロゲン化アルキルとの反応は、不活性ガス雰囲気において行われればよく、窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気に限定することない。
【0053】
反応液の冷却後に、酢酸エチルで三回洗浄することでジアルキルビピリジルハライドを精製することに限定することなく、当該技術分野におけるその他の方法を用いてジアルキルビピリジルハライドを精製してもよい。
【0054】
[ステップS12]ステップS11で調製したジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とをモル比1:2で混合した後、脱イオン水に添加し、反応温度が室温であり、反応時間が8時間〜24時間である。ジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とを撹拌し、イオン交換反応させることで得られた混合溶液をジクロロメタンで抽出する。得られた脱イオン水相をAgNO飽和水溶液で滴定して沈殿が生じなくなるまで当該抽出を続ける。ジクロロメタンの抽出液を蒸発させ濃縮した後、80℃で48時間真空乾燥して下記に示す構造式を有する2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を得る。
【0055】
【化9】
【0056】
ここで、MはNa、K又はNHであり、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。
【0057】
反応式は、次の通りである。
【0058】
【化10】
【0059】
本発明では、ジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とが、完全にイオン交換反応すればよく、前記イオン交換反応時間が8時間〜24時間であることに限定することないこと、及び、2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の分離と精製は、当該技術分野におけるその他の方法及びその他の溶剤を用いてもよいことが理解されるべきである。
【0060】
上述した2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の調製方法は、使用する溶剤の毒性が低く、調製工程が比較的簡単であるため、コストが低くなり、大規模の生産に好適である。
【0061】
本発明の一実施形態における電解液は、2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体と、有機溶剤と、リチウム塩とを含む。
【0062】
2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体は、下記に示す構造式を有する。
【0063】
【化11】
【0064】
ここで、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。
【0065】
有機溶剤と2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体との質量比は、0以上であり、かつ100以下である。有機溶剤は、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及びプロピオン酸エチル(EP)からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0066】
有機電解液におけるリチウム塩の濃度は0.3mol/L〜1.2mol/Lである。
【0067】
好ましい実施例では、有機電解液におけるリチウム塩の濃度は1mol/Lである。
【0068】
リチウム塩は、テトラフルオロほう酸リチウム(LiBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)及びリチウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)からなる群から任意に選択される少なくとも1つである。
【0069】
本発明は、上述した有機電解液の調製方法を提供し、当該方法は下記のステップを含む。
【0070】
[S21]窒素ガス又はアルゴンガスにより形成された保護ガス雰囲気下で、ビピリジンとハロゲン化アルキルとをモル比1:2〜1:2.5で混合した後、60℃〜80℃に加熱し、撹拌して反応させることにより、ジアルキルビピリジルハライドを得る。
【0071】
洗浄後の生成物を、80℃で48時間真空干燥し、精製のジアルキルビピリジルハライドを得る。
【0072】
ハロゲン化アルキルは、メトキシエトキシクロロメタン
【0073】
【化12】
【0074】
又はメトキシエトキシブロモメタン
【0075】
【化13】
【0076】
である。
【0077】
撹拌反応時間は、24時間〜72時間であってよく、通常、2つの中心を有する第四級アンモニウム塩とハロゲン化アルキルとを完全に反応させるように設定すればよい。
【0078】
ビピリジンとハロゲン化アルキルとの反応は、不活性ガス雰囲気において行われればよく、窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気に限定することない。
【0079】
反応液の冷却後に、酢酸エチルで三回洗浄することでジアルキルビピリジルハライドを精製することに限定することなく、当該技術分野におけるその他の方法を用いてジアルキルビピリジルハライドを精製してもよい。
【0080】
[ステップS22]ステップS21で調製したジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とをモル比1:2で混合した後、脱イオン水に添加し、反応温度が室温であり、反応時間が8時間〜24時間である。ジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とを撹拌してイオン交換反応することにより得られた混合溶液をジクロロメタンで抽出する。得られた脱イオン水相をAgNO飽和水溶液で滴定して沈殿が生じなくなるまで当該抽出を続ける。ジクロロメタンの抽出液を蒸発させ濃縮した後、80℃で48時間真空乾燥して下記に示す構造式を有する2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を得る。
【0081】
【化14】
【0082】
ここで、MはNa、K又はNHであり、YはBF、PF、(CFSO又は(FSOである。
【0083】
本発明では、ジアルキルビピリジルハライドと、一般式がMである塩とが、完全にイオン交換反応すればよく、前記イオン交換反応時間が8時間〜24時間であることに限定することないこと、及び、2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体の分離と精製は、当該技術分野におけるその他の方法及びその他の溶剤を用いてもよいことが理解されるべきである。
【0084】
[ステップ23]有機溶剤を提供し、有機溶剤に、前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を添加して均一になるように撹拌する。前記有機溶剤と前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体との質量比は0〜100である。
【0085】
有機溶剤は、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、及びプロピオン酸エチル(EP)からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0086】
好ましくは、ステップS23は、不活性ガスの保護下で行われ、不活性ガスは、窒素ガス又はアルゴンガスであってよい。
【0087】
[ステップ24]前記有機溶剤及び前記2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体とから形成された混合液に対して、リチウム塩を添加し、さらに撹拌して溶解させることにより前記有機電解液を得る。
【0088】
前記有機電解液における前記リチウム塩の濃度は0.3mol/L〜1.2mol/Lである。
【0089】
好ましくい実施例では、リチウム塩の濃度は1mol/Lである。
【0090】
リチウム塩は、テトラフルオロほう酸リチウム(LiBF)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)及びリチウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)からなる群から任意に選択される少なくとも1つである。
【0091】
上述した有機電解液における2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体は、電位窓が4Vを超え、優れた電気化学安定性を有し、高電圧下でも分解しにくい。したがって、当該2つの中心を有するビピリジルカチオン系イオン液体を含む有機電解液は、比較的高い充電電圧において、良好な安定性を有する。リチウム塩は、リチウムイオン電池又はリチウムキャパシタにおける使用では、リチウムイオンを提供し、有機溶剤は電解液の粘度を降下させることができる。
【0092】
以下、具体的な実施例を説明する。
[実施例1]
本実施例は、2つの中心を有するビピリジルテトラフルオロほう酸塩を合成した。
【0093】
250mLのフラスコに、それぞれ、1molのビピリジンと2.1molのメトキシエトキシクロロメタンとをそれぞれ添加し、N雰囲気下で、70℃に昇温し、36時間撹拌して反応させた。静置冷却して、酢酸エチルで3回洗浄した。80℃で真空干燥し、薄黄色固体のジアルキルビピリジルクロライドを得た(収率が78%)。
【0094】
500mLのフラスコに、0.5molのジアルキルビピリジルクロライドと、1molのNaBFと、120mLの脱イオン水とを添加し、室温で、16時間撹拌した。反応終了後、混合溶液を、250mLのジクロロメタンで3回抽出し、抽出液を混合した。さらに、1回あたりに60mLの脱イオン水で逆抽出し、AgNO飽和水溶液で水相を滴定し、沈殿が生じなくなるまでに当該逆抽出を続けた。ジクロロメタン相に対して、エボパレーターで濃縮した後、80℃で48時間真空干燥して、薄黄色固体の2つの中心を有するビピリジルテトラフルオロほう酸塩を得た。
【0095】
本実施例で得られた2つの中心を有するビピリジルテトラフルオロほう酸塩のNMRスペクトルデータは下記に示す。
【0096】
1H NMR ((CD3)2CO, 400 MHz, ppm): 8.69 (d, 4H), 7.63 (d, 4H), 5.92 (s, 4H), 3.64 (m,8H), 3.24 (s, 6H)。
[実施例2]
本実施例では、2つの中心を有するビピリジルヘキサフルオロリン酸塩を合成した。
【0097】
250mLのフラスコに、それぞれ、1molのビピリジンと2.1molのメトキシエトキシブロモメタンとをそれぞれ添加し、Ar雰囲気下で、70℃に昇温し、撹拌して36時間反応させた。静置冷却して、酢酸エチルで3回洗浄した。80℃で真空干燥し、薄黄色固体のジアルキルビピリジルブロミドを得た(収率が80%)。
【0098】
500mLのフラスコに、0.5molのジアルキルビピリジルブロミドと、1molのKPFと、120mLの脱イオン水とを添加し、室温で、16時間撹拌した。反応終了後、混合溶液を、250mLのジクロロメタンで3回抽出し、抽出液を混合した。さらに、1回あたりに60mLの脱イオン水で逆抽出し、AgNO飽和水溶液で水相を滴定し、沈殿が生じなくなるまでに当該逆抽出を続けた。ジクロロメタン相に対して、エボパレーターで濃縮した後、80℃で48時間真空干燥して、薄黄色固体の2つの中心を有するビピリジルヘキサフルオロリン酸塩を得た。
【0099】
本実施例で得られた2つの中心を有するビピリジルヘキサフルオロリン酸塩のNMRスペクトルデータは下記に示す。
【0100】
1H NMR ((CD3)2CO, 400 MHz, ppm): 8.70 (d, 4H), 7.63 (d, 4H), 5.93 (s, 4H), 3.64 (m,8H), 3.25 (s, 6H)。
[実施例3]
本実施例では、2つの中心を有するビピリジルトリフルオロメタンスルホニルイミドを合成した。
【0101】
500mLのフラスコに、0.5molのジアルキルビピリジルクロライドと、1molのカリウム・トリフルオロメタンスルホニルイミド(KTFSI)と、120mLの脱イオン水とを添加し、室温で、16時間撹拌した。反応終了後、混合溶液を、250mLのジクロロメタンで3回抽出し、抽出液を混合した。さらに、1回あたりに60mLの脱イオン水で逆抽出し、AgNO飽和水溶液で水相を滴定し、沈殿が生じなくなるまでに当該逆抽出を続けた。ジクロロメタン相に対して、エボパレーターで濃縮した後、80℃で48時間真空干燥して、薄黄色固体の2つの中心を有するビピリジルトリフルオロメタンスルホニルイミドを得た。
【0102】
本実施例で得られた2つの中心を有するビピリジルトリフルオロメタンスルホニルイミドのNMRスペクトルデータは下記に示す。
【0103】
1H NMR ((CD3)2CO, 400 MHz, ppm): 8.71 (d, 4H), 7.65 (d, 4H), 5.95 (s, 4H), 3.66 (m,8H), 3.26 (s, 6H)。
[実施例4]
本実施例では、2つの中心を有するビピリジルトリフルオロメタンスルホン酸塩を合成した。
【0104】
500mLのフラスコに、0.5molのジアルキルビピリジルブロミド(実施例2で調製)と、1molのCFSONaと、120mLの脱イオン水とを添加し、室温で、16時間撹拌した。反応終了後、混合溶液を、250mLのジクロロメタンで3回抽出し、抽出液を混合した。さらに、1回あたりに60mLの脱イオン水で逆抽出し、AgNO飽和水溶液で水相を滴定し、沈殿が生じなくなるまでに当該逆抽出を続けた。ジクロロメタン相に対して、エボパレーターで濃縮した後、80℃で48時間真空干燥して、薄黄色固体の2つの中心を有するビピリジルトリフルオロメタンスルホン酸塩を得た。
【0105】
本実施例で得られた2つの中心を有するビピリジルトリフルオロメタンスルホン酸塩のNMRスペクトルデータは下記に示す。
【0106】
1H NMR ((CD3)2CO, 400 MHz, ppm): 8.70 (d, 4H), 7.63 (d, 4H), 5.93 (s, 4H), 3.65 (m,8H), 3.23 (s, 6H)。
[実施例5]
本実施例では、2つの中心を有するビピリジルビス(フルオロスルホニル)イミドを合成した。
【0107】
詳細な調製過程は、実施例1と同様であり、1mol的NaBFの代わりに、1molのカリウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSONKを使用した。
【0108】
本実施例で得られた2つの中心を有するビピリジルビス(フルオロスルホニル)イミドのNMRスペクトルデータは下記に示す。
【0109】
1H NMR ((CD3)2CO, 400 MHz, ppm): 8.70 (d, 4H), 7.64 (d, 4H), 5.92 (s, 4H), 3.66 (m,8H), 3.25 (s, 6H)。
[実施例6]
雰囲気下で、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、プロピオン酸エチル(EP)とを、2:5:2:3の体積比で、有機溶剤(混合溶剤EC+ EMC + DMC + EPと略し)を調製した。さらに、混合溶剤EC+ EMC + DMC + EP :2つの中心を有するビピリジルイオン液体を質量比10:1で、中心ビピリジルテトラフルオロほう酸塩(実施例1で調製)を添加し、40℃に加熱して、均一な有機相になるように撹拌した。最後、リチウム塩のモル濃度が1mol/L(有機相の体積であるVEC+ EMC + DMC + EP+2つの中心を有するビピリジルイオン液体に基づいてリチウム塩の量を算出)になるように、所定量のリチウム塩(本実施例ではLiBF)を添加し、さらに、リチウム塩が完全に溶解するまでに撹拌し、目的の有機電解液を得た。
【0110】
図1を参照し、図1では、グラフェンを電極材料とし、本実施例で得られた目的の有機電解液を電解液として使用し、ボタン式電池に組み立てた。エレクトロケミカルワークステーション、モデルCHI660Aを使用して、0V〜3.2Vの電位窓内で、0.25A/gの電流で定電流の充放電テストを行い、充放電曲線を得た。
【0111】
図1により、調製した電解液は、スーパーキャパシタの電解液に適用可能であり、3.2Vの高い充電電圧内の電解液は、比較的良好な安定性を有することが確認された。
[実施例7]
Arの雰囲気下で、100mLの2つの中心を有するビピリジルヘキサフルオロリン酸塩(実施例2で調製)のイオン液体を入れ、40℃に加熱して撹拌して、さらに、リチウム塩のモル濃度が0.3mol/Lであるように、所定量のリチウム塩(LiPF)を添加し、リチウムが完全に溶解するまで撹拌し、目的の有機電解液を得た。
[実施例8]
雰囲気下で、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、プロピオン酸エチル(EP)とを、2:5:2:3の体積比で、有機溶剤(混合溶剤EC+ EMC + DMC + EPと略し)を調製した。さらに、混合溶剤EC+ EMC + DMC + EP :2つの中心を有するビピリジルイオン液体を質量比1:100で、2つの中心を有するビピリジルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(実施例3で調製)イオン液体を添加し、40℃に加熱し、均一の有機相になるまで撹拌した。最後、リチウム塩のモル濃度が0.5mol/L(有機相の体積であるVEC+ EMC + DMC + EP+2つの中心を有するビピリジルイオン液体に基づいてリチウム塩の量を算出)になるように、所定量のリチウム塩(LiTFSI)を添加し、さらに、リチウム塩が完全に溶解するまでに撹拌し、目的の有機電解液を得た。
[実施例9]
Ar雰囲気下で、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、プロピオン酸エチル(EP)とを、2:5:2:3の体積比で、有機溶剤(混合溶剤EC+ EMC + DMC + EPと略し)を調製した。さらに、混合溶剤EC+ EMC + DMC + EP :2つの中心を有するビピリジルイオン液体を質量比1:10で、2つの中心を有するビピリジルビス(フルオロスルホニル)イミド(実施例4で調製)イオン液体を添加し、40℃に加熱し、均一の有機相になるまで撹拌した。最後、リチウム塩のモル濃度が0.7mol/L(有機相の体積であるVEC+ EMC + DMC + EP+2つの中心を有するビピリジルイオン液体に基づいてリチウム塩の量を算出)になるように、所定量のリチウム塩(LiFSI)を添加し、さらに、リチウム塩が完全に溶解するまでに撹拌し、目的の有機電解液を得た。
[実施例10]
雰囲気下で、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、プロピオン酸エチル(EP)とを、2:5:2:3の体積比で、有機溶剤(混合溶剤EC+ EMC + DMC + EPと略し)を調製した。さらに、混合溶剤EC+ EMC + DMC + EP :2つの中心を有するビピリジルイオン液体を質量比1:1で、2つの中心を有するビピリジルテトラフルオロほう酸塩イオン液体を添加し、40℃に加熱し、均一の有機相になるまで撹拌した。最後、リチウム塩のモル濃度が0.9mol/L(有機相の体積であるVEC+ EMC + DMC + EP+2つの中心を有するビピリジルイオン液体に基づいてリチウム塩の量を算出)になるように、所定量のリチウム塩(LiTFSI)を添加し、さらに、リチウム塩が完全に溶解するまでに撹拌し、目的の有機電解液を得た。
[実施例11]
Ar雰囲気下で、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、プロピオン酸エチル(EP)とを、2:5:2:3の体積比で、有機溶剤(混合溶剤EC+ EMC + DMC + EPと略し)を調製した。さらに、混合溶剤EC+ EMC + DMC + EP :2つの中心を有するビピリジルイオン液体を質量比40:1で、2つの中心を有するビピリジルイオン液体(本実施例ではモル比が1:1の2つの中心を有するビピリジルテトラフルオロほう酸塩と2つの中心を有するビピリジルヘキサフルオロリン酸塩とを調製)を添加し、40℃に加熱して、均一な有機相になるように撹拌した。最後、リチウム塩のモル濃度が1mol/L(有機相の体積であるVEC+ EMC + DMC + EP+2つの中心を有するビピリジルイオン液体に基づいてリチウム塩の量を算出)になるように、所定量のリチウム塩(本実施例ではモル比が1:1のLiTFSIとLiFSI)を添加し、さらに、リチウム塩が完全に溶解するまでに撹拌し、目的の有機電解液を得た。
[実施例12]
Ar雰囲気下で、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、プロピオン酸エチル(EP)とを、2:5:2:3の体積比で、有機溶剤(混合溶剤EC+ EMC + DMC + EPと略し)を調製した。さらに、混合溶剤EC+ EMC + DMC + EP :2つの中心を有するビピリジルイオン液体を質量比70:1で、2つの中心を有するビピリジルイオン液体(本実施例ではモル比が1:1の2つの中心を有するビピリジルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと2つの中心を有するビピリジルビス(フルオロスルホニル)イミド)を添加し、40℃に加熱して、均一な有機相になるように撹拌した。最後、リチウム塩のモル濃度が1.1mol/L(有機相の体積であるVEC+ EMC + DMC + EP+2つの中心を有するビピリジルイオン液体に基づいてリチウム塩の量を算出)になるように、所定量のリチウム塩(本実施例ではモル比が1:1のLiPFとLiTFSI)を添加し、さらに、リチウム塩が完全に溶解するまでに撹拌し、目的の有機電解液を得た。
[実施例13]
雰囲気下で、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、プロピオン酸エチル(EP)とを、2:5:2:3の体積比で、有機溶剤(混合溶剤EC+ EMC + DMC + EPと略し)を調製した。さらに、混合溶剤EC+ EMC + DMC + EP :2つの中心を有するビピリジルイオン液体を質量比100:1で、2つの中心を有するビピリジルビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを添加し、40℃に加熱して、均一な有機相になるように撹拌した。最後、リチウム塩のモル濃度が1.2mol/L(有機相の体積であるVEC+ EMC + DMC + EP+2つの中心を有するビピリジルイオン液体に基づいてリチウム塩の量を算出)になるように、所定量のリチウム塩(本実施例ではLiTFSI)を添加し、さらに、リチウム塩が完全に溶解するまでに撹拌し、目的の有機電解液を得た。
【0112】
上述した実施例は、具体的、かつ詳細に説明しており、本発明のいくつかの実施形態を示すものであり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本発明の思想を逸脱しないことを前提とする場合、当業者が、複数の変形及び変更をしても、本発明の保護範囲に属するものであると理解されるべきである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に基づくものである。
図1