(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796245
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】電気機械のためのステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/14 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-81603(P2013-81603)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-201893(P2013-201893A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2013年5月22日
(31)【優先権主張番号】1205147.0
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508032310
【氏名又は名称】ダイソン テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー キング
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス リチャード バジル テデン
【審査官】
下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特表平10−505998(JP,A)
【文献】
特開平09−093890(JP,A)
【文献】
特開2000−295828(JP,A)
【文献】
特開2010−28959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一部品のステータであって、
複数のステータ要素と、ブリッジと、を有し、各ステータ要素は、2つの極を有するc字形コアを含み、各ステータ要素の各極は、隣接したステータ要素の極に前記ブリッジによって固着され、前記ブリッジは、前記極の上に成形された非磁性材料で形成される、ステータ。
【請求項2】
各極は、前記極の表面に形成された凹み部又は突起の形態のアンカー部を含み、前記ブリッジは、前記極のアンカー部に成形される、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
各極が、弧形極面を含み、前記弧形極面の少なくとも一部は、前記ブリッジによって覆われない、請求項1又は2に記載のステータ。
【請求項4】
各ステータ要素のコアは、後部と、前記後部の両端から延びる2つのアームを含み、各ステータ要素は、各アーム上に配置されたボビンと、各ボビンの周りに巻かれたコイルとを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項5】
前記ブリッジは、センサを受入れる凹部を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項6】
単一部品のステータであって、
2つのステータ要素と、2つのブリッジと、を含み、
各ステータ要素は、c字形コアを含み、前記c字形コアは、後部と、前記後部の両端から延びる2つのアームとを有し、各アームの自由端は、極を有し、
各ブリッジは、各ステータ要素の極の上に成形された非磁性材料で形成される、ステータ。
【請求項7】
電気機械であって、
ロータと、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のステータと、を含み、
前記ステータ要素は、前記ロータの周りに配列される、電気機械。
【請求項8】
前記ロータと前記ステータの間の隙間空間は非対称である、請求項7に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械のためのステータに関し、それを組込んだ電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
4極電気機械のステータは、ロータの両側に配置された2つのc字形コアを有する場合がある。c字形コアを採用するとき、ステータについて、比較的高いフィルファクタ(fill factor)を達成し得る。更に、コイルをコアの上に巻くことは、一般的に、単一部品コアの場合よりも容易である。
【0003】
ロータとステータの間の隙間空間は、リラクタンス(磁気抵抗)を低減するために、できるだけ小さいことが理想的である。一方、隙間空間は、公差限度においてロータがステータに接触することなしに自由に回転するように十分大きくなければならない。2つのステータコアの整列の公差は、一般的に、単一部品のコアよりも大きい隙間空間が要求されることを意味する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の側面において、本発明は、ステータであって、複数のステータ要素を有し、各ステータ要素は、2つの極を有するc字形コアを含み、各ステータ要素の各極は、隣接したステータ要素の極にブリッジによって固着され、ブリッジは、極の上に成形された非磁性材料で形成される、ステータを提供する。
【0005】
c字形コアを利用することにより、ステータについて、比較的高いフィルファクタが達成される。更に、コイルをコアの上に巻くことがより容易になる。ステータ要素を、成形する前に整列させるのがよい。この場合、ブリッジは、ステータ要素の整列を維持するように作用する。その結果、c字形コアを利用しているにも関わらず、ステータのための比較的小さい隙間空間を達成することができる。更に、ステータの極として良好に形成された突部、並びに、バランスがとれたスロット開口を達成することができる。
【0006】
ブリッジを、極に固着されるように予め形成された構成要素として提供すると、ブリッジ及び極の幾何学形状及び寸法の公差は、ステータ要素の整列を阻害する場合がある。ブリッジをステータ要素の極の上に成形することにより、かかる公差が吸収され、かくして、ステータ要素がより正確に整列させられる。
【0007】
ステータ要素は、ブリッジによって互いに固着されるので、ステータのための単一部品の構成要素を達成することができる。この場合、ステータを組込む電気機械の組立を大幅に簡単化する。例えば、電気機械は、ロータと、フレームに固着されたステータを含む。単一部品のステータを有することにより、最初、ステータをフレームに固着させるのがよい。次いで、ロータをフレームに固着させ、次の段階で、ステータに対して整列させる。従って、ステータ及びロータは、2つの別々の段階でフレームに固着され、それにより、組立工程を簡単化することができる。更に、組立工程は、各ステータ要素に対してロータを整列させるための1回だけの整列作業しか必要としない。対照的に、ステータ要素を別々の要素として提供すれば、ステータ要素及びロータをそれぞれ同時に固着させ且つ整列させる必要があり、それにより、組立工程が複雑になる。
【0008】
各極は、極の表面に形成された凹み部又は突起の形態のアンカー部を含むのがよい。この場合、ブリッジが極のアンカー部に成形されるのがよい。結果として、ブリッジと、それが固着される極の各々との間に比較的良好な固着部が形成される。
【0009】
各極が、弧形極面を含み、弧形極面の少なくとも一部は、ブリッジによって隠されない(すなわち、覆われない)のがよい。結果として、比較的小さい隙間空間が達成され、リラクタンスを低減させる。
【0010】
各ステータ要素のコアは、後部と、後部の両端から延びる2つのアームを含むのがよい。この場合、各ステータ要素は、各アーム上に配置されたボビンと、各ボビンの周りに巻かれたコイルを含むのがよい。コイルは、コアの各アームの周りに巻かれる。この場合、アーム間の漏れ磁束を低減する利点を有し、それにより、ステータのインダクタンスを低低下させる。各コイルは、理想的には、ブリッジによって隠されず(すなわち、覆われない)、その理由は、そうでなければ、コイルの冷却を阻害する場合があるからである。
【0011】
ブリッジの少なくとも1つは、センサのための凹部を含むのがよい。ブリッジ内の凹部を設けることにより、センサをステータのスロット開口内に正確に配置することを可能にする。センサが、永久磁石ロータの位置を感知するホール効果センサである場合、センサは、ステータ極に対して正確に配置される。その結果、ステータに対するロータの位置を比較的良好な精度で得ることができる。センサが温度センサの場合、センサは、ロータに接触するおそれなしに、ロータのところの空気温度の比較的良好な測定を行うことができる。
【0012】
第2の側面において、本発明は、ステータであって、2つのステータ要素と、2つのブリッジと、を含み、各ステータ要素は、c字形コアを含み、c字形コアは、後部と、後部の両端から延びる2つのアームとを有し、各アームの自由端は、極を有し、各ブリッジは、各ステータ要素の極の上に成形された非磁性材料で形成される、ステータを提供する。
【0013】
第3の側面において、本発明は、電気機械であって、ロータと、上述したいずれかのステータと、を含み、ステータ要素は、ロータの周りに配列される、電気機械を提供する。
【0014】
ロータとステータの間の隙間空間は、非対称であるのがよい。ブリッジをステータ要素の極の上に成形することによって、ステータ要素を電気機械内に配置する前に、ステータ要素が、隙間空間(すなわち、ステータ極の突部)の非対称性によりロータを始動可能な位置に停止させるように整列される。対照的に、ステータ要素を別々の構成要素として提供する場合、明らかに、ステータ要素を電気機械内に、ロータが始動するのに必要な非対称性を確実に達成するのに十分な精度で整列させることが困難になり、又は、事実上不可能である。
【0015】
本発明をより容易に理解するために、以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を例示として説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1の電気機械1は、ロータ2と、ステータ3と、ホール効果センサ4と、温度センサ5を含む。
【0018】
ロータ2は、シャフト6を含み、4極の永久磁石7がシャフト6に固着されている。
【0019】
図2にさらに示すステータ3は、2つのブリッジ10、11によって互いに固着された2つのステータ要素8、9を含んでいる。
【0020】
各ステータ要素8、9は、コア12と、1対のボビン13、14と、1対のコイル15、16を含んでいる。
【0021】
コア12は、磁性材料の複数の積層を含み、かかる磁性材料は、例えば、電気鋼である。コア12は、c字形であり、後部17と、後部17の両端から延びる2つのアーム18、19を含んでいる。各アーム18、19は、ロータ2に向かって延び、且つ、極20,21を構成する自由端を有している。
【0022】
各ボビン13、14はそれぞれ、コア12のアーム18、19を包囲し、各コイル15、16はそれぞれ、ボビン13、14の上に巻かれている。単一のワイヤが、各ステータ要素8、9の両方のコイル15、16のために使用されるのがよい。変形例として、別々のワイヤが、各コイル15、16のために使用され、各コイル15、16が後で互いに結合されてもよい。2つのステータ要素8、9のコイル15、16は、互いに結合され、単相の巻線を形成する。
【0023】
2つのステータ要素8、9は、ロータ2の両側に配列され、2つのブリッジ10、11によって互いに固着されている。より詳細には、第1のブリッジ10が、第1のステータ要素8の第1の極20を第2のステータ要素9の第1の極に固着し、第2のブリッジ11が、第1のステータ要素8の第2の極21を第2のステータ要素9の第2の極に固着する。従って、各ブリッジ10、11は、2つのステータ要素8、9の間のスロット開口に跨がっている。
【0024】
各ブリッジ10、11は、プラスチック等の非磁性材料で形成され、各ブリッジ10、11は、それが固着される2つの極20、21の各々の上に成形される。各極20、21は、極20、21の表面上に形成されたアンカー部22を有している。各ブリッジ10、11は、それが固着される2つの極20、21のアンカー部22に成形される。図示の実施形態では、アンカー部22は、凹み部の形態をなし、ブリッジ10、11は、凹み部内に成形される。しかしながら、同じく、アンカー部22は、突起の形態をなし、その上にブリッジ10、11が成形されてもよい。アンカー部22は、ブリッジ10、11とそれが固着される極20、21の各々との間の良好な固着が行われることを確保する。
【0025】
各ブリッジ10、11は、2つのセンサ4、5の一方を受入れる凹部23を有している。この場合、ホール効果センサ4は、第1のブリッジ10の凹部23内に配置され、温度センサ5は、第2のブリッジ11の凹部23内に配置される。従って、ホール効果センサ4は、2つのステータ要素8、9の間の第1のスロット開口内に配置され、温度センサ5は、2つのステータ要素8、9の間の第2のスロット開口内に配置される。
【0026】
ステータ3を製造するのに、最初、各ステータ要素8、9を組立て、すなわち、ボビン13、14をコア12上に成形し又はその他の方法で固着させ、次いで、コイル15、16をボビン13、14に巻く。次いで、2つのステータ要素8、9を型(図示せず)内に配置する。型は、2つのステータ要素8、9を整列させるように作用する多数の位置決め部を有する。特に、型は、ステータ要素8、9の極の面が当接する中心ピンを有する。更に、位置決め部は、ステータ要素8、9が中心ピンの両側で整列するように、各コア12の後部17に係合する。実際には、図面から分かるように、各コア12の後部は、特に型の位置決め部に係合する形状(例えば、矩形の凹み部)を含む。位置決め部は、2つのステータ要素8、9が型内で正確に整列することを確保する。特に、ステータ要素8、9は、良好に定められた量だけ離間し、その結果、良好に定められた隙間空間がロータ2とステータ3の間に設けられる。更に、ステータ極20、21ごとに良好に定められた突部が実現され、2つのステータ要素8、9間のスロット開口のバランスがとられる(すなわち、スロット開口によって定められる角度が同じである)。ステータ要素8、9を型に挿入した後、プラスチックを型内で射出成形し、2つのブリッジ10、11を形成する。冷却の際、ブリッジ10、11は、2つのステータ要素8、9を互いに保持するように作用する。従って、良好に定められた隙間空間、良好に定められた突部、及びバランスがとれたスロット開口を有する単一部品のステータ3が得られる。
【0027】
単一部品ステータ3を提供することにより、電気機械1の組立を大幅に簡単化する。例えば、典型的には、ロータ2とステータ3は、例えば接着剤によって、電気機械1のフレーム(図示せず)内に固着される。ステータ要素8、9がすでに互いに整列している単一部品ステータを有している場合、最初、ステータ3をフレームに固着させる。次いで、ロータ2をフレームに固着させ、次の段階で、ステータ3に対して整列させる。結果的に、2つの構成要素2、3を別々の段階でフレームに固着させ、それにより、特に自動化工程を採用しているとき、組立工程を簡単化する。更に、組立工程は、ロータ2を2つのステータ要素8、9に対して整列させるためにだけ、1回の整列作業しか必要としない。対照的に、ブリッジ10、11が省略され且つステータ要素8、9を別々の要素として提供すれば、各ステータ要素8、9をロータ2と他のステータ要素8、9の両方に対して整列させる必要がある。このことは、3つの全ての構成要素2、8、9をフレームに固着させ且つそれと同時に整列させる必要があり、それにより、組立工程を複雑化する。更に、3つの構成要素2、8、9を同時に整列させて固着することは恐らく不可能であろう。例えば、構成要素2、8、9を位置決めして整列させるのに必要なジグのための十分な空間がないことがある。
【0028】
ブリッジ10、11をステータ要素8、9のコア12の上に成形することは、成形しなければ2つのステータ要素8、9の整列を阻害する場合があるいくつかの公差を吸収する利点を有する。例えば、ブリッジ10、11が、各極20、21のアンカー部22内に挿入されるように予め形成された部品として提供される変形設計を考えてみる。ブリッジ10、11及びアンカー部22の幾何学形状及び寸法の公差は、ブリッジ10、11がアンカー部22に対して大きすぎてアンカー部22に挿入することが困難であること、又は、ブリッジ10、11がアンカー部22に対して小さすぎてアンカー部22内に緩く保持されることを意味する。両方の事例において、2つのステータ要素8、9の整列の精度が低下するおそれがある。ブリッジ10、11をステータ要素8、9のコア12の上に成形することによって、ブリッジ10、11及びアンカー部22の任意の公差が吸収される。結果的に、2つのステータ要素8、9は、より正確に整列させられる。
【0029】
ロータ2とステータ極20、21のうちの少なくとも一方の間の隙間空間は、非対称である。結果として、ロータ2は、ロータ2を静止状態から始動させるための所定位置に停止する。隙間空間の非対称性は、比較的小さく、したがって、2つのステータ要素8、9の正確な整列を必要とする。正確な整列でなければ、ロータ2は、始動が不可能な位置に停止する。2つのステータ要素8、9を固着させるためにブリッジ10、11を採用することによって、ステータ要素8、9は、電気機械1の組立前に整列させられ、隙間空間(すなわち、ステータ極20、21の突部)の非対称性がロータの始動を達成するのに十分に良好に定められることを確保する。対照的に、ステータ要素8、9を別々の構成要素として提供すると、明らかに、ステータ要素8、9を、ロータ始動に必要な非対称性を確実に達成するのに十分な精度で電気機械1内に整列させることが困難であり、又は、実際に不可能である。
【0030】
各極20、21は、ロータ2に隣接した弧形極面を有する。ブリッジ10、11は、極面が見えなくならないように(すなわち、覆われないように)極20、21の上に成形される。結果として、比較的小さい隙間空間が、ロータ2とステータ3の間にでき、それにより、リラクタンスを低減させることができる。前の段落で述べたように、ロータ2とステータ3の少なくとも一方の極20、21との間の隙間空間は非対称である。対照的に、型の中心ピンは、対称な断面を有する。結果的に、ステータ要素8、9を型に挿入するとき、非対称隙間空間有する小さい隙間が中心ピンと極20、21の縁部との間に存在する。プラスチックを型に射出成形する間、プラスチックが隙間に浸入して極20、21の縁部を覆う。それにも関わらず、ロータ2とステータ極20、21の間の隙間空間の寸法は影響を受けない。対照的に、プラスチックが各極面を完全に覆ってしまうと、より大きい隙間をロータ2と各ステータ極20、21の間に形成し、それにより、電気機械1のリラクタンスを増大させる。
【0031】
ブリッジ10、11内に凹部23を設けることにより、センサ4、5をステータ3のスロット開口内に正確に位置決めすることを可能にする。ホール効果センサ4の正確な位置決めは、相励起とロータ位置との間の正確な同期を確保するのに重要である。ブリッジ10、11が、各ステータ要素8、9の極20、21の上に成形されるので、第1のブリッジ10の凹部23は、ホール効果センサ4がステータ極20、21に対して正確に位置決めされることを確保する。過度の温度により、早期の機械的な故障又はロータ2の磁石7の消磁を生じさせることがある。スロット開口内の温度センサ5を採用することによって、温度のより正確な測定が磁石7のところで行われる。更に、第2のブリッジ11の凹部23内にセンサ5を配置することによって、温度センサ5は、ロータ2に接触するおそれなしに、ロータ2の比較的近くに位置決めされる。対照的に、在来の電気機械の温度センサは、しばしば、磁石からいくらかの距離のところに配置された回路基板の上に配置される。結果として、磁石のところで温度の信頼できる測定値を得ることは不可能である。
【0032】
上述した電気機械1は、2つのステータ要素8、9を有するステータ3を含んでいる。変形例として、ステータ3は、ロータ2の周りに配列された任意の数のステータ要素8、9を含んでいてもよい。同様に、ロータ2は、任意の数の極を含み、永久磁石7を有する必要はない。例えば、電気機械は、鉄心ロータの周りに配列されたステータ要素を有するリラクタンス機械である。ステータ要素の数と無関係に、各ステータ要素の各極は、隣接したステータ要素の極に、その上に成形されたブリッジによって固着される。
【0033】
各ステータ要素8、9は、コア12の各アーム18、19の周りに巻かれたコイル15、16を有している。これは、コイル15、16がアーム18とアーム19の間の磁束漏れを低減し、それにより、ステータ3のインダクタンスを低減させるという利点を有する。それにも関わらず、その代わりに必要であれば、単一のコイルがコア12の後部17の上に巻かれてもよい。コイル又はコイル15、16の位置に関わりなく、ブリッジ15、16は、理想的にはコイル15、16がブリッジ10、11によって隠されない仕方でコア12の上に成形され、その理由は、そうでなければコイル15、16の冷却を阻害する場合があるからである。
【0034】
上述した実施形態では、ブリッジ10、11は、2つの別々の構成要素として成形されている。このことは、ブリッジ10、11を形成するのに必要な材料を最小にするという利点を有する。しかしながら、等しく、2つのブリッジ10、11は、単一の構成要素として成形されてもよい。例えば、2つのブリッジ10、11は、コア12の基部に沿って延びる1つ又は2つ以上のランナーによって結合される。このことは、成形工程を簡単化し、及び/又は、追加の剛性を単一部品ステータ3に付与する。
【符号の説明】
【0035】
3 ステータ
8、9 ステータ要素
10、11 ブリッジ
13、14 ボビン
15、16 コイル
20、21 極
23 凹部