(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記構成は、前記スイッチング回路が前記第2線に結合されることを含み、前記スイッチング回路は、前記第2線を前記複数の第1線として機能するように、そして前記複数の第1線を前記第2線として機能するようにスイッチする、請求項1に記載の装置。
前記スイッチング回路は、複数の結合間で前記第1線をスイッチするように構成され、その複数の結合は、刺激信号入力回路への結合、容量性信号出力回路への結合、又は接地点への結合の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
前記スイッチング回路は、前記第2線に結合され、そして前記第2線を複数の結合間でスイッチするように構成され、その複数の結合は、タッチ感知回路への結合又は接地点への結合の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
前記構成は、更に、前記複数の第1線のうちの少なくとも1つのさらに別の第1線を接地点へ結合するようにスイッチし、そして前記第2線の少なくとも1つが回路におけるオブジェクトのタッチを表すタッチ信号を送信することにより、回路におけるオブジェクトのタッチを測定する、請求項1に記載の装置。
第1線が番号付けされ、前記回路を駆動するように構成された第1線は、第1の番号を有し、前記第1キャパシタンスを感知するように構成された第1線は、前記第1の番号より低い偶数番号の第1線と、前記第1番号より高い奇数番号の第1線である、請求項10に記載の装置。
前記第1キャパシタンスを感知するように構成された第1線は、前記装置を駆動するように構成された第1線の下方の装置に配設された第1線である請求項10に記載の装置。
前記第1キャパシタンスを感知するように構成された第1線は、前記装置を駆動するように構成された第1線の上方の装置に配設された第1線である請求項10に記載の装置。
複数のドライブ線及びセンス線を有するタッチ感知装置において前記複数のドライブ線の内の少なくとも1つのドライブ線を、刺激信号を受け取るように構成するステップと、 前記複数のドライブ線の内の少なくとも1つの他のドライブ線を、前記タッチ感知装置にタッチするオブジェクトの接地状態を感知するように構成するステップと、
前記感知された接地状態に基づき1つ以上のセンス線で検出されたセンス信号を補償するステップと、
を備え、補償ファクタは、前記測定された接地状態と前記複数のドライブ線と前記複数のセンス線との間の相互キャパシタンスの関数である方法。
センス信号を補償する前記ステップは、前記感知された接地状態を表す信号と、該接地状態の少なくとも1つのセンス信号に基づく推定値との間の比を計算することを含む、請求項14に記載の方法。
少なくとも1つのドライブ線が、パネルを駆動するための刺激信号を受け取るようにスイッチ可能に構成され、他のドライブ線のグループが、刺激信号での駆動により発生される接近オブジェクトキャパシタンスを測定するようにスイッチ可能に構成され、その測定されたキャパシタンスがオブジェクトの接地状態を表すような複数のドライブ線と、
前記複数のドライブ線に関連付けられ、且つパネルにおけるオブジェクトによるタッチを表す、前記刺激されたドライブ線とセンス線との間の相互キャパシタンスの変化に対応するタッチ信号を送信するように構成された複数のセンス線と、
前記複数のドライブ線に結合され、且つ前記複数のドライブ線を切り換えるように構成されたスイッチング回路と、
前記タッチ信号を前記測定されたキャパシタンスで補償するように構成されたプロセッサと、を備え、
前記測定されたキャパシタンスは、前記複数のセンス線と前記複数のドライブ線との間の相互キャパシタンスの関数である補償ファクタを決定するのに使用されるタッチセンサパネル。
前記ドライブ線とセンス線との交差点により形成される複数のピクセルを備え、これらピクセルは、オブジェクトによるタッチを受けるように構成され、その受けるタッチは、オブジェクトによる複数の同時タッチを含み、そして前記タッチ信号は、前記測定されたキャパシタンスにより補償されるべきタッチ情報を含む、請求項19に記載のパネル。
接近するオブジェクトを感知するように構成されたタッチセンサパネルであって、該パネルを駆動するための刺激信号供給に該パネルの少なくとも1つのドライブ線を結合させるように、前記オブェクトの接地状態を感知するためのセンサに前記パネルの少なくとも1つの別のドライブ線を結合させるように、及び前記オブェクトの接地状態と同時に生じるオブェクトタッチを感知するためのセンサに前記パネルの少なくとも1つのセンス線を結合させるように切り換えることができるタッチセンサパネルと、
前記タッチセンサパネルに結合でき、そしてそのパネル上でスキャンシーケンスを遂行して、そのパネルにおけるオブジェクトによるタッチを測定すると共に、前記オブジェクトの接地状態を測定するように構成されたスキャンロジックと、
前記接地状態の測定に基づきタッチの測定を補償するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記接地状態の測定は、前記オブジェクトの接地状態を表すキャパシタンスと前記複数のセンス線と前記複数のドライブ線との間の相互キャパシタンスの関数である補償ファクタを決定するのに使用される、ことを特徴とするタッチ感知装置。
前記装置は、タッチ及び接地を同時に測定し、前記タッチセンサパネルは、そのパネルの少なくとも1つのドライブ線がそのパネルを駆動するための刺激信号源に結合され、そのパネルの少なくとも別のドライブ線がオブジェクトの接地を感知するためのセンサに結合され、そしてそのパネルの少なくとも1つのセンス線がオブジェクトタッチを感知するためのセンサに結合されることを含む構成へとスイッチングされる、請求項21に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特定の実施形態を例示した添付図面を参照して、本発明を以下に詳細に説明する。他の実施形態を使用することもでき、又、種々の実施形態の範囲から逸脱せずに構造上の変更がなされることを理解されたい。
【0008】
本発明は、タッチ感知装置にタッチするユーザ又は他のオブジェクトの不充分な接地により装置に生じる負のピクセル作用を補償することに係る。装置は、タッチするオブジェクトの接地状態及び装置におけるオブジェクトのタッチを同時に測定するように構成できる。それに加えて又はそれとは別に、装置は、タッチするオブジェクトの接地状態及び装置におけるオブジェクトのタッチを逐次に測定するようにも構成できる。装置は、接地の測定とタッチの測定との間の比に基づいて補償ファクタを計算し、そしてこのファクタを使用して、装置からのタッチ出力値のエラー又は歪みを補償することができる。装置の種々のコンポーネントは、特定の構成に基づいてスイッチ可能に構成することができる。
【0009】
ある実施形態の構成では、装置の1つ以上のドライブ線が、装置を駆動するための刺激信号に結合するようにスイッチされ、他のドライブ線が、タッチするオブジェクトの接地状態を測定するためのセンサに結合するようにスイッチされ、残りのドライブ線が、接地点に結合するようにスイッチされ、そして装置の1つ以上のセンス線が、装置におけるタッチを測定するためのセンサに結合するようにスイッチされる。この構成では、装置は、接地状態及び装置におけるタッチを同時に測定することができる。或いは又、装置は、接地状態だけを測定してもよい。
【0010】
ある実施形態の別の構成では、1つ以上のドライブ線が、装置を駆動するための刺激信号に結合するようにスイッチされ、他のドライブ線が、接地点に結合するようにスイッチされ、そして1つ以上のセンス線が、装置におけるタッチを測定するためのセンサに結合するようにスイッチされる。この構成では、装置は、オブジェクトのタッチを測定することができる。
【0011】
ある実施形態の別の構成では、装置のドライブ線が装置のセンス線として機能するようにスイッチされ、そしてその逆のこともされ、ここでは、1つ以上のドライブ線が、装置を駆動するための刺激信号に結合するようにスイッチでき、他の駆動線が、接地状態を測定するためのセンサに結合するようにスイッチでき、残りのドライブ線が、接地点に結合するようにスイッチでき、そしてセンス線が接地点に結合するようにスイッチできる。この構成では、装置は、接地状態を測定することができる。
【0012】
タッチ感知装置における負のピクセル作用を測定する能力は、不充分な接地状態を受ける測定を繰り返さなくてよいことにより、好都合にも、正確で且つ高速のタッチ検出を与えることができる。又、測定を繰り返さなくてよいことにより、電力の節約も実現できる。更に、装置は、ユーザ又は他のオブジェクトの種々の接地状態に頑健に適応させることができる。
【0013】
「不充分な接地」、「非接地」、「接地されず」、「充分に接地されず」、「不適切な接地」、「分離」及び「浮動」という語は、オブジェクトがタッチ感知装置の接地点に低インピーダンス電気的結合されないときに生じる不充分な接地状態を示すために交換可能に使用することができる。
【0014】
「接地」、「適切な接地」及び「充分な接地」という語は、オブジェクトがタッチ感知装置の接地点に低インピーダンス電気的結合されるときに生じる良好な接地状態を示すために交換可能に使用することができる。
【0015】
相互キャパシタンスタッチセンサパネルに関して種々の実施形態をここに図示して説明するが、種々の実施形態は、これに限定されず、自己キャパシタンスセンサパネル、単一及びマルチタッチの両センサパネル、並びに単一の刺激信号を使用してタッチ信号を発生でき且つ複数の同時刺激信号を使用して複合タッチ信号を発生できる他のセンサにも更に適用できることを理解されたい。更に、両面ITO(DITO)タッチセンサパネルに関して種々の実施形態をここに図示して説明するが、種々の実施形態は、不透明のタッチセンサパネルを含む他のタッチセンサパネル構成、例えば、ドライブ線及びセンス線を異なる基板上に又はカバーガラスの背面に形成できる構成、並びにドライブ線及びセンス線を単一基板の同じ面に形成できる構成にも適用できることを理解されたい。更に、互いに直交する導電線の行及び列に関して種々の実施形態をここに図示して説明するが、種々の実施形態は、これに限定されず、他の幾何学形状の構成、例えば、極座標構成の同心的及び半径方向線、傾斜構成の対角線、非直交線、等も更に包含することを理解されたい。
【0016】
図1は、種々の実施形態による通常のタッチ検出構成における規範的なタッチセンサパネルを示す。
図1の例において、タッチセンサパネル100は、行線102及び列線104の交差点に形成できるピクセル106のアレイを含むことができる。各ピクセル106は、交差する行線102と列線104との間に形成された関連相互キャパシタンスC
sig114を有することができる。
図1に示すように、行線102は、ドライブ線として機能し、そして列線104は、センス線として機能し、ドライブ線は、ドライブ回路(図示せず)により発生される交流(AC)波形を含む刺激信号101によって刺激することができ、そしてセンス線は、パネル100におけるタッチを表すタッチ又はセンス信号103を、センス線ごとにセンス増幅器を含むセンス回路(図示せず)へと送信することができる。
【0017】
パネル100におけるタッチを感知するために、ある実施形態では、複数のドライブ線102は、刺激信号101によって実質的に同時に刺激されて、交差するセンス線104と容量性結合し、これにより、ドライブ線からセンス線へ電荷を結合する容量性経路を形成する。交差するセンス線104は、結合された電荷又は電流を表す信号を出力することができる。あるドライブ線102が刺激される間に、他のドライブ線は、接地点に結合することができる。他の実施形態では、各ドライブ線102は、刺激信号101により順次に刺激されて、交差するセンス線104と容量性結合し、結合された電荷又は電流を表す信号を出力することができ、一方、他のドライブ線は、接地点に結合することができる。更に別の実施形態では、実質的に同時に刺激される複数のドライブ線102と、順次に刺激される単一のドライブ線とを組み合わせることができる。
【0018】
充分に接地されたユーザの指(又は他のオブジェクト)がパネル100にタッチすると、その指がタッチ位置においてキャパシタンスC
sig114を量ΔC
sigだけ減少させることができる。このキャパシタンス変化ΔC
sigは、刺激されたドライブ線102からの電荷又は電流が、タッチ位置における交差するセンス線104へ結合されるのではなく、タッチする指を経て接地点へシャントされることにより生じる。キャパシタンス変化ΔC
sigを表すタッチ信号103は、センス線104により処理のためにセンス回路へ送信することができる。タッチ信号103は、タッチが生じたピクセルと、そのピクセル位置に生じたタッチの量とを指示することができる。
【0019】
不充分な接地のユーザの指(又は他のオブジェクト)がパネル100にタッチすると、刺激されたドライブ線102に対する指キャパシタンスC
fd、タッチ位置における交差するセンス線104に対する指キャパシタンスC
fs、及びユーザ接地点に対する指キャパシタンスC
gndが、ドライブ線からセンス線へ電荷を結合するための二次容量経路を形成する。刺激されたドライブ線102によって発生されて指を通して伝達されるある電荷は、接地点に結合されるのではなくて、二次容量経路を経て、交差するセンス線104へ結合される。その結果、タッチ位置におけるピクセルのキャパシタンスC
sig114がΔC
sigだけ減少されるのではなく、C
sigが(ΔC
sig−C
neg)だけ減少されるに過ぎない。但し、C
negは、指の不充分な接地のために電荷が交差するセンス線へ結合されることにより生じるいわゆる「負のキャパシタンス」を表す。タッチ信号103は、依然、タッチが生じたところのピクセルを一般的に指示できるが、実際に生じたものよりわずかな量のタッチしか指示しない。
【0020】
複数の不充分な接地のユーザの指(又は他のオブジェクト)が異なる位置でパネル100に同時にタッチしたときには、上述したように、第1の指のタッチ位置、即ち刺激されたドライブ線102とセンス線104との交差点に、第1の指キャパシタンスC
fd及びC
fsが形成される。又、第1の指からのある電荷が第2の指を経てパネル100へ戻るように結合され、第2の指のタッチ位置、即ち刺激されないドライブ線102とセンス線104との交差点に、第2の指のキャパシタンスC
fd及びC
fsが形成される。又、上述したように、ユーザ接地点に対するキャパシタンスC
gndも形成される。その結果、タッチ信号103は、第1の指がタッチしたところのピクセルを指示できるが、上述したように、実際に生じたものよりわずかな量のタッチしか指示しない。又、タッチ信号103は、刺激されたドライブ線102と第2の指のセンス線104との交差点により形成されるピクセルにおいて、及び/又は第2の指の刺激されないドライブ線と第1の指のセンス線との交差点により形成されるピクセルにおいて、仮想タッチも指示する。タッチ信号103は、電荷が第2の指によってパネルへ戻るように結合されるために、これらのピクセルにおいて、見掛け上負の量のタッチを指示する。これが、いわゆる「負のピクセル作用」である。
【0021】
同様に、第2の指のタッチ位置におけるドライブ線102が刺激されると、そのタッチ位置において、上述したように、第2の指のキャパシタンスC
fd及びC
fsが形成される。第2の指からのある電荷も第1の指を経てパネル100へ戻るように結合され、第1の指のタッチ位置、即ち現在は刺激されないドライブ線102とセンス線104との交差点に、第1の指のキャパシタンスC
fd及びC
fsが形成される。ユーザ接地点に対するキャパシタンスC
gndも形成される。その結果、タッチ信号103は、第2の指がタッチしたところのピクセルを指示できるが、上述したように、実際に生じたものよりわずかな量のタッチしか指示しない。又、タッチ信号103は、刺激されたドライブ線102と第1の指のセンス線104との交差点により形成されるピクセルにおいて、及び/又は第1の指の刺激されないドライブ線と第2の指のセンス線との交差点により形成されるピクセルにおいて、仮想タッチを指示すると共に、これらのピクセルにおいて、電荷が第1の指によりパネル100へ戻るように結合されるために、見掛け上負の量のタッチを指示し、負のピクセル作用を生じさせる。
【0022】
上述したように、行線がドライブ線であり且つ列線がセンス線であるものに代わる実施形態として、行線102がセンス線として働きそして列線104がドライブ線として働くことができる。充分な接地の又は不充分な接地の指がパネルにタッチすると、列線が上述したようにドライブ線として働き、そして行線が上述したようにセンス線として働くことができる。
【0023】
図2は、種々の実施形態により接地が不充分な指の複数の同時タッチを受けるタッチセンサパネルにおける規範的な負のピクセル作用を示す。
図2に示すように、行線202は、ドライブ線として働き、又、列線204は、センス線として働くことができる。他の実施形態では、行線202は、センス線として働き、又、列線204は、ドライブ線として働くことができる。
図2の例では、不充分な接地の第1の指(円記号で示され、「指1」と識別された)がタッチセンサパネル200のピクセル206aにタッチし、そして不充分な接地の第2の指(円記号で示され、「指2」と識別された)がパネルのピクセル206bにタッチする。パネル200のドライブ(又は行)線202aが刺激されると、ドライブ線202aとセンス(又は列)線204aとの間の第1の経路に沿ったキャパシタンスが(C
sig−ΔC
sig)となる。指は不充分な接地であるから、第2の容量性経路がドライブ線202aとセンス線204aとの間に形成されて、キャパシタンスC
fd(ドライブ線202aと第1の指との間)及びC
fs(センス線204aと第1の指との間)を有し、且つ第3の容量性経路がドライブ線202cとセンス線204bとの間に第2の指を経て形成されて、キャパシタンスC
fd(ドライブ線202cと第2の指との間)及びC
fs(センス線204bと第2の指との間)を有する。又、指とユーザ接地点との間にはキャパシタンスC
gndも形成される。これらキャパシタンスは、刺激されたドライブ線202aから第1の指により得られた電荷又は電流が、接地点へシャントされるのではなく、ピクセル206a及び206bにおいてパネル200へ戻るように結合されることによるものである。ドライブ線202cが刺激されたときは、第1及び第2の指に同様のキャパシタンスが生じる。その結果、タッチされたピクセル206a及び206bに近いがタッチを受けていないピクセル206c及び206dが、負の量のタッチ(負のピクセル)を指示する。
【0024】
従って、負のピクセル作用を検出し、その作用についてタッチ信号を補償することで、不充分な接地状態におけるタッチセンサパネルのタッチ感知を改善することができる。
【0025】
図3は、種々の実施形態による負のピクセル作用の検出構成における規範的タッチセンサパネルを示す。
図3のタッチセンサパネル300は、
図1のタッチセンサパネル100と同様であるが、次のものが追加される。刺激されない全てのドライブ(又は行)線302bが接地点に結合されるのではなく、刺激されない幾つかのドライブ線302cをセンサ(図示せず)にスイッチ可能に結合して、負のピクセル作用に貢献することになるこれらドライブ線のキャパシタンスC
fdを検出することができる。このキャパシタンスは、パネル300にタッチする不充分な接地の指からこれらドライブ線へ電荷又は電流が結合されることによるものであり、ユーザの接地状態を表している。キャパシタンスC
fdを感知するためのセンサは、センス増幅器を含む。これらドライブ線をスイッチして、補助的なセンス線302cとなるように機能を変化させることができる。
【0026】
キャパシタンスC
fdを検出するためには、複数のドライブ線302を刺激信号301により実質的に同時に刺激することができ(ドライブ線302aと同様に)、刺激されないドライブ線のあるものを接地点に結合し(ドライブ線302bのように)、そして刺激されないドライブ線の他のものを、センサに結合された補助的なセンス線として働くようにスイッチし、キャパシタンスC
fdを表す負のピクセル作用の信号318を感知することができる(ドライブ線302cのように)。補助的なセンス線302cは、その補助的なセンス線にタッチする第2(第3、第4又は第5)の不充分な接地の指からキャパシタンスC
fdを形成し、上述したように、電荷又は電流を補助的なセンス線に結合させて、キャパシタンスC
fdを形成できるようにする。逆に、補助的なセンス線302cに指がタッチしないときは、補助的なセンス線が、感知されるべきキャパシタンスC
fdを形成しない。負のピクセル作用の信号318は、センス回路へ送信され、負のピクセル作用を補償するように更に処理される。ある実施形態では、センス線304からのタッチ信号303は、センス回路へ送信されて、更に処理される。従って、タッチ信号303及び負のピクセル作用の信号318の両方を同時に捕獲することができる。ある実施形態では、センス線304からのタッチ信号303を接地点へ送信することができる。
【0027】
別の実施形態において、各ドライブ線302を刺激信号301により順次に刺激して、交差するセンス線304と容量性結合させ、結合された電荷又は電流を表す信号を出力することができ、一方、他のドライブ線を、補助的なセンス線として働くか又は接地点へ結合するようにスイッチすることができる。更に別の実施形態では、複数のドライブ線302を実質的に同時に刺激し、そして単一のドライブ線を順次に刺激するように組み合わせることができる。
【0028】
図3は、行線がドライブ線及び補助的なセンス線であり、列線がセンス線であるものを示しているが、行線がセンス線として働き、且つ列線がドライブ線及び補助的なセンス線として働き得ることを理解されたい。
【0029】
刺激されないドライブ線302のどれを補助的なセンス線302cとして使用するかの選択は、充分な数の高質のキャパシタンスC
fd測定値を得て、負のピクセル作用を充分に補償できるよう保証するように行うことができる。ある実施形態では、パネル300の行において刺激されたドライブ線の上又は前に配置された偶数個の刺激されないドライブ線302と、それら行において刺激されたドライブ線の下又は後に配置された奇数個の刺激されないドライブ線とを、補助的センス線302cとして使用するように選択することができる。ある実施形態では、パネル300の行において刺激されたドライブ線の前の、奇数の刺激されないドライブ線302と、それらの行において刺激されたドライブ線の後の、偶数の刺激されないドライブ線とを、補助的センス線302cとして使用するように選択することができる。ある実施形態では、それらの行において刺激されたドライブ線の後の、刺激されないドライブ線302だけを、補助的センス線302cとして使用するように選択することができる。ある実施形態では、それらの行において刺激されたドライブ線の前の、刺激されないドライブ線302だけを、補助的センス線302cとして使用するように選択することができる。ある実施形態では、刺激されない全てのドライブ線302を、補助的なセンス線302cとして使用するように選択することができる。ある実施形態では、(刺激されたドライブ線に直接隣接する、刺激されないドライブ線を除いて)刺激されたドライブ線の前後の、刺激されない交互のドライブ線302を、補助的なセンス線302cとして使用するように選択することができる。パネルのニーズに基づいて、キャパシタンスC
fdを捕獲できる他の選択スキームを使用することもできる。
【0030】
種々の実施形態に基づくタッチセンサパネルは、
図1のような通常のタッチ検出構成、及び
図3のような負のピクセル作用の検出構成の両方を形成することができる。これを行うために、タッチセンサパネルのドライブ線は、刺激信号入力と、負のピクセル作用信号出力と、接地結合との間をスイッチするように構成できる。
図4は、これら構成間をスイッチできる種々の実施形態によるタッチセンサパネルの規範的スイッチング回路を示す。
図4の例では、ドライブ線402は、関連スイッチ422をもつことができ、このスイッチは、ドライブ線を、刺激信号入力線421、負のピクセル作用信号出力線419、及び接地点428へ結合することができる。通常のタッチ検出構成では、スイッチ422は、ドライブ線を刺激すべきときには、ドライブ線402を刺激信号入力線421へ結合することができ、又はドライブ線を刺激すべきでないときには、接地点428へ結合することができる。負のピクセル作用の検出構成では、スイッチ422は、ドライブ線を刺激すべきときには、ドライブ線402を刺激信号入力線421へ結合することができ、ドライブ線を補助的センス線とすべきときには、負のピクセル作用信号出力線419へ結合することができ、或いはドライブ線を刺激すべきでないか又は補助的センス線とすべきでないときには、接地点428へ結合することができる。
【0031】
図4には、1つのドライブ線だけのスイッチング回路が示されている。しかしながら、タッチセンサパネルの残りのドライブ線についても同じ又は同様の回路を使用できることを理解されたい。ある実施形態では、個々のドライブ線が、負のピクセル作用信号を感知するための対応する個々のセンサをもつことができる。又、ある実施形態では、複数のドライブ線が、負のピクセル作用信号を感知するためのセンサを共用でき、あるドライブ線が負のピクセル作用信号を送信するときにそのドライブ線をセンサの負のピクセル作用信号出力線へ選択的に結合するようにドライブ線間をスイッチするようスイッチを構成することができる。
図4のドライブ線は、行線として示されているが、ドライブ線は、列線でもよいことを理解されたい。
【0032】
ある実施形態では、パネルにおいてタッチ検出を遂行してパネルにおけるタッチを表すタッチ信号を捕獲することができ、次いで、パネルにおいて負のピクセル作用の検出を遂行して、その捕獲されたタッチ信号に対する負のピクセル作用を表すキャパシタンスを捕獲することができる。このような実施形態では、パネルは、ドライブ線を2つの構成間で前後にスイッチすることができる。そのたびに、捕獲されたキャパシタンスを使用して、負のピクセル作用に対して捕獲されたタッチ信号を補償することができる。ある実施形態では、タッチ検出と、負のピクセル作用検出を、同時に遂行することができる。このような実施形態では、パネルは、ドライブ線及びセンス線をその構成へスイッチすることができる。
【0033】
図5は、種々の実施形態による負のピクセル作用の検出構成における別の規範的タッチセンサパネルを示す。
図5のタッチセンサパネル500は、
図3のタッチセンサパネルと同様であるが、次のものが追加される。行線502がドライブ線として働き、列線504がセンス線として働くのではなく、行線がセンス線として働き、列線がドライブ線として働くことができる。実際上、ドライブ線及びセンス線は、場所をスイッチする。この構成は、指をパネルの行に整列してタッチさせるためのキャパシタンスC
fd’を検出するのに有用である。このスイッチ構成では、列線がドライブ線として機能するので、指とドライブ(又は列)線502との間のキャパシタンスC
fd’は、指とセンス(又は列)線204との間のキャパシタンスC
fs(
図2の構成に示された)に匹敵する。
図3のタッチパネル300と同様に、
図5の幾つかの刺激されないドライブ(又は列)線502cは、負のピクセル作用によりこれらドライブ線に生じるキャパシタンスC
fd’を検出するためにセンサ(図示せず)へスイッチ可能に結合することができる。これらのドライブ線は、スイッチ可能であると共に、補助的なセンス線502cとなるように機能を変化させることができる。
【0034】
キャパシタンスC
fd’を検出するために、複数のドライブ線502を刺激信号501により実質的に同時に刺激することができ(ドライブ線502aと同様に)、刺激されないドライブ線の幾つかを接地点に結合することができ(ドライブ線502bと同様に)、そして刺激されない他のドライブ線を、センサに結合された補助的なセンス線として使用して、キャパシタンスC
fd’を表す負のピクセル作用信号518を感知することができる(ドライブ線502cのように)。補助的なセンス線502cは、第2(第3、第4又は第5)の、不充分な接地の指がその補助的なセンス線にタッチすることからキャパシタンスC
fd’を形成することができ、従って、上述したように、その補助的なセンス線に結合してキャパシタンスC
fd’を形成するようにチャージすることができる。逆に、指が補助的なセンス線502cにタッチしないときには、その補助的なセンス線が、感知されるべきキャパシタンスC
fd’を形成しない。負のピクセル作用信号518は、負のピクセル作用を補償する更なる処理のためにセンス回路へ送信することができる。センス(又は行)線504は、接地点へ結合することができる。
【0035】
他の実施形態では、各ドライブ線502は、刺激信号501により順次に刺激されて、交差するセンス線504と容量性結合することができ、一方、他のドライブ線502は、補助的なセンス線として機能するか又は接地点へ結合されるようにスイッチすることができる。
【0036】
刺激されないドライブ線502cのどれが補助的なセンス線として働くかの選択は、
図3で述べたものと同じ又は同様の仕方で行うことができる。
【0037】
ある実施形態では、タッチセンサパネルは、キャパシタンスC
fd及びC
fd’を捕獲するために、
図5の構成を、
図3の構成に関連して使用することができる。例えば、タッチセンサパネルは、キャパシタンスC
fdを捕獲するために
図3の構成を形成し、次いで、
図3の構成では検出できない付加的なキャパシタンスC
fd’を捕獲するために
図5の構成を形成することができる。ある実施形態では、
図5の構成は、任意である。
【0038】
種々の実施形態によるタッチセンサパネルは、
図1のような通常のタッチ検出構成と、
図3及び5のような負のピクセル作用の検出構成との両方を形成することができる。このようにするために、タッチセンサパネルの行の線は、刺激信号入力と、負のピクセル作用の信号出力と、接地結合との間をスイッチするように構成することができる。同様に、タッチセンサパネルの列の線は、刺激信号入力と、負のピクセル作用の信号出力と、タッチ信号出力と、接地結合との間をスイッチするように構成することができる。
図6は、これら構成間をスイッチできる種々の実施形態によるタッチセンサパネルの規範的スイッチング回路を示す。
図6の例において、行線602は、関連スイッチ622を有し、これは、行線を、刺激信号入力線621、負のピクセル作用信号出力線619、及び接地点628へ結合することができる。列線604は、関連スイッチ624を有し、これは、列線を、刺激信号入力線621、負のピクセル作用信号出力線619、接地点628、及びタッチ信号出力線623へ結合することができる。
図1と同様に、通常のタッチ検出構成では、行線602がドライブ線であり、列線604がセンス線である。スイッチ622は、行線602を、それが刺激されるべきであるときは刺激信号入力線621へ結合し、又はそれが刺激されるべきでないときは接地点628へ結合することができる。スイッチ624は、列線604をタッチ信号出力線623へ結合することができる。
【0039】
負のピクセル作用の検出構成では、
図3のように、行線602がドライブ線であり、列線604がセンス線である。スイッチ622は、行線602を、それが刺激されるべきであるときは刺激信号入力線621へ結合し、それが補助的なセンス線であるべきときには負のピクセル作用信号出力線619へ結合し、或いはそれが刺激されるべきでないか又は補助的なセンス線でもないときは接地点628へ結合することができる。スイッチ624は、列線604を、タッチ信号出力線623又は接地点628へ結合することができる。負のピクセル作用の検出構成では、
図5のように、行線602がセンス線であり、列線604がドライブ線である。スイッチ622は、列線602を接地点628へ結合することができる。スイッチ624は、列線604を、それが刺激されるべきであるときは刺激信号入力線621へ結合し、それが補助的なセンス線であるべきときには負のピクセル作用信号出力線619へ結合し、或いはそれが刺激されるべきでないか又は補助的なセンス線でもないときは接地点へ結合することができる。
【0040】
1つの行線及び1つの列線のみに対するスイッチング回路が
図6に示されている。しかしながら、タッチセンサパネルの残りの行線及び列線に対して同じ又は同様の回路を使用できることを理解されたい。ある実施形態では、個々の線が、負のピクセル作用の信号を感知するための対応する個々のセンサをもつことができる。ある実施形態では、複数の線が、負のピクセル作用信号を感知するためのセンサを共用でき、ある線が負のピクセル作用信号を送信するときにその線をセンサの負のピクセル作用信号出力線へ選択的に結合するように線間をスイッチするようスイッチを構成することができる。
【0041】
タッチセンサパネルは、ここに述べる構成に限定されず、種々の実施形態に基づいて、接地状態を表すキャパシタンスを検出し、それを使用して、パネルの負のピクセル作用を補償できる他の構成も包含できることを理解されたい。
【0042】
負のピクセル作用は、測定されたタッチ信号値ΔC
sig、mと、ピクセルにおける実際のタッチ信号値ΔC
sig、aとの間の関係に関してほぼ次のように表すことができる。
【数1】
【0043】
式(1)は、次のように整理し直すことができる。
【数2】
【0044】
負のピクセル補償ファクタRは、次のように近似することができる。
【数3】
但し、b=タッチセンサパネル設計定数で、所与のパネル感知パターン設計に対してシミュレーション及び/又は実験測定を通して得ることができ;S(i)=負のピクセル作用検出構成においてドライブ線iを刺激するときに得られる補助的センス線に沿った指対ドライブ線のキャパシタンスC
fdのクロス積;及びZm(i)=通常のタッチ検出構成においてドライブ線iを刺激するときに規則的なセンス線から得られる測定されたタッチ信号値ΔC
sig、mを使用した、補助的センス線に沿った指対ドライブ線のキャパシタンスC
fdの推定クロス積である。
【0045】
指対ドライブ線のキャパシタンスC
fdのクロス積S(i)は、タッチセンサパネルが負のピクセル作用検出構成にあるときに、タッチセンサパネルのドライブ線iを刺激信号で刺激し、そしてk個の刺激されないドライブ線のセット(即ち、補助的センス線)(ここで、k=刺激されないドライブ線の本数以下の任意の数)を感知することにより、得ることができ、ここで、S(i)は、次のように表すことができる。
【数4】
【0046】
同様に、測定されたタッチ信号値ΔC
sig、mを使用した、指対ドライブ線のキャパシタンスC
fdの推定クロス積Zm(i)は、タッチセンサパネルがタッチ検出構成にあるときに、タッチセンサパネルのドライブ線iを刺激信号で刺激し、そしてセンス線上のタッチ信号を感知することにより、得ることができ、ここで、Zm(i)は、次のように表すことができる。
【数5】
但し、a=タッチセンサパネル設計定数で、所与のパネル感知パターン設計に対してシミュレーション及び/又は実験測定を通して得ることができる。
【0047】
従って、S(i)及びZm(i)を得て、それらの和の比に、式(3)のようにタッチセンサパネル設計定数bを乗算することにより、負のピクセル補償ファクタRを決定することができる。次いで、Rを使用して、式(2)のように、ピクセルにおける負のピクセル作用を補償することができる。
【0048】
図7Aは、種々の実施形態によりタッチセンサパネルに対する負のピクセル作用を補償するための規範的方法を示す。
図7Aの例において、タッチセンサパネルは、例えば、
図3のように、負のピクセル構成とすることができ、ここでは、ドライブ線を刺激すべきときには各ドライブ線を刺激信号入力に結合し、ドライブ線を補助的センス線として使用すべきときには負のピクセル作用信号を感知するためのセンサに結合し、そしてドライブ線を刺激もせず、又、それが補助的センス線でもないときには接地点へ結合するように構成することができる(705)。パネルにおいてスキャンを遂行することができ、ここでは、複数のドライブ線を刺激信号で実質的に同時に刺激し、各補助的センス線がドライブ線に沿ったキャパシタンスC
fdを表す負のピクセル作用信号を送信し、そして各センス線がパネルにおいてタッチを表すタッチ信号を送信することができる(710)。或いは又、各ドライブ線を刺激信号で順次に刺激することもできる。センス線からのタッチ信号及び補助的センス線からの負のピクセル作用信号は、それらの各センス回路によって捕獲することができる(715)。刺激された各ドライブ線に対して捕獲されたタッチ信号からZを得ることができる。刺激された各ドライブ線に対して捕獲された負のピクセル作用信号からSを得ることができる(720)。
【0049】
刺激された各ドライブ線に対してSとZmとの和の比を計算することができる(725)。式(3)のように、和の比から負のピクセル作用補償ファクタRを計算することができる(730)。次いで、式(2)のように、Rを使用して、ピクセルにおける負のピクセル作用を補償することができる(735)。
【0050】
任意であるが、
図3の負のピクセル作用検出構成にされるときには、
図5のような第2の負のピクセル作用構成にすることもできる。
図5の負のピクセル作用検出構成では、ドライブ線をセンス線とスイッチし、タッチセンサパネルの行をセンス線とし、パネルの列をドライブ線とすることができる。ドライブ線(今度は列の)は、ドライブ線を刺激すべきときには刺激信号入力に結合し、ドライブ線を補助的センス線として使用すべきときには負のピクセル作用信号を感知するためのセンサに結合し、そしてドライブ線を刺激もせず、又、それが補助的センス線でもないときには接地点へ結合するように構成することができる。センス線(今度は行の)は、接地点へ接続するように構成することができる。パネルにおいてスキャンを遂行することができ、ここでは、1つ以上のドライブ線を刺激信号で刺激し、そして各補助的センス線がその線に沿ったキャパシタンスC
fd’を表す負のピクセル作用信号を送信することができる。補助的センス線からの負のピクセル作用信号をセンス回路により捕獲することができる。刺激された各ドライブ線に対して捕獲された負のピクセル作用信号からSを得ることができる。2つの負のピクセル作用スキャンがあるために同じピクセルに対して2つ以上のS値が生じるある実施形態では、S値を例えば平均化するか、さもなければ、それらピクセルに対する代表的なS値を得るように相関させることもできる。
【0051】
図7Bは、種々の実施形態によりタッチセンサパネルに対する負のピクセル作用を補償するための別の規範的方法を示す。
図7Bの例では、タッチセンサパネルは、例えば、
図1のように、タッチ検出構成とすることができ、ここでは、各ドライブ線は、そのドライブ線を刺激すべきときには刺激信号入力に結合し、そしてそのドライブ線を刺激すべきでないときには接地点へ結合するように構成でき、又、各センス線は、パネルにおけるタッチを感知するためのセンス回路へ結合するように構成できる(745)。パネルにおいてスキャンを遂行することができ、ここでは、複数のドライブ線を刺激信号で実質的に同時に刺激して、交差するセンス線と容量性結合させることができると共に、各センス線がパネルにおけるタッチを表すタッチ信号を送信することができる(750)。或いは又、各ドライブ線を刺激信号で順次に刺激することもできる。センス線からのタッチ信号は、センス回路により捕獲することができる(755)。刺激された各ドライブ線に対する捕獲されたタッチ信号からZmを得ることができる(760)。
【0052】
タッチセンサパネルは、例えば、
図3のように、負のピクセル作用検出構成とすることができ、ここでは、各ドライブ線は、そのドライブ線を刺激すべきときには刺激信号入力に結合し、そのドライブ線を補助的センス線として使用すべきときには負のピクセル作用信号を感知するためのセンサに結合し、そしてそのドライブ線を刺激せず、又、それが補助的センス線でもないときには接地点へ結合するように構成することができる(765)。パネルにおいてスキャンを遂行することができ、ここでは、複数のドライブ線を刺激信号で実質的に同時に刺激することができ、そして各補助的センス線は、その線に沿ったキャパシタンスC
fdを表す負のピクセル作用信号を送信することができる(770)。或いは又、各ドライブ線を刺激信号で順次に刺激することもできる。補助的センス線からの負のピクセル作用信号は、センス回路によって捕獲することができる(775)。刺激された各ドライブ線に対する捕獲された負のピクセル作用信号からSを得ることができる(780)。
【0053】
刺激された各ドライブ線に対してSとZmとの和の比を計算することができる(785)。式(3)のように、和の比から負のピクセル作用補償ファクタRを計算することができる(790)。次いで、式(2)のように、Rを使用して、ピクセルにおける負のピクセル作用を補償することができる(795)。
【0054】
任意であるが、
図3の負のピクセル作用検出構成にされるときには、
図5のような第2の負のピクセル作用構成にすることもできる。
図5の負のピクセル作用検出構成では、ドライブ線をセンス線とスイッチし、タッチセンサパネルの行をセンス線とし、パネルの列をドライブ線とすることができる。ドライブ線(今度は列の)は、ドライブ線を刺激すべきときには刺激信号入力に結合し、ドライブ線を補助的センス線として使用すべきときには負のピクセル作用信号を感知するためのセンサに結合し、そしてドライブ線を刺激もせず、又、それが補助的センス線でもないときには接地点へ結合するように構成することができる。センス線(今度は行の)は、接地点へ接続するように構成することができる。パネルにおいてスキャンを遂行することができ、ここでは、各ドライブ線を刺激信号で順次に刺激することができ、そして各補助的センス線がその線に沿ったキャパシタンスC
fdを表す負のピクセル作用信号を送信することができる。補助的センス線からの負のピクセル作用信号をセンス回路により捕獲することができる。刺激された各ドライブ線に対して捕獲された負のピクセル作用信号からSを得ることができる。2つの負のピクセル作用スキャンがあるために同じピクセルに対して2つ以上のS値が生じるある実施形態では、S値を例えば平均化するか、さもなければ、それらピクセルに対する代表的なS値を得るように相関させることもできる。
【0055】
ある実施形態では、各タッチ検出スキャンの後に負のピクセル作用スキャンを遂行することができる。又、ある実施形態では、あまり頻繁でないように、例えば、複数のタッチ検出スキャンの後に、負のピクセル作用スキャンを遂行することができる。その頻度は、パネルに関連したファクタの数に依存する。
【0056】
負のピクセル作用を補償するための方法は、
図7A及び7Bに示すものに限定されず、種々の実施形態に基づき負のピクセル補償を実行できる他の及び/又は付加的なアクションも包含できることを理解されたい。
【0057】
図8は、種々の実施形態によりタッチセンサパネルにおいて負のピクセル作用を測定できる規範的コンピューティングシステム800を示す。
図8の例において、コンピューティングシステム800は、タッチコントローラ806を備えることができる。タッチコントローラ806は、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)で、1つ以上のプロセッササブシステム802を備えることができ、これは、ARM968プロセッサ、又は同様の機能及び能力をもつ他のプロセッサのような1つ以上のメインプロセッサを含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、プロセッサの機能は、状態マシンのような専用ロジックにより実施することもできる。又、プロセッササブシステム802は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、或いは他の形式のメモリ又は記憶装置、ウォッチドックタイマー、等の周辺機器(図示せず)を含むことができる。又、タッチコントローラ806は、1つ以上のセンスチャンネル(図示せず)のタッチ信号803、センサ811のような他のセンサからの他の信号、等の信号を受信するための受信部807を備えることもできる。又、タッチコントローラ806は、多段ベクトル復調エンジンのような復調部809、パネルスキャンロジック810、及びパネルを駆動するためにタッチセンサパネル824へ刺激信号816を送信する送信部814を備えることもできる。パネルスキャンロジック810は、RAM812にアクセスし、センスチャンネルからデータを自律的に読み取り、そしてセンスチャンネルを制御することができる。更に、パネルスキャンロジック810は、タッチセンサパネル824の行に選択的に適用できる種々の周波数及び位相で刺激信号816を発生するように送信部814を制御することができる。
【0058】
又、タッチコントローラ806は、送信部814の供給電圧を発生するのに使用できる電荷ポンプ815を備えることもできる。刺激信号816は、2つの電荷蓄積装置、例えば、キャパシタを一緒にカスケード接続して、電荷ポンプ815を形成することにより、最大電圧より高い振幅をもつことができる。それ故、刺激電圧は、単一のキャパシタで取り扱える電圧レベル(例えば、3.6V)より高い(例えば、6V)。
図8は、送信部814とは個別の電荷ポンプ815を示しているが、電荷ポンプは、送信部の一部分でもよい。
【0059】
タッチセンサパネル824は、行トレース(例えば、ドライブ線)及び列トレース(例えば、センス線)を有する容量性感知媒体を含むことができるが、他の感知媒体も使用できる。行及び列トレースは、透明導電性媒体、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)又はアンチモンスズ酸化物(ATO)から形成できるが、他の透明及び非透明材料、例えば、銅を使用することもできる。ある実施形態では、行及び列トレースは、互いに垂直であるが、他の実施形態では、他の非カルテシアン配向が考えられる。例えば、極座標システムでは、センス線を同心円とすることができ、そしてドライブ線を半径方向に延びる線とすることができる(その逆も考えられる)。それ故、ここで使用する「行」及び「列」という語は、直交する格子を含むだけでなく、第1及び第2の寸法を有する他の幾何学形状の交差するトレース(例えば、極座標構成の同心線及び半径方向線)も含むことを理解されたい。行及び列は、例えば、実質的に透明な誘電体材料で分離された実質的に透明な基板の片面、その基板の両面、誘電体材料で分離された2つの個別の基板、等に形成することができる。
【0060】
トレースが互いに上下を通過(交差)する(が、互いに直接電気的接触しない)トレースの「交差点」において、トレースは、本質的に、2つの電極を形成することができる(が、3つ以上のトレースも交差できる)。行及び列トレースの各交差点は、容量性感知ノードを表し、且つ画素(ピクセル)826として見ることができ、これは、タッチセンサパネル824がタッチの「映像」を捕獲するものとして見られるときは特に有用である。(換言すれば、タッチセンサパネルの各タッチセンサにおいてタッチ事象が検出されたかどうかタッチコントローラ806が決定した後に、そのタッチ事象が生じたマルチタッチパネルのタッチセンサのパターンをタッチの「映像」(例えば、パネルにタッチする指のパターン)として見ることができる。)行電極と列電極との間のキャパシタンスは、所与の行が直流(DC)電圧レベルに保持されるときには漂遊キャパシタンスC
strayとして現れ、そして所与の行が交流(AC)信号で刺激されるときには相互信号キャパシタンスC
sigとして現れる。タッチセンサパネル上又はその付近の指又は他のオブジェクトの存在は、タッチされるピクセルに存在する信号電荷Q
sigの変化を測定することによって検出でき、これは、C
sigの関数である。又、信号変化Q
sigは、以下に詳細に述べるように、接地点に対する指又は他のオブジェクトのキャパシタンスC
bodyの関数でもある。
【0061】
又、コンピューティングシステム800は、プロセッササブシステム802からの出力を受け取って、その出力に基づいてアクションを遂行するためのホストプロセッサ828を備えることもでき、そのアクションは、カーソル又はポインタのようなオブジェクトを移動させ、スクロール又はパンを行い、制御設定を調整し、ファイル又はドキュメントをオープンし、メニューを見、選択を行い、インストラクションを実行し、ホスト装置に結合された周辺装置を操作し、電話コールに応答し、電話コールを発信し、電話コールを終了し、音量又は音声設定を変更し、電話通信に関連した情報、例えば、住所、頻繁にダイヤルする番号、受けたコール、逃したコールを記憶し、コンピュータ又はコンピュータネットワークにログオンし、コンピュータ又はコンピュータネットワークの制限エリアへの許可された個々のアクセスを許し、コンピュータデスクトップのユーザの好ましい構成に関連したユーザプロフィールをロードし、ウェブコンテンツへのアクセスを許可し、特定のプログラムを起動し、メッセージを暗号化又はデコードし、等々、を含むが、それらに限定されない。又、ホストプロセッサ828は、パネルの処理に関係ない付加的な機能を遂行することもでき、そしてプログラム記憶装置832と、装置のユーザにUIを与えるためのLCDディスプレイのようなディスプレイ装置830とに結合することができる。ある実施形態では、ホストプロセッサ828は、図示されたように、タッチコントローラ806とは個別のコンポーネントである。他の実施形態では、ホストプロセッサ828は、タッチコントローラ806の一部分として含まれてもよい。更に別の実施形態では、ホストプロセッサ828の機能は、プロセッササブシステム802によって遂行することができ、及び/又はタッチコントローラ806の他のコンポーネントの間で分散させることができる。タッチセンサパネル824を伴うディスプレイ装置830は、タッチセンサパネルの下に部分的に又は完全に位置されたとき、或いはタッチセンサパネルと一体化されたとき、タッチスクリーンのようなタッチ感知装置を形成することができる。
【0062】
負のピクセル作用は、種々の実施形態に基づき、サブシステム802のプロセッサ、ホストプロセッサ828、状態マシンのような専用ロジック、又はその組合せにより、決定することができる。
【0063】
上述した機能の1つ以上は、例えば、メモリ(例えば、周辺機器の1つ)に記憶されてプロセッササブシステム802により実行されるか、或いはプログラム記憶装置832に記憶されてホストプロセッサ828により実行されるファームウェアによって遂行できることに注意されたい。又、このファームウェアは、インストラクション実行システム、装置又はデバイスからインストラクションをフェッチしてインストラクションを実行できるコンピュータベースのシステム、プロセッサ収容システム、又は他のシステムのような、インストラクション実行システム、装置又はデバイスにより使用するか又はそれに関連して使用するために、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体内に記憶することができ、及び/又はその中において搬送することができる。本書の文脈において、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インストラクション実行システム、装置又はデバイスにより使用するか又はそれに関連して使用するためのプログラムを収容し又は記憶することのできる媒体である。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線又は半導体システム、装置又はデバイス、ポータブルコンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(磁気)、リードオンリメモリ(ROM)(磁気)、消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ(EPROM)(磁気)、ポータブル光学ディスク、例えば、CD、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−R又はDVD−RW、或いはフラッシュメモリ、例えば、コンパクトフラッシュカード、セキュアなデジタルカード、USBメモリ装置、メモリスティック、等、を含むが、これらに限定されない。
【0064】
又、ファームウェアは、インストラクション実行システム、装置又はデバイスからインストラクションをフェッチしてインストラクションを実行できるコンピュータベースのシステム、プロセッサ収容システム、又は他のシステムのような、インストラクション実行システム、装置又はデバイスにより使用するか又はそれに関連して使用するために、搬送媒体内で伝播することもできる。本書の文脈において、「搬送媒体」とは、インストラクション実行システム、装置又はデバイスにより使用するか又はそれに関連して使用するために、プログラムを通信し、伝播し又は搬送することのできる媒体である。搬送媒体は、電子、磁気、光学、電磁、又は赤外線のワイヤード又はワイヤレス伝播媒体を含むが、それらに限定されない。
【0065】
タッチセンサパネルは、
図8について述べたタッチ式のものに限定されず、種々の実施形態に基づく接近パネル又は他のパネルでもよいことを理解されたい。更に、ここに述べるタッチセンサパネルは、単一タッチセンサパネルでも、マルチタッチセンサパネルでもよい。
【0066】
コンピューティングシステムは、
図8のコンポーネント及び構成に限定されず、種々の実施形態に基づき負のピクセル作用を測定することのできる種々の構成の他の及び/又は付加的なコンポーネントを含んでもよいことを更に理解されたい。
【0067】
図9は、種々の実施形態による負のピクセル補償を遂行できる、タッチセンサパネル924、ディスプレイ936、及び他のコンピューティングシステムブロックを含む規範的移動電話900を示す。
【0068】
図10は、種々の実施形態による負のピクセル補償を遂行できる、タッチセンサパネル1024、ディスプレイ1036、及び他のコンピューティングシステムブロックを含む規範的デジタルメディアプレーヤ1000を示す。
【0069】
図11は、種々の実施形態による負のピクセル補償を遂行できる、タッチセンサパネル(トラックパッド)1124、ディスプレイ1136、及び他のコンピューティングシステムブロックを含む規範的パーソナルコンピュータ1100を示す。
【0070】
図9から11の移動電話、メディアプレーヤ、及びパーソナルコンピュータは、種々の実施形態に基づいて負のピクセル作用を補償することにより、電力の節約、精度の改善、高い速度、及び高い頑健性を実現することができる。
【0071】
従って、本開示のある実施形態は、各々スイッチ可能に構成された複数の第1線を含む回路を備え、複数の第2線がその第1線に関連するように構成され、そしてスイッチング回路が少なくとも第1線に結合されて、刺激信号を送信するための少なくとも1つの第1線と、オブジェクトの接地状態を表すキャパシタンス信号を送信するための少なくとも別の第1線とをスイッチすることにより、回路に接近したオブジェクトの接地状態を測定する構成で回路を動作するように構成される。他の実施形態は、更に、タッチ信号をキャパシタンス信号で補償するように構成されたプロセッサを備え、タッチ信号は、回路におけるオブジェクトのタッチを指示する。更に別の実施形態では、第1線は、ドライブ線であり、第2線は、センス線である。
【0072】
本開示のある実施形態は、複数の第1線を含む回路を備え、これら第1線の少なくとも1つは、刺激信号で回路を駆動するように構成され、そして少なくとも1つの他の第1線は、回路に接近するオブジェクトと接地点との間の第1のキャパシタンスを感知するように構成され、複数の第2線が第1線に関連されて、ピクセルを形成すると共に、オブジェクトによるタッチを表す第2のキャパシタンスをピクセルにおいて感知するように構成され、そしてオブジェクトの接地状態に基づき第2のキャパシタンスを第1のキャパシタンスで補償するようにプログラムできるプロセッサを備えている。他の実施形態では、第1のキャパシタンスを感知するように構成された第1線は、回路を駆動するように構成された第1線の下で回路に配置される。更に別の実施形態では、第1のキャパシタンスを感知するように構成された第1線は、回路を駆動するように構成された第1線の上で回路に配置される。
【0073】
本開示のある実施形態は、接近するオブジェクトを感知するように構成されたタッチセンサパネルと、このタッチセンサパネルに結合できそしてパネル上でスキャンシーケンスを遂行してパネルにおけるオブジェクトによるタッチを測定すると共に、オブジェクトの接地を測定するように構成されたスキャンロジックと、接地の測定に基づいてタッチの測定を補償するように構成されたプロセッサとを含むタッチ感知装置を備えている。他の実施形態では、スキャンシーケンスは、タッチを測定するための第1スキャンと、接地を測定するための第2スキャンとを含む。
【0074】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、当業者には、種々の変更や修正が明らかであることに注意されたい。このような変更や修正は、特許請求の範囲に規定された種々の実施形態の範囲内に包含されることを理解されたい。