特許第5796263号(P5796263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5796263編成樹脂の製造装置及び編成樹脂の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5796263
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】編成樹脂の製造装置及び編成樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20151001BHJP
   A47C 27/12 20060101ALN20151001BHJP
【FI】
   D04H3/16
   !A47C27/12 F
【請求項の数】30
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-154398(P2014-154398)
(22)【出願日】2014年7月30日
【審査請求日】2014年10月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512332390
【氏名又は名称】有限会社 トラスト21
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(73)【特許権者】
【識別番号】511192768
【氏名又は名称】株式会社エコ・ワールド
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】宮野 悦甫
【審査官】 中村 勇介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−275751(JP,A)
【文献】 再公表特許第2012/035736(JP,A1)
【文献】 特表2003−520688(JP,A)
【文献】 特開2006−097223(JP,A)
【文献】 特開2007−169835(JP,A)
【文献】 特開平05−106153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00−18/04
D01D 1/00−13/02
D02G 1/00− 3/48
D02J 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂を押し出す押出機と、前記押出機から押し出された前記溶融樹脂を受けて底面の多数の孔から前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす樹脂プールと、前記樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂を受けて冷却水に導く成形誘導ローラと、前記冷却水を貯留する冷却水槽とを備え、前記樹脂プールから流れ落ちる前記糸状溶融樹脂を前記冷却水で冷却して編成樹脂を形成する編成樹脂の製造装置であって、
前記成形誘導ローラの一部を前記冷却水中に位置させ、
前記成形誘導ローラの表面に、水膜を形成するように粗面処理又は親水性処理を施したことを特徴とする編成樹脂の製造装置。
【請求項2】
前記成形誘導ローラの高さを変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項3】
一対の前記成形誘導ローラの間隔を変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項4】
前記成形誘導ローラの回転速度を変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項5】
前記成形誘導ローラを水平方向に移動する成形誘導ローラ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項6】
前記成形誘導ローラの表面に凹凸を形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項7】
前記樹脂プールを複数段設け、最下段の前記樹脂プールから流れ落ちる前記糸状溶融樹脂を前記冷却水で冷却して前記編成樹脂を形成することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項8】
前記樹脂プールとして少なくとも第1のプール室と第2のプール室とを有し、
前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす前記孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかを、第1の前記プール室と第2の前記プール室とで異ならせたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項9】
前記樹脂プール内を仕切板によって区画することで第1の前記プール室と第2の前記プール室とを形成したことを特徴とする請求項8に記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項10】
第1の前記プール室には第1の前記押出機を配置し、第2の前記プール室には第2の前記押出機を配置し、第1の前記押出機から押し出す第1の前記溶融樹脂と、第2の前記押出機から押し出す第2の前記溶融樹脂とを、異なる成分としたことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項11】
第1の前記プール室と、第2の前記プール室とを、別々に温度調整できることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項12】
前記樹脂プールの高さを変更する樹脂プール移動手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項13】
前記樹脂プールの底面に吐出孔板を配置し、
前記吐出孔板に、前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす多数の孔を形成したことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項14】
前記冷却水槽に振動を与える水面振動付与手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項15】
前記糸状溶融樹脂が前記冷却水槽内で冷却されて形成される前記編成樹脂を引っかけて引っ張る回転ローラと、前記回転ローラの回転速度を変更する速度変更手段とを備えたことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項16】
前記回転ローラとして、前記編成樹脂を下方に引っ張る第1の前記回転ローラと、前記編成樹脂の浮き上がりを抑えて前記冷却水槽の一方から他方に前記編成樹脂を移動させる第2の前記回転ローラとを備えたことを特徴とする請求項15に記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項17】
前記冷却水槽内の前記冷却水の水面高さを変更する水面変更手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項18】
前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす前記孔の径、密度、及び単位面積当たりの数の内の少なくともいずれかを、前記樹脂プールの外周部と前記樹脂プールの内周部とで異ならせたことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置を用いた編成樹脂の製造方法であって、
前記樹脂プールとして、少なくとも第1の前記樹脂プールと第2の前記樹脂プールとを有し、
第1の前記樹脂プールと第2の前記樹脂プールとは、前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす前記孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかが異なり、
第1の前記樹脂プールに代えて第2の前記樹脂プールを取り付けることで、前記糸状溶融樹脂の太さ及び密度の少なくともいずれかを異ならせ、前記編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、及び形態の少なくともいずれかを異ならせることを特徴とする編成樹脂の製造方法。
【請求項20】
請求項1から請求項18のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置を用いた編成樹脂の製造方法であって、
前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかが異なる、複数の吐出孔板を有し、
前記吐出孔板を取り替えることで、前記糸状溶融樹脂の太さ及び密度の少なくともいずれかを異ならせ、前記編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、及び形態の少なくともいずれかを異ならせることを特徴とする編成樹脂の製造方法。
【請求項21】
押出機から溶融樹脂を押し出す押出工程と、
前記押出機から押し出された前記溶融樹脂を樹脂プールにて受け、前記樹脂プールの底面の多数の孔から前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす糸状工程と、
前記樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂を成形誘導ローラにて冷却水に導く成形工程と
を有する編成樹脂の製造方法であって、
前記成形誘導ローラの表面に、水膜を形成するように粗面処理又は親水性処理を施し、
前記成形誘導ローラの一部を前記冷却水中に位置させ、
前記成形誘導ローラの表面には、前記成形誘導ローラの回転によって前記冷却水を付着させたことを特徴とする編成樹脂の製造方法。
【請求項22】
前記樹脂プールとして少なくとも第1のプール室と第2のプール室とを有し、
第1の前記プール室に導く前記溶融樹脂と、第2の前記プール室に導く前記溶融樹脂とを異なる成分としたことを特徴とする請求項21に記載の編成樹脂の製造方法。
【請求項23】
第1の前記プール室と、第2の前記プール室とを、別々に温度を調整することを特徴とする請求項21又は請求項22に記載の編成樹脂の製造方法。
【請求項24】
前記樹脂プールの高さを変更することを特徴とする請求項21から請求項23のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法。
【請求項25】
前記成形誘導ローラの位置を変更することを特徴とする請求項21から請求項24のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法。
【請求項26】
前記成形誘導ローラの間隔を変更することを特徴とする請求項21から請求項25のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法。
【請求項27】
前記成形誘導ローラの回転速度を変更することを特徴とする請求項21から請求項26のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法。
【請求項28】
前記冷却水槽に振動を与えることを特徴とする請求項21から請求項27のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法。
【請求項29】
前記冷却水槽内で冷却されて形成される前記編成樹脂を引っかけて引っ張る速度を変更することを特徴とする請求項21から請求項28のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法。
【請求項30】
前記冷却水槽内の前記冷却水の水面高さを変更することを特徴とする請求項21から請求項29のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業資材、建築資材、土木資材、生活用品、車載資材、クッション材、又は断熱材に利用できる編成樹脂の製造装置及び編成樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
編成樹脂の製造装置としては、例えば特許文献1や特許文献2に示す装置が提案されている。
特許文献2では、一部水没させたロールを、互いに対向させ、対向するロールの間隔を糸状溶融樹脂の集合体の幅より狭くすることで、編成樹脂を形成している。
例えば、2対のロールによって押し出し方向と垂直な方向に四辺形を形成することで、断面が四辺形の編成樹脂を形成している。また、このときのローラの押しつけによって表面の密度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−61059号公報
【特許文献2】特開2002−88631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2で提案されている装置では、ローラで押すことで編成樹脂の形状を作るため、例えば断面が円形のような形状とすることはできない。
また、ローラの押しつけによって内周部より表面の密度が高くなるとしているが、密度調整を行うことは極めて困難である。
【0005】
そこで本発明は、樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂の太さ又は密度を異ならせることができ、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成することができる編成樹脂の製造装置を提供し、更には、容易に、溶融樹脂の太さ若しくは密度を異ならせ、又は編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、若しくは形態を異ならせることができる編成樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の編成樹脂の製造装置は、溶融樹脂を押し出す押出機と、前記押出機から押し出された前記溶融樹脂を受けて底面の多数の孔から前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす樹脂プールと、前記樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂を受けて冷却水に導く成形誘導ローラと、前記冷却水を貯留する冷却水槽とを備え、前記樹脂プールから流れ落ちる前記糸状溶融樹脂を前記冷却水で冷却して編成樹脂を形成する編成樹脂の製造装置であって、前記成形誘導ローラの一部を前記冷却水中に位置させ、前記成形誘導ローラの表面に、水膜を形成するように粗面処理又は親水性処理を施したことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の編成樹脂の製造装置において、前記成形誘導ローラの高さを変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の編成樹脂の製造装置において、一対の前記成形誘導ローラの間隔を変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の編成樹脂の製造装置において、前記成形誘導ローラの回転速度を変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載の編成樹脂の製造装置において、前記成形誘導ローラを水平方向に移動する成形誘導ローラ制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記成形誘導ローラの表面に凹凸を形成したことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記樹脂プールを複数段設け、最下段の前記樹脂プールから流れ落ちる前記糸状溶融樹脂を前記冷却水で冷却して前記編成樹脂を形成することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記樹脂プールとして少なくとも第1のプール室と第2のプール室とを有し、前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす前記孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかを、第1の前記プール室と第2の前記プール室とで異ならせたことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項8に記載の編成樹脂の製造装置において、前記樹脂プール内を仕切板によって区画することで第1の前記プール室と第2の前記プール室とを形成したことを特徴とする。
請求項10記載の本発明は、請求項8又は請求項9に記載の編成樹脂の製造装置において、第1の前記プール室には第1の前記押出機を配置し、第2の前記プール室には第2の前記押出機を配置し、第1の前記押出機から押し出す第1の前記溶融樹脂と、第2の前記押出機から押し出す第2の前記溶融樹脂とを、異なる成分としたことを特徴とする。
請求項11記載の本発明は、請求項8から請求項10のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、第1の前記プール室と、第2の前記プール室とを、別々に温度調整できることを特徴とする。
請求項12記載の本発明は、請求項1から請求項11のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記樹脂プールの高さを変更する樹脂プール移動手段を備えたことを特徴とする。
請求項13記載の本発明は、請求項1から請求項12のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記樹脂プールの底面に吐出孔板を配置し、前記吐出孔板に、前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす多数の孔を形成したことを特徴とする。
請求項14記載の本発明は、請求項1から請求項13のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記冷却水槽に振動を与える水面振動付与手段を備えたことを特徴とする。
請求項15記載の本発明は、請求項1から請求項14のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記糸状溶融樹脂が前記冷却水槽内で冷却されて形成される前記編成樹脂を引っかけて引っ張る回転ローラと、前記回転ローラの回転速度を変更する速度変更手段とを備えたことを特徴とする。
請求項16記載の本発明は、請求項15に記載の編成樹脂の製造装置において、前記回転ローラとして、前記編成樹脂を下方に引っ張る第1の前記回転ローラと、前記編成樹脂の浮き上がりを抑えて前記冷却水槽の一方から他方に前記編成樹脂を移動させる第2の前記回転ローラとを備えたことを特徴とする。
請求項17記載の本発明は、請求項1から請求項16のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記冷却水槽内の前記冷却水の水面高さを変更する水面変更手段を備えたことを特徴とする。
請求項18記載の本発明は、請求項1から請求項17のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置において、前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす前記孔の径、密度、及び単位面積当たりの数の内の少なくともいずれかを、前記樹脂プールの外周部と前記樹脂プールの内周部とで異ならせたことを特徴とする。
請求項19記載の本発明の編成樹脂の製造方法は、請求項1から請求項18のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置を用いた編成樹脂の製造方法であって、前記樹脂プールとして、少なくとも第1の前記樹脂プールと第2の前記樹脂プールとを有し、第1の前記樹脂プールと第2の前記樹脂プールとは、前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす前記孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかが異なり、第1の前記樹脂プールに代えて第2の前記樹脂プールを取り付けることで、前記糸状溶融樹脂の太さ及び密度の少なくともいずれかを異ならせ、前記編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、及び形態の少なくともいずれかを異ならせることを特徴とする。
請求項20記載の本発明の編成樹脂の製造方法は、請求項1から請求項18のいずれかに記載の編成樹脂の製造装置を用いた編成樹脂の製造方法であって、前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかが異なる、複数の吐出孔板を有し、前記吐出孔板を取り替えることで、前記糸状溶融樹脂の太さ及び密度の少なくともいずれかを異ならせ、前記編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、及び形態の少なくともいずれかを異ならせることを特徴とする。
請求項21記載の本発明の編成樹脂の製造方法は、押出機から溶融樹脂を押し出す押出工程と、前記押出機から押し出された前記溶融樹脂を樹脂プールにて受け、前記樹脂プールの底面の多数の孔から前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす糸状工程と、前記樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂を成形誘導ローラにて冷却水に導く成形工程とを有する編成樹脂の製造方法であって、前記成形誘導ローラの表面に、水膜を形成するように粗面処理又は親水性処理を施し、前記成形誘導ローラの一部を前記冷却水中に位置させ、前記成形誘導ローラの表面には、前記成形誘導ローラの回転によって前記冷却水を付着させたことを特徴とする。
請求項22記載の本発明は、請求項21に記載の編成樹脂の製造方法において、前記樹脂プールとして少なくとも第1のプール室と第2のプール室とを有し、第1の前記プール室に導く前記溶融樹脂と、第2の前記プール室に導く前記溶融樹脂とを異なる成分としたことを特徴とする。
請求項23記載の本発明は、請求項21又は請求項22に記載の編成樹脂の製造方法において、第1の前記プール室と、第2の前記プール室とを、別々に温度を調整することを特徴とする。
請求項24記載の本発明は、請求項21から請求項23のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法において、前記樹脂プールの高さを変更することを特徴とする。
請求項25記載の本発明は、請求項21から請求項24のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法において、前記成形誘導ローラの位置を変更することを特徴とする。
請求項26記載の本発明は、請求項21から請求項25のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法において、前記成形誘導ローラの間隔を変更することを特徴とする。
請求項27記載の本発明は、請求項21から請求項26のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法において、前記成形誘導ローラの回転速度を変更することを特徴とする。
請求項28記載の本発明は、請求項21から請求項27のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法において、前記冷却水槽に振動を与えることを特徴とする。
請求項29記載の本発明は、請求項21から請求項28のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法において、前記冷却水槽内で冷却されて形成される前記編成樹脂を引っかけて引っ張る速度を変更することを特徴とする。
請求項30記載の本発明は、請求項21から請求項29のいずれかに記載の編成樹脂の製造方法において、前記冷却水槽内の前記冷却水の水面高さを変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の編成樹脂の製造装置によれば、樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂の太さ又は密度を異ならせることができ、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成することができる。
本発明の編成樹脂の製造方法によれば、編成樹脂の密度を異ならせ、又は編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、若しくは形態を異ならせることを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による編成樹脂の製造装置の構成図
図2】同編成樹脂の製造装置に適用できる樹脂プールの実施例を示す構成図
図3】同編成樹脂の製造装置に適用できる樹脂プールの他の実施例を示す構成図
図4】同編成樹脂の製造装置に適用できる樹脂プールの更に他の実施例を示す構成図
図5】同編成樹脂の製造方法の初期工程を示す概念図
図6】同編成樹脂の製造方法の初期工程を示す概念図
図7】同編成樹脂の製造方法の初期工程を示す概念図
図8】同編成樹脂の製造方法の初期工程を示す概念図
図9】本発明の編成樹脂の製造装置に適用できる成形誘導ローラの実施例を示す構成図
図10】本発明の編成樹脂の製造装置に適用できる成形誘導ローラの他の実施例を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による編成樹脂の製造装置は、前記成形誘導ローラの一部を前記冷却水中に位置させ、成形誘導ローラの表面に、水膜を形成するように粗面処理又は親水性処理を施したものである。本実施の形態によれば、成形誘導ローラには、冷却水が付着するため、溶融樹脂が成形誘導ローラに付着することがない。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による編成樹脂の製造装置において、成形誘導ローラの高さを変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたものである。本実施の形態によれば、樹脂プールから成形誘導ローラまでの距離を変更することで、溶融樹脂の太さ又は密度が変わるため、形成される編成樹脂の硬さ又は網目の大きさを変えることができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による編成樹脂の製造装置において、一対の前記成形誘導ローラの間隔を変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたものである。本実施の形態によれば、成形誘導ローラに接した後に冷却水槽に導かれる外周部の溶融樹脂は、成形誘導ローラに接することなく冷却水槽に導かれる内周部の溶融樹脂に比べて密度が高くなるため、成形誘導ローラの間隔を変更することで、溶融樹脂の外周部と内周部との厚さや密度を変更することができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態による編成樹脂の製造装置において、成形誘導ローラの回転速度を変更する成形誘導ローラ制御手段を備えたものである。本実施の形態によれば、成形誘導ローラの回転速度を変更することで、糸状溶融樹脂の絡み合いを変更できる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態による編成樹脂の製造装置において、成形誘導ローラを水平方向に移動する成形誘導ローラ制御手段を備えたものである。本実施の形態によれば、成形誘導ローラに接する糸状溶融樹脂の量を変更できる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、成形誘導ローラの表面に凹凸を形成したものである。本実施の形態によれば、編成樹脂の表面に凹凸を形成することができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第1から第6のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、樹脂プールを複数段設け、最下段の樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂を冷却水で冷却して編成樹脂を形成するものである。本実施の形態によれば、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成しやすい。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第1から第7のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、樹脂プールとして少なくとも第1のプール室と第2のプール室とを有し、溶融樹脂を糸状に流れ落とす孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかを、第1のプール室と第2のプール室とで異ならせたものである。本実施の形態によれば、第1のプール室から流れ落ちる糸状溶融樹脂と、第2のプール室から流れ落ちる糸状溶融樹脂との太さ又は密度を異ならせることができ、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成することができる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第8の実施の形態による編成樹脂の製造装置において、樹脂プール内を、仕切板によって区画することで第1のプール室と第2のプール室とを形成したものである。本実施の形態によれば、第1のプール室と第2のプール室を容易に形成でき、仕切板の位置を変更することで第1のプール室と第2のプール室の大きさを変更することもできる。
【0018】
本発明の第10の実施の形態は、第8又は第9の実施の形態による編成樹脂の製造装置において、第1のプール室には第1の押出機を配置し、第2のプール室には第2の押出機を配置し、第1の押出機から押し出す第1の溶融樹脂と、第2の押出機から押し出す第2の溶融樹脂とを、異なる成分としたものである。本実施の形態によれば、素材の異なる複数層の編成樹脂を形成することができる。
【0019】
本発明の第11の実施の形態は、第8から第10のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、第1のプール室と、第2のプール室とを、別々に温度調整できるものである。本実施の形態によれば、溶融温度を異ならせることによって底面の孔から流れ落ちる溶融樹脂の太さ又は密度が変わるため、溶融樹脂の硬さ又は網目の大きさの異なる複数層の編成樹脂を形成することができる。
【0020】
本発明の第12の実施の形態は、第1から第11のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、樹脂プールの高さを変更する樹脂プール移動手段を備えたものである。本実施の形態によれば、樹脂プールから水面までの距離を変更することで、溶融樹脂の太さ又は密度が変わるため、形成される編成樹脂の硬さ又は網目の大きさを変えることができる。
【0021】
本発明の第13の実施の形態は、第1から第12のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、樹脂プールの底面に吐出孔板を配置し、吐出孔板に、溶融樹脂を糸状に流れ落とす多数の孔を形成したものである。本実施の形態によれば、吐出孔板を取り替えることで、孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかを容易に変更することができる。
【0022】
本発明の第14の実施の形態は、第1から第13のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、冷却水槽に振動を与える水面振動付与手段を備えたものである。本実施の形態によれば、水面が振動することで、糸状溶融樹脂同士の密着度の強弱が生じ、ランダムな絡まりによる通気性や弾性を付与することができる。
【0023】
本発明の第15の実施の形態は、第1から第14のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、糸状溶融樹脂が冷却水槽内で冷却されて形成される編成樹脂を引っかけて引っ張る回転ローラと、回転ローラの回転速度を変更する速度変更手段とを備えたものである。本実施の形態によれば、冷却水槽内での編成樹脂の冷却時間を変更することができる。
【0024】
本発明の第16の実施の形態は、第15の実施の形態による編成樹脂の製造装置において、回転ローラとして、編成樹脂を下方に引っ張る第1の回転ローラと、編成樹脂の浮き上がりを抑えて冷却水槽の一方から他方に編成樹脂を移動させる第2の回転ローラとを備えたものである。本実施の形態によれば、第1の回転ローラで冷却水中に引き込むことができるとともに、第2の回転ローラで冷却水からの浮き上がりを抑え、編成樹脂の冷却を確実に行うことができる。
【0025】
本発明の第17の実施の形態は、第1から第16のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、冷却水槽内の冷却水の水面高さを変更する水面変更手段を備えたものである。本実施の形態によれば、樹脂プールから水面までの距離を変更できることで、溶融樹脂の太さ又は密度が変わるため、形成される編成樹脂の硬さ又は網目の大きさを変えることができる。
【0026】
本発明の第18の実施の形態は、第1から第17のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、溶融樹脂を糸状に流れ落とす孔の径、密度、及び単位面積当たりの数の内の少なくともいずれかを、樹脂プールの外周部と樹脂プールの内周部とで異ならせたものである。本実施の形態によれば、樹脂プールの外周部から流れ落ちる糸状溶融樹脂と、樹脂プールの内周部から流れ落ちる糸状溶融樹脂との太さ又は密度を異ならせることができ、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成することができる。
【0027】
本発明の第19の実施の形態による編成樹脂の製造方法は、第1から第18のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、樹脂プールとして、少なくとも第1の樹脂プールと第2の樹脂プールとを有し、第1の樹脂プールと第2の樹脂プールとは、溶融樹脂を糸状に流れ落とす孔の径、密度、単位面積当たりの数、及び配置の内の少なくともいずれかが異なり、第1の樹脂プールに代えて第2の樹脂プールを取り付けることで、糸状溶融樹脂の太さ及び密度の少なくともいずれかを異ならせ、編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、及び形態の少なくともいずれかを異ならせるものである。本実施の形態によれば、樹脂プールを取り替えることで、溶融樹脂の太さ又は密度を異ならせ、又は編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、若しくは形態を異ならせることができる。
【0028】
本発明の第20の実施の形態による編成樹脂の製造方法は、第1から第18のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造装置において、前記溶融樹脂を糸状に流れ落とす前記孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかが異なる、複数の吐出孔板を有し、前記吐出孔板を取り替えることで、糸状溶融樹脂の太さ及び密度の少なくともいずれかを異ならせ、前記編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、及び形態の少なくともいずれかを異ならせるものである。本実施の形態によれば、吐出孔板を取り替えることで、溶融樹脂の太さ若しくは密度を異ならせ、又は編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、若しくは形態を異ならせることができる。
【0029】
本発明の第21の実施の形態による編成樹脂の製造方法は、成形誘導ローラの表面に、水膜を形成するように粗面処理又は親水性処理を施し、前記成形誘導ローラの一部を前記冷却水中に位置させ、前記成形誘導ローラの表面には、前記成形誘導ローラの回転によって前記冷却水を付着させたものである。本実施の形態によれば、成形誘導ローラには、溶融樹脂が成形誘導ローラに付着することがない。
【0030】
本発明の第22の実施の形態は、第21の実施の形態による編成樹脂の製造方法において、樹脂プールとして少なくとも第1のプール室と第2のプール室とを有し、第1のプール室に導く溶融樹脂と、第2のプール室に導く溶融樹脂とを異なる成分としたものである。本実施の形態によれば、素材の異なる複数層の編成樹脂を形成することができる。
【0031】
本発明の第23の実施の形態は、第21又は第22の実施の形態による編成樹脂の製造方法において、第1のプール室と、第2のプール室とを、別々に温度を調整するものである。本実施の形態によれば、溶融温度によって底面の孔から流れ落ちる溶融樹脂の太さ又は密度が変わるため、溶融樹脂の硬さ又は網目の大きさの異なる複数層の編成樹脂を形成することができる。
【0032】
本発明の第24の実施の形態は、第21から第23のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造方法において、樹脂プールの高さを変更するものである。本実施の形態によれば、樹脂プールから水面までの距離を変更することで、溶融樹脂の太さ又は密度が変わるため、形成される編成樹脂の硬さ又は網目の大きさを変えることができる。
【0033】
本発明の第25の実施の形態は、第21から第24のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造方法において、成形誘導ローラの位置を変更するものである。本実施の形態によれば、成形誘導ローラを樹脂プールに対して前後左右に位置を変更することで、成形誘導ローラに接する糸状溶融樹脂の本数を変更でき、また成形誘導ローラと樹脂プールとの距離、又は成形誘導ローラと水面との距離を変更することで、溶融樹脂の太さ又は密度を変えることができる。
【0034】
本発明の第26の実施の形態は、第21から第25のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造方法において、成形誘導ローラの間隔を変更するものである。本実施の形態によれば、成形誘導ローラの間隔を変更することで、溶融樹脂の外周部と内周部との厚さや密度を変更することができる。
【0035】
本発明の第27の実施の形態は、第21から第26のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造方法において、成形誘導ローラの回転速度を変更するものである。本実施の形態によれば、成形誘導ローラの回転速度を変更することで、糸状溶融樹脂の絡み合いを変更できる。
【0036】
本発明の第28の実施の形態は、第21から第27のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造方法において、冷却水槽に振動を与えるものである。本実施の形態によれば、水面が振動することで、糸状溶融樹脂同士の密着度の強弱が生じ、ランダムな絡まりによる通気性や弾性を付与することができる。
【0037】
本発明の第29の実施の形態は、第21から第28のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造方法において、冷却水槽内で冷却されて形成される編成樹脂を引っかけて引っ張る速度を変更するものである。本実施の形態によれば、冷却水槽内での編成樹脂の冷却時間を変更することができる。
【0038】
本発明の第30の実施の形態は、第21から第29のいずれかの実施の形態による編成樹脂の製造方法において、冷却水槽内の冷却水の水面高さを変更するものである。本実施の形態によれば、樹脂プールから水面までの距離を変更できることで、溶融樹脂の太さ又は密度が変わるため、形成される編成樹脂の硬さ又は網目の大きさを変えることができる。
【実施例】
【0039】
以下本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。
図1(a)は本発明の一実施例による編成樹脂の製造装置の構成図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線から見た構成図を示している。
本実施例による編成樹脂の製造装置は、溶融樹脂を押し出す押出機20と、押出機20から押し出された溶融樹脂を受けて底面31の多数の孔から溶融樹脂を糸状に流れ落とす樹脂プール30と、樹脂プール30から流れ落ちる糸状の溶融樹脂(以下、糸状溶融樹脂)11を受けて冷却水に導く成形誘導ローラ40と、冷却水を貯留する冷却水槽50とを備えている。
【0040】
糸状溶融樹脂11は、樹脂プール30の底面31の孔から流れ落ちるときに形成される。
冷却水槽50は、糸状溶融樹脂11が冷却水槽50内で冷却されて形成される編成樹脂12を引っかけて引っ張る回転ローラ60を備えている。
【0041】
押出機20は、熱可塑性樹脂を所定温度で溶融混練して溶融樹脂とし、所定の押し出し速度で溶融樹脂を樹脂プール30に押し出す。ここで熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂などを、単独で又は複数混合したものが用いられる。なお、原料とする熱可塑性樹脂は、使用済みで回収された包装容器や農業用ビニールを再利用できる。
【0042】
成形誘導ローラ40は、成形誘導ローラ40の一部を冷却水中に位置させることで、成形誘導ローラ40には、冷却水を付着させている。回転によって、成形誘導ローラ40の円筒面には冷却水が常に付着しているため、溶融樹脂が成形誘導ローラ40に付着することがない。なお、成形誘導ローラ40の表面は、水膜を形成するように粗面処理されていることが好ましい。粗面は、例えばサンドブラストで形成することができる。また、成形誘導ローラ40の表面に親水性処理を施してもよい。
本実施例では、一対の成形誘導ローラ40を対向して配置し、一対の成形誘導ローラ40の間に溶融樹脂を糸状に流れ落としている。
【0043】
成形誘導ローラ40は、成形誘導ローラ制御手段72によって高さを変更できる。樹脂プール30から成形誘導ローラ40までの距離を変更することで、溶融樹脂の太さ又は密度が変わるため、形成される編成樹脂の硬さ又は網目の大きさを変えることができる。
また、一対の成形誘導ローラ40は、成形誘導ローラ制御手段72によって間隔を変更できる。成形誘導ローラ40に接した後に冷却水槽50に導かれる外周部の溶融樹脂は、成形誘導ローラ40に接することなく冷却水槽50に導かれる内周部の溶融樹脂に比べて密度が高くなるため、一対の成形誘導ローラ40の間隔を変更することで、溶融樹脂の外周部と内周部との厚さや密度を変更することができる。
また、成形誘導ローラ40は、成形誘導ローラ制御手段72によって回転速度を変更できる。成形誘導ローラ40の回転速度を変更することで、糸状溶融樹脂11の絡み合いを変更できる。
また、成形誘導ローラ40は、成形誘導ローラ制御手段72によって水平方向に移動でき、前後左右に位置を変更することができる。水平方向に成形誘導ローラ40を移動することで、成形誘導ローラ40に接する糸状溶融樹脂の量を変更できる。
【0044】
回転ローラ60としては、編成樹脂12を下方に引っ張る第1の回転ローラ61と、編成樹脂12の浮き上がりを抑えて冷却水槽50の一方から他方に編成樹脂12を移動させる第2の回転ローラ62と、冷却された編成樹脂12を冷却水槽50から引き上げて送出する第3の回転ローラ63と、編成樹脂12を導く回転ローラ64と、滑り板65とを備えている。
【0045】
押出機20から樹脂プール30に押し出された溶融樹脂は、樹脂プール30の底面31の孔から糸状溶融樹脂11となって流れ落ちる。このとき、一部の糸状溶融樹脂11は、成形誘導ローラ40に到達した後に冷却水槽50に導かれ、残りの糸状溶融樹脂11は、成形誘導ローラ40に到達することなく冷却水槽50に導かれる。成形誘導ローラ40に到達した後に冷却水槽50に導かれる糸状溶融樹脂11は、成形誘導ローラ40に到達することなく冷却水槽50に導かれる糸状溶融樹脂11に比べて密度が高くなるため、外周部が内周部に対して密である編成樹脂12を形成することができる。
【0046】
本実施例による編成樹脂の製造装置は、樹脂プール30の高さを変更する樹脂プール移動手段71と、成形誘導ローラ40の位置を変更する成形誘導ローラ制御手段72と、冷却水槽50に振動を与える水面振動付与手段74と、冷却水槽50内の冷却水の水面51高さを変更する水面変更手段75と、回転ローラ60の回転速度を変更する速度変更手段76とを備えている。
【0047】
本実施例による編成樹脂の製造方法は、押出機20から溶融樹脂を押し出す押出工程と、押出機20から押し出された溶融樹脂を樹脂プール30にて受け、樹脂プール30の底面31の多数の孔から溶融樹脂を糸状に流れ落とす糸状工程と、樹脂プール30から流れ落ちる糸状溶融樹脂11を成形誘導ローラ40にて冷却水に導く成形工程とを有する。そして、成形工程では、一部の糸状溶融樹脂11を、成形誘導ローラ40に接した後に冷却水槽50に導き、残りの糸状溶融樹脂11を、成形誘導ローラ40に接することなく冷却水槽50に導く。
【0048】
本実施例による編成樹脂の製造装置は、樹脂プール移動手段71によって、樹脂プール30から水面51までの距離を変更することで、糸状溶融樹脂11の太さ又は密度が変わるため、形成される編成樹脂12の硬さ又は網目の大きさを変えることができる。
【0049】
また、本実施例による編成樹脂の製造装置は、成形誘導ローラ制御手段72によって、成形誘導ローラ40を樹脂プール30に対して前後左右に位置を変更することで、成形誘導ローラ40に到達する糸状溶融樹脂11の本数を変更でき、また成形誘導ローラ40と樹脂プール30との距離、又は成形誘導ローラ40と水面51との距離を変更することで、糸状溶融樹脂11の太さ又は密度を変えることができる。また、成形誘導ローラ40の径方向寸法を変えることで糸状溶融樹脂11の密度を変えることができる。
【0050】
また、本実施例による編成樹脂の製造装置は、水面振動付与手段74によって、水面51が振動することで、糸状溶融樹脂11同士の密着度の強弱が生じ、ランダムな絡まりによる通気性や弾性を付与することができる。
【0051】
また、本実施例による編成樹脂の製造装置は、水面変更手段75によって、成形誘導ローラ40から水面51までの距離を変更できることで、糸状溶融樹脂11の太さ又は密度が変わるため、形成される編成樹脂12の硬さ又は網目の大きさを変えることができる。
【0052】
また、本実施例による編成樹脂の製造装置は、速度変更手段76によって、回転ローラ60の回転速度を変更することで、糸状溶融樹脂11及び編成樹脂12の密度、弾力性及び、冷却水槽50内での編成樹脂12の冷却時間を変更することができる。
【0053】
なお、樹脂プール30と成形誘導ローラ40との間に、円筒や多角筒に形成された恒温用部材90を設けることが好ましい。恒温用部材90は、樹脂プール30から成形誘導ローラ40に至る糸状溶融樹脂11の周りを囲むことで、糸状溶融樹脂11の温度低下を防止する。糸状溶融樹脂11は、樹脂プール30から成形誘導ローラ40に至る間に、例えば風の影響を受けることで冷却される。恒温用部材90は、少なくとも風の流れを遮断することで糸状溶融樹脂11の冷却を防止する。例えばポリエチレンテレフタラート(PET)のように凝固点が高く、水面に至るまでに凝固する可能性のある熱可塑性樹脂を用いる場合に有効である。
【0054】
図2は本発明の編成樹脂の製造装置に適用できる樹脂プールの実施例を示す構成図である。なお、以下の説明において、同一構成部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0055】
図2(a)は第1の樹脂プールの側面構成図と底面とを示し、図2(b)は第2の樹脂プールの側面構成図と底面とを示している。
樹脂プール30として、少なくとも第1の樹脂プール30Aと第2の樹脂プール30Bとを有し、第1の樹脂プール30Aに代えて第2の樹脂プール30Bを取り付けることで、糸状溶融樹脂11の太さ若しくは密度、又は編成樹脂12の硬さ、網目の大きさ、若しくは形態を異ならせることができる。
第1の樹脂プール30Aと第2の樹脂プール30Bとは、底面(孔の径盤)31に形成した孔32A、32Bの径を異ならせたものである。第1の樹脂プール30Aの孔32Aの径に対して、第2の樹脂プール30Bの孔32Bの径を小さくしている。このように、孔32Bの径を孔32Aの径に対して小さくすることで、細い糸状溶融樹脂11とすることができる。なお、孔32A、32Bの径を異ならせるとともに、又は孔32A、32Bの径を異ならせる代わりに、孔32A、32Bの数や配置を異ならせてもよい。また、底面(孔の径盤)31に対する孔32A、32Bの密度を異ならせてもよい。
【0056】
本実施例によれば、樹脂プール30を取り替えることで、糸状溶融樹脂11の太さ若しくは密度を異ならせ、又は編成樹脂12の硬さ、網目の大きさ、若しくは形態を異ならせることができる。なお、樹脂プール30を取り替えることなく、樹脂プール30の底面31だけ、すなわち溶融樹脂を糸状に流れ落とす孔の径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかを異ならせた吐出孔板(孔の径盤)だけを取り替えてもよい。
【0057】
図2(c)は第3の樹脂プールの側面構成図と底面とを示している。
第3の樹脂プール30Cは、樹脂プール30C内を、仕切板33によって第1のプール室34Aと第2のプール室34Bと第3のプール室34Cとに区画している。また、第1のプール室34Aには第1の押出機20Aを配置し、第2のプール室34Bには第2の押出機20Bを配置し、第3のプール室34Cには第3の押出機20Cを配置している。
【0058】
本実施例によれば、樹脂プール30C内を、仕切板33によって少なくとも第1のプール室34Aと第2のプール室34Bとに区画し、第1のプール室34Aには第1の押出機20Aを配置し、第2のプール室34Bには第2の押出機20Bを配置することで、例えばそれぞれの押出機20A、20Bから押し出される糸状溶融樹脂11の成分などを異ならせることができ、複数層の編成樹脂12を形成することができる。
ここで、仕切板33は、移動可能としていることが好ましく、仕切板33の位置を変更することで、第1のプール室34Aと第2のプール室34Bと第3のプール室34Cとの大きさを変更でき、複数層の編成樹脂12のそれぞれの層の厚さを変更できる。
【0059】
図2(d)は第4の樹脂プールの側面構成図と底面とを示している。
第4の樹脂プール30Dは、第1のプール室34A及び第3のプール室34Cの底面31には孔32Aを形成し、第2のプール室34Bの底面31には孔32Bを形成している。既に説明したように、孔32Bの径は孔32Aの径よりも小さくしている。
第4の樹脂プール30Dのように、それぞれのプール室34A、34B、34Cの孔32A、32Bの径を異ならせることで、複数層の編成樹脂12におけるそれぞれの層の糸状溶融樹脂11の太さ又は密度も変更することができる。なお、それぞれのプール室34A、34B、34Cの孔32A、32Bの径、密度、数、及び配置の内の少なくともいずれかを異ならせることで、それぞれのプール室34A、34B、34Cから流れ落ちる糸状溶融樹脂11の太さ又は密度を異ならせることができ、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂12を形成することができる。また、それぞれのプール室34A、34B、34Cを仕切る仕切板33を設けずに用いてもよい。
【0060】
第3の樹脂プール30C、第4の樹脂プール30Dにおいて、第1の押出機20Aから押し出す第1の溶融樹脂と、第2の押出機20Bから押し出す第2の溶融樹脂と、第3の押出機20Cから押し出す第3の溶融樹脂とを、異なる成分とすることで、素材の異なる複数層の編成樹脂12を形成することができる。なお、異なる成分には、含有する顔料の違いによるものを含む。
また、第1のプール室34Aと、第2のプール室34Bと、第3のプール室34Cとを別々に温度調整できるヒータを設け、第1のプール室34Aと、第2のプール室34Bと、第3のプール室34Cとを異なる溶融温度とすることで、底面31の孔32A、32Bから流れ落ちる糸状溶融樹脂11の太さ又は密度が変わるため、糸状溶融樹脂11の太さ又は密度の異なる複数層の編成樹脂12を形成することができる。
【0061】
図2(e)は第5の樹脂プールの側面構成図と底面とを示している。
第5の樹脂プール30Eの底面31に形成した孔32A、32Bの径を、底面31の外周部に位置する孔32Aと内周部に位置する孔32Bとで異ならせている。
第5の樹脂プール30Eによれば、孔32A、32Bの径によって糸状溶融樹脂11の太さ又は密度が変わるため、外周部と内周部で太さ又は密度の異なる編成樹脂12を形成することができる。なお、溶融樹脂を糸状に流れ落とす孔32A、32Bの径、密度、及び単位面積当たりの数の内の少なくともいずれかを、樹脂プール30Eの外周部と内周部とで異ならせることで、樹脂プール30Eの外周部から流れ落ちる糸状溶融樹脂11と、樹脂プール30Eの内周部から流れ落ちる糸状溶融樹脂11との太さ又は密度を異ならせることができ、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂12を形成することができる。
【0062】
図2(f)は第6の樹脂プールの側面構成図と底面とを示している。
第6の樹脂プール30Fでは、底面31の孔32Aの配置を、第5の樹脂プール30Eと異ならせたものである。
底面31の孔32Aの配置によって、異なる硬さ、網目の大きさ、若しくは形態の編成樹脂12を形成することができるため、第5の樹脂プール30Eに代えて第6の樹脂プール30Fを取り付けることで、糸状溶融樹脂11の太さ若しくは密度、又は編成樹脂12の硬さ、網目の大きさ、若しくは形態を異ならせることができる。
なお、第1の樹脂プール30Aや第2の樹脂プール30Bに、複数の押出機20A、20B、20Cを配置することで、第1の樹脂プール30Aや第2の樹脂プール30Bから均一な糸状溶融樹脂11を流れ落とすことができる。例えば幅広の大きな編成樹脂を得るために、第1の樹脂プール30Aや第2の樹脂プール30Bを幅広とした場合に、複数の押出機20A、20B、20Cから溶融樹脂を第1の樹脂プール30Aや第2の樹脂プール30Bに導くことで、幅広の大きな第1の樹脂プール30Aや第2の樹脂プール30Bから、均一な糸状溶融樹脂11を流れ落とすことができる。
【0063】
図3は本発明の編成樹脂の製造装置に適用できる樹脂プールの他の実施例を示す構成図である。なお、以下の説明において、同一構成部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0064】
図3は上段樹脂プール30Gと、下段樹脂プール30Hとを設けた場合を示している。
上段樹脂プール30Gには押出機20を配置している。
下段樹脂プール30Hは、仕切板33によって第1のプール室30HAと第2のプール室30HBと第3のプール室30HCとに区画している。第1のプール室30HAと第2のプール室30HBには底面(孔の径盤)に孔32Aを、第3のプール室30HCには底面(孔の径盤)に孔32Bを形成している。なお、図3では、孔32A、32Bの径を異ならせたものを示しているが、孔32A、32Bの径を異ならせるとともに、又は孔32A、32Bの径を異ならせる代わりに、孔32A、32Bの数や配置を異ならせてもよい。また、底面(孔の径盤)に対する孔32A、32Bの密度を異ならせてもよい。
【0065】
上段樹脂プール30Gの底面には、6本の供給管34A1、34A2、34B1、34B2、34C1、34C2を設けており、供給管34A1、34A2は溶融樹脂を第1のプール室30HAに導き、供給管34B1、34B2は溶融樹脂を第2のプール室30HBに導き、供給管34C1、34C2は溶融樹脂を第3のプール室30HCに導く。
本実施例に示すように、樹脂プール30G、30Hを複数段設けることで、押出機20から押し出された溶融樹脂を、例えば第1のプール室30HAと第2のプール室30HBと第3のプール室30HCのように、下段樹脂プール30Hにおいて複数のプール室30HA、30HB、30HCに分配でき、最下段の樹脂プール30Hから流れ落ちる糸状溶融樹脂11を冷却水で冷却して編成樹脂を形成することで、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成しやすい。
また、例えば第1のプール室30HAには、複数本の供給管34A1、34A2から溶融樹脂を供給することで、第1のプール室30HA全体に均一に溶融樹脂を供給できる。従って、第1のプール室30HAから流れ落ちる糸状溶融樹脂11の均一化を図ることができる。
【0066】
図4は本発明の編成樹脂の製造装置に適用できる樹脂プールの更に他の実施例を示す構成図である。なお、以下の説明において、同一構成部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0067】
図4は上段樹脂プール30Gと、下段樹脂プール30Hとを設け、上段樹脂プール30Gは、仕切板33によって第1のプール室30GAと第2のプール室30GBとに区画している。第1のプール室30GAには第1の押出機20Aを配置し、第2のプール室30GBには第2の押出機20Bを配置している。
【0068】
第1のプール室30GAの底面には、2本の供給管34A、34Bを設けており、供給管34Aは溶融樹脂を第1のプール室30HAに導き、供給管34Bは溶融樹脂を第2のプール室30HBに導く。また、第2のプール室30GBの底面には、供給管34Cを設けており、供給管34Cは溶融樹脂を第3のプール室30HCに導く。
本実施例に示すように、樹脂プール30G、30Hを複数段設けることで、押出機20Aから押し出された溶融樹脂を、例えば第1のプール室30HAと第3のプール室30HCのように、複数のプール室に分配でき、最下段の樹脂プール30Hから流れ落ちる糸状溶融樹脂11を冷却水で冷却して編成樹脂を形成することで、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成しやすい。
【0069】
図5から図8は本発明の一実施例による編成樹脂の製造方法の初期工程を示す概念図である。
【0070】
図5に示すように、製造スタート時には、成形誘導ローラ40の下方にウエイト80を位置させておく。ウエイト80の上面は水面51より上方に位置させておくことが好ましい。
ウエイト80を成形誘導ローラ40の下方に位置させた状態で、押出機20から溶融樹脂を樹脂プール30に押し出す。
樹脂プール30内に押し出された溶融樹脂は、樹脂プール30の底面31の孔から糸状溶融樹脂11となって流れ落ちる。
一部の糸状溶融樹脂11は、成形誘導ローラ40に到達した後に冷却水槽50に導かれ、残りの糸状溶融樹脂11は、成形誘導ローラ40に到達することなく冷却水槽50に導かれる。
このとき、ウエイト80が存在するために、糸状溶融樹脂11はウエイト80に付着する。
【0071】
次に、図6に示すように、糸状溶融樹脂11が付着したウエイト80を冷却水槽50内に沈める。
冷却水槽50内に沈めたウエイト80は、図示しない誘導手段にて図7図8のように移動させる。
図6の状態、又は図7の状態に至った後に、回転ローラ60を回転させる。第1の回転ローラ61で冷却水中に引き込むことができるとともに、第2の回転ローラ62で冷却水からの浮き上がりを抑えることができる。
図8に示す状態の後は、押出機20から溶融樹脂を連続して押し出すことで、糸状溶融樹脂11が流れ落ち、そして編成樹脂12となって冷却水槽50外に連続して導かれる。
【0072】
図9は本発明の編成樹脂の製造装置に適用できる成形誘導ローラの実施例を示す構成図である。なお、成形誘導ローラ以外は、図1に示す構成と同一であるので、図示を省略するとともに、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
図9(a)に示すように、本実施例による成形誘導ローラ40は、一対の成形誘導ローラ40を備えている。
成形誘導ローラ40の表面には、以下に説明するように凹凸が形成されており、この凹凸によって編成樹脂12の表裏面に凹凸が形成される。
【0074】
図9(b)(c)は、第1の実施例による成形誘導ローラ40Aを示している。図9(b)は正面図、図9(c)は側面図である。
第1の実施例による成形誘導ローラ40Aは、円筒状回転体41Aと同軸にリング部42Aを所定間隔開けて複数設けている。リング部42Aは、ビスなどの連結具43Aによって円筒状回転体41Aに取り付けることができる。
第1の実施例による成形誘導ローラ40Aによれば、リング部42Aの凸状によって、編成樹脂12の表裏面には、移動方向に溝が形成される。
【0075】
図9(d)(e)は、第2の実施例による成形誘導ローラ40Bを示している。図9(d)は正面図、図9(e)は側面図である。
第2の実施例による成形誘導ローラ40Bは、円筒状回転体41Bの軸方向に筋部42Bを所定間隔開けて複数設けている。筋部42Bは、ビスなどの連結具43Bによって円筒状回転体41Bに取り付けることができる。
第2の実施例による成形誘導ローラ40Bによれば、筋部42Bの凸状によって、編成樹脂12の表裏面には、移動方向に垂直な方向に溝が形成される。
【0076】
図9(f)(g)は、第3の実施例による成形誘導ローラ40Cを示している。図9(f)は正面図、図9(g)は側面図である。
第3の実施例による成形誘導ローラ40Cは、円筒状回転体41Cの表面に複数の凸部42Cを千鳥状に設けている。凸部42Cの凸状によって、編成樹脂12の表裏面には、凹部が形成される。
【0077】
図9(h)(i)は、第4の実施例による成形誘導ローラ40Dを示している。図9(h)は正面図、図9(i)は側面図である。
第4の実施例による成形誘導ローラ40Dは、円筒状回転体41Dの表面に複数の凹部42Dを千鳥状に設けている。凹部42Dの凹状によって、編成樹脂12の表裏面には、凸部が形成される。
【0078】
図10は本発明の編成樹脂の製造装置に適用できる成形誘導ローラの他の実施例を示す構成図である。なお、成形誘導ローラ以外は、図1に示す構成と同一であるので、図示を省略するとともに、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
図10(a)は、第5の実施例による一対の成形誘導ローラ40Eを示している。一対の成形誘導ローラ40Eは、それぞれ円筒状回転体41Eに矩形凹部形成用アタッチメント42Eを設けている。矩形凹部形成用アタッチメント42Eは、ビスなどの連結具43Eによって円筒状回転体41Eに取り付けることができる。
第5の実施例による成形誘導ローラ40Eによれば、矩形凹部形成用アタッチメント42Eの矩形凹部によって、編成樹脂12の表裏面には、所定間隔ごとに矩形部が形成される。
【0080】
図10(b)は、第6の実施例による一対の成形誘導ローラ40Fを示している。一対の成形誘導ローラ40Fは、それぞれ円筒状回転体41Fに曲面凹部形成用アタッチメント42Fを設けている。曲面凹部形成用アタッチメント42Fは、ビスなどの連結具43Fによって円筒状回転体41Fに取り付けることができる。
第6の実施例による成形誘導ローラ40Fによれば、曲面凹部形成用アタッチメント42Fの曲面凹部によって、編成樹脂12の表裏面には、所定間隔ごとに曲面部が形成される。
なお、成形誘導ローラ40A、40B、40C、40D、40E、40Fの表面は、水膜を形成するように、粗面処理されているか又は親水性処理されていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の編成樹脂の製造装置によれば、樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂の太さ又は密度を異ならせることができ、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成することができる。
【符号の説明】
【0082】
11 糸状溶融樹脂
12 編成樹脂
20 押出機
30 樹脂プール
30A 第1の樹脂プール
30B 第2の樹脂プール
30C 第3の樹脂プール
30D 第4の樹脂プール
30E 第5の樹脂プール
30F 第6の樹脂プール
31 底面
32A、32B 孔
33 仕切板
34A 第1のプール室
34B 第2のプール室
34C 第3のプール室
40 成形誘導ローラ
50 冷却水槽
51 水面
60 回転ローラ
61 第1の回転ローラ
62 第2の回転ローラ
71 樹脂プール移動手段
72 成形誘導ローラ制御手段
74 水面振動付与手段
75 水面変更手段
76 速度変更手段
【要約】
【課題】樹脂プールから流れ落ちる糸状溶融樹脂の太さ又は密度を異ならせることができ、硬さ、密度、形態の少なくともいずれかが部分的に異なる編成樹脂を形成することができる編成樹脂の製造装置を提供し、更には、容易に、溶融樹脂の太さ又は密度を異ならせ、又は編成樹脂の硬さ、網目の大きさ、若しくは形態を異ならせることができる編成樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】溶融樹脂を押し出す押出機20と、押出機20から押し出された溶融樹脂を受けて底面31の多数の孔32A、32Bから溶融樹脂を糸状に流れ落とす樹脂プール30と、樹脂プール30から流れ落ちる糸状溶融樹脂を受けて冷却水に導く成形誘導ローラ40と、冷却水を貯留する冷却水槽50とを備え、樹脂プール30から流れ落ちる糸状溶融樹脂を冷却水で冷却して編成樹脂12を形成し、成形誘導ローラ40の一部を冷却水中に位置させたことを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10