【実施例】
【0026】
以下、製造例、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明を限定するものではない。なお、以下「部」とは重量部を示す。なお、デヒドロアビエチン酸の含有量はガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC−14A)を用いて行った。
【0027】
製造例1
(アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物の製造)
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、オクチルフェノール1,000部、92%パラホルムアルデヒド396部、キシレン584部および水500部を仕込み、攪拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃まで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型オクチルフェノールの70重量%キシレン溶液を得た。
【0028】
製造例2
(アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物の製造)
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、オクチルフェノール800部、ブチルフェノール200部、92%パラホルムアルデヒド425部、キシレン596部および水500部を仕込み、攪拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃まで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型オクチル/ブチルフェノールの70重量%キシレン溶液を得た。
【0029】
実施例1
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例A)
攪拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、ガムロジン(デヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)970部および不均化ロジン(デヒドロアビエチン酸を68.8%含有する。)30部を仕込み(混合物中にデヒドロアビエチン酸を5.1%含有する。)、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、ペンタエリスリトール93部および水酸化マグネシウム3部を添加し、攪拌下に280℃まで昇温し、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、製造例1のレゾール型オクチルフェノールの70重量%キシレン溶液857部(固形分600部)を230〜260℃の温度範囲内で9時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が10Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧して内容物を取り出した。こうして得られたロジン変性フェノール樹脂の酸価は20.3mgKOH/g、軟化点は175℃、重量平均分子量は112,000、重量平均分子量が200〜400の成分の含有量は2.6%であった。なお、33重量%アマニ油粘度とは、樹脂とアマニ油を1対2重量比で加熱混合したものを、日本レオロジー(株)製コーン・アンド・プレート型粘度計を用いて25℃で測定した粘度をいう(以下、同様)。また、酸価と軟化点はJIS K5601に準じて測定したものである(以下、同様)。また、重量平均分子量はゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)および東ソー(株)製TSK−GELカラムを用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒下で測定したポリスチレン換算によるものをいう(以下、同様)。
【0030】
実施例2
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例B)
実施例1と同様の反応容器に、ガムロジン(デヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)900部および不均化ロジン(デヒドロアビエチン酸を68.8%含有する。)100部を仕込み(混合物中にデヒドロアビエチン酸を9.7%含有する。)、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、ペンタエリスリトール93部および水酸化マグネシウム3部を添加し、攪拌下に280℃まで昇温し、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、製造例1のレゾール型オクチルフェノールの70重量%キシレン溶液857部(固形分600部)を230〜260℃の温度範囲内で9時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が10Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧して内容物を取り出した。こうして得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0031】
実施例3
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例C)
実施例1と同様の反応容器に、ガムロジン(デヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)750部および不均化ロジン(デヒドロアビエチン酸を68.8%含有する。)250部を仕込み(混合物中にデヒドロアビエチン酸を19.5%含有する。)、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、ペンタエリスリトール93部および水酸化マグネシウム3部を添加し、攪拌下に280℃まで昇温し、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、製造例1のレゾール型オクチルフェノールの70重量%キシレン溶液857部(固形分600部)を230〜260℃の温度範囲内で9時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が10Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧して内容物を取り出した。こうして得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0032】
実施例4
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例D)
実施例1と同様の反応容器に、ガムロジン(デヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)950部およびデヒドロアビエチン酸50部を仕込み(混合物中にデヒドロアビエチン酸を7.9%含有する。)、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、ペンタエリスリトール93部および水酸化マグネシウム3部を添加し、攪拌下に280℃まで昇温し、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、製造例1のレゾール型オクチルフェノールの70重量%キシレン溶液857部(固形分600部)を230〜260℃の温度範囲内で9時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が10Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧して内容物を取り出した。こうして得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0033】
実施例5
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例E)
実施例1と同様の反応容器に、ガムロジン(デヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)950部およびデヒドロアビエチン酸50部を仕込み(混合物中にデヒドロアビエチン酸を7.9%含有する。)、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、グリセリン84部および酸化亜鉛7部を添加し、攪拌下に280℃まで昇温し、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応させた。更に230℃まで冷却した後、製造例2のレゾール型オクチルフェノールの70重量%キシレン溶液857部(固形分600部)を230〜260℃の温度範囲内で9時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が10Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧して内容物を取り出した。こうして得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0034】
実施例6
(ロジン変性フェノール樹脂の製造例F)
実施例1と同様の反応容器に、ガムロジン(デヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)950部およびデヒドロアビエチン酸50部を仕込み(混合物中にデヒドロアビエチン酸を7.9%含有する。)、これを窒素雰囲気下に攪拌しながら180℃まで昇温して溶融させた。次いで、ペンタエリスリトール103部を添加し、攪拌下に250℃まで昇温し、1時間保温した。保温後、トリフェニルホスファイト2部を仕込み、280℃まで昇温し、酸価が25mgKOH/g以下となるまで反応した。更に230℃まで冷却した後、製造例1のレゾール型オクチルフェノールの70重量%キシレン溶液857部(固形分600部)を240〜270℃の温度範囲内で9時間かけて系内へ滴下した。滴下終了後、33重量%アマニ油粘度が10Pa・sとなるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧して内容物を取り出した。こうして得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0035】
比較例1
実施例1において、不均化ロジンを使用せず、ガムロジンのみ1,000部使用してロジン変性フェノール樹脂を調製した(成分(a)中にデヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)。得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0036】
比較例2
実施例4において、ガムロジン(デヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)を810部、デヒドロアビエチン酸を190部に変更してロジン変性フェノール樹脂を調製した(成分(a)中にデヒドロアビエチン酸を21.5%含有する。)。得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0037】
比較例3
実施例5において、酸化亜鉛を水酸化カルシウムに変更してロジン変性フェノール樹脂を調製した(成分(a)中にデヒドロアビエチン酸を7.9%含有する。)。得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0038】
比較例4
実施例6において、トリフェニルホスファイトの仕込み量を2部から3部に変更してロジン変性フェノール樹脂を調製した(成分(a)中にデヒドロアビエチン酸を7.9%含有する。)。得られたロジン変性フェノール樹脂中に不溶物が発生していた。
【0039】
比較例5
実施例4において、280℃での保温時に酸価が15mgKOH/g以下となるまで反応する以外は実施例4と同様にしてロジン変性フェノール樹脂を調製した(成分(a)中にデヒドロアビエチン酸を7.9%含有する。)。得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0040】
比較例6
実施例4において、280℃での保温時に酸価が30mgKOH/gとなるまで反応する以外は実施例4と同様にしてロジン変性フェノール樹脂を調製した(成分(a)中にデヒドロアビエチン酸を7.9%含有する。)。得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0041】
比較例7
比較例1において、無水マレイン酸を20部添加してロジン変性フェノール樹脂を調製した(成分(a)中にデヒドロアビエチン酸を3.1%含有する。)。得られたロジン変性フェノール樹脂の物性を表1に示す。
【0042】
以上、実施例および比較例で得られた樹脂物性を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
(ワニスの調製)
各実施例および比較例で得られた樹脂を45.0部、アマニ油10.0部、及びAFソルベント7号(新日本石油(株)製、非芳香族石油系溶剤)44.3部を200℃で30分間混合溶解した。次にこれを80℃まで冷却した後、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート(商品名ケロープEP−2、ホープ製薬(株)製)0.7部を加え、200℃まで加熱して1時間ゲル化反応させ、ゲルワニスを得た。なお、比較例4の樹脂を用いたゲルワニスは弾性が強く、反応容器からの取り出しが困難であった。
【0045】
(印刷インキの調製)
前記実施例および比較例のゲルワニスを用い、次の配合割合で3本ロールミルにより練肉して印刷インキを調製した。
フタロシアニンブルー(藍顔料) 18重量部
前記ゲルワニス 62〜70重量部
日石AFソルベント7号 12〜20重量部
上記配合に基づいて30℃、400rpmにおけるインコメーターのタック値が6.5±0.5、25℃におけるスプレッドメーターのフロー値(直径値)が38.0±1.0となるよう適宜調製した。
【0046】
(印刷インキの性能試験)
前記ゲルワニスを用いて調製した印刷インキの性能を下記試験により評価した。結果を表2に示す。
(光沢)
インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、23℃、50%R.H.にて24時間調湿し、60゜−60゜の反射率を光沢計により測定した。
(ミスチング)
インキ2.6mlをインコメーター((株)東洋精機製作所製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間、更に1800rpmで2分間回転させ、ロール直下に置いた白色紙上へのインキの飛散度を観察して1〜5段階で評価を行なった。ミスチングは数値が大きいほどミスト量が少なく、良好であることを示す。
(乾燥性)
インキ0.4mlをRIテスター(石川島産業機械(株)製)にてアート紙に展色した後、160℃の雰囲気中に2秒、4秒、6秒間それぞれ暴露し、指触によりべたつきのない状態を乾燥として判断した。1〜5段階で評価を行い、数値が小さいほど乾燥性が良好であることを示す。
(乳化率)
インキ3.9mlを動的乳化試験機(日本レオロジー機器(株)製)上に展開し、ロール温度30℃、200rpmにて純水を5ml/分の速度で供給、このインキ中の水分量を赤外水分計により測定した。
(流動性)
25℃に空調された室内において、インキ1.3mlを地平面と60゜の角度をなすガラス板の上端に置き、30分間に流動した距離を測定した。数値が大きいほど流動性が良好であることを示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2の結果より、本発明のロジン変性フェノール樹脂を使用した印刷インキ(実施例1〜6)は、デヒドロアビエチン酸の含有量を本発明において指定する使用量範囲とすることで、指定範囲外の印刷インキ(比較例1、2)と比較して光沢や流動性を損なわずに優れた耐ミスチング性を有していることが分かる。また、重量平均分子量を本発明において指定する範囲とすることで、指定範囲外の印刷インキ(比較例3、4)と比較して優れた耐ミスチング性、流動性を有しており、更にゲルワニス製造時のハンドリング性が良好である。また、重量平均分子量が200〜400の成分の含有量を本発明において指定する範囲とすることで、指定範囲外の印刷インキ(比較例5、6)と比較して優れた耐ミスチング性、流動性、乳化性を有していることが分かる。また、デヒドロアビエチン酸を使用せず、二塩基酸を反応させて高分子量化したロジン変性フェノール樹脂を用いた印刷インキ(比較例7)は、耐ミスチング性が優れているものの、光沢、乳化性、流動性が劣っていた。