(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、回胴遊技機または弾球遊技機などの遊技機において、遊技者に対して自己の存在をアピールするために、光源を用いた装飾装置が備えられている。特に、遊技施設では、回胴遊技機が設置されている場所の周辺では、遊技者が回転する発光ドラムの絵柄を視認し易いように、室内照明が暗めに、例えば、遊技施設の通常の室内照明の照度の約1/2の照度となるように調光されている。
また、遊技機の演出に用いられる、臨場感のある効果音を出力するために、遊技機は1個または複数の音響スピーカを備えていることもある。そしてそのような音響スピーカは、遊技者が効果音を聞き易いように、遊技機の外枠の意匠面の前面、特に、その意匠面の上方に設けられる。そのため、音響スピーカは、遊技者にとって視認し易い位置に配置されていることが多い。
【0003】
そこで、遊技機に設けられた音響スピーカの一部、または音響スピーカの周囲を発光ダイオード(LED)などの光源を用いて照明して、遊技者の興味を引き易いようにした遊技機が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されたスピーカ装置では、スピーカ本体の前面側に取り付けられるケース部に装飾用のLEDを有する照明部が設けられ、そのLEDから出力される可視光がスピーカのセンタキャップまたはコーンで反射して遊技者に向けて照射されるようになっている。
【0005】
また、特許文献2に開示されたスピーカーユニットは、音波を発生する振動体と、振動体を内包するとともに振動体を振動させる磁気回路部の装着部を形成したフレームを備える。そしてフレームでは、振動体の外方に位置する周縁部及び振動体が光透過性樹脂により形成され、フレームの後方に位置する発光手段からの光がフレームの周縁部及び振動体を透過するように構成される。
【0006】
さらに、スピーカとともに光源を用いる装飾装置として、例えば、ラジオカセットプレーヤーなどに設けられるスピーカの周囲に円環状の導光体を配設し、その導光体に、LEDなどの光源からの光を入射させ、導光体からスピーカの音声出力方向へ向けてその光を出射させるようにした発光装置が提案されている(特許文献3を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された技術では、コーンを照明するためのLEDがスピーカ本体の前面においてコーンの前に突出するように配置されているので、スピーカ本体のコーンから発せられた音の一部がLEDで反射され、その結果としてスピーカから発せられる音の質が低下してしまう。また、LEDから発せられる光は、比較的高い指向性を有するので、コーンまたはセンタキャップの照明ムラが生じてしまい、その結果として高い装飾効果が得られないおそれがあった。
【0009】
また、特許文献2に開示された技術では、光源がスピーカの後方に配置されているので、光源からの光がスピーカ本体の部材により遮られ、コーン全体をムラ無く照明することはできない。また、フレームの周縁部などに光を乱反射させるための加工が施されると、光源からの光のうち、スピーカの前面へ向けて透過する光の割合が減少する。そのため、装飾効果を高めるためには、光源の数を多くするか、高輝度の光源を用いることになるので、光源の消費電力が大きくなってしまう。
【0010】
さらに、特許文献3に開示された技術では、導光体全体から輝度のムラがないように光を出射させることはできるものの、スピーカ自体は照明されないので、遊技者から見て発光するのはスピーカの周囲だけであり、そのため、高い装飾効果が得られないおそれがあった。
【0011】
そこで、本発明は、スピーカの振動体のような遊技者側を向いた部材をムラ無く照明することで装飾効果を高めることが可能な装飾装置を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一つの形態として、遊技機が提供される。この遊技機は、遊技機本体と、遊技機本体の遊技者と対向する側の面に設けられた装飾装置とを有する。装飾装置は、指向性を有する光を放射する少なくとも一つの光源と、光源からの光を拡散反射させる拡散反射面を持つ拡散部材と、拡散反射面の前方において拡散部材の周囲に配置される導光部材とを有する。導光部材は、少なくとも一つの光源とそれぞれ対向する少なくとも一つの入射面と、導光部材の拡散部材に面した端面とを有し、入射面を介して入射した光源からの光を導光部材の内部で拡がるよう伝播させることにより、光源からの光を入射面よりも拡散部材に面した端面の広い範囲から拡散反射面へ向けて出射させる。
【0013】
この装飾装置において、拡散部材はスピーカの振動板であり、拡散反射面は振動板の音を放射する側の面であることが好ましい。
【0014】
またこの装飾装置において、導光部材は、入射面を介して光源と対向する位置に設けられ、光源からの光を導光部材の外周の入射面を中心として互いに異なる側へ向けて反射する第1及び第2の反射面と、導光部材の外周に設けられ、第1の反射面または第2の反射面にて反射された光を全反射させて導光部材の端面へ向ける第3の反射面とを有することが好ましい。
【0015】
さらにこの装飾装置において、導光部材は、その導光部材の前面側に設けられた出射面をさらに有し、導光部材の拡散部材に面した端面は、導光部材内からその端面に達した光の一部を屈折させて拡散反射面へ向けて出射させるとともに、その端面に達した光の他の一部を反射して出射面から出射させるように、導光部材の前面に近づくほど導光部材の内径が小さくなるようにテーパ状に形成されることが好ましい。
【0016】
また装飾装置は、拡散反射面の前面に配置されたカバーをさらに有し、そのカバーは、光透過性部材により形成され、かつ、カバーよりも前面側から拡散反射面を直接視認可能な複数の孔が設けられ、複数の孔の周囲の少なくとも一部において、拡散反射面で拡散反射された光をさらに拡散させることが好ましい。
【0017】
さらに、装飾装置の少なくとも一つの光源は、発光色の異なる複数の発光素子を有することが好ましい。この場合において、遊技機は、遊技機における遊技状態に応じて、複数の発光素子のうちの少なくとも何れかの発光素子を点灯させることで、少なくとも一つの光源から発する光の色を変える制御回路をさらに有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る遊技機は、スピーカの振動体のような遊技者側を向いた部材をムラ無く光らせて装飾効果を高めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一つの実施形態による装飾装置を備えた遊技機を、図を参照しつつ説明する。この遊技機は、スピーカ本体の周囲に設けられた光源からの光を、スピーカ本体の周囲に設けられた導光部材により拡げるとともに、導光部材は、その光の一部をスピーカのコーンへ向けて出射させるとともに、その光の他の一部を遊技者側へ向けて出射させる装飾装置を有する。これにより、この遊技機は、コーン全体をムラ無く照明可能とするとともに、スピーカ本体の周囲を発光させて装飾効果を高める。
【0021】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る装飾装置を備えた弾球遊技機を遊技者側から見た、その弾球遊技機の概略斜視図である。また
図2は、
図1に示された弾球遊技機1の概略背面図である。弾球遊技機1は、上部から中央部の大部分の領域に設けられた遊技盤2と、下部に配設された玉受け部3及び操作部4と、遊技盤2の外周に配置され、遊技盤2とともに遊技機本体を構成する外枠5と、装飾装置6と、制御回路7と、電源回路8とを有する。さらに弾球遊技機1は、一時的に遊技球を貯留し、制御回路7からの制御信号に応じて所定数の遊技球を玉受け部3へ払い出す玉払い出し装置(図示せず)を有する。
【0022】
操作部4は、遊技者の操作に応じて、操作部4の回動量に応じて図示しない発射装置より所定の力で遊技球を発射する。発射された遊技球は、遊技盤2の側方に設けられたレール21に沿って上方へ移動し、遊技盤2上に設けられた多数の障害釘22の間を落下する。遊技盤2には、障害釘22の他に、液晶表示装置などで構成され、遊技者に様々な情報を提供する表示装置23と、表示装置23の周囲に配置され、遊技の演出に用いられる役物部24と、遊技球が入ると複数個の遊技球を獲得することができる少なくとも一つの入賞装置25などが配設されている。そして遊技球が、何れかの入賞装置25に入ると、制御回路7は、遊技球が入った入賞装置25に応じた所定個の遊技球を玉払い出し装置(図示せず)を介して球受け部3へ払い出す。さらに制御回路7は、遊技の状態に応じた様々な映像を表示装置23に表示させる。
【0023】
本発明の一つの実施形態に係る装飾装置6は、遊技盤2の前面側において、外枠5の左上角及び右上角にそれぞれ一つずつ取り付けられている。そして装飾装置6は、後述するように、スピーカと光源とを有しており、制御回路7からの信号に応じて遊技の状況に応じた音声を出力し、かつ光を明滅させたり、発光色または光量を変化させることで、遊技者の興趣を高めるように構成されている。
【0024】
次に、装飾装置6について詳細に説明する。
図3は、スピーカ本体が外枠5に取り付けられた状態での装飾装置6の分解斜視図である。なお、図を見易いように簡単化するために、遊技者から見て右側の装飾装置については、カバー以外省略した。また
図4(a)は、カバーを除いた装飾装置6を前方から見た分解斜視図であり、
図4(b)は、カバーを除いた装飾装置6を後方から見た分解斜視図である。さらに、
図5(a)は、カバーを除いた装飾装置6の概略側面図であり、
図5(b)は、装飾装置6の中心を通り、かつ弾球遊技機1の前面に直交する面における装飾装置6の概略断面図である。
図3、
図4(a)、(b)及び
図5(a)、(b)に示されるように、装飾装置6は、スピーカ本体11と、複数の光源12と、導光部材13と、基板14と、カバー15とを有する。
【0025】
スピーカ本体11は、制御回路7から受信した音声信号に応じた音声を出力する。そのために、スピーカ本体11は、空気振動を発生させる振動板11aと、音声信号の波形に応じて振動板11aを振動させる磁気回路(図示せず)とを有する。本実施形態において、振動板11aは、拡散部材の一例である。振動板11aは、不透明な材料、例えば、紙、樹脂あるいは金属などにより、コーン状に形成されている。そして振動板11aは、遊技者側から見て、凹状になるように配置される。なお、振動板11aの形状はコーン型に限られない。振動板11aは、例えば、多角錐状に形成されてもよく、平板若しくはドーム形状を有してもよい。また、振動板11aの前面、すなわち、遊技者に対向する側の音波を放射する面は、光源12からの光を拡散反射する拡散反射面となるように、例えば、粗面化される。
【0026】
複数の光源12は、それぞれ、指向性を有する光を発する1個以上の発光素子と駆動回路とを発する。本実施形態では、各光源12は、発光素子として、赤色LED、緑色LED及び青色LEDを有する。そして各光源12は、制御回路7からの制御信号に応じて、全ての発光素子を消灯したり、あるいは、少なくとも一つの発光素子を点灯させる。また、制御回路7は、例えば、パルス幅変調により、各光源12の発光素子から発する光量を調節してもよい。なお、各光源12は、発光素子として白色LEDを有してもよく、あるいは、赤色LED、緑色LEDまたは青色LEDのうちの何れか一つを有してもよい。また複数の光源12が、それぞれ、異なる色の光を発する発光素子を有してもよい。
【0027】
図4(b)に示されるように、複数の光源12(本実施形態では6個)は、スピーカ本体11の外周に沿って略等間隔に、スピーカ本体11の前面に設けられる基板14の裏面側に取り付けられる。なお、基板14の裏面は、装飾装置6が弾球遊技機1に取り付けられた状態で、遊技者と対向せず、遊技盤2の背面を向く面である。そして各光源12は、その発光面12aが導光部材13の入射面13aと対向するように、振動板11aの中心を通り、遊技盤2の前面に直交する中心軸に向けて配置される。
なお、装飾装置6が有する光源の個数は、6個に限られず、1個以上であればよい。ただし、光源の個数は、各光源をスピーカ本体11の外周に沿って略等間隔で配置した場合において、全ての光源が点灯した場合に振動板11aがムラ無く照明される最小の個数以上とすることが好ましい。
【0028】
導光部材13は、光源12からの光を拡げ、その拡げられた光の一部でスピーカ本体11の振動板11aを照明するとともに、拡げられた光の他の一部を直接遊技者側へ向けて出射させる。そのために、導光部材13は、振動板11aの外周の形状と略等しい形状を有し、本実施形態では、略リング状の形状を有している。そして導光部材13の内径は振動板11aの外径と略等しい。そして導光部材13は、基板14とスピーカ本体11との間に、すなわち、振動板11aよりも前側に振動板11aの中心軸と導光部材13の中心軸が略同軸となるように配置される。このように導光部材13が配置されることで、導光部材13は振動板11aの前面に突出した部分を有さない。そのため、振動板11aからその正面へ向けて発する音波は導光部材13で遮られないので、振動板11aから発する音の質が低下することが防止される。
なお、導光部材13は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)といった、可視光に対して透明な樹脂を成型することにより作成される。または、導光部材13は、ガラスを研磨あるいは成型することにより作成されてもよい。
【0029】
図6(a)は、導光部材13の概略背面図であり、
図6(b)は、
図6(a)の領域Bの拡大図であり、
図6(c)は、
図6(a)の線A−A’における導光部材13の概略断面図である。
導光部材13内には、光源12と入射面13aを介して対向し、光源12からの光を、導光部材13内を入射面13aの両側へ拡がって伝播させるように、二つの反射面13b1、13b2(第1の反射面及び第2の反射面)が形成される。この反射面13b1、13b2は、例えば、入射面13aの中心を通る、入射面13aの法線上に位置する頂点から離れるにつれて反射面13b1、13b2が導光部材13の内周側の端面に近づくように、すなわち、入射面13aから見て凸状になるように、その頂点を挟んで入射面13aの法線に対して線対称になるように配置される。反射面13b1、13b2は、例えば、導光部材13のその反射面の部分にスリット状のエアギャップを設けることにより形成される。この場合、光源12からの光の少なくとも一部が反射面13b1、13b2にて全反射されるよう、反射面13b1、13b2と入射面13aの法線とのなす角が調整される。あるいは、反射面13b1、13b2は、金属膜を導光部材13に埋め込むことにより形成されてもよい。
【0030】
反射面13b1、13b2の位置及び形状は、光源12からの光が入射面13aの両側に略均等に拡がるように、光源12が有する発光素子の指向特性、導光部材13のサイズ及び屈折率、及び反射面13b1、13b2と光源12の位置関係に基づいて、例えば光線追跡を行って光の拡がりを評価することにより決定される。例えば、反射面13b1、13b2は、それぞれ平面鏡であってもよく、あるいは凹面鏡若しくは凸面鏡であってもよい。さらに、その二つの反射面は非球面であってもよい。また入射面13aも、平面であってもよく、あるいは、発光面12aに対して凸状あるいは凹状の球面または非球面に形成されていてもよい。さらに、入射面13a、反射面13b1、13b2は、導光部材13の中心軸に沿った方向と、円周方向とで異なる曲率を有していてもよい。
なお、反射面13b1、13b2は、入射面13aの左側へ反射する光の量と入射面13aの右側へ反射する光の量を異ならせてもよい。この場合、反射面13b1、13b2の形状及び大きさは互いに異なっていてもよい。
【0031】
反射面13b1、13b2で反射された光は、それぞれ、導光部材13の外周の入射面13aの右側及び左側へ向かう。そこで、導光部材13の外周には、その光を全反射して導光部材13の内周へ向けるように、導光部材13の円周方向に沿って鋸波状の反射面13c(第3の反射面)が形成される。本実施形態では、反射面13cは、入射面13aの中心を通るその法線に対して線対称となるように、入射面13aの両側に3個ずつ形成される。各反射面13cの大きさ及び各反射面13cと入射面13aの法線とのなす角は、光源12からの光が導光部材13の内周全体に略均等に拡がるように、例えば光線追跡を行って光の拡がりを評価することにより決定される。そのため、各反射面13cと入射面13aの法線とのなす角及び各反射面13cの大きさは、反射面ごとに異なっていてもよい。また各反射面13cは、凹面状、あるいは凸面状に形成されてもよい。
【0032】
また、導光部材13の内周側の端面13dは、振動板11aの方を向くように形成される。なお、本実施形態において、端面13dが振動板11aの方を向くとは、端面13dから振動板11aの少なくとも一部が直接見えるように、端面13dが配置されることをいう。そして導光部材13の外周で反射された光の一部が内周の端面13dで屈折してスピーカ本体11の振動板11aへ向かい、他の一部が端面13dで反射されて導光部材13の内周に沿って前面側に突出したリング状の突出部13eの出射面13fへ向かうように、端面13dは、背面側の内径が前面側の内径よりも大きくなるテーパ状に形成される。
この内周の端面13dと、導光部材13の背面とがなす角度は、導光部材13の屈折率、振動板11aの形状及び導光部材13と振動板11aの位置関係に応じて最適化される。
また、光源12からの光は、向きの異なる二つの反射面13b1、13b2で分割反射され、かつ、導光部材13内で少なくとも2回反射されることで光路長が長くなるので、入射面13aよりも端面13dの広い範囲から出射して振動板11aへ向かう。そのため、振動板11aは、光源12により直接照明されるよりも広い範囲が照明される。
【0033】
さらに、導光部材13の突出部13eの前面側の端面である出射面13fは、端面13dにて反射され、出射面13fを介して導光部材13から出射する光を拡散するよう粗面処理されることが好ましい。なお、出射面13fに、文字、図形などのデザインに応じた拡散シートなどが貼付されてもよい。
なお、直接遊技者へ向かって光源12からの光を出射させず、その光の大部分が振動板11aを照明するように、導光部材13の前面側に、例えば、金属の薄膜を蒸着して、導光部材13の前面に達した光を背面側に反射させてもよい。
【0034】
図7(a)は、導光部材13の一部を背面から見た、1個の光源についての光線追跡図であり、
図7(b)は、
図7(a)に示された導光部材13の一部を側面から見た光線追跡図である。
図7(a)及び
図7(b)において、複数の線701のそれぞれは、1本の光線を表す。
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、光源12から放射された光は、入射面13aを介して導光部材13内を伝播する。そしてその光の大部分は、反射面13b1または反射面13b2で反射され、さらに反射面13cで反射された後、導光部材13の内周端側へ向かう。反射面13cで反射された光の一部は端面13dで屈折して振動板11a側へ向かい、その光の他の一部は端面13dで反射されて突出部13eから出射する。このように、光源12からの光は、光源12の両側へ略均等に拡がり、振動板11aがムラ無く照明されることが分かる。
【0035】
基板14は、スピーカ本体11及び導光部材13の前面側に設けられる。そして基板14の背面側には、各光源12が固定されるとともに、ネジなどにより、スピーカ本体11も固定される。また基板14には、導光部材13の前面の突出部13eの外径と略等しい内径を持つ略円形の孔が形成されており、その孔に導光部材13の突出部が勘合されることにより、導光部材13が固定される。
さらに基板14には、弾球遊技機1の外枠5に装飾装置6を取り付けるためのネジ穴などが形成されていてもよい。
【0036】
カバー15は、基板14の前面側に設けられ、外枠5に取り付けられる。そして
図3に示されるように、カバー15には、装飾装置6が外枠5に取り付けられた状態で、スピーカ本体11の前面に位置する保護部15aを有する。保護部15aには、メッシュ状の複数の孔15bが形成されており、遊技者がスピーカ本体11に触るのを防止するとともに、遊技者がその複数の孔15bを介してスピーカ本体11の振動板11a及び導光部材13を視認可能となっている。そのため、遊技者は、振動板11aにて拡散反射された光及び導光部材13から出射された光を見ることができる。なお、保護部15aは、スリット状に形成されてもよく、あるいは、2次元格子状に形成されてもよい。
【0037】
カバー15は、不透明な樹脂、あるいは金属で形成される。ただし、保護部15aは、PMMAまたはPCといった透明な樹脂で形成されてもよい。このように、保護部15aが透明な部材で形成されることにより、遊技者は光源12によって照明された振動板11a全体及び光が出射する突出部13eの前面13f全体を視認できるので、遊技者の興趣をより高めることができる。さらにまた、保護部15aに形成された複数の孔の周囲の少なくとも一部において、保護部15aの前面側または背面側の少なくとも何れかの表面が、光を拡散させるよう粗面化されていてもよく、あるいは、保護部15aの内部に、光を拡散させるための、保護部15aの屈折率と異なる屈折率を持つ高分子または金属などの複数の粒子が包含されていてもよい。
このように、保護部15aがさらに光を拡散することで、保護部15aから拡散された光と振動板11aにより拡散反射された光の組み合わせにより遊技者に立体感を感じさせることができるので、遊技者の興趣をさらに高めることができる。
【0038】
図2に示されるように、制御回路7及び弾球遊技機1の各部に電力を供給する電源回路8は、遊技盤2の背面に取り付けられる。そして制御回路7は、弾球遊技機1の各部を制御する。そのために制御回路7は、玉払い出し装置(図示せず)などを制御する主制御回路71と、遊技の状態に応じた画像を表示装置23に表示させたり、装飾装置6のスピーカ本体11に対する音声信号を出力する演出制御回路72と、装飾装置6の各光源12を制御する光源制御回路73とを有する。
【0039】
演出制御回路72は、例えば、不揮発性の半導体メモリ及び演算回路を有し、その半導体メモリに格納された演出用のプログラム及び遊技の状態に応じて、各光源12を点灯させるか否か決定する。また各光源12が互いに発光色の異なる複数の発光素子を有している場合には、演出制御回路72は、発光素子ごとに点灯するか否かを決定してもよい。さらに演出制御回路72は、点灯する各発光素子の光量を決定する。例えば、演出制御回路72は、演出用のプログラム及び遊技の状態に従って決定された、スピーカから発する音量が大きいほど、各光源12の明滅周期を短くしたり、あるいは発光光量を大きくしてもよい。あるいは、演出制御回路72は、特定の色の発光が回転して見えるように、各点光源12が有する特定の色を発光させる発光素子を時計回りまたは反時計回りに順に、一定期間だけ点灯させてもよい。この場合において、演出制御回路72は、例えば、スピーカから発する音量が大きいほど、特定の色の発光の回転速度が速くなるように、各点光源12を制御してもよい。
演出制御回路72は、光源制御回路73と接続されており、光源制御回路73へ、各光源12の各発光素子を点灯させるか消灯させるか、また点灯させる場合の光量を表す光源制御信号を出力する。
【0040】
光源制御回路73は、各光源12が有する駆動回路と接続され、光源制御信号に応じて各光源12へ、例えば、パルス幅変調方式により、その光源12が有する発光素子を所定の光量で点灯または消灯させる駆動信号を出力する。なお、光源制御回路73として、例えば、発光素子を制御する公知の様々な制御回路の何れかを用いることができるので、光源制御回路73の詳細な構成についての説明は省略する。
【0041】
以上に説明してきたように、この遊技機が有する装飾装置は、LEDのような消費電力が少ない複数の光源を用いてスピーカ本体の振動板をムラ無く照明できる。そのため、この遊技機は、高い装飾効果を得ることができる。またこの遊技機が有する装飾装置は、光源及び導光部材は振動板の周囲に配置されており、振動板の正面に突出していないので、スピーカ本体から出力される音が光源及び導光部材によって歪むことを抑制できる。
【0042】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、各光源は、スピーカ本体の振動板及び導光部材よりも遊技盤の背面側に、スピーカ本体の外周に沿って配置されてもよい。
図8は、この変形例による導光部材の概略断面図である。この変形例による導光部材33は、入射面33a及びその近傍の外周の形状を除いて、上記の実施形態による導光部材13と同様の形状を有する。この変形例では、光源12は、その発光面12aが遊技盤の前面に向くように配置される。そして導光部材33の入射面33aは、光源12の発光面12aと対向するように、遊技盤の背面側に向けられる。そして導光部材33の入射面33aと対向する、導光部材の前面側の端部33bは、入射面33aを介して入射した光源12からの光を全反射して、その光が導光部材33の内周側へ向かうようにテーパ状に形成される。
【0043】
さらに、他の実施形態によれば、導光部材は複数の部材により形成されてもよい。例えば、装飾装置は、一つの光源ごとに、その光源の発光面と対向する入射面の法線を中心として左右対称に形成される一つの導光部材を有してもよい。この場合、各導光部材は、例えば、
図6(a)に示された一つの導光部材を、隣接する光源間の中心とその導光部材の中心を結ぶ線で切断した形状を有する。そして、複数の光源が、振動板の外周に沿って略等間隔に配置され、また各光源に対応する導光部材も振動板の外周を囲むように配置される。
【0044】
また、他の実施形態によれば、導光部材から出射した光により照明される拡散反射部材は、スピーカの振動板でなくてもよい。例えば、拡散反射部材は、遊技盤の外枠の一部分であってもよい。この場合も、拡散反射部材は、遊技者側に向けて凹面あるいは凸面となるコーン形状、多角錐形状あるいは半球形状を有していてもよい。そして拡散反射部材の表面は、光を拡散反射するように粗面処理される。また、カバーは省略されてもよい。
【0045】
また、上記の実施形態またはその変形例による装飾装置を備えた遊技機は、回胴遊技機、あるいはその他の遊技機であってもよい。さらに、装飾装置の位置は、外枠の左右の上端の角に限られない。装飾装置は、外枠または遊技盤上の遊技者が視認可能な位置に、拡散反射部材の拡散反射面が遊技者の方を向くように取り付けることができる。
【0046】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。