【実施例1】
【0022】
1.遊技機1の全体構成
遊技機1の全体構成を
図1に基づいて説明する。遊技機1は、図示しない遊技場に来場した遊技者にパチンコ遊技を提供するものであって、図示しない遊技島に取り付けられる外枠3と、外枠3に開閉可能に取り付けられた内枠5と、内枠5に取り付けられ、遊技者に対面して配置された遊技盤7と、遊技者が遊技行為を行うために遊技盤7上に遊技球8を発射するためのハンドル9と、遊技盤7における遊技行為の結果として提供される賞品、ここでは遊技球8(賞品として払い出される遊技球8を賞品球と言う。)を貯留する上受け皿11と、上受け皿11から排出される遊技球8を受ける下受け皿13を備えている。また、内枠5は、その正面側にガラス扉14を備えている。ガラス扉14は、遊技盤7との間に所定の間隔をおいて、遊技盤7をカバーしている。
【0023】
遊技者に対面する遊技盤7の正面側の表面(以下、遊技面7aとする)には、全面にわたって、液晶表示装置15が設置されている。液晶表示装置15については後述する。また、遊技盤7は、遊技球8が通過すると、普通図柄遊技用の普通図柄始動信号を出力する機能を有する普通図柄始動ゲート17と、普通図柄始動信号が出力されると、普通図柄を所定時間変動表示してから、所定の普通図柄を確定表示する普通図柄表示装置19と、普通図柄遊技の保留数を表示する普通図柄記憶表示装置20とを備えている。
【0024】
また、遊技盤7は、普通電動役物(電動チューリップ)21を備えている。この普通電動役物21は、開閉動作が可能な一対の開閉板21aを備えている。開閉板21aは、
図1において21a(c)と表記した、互いの間隔を狭くした状態(以下、閉止状態とする)と、21a(o)と表記した、互いの間隔を広くした状態(以下、開放状態とする)とのいずれかの状態となることができる。
【0025】
普通電動役物21は、一対の開閉板21aの間に始動口(入賞口)23を備えており、開閉板21aが閉止状態のときは、始動口23への経路が狭められ、始動口23への入賞が困難に成る。一方、開閉板21aが開放状態のときは、始動口23への経路が広がり、始動口23への入賞が容易になる。
【0026】
普通電動役物21は、普通図柄表示装置19に当りの普通図柄が確定表示されると(所定の遊技条件が成立すると)、6秒間、開閉板21aを開放状態とし、その後、閉止状態に戻る。更に詳しくは、普通図柄表示装置19に当りの普通図柄が確定表示されたとき、後述する主制御基板31は、役物開放信号を、普通図柄表示装置19に出力する。普通電動役物21は、役物開放信号を受信すると、6秒間、開閉板21aを開放状態とする。普通電動役物21は、普通図柄表示装置19に当りの普通図柄が確定表示されないときは、閉止状態を維持する。
【0027】
液晶表示装置15の中央部には、始動口23に遊技球8が入賞した場合、特別図柄の変動表示が所定時間行われ、その後、所定の特別図柄が確定表示される(特別図柄遊技)。また、遊技盤7は、特別図柄遊技の結果(確定表示される特別図柄)を表示する特別図柄表示装置25を備えている。
【0028】
遊技盤7は、特別電動役物27と、大入賞口29とを備えている。特別図柄表示装置25に確定表示される特別図柄が、所定の大当り図柄である場合、特別電動役物27は、大入賞口29を開放する。大入賞口29に遊技球8が入賞すると、賞品球が提供される。それ以外の場合、特別電動役物27は、大入賞口29を閉じている。
【0029】
また、遊技面7a上には、多数の遊技釘30が取り付けられている。遊技釘30は、遊技球8と衝突し、その進路を様々に変更する。
また、遊技機1は、上記各構成を制御し、後述する処理を実行する主制御基板31及び演出制御基板33を備えている。主制御基板31又は演出制御基板33は、後述する画像データや軌跡データ等を記憶するRAM等の記憶手段(図示略)を備えている。
【0030】
2.液晶表示装置15の構成
液晶表示装置15の構成を
図2に基づいて説明する。液晶表示装置15は、画像を表示可能な画像表示領域15aと、それを囲む額縁部15bとから構成される。遊技面7aのうち、遊技者から見える部分には、画像表示領域15aが設けられている。額縁部15bは、遊技盤7の外縁部分であって、遊技者から見えない部分に設けられている。
【0031】
画像表示領域15aの表面には、画素35が規則正しく(マトリックス状に)配列している。また。画素35はそれぞれ、フォトダイオードを用いる光センサ(図示略)を内蔵している。額縁部15bには、上述した光センサを駆動する光センサ駆動回路37、液晶ソースドライバ39、液晶ゲートドライバ41等が設けられている。
【0032】
液晶表示装置15は、主制御基板31又は演出制御基板33から入力する表示信号に基づき、画素35を用いて、所定の画像(例えば特別図柄の変動表示、確定表示等)を表示することができる。液晶表示装置15は、上述したように、遊技面7aを覆っているので、画像は遊技面7a上に表示される。
【0033】
また、液晶表示装置15は、各画素35に内蔵された光センサにより、遊技面7aの側から、遊技面7a上を撮像することができる。すなわち、遊技面7aから見て、正面方向(遊技者がいる方向)の画像を撮像することができる。液晶表示装置15が画像を撮像できる範囲は、遊技面7aの全面にわたる。液晶表示装置15により撮像できるものとしては、普通電動役物21の開閉板21a、遊技面7a上の遊技球8、遊技面7a上に挿入された異物(針金等)等がある。撮像した画像の信号(読み取り信号)は、主制御基板31又は演出制御基板33へ出力することができる。
【0034】
なお、上記の液晶表示装置15は、例えば、シャープ株式会社等が販売している。
3.遊技機1が実行する異常検出処理
遊技機1(特に主制御基板31及び演出制御基板33)は、異常検出処理を実行することができる。この異常検出処理を
図3のフローチャートに基づいて説明する。この異常検出処理は、遊技機1の電源投入後、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0035】
図3のステップ10では、普通電動役物21の開閉板21aが実際に開放状態にあるか否かを判断する。具体的には、以下のように行う。まず、液晶表示装置15により遊技面7a上を撮像し、画像データを取得する。次に、画像データに映っている物体を認識する。物体が複数映っている場合は、それぞれを認識する。認識され得る物体としては、普通電動役物21の開閉板21a、遊技面7a上に存在する遊技球8、遊技面7a上に挿入された異物(針金等)等がある。なお、物体の認識は、周知の画像認識技術を用いることができる。
【0036】
認識した物体の位置及び形状が、開放状態にあるときの開閉板21aの位置及び形状(予め記憶しておいた位置及び形状)と一致した場合は、普通電動役物21の開閉板21aが実際に開放状態にあると判断し、ステップ20に進み、それ以外の場合は本処理を終了する。
【0037】
ステップ20では、主制御基板31が役物開放信号を既に出力しているか否かを判断する。出力している場合はステップ30に進み、出力していない場合はステップ40に進む。なお、役物開放信号を出力していない場合は、役物開放信号の出力なしに開閉板21aが開放状態にあるということであるから、異常開放状態である。
【0038】
ステップ30では、普通電動役物21の開閉板21aが実際に開放状態となってから、7秒間以上経過しているか否かを判断する。具体的には、前記ステップ10の処理において、最初にYESと判断してからの経過時間が7秒間以上であるか否かを判断する。7秒間以上経過している場合はステップ40に進み、未だ7秒間経過していない場合は本処理を終了する。
【0039】
なお、遊技機1の開閉板21aが連続して開放状態になる時間は、規則により6秒間に決められている。開閉板21aは、本来、7秒間以上連続して開放状態になることはないから、開放状態となってから7秒間以上経過している場合は、異常開放状態である。本ステップにおける「7秒間」は、開閉板21aが連続して開放状態になる時間である6秒間よりも、わずかに長い時間である。「7秒間」とすることにより、閉じようとする一対の開閉板21aが、それらの間に一時的に存在する遊技球(球詰まりの遊技球を除く)のために、一時的に閉じることができなくなり、開放状態が6秒間をわずかに超えてしまったような場合に、異常開放状態と判断してしまうことを防止できる。
【0040】
ステップ40では、前記ステップ10で認識した物体の中に、普通電動役物21の近傍で停止している物体(以下、停止物とする)が存在するか否かを判断する。なお、物体が停止しているか否かは、時間を変えて撮像した複数の画像データにおいて、その物体が同じ位置にあれば、停止していると判断することができる。普通電動役物21の近傍に停止物が存在する場合はステップ50に進み、停止物が存在しない場合はステップ80に進む。
【0041】
ステップ50では、停止物が遊技球8であるか否かを判断する。遊技球であるか否かは、停止物の形状、大きさに基づいて判断できる。すなわち、形状が球形であり、且つ大きさが遊技球8の大きさに合致していれば、遊技球であると判断し、一方、形状又は大きさが遊技球8に合致しないと、遊技球8ではないと判断する。遊技球8である場合はステップ60に進み、遊技球8ではない場合はステップ70に進む。
【0042】
ステップ60では、球詰まり信号を外部のホールコンピュータに出力する。また、
図4に示すように、液晶表示装置15(遊技面7a)に、球詰まりを表す報知を行う。この報知は、「球詰まっています」という文字の表示と、球詰まりの位置を指し示す矢印の表示とから成る。
【0043】
ステップ70では、異物信号を外部のホールコンピュータに出力する。また、液晶表示装置15(遊技面7a)に、異物信号を出力する場合に特有の所定の報知を行う。
ステップ80では、不明信号を外部のホールコンピュータに出力する。また、液晶表示装置15(遊技面7a)に、不明信号を出力する場合に特有の所定の報知を行う。
【0044】
なお、遊技機1は、いうまでもなく、通常の遊技処理を実行することができるが、本発明には直接関係がないので、その記載を省略する。
4.遊技機1が奏する効果
(1)遊技機1では、遊技球8の球詰まりによって異常開放状態が生じている場合は、
図3における前記ステップ40と前記ステップ50でそれぞれYESと判断され(開閉板21aの閉止動作を妨げる球詰まりが認識され)、球詰まり信号が出力される。
【0045】
一方、遊技機1内に挿入された異物(針金等)により、異常開放状態が生じている場合は、
図3における前記ステップ40でYESと判断され、前記ステップ50でNOと判断され(開閉板21aを不正に開放する異物が認識され)、異物信号が出力される。
【0046】
また、それら以外の理由で、異常開放状態が生じている場合は、
図3における前記ステップ40でNOと判断され、不明信号が出力される。
以上のように、遊技機1は、異常開放状態が生じる原因(球詰まり、異物の挿入、その他)に応じて、それぞれ異なる信号を外部のホールコンピュータに出力することができる。そのことにより、ホール店員は、異常開放状態が生じる原因を知り、適切な対処が可能になる。
(2)遊技機1は、液晶表示装置15において、異常開放状態が生じる原因(球詰まり、異物の挿入、その他)に応じ、それぞれ異なる報知を行う。そのことにより、遊技者は、異常開放状態が生じる原因を知ることができる。
【0047】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、液晶表示装置15は、遊技面7aの全面にわたって画像を撮像できるものでなくてもよい。例えば、液晶表示装置15は、普通電動役物21の周辺のみにおいて、画像を撮像できるものであってもよい。
【0048】
また、遊技機1は、球詰まり信号、異物信号、不明信号を出力した場合、液晶表示装置15における表示に代えて、又はそれに加えて、音声等で報知してもよい。その音声は、出力する信号の種類ごとに異なるものとすることができる。