特許第5796493号(P5796493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5796493二軸配向ポリエステルフィルムおよびリニア磁気記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796493
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】二軸配向ポリエステルフィルムおよびリニア磁気記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/12 20060101AFI20151001BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20151001BHJP
   G11B 5/73 20060101ALI20151001BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20151001BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20151001BHJP
【FI】
   B29C55/12
   C08J5/18CFD
   G11B5/73
   B29K67:00
   B29L7:00
【請求項の数】9
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2011-543395(P2011-543395)
(86)(22)【出願日】2011年9月16日
(86)【国際出願番号】JP2011071238
(87)【国際公開番号】WO2012043281
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月9日
(31)【優先権主張番号】特願2010-214825(P2010-214825)
(32)【優先日】2010年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-123993(P2011-123993)
(32)【優先日】2011年6月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀江 将人
(72)【発明者】
【氏名】東大路 卓司
(72)【発明者】
【氏名】横山 希
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/034857(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/091381(WO,A1)
【文献】 特開平10−308012(JP,A)
【文献】 特開2001−30350(JP,A)
【文献】 特開平5−286028(JP,A)
【文献】 特開平7−302421(JP,A)
【文献】 米国特許第6197430(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/12
C08J 5/18
G11B 5/73
B29K 67/00
B29L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向のヤング率ETDと長手方向のヤング率EMDとの比ETD/EMDが1.5〜3であり、長手方向の屈折率nMDと幅方向の屈折率nTDと厚み方向の屈折率nZDとの平均で示されるn_bar((nMD+nTD+nZD)/3)が1.590〜1.680であり、微小融解ピーク温度T−metaが160〜190℃であり、幅方向の湿度膨張係数が0〜6ppm/%RHである二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項2】
長手方向の屈折率nMDと幅方向の屈折率nTDとの差で示される複屈折Δn(nMD−nTD)が−0.060〜−0.020である、請求項1の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項3】
融解熱量ΔHmが30〜45J/gである、請求項1または2の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項4】
長手方向のヤング率が3.0〜4.4GPaである、請求項1〜3のいずれかの二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項5】
温度変調DSCから算出される剛直非晶量が38〜50%である、請求項1〜4のいずれかの二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項6】
ポリエステルの主成分がポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜5のいずれかの二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項7】
幅方向の広角X線による結晶主鎖方向の結晶子サイズが5.5〜8.0nmである、請求項6の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項8】
幅方向の広角X線による結晶主鎖方向の結晶配向度が0.68〜0.90である、請求項6または7の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの二軸配向ポリエステルフィルムを用いたリニア磁気記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープなどの磁気記録媒体に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムと、該二軸配向ポリエステルフィルム上に磁性層を設けたリニア磁気記録媒体とに関する。
【背景技術】
【0002】
二軸配向ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のしやすさから各種用途に使用されており、特に延伸技術を用いて高強度化した磁気記録媒体などの支持体としての有用性がよく知られている。近年、磁気テープなどの磁気記録媒体は、機材の軽量化、小型化、大容量化のため高密度記録化が要求されている。高密度記録化のためには、記録波長を短くし、記録トラックを小さくすることが有用である。しかしながら、記録トラックを小さくすると、テープ走行時における熱やテープ保管時の温湿度変化による変形により、記録トラックのずれが起こりやすくなるという問題がある。したがって、テープの使用環境および保管環境での幅方向の寸法安定性といった特性の改善に対する要求がますます強まっている。
【0003】
この観点から、支持体には、強度、寸法安定性の点で二軸配向ポリエステルフィルムよりも優れた剛性の高い芳香族ポリアミドが用いられることがある。しかしながら芳香族ポリアミドは高価格でコストがかかり、汎用記録媒体の支持体としては現実的ではない。
【0004】
ポリエステルフィルムの幅方向の寸法安定性を向上させるためにポリマーアロイや共重合などにより湿度膨張係数を低減する技術が開示されている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−37448号公報
【特許文献2】特開2010−31116号公報
【特許文献3】特開2009−221277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3で開示されている技術では、スリット性が悪化したり、製膜時に破れやすいなどの問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。詳しくは、磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、保存安定性に優れ、スリット性と製膜性、工程適性が良好である二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、幅方向のヤング率ETDと長手方向のヤング率EMDとの比ETD/EMDが1.5〜3であり、長手方向の屈折率nMDと幅方向の屈折率nTDと厚み方向の屈折率nZDとの平均で示されるn_bar((nMD+nTD+nZD)/3)が1.590〜1.680であり、微小融解ピーク温度T−metaが160〜190℃であり、幅方向の湿度膨張係数が0〜6ppm/%RHの二軸配向ポリエステルフィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、磁気記録媒体とした際に環境変化による寸法変化が少なく、保存安定性に優れ、スリット性、製膜性および工程適性が良好である二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】幅寸法を測定する際に用いるシート幅測定装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは鋭意検討した結果、二軸配向ポリエステルフィルムの湿度膨張には分子鎖の結晶性と非晶の高配向化が重要であること、さらに結晶子サイズや結晶配向度、剛直非晶量が寸法安定性や工程適性に大きく寄与していることを見出した。さらに、縦延伸後に2段階で横延伸を行う、2段目の延伸を最後に行う熱固定処理温度に近づける、横延伸前の予熱を高温化して積極的に結晶化させるなど特殊なプロセスを用いることで磁気テープとした際に寸法安定性・保存安定性・スリット性・製膜性・工程適性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムが得られることを見出した。
【0012】
以下の説明において、長手方向、MDおよび縦方向は同じ意味で用い、幅方向、TDおよび横方向は同じ意味で用いる。MD延伸とはフィルム長手方向の延伸のことであり、TD延伸とはフィルム幅方向の延伸のことである。TD延伸1、TD延伸2とは、それぞれフィルム幅方向の2段階の延伸の1段目の延伸、2段目の延伸のことである。
【0013】
本発明において、ポリエステルフィルムとは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーで構成されたものである。
【0014】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0015】
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0016】
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
【0017】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート、PEN)が好ましい。特に、結晶子サイズや結晶配向度を高めるプロセスが適用しやすいことから主成分はポリエチレンテレフタレートが好ましい。ここで、主成分とはフィルム組成中80質量%以上であることをいう。また、これらの共重合体や変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。特にポリエステルと相溶するポリマーが好ましく、ポリエーテルイミド樹脂などが好ましい。ポリエーテルイミド樹脂としては、例えば以下で示すものを用いることができる。
【0018】
【化1】
【0019】
(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
上記R、Rとしては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を挙げることができる。
【0020】
【化2】
【0021】
(nは2以上の整数、好ましくは20〜50の整数)
本発明では、ポリエステルとの親和性、コスト、溶融成形性等の観点から、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物である、下記式で示される繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。
【0022】
【化3】
【0023】
または
【0024】
【化4】
【0025】
このポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商品名で、SABICイノベーティブプラスチック社より入手できる。これらは、「Ultem1000」、「Ultem1010」、「Ultem1040」、「Ultem5000」、「Ultem6000」および「UltemXH6050」シリーズや「Extem XH」および「Extem UH」の登録商標名等で知られている。
【0026】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、長手方向のヤング率が3.0〜4.4GPaが好ましい。長手方向のヤング率が上記範囲内であると、磁気記録媒体用に用いた場合に磁気記録媒体の保管時の張力による保存安定性が良好となる。4.4GPaよりも大きくするにはMD倍率を上げることになり、製膜性が低下しやすい。長手方向のヤング率の下限は、より好ましくは3.5GPa、さらに好ましくは4.0GPaである。より好ましい範囲は3.5〜4.4GPa、さらに好ましい範囲は4.0〜4.4GPaである。長手方向のヤング率はMD延伸の倍率で制御することができる。MD延伸倍率が高いほどMDヤング率が高くなる。
【0027】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向のヤング率が6.0〜12GPaであることが好ましい。幅方向のヤング率が上記範囲内であると、磁気記録媒体用に用いた場合に磁気記録媒体の記録再生時の環境変化による寸法安定性が良好となる。幅方向のヤング率の上限は、より好ましくは10GPa、さらに好ましくは9.0GPaである。幅方向のヤング率の下限は、より好ましくは6.2GPa、さらに好ましくは6.5GPaである。より好ましい範囲は6.2〜10GPa、さらに好ましい範囲は6.5〜9.0GPaである。幅方向のヤング率はTD延伸1、2の温度や倍率によって制御することができる。特にTD延伸のトータル倍率が影響し、TD延伸のトータル倍率(TD延伸1倍率×TD延伸2倍率)が高いほどTDヤング率が高くなる。
【0028】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向のヤング率ETDと長手方向のヤング率EMDの比ETD/EMDが1.5〜3.0である。ETD/EMDの値が1.5〜3.0の範囲外になると寸法安定性や保存安定性、スリット性、製膜性のすべてを満たすことが難しくなる。より好ましい上限は2.5であり、さらに好ましくは2.0である。より好ましい下限は1.55であり、さらに好ましくは1.6である。好ましい範囲は1.55〜3であり、より好ましくは1.55〜2.5であり、さらに好ましくは1.6〜2.0である。ETD/EMDはTD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比によって制御することができる。TD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比((TD延伸1倍率×TD延伸2倍率)/MD延伸倍率)が大きいほどETD/EMDは大きくなる。
【0029】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、幅方向の湿度膨張係数が0〜6ppm/%RHである。湿度膨張係数が6ppm/%RHより大きいと磁気記録媒体用に用いた場合、湿度変化による変形が大きくなり、寸法安定性が悪化する。より好ましい上限は5.5ppm/%RHであり、さらに好ましくは5ppm/%RHである。より好ましい範囲は0〜5.5ppm/%RHであり、さらに好ましくは0〜5ppm/%RHである。湿度膨張係数は分子鎖の緊張度合いが影響する物性であり、TD延伸1とTD延伸2の倍率比によって制御することができ、また、TD延伸のトータル倍率や、TD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比によっても制御できる。TD延伸1とTD延伸2の倍率比(TD延伸1倍率/TD延伸2倍率)が大きいほど湿度膨張係数は小さくなる。また、トータルのTD延伸倍率(TD延伸1倍率×TD延伸2倍率)が高いほど湿度膨張係数は小さくなる。また、TD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比((TD延伸1倍率×TD延伸2倍率)/MD延伸倍率)が大きいほど湿度膨張係数は小さくなる傾向となる。
【0030】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、平均屈折率n_barが1.590〜1.680である。n_barが1.590よりも小さいと結晶性や配向が不十分であり、保存安定性やスリット性が悪化する。n_barが1.680より大きいと配向緩和により結晶性が進みすぎており、寸法安定性が悪化する。好ましい上限は1.615である。好ましい範囲は1.590〜1.615である。n_barは熱固定温度で制御することができ、また、TD延伸1、2の条件によっても制御することができる。なお、n_barは、長手方向の屈折率をnMDとし、幅方向の屈折率をnTDとし、厚み方向の屈折率をnZDとしたとき、((nMD+nTD+nZD)/3)にて算出される値をいう。熱固定温度が低いほどn_barは低くなる。また、TD延伸1とTD延伸2の倍率比(TD延伸1倍率/TD延伸2倍率)が大きいほどn_barは小さくなる。
【0031】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの融点直下の微小融解ピーク温度T−metaは160〜190℃である。160℃より小さい場合、熱量不足による構造固定が不十分であり、保存安定性が悪化する。190℃より大きい場合は、過度の熱量により配向緩和が起こり寸法安定性が悪化する。より好ましい上限は188℃であり、さらに好ましくは185℃である。より好ましい下限は170℃であり、さらに好ましくは175℃である。より好ましい範囲は170〜188℃であり、さらに好ましくは175〜185℃である。T−metaは熱固定温度で制御することができる。熱固定温度が高いとT−metaが高くなる。
【0032】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの複屈折Δnは−0.060〜−0.020が好ましい。Δnが−0.060より小さいと横配向が強すぎるためスリット性が悪化する。−0.020より大きいと横配向が弱く幅寸法安定性が悪化する。より好ましい上限は−0.025であり、さらに好ましくは−0.030である。より好ましい下限は−0.055、さらに好ましくは−0.050である。好ましい範囲は−0.060〜−0.025であり、より好ましい範囲は−0.055〜−0.025であり、さらに好ましくは−0.050〜−0.030である。ΔnはTD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比によって制御することができる。なお、複屈折Δnは、長手方向の屈折率をnMDとし、幅方向の屈折率をnTDとしたとき、nMD−nTDとして算出される値をいう。TD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比((TD延伸1倍率×TD延伸2倍率)/MD延伸倍率)が小さいほど、Δnは大きくなる傾向にある。
【0033】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの結晶融解熱量ΔHmは30〜45J/gであることが好ましい。30J/gよりも小さいと結晶化度が低く、スリット性が悪化することがある。45J/gよりも大きいと結晶化が進みすぎているため配向緩和が起こり寸法安定性が悪化しやすい。より好ましい上限は42J/gであり、さらに好ましくは40J/gである。より好ましい下限は32J/gであり、さらに好ましくは35J/gである。最も好ましくは36J/gである。より好ましい範囲は32〜42J/g、さらに好ましくは35〜40J/g、より好ましくは36〜40J/gである。結晶融解熱量ΔHmは熱固定温度やTD延伸1、2の条件で制御することができる。熱固定温度が低いほどΔHmは低くなる。また、TD延伸1とTD延伸2との倍率比(TD延伸1倍率/TD延伸2倍率)が大きいほどΔHmは小さくなる。
【0034】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートを主成分とするとき、幅方向の広角X線による結晶主鎖方向の結晶子サイズが5.5〜8.0nmであることが好ましい。5.5nmよりも小さいと結晶子間の距離が長くなり、非晶鎖の縮み量が大きくなるため工程適性が悪化する傾向にある。8.0nmより大きくするには結晶がかなり成長させる必要があり、製膜性が悪化する傾向にある。より好ましい上限は7.8nmであり、さらに好ましい上限は7.5nmである。より好ましい下限は6.0nmであり、さらに好ましい下限は6.5nmである。より好ましい範囲は6.0〜7.8nmであり、さらに好ましい範囲は6.5〜7.5nmである。結晶子サイズは特にTD延伸1の予熱温度で制御することができる。予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度以上にすることで大きくすることができる。
【0035】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートを主成分とするとき、幅方向の広角X線による結晶主鎖方向の結晶配向度が0.68〜0.90であることが好ましい。0.90より大きいと幅方向に配向が強すぎるためスリット性の悪化や延伸性の悪化の傾向がある。0.68よりも小さいと幅方向に変形しやすく寸法安定性が悪化しやすい。より好ましい上限は0.85であり、さらに好ましい上限は0.80である。より好ましい下限は0.70であり、さらに好ましい下限は0.75である。より好ましい範囲は0.70〜0.85であり、さらに好ましい範囲は0.75〜0.80である。結晶配向度は分子鎖の配列を示すものであり、TD延伸1とTD延伸2との倍率比によって制御することができ、また、TD延伸のトータル倍率や、TD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比によっても制御ができる。TD延伸1とTD延伸2の倍率比(TD延伸1倍率/TD延伸2倍率)が大きいほど結晶配向度は高くなる。また、TD延伸のトータル倍率(TD延伸1倍率×TD延伸2倍率)が高いほど結晶配向度は高くなる。また、TD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比((TD延伸1倍率×TD延伸2倍率)/MD延伸倍率)が大きいほど結晶配向度は高くなる傾向となる。また、熱固定温度も関与しており、熱固定温度が低いほど結晶配向度は高くなる。さらに、TD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度以上にすることで結晶配向度を高めることができる。
【0036】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは温度変調DSC法を用いて算出される剛直非晶量Χraが38〜50%であることが好ましい。Xraが50%より大きいと配向緩和が起こり寸法安定性が悪化する傾向にある。Χraが38%より小さいと構造固定が不十分であり、保存安定性が悪化しやすく、さらに工程適性が悪化する傾向にある。より好ましい上限は48%であり、さらに好ましい上限は46%である。より好ましい下限は40%であり、さらに好ましい下限は42%である。より好ましい範囲は40〜48%、さらに好ましい範囲は42〜46%である。Χraは熱固定温度で制御することができ、熱固定温度が高いほど大きくなる。また、TD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度以上にすることでΧraを高めることができる。
【0037】
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムとしての厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常リニア磁気記録媒体用途では1〜7μmが好ましい。この厚みが1μmより小さい場合、磁気テープにした際に電磁変換特性が低下することがある。一方、この厚みが7μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。したがって、高密度磁気記録媒体用途の場合、厚みの下限は、好ましくは2μm、より好ましくは3μmであり、上限は、好ましくは6.5μm、より好ましくは6μmである。より好ましい範囲としては2〜6.5μm、より好ましい範囲としては3〜6μmである。
【0038】
上記したような本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、たとえば次のように製造される。
【0039】
まず、二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムを製造する。ポリエステルフィルムを製造するには、たとえばポリエステルのペレットを、押出機を用いて溶融し、口金から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。
【0040】
また、ポリエステルフィルムの表面性を制御し易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するため、不活性粒子を添加することが好ましい。不活性粒子は無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などが挙げられる。
【0041】
さらに、本発明を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
【0042】
続いて、上記シートを長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。幅方向の寸法安定性を向上させるために延伸工程は、幅方向において2段階以上に分けることが好ましい。すなわち、再横延伸を行う方法が高寸法安定性の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
【0043】
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法が好ましい。
【0044】
以下、本発明の支持体の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた例を代表例として説明する。もちろん、本願はPETフィルムを用いた支持体に限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
【0045】
まず、ポリエチレンテレフタレートを準備する。ポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させる。またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
【0046】
フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させるには、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0047】
次に、得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥させる。次いで、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270〜320℃に加熱された押出機に供給する。そして、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層するには、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
【0048】
次に、このようにして得られた未延伸フィルムを、数本のロールが配置された縦延伸機を用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸し(MD延伸)、続いてステンターにより横方向の延伸を二段階で行う(TD延伸1、TD延伸2)。この二軸延伸方法について説明する。
【0049】
まず、未延伸フィルムをMD延伸する。MD延伸の延伸温度は、用いるポリマーの種類によって異なるが、未延伸フィルムのガラス転移温度Tgを目安として決めることができる。Tg−10〜Tg+15℃の範囲であることが好ましく、より好ましくはTg℃〜Tg+10℃である。上記範囲より延伸温度が低い場合には、フィルム破れが多発して生産性が低下し、本願の特徴であるMD延伸後の二段階TD延伸で安定して延伸することが困難となることがある。MD延伸倍率は2.5〜4.0倍が好ましい。より好ましくは2.8〜3.8倍、さらに好ましくは3.0〜4.0倍である。二段階のTD延伸を安定して行うにはMD延伸後のフィルムにおけるポリマー構造が重要である。MD方向へ配向させすぎるとTD延伸時に分子鎖が絡み合い局所的に応力が発生するためにフィルム破れが発生する。その局所的な応力発生を防ぐためには、応力の伝搬部として作用する微結晶状態を発生させることや、また適度なMD配向を付与することが重要である。微結晶は熱分析(DSC)による結晶化度分析で簡易的に判断することができる。結晶化度は20〜30%が好ましく、より好ましくは23〜28%である。またMD延伸後の配向パラメータとして複屈折Δnで判断することができ、Δnが0.011〜0.015であることが好ましい。また、冷結晶化温度が90〜100℃であることが好ましい。
【0050】
次に、ステンターを用いて、TD延伸を行う。幅方向の寸法安定性を向上させ、保存安定性、スリット性、製膜性が良好な二軸配向ポリエステルフィルムを得るには幅方向に、温度の異なるゾーンで二段階に延伸することが重要である。まず、一段目の延伸(TD延伸1)の延伸倍率は、好ましくは3.0〜5.0倍であり、より好ましくは3.2〜4.5倍であり、さらに好ましくは3.5〜4.0倍である。また、TD延伸1の延伸温度は好ましくは(MD延伸温度+5)〜(MD延伸温度+50)℃の範囲であり、さらに好ましくは(MD延伸温度+10)〜(MD延伸温度+30)℃の範囲で行う。次にそのままステンター内で二段目の延伸(TD延伸2)を行う。TD延伸2の延伸倍率は好ましくは1.05〜2倍であり、より好ましくは1.1〜1.8倍、さらに好ましくは1.2〜1.5倍である。TD延伸2の延伸温度は好ましくは(TD延伸1温度+50)〜(TD延伸1温度+100)℃の範囲であり、さらに好ましくは(TD延伸1温度+60)〜(TD延伸1温度+90)℃の範囲で行う。前工程の延伸温度よりも高めることにより、分子鎖の運動性が向上し、前工程での延伸による分子鎖の絡み合いを適度にほどきながら延伸することができる。特にTD延伸1とTD延伸2は同方向に延伸するため温度差を高める必要がある。
【0051】
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの結晶配向度や結晶子サイズを高めるために、TD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度以上にすることが好ましい。より好ましくは(MD延伸後のフィルムの冷結晶化温度+3)℃以上であり(MD延伸後のフィルムの冷結晶化温度+7)℃以下である。TD延伸1前の予熱でMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度以上の熱を与えることで、フィルム中に微結晶が生成し、その微結晶が延伸の結節点と作用し、より均一に応力が伝搬することから歪みが小さく均一に分子鎖を配向できる。TD延伸1の予熱温度が(MD延伸後のフィルムの冷結晶化温度+7)℃より高温であると、生成した微結晶が成長し、延伸性が悪化する傾向にある。さらに、本発明の延伸プロセスを経て熱固定処理を行うと結晶配向が高く、結晶子サイズが幅方向に成長する。結晶配向度は寸法安定性に大きく寄与し、結晶配向度が高いほど寸法安定性が良好となる。ただし、単純に延伸倍率などを高める方法で結晶配向度を高めようとすると分子鎖に歪みが大きくなり、熱による収縮などが起こりやすい。そのため、磁気テープとする際の工程で幅縮みやシワなどの問題が起こりやすくなる。TD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度以上にすることで結晶サイズが幅方向に成長しやすく結晶子サイズが大きくなると、結晶子間の距離が短くなると考えられ、収縮する非晶鎖の距離が短くなるため熱による収縮が小さくなり工程適性が良好になると考えられる。
【0052】
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定処理する。熱固定処理条件は、熱固定温度は、160〜200℃が好ましい。熱固定温度の上限は、より好ましくは190℃、さらに好ましくは185℃である。熱固定温度の下限は、より好ましくは170℃、さらに好ましくは175℃である。より好ましい範囲は170〜190℃、さらに好ましくは175〜185℃である。熱固定処理時間は0.5〜10秒の範囲、弛緩率は0〜2%で行うのが好ましい。熱固定処理後は把持しているクリップを開放することでフィルムにかかる張力を低減させながら室温へ急冷する。その後、フィルムエッジを除去しロールに巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
【0053】
本願の寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性を達成するためにはTD延伸のトータル倍率とMD延伸倍率との比が重要である。「TD延伸のトータル倍率/MD延伸倍率」の値は1.2〜2.0であることが好ましい。より好ましくは1.3〜1.8、さらに好ましくは1.4〜1.6である。「TD延伸のトータル倍率/MD延伸倍率」の値は分子鎖の配向のバランスを制御する指標となり、とくに寸法安定性を高めるにはTD配向を高める必要がある。しかしながら、単純にTD延伸のトータル倍率だけを高めてもその効果には限界があり、MD延伸を適度に制御することによってその後のTD延伸による効果を最大とすることができる。これは、延伸による配向度向上の効果はある程度の分子鎖の絡まりが必要であり、TD延伸によるTD配向の効果を最大限高めるために必要となる分子鎖の絡まりの程度を、前段のMD延伸により制御することを意味する。このMD延伸倍率の最適値は後段のTD延伸のトータル倍率と関係するため、結局、前述のような延伸倍率の比をもって好ましい状態に制御することができる。
【0054】
また、安定した製膜を行うためにTD延伸1とTD延伸2の延伸倍率比が重要である。「TD延伸1倍率/TD延伸2倍率」の値は1.8〜4.1が好ましい。より好ましくは2.2〜3.5、さらに好ましくは2.5〜3.0である。TD延伸は2段階で行うが、TD延伸1で比較的延伸倍率を高くすることが好ましい。これは、通常TD配向を高めるには最終延伸での倍率が大きいほど配向を高められるが、TD延伸2はTD延伸1より高温で延伸する必要があり、その高温のため結晶を作りやすくなる。本願の寸法安定性は一般的に言われる結晶も含めた配向ではなく、非晶部分の配向が高いことが重要であり、TD延伸2で高倍率延伸した場合は非晶部の配向が緩和しやすくなる。つまり、TD延伸1で、ある程度高倍率で延伸し高配向化させ、TD延伸2ではその高配向化が緩和しない程度に延伸することが好ましい。
【0055】
TD延伸後、熱固定処理を行うが、フィルムの配向緩和を抑制するためにTD延伸2とほぼ同等の温度で熱処理を行うことが好ましい。熱固定処理はフィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら、好ましくはTD延伸2延伸温度−5〜TD延伸2延伸温度+5℃、より好ましくはTD延伸2延伸温度−3〜TD延伸2延伸温度+3℃、さらに好ましくはTD延伸2と同温度で熱固定処理を行う。TD延伸2の延伸温度と熱固定温度を近づけることで、延伸された状態で分子構造を固定することができ、高配向化を維持したまま、分子鎖の歪みをとり、保存安定性やスリット性の悪化を抑えることができる。また、TD延伸2の延伸温度と熱固定温度に差があり、熱固定温度が高すぎると緩和しやすく寸法安定性が低下する傾向にあり、熱固定温度が低すぎると結晶性が低くなりやすくスリット性が低下しやすい。
【0056】
本願は「MD延伸−TD延伸1−TD延伸2」の延伸プロセスを行うことで、寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性が良好な二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。MD延伸とTD延伸をそれぞれ1段階で行う「MD延伸−TD延伸」や、MD延伸とTD延伸とを交互に2段階で行う「MD延伸1−TD延伸1−MD延伸2−TD延伸2」などの延伸プロセスでは、すべての物性が良好な二軸配向ポリエステルフィルムは得られにくい。
【0057】
次に、磁気記録媒体を製造する方法を説明する。
【0058】
上記のようにして得られた磁気記録媒体用支持体(二軸配向ポリエステルフィルム)を、たとえば0.1〜3m幅にスリットし、速度20〜300m/min、張力50〜300N/mで搬送しながら、一方の面(A面)に磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布する。なお、上層に磁性塗料を厚み0.1〜0.3μmで塗布し、下層に非磁性塗料を厚み0.5〜1.5μmで塗布する。その後、磁性塗料および非磁性塗料が塗布された支持体を磁気配向させ、温度80〜130℃で乾燥させる。次いで、反対側の面(B面)にバックコートを厚み0.3〜0.8μmで塗布し、カレンダー処理した後、巻き取る。なお、カレンダー処理は、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)を用い、温度70〜120℃、線圧0.5〜5kN/cmで行う。その後、60〜80℃にて24〜72時間エージング処理し、1/2インチ(1.27cm)幅にスリットし、パンケーキを作製する。次いで、このパンケーキから特定の長さ分をカセットに組み込んで、カセットテープ型磁気記録媒体とする。
【0059】
磁性塗料などの組成は例えば以下のような組成が挙げられる
[磁性塗料の組成]
・強磁性金属粉末 :100質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
・変成ポリウレタン : 10質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
・2−エチルヘキシルオレート :1.5質量部
・パルミチン酸 : 1質量部
・カーボンブラック : 1質量部
・アルミナ : 10質量部
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部。
【0060】
[バックコートの組成]
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95質量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10質量部
・アルミナ :0.1質量部
・変成ポリウレタン : 20質量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
・シクロヘキサノン :200質量部
・メチルエチルケトン :300質量部
・トルエン :100質量部。
【0061】
磁気記録媒体は、例えば、データ記録用途、具体的にはコンピュータデータのバックアップ用途(例えばリニアテープ式の記録媒体(LTO4やLTO5など))や映像などのデジタル画像の記録用途などに好適に用いることができる。
【0062】
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
【0063】
(1)ヤング率
ASTM−D882(1997年)に準拠してフィルムのヤング率を測定する。なお、インストロンタイプの引張試験機を用い、条件は下記のとおりとする。5回の測定結果の平均値を本発明におけるヤング率とする。
・測定装置:インストロン社製超精密材料試験機MODEL5848
・試料サイズ:
・フィルム幅方向のヤング率測定の場合
フィルム長手方向2mm×フィルム幅方向12.6mm
(つかみ間隔はフィルム幅方向に8mm)
・フィルム長手方向のヤング率測定の場合
フィルム幅方向2mm×フィルム長手方向12.6mm
(つかみ間隔はフィルム長手方向に8mm)
・引張り速度:1mm/分
・測定環境:温度23℃、湿度65%RH
・測定回数:5回。
【0064】
(2)幅方向の湿度膨張係数
フィルムの幅方向(TD方向)に対して、下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における湿度膨張係数とする。
・測定装置:島津製作所製熱機械分析装置TMA−50(湿度発生器:アルバック理工製湿度雰囲気調節装置HC−1)
・試料サイズ:フィルム長手方向10mm×フィルム幅方向12.6mm
・荷重:0.5g
・測定回数:3回
・測定温度:30℃
・測定湿度:40%RHで6時間保持しフィルム幅方向の寸法L(mm)を測定した。次いで、40分かけて80%RHまで昇湿し、80%RHで6時間保持したあとフィルムL’(mm)を測定した。フィルム幅方向の寸法変化量ΔL(mm)=L’−Lを求め、次式から湿度膨張係数(ppm/%RH)を算出する。
・湿度膨張係数(ppm/%RH)=10×{(ΔL/12.6)/(80−40)}。
【0065】
(3)屈折率
JIS−K7142(2008年)に従って、下記測定器を用いて測定した。
・装置:アッベ屈折計 4T(株式会社アタゴ社製)
・光源:ナトリウムD線
・測定温度:25℃
・測定湿度:65%RH
・マウント液:ヨウ化メチレン、屈折率1.74以上の場合は硫黄ヨウ化メチレン
平均屈折率n_bar=((nMD+nTD+nZD)/3)
複屈折Δn=(nMD−nTD)
nMD;フィルム長手方向の屈折率
nTD;フィルム幅方向の屈折率
nZD;フィルム厚み方向の屈折率。
【0066】
(4)融点(Tm)、微小融解ピーク温度(T−meta)、融解熱量(ΔHm)
JIS−K7121(1987年)に従って測定した。示差走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いた。試料5mgをアルミニウム製の受皿の上に置き、25℃から300℃まで、昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)、Tmの少し低温側に現れる微小吸熱ピーク温度をT−metaとした。Tmのピーク面積から算出される熱量を融解熱量ΔHmとする。
【0067】
(5)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS−K7121(1987年)に従って決定する。
・装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
・測定条件
・加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
・温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
・温度変調振幅:±1K
・温度変調周期:60秒
・昇温ステップ:5K
・試料重量 :5mg
・試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
・参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出する。
・ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2。
【0068】
(6)幅寸法安定性
1m幅にスリットしたフィルムを、張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面(A面)に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布し(上層が磁性塗料で、塗布厚0.2μm、下層が非磁性塗料で塗布厚0.9μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで反対側の表面(B面)に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧2.0×10N/mでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ(12.65mm)幅にスリットし、パンケーキを作成する。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとする。
【0069】
[磁性塗料の組成]
・強磁性金属粉末 :100質量部
〔Fe:Co:Ni:Al:Y:Ca=70:24:1:2:2:1(質量比)〕
〔長軸長:0.09μm、軸比:6、保磁力:153kA/m(1,922Oe)、飽和磁化:146Am/kg(146emu/g)、BET比表面積:53m/g、X線粒径:15nm〕
・変成塩化ビニル共重合体(結合剤) : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・変成ポリウレタン(結合剤) : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・ポリイソシアネート(硬化剤) : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) :1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部
・カーボンブラック(帯電防止剤) : 1質量部
(平均一次粒子径:0.018μm)
・アルミナ(研磨剤) : 10質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部。
【0070】
[非磁性塗料の組成]
・変成ポリウレタン : 10質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 10質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・メチルエチルケトン : 75質量部
・シクロヘキサノン : 75質量部
・トルエン : 75質量部
・ポリイソシアネート : 5質量部
(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートL(商品名))
・2−エチルヘキシルオレート(潤滑剤) :1.5質量部
・パルミチン酸(潤滑剤) : 1質量部。
【0071】
[バックコートの組成]
・カーボンブラック : 95質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.018μm)
・カーボンブラック : 10質量部
(帯電防止剤、平均一次粒子径0.3μm)
・アルミナ :0.1質量部
(αアルミナ、平均粒子径:0.18μm)
・変成ポリウレタン : 20質量部
(数平均分子量:25,000、スルホン酸基含有量:1.2×10−4当量/g、ガラス転移点:45℃)
・変成塩化ビニル共重合体 : 30質量部
(平均重合度:280、エポキシ基含有量:3.1質量%、スルホン酸基含有量:8×10−5当量/g)
・シクロヘキサノン :200質量部
・メチルエチルケトン :300質量部
・トルエン :100質量部。
【0072】
カセットテープのカートリッジからテープを取り出し、下記恒温恒湿槽内へ図1のように作製したシート幅測定装置を入れ、幅寸法測定を行う。なお、図1に示すシート幅測定装置は、レーザーを使って幅方向の寸法を測定する装置で、磁気テープ9をフリーロール5〜8上にセットしつつ荷重検出器3に固定し、端部に荷重となる分銅4を吊す。この磁気テープ9にレーザー光10を照射すると、レーザー発振器1から幅方向に線状に発振されたレーザー光10が磁気テープ9の部分だけ遮られ、受光部2に入り、その遮られたレーザーの幅が磁気テープの幅として測定される。3回の測定結果の平均値を本発明における幅とする。
・測定装置:(株)アヤハエンジニアリング社製シート幅測定装置
・レーザー発振器1、受光部2:レーザー寸法測定機 キーエンス社製LS−5040
・荷重検出器3:ロードセル NMB社製CBE1−10K
・恒温恒湿槽:(株)カトー社製SE−25VL−A
・荷重4:分銅(長手方向)
・試料サイズ:幅1/2inch×長さ250mm
・保持時間:5時間
・測定回数:3回測定。
【0073】
(幅寸法変化率:寸法安定性)
2つの条件でそれぞれ幅寸法(l、l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。具体的には、次の基準で寸法安定性を評価する。
A条件で24時間経過後lを測定して、その後B条件で24時間経過後にlを測定する。テープカートリッジのはじめから30m地点から切り出したサンプル、100m地点から切り出したサンプル、170m地点から切り出したサンプルの3点を測定した。評価Cを不合格とする。
A条件:10℃10%RH 張力0.8N
B条件:29℃80%RH 張力0.5N
・幅寸法変化率(ppm)=10×((l−l)/l
AAA:幅寸法変化率の最大値が450(ppm)未満
AA:幅寸法変化率の最大値が450(ppm)以上500(ppm)未満
A:幅寸法変化率の最大値が500(ppm)以上600(ppm)未満
B:幅寸法変化率の最大値が600(ppm)以上700(ppm)未満
C:幅寸法変化率の最大値が700(ppm)以上。
【0074】
(7)保存安定性
上記(6)と同様に、作製したカセットテープのカートリッジからテープを取り出し、次の2つの条件でそれぞれ幅寸法(l、l)を測定し、次式にて寸法変化率を算出する。具体的には、次の基準で寸法安定性を評価する。
23℃65%RHで24時間経過後に幅寸法lを測定して、40℃20%RHの環境下で10日間カートリッジを保管後、23℃65%RHで24時間経過後に幅寸法lを測定する。テープカートリッジのはじめから30m地点から切り出したサンプル、100m地点から切り出したサンプル、170m地点から切り出したサンプルの3点を測定した。評価Cを不合格とする。
・幅寸法変化率(ppm)=10×(|l−l|/l
AA:幅寸法変化率の最大値が50(ppm)未満
A:幅寸法変化率の最大値が50(ppm)以上100(ppm)未満
B:幅寸法変化率の最大値が100(ppm)以上150(ppm)未満
C:幅寸法変化率の最大値が150(ppm)以上。
【0075】
(8)スリット性
上記(6)と同様に、作製したカセットテープのカートリッジからテープを取り出し、その端部を観察し、1/2インチのスリット時に発生したヒゲを以下に示す方法により評価した。1/2インチにスリット時のスリッターのスピードは80m/分とした。ヒゲの評価は、フィルムの端面を走査型電子顕微鏡にて観察し、ヒゲの発生状況を以下の基準にて評価した。なお、ここでいうヒゲとは、繊維状に剥離したフィルム片を意味する。
AA:ヒゲの発生がほとんどない。
A:ヒゲの発生が少ない。
B:ヒゲの発生が多いがスリットができる。
C:ひげの発生が激しく、スリット中に破れが多発してスリットが困難である。
【0076】
(9)製膜性
フィルムの製膜性について、下記の基準で評価した。
AA:フィルム破れの発生がほとんどなく、安定して製膜できる。
A:フィルム破れが時々発生し、製膜安定性が若干低い。
B:フィルム破が頻繁に発生し製膜安定性は低いが、フィルムサンプルを得ることはできた。
C:フィルム破れがかなり多数発生するためフィルムサンプルを得ることもできず、製膜安定性が極めて低い。
【0077】
(10)結晶子サイズ、結晶配向度
下記条件にて広角X線回折法(透過法)を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における結晶子サイズ、結晶配向度とする。
・X線発生装置:理学電機社製4036A2型
・X線源 :CuKα線(Niフィルタ)
・出力 :40kV−20mA
・ゴニオメータ:理学電機社製2155D型
・スリット :2mmφ−1°−1°
・検出器 :シンチレーションカウンター
・アタッチメント:理学電機社製繊維試料台
・計数記録装置:理学電機社製RAD−C型
・試料サイズ :40mm×1mm
・試料厚み :1mmになるように重ねる。
【0078】
[結晶子サイズ]
下記スキャン方式で測定後下記の算出式を用いて、フィルム幅方向(TD方向)のポリエチレンテレフタレートの分子鎖主鎖方向(−105)の結晶子サイズを算出した。
・スキャン方式:2θ−θステップスキャン
・測定方向 :Through−TD
・測定範囲(2θ):5〜60°
・測定ステップ:0.05°
・計数時間 :5秒
結晶子サイズ[nm]=(K・λ)/(βcosθ)
β=(βe−βo0.5
K:係数(透過法=1.0)
λ:波長(0.15418)
βe:回折ピークの半値幅
βo:半値幅補正値(透過法=0.6°)。
【0079】
[結晶配向度]
下記スキャン方式で測定後下記の算出式を用いて、フィルム幅方向(TD方向)のポリエチレンテレフタレートの分子鎖主鎖方向(−105)の結晶配向度を算出した。
・スキャン方式:βステップスキャン
・回折ピーク :Through(−105) 2θ=約43°
・測定範囲(β):Through(−105) 0〜360°
・測定ステップ(β):0.5°
・計数時間 :5秒
結晶配向度=(180−βc)/180
βc:βスキャンの半値幅。
【0080】
(11)剛直非晶量
下記条件にて、融解熱量と冷結晶化熱量の差(ΔHm−ΔHc)、比熱差(ΔCp)を測定し、結晶化度(Χc)と可動非晶量(Χma)を算出しさらに下記式から剛直非晶量(Χra)を算出した。
【0081】
[融解熱量と冷結晶化熱量の差]
・測定手法 :通常DSC法
・測定装置 :TA Instruments社製Q1000
・データ処理:TA Instruments社製 ”Universal Analysis2000”
・雰囲気 :窒素流(50mL/min)
・温度,熱量校正:高純度インジウム(Tm=156.61℃,ΔHm=28.70g/J)
・温度範囲 :0〜300℃
・昇温速度 :10℃/min
・試料量 :10mg
・試料容器 :アルミニウム製標準容器
・測定回数 :2回。
【0082】
[比熱差]
・測定手法 :温度変調DSC法
・測定装置 :TA Instruments社製Q1000
・データ処理:TA Instruments社製 ”Universal Analysis2000”
・雰囲気 :窒素流(50mL/min)
・温度,熱量校正:高純度インジウム(Tm=156.61℃,ΔHm=28.70g/J)
・比熱校正 :サファイア
・温度範囲 :0〜200℃
・昇温速度 :2℃/min
・試料量 :5mg
・試料容器 :アルミニウム製標準容器
・測定回数 :2回。
【0083】
[剛直非晶量]
・結晶化度(Χc)[%]=((ΔHm−ΔHc)/PET(またはPEN)の完全結晶融解熱量)×100
ΔHm:融解熱量[J/g]
ΔHc:冷結晶化熱量[J/g]
PETの完全結晶融解熱量:140.10[J/g]
PENの完全結晶融解熱量:103.31[J/g]
・可動非晶量(Χma)[%]=(ΔCp/PET(またはPEN)の完全非晶比熱差)×100
ΔCp:Tg前後での比熱差
PETの完全非晶比熱差:0.4052J/g℃
PENの完全非晶比熱差:0.3372J/g℃
・剛直非晶量(Χra)[%]=100−(Χc+Χma)。
【0084】
ここで、PETの含有量がフィルム組成中50質量%を超える場合、PETの完全結晶融解熱量とPETの完全非晶比熱量を用い、一方、PENの含有量がフィルム組成中50質量%を超える場合、PENの完全結晶融解熱量とPEN完全非晶比熱量を用いる。なお、PETとPENが等量(50質量%)の場合、実質上結晶を形成しないため、融解熱量(ΔHm)が得られない。
【0085】
(12)工程適性
1m幅にスリットしたフィルムを、張力200Nで搬送させ、支持体の一方の表面(A面)に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布し(上層が磁性塗料で、塗布厚0.2μm、下層が非磁性塗料で塗布厚0.9μm)、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いで反対側の表面(B面)に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧2.0×10N/mでカレンダー処理した後巻き取った。幅方向の収縮量や塗布の状態から工程適性を下記の基準で評価した。
AA:幅方向の収縮量が5mm未満で問題なく磁性層、下層、バックコート層が形成された。
A:幅方向の収縮量が5mm以上、10mm未満で磁性層、下層、バックコート層が形成された。
B:幅方向の収縮量が10mm以上、20mm未満またはシワが発生し磁性層、下層、バックコート層の一部に塗布ムラが見られた。
C:幅方向の収縮量が20mm以上、またはシワが激しく発生し磁性層、下層、バックコート層の塗布が行えなかった。
【実施例】
【0086】
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリエチレンナフタレートをPEN、ポリエーテルイミドをPEIと表記する。
【0087】
(参考例1)
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム4水塩0.1質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量部エチレングリコール溶液を1質量部(リン酸トリメチルとして0.05質量部)添加した。
【0088】
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達したら、反応内容物を重合装置へ移行した。
【0089】
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのPETペレットXを得た。(Tm=255℃、Tg=78℃)。
【0090】
(参考例2)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1にて作製したPETペレットXを99質量部と平均径0.06μmのコロイダルシリカ粒子の10質量部水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.06μmのコロイダルシリカ粒子を1質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ0.06を得た。
【0091】
(参考例3)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例1にて作製したPETペレットXを98質量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10質量部水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ0.3を得た。
【0092】
(参考例4)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例2と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.62のPETペレットZ0.8を得た。
【0093】
(参考例5)
温度300℃に加熱されたニーディングパドル混練部を3箇所設けた同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に、参考例1で得られたPETペレットXの50質量部とSABICイノベーティブプラスチック社製のPEI“Ultem1010”のペレット50質量部を供給し、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップ(I)を作製した。
【0094】
(参考例6)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100質量部とエチレングリコール60質量部の混合物に、酢酸マンガン・4水和物塩0.03質量部を添加し、150℃の温度から240℃の温度に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行った。途中、反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024質量部を添加した。また、反応温度が220℃に達した時点で3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩0.042質量部(2mmol%に相当)を添加した。その後、引き続いてエステル交換反応を行い、トリメチルリン酸0.023質量部を添加した。次いで、反応生成物を重合装置に移し、290℃の温度まで昇温し、30Paの高減圧下にて重縮合反応を行い、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.65のPENペレットX’を得た。
【0095】
(参考例7)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例6にて作製したPENペレットX’を99質量部と平均径0.06μmのコロイダルシリカ粒子の10質量部水スラリーを10質量部(コロイダルシリカ粒子として1質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.06μmのコロイダルシリカ粒子を1質量部含有する固有粘度0.65のPENペレットZ’0.06を得た。
【0096】
(参考例8)
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、参考例6にて作製したPENペレットX’を98質量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10質量部水スラリーを20質量部(球状架橋ポリスチレンとして2質量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.65のPENペレットZ’0.3を得た。
【0097】
(参考例9)
平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子ではなく平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を用いたこと以外、参考例8と同様の方法にて、平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2質量部含有する固有粘度0.65のPENペレットZ’0.8を得た。
【0098】
(実施例1)
押出機E、F2台を用いた。参考例1、2で得られたPETペレットX80質量部、PETペレットZ0.0620質量部をそれぞれ180℃で3時間減圧乾燥した後、280℃に加熱された押出機Eに供給した。参考例1、3、4で得られたPETペレットX84質量部、PETペレットZ0.315質量部、およびPETペレットZ0.81質量部をそれぞれ180℃で3時間減圧乾燥した後、280℃に加熱された押出機Fに供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比 押出機E(A面側)/押出機F(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながらB面側がキャスティングドラムに接触するように密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
【0099】
続いて、得られた積層未延伸フィルムを加熱したロール群で予熱した後、90℃の温度で3.3倍延伸を行い(MD延伸)、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の85℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に105℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.7倍延伸し(TD延伸1)、さらに続いて180℃の温度の加熱ゾーンでに幅方向に1.3倍延伸した(TD延伸2)。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで180℃の温度で5秒間の熱処理を施し、さらに180℃の温度で1%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、25℃に均一に冷却後、フィルムエッジを除去し、コア上に巻き取って厚さ5μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0100】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性に優れた特性を有していた。
【0101】
(実施例2)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際にMD方向のヤング率が低いためやや保存安定性やスリット性が劣るものの寸法安定性、製膜性に優れた特性を有していた。
【0102】
(実施例3)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際にMD方向のヤング率が高いためやや製膜性が劣るものの寸法安定性、保存安定性、スリット性に優れた特性を有していた。
【0103】
(実施例4)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際にTD方向のヤング率が低いためやや寸法安定性が劣るものの保存安定性、スリット性、製膜性に優れた特性を有していた。
【0104】
(実施例5)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際にTD方向のヤング率が高いためややスリット性や製膜性が劣るものの寸法安定性、保存安定性に優れた特性を有していた。
【0105】
(実施例6)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際に結晶性が低いためやや保存安定性やスリット性が劣るものの寸法安定性、製膜性に優れた特性を有していた。
【0106】
(実施例7)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際に結晶性が高いためやや寸法安定性が劣るものの保存安定性、スリット性、製膜性に優れた特性を有していた。
【0107】
(実施例8)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際に平均屈折率n_barが低いためやや製膜性が劣るものの寸法安定性、保存安定性、スリット性に優れた特性を有していた。
【0108】
(実施例9)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、磁気テープとして使用した際に平均屈折率n_barが高いためやや寸法安定性が劣るものの保存安定性、スリット性、製膜性に優れた特性を有していた。
【0109】
(実施例10)
押出機E、F2台を用い、295℃に加熱された押出機Eには、参考例1、2、5で得られたPETペレットX70質量部、PETペレットZ0.0620質量部、ブレンドチップ(I)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく295℃に加熱された押出機Fには、参考例1、3、4、5で得られたPETペレットX74質量部、PETペレットZ0.315質量部、PETペレットZ0.81質量部、ブレンドチップ(I)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比E(A面側)/F(B面側)=7/1)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製したことと表1の通り製膜条件を変更したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0110】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性に優れた特性を有していた。
【0111】
(実施例11)
実施例1で用いたPETペレットX、PETペレットZ0.06、PETペレットZ0.3、PETペレットZ0.8を参考例6、7、8、9で得られたPENペレットX’、PENペレットZ’0.06、PENペレットZ’0.3、PENペレットZ’0.8に変更し積層未延伸フィルムを作製したことと表1の通り製膜条件を変更したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを評価したところ、表に示すように、寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性にやや優れた特性を有していた。
【0112】
(実施例12)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムはTD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度(92℃)より高温化(95℃)したことで幅方向の分子鎖主鎖方向の結晶子サイズが大きく、結晶配向度が高く、剛直非晶量が多くなり、表に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性、工程適性に優れた特性を有していた。
【0113】
(実施例13)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムはTD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度より高温化したことで幅方向の分子鎖主鎖方向の結晶子サイズが大きく、結晶配向度が高く、剛直非晶量が多くなり、表に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性、工程適性に優れた特性を有していた。
【0114】
(実施例14)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムはTD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度より過度に高温化したことで製膜性はやや劣るが、幅方向の分子鎖主鎖方向の結晶子サイズが大きく、結晶配向度が高く、剛直非晶量が多くなり、表に示すように、磁気テープとして使用した際に寸法安定性、保存安定性、スリット性、工程適性に優れた特性を有していた。
【0115】
(実施例15)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムはTD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度よりやや低いため、幅方向の分子鎖主鎖方向の結晶子サイズを成長させる効果がやや小さく、表に示すように、磁気テープとして使用した際に工程適性にやや劣るものの、寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性、優れた特性を有していた。
【0116】
(実施例16)
表の通り製膜条件を変更した以外は実施例11と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。ポリエチレンナフタレートはMD延伸後のフィルムの結晶化度が高いためTD延伸1の予熱温度をMD延伸後のフィルムの冷結晶化温度より高くしても、製膜性が悪化し、結晶化の進行と配向緩和が起こり、表に示すように、磁気テープとして使用した際に工程適性にやや優れるものの、寸法安定性、保存安定性、スリット性、製膜性にやや劣る特性を有していた。
【0117】
(実施例17)
表の製膜条件で延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。熱固定温度がTD延伸2温度よりも高いため、平均屈折率n_barが本願の最も好ましい範囲外のため得られた二軸配向ポリエステルフィルムは寸法安定性がやや劣っていた。
【0118】
(比較例1)
表の製膜条件で延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。TDヤング率とMDヤング率の比が小さいため、製膜性が悪化し、得られた二軸配向ポリエステルフィルムは寸法安定性が大きく劣っていた。
【0119】
(比較例2)
表の製膜条件で延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。TDヤング率とMDヤング率の比が大きいため、湿度膨張係数が大きくなり、製膜性が悪化し、得られた二軸配向ポリエステルフィルムは保存安定性やスリット性が大きく劣っていた。
【0120】
(比較例3)
表の製膜条件で延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。TD延伸1倍率とTD延伸2倍率の比(TD延伸1倍率/TD延伸2倍率)が小さいため湿度膨張係数が大きくなり、製膜性が悪化し、得られた二軸配向ポリエステルフィルムは寸法安定性が大きく劣っていた。
【0121】
(比較例4)
表の製膜条件で延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。熱固定温度がTD延伸2温度よりも低いため、平均屈折率n_barが本願の範囲外のため得られた二軸配向ポリエステルフィルムは寸法安定性やスリット性が劣っていた。
【0122】
(比較例5)
表の製膜条件で延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。熱固定温度がTD延伸2温度よりも低く、また、微小融解ピーク温度T−metaが本願の範囲外のため得られた二軸配向ポリエステルフィルムは寸法安定性や保存安定性、スリット性が大きく劣っていた。
【0123】
(比較例6)
表の製膜条件で延伸したこと以外は実施例1と同様に二軸配向ポリエステルフィルムを得た。熱固定温度がTD延伸2温度よりも高く、また、微小融解ピーク温度T−metaが本願の範囲外のため得られた二軸配向ポリエステルフィルムは寸法安定性が大きく劣っていた。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【符号の説明】
【0129】
1:レーザー発振器
2:受光部
3:荷重検出器
4:荷重
5:フリーロール
6:フリーロール
7:フリーロール
8:フリーロール
9:磁気テープ
10:レーザー光
図1