特許第5796601号(P5796601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796601
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/30 20060101AFI20151001BHJP
   B65H 18/16 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B65H19/30
   B65H18/16
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-114012(P2013-114012)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-231429(P2014-231429A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2015年2月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154705
【氏名又は名称】株式会社片岡機械製作所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 雄
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−247507(JP,A)
【文献】 特開平01−203142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/30
B65H 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される複数条の帯状シートをその幅方向に並ぶ順に上下に交互に振分けて、巻芯支持装置により端部を支持された個々の巻芯のまわりに一斉に巻取り、その巻取りによって形成された巻取ロールを、前記巻芯支持装置の反帯状シート供給側に配置した受取部と前記巻芯支持装置との間に配置した搬出装置により前記受取部上に搬出する巻取装置において、前記搬出装置は、前記巻芯支持装置から巻取ロールを受取って前記受取部上に転出させるための、台車上に上下に並び個々に昇降することができ、かつ巻取ロール受取姿勢と巻取ロール転出姿勢をとることができる二つの受具を備え、前記受具は、前記巻取ロールの中心軸線に平行な軸線を中心に傾動可能な傾動枠と、前記傾動枠の上側に装着した一つ又は複数の案内支持腕と、前記案内支持腕の上側に該案内支持腕沿いに移動自在に装着した、前記巻取ロールを載置する可動受台とからなり、前記案内支持腕の先端は前記傾動枠から前記巻芯支持装置に向けて突出しており、前記受具が前記巻取ロール受取姿勢をとると前記案内支持腕は水平方向に向き、前記受具が巻取ロール転出姿勢をとると前記案内支持腕はその先端が上昇する方向に傾くことを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
供給される複数条の帯状シートをその幅方向に並ぶ順に上下に交互に振分けて、巻芯支持装置により両端支持した個々の巻芯のまわりに一斉に巻取り、その巻取りによって形成された巻取ロールを、前記巻芯支持装置の反帯状シート供給側に配置した受取部と前記巻芯支持装置との間に配置した搬出装置により前記受取部上に搬出する巻取装置において、前記搬出装置は、前記巻芯支持装置から巻取ロールを受取って前記受取部上に転出させるための、固定位置に設置した基台に上下に並び個々に昇降することができ、かつ巻取ロール受取姿勢と巻取ロール転出姿勢をとることができる二つの受具を備え、前記巻芯支持装置は、帯状シート長手方向かつ水平方向に移動して前記受具上に巻取ロールを開放することができ、前記受具は、前記巻取ロールの中心軸線に平行な軸線を中心に傾動可能な傾動枠と、前記傾動枠の上側に装着した一つ又は複数の案内支持腕と、前記案内支持腕の上側に該案内支持腕沿いに移動自在に装着した、前記巻取ロールを載置する可動受台とからなり、前記案内支持腕の先端は前記傾動枠から前記巻芯支持装置に向けて突出しており、前記受具が前記巻取ロール受取姿勢をとると前記案内支持腕は水平方向に向き、前記受具が巻取ロール転出姿勢をとると前記案内支持腕はその先端が上昇する方向に傾くことを特徴とする巻取装置。
【請求項3】
前記案内支持腕は、前記傾動枠の後部に前記巻取ロールの中心軸線に平行に固設したレールの頭部に該レール長手直角方向に移動不能にかつ該レール長手方向にスライド自在に装着すると共に前記傾動枠の前部の上面に載せたものである請求項1又は請求項2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記可動受台は、前記案内支持腕を跨ぐ一対の脚部と、前記一対の脚部に前記案内支持腕の長手方向に間隔をとって装着した、前記案内支持腕の上面上を転がる複数の第1車輪と、前記一対の脚部のうちの片方毎に少なくとも一つずつ装着した、前記案内支持腕の側面上を転がる第2車輪とを備える請求項1又は請求項2に記載の巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
供給される複数条の帯状シートをその幅方向に並ぶ順に上下に交互に振分けて、巻芯支持装置により両端支持された個々の巻芯のまわりに一斉に巻取り、その巻取りによって形成された巻取ロールを搬出装置により搬出する巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻取装置に供給される複数条の帯状シートは、通常、帯状原シートをスリッターにより所要幅に分割したものであり、最近では、帯状原シートの幅が広幅化すると共にスリッターによる分割幅も多様化している。そして個々の巻芯上に巻取る帯状シートの巻取長さも長くなる傾向にあり、巻取装置において大重量の巻取ロールや幅の狭い巻取ロールが形成されようになっている。
【0003】
従来、巻取装置には、台車上に昇降可能な巻取ロール受具を上下2段に備えた搬出装置によって、巻取ロールを巻芯支持装置から巻取ロール受具上に受取り、後方に設置された受取台に転出させるものがある。巻取ロール受具は、巻取ロール側へ突き出た複数の腕部材を備えており、各腕部材の後端部は、左右の昇降枠間に渡し設けた支軸の外周に、夫々回転可能に装着してある。そして各腕部材は、支軸の前方において左右の昇降枠間に渡し設けた梁部材により、巻取ロールを巻芯支持装置から受取るとき略水平になるように下から支えられており、巻取ロールを受取台上へ転出させるとき、梁部材に沿って延びた昇降する可動バーにより押上げられ、先端が上昇する方向に一斉に傾くことができるようになっている。
【0004】
この巻取装置では、巻芯支持装置から巻取ロール受具上に受取るとき、巻取ロール受具に備えた腕部材を水平姿勢にしておき、この腕部材の先端部に巻取ロールを受取った後、腕部材をその先端が上昇する方向に傾けることによって、その腕部材上の巻取ロールを、それに作用する重力の働きによって腕部材の上を転がして、腕部材の先端部から後端部まで移動させると共に腕部材の後端部から受取台上に転出させるようにすることができる。
【0005】
ところが、腕部材を傾けることによって巻取ロールを腕部材の先端部から後端部までその腕部材の上面を転がして移動させると、巻取ロールの転がり速度が後端部では大きくなるので、特に巻取ロールが大重量の場合、受取台を通り越して落下しないようにストッパーを設ける必要がある。またストッパーを設けたとしても、巻取ロールがストッパーに衝突した際に巻取ロールを傷つけてしまう恐れがある。また幅の狭い巻取ロールは転がる途中、腕部材から落下することもある。
【0006】
そこで、巻取ロールが大重量のものや幅の狭いものである場合、巻取ロールを腕部材の先端部に受取ると、腕部材を水平に保った状態で、その腕部材上の巻取ロールを作業者が転がして腕部材の先端部から後端部まで移動させることが必要になる。
【0007】
しかし、水平状態の腕部材上に載せた巻取ロールを転がして腕部材の先端部から後端部まで移動させる作業は、巻取ロールが腕部材から転落しないよう慎重に行う必要があり、作業者の労力の負担を増大させると共に時間がかる。しかも巻取ロールが腕部材の上面を転がる際に、その巻取ロールが傷付き易い。
【0008】
更に、従来の巻取ロール受具では、各腕部材の後端部を支軸の外周に夫々回転可能に装着するために、各腕部材の後端部に夫々貫通穴を形成し、この貫通穴を支軸の外周面にすきまばめしているので、支軸の外径を大きくすることが難しく、支軸は左右の昇降枠間に渡し設けており両端支持の状態にあるので、撓み易いものとなり、幅が広く十分な機械的強度を有する巻取ロール受具を得ることは構造的に困難である。そのため、従来の巻取ロール受具を備えた搬出装置は、巻芯上への帯状シートの巻取長さを長くする等により大重量となる巻取ロールを形成する巻取装置には適用できなくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−247507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述のような問題点に鑑み、巻取ロールが大重量のものや幅の狭いものであっても、その巻取ロールを傷付けることなく容易に確実に搬出することができる、巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、供給される複数条の帯状シートをその幅方向に並ぶ順に上下に交互に振分けて、巻芯支持装置により端部を支持された個々の巻芯のまわりに一斉に巻取り、その巻取りによって形成された巻取ロールを、前記巻芯支持装置の反帯状シート供給側に配置した受取部と前記巻芯支持装置との間に配置した搬出装置により前記受取部上に搬出する巻取装置において、前記搬出装置は、前記巻芯支持装置から巻取ロールを受取って前記受取部上に転出させるための、台車上に上下に並び個々に昇降することができ、かつ巻取ロール受取姿勢と巻取ロール転出姿勢をとることができる二つの受具を備え、前記受具は、前記巻取ロール中心軸線に平行な軸線を中心に傾動可能な傾動枠と、前記傾動枠の上側に装着した一つ又は複数の案内支持腕と、前記案内支持腕の上側に該案内支持腕沿いに移動自在に装着した、前記巻取ロールを載置する可動受台とからなり、前記案内支持腕の先端は前記傾動枠から前記巻芯支持装置に向けて突出しており、前記受具が前記巻取ロール受取姿勢をとると前記案内支持腕は水平方向に向き、前記受具が巻取ロール転出姿勢をとると前記案内支持腕はその先端が上昇する方向に傾くこと特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、受具は、帯状シート幅方向に平行な軸線を中心に傾動可能な傾動枠と、前記傾動枠の上側に装着した一つ又は複数の案内支持腕と、前記案内支持腕の上側に該案内支持腕に沿って移動自在に装着した、前記巻取ロールを載置する可動受台とからなることにより、巻取ロールを載せたときの撓みを小さくすることができる堅牢な受具を得ることができると共に、巻取ロールを可動受台と共に案内支持腕に沿って先端部から後端部に安定性よく円滑に移動させることができ、その後、受具を傾けて受取部上に転出させることができるので、巻取ロールが移動中に傷付く心配がなく、また幅の狭い巻取ロールが受具から転落するのを防ぐことができ、更に、大重量の巻取ロールを受取部へ比較的小さい力によって短時間で移動させることができる。したがって、巻取ロールが大重量のものや幅の狭いものであっても、その巻取ロールを傷付けることなく容易に確実に搬出することができる巻取装置を提供することができる。
【0013】
また、搬出装置は、固定位置に設置した基台上に上下に並び個々に昇降することができ、かつ巻取ロール受取姿勢と巻取ロール転出姿勢をとることができる二つの受具を備え、巻芯支持装置は、帯状シート長手方向かつ水平方向に移動して受具上に巻取ロールを開放することができることによって、巻取ロールを両端支持する巻芯支持装置は巻取ロールを確実に支持して移動することができるので、巻取ロール完成後は巻芯支持装置の移動速度の高速化が可能であり、それによって巻芯支持装置の巻取ロール開放位置への移動時間の短縮を図ることができ、また受取った巻取ロールを受取部上に転出させるための受具は水平方向に移動する必要がなくなる。したがって、巻取ロールの搬出時間を短縮することが可能になる。また搬出装置の構造を簡素化すると共に巻取装置の占有床面積を小さくすることができる。
【0014】
また、案内支持腕は、傾動枠の後部に巻取ロールの中心軸線に平行に固設したレールの頭部に該レール長手直角方向に移動不能にかつ該レール長手方向にスライド自在に装着すると共に前記傾動枠の前部の上面に載せたものであることにより、傾動枠に対してレール沿いに容易に位置変え可能になるので、受具は、巻芯支持装置上の各巻取ロールの配置や巻取ロール幅の変更に容易に短時間で対応することができるものとなり、多様な幅の巻取ロールの形成、搬出に適用可能な巻取装置を得ることができる。
【0015】
また、可動受台は、案内支持腕を跨ぐ一対の脚部と、この一対の脚部に案内支持腕の長手方向に間隔をとって装着した、案内支持腕の上面上を転がる複数の第1車輪と、前記一対の脚部のうちの片方毎に少なくとも一つずつ装着した、前記案内支持腕の側面上を転がる第2車輪とを備えることにより、構造が比較的簡単で案内支持腕上を安定性よく円滑に移動可能なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明の一実施例に係る巻取装置の側面図である。
図2図2は巻芯支持装置の正面図である。
図3図3は搬出装置の正面図である。
図4図4は可動受台の側面図である。
図5図5は可動受台の正面図である。
図6図6図4におけるA-A矢視断面図である。
図7図7は、巻芯支持装置が巻取ロール開放位置につき、台車が巻取ロール受取位置についた状態を示す側面図である。
図8図8は、下側の受具が巻取ロール転出可能高さに配置された状態を示す説明図である。
図9図9は、巻取ロールを載せた可動受台が案内支持腕上の移送完了位置についた状態を示す説明図である。
図10図10は、受具が巻取ロール搬出姿勢をとった状態を示す説明図である。
図11図11は、上側の受具が巻取ロール転出可能高さに配置された状態を示す説明図である。
図12図12は本発明の他の実施例に係る巻取装置の側面図である。
図13図13は巻芯支持装置が巻取ロール開放位置についた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至図11は本発明の一実施例を示す。図1において、巻取装置1は、供給される複数条の帯状シートSをその幅方向に並ぶ順に上下に交互に振分けて、巻芯支持装置2より両端支持された個々の巻芯Cのまわりに一斉に巻取ることにより巻取ロールRを形成し、その巻取ロールRを、巻芯支持装置2の反帯状シート供給側に配置した受取部3と巻芯支持装置2との間に配置した搬出装置4により受取部3上に搬出する。
【0018】
この実施例では、供給される帯状シートSは、上流側に配置したスリッター5により広幅の帯状シートS0を2条に分割したものであり、夫々最終的にタッチローラ6を経て巻芯Cのまわりに巻取られる。このタッチローラ6は帯状シート巻取中に巻取ロールRの外周面に接触する。
【0019】
図2に示すように巻芯支持装置2は、二つの横部材7aが上下に間隔をとって配置している機枠7と、横部材7aに沿いに移動して所要位置につくことができる、巻芯C毎に一対になる巻取アーム8とを備え、一対となる巻取アーム8の先端部に向かい合わせに設けた巻芯チャック9を巻芯Cの両端部に係合離脱させることにより、巻芯Cを支持、開放可能である。一対のアーム8には帯状シート巻取時に巻芯Cを回転駆動するためのモータ10が設けてある。
【0020】
機枠7は、図1に示すように基台11上に固設した、帯状シート長手方向かつ水平方向に伸長するレール12にスライド可能に装着してあり、機枠7を公知の駆動機構13によりレール12に沿って駆動することで、巻芯支持装置2はレール12沿いに移動して、図7に実線で示す巻取ロール開放位置と、当該巻芯支持装置が支持する巻芯Cが図1に二点鎖線で示すようにタッチローラ6に接触状態になる巻取開始位置とにつくことができ、更に帯状シート巻取中は巻取ロールRの巻太りに応じてタッチローラ6から後退することができるようになっている。この実施例の場合、巻取ロール開放位置は、タッチローラ9と巻取ロールRとの間で帯状シートSを幅方向に切断するための帯状シート切断位置も兼ねている。
【0021】
搬出装置4は、巻芯支持装置2から巻取ロールRを受取って受取部3上に転出させるための二つの受具15を備えている。この二つの受具15は、台車14上に上下に並び個々に昇降することができ、かつ巻取ロール受取姿勢と巻取ロール転出姿勢をとることができる。台車14は巻芯支持装置2から受取部3へ向けて伸長したレール14aに沿って移動可能であり、図1に示す巻取ロール転出位置と図7に示す巻取ロール受取位置とにつくことができる。この実施例では巻取ロール転出位置は台車14の待機位置を兼ねている。
【0022】
二つの受具15を個々に昇降することができるようにするために、図3に示すように、各受具15を夫々左右で一対になる昇降体16で両端支持し、台車14上に巻取ロールRの幅方向に間隔をとって左右一対になる柱17を設け、この一対の柱17に夫々設けたレール18に各一対の昇降体16を昇降可能に装着すると共に、各一対の昇降体16毎に昇降駆動機構19を備え、各一対の昇降体16を昇降駆動機構19により駆動して所要高さに位置付け可能にしている。
【0023】
昇降駆動機構19は、各柱17に配置した、左右で一対になるネジ棒20と、その一対のネジ棒20を同期して正逆両方向に回転駆動することができる公知の回転駆動機構21と、ネジ棒20に螺合すると共に昇降体16に固着したメネジ体22とからなる。
【0024】
受具15が夫々巻取ロール受取姿勢と、巻取ロール転出姿勢をとることができるようにするために、受具15の左右両側面から突出した、巻取ロールRの中心軸線に平行な軸線を中心軸線とする軸部材23を、昇降体16に設けた軸受24で保持すると共に、昇降体16と受具15との間に流体圧シリンダ装置25を設け、この流体圧シリンダ装置25により受具15を押し引きすることで、軸部材23を中心に受具15を回動させることができるようにしている。
【0025】
受具15は、軸部材23を中心に傾動可能な傾動枠26と、この傾動枠26の上側に装着した複数の案内支持腕27と、案内支持腕27の上側に該案内支持腕27に沿って移動自在に装着した、巻取ロールRを載置する可動受台28とからなり、案内支持腕27の先端は傾動枠26から巻芯支持装置2に向けて突出している。そして受具15が巻取ロール受取姿勢をとると案内支持腕27が図1に示すように水平方向に向き、受具15が巻取ロール転出姿勢をとると図10に示すように案内支持腕27はその先端が上昇する方向に傾くことになる。
【0026】
図1に示すように、傾動枠26は、その前部を構成する断面が四角形状の梁部材29と、その後部を構成する円筒状の梁部材30と、梁部材29と梁部材30とを繋ぐ複数の板状の接合部材31とからなる。そして前述の軸部材23は後部の梁部材30の両端に固着してある。案内支持腕27は、傾動枠26の後部の梁部材30上に巻取ロールRの中心軸線に平行に固設したレール32の頭部に該レール長手直角方向に移動不能にかつ該レール長手方向にスライド自在に装着すると共に傾動枠26の前部の梁部材29の上面に載せてある。図3に示すように流体圧シリンダ装置25のビストンロッドの先端部が最も外側の接合部材31に連結してあり、流体圧シリンダ装置25のシリンダの一端が昇降体16に連結してある。
【0027】
図4及び図5に示すように、可動受台28は、それが案内支持腕27上を安定性よく、かつ小さい抵抗で移動することができるようにするために、案内支持腕27を跨ぐ一対の脚部33と、この一対の脚部33に案内支持腕27の長手方向に間隔をとって装着した、案内支持腕27の上面上を転がる二つの第1車輪34と、一対の脚部33のうちの片方毎に二つずつ装着した、案内支持腕2の側面上を転がる第2車輪35とを備えている。第1車輪34は、一対の脚部33に両端を固着した車軸34aと、車軸34aの外周面の所定位置に装着したベアリング34bからなり、第2車輪35は片方の脚部33に両端を固着した車軸35aと、車軸35aの外周面の所定位置に装着したベアリング35bとからなる。また脚部33は可動受台28の本体部材の下面に、図示しないボルトで固着してある。また案内支持腕27の前後の端部には脚部33に係合可能なストッパー27aを設け、可動受台28が案内支持腕27の両端から脱落しないようにしている。
【0028】
図6に示すように、片方の脚部33には軸棒36aを進出位置と後退位置に保持することができるノブ付きのインデックスプランジャー36が装着してあり、その軸棒36aを案内支持腕27の先端付近の側面に形成した穴37に嵌めることにより、可動受台28を案内支持腕27の先端部にある待機位置に拘束することができる。
【0029】
次に、この実施例の巻取装置1において形成された巻取ロールRを受取部3上に搬出する動作について説明する。帯状シート巻取中、搬出装置4では、図1に示すように台車14は待機位置に待機し、上下の受具15は夫々巻取ロール受取姿勢をとって待機位置に待機し、可動受台28は案内支持腕27の先端部にある待機位置について拘束されている。帯状シートSの幅や供給位置の変更等により巻芯支持装置2上の巻取ロールRの幅や位置が変わった場合には、巻取ロールRを適正位置で支えるために位置替えが必要な案内支持腕27をレール32に沿って所要位置に移動することにより、傾動枠26上の案内支持腕27の配置替えをしておく。
【0030】
巻取ロールRが巻上がると、巻芯支持装置2は、図1に示す巻取完了位置から図7に示す帯状シート切断位置に移動し、帯状シートSがタッチローラ6と巻取ロールRとの間で切断される。また搬出装置4では、台車14が上下の受具15と共に図7に示すように巻取ロール受取位置まで前進して、案内支持腕27上の待機位置にある可動受台28が巻取ロールRの真下に進入し、その後、必要に応じて上下の受具15が上昇して、巻芯支持装置2が支持している巻取ロールRに可動受台28が接触又は接近する。次いで、巻芯支持装置2が巻取ロールRを開放し、その巻取ロールRを受具15は可動受台28上に受取る。その後、台車14は受取部3へ向けて後退して、図1に示す巻取ロール転出位置につく。
【0031】
台車14がロール転出位置についた後、上下の受具15から巻取ロールRを受取部3上へ転出させるには、先ず、図8に示すように下側の受具15を巻取ロール転出可能高さ配置すると共に上側の巻取ロールRを受具15と共に下側の巻取ロールの上方に退避させ、次いで、下側の巻取ロールRを可動受台28と共に案内支持腕27沿いにその後端側へ移動して、図9に示すように移送完了位置につけた後、下側の受具15に、図10に示すように巻取ロール転出姿勢をとらせて、下側の巻取ロールを受取部3上に転出させ、次に、図11に示すように上側の受具15を巻取ロール転出可能高さに配置すると共に下側の受具15を上側の受具15の下方に退避させ、併せて受取部3上に転出した下側の巻取ロールRを他の場所へ移動し、次いで、上側の巻取ロールRを可動受台28と共に案内支持腕27沿いにその後端側へ移動して、図9に示すように移送完了位置につけ、その後、上側の受具15に、図10に示すように巻取ロール転出姿勢をとらせて、上側の巻取ロールRを受取部3に転出させる。
【0032】
上下の受台15を巻取ロール転出可能位置に配置したり退避させたりするには、各々の昇降駆動機構19によって上下の受具15を夫々所要の高さに昇降させる。そのためには、回転駆動機構21を作動させて各一対のネジ棒20を所要方向に回転駆動することにより、一対の昇降体16を昇降させる。上下の受具15の巻取ロール転出可能高さは、可動受台28に載せてある巻取ロールRが支障なく受取部3上へ転出可能であるときの上下の受具15の高さである。巻取ロールRを可動受台28と共に案内支持腕27上の移送完了位置につけるには、作業者が、インデックスプランジャー36を操作して可動受台28の拘束を解いた後、巻取ロールRを手で押して移動する。なお必要に応じて可動受台28を案内支持腕27沿いに駆動する機構を設けて省力化してもよい。また、上下の受具15に巻取ロール転出姿勢をとらせるには、各々の流体圧シリンダ装置25を、受具15を引く方向に作動させる。受具15に巻取ロール転出姿勢をとらせると、傾動枠26と共に案内支持腕27並びに可動受台2が傾き、可動受台28上から巻取ロールRが受取部3上に転出する。その後、流体圧シリンダ装置25を、受具15を押す方向に作動させ、受具15を巻取ロール受取姿勢に戻す。
【0033】
受取部3上に転出した巻取ロールRを他の場所へ移動させるには、作業者が他の台車等に載せて運んでもよいが、受取部3の上部をコンベヤ装置で構成し、このコンベヤ装置により、その上に転出した巻取ロールを搬送するようにするとよい。
【0034】
上下の巻取ロールRの受取部3への転出終わると、その後、上下の受具15が上昇して図1に示す位置に配置され、その状態で待機する。その後、作業者が可動受台28を案内支持腕27の先端側へ移動して待機位置につけ、その位置に拘束して待機させる。
【0035】
図12及び図13は本発明の巻取装置の他の実施例を示す。図12及び図13では巻取装置を構成する部材のうち前述の実施例の巻取装置を構成する部材に相当するものには前述の実施例と同じ符号を付している。この実施例では、搬出装置4は、巻芯支持装置2から巻取ロールRを受取って受取部3上に転出させるための、固定位置に配置した基台37上に上下に並び個々に昇降することができ、かつ巻取ロール受取姿勢と巻取ロール転出姿勢をとることができる二つの受具15を備え、巻芯支持装置2は、帯状シート長手方向かつ水平方向に移動して、二つの受具15上に巻取ロールRを開放する点で、前述の実施例と相違している。また受具15は水平方向に移動しないので、前述の実施例のように受取部へ向かう台車の減速時等に可動受台と共に巻取ロールがその慣性力により案内支持腕沿いに移動することを考慮しなくてもよく、可動受台28には、それを案内支持腕27上の待機位置に拘束する手段は不要であるため、図6に示すようなインデックスプランジャーを設けていない。
【0036】
巻芯支持装置2は、その機枠7を公知の駆動機構13によりレール12沿いに駆動することで、それを図13に実線で示す巻取ロール開放位置と、それが支持した巻芯Cが、図12に二点差線で示すようにタッチローラ6に接触状態になる巻取開始位置とにつくことができ、また巻取開始位置と巻取ロール開放位置との間にある、図13に二点鎖線で示すシート切断位置や、図示しない巻芯供給装置から供給される巻芯Cを装着するための巻芯装着位置にもつくことができ、更に帯状シート巻取中は巻取ロールRの巻太りに応じてタッチローラ6から後退することができるようになっている。
【0037】
巻取ロールRが巻上がると巻芯支持装置2は、図1に示す位置からレール12沿いに移動して帯状シート切断位置につき、図示しないクロスカッターにより帯状シートSがタッチローラ6と巻取ロールRとの間で切断されると共に、その切断された上流側の帯状シートSの先端部が、図示しない保持手段によりタッチローラ6上に保持される。その後、巻芯支持装置2は、受具15に向けて移動して巻取ロール開放位置につく。このとき巻芯支持装置2が支持している上下の巻取ロールRは、上下の受具15の案内支持腕27の先端部で待機中の可動受台28の真上に位置する。その後、搬出装置4の受具15は前述の実施例と同様な動作をして可動受台28上の巻取ロールRを受取部3上に転出させる。
【0038】
一方、巻取ロールRを開放した巻芯支持装置2はタッチローラ6側へ移動して巻芯供給位置につく。このとき、巻芯チャック9が図13に二点鎖線で示す位置につき、その位置で一対の巻芯チャック9間に巻芯Cが、図示しない公知の巻芯供給装置により供給され、その巻芯Cが一対の巻芯チャック9により自動的に支持される。巻芯Cを支持した巻芯支持装置2が巻取開始位置につく。このときタッチローラ9上に保持されている帯状シートSの先端部には、図示しない接着剤付与装置により予め接着剤が付与されているため、帯状シートSの先端部が巻芯Cに自動的に接着される。その後、帯状シートSの巻取りを開始する。
【0039】
以上、二つの実施例により本発明の巻取装置を説明したが、その実施の形態は発明の要旨を変えることなく多様に変わり得る。例えば、供給される帯状シートSが3条以上となる場合もあり、それに応じて支持する巻芯Cの数が増え、横部材7aに装着する巻取アーム8の数も増加すると共に、搬出装置の受具においても、案内支持腕及び可動受台の数が増加する。また一度に巻上げられる巻取ロールの数や巻取ロールの幅に応じて、傾動枠上に設ける案内支持腕の数も変わり得る。傾動枠上に設ける巻芯支持腕の数は一つの場合もあり得るし、複数本の場合もあり得る。そして一つの巻取ロールに対して一つ案内支持腕を配置してもよいし、一つの巻取ロールに対して複数の案内支持腕を配置してもよく、一つの可動受台を複数の案内支持腕上に装着する場合もあり得る。また、この端つめでは、巻芯支持装置が移動する水平方向や、受具が巻取ロール受取姿勢をとったときに案内支持腕が向く水平方向には、厳密な水平方向だけでなく、厳密な水平方向に対して支障が生じない程度に僅かに傾いた方向も含むものとする。
【符号の説明】
【0040】
C 巻芯
R 巻取ロール
S 帯状シート
1 巻取装置
2 巻芯支持装置
3 受取部
4 搬出装置
6 タッチローラ
7 機枠
8 巻取アーム
9 巻芯チャック
12 レール
14 台車
15 受具
16 昇降体
26 傾動枠
27 案内支持腕
28 可動受台
32 レール
33 脚部
34 第1車輪
35 第2車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13