(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部(27)は、前記凝縮器の油戻し運転において、前記第1弁(21)の開度が全開状態となるように前記第1弁(21)を制御する、請求項1に記載の空気調和機。
前記制御部(27)は、前記圧縮機(24)の運転容量を増加させて前記主冷媒回路(11)のガス管内に溜まった冷凍機油を前記圧縮機(24)に戻すガス管の油戻し運転を行う、請求項1又は2に記載の空気調和機。
前記制御部(27)は、前記ガス管の油戻し運転を行った後、前記圧縮機(24)の運転容量を維持した状態で、前記凝縮器の油戻し運転を行う、請求項3に記載の空気調和機。
前記予め定められた条件は、前記圧縮機(24)の運転容量が予め定められた基準値以下である状態が予め定められた時間継続することを条件として含む、請求項1〜7の何れか1項に記載の空気調和機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、冷房専用の空気調和機において、冬季などのように外気の温度が低いときに上記のように凝縮器に冷媒を溜める運転を行うと、圧縮機の冷凍機油が凝縮器において冷媒に溶け込んで溜まる場合がある。
【0006】
本発明の目的は、冷房専用の空気調和機において、凝縮器内に溜まった冷凍機油を効果的に圧縮機に戻すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空気調和機は、主冷媒回路(11)と、バイパス回路(12)と、ファン(28)と、制御部(27)とを備える冷媒専用の空気調和機である。前記主冷媒回路(11)は、圧縮機(24)、凝縮器(25)、開度制御が可能な第1弁(21)及び蒸発器(26)を有する。前記バイパス回路(12)は、開度制御が可能な第2弁(22)を有する。前記バイパス回路(12)は、前記圧縮機(24)から吐出された冷媒を前記凝縮器(25)及び前記第1弁(21)をバイパスするように前記主冷媒回路(11)に接続されている。前記ファン(28)は、前記凝縮器(25)への空気の流れを形成する。前記制御部(27)は、前記圧縮機(24)、前記第1弁(21)、前記第2弁(22)及び前記ファン(28)を制御する。前記制御部(27)は、通常運転と、凝縮器の油戻し運転とを行う。前記通常運転では、前記第1弁(21)の開度、前記第2弁(22)の開度及び前記ファン(28)の風量の少なくとも1つを調節して凝縮圧力を調節する。前記凝縮器の油戻し運転では、予め定められた条件が満たされると、前記第1弁(21)の開度を大きくする制御及び前記第2弁(22)の開度を小さくする制御の
うち少なくとも
前記第2弁(22)の開度を小さくする制御を行って前記凝縮器(25)内の冷凍機油を冷媒とともに前記圧縮機(24)に戻す。
【0008】
この構成では、通常運転において、第1弁(21)の開度、第2弁(22)の開度及びファン(28)の風量の少なくとも1つを調節して凝縮圧力(冷媒回路における高圧側の圧力。以下、高圧圧力という場合がある。)を調節することにより、凝縮圧力を所定の範囲に調節することができる。また、例えば冬季などのように外気の温度が低いときには凝縮器の能力が過剰になることがあるが、この場合には、通常運転において、例えば第1弁(21)の開度を小さくしたり、第2弁(22)の開度を大きくしたり、ファン(28)の風量を少なくしたりすることによって凝縮器(25)の能力を小さくして凝縮器(25)に液冷媒を溜める。これにより、凝縮圧力を所定の範囲(所定の目標高圧圧力の範囲)に調節することができる。
【0009】
そして、外気の温度が低いときの通常運転によって凝縮器(25)に液冷媒が溜まると、冷凍機油は、凝縮器(25)内に溜まった液冷媒の中に溶け込んだ状態で凝縮器(25)内に溜まる。このように冷凍機油が凝縮器(25)内に溜まり込んだとしても、予め定められた条件が満たされると、第1弁(21)の開度を大きくする制御及び第2弁(22)の開度を小さくする制御の
うち少なくとも
第2弁(22)の開度を小さくする制御を行って凝縮器(25)内に溜まった冷凍機油を冷媒とともに圧縮機(24)に戻す凝縮器の油戻し運転が行われる。このような凝縮器の油戻し運転を行うことにより、凝縮
器(25)の前後差圧の確保(凝縮器(25)の入口付近の圧力と凝縮器(25)の出口付近の圧力の差の確保)や凝縮圧力の変動を生じさせることができる。これにより、凝縮器(25)において冷媒の流れを促進させることができるので、凝縮器(25)内に溜まる冷凍機油を冷媒とともに効果的に圧縮機(24)に戻すことができる。
【0010】
前記空気調和機において、前記制御部(27)は、前記凝縮器の油戻し運転において、前記第1弁(21)の開度が全開状態となるように前記第1弁(21)を制御するのが好ましい。この構成では、第1弁(21)の開度が全開状態となるように第1弁(21)を制御することにより、第1弁(21)の開度制御の前後において大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。これにより、凝縮器内に溜まっている冷凍機油をより効果的に凝縮器外に押し出すことができる。
【0011】
前記空気調和機において、前記制御部(27)は、前記圧縮機(24)の運転容量を増加させて前記主冷媒回路(11)のガス管内に溜まった冷凍機油を前記圧縮機(24)に戻すガス管の油戻し運転を行うのが好ましい。ガス冷媒が流れているガス管においては、冷凍機油がガス管の内面に付着して溜まることがあるが、圧縮機(24)の運転容量を増加させるガス管の油戻し運転を行うことによって、ガス管内に溜まった冷凍機油を圧縮機(24)に戻すことができる。
【0012】
前記空気調和機において、前記制御部(27)は、前記ガス管の油戻し運転を行った後、前記圧縮機(24)の運転容量を維持した状態で、前記凝縮器の油戻し運転を行うのが好ましい。この構成では、ガス管の油戻し運転において上げられた圧縮機(24)の運転容量を維持した状態、すなわち冷媒回路における冷媒循環量が高められた状態で凝縮器の油戻し運転が行われるので、凝縮器の油戻し運転において凝縮器に流れる冷媒量を多くすることができる。これにより、凝縮器内に溜まっている冷凍機油をさらに効果的に凝縮器外に押し出すことができる。
【0013】
前記空気調和機において、前記予め定められた条件は、例えば、油溜まり量が予め定められた基準量以上となることを条件として含む。油溜まり量と圧縮機(24)における冷凍機油の不足の程度とは、互いに関連している。したがって、この構成のように油溜まり量に関する上記条件に基づいて油戻し運転の要否判断を行うことによって、油戻しが必要とされるときに凝縮器の油戻し運転をより確実に実行することができる。
【0014】
前記空気調和機において、前記予め定められた条件は、例えば、前記第1弁(21)の開度が予め定められた基準開度以下であることを条件として含む。第1弁(21)の開度が予め定められた基準開度以下であるときには、凝縮器(25)において冷凍機油が溜まりやすい。また、第1弁(21)の開度が予め定められた基準開度以下であるときには、凝縮器の油戻し運転において第1弁(21)の開度の変動幅(開度の増加量)を大きくすることができる。したがって、この構成のように第1弁(21)の開度に関する上記条件に基づいて油戻し運転の要否判断を行うことによって、油戻しが必要とされるときに凝縮器の油戻し運転をより確実に実行することができ、しかも、第1弁(21)の開度制御の前後において大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。
【0015】
前記空気調和機において、前記予め定められた条件は、例えば、室外の気温が予め定められた基準温度以下であることを条件として含む。外気の温度が低いときには通常運転において凝縮器に冷媒が溜められて凝縮圧力が所定の範囲に調節されているので、油溜まり量が多くなる。したがって、この構成のように室外の気温に関する上記条件に基づいて油戻し運転の要否判断を行うことによって、油戻しが必要とされるときに凝縮器の油戻し運転をより確実に実行することができる。
【0016】
前記空気調和機において、前記予め定められた条件は、例えば、前記圧縮機(24)の運転容量が予め定められた基準値以下である状態が予め定められた時間継続することを条件として含む。圧縮機(24)のモータが低い周波数(回転数)で運転されているときには、冷媒回路を循環する冷媒量も少ないため、冷凍機油は凝縮器から押し出されにくく、凝縮器内に溜まりやすい傾向にある。したがって、この構成のように圧縮機(24)の運転容量に関する上記条件に基づいて油戻し運転の要否判断を行うことによって、油戻しが必要とされるときに凝縮器の油戻し運転をより確実に実行することができる。
【0017】
前記空気調和機において、前記制御部(27)は、前記凝縮器の油戻し運転において、前記ファン(28)の風量を減らす制御を行ってもよい。この構成では、凝縮器の油戻し運転において、第1弁(21)や第2弁(22)の開度制御だけでなく、ファン(28)の風量を減らす制御も行う。ファン(28)の風量を減らすことによって凝縮圧力を上げることができる。したがって、第1弁(21)及び第2弁(22)の少なくとも一方の開度制御及びファン(28)の風量制御を行う構成では、弁の開度制御だけを行う場合に比べて、より大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。これにより、凝縮器内に溜まっている冷凍機油をさらに効果的に凝縮器外に押し出すことができる。
【0018】
前記空気調和機において、前記凝縮器(25)が水冷式の熱交換器であり、前記制御部(27)は、前記凝縮器の油戻し運転において、前記凝縮器(25)に流入する水の流量を減らす制御を行ってもよい。この構成では、凝縮器の油戻し運転において、第1弁(21)や第2弁(22)の開度制御だけでなく、凝縮器(25)に流入する水の流量を減らす制御も行う。凝縮器(25)に流入する水の流量を減らすことによって凝縮圧力を上げることができる。したがって、第1弁(21)及び第2弁(22)の少なくとも一方の開度制御及び水の流量制御を行う構成では、弁の開度制御だけを行う場合に比べて、より大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。これにより、凝縮器内に溜まっている冷凍機油をさらに効果的に凝縮器外に押し出すことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、冷房専用の空気調和機において、凝縮器内に溜まった冷凍機油を効果的に圧縮機に戻すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る空気調和機について図面を参照して説明する。
【0022】
[空気調和機の構成]
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和機1は冷媒専用の空気調和機である。空気調和機1は、冷媒回路10を備え、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって室内の冷房を行う。冷房の対象が例えばサーバルームなどの電算機室である場合には、空気調和機1は、室内を所定の温度範囲に調節する冷房運転を、年間を通じて連続して行う。
【0023】
本実施形態に係る空気調和機1は、室外に設置される熱源ユニット(室外ユニット)2と、室内に設置される利用ユニット(室内ユニット)3と、これらのユニットを接続する冷媒連絡管4,5とを備えている。冷媒回路10は、主冷媒回路11と、バイパス回路12とを含む。
【0024】
主冷媒回路11は、圧縮機24、凝縮器25、開度制御が可能な第1弁21及び蒸発器26を有する。主冷媒回路11は、熱源ユニット2に設けられて主冷媒回路11の一部を構成する熱源側主冷媒回路11aと、利用ユニット3に設けられて主冷媒回路11の一部を構成する利用側主冷媒回路11bとを含む。本実施形態では、凝縮器25及び第1弁21は、熱源側主冷媒回路11aに設けられており、圧縮機24及び蒸発器26は、利用側主冷媒回路11bに設けられているが、これに限られない。例えば、圧縮機24は、熱源側主冷媒回路11aに設けられていてもよい。
【0025】
バイパス回路12は、開度制御が可能な第2弁22を有する。バイパス回路12は、圧縮機24から吐出された冷媒を凝縮器25及び第1弁21をバイパスするように主冷媒回路11(より具体的には、熱源側主冷媒回路11a)に接続されている。
【0026】
圧縮機24は、低圧冷媒を吸入し、圧縮して高圧冷媒として吐出する機能を有する。圧縮機24は、圧縮機用モータ24Mによって駆動される。圧縮機用モータ24Mは、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動される。圧縮機24は、圧縮機用モータ24Mの周波数(すなわち、回転数)を変えることによって、運転容量を変えることが可能な圧縮機である。圧縮機24の吸入側は、蒸発器26の出口に接続されており、圧縮機24の吐出側は、冷媒連絡管4を介して凝縮器25の入口に接続されている。
【0027】
凝縮器25としては、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式の熱交換器を用いることができるが、これに限られない。凝縮器25は、室外空気を熱源として、高圧冷媒を凝縮する機能を有する。凝縮器25の出口は、第1弁21、冷媒調整器30、過冷却用熱交換器31及び冷媒連絡管5を介して利用ユニット3(より具体的には第3弁23)に接続されている。凝縮器25の入口は、冷媒連絡管4を介して利用ユニット3(より具体的には、圧縮機24の吐出側)に接続されている。
【0028】
蒸発器26としては、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式の熱交換器を用いることができるが、これに限られない。蒸発器26は、低圧冷媒を蒸発させる機能を有し、室内空気を冷却する。蒸発器26の入口は、第3弁23に接続されている。蒸発器26の出口は、圧縮機24の吸入側に接続されている。
【0029】
本実施形態では、第1弁21は、開度制御が可能な電動弁(膨張弁)であるが、これに限られない。第1弁21は、主として、凝縮圧力(高圧圧力)を所定の範囲に維持する制御(高圧制御)を行う際に使用される。第2弁22は、開度制御が可能な電動弁(膨張弁)であるが、これに限られない。第2弁22は、主として、上記の高圧制御を行う際に使用される。本実施形態では、主冷媒回路11は、開度制御が可能な第3弁23を有する。第3弁23は、開度制御が可能な電子膨張弁であるが、これに限られない。第3弁23は、主として、熱源ユニット2の凝縮器25において冷却された冷媒の減圧を行う際に使用される。第3弁23は、利用側主冷媒回路11bに設けられており、冷媒連絡管5を介して熱源側主冷媒回路11aに接続されている。
【0030】
また、本実施形態では、主冷媒回路11は、冷媒調整器(レシーバ)30と、過冷却用熱交換器31と、油分離器32とを有する。冷媒調整器30は、凝縮器25の下流側に設けられ、負荷変動による蒸発器26内の冷媒量の変動を吸収する容器によって構成されている。過冷却用熱交換器31は、凝縮器25において液化した冷媒をさらに冷却し、その飽和温度以下に冷却する。油分離器32は、圧縮機24から吐出された冷媒から冷凍機油の一部を分離するためのものである。圧縮機24から冷媒とともに吐出された冷凍機油の一部は、油分離器32において冷媒と分離され、キャピラリーチューブ33が設けられた返油回路13を通じて圧縮機24の吸入側に戻される。本実施形態では、第3弁23及び油分離器32は、利用側主冷媒回路11bに設けられており、冷媒調整器30及び過冷却用熱交換器31は、熱源側主冷媒回路11aに設けられているが、これに限られない。
【0031】
熱源ユニット2は、凝縮器25への空気の流れを形成する熱源側ファン28を備える。熱源側ファン28は、熱源ユニット2内に吸入口から室外空気を吸入して、熱源ユニット2内に収容された凝縮器25において冷媒と熱交換させた後に、吹出口から排出空気として室外に吹き出すという空気の流れを形成する。この熱源側ファン28は、ファン用モータ28Mによって駆動される。本実施形態において、ファン用モータ28Mは、インバータ装置を介して電力の供給を受けて駆動される。熱源側ファン28は、ファン用モータ28Mの周波数(すなわち、回転数)を変えることによって風量を変えることが可能である。
【0032】
利用ユニット3は、蒸発器26への空気の流れを形成する利用側ファン29を備える。利用側ファン29は、利用ユニット3内に吸入口から室内空気を吸入して、利用ユニット3内に収容された蒸発器26において冷媒と熱交換させた後に、吹出口から供給空気として室内に吹き出すという空気の流れを形成する。この利用側ファン29は、ファン用モータ29Mによって駆動される。
【0033】
空気調和機1には、各種のセンサが設けられている。例えば、熱源ユニット2には、室外空気の温度を検知する室外温度センサ41などが設けられている。また、利用ユニット3には、圧縮機24の吸入圧力を検出する吸入圧力センサ42、圧縮機24の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ43などが設けられている。
【0034】
空気調和機1は、空気調和機1の運転を制御する制御部27を備える。制御部27は、熱源ユニット2に設けられていてもよく、利用ユニット3に設けられていてもよく、また、これらの両方に設けられていてもよい。制御部27は、例えばマイクロコンピュータ、メモリなどを有している。
【0035】
図2は、本実施形態に係る空気調和機1における制御ブロック図である。制御部27は、センサ41,42,43などの各種センサが検知した状態量(圧力値、温度など)に対応する信号を取り込むことができるようになっている。そして、制御部27は、これらの信号に基づいて、圧縮機24、第1弁21、第2弁22、第3弁23、熱源側ファン28、利用側ファン29などの動作を制御する。
【0036】
[空気調和機の動作]
本実施形態に係る空気調和機1では、制御部27は、通常運転と、凝縮器の油戻し運転とを行う。また、空気調和機1は、ガス管の油戻し運転をさらに行ってもよい。以下では、通常運転及び油戻し運転について具体的に説明する。
【0037】
(通常運転)
通常運転では、冷房の対象である室内空気の温度が所定の範囲に調節されるとともに、圧縮機24の信頼性を維持するために凝縮圧力(高圧圧力)が所定の範囲に調節される。具体的に、通常運転では、制御部27は、冷媒回路10における高圧圧力(例えば吐出圧力センサ43により検出される圧縮機24の吐出圧力)に基づいて、凝縮圧力が所定の目標高圧圧力の範囲に入るように、冷媒回路10を制御する。
【0038】
通常運転において、圧縮機24、熱源側ファン28、利用側ファン29などが起動されると、冷媒回路10においては、以下のような冷凍サイクル運転が行われる。まず、低圧冷媒は、利用ユニット3の圧縮機24に吸入されて圧縮され、高圧冷媒となる。圧縮機24から吐出された高圧冷媒は、冷媒連絡管4を経由して熱源ユニット2に送られ、凝縮器25において、熱源側ファン28によって供給される室外空気と熱交換して冷却される。そして、凝縮器25において冷却された高圧冷媒は、第1弁21及び冷媒連絡管5を経由して利用ユニット3に送られる。このとき、主冷媒回路11に設けられた第1弁21の開度及びバイパス回路12に設けられた第2弁22の開度は、例えば次のように制御される。
【0039】
外気の温度が比較的高いときに通常運転を行う場合には、冷房運転の負荷が大きいので、凝縮器25の能力を大きくする必要がある。この場合、制御部27は、例えば、第1弁21の開度を大きくしたり、第2弁22の開度を小さくしたり、熱源側ファン28の風量を多くしたりする制御を行う。具体的に、冷房運転の負荷が大きいときには、第1弁21の開度が例えば全開状態とされる一方で、第2弁22の開度が例えば全閉状態とされるという制御を例示できるが、これに限られない。
【0040】
また、例えば冬場などのように外気の温度が低いときに通常運転を行う場合には、冷房運転の負荷が小さいので、室内空気を所定の温度範囲に維持しながら凝縮圧力を所定範囲に維持するために、凝縮器25の能力を小さくする必要がある。この場合、制御部27は、例えば、第1弁21の開度を小さくしたり、第2弁22の開度を大きくしたり、熱源側ファン28の風量を減少させたりする制御を行う。具体的に、冷房運転の負荷が小さいときには、第1弁21の開度が小さくされる一方で、第2弁22の開度が全開状態とされるという制御をできるが、これに限られない。
【0041】
利用ユニット3に送られた高圧冷媒は、第3弁23によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって蒸発器26に送られ、蒸発器26において、利用側ファン29によって供給される空気と熱交換して加熱される。これにより、冷媒は蒸発して低圧のガス冷媒となる。蒸発器26において加熱された低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機24に吸入される。
【0042】
(油戻し運転)
次に、油戻し運転について説明する。通常運転を行うと、ガス冷媒が流れている冷媒回路10のガス管においては、圧縮機24の冷凍機油がガス管の内面に付着して溜まることがある。また、外気の温度が低いときの通常運転において凝縮器25内に液冷媒を溜めると、冷凍機油が液冷媒に溶け込んだ状態で凝縮器25内に溜まることがある。
【0043】
そこで、本実施形態に係る空気調和機1では、ガス管内に溜まった冷凍機油を圧縮機24に戻すガス管の油戻し運転と、凝縮器25内に溜まった冷凍機油を圧縮機24に戻すための凝縮器の油戻し運転とが行われる。ガス管の油戻し運転では、ガス管の内面に付着している冷凍機油を圧縮機24に戻すために、圧縮機24の運転容量を増加させて冷媒回路10を流れる冷媒の流量を増加させる。これにより、ガス管内に溜まった冷凍機油の一部又は全部を圧縮機24に戻すことができる。また、凝縮器の油戻し運転では、凝縮器25内において液冷媒に溶け込んだ状態の冷凍機油を圧縮機24に戻すために、第1弁21の開度を大きくする制御及び第2弁22の開度を小さくする制御の少なくとも一方の制御を行って凝縮器25を流れる冷媒の流量を増加させる。これにより、凝縮器25内の液冷媒とともに冷凍機油を圧縮機24に戻すことができる。
【0044】
ガス管の油戻し運転と凝縮器の油戻し運転とは、互いに別々の時期に行われてもよく、また、連続して行われてもよい。具体的に、後述する制御例1のように凝縮器の油戻し運転だけを独立して行う形態、後述する制御例2のようにガス管の油戻し運転を行った直後に、凝縮器の油戻し運転を行う形態などを例示できるが、これらの形態に限られない。
【0045】
本実施形態に係る空気調和機1は、室内を所定の温度範囲に調節する冷房運転を、年間を通じて連続して行う。したがって、圧縮機24の動作が安定しやすく、一定の状態を維持しやすい。すなわち、圧縮機24の回転数が低い状態を維持しやすいので、冷凍機油がガス管や凝縮器25に特に溜まりやすい傾向にある。
【0046】
(制御例1)
図3は、本実施形態に係る空気調和機1の制御例1を示すフローチャートである。
図3に示すように、ステップ1において、制御部27は、室内の気温を所定の温度範囲に調節する通常運転が行われるように冷媒回路10を制御する。
【0047】
ステップS2において、制御部27は、凝縮器の油戻し運転の開始条件が成立しているか否かを判定する。そして、開始条件が成立していない場合には、ステップS1の処理に戻って通常運転を継続し、開始条件が成立している場合には、ステップS3の処理に移行して通常運転から凝縮器の油戻し運転に切り換える。
【0048】
凝縮器の油戻し運転の開始条件は、空気調和機1において予め定められている条件である。開始条件としては、例えば次のような条件(A),(B),(C),(D)が挙げられるが、これらに限られず、他の条件を採用することもできる。凝縮器の油戻し運転の開始条件は、例えば、条件(A),(B),(C),(D)のうちの1つであってもよく、また、条件(A),(B),(C),(D)のうちの複数を組み合わせたものであってもよい。
(A)油溜まり量が予め定められた基準量以上となること
(B)第1弁21の開度が予め定められた基準開度以下であること
(C)圧縮機24の運転容量が予め定められた基準値以下である状態が予め定められた時間継続すること
(D)室外の気温が予め定められた基準温度以下であること
条件(A)の基準量、条件(B)の基準開度、条件(C)の基準値、条件(D)の基準温度は、制御部27のメモリに記憶されている。これらの基準は、ユーザが必要に応じて設定変更可能であってもよい。
【0049】
条件(A)において、油溜まり量は、例えば、圧縮機24から吐出された冷媒に含まれる冷凍機油の吐出量と、油分離器32において冷媒と分離されて返油回路13を通じて圧縮機24に戻された返油量とをそれぞれ積算することによって得ることができる。
【0050】
条件(A)が採用される場合、ステップS2において、制御部27は、積算された油溜まり量が基準値以上となったか否かを判定する。油溜まり量が基準値未満である場合には、ステップS1の処理に戻って通常運転を継続し、油溜まり量が基準値以上である場合には、ステップS3の処理に移行して通常運転から凝縮器の油戻し運転に切り換える。
【0051】
条件(B)が採用される場合、ステップS2において、制御部27は、第1弁21の開度が基準開度以下であるか否かを判定する。第1弁21の開度が基準開度を超える場合には、ステップS1の処理に戻って通常運転を継続し、第1弁21の開度が基準開度以下である場合には、ステップS3の処理に移行して通常運転から凝縮器の油戻し運転に切り換える。なお、この条件(B)は、第1弁21の開度が予め定められた基準開度以下である状態が予め定められた時間継続していることとしてもよい。これにより、油戻し運転の必要性の判断精度をより高めることができる。
【0052】
条件(C)が採用される場合、ステップS2において、制御部27は、圧縮機24の運転容量、具体的には圧縮機用モータ24Mの周波数(すなわち回転数)が予め定められた基準値以下である状態が予め定められた時間継続しているか否かを判定する。この開始条件が成立していない場合には、ステップS1の処理に戻って通常運転を継続し、この開始条件が成立している場合には、ステップS3の処理に移行して通常運転から凝縮器の油戻し運転に切り換える。
【0053】
条件(D)が採用される場合、ステップS2において、制御部27は、温度センサ41によって検知される室外の気温が予め定められた基準温度以下であるか否かを判定する。室外の気温が予め定められた基準温度を超える場合には、ステップS1の処理に戻って通常運転を継続し、室外の気温が予め定められた基準温度以下である場合には、ステップS3の処理に移行して通常運転から凝縮器の油戻し運転に切り換える。なお、この条件(D)は、室外の気温が予め定められた基準温度以下である状態が予め定められた時間継続していることとしてもよい。これにより、油戻し運転の必要性の判断精度をより高めることができる。
【0054】
ステップS3において、制御部27は、凝縮器の油戻し運転を行う。具体的に、制御部27は、凝縮器25内の冷凍機油を冷媒とともに圧縮機24に戻すために、例えば、通常運転時よりも第1弁21の開度が大きくなるように第1弁21を制御する。油戻し運転において、第1弁21の開度は、通常運転時よりも大きければよく、特に限定されるものではないが、例えば全開状態とされるのが好ましい。
【0055】
図6(A)は、凝縮器の油戻し運転における凝縮器25の前後差圧の変動を説明するためのグラフである。ステップS3において、
図6(A)に示すように、第1弁21の開度が通常運転時よりも大きくされると(例えば第1弁21の開度が全開状態とされると)、凝縮器25内に流入する冷媒量が増加し、流入した冷媒によって凝縮器25内の冷媒が押されるので、凝縮器25の入口付近の圧力HPが一時的に(瞬間的に)大きくなる。これにより、凝縮器25の前後差圧ΔP、すなわち凝縮器25の入口付近の圧力HPと凝縮器25の出口付近の圧力LPの差ΔPが一時的に大きくなる。このような前後差圧ΔPによって凝縮器25において冷媒の流れが促進されるので、凝縮器25に溜まっていた冷凍機油は、冷媒とともに凝縮器25外に押し出される。
【0056】
また、ステップS3において、油戻し運転における第2弁22の開度は、
図6(A)に示すように通常運転時における第2弁22の開度が維持されてもよく、
図6(B)に示すように通常運転時における第2弁22の開度よりも小さくなるように変更されてもよい。
【0057】
具体的に、例えば冬場などのように外気の温度が低くて冷房運転の負荷が小さいときには、ステップS1の通常運転において、第1弁21の開度が小さくされる一方で、第2弁22の開度が全開状態とされている。そして、
図6(A)に示す制御例では、ステップS3の油戻し運転において、第2弁22の開度が例えば全開状態のまま維持されつつ、第1弁21の開度が例えば全開状態とされる。このように第1弁21の開度が全開状態とされるときに第2弁22の開度が全開状態のまま維持される場合には、凝縮器25における圧力の変動幅を大きくしつつ、冷媒回路10全体の圧力変動を抑制することができる。
【0058】
また、
図6(B)に示す制御例のように、ステップS3の油戻し運転において、第1弁21の開度がステップS1の通常運転時における第1弁21の開度よりも大きく変更されるとともに、第2弁22の開度がステップS1の通常運転時における第2弁22の開度よりも小さく変更される場合(例えば第2弁22の開度が全閉状態とされる場合)には、
図6(A)に示す制御例のように第2弁22において通常運転時の開度が維持される場合に比べて、第1弁21及び第2弁の開度制御の前後でより大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができるので、凝縮器25内に溜まっている冷凍機油をより効果的に凝縮器25外に押し出すことができる。なお、
図6(B)に示す制御例では、第1弁21の開度を大きくする制御と第2弁22の開度を小さくする制御が、時間的に多少前後してもよいが、好ましくは同時に行われるのがよい。
【0059】
また、ステップS3においては、
図6(C)に示すように、通常運転時よりも第2弁22の開度が小さくされる一方で、第1弁21の開度が通常運転時のまま維持されてもよい。この場合、油戻し運転において、第2弁22の開度は、通常運転時よりも小さければよく、特に限定されるものではないが、例えば全閉状態とされ、また、第1弁21の開度は、少なくとも全閉状態ではない。
【0060】
ステップS3において、
図6(C)に示すように、第2弁22の開度が通常運転時よりも小さくされると(例えば第2弁22の開度が全閉状態とされると)、一時的に(瞬間的に)凝縮器25内の冷媒が押されるので、凝縮器25の入口付近の圧力HPが一時的に(瞬間的に)大きくなる。これにより、凝縮器25の前後差圧ΔP、すなわち凝縮器25の入口付近の圧力HPと凝縮器25の出口付近の圧力LPの差ΔPが一時的に大きくなる。このような前後差圧ΔPによって凝縮器25において冷媒の流れが促進されるので、凝縮器25に溜まっていた冷凍機油は、冷媒とともに凝縮器25外に押し出される。
【0061】
また、油戻し運転における熱源側ファン28の風量は、通常運転時における熱源側ファン28の風量が維持されてもよく、通常運転時における熱源側ファン28の風量よりも小さくなるように変更されてもよい。すなわち、凝縮器の油戻し運転において、ファンモータ28Mの周波数(回転数)が、通常運転時における周波数(回転数)よりも小さくなるように変更されてもよい。油戻し運転における熱源側ファン28の風量が通常運転時における熱源側ファン28の風量よりも小さく変更される場合には、凝縮圧力を上げることができるので、通常運転時の風量が維持される場合に比べて、より大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。これにより、凝縮器25内に溜まっている冷凍機油をさらに効果的に凝縮器25外に押し出すことができる。
【0062】
ステップS3において、熱源側ファン28の風量を小さくするタイミングは、第1弁21の開度を大きくするときよりも前であってもよく、第1弁21の開度を大きくするときよりも後であってもよいが、第1弁21の開度を大きくするときと同時である場合には、より大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。同様に、ステップS3において、熱源側ファン28の風量を小さくするタイミングは、第2弁22の開度を小さくするときよりも前であってもよく、第2弁22の開度を小さくするときよりも後であってもよいが、第2弁22の開度を小さくするときと同時である場合には、より大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。
【0063】
次に、ステップS4において、制御部27は、凝縮器の油戻し運転の終了条件が成立しているか否かを判定する。そして、終了条件が成立していない場合には、ステップS3の処理に戻って油戻し運転を継続し、終了条件が成立している場合には、ステップS1の処理に戻って油戻し運転から通常運転に切り換える。
【0064】
凝縮器の油戻し運転の終了条件は、空気調和機1において予め定められている条件である。終了条件としては、例えばステップS3の油戻し運転開始からの経過時間が予め定められた時間に達することという条件が挙げられるが、これに限られず、他の条件を採用することもできる。
【0065】
(制御例2)
図4は、本実施形態に係る空気調和機1の制御例2を示すフローチャートである。この制御例2は、凝縮器の油戻し運転だけでなく、ガス管の油戻し運転も行う点で、制御例1と異なっている。
【0066】
図4に示す制御例2において、ステップS11は、制御例1のステップS1同様である。ステップS12において、制御部27は、ガス管の油戻し運転の開始条件が成立しているか否かを判定する。そして、開始条件が成立していない場合には、ステップS11の処理に戻って通常運転を継続し、開始条件が成立している場合には、ステップS13の処理に移行して通常運転からガス管の油戻し運転に切り換える。
【0067】
ステップS12におけるガス管の油戻し運転の開始条件は、空気調和機1において予め定められている条件である。ガス管の油戻し運転の開始条件としては、例えば制御例1における条件(A),(B),(C),(D)などが挙げられるが、これらに限られず、他の条件を採用することもできる。ガス管の油戻し運転の開始条件は、条件(A),(B),(C),(D)のうちの1つの条件であってもよく、また、条件(A),(B),(C),(D)のうちの複数を組み合わせた条件であってもよい。
【0068】
ステップS13において、制御部27は、ガス管の油戻し運転を行う。ガス管の油戻し運転では、制御部27は、ガス管内の冷凍機油を圧縮機24に戻すために、圧縮機24の運転容量を通常運転時よりも増加させる制御を行う。具体的には、圧縮機用モータ24Mの周波数(すなわち回転数)が通常運転よりも大きくなるように圧縮機用モータ24Mが駆動される。これにより、冷媒回路10を循環する冷媒量が増加するので、ガス管の内面に付着した冷凍機油の一部又は全部が圧縮機24に戻される。
【0069】
そして、ステップS14において、制御部27は、ガス管の油戻し運転の終了条件が成立しているか否かを判定する。そして、終了条件が成立していない場合には、ステップS13の処理に戻ってガス管の油戻し運転を継続し、終了条件が成立している場合には、ステップS15の処理に移行してガス管の油戻し運転から凝縮器の油戻し運転に切り換える。
【0070】
ガス管の油戻し運転の終了条件は、空気調和機1において予め定められている条件である。終了条件としては、例えばステップS13の油戻し運転開始からの経過時間が予め定められた時間に達することという条件が挙げられるが、これに限られず、他の条件を採用することもできる。
【0071】
ステップS15において、制御部27は、凝縮器の油戻し運転を行う。ステップS15の凝縮器の油戻し運転における圧縮機24の運転容量は、ステップS13のガス管の油戻し運転における圧縮機24の運転容量から変更してもよいが、ガス管の油戻し運転における圧縮機24の運転容量が維持されるのが好ましい。制御例2のステップS15において、凝縮器の油戻し運転は、制御例1のステップS3と同様に行われる。
【0072】
制御例2のステップS16は、制御例1のステップS4と同様であるので、詳細な説明は省略する。なお、凝縮器の油戻し運転中には、凝縮圧力が通常運転時の凝縮圧力から変動することがあるので、凝縮器の油戻し運転は短時間で終了するのが好ましい。したがって、ステップS16において、凝縮器の油戻し運転の終了条件として、油戻し運転開始からの経過時間が予め定められた時間に達することという条件が採用される場合、凝縮器の油戻し運転の運転時間は、ガス管の油戻し運転の運転時間よりも短く設定されるのが好ましい。
【0073】
[実施形態のまとめ]
本実施形態では、通常運転において、第1弁21の開度、第2弁22の開度及びファン28の風量の少なくとも1つを調節して凝縮圧力を調節することにより、凝縮圧力を所定の範囲に調節することができる。また、例えば冬季などのように外気の温度が低いときには凝縮器の能力が過剰になることがあるが、この場合には、通常運転において、例えば第1弁21の開度を小さくしたり、第2弁22の開度を大きくしたり、ファン28の風量の少なくしたりすることによって凝縮器25の能力を小さくして凝縮器25に液冷媒を溜める。これにより、凝縮圧力を所定の範囲に調節することができる。
【0074】
そして、外気の温度が低いときの通常運転によって凝縮器25に液冷媒が溜まると、冷凍機油は、凝縮器25内に溜まった液冷媒の中に溶け込んだ状態で凝縮器25内に溜まる。具体的に、例えば凝縮器25の前後差圧(凝縮器25の入口付近の圧力と凝縮器25の出口付近の圧力の差)が小さい場合には、凝縮器25内の一部の流路では冷媒及び冷凍機油が循環せず、流路内に溜まり込む場合がある。このように冷凍機油が凝縮器25内に溜まり込んだとしても、予め定められた条件が満たされると、第1弁21の開度を通常運転時の開度よりも大きくする制御及び第2弁22の開度を通常運転時の開度よりも小さくする制御の
うち少なくとも
第2弁22の開度を小さくする制御を行って凝縮器25内に溜まった冷凍機油を冷媒とともに圧縮機24に戻す凝縮器の油戻し運転が行われる。このような凝縮器の油戻し運転を行うことにより、凝縮器25の前後差圧の確保や凝縮圧力の変動を生じさせることができる。これにより、凝縮器25において冷媒の流れを促進させることができるので、凝縮器25内に溜まる冷凍機油を冷媒とともに凝縮器25外に押し出し、効果的に圧縮機24に戻すことができる。
【0075】
また、本実施形態では、制御部27は、凝縮器の油戻し運転において、第1弁21の開度が全開状態となるように第1弁21を制御するのが好ましい。この構成では、第1弁21の開度が全開状態となるように第1弁21を制御することにより、第1弁21の開度制御の前後において大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。これにより、凝縮器25内に溜まっている冷凍機油をより効果的に凝縮器25外に押し出すことができる。
【0076】
また、本実施形態では、制御部27は、圧縮機24の運転容量を増加させて主冷媒回路11のガス管内に溜まった冷凍機油を圧縮機24に戻すガス管の油戻し運転を行うのが好ましい。ガス冷媒が流れているガス管においては、冷凍機油がガス管の内面に付着して溜まることがあるが、圧縮機24の運転容量を増加させるガス管の油戻し運転を行うことによって、ガス管内に溜まった冷凍機油を圧縮機24に戻すことができる。
【0077】
また、本実施形態では、制御部27は、ガス管の油戻し運転を行った後、圧縮機24の運転容量を維持した状態で、凝縮器の油戻し運転を行うのが好ましい。この構成では、ガス管の油戻し運転において上げられた圧縮機24の運転容量を維持した状態、すなわち冷媒回路における冷媒循環量が高められた状態で凝縮器の油戻し運転が行われるので、凝縮器の油戻し運転において凝縮器25に流れる冷媒量を多くすることができる。これにより、凝縮器25内に溜まっている冷凍機油をさらに効果的に凝縮器25外に押し出すことができる。
【0078】
また、凝縮器の油戻し運転において、第1弁21や第2弁22の開度制御だけでなく、ファン28の風量を減らす制御も行ってもよい。ファン28の風量を減らすことによって凝縮圧力を上げることができる。したがって、第1弁21及び第2弁22の少なくとも一方の開度制御及びファン28の風量制御を行う構成では、弁の開度制御だけを行う場合に比べて、より大きな凝縮圧力の変動を生じさせることができる。これにより、凝縮器25内に溜まっている冷凍機油をさらに効果的に凝縮器25外に押し出すことができる。
【0079】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0080】
例えば、前記実施形態では、凝縮器25が冷媒と室外空気との間で熱交換される熱交換器である場合を例示したが、これに限られず、例えば
図5に示す変形例のように水冷式の熱交換器であってもよい。すなわち、
図5に示すように、水冷式の凝縮器25は、冷媒の通路と、水の通路とを備える。水配管25aを通じて水の通路に流入した循環水(冷却水)は、冷媒と熱交換した後、水配管25bに流出するように構成されている。そして、制御例1や制御例2における凝縮器の油戻し運転において、制御部27は、凝縮器25に流入する冷却水の流量を減らす制御を行ってもよい。
【0081】
また、前記実施形態では、凝縮器の油戻し運転において、第1弁21の開度が全開状態となるように第1弁21の開度を大きくする制御を例示したが、これに限られない。凝縮器の油戻し運転では、第1弁21の開度が全開状態よりも小さい開度となるように第1弁21の開度を大きくする制御を行ってもよい。
【0082】
また、制御例2では、ガス管の油戻し運転を行った後、圧縮機24の運転容量を維持した状態で、凝縮器の油戻し運転を行っているが、これに限られない。ガス管の油戻し運転を行った後、圧縮機24の運転容量を変化させた後、凝縮器の油戻し運転を行ってもよい。また、凝縮器の油戻し運転を行った後にガス管の油戻し運転を行ってもよい。
【0083】
また、空気調和機1は、複数の冷媒回路系統を備えていてもよい。すなわち、圧縮機、凝縮器、膨張機構及び蒸発器をそれぞれ有する複数の蒸気圧縮式の冷媒回路系統を含む空気調和機にも本発明を適用することができる。
【0084】
また、冷媒回路10には、複数の圧縮機が設けられていてもよい。また、空気調和機1においては、利用ユニット3に圧縮機24が設けられた、いわゆるリモートコンデンサタイプであったが、熱源ユニット2に圧縮機24が設けられたタイプであってもよい。