(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
洋上を航行する自船舶の情報と接舷目標船舶の情報に基づき自船舶の位置と接舷目標船舶の位置をアニメーション表示することにより自船舶と接舷目標船舶の接舷状態を表示する表示部と、自船舶と接舷目標船舶との接舷時に自船舶と接舷目標船舶との間に配置されて緩衝材となる複数の防舷材の内部空気圧情報を取得する空気圧取得部とを備えた船舶監視装置において、
前記接舷目標船舶の船舶自動識別装置(AIS)から送信された前記接舷目標船舶の位置情報を含むAIS情報を受信する手段と、
前記受信したAIS情報を記憶する記憶手段と、
全世界的航法衛星システムから取得した位置情報を接舷目標船舶から取得する通信手段と、
前記接舷目標船舶の位置情報を手動で入力する手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記接舷目標船舶の位置情報を、前記通信手段によって取得した位置情報或いは前記手動で入力された位置情報の何れかの位置情報によって書き換える手段と、
前記記憶手段に記憶されている情報に基づいて前記接舷目標船舶の位置を表示する手段とを備えている
ことを特徴とする船舶監視装置。
自船舶及び接舷目標船舶の情報として、船舶形状の情報、マニホールド位置及び右側接舷或いは左側接舷を含む接舷位置の情報、防舷材形状の情報、船舶重心の情報のうちの1つ以上を入力する手段を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の船舶監視装置。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶が接舷するときは、船舶の損傷を防ぐために操船者は多大な留意を払う必要がある。
【0003】
周知のSTS(Ship-To-Ship)やFPSO(Floating Production Storage and Offloading)等において、原油タンカーなどの2つの船舶を洋上で接舷して船舶間で荷役を行う際には、船舶同士を近距離に近づけて係留しなければならない。このため、船舶間に配置する防舷材の設計及び操船者の操船技術が非常に重要視されている。
【0004】
例えば、天候が悪化した場合などには、操船者の技術をもってしても船舶同士が接近しすぎてしまう。これにより、船舶間に配置している防舷材が破壊され、船舶同士が接触して損傷を被ることもあった。
【0005】
また、特に、船舶同士を係留した後、夜間に当該荷役を行う場合には、係留索の状態や海面上に設置される防舷材は視認が困難であった。さらに、当該係留索や防舷材にどの程度の負荷が作用しているか、並びに、当該係留索や防舷材がどのような状態にあるかを把握することが困難であった。
【0006】
このため、本発明者らは以前に操船および船舶係留支援方法並びにそのシステム(WO2008/053887号公報(特許文献1))を提案した。
【0007】
これに類似した技術として特開2007-4428号公報(特許文献2)に開示される他船ターゲット表示装置、特開2010−175298号公報(特許文献3)に開示される空気式防舷材の空気圧監視装置及びその集中管理システム、WO99/20845号公報(特許文献4)に開示される防舷材及びその管理システムが知られている。
【0008】
特許文献1に開示される操船および船舶係留支援方法並びにそのシステムは、船舶同士の接舷及び船舶の係留荷役を行う際に各船舶の位置関係さらには防舷材の状態を容易に把握することができるように2隻の船舶の位置関係の情報と防舷材の情報を表示するものである。
【0009】
特許文献2に開示される他船ターゲット表示装置は、自船の周りの所定領域に存在するほぼ全ての船舶の位置および詳細情報をオペレーターに分かりやすく表示する装置である。
【0010】
特許文献3に開示される空気式防舷材の空気圧監視装置及びその集中管理システムは、空気式防舷材に複数の圧力センサを備え、それぞれの圧力センサが空気圧検知信号を所定の間隔をおいて互いの送信状態が連続するように順に繰り返して送信するようにし、空気式防舷材の空気圧を常時監視することができるようにしている。
【0011】
特許文献4に開示される防舷材及びその管理システムは、端末装置によって複数の防舷材のそれぞれに備えられたトランスポンダの情報記憶手段にアクセスし、情報記憶手段に記憶されている情報を読み出し、この読み出した情報を表示することにより各防舷材を管理するものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態における船舶監視装置を示すブロック図である。図において、1は船舶監視装置で、コンピュータ11、フェンダー通信部12、AIS通信部13、GNSS通信部14、ジャイロ通信部15、無線通信部16、表示部17、操作部18から構成されている。この船舶監視装置1は船舶の操舵室に設置される。
【0022】
コンピュータ11は、周知のコンピュータ本体、キーボード、マウス、記憶装置、表示装置などから構成され、コンピュータ11の記憶装置には予め船舶監視プログラムが記憶され、コンピュータ11は船舶監視プログラムによって動作する。また、コンピュータ11は、フェンダー通信部12、AIS通信部13、GNSS通信部14、ジャイロ通信部15、無線通信部16のそれぞれから取得した情報をコンピュータ11に備わる記憶装置に記憶し、これら取得した複数の情報に基づいて自船舶と接舷目標船舶となる他船舶の位置情報を表示部17に実時間でアニメーション表示すると共に各フェンダー(防舷材)の内部空気圧の情報を実時間で表示する。さらに、コンピュータ11は、取得した複数の情報を表示部17に表示すると共に操作部18から入力された操作指示を実行する。
【0023】
フェンダー通信部12は、コンピュータ11とフェンダーに設けられたトランスポンダ(送受信機)との間の通信を行い、フェンダー内部の空気圧や温度などの情報を取得して、取得した情報をデジタルデータでコンピュータ11に出力する。通常、船舶には接舷用に4つのフェンダーが装備されている。これらのフェンダーにはセンサを含むトランスポンダが備えられ、センサによってフェンダー内部の空気圧や温度を検出し、その検出結果をトランスポンダによって送信する。また、トランスポンダは、検出結果の空気圧や温度の情報に加えてセンサのシリアル番号を送信する。
【0024】
AIS(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)通信部13は、周知のように自船舶の識別符号、船名、位置、針路、速力、目的地などのAIS情報をデジタルデータで送信すると共に周囲の船舶から送信されたAIS情報を受信して、受信したデータをコンピュータ11に出力する。
【0025】
GNSS(Global Navigation Satellite System:全世界的航法衛星システム)通信部14は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)受信機を有し、周知のように複数の航法衛星から送信された電波を受信して自船舶の位置情報、速度情報、姿勢情報などの情報を取得し、これらの情報をデジタルデータでコンピュータ11に出力する。
【0026】
ジャイロ通信部15は、周知のジャイロスコープを有し、自船舶の角度や角速度を検出して、この検出した情報をデジタルデータでコンピュータ11に出力する。
【0027】
無線通信部16は、コンピュータ11の指示に基づき自船舶に関する情報を所定周波数の電波で送信すると共に、他船舶から送信された他船舶に関する情報を受信し、受信した情報をデジタルデータでコンピュータ11に出力する。自船舶に関する情報としては、船舶の位置(緯度、経度)の情報、速度(速度、速度方向)の情報、船首方向の情報、船舶の形状(長さ、幅)の情報、船舶の重心位置の情報、マニホールド位置及び右側接舷或いは左側接舷を含む接舷位置の情報、フェンダー形状の情報、各フェンダーの内部空気圧の情報、GPS受信アンテナの設置位置の情報等である。また、他船舶から送信される他船舶に関する情報も上記と同様の情報であり、自船舶と接舷目標船舶となる他船舶との間で無線通信部16を介してこれらの情報を共有することにより接舷する際に自船舶及び他船舶の位置情報を正確に実時間で表示部17に表示するとともにフェンダー内の空気圧の変化を正確に実時間で表示部17に表示することができる。
【0028】
表示部17は、液晶ディスプレイなどの周知の表示器を有し、コンピュータ11から送出された情報に基づいて画像や文字を表示する。
【0029】
操作部18は、表示部17の表示器に装着されたタッチパネルやマウス、キーボードからなり、これらのタッチパネル、マウス、キーボードはコンピュータ11に接続されており、それぞれオペレータの操作指示及び入力情報をデジタルデータでコンピュータ11に出力する。
【0030】
次に、
図2乃至
図17を参照して本実施形態における船舶監視装置の動作を説明する。本実施形態では、
図2に示すように、洋上において自船舶SP1が洋上に停泊している接舷目標船舶SP2に接舷する場合について説明する。なお、自船舶SP1に装備されている船舶監視装置1と同等の船舶監視装置1が接舷目標船舶SP2に装備されている。また、自船舶SP1には4つのフェンダー2A〜2Dが船舶左側面に装備され、各フェンダー2A〜2Dにはトランスポンダ3A〜3Dが設けられている。
【0031】
船舶監視装置1を起動するとコンピュータ11によって表示部17の表示器に
図3に示すメイン画面100が表示される。メイン画面100には、使用機器通信関連設定領域101、初期設定領域102、監視モード選択領域103、使用機器選択領域104、終了ボタン105が表示される。初期起動時には、使用機器通信関連設定領域101、初期設定領域102、使用機器選択領域104のボタンを操作して初期設定を行った後、監視モード選択領域103のボタンを操作して監視モードの選択を行い監視画面を表示する。これにより、監視画面を見ながら接舷時における操船を極めて容易に行うことができる。
【0032】
使用機器通信関連設定領域101には、「Fender com.」ボタン101a、「AIS com.」ボタン101b、「GNSS com.」ボタン101c、「Gyro com.」ボタン101d、「Sender Waves com.」ボタン101e、「Receiver Waves com.」ボタン101fが表示されている。
【0033】
「Fender com.」ボタン101aは、フェンダー通信部12との間で行う通信に関する設定を入力する際に操作する。「Fender com.」ボタン101aをタッチパネルで押す或いはマウスでクリックする或いはキーボード操作で押す(以下、これら全ての操作を総称して「押す」と称する)とコンピュータ11によって
図4に示すFender Communication画面111が表示される。このFender Communication画面111では、フェンダー通信部12との通信に使用するCOMポート番号の入力を行うとともに、データの送信レート、データビットのビット数、パリティの種別、ストップビットのビット数が表示される。
【0034】
「AIS com.」ボタン101bは、AIS通信部13との間で行う通信に関する設定を入力する際に操作する。「AIS com.」ボタン101bを押すとコンピュータ11によって
図5に示すAIS Settings画面112が表示される。AIS Settings画面112では、AIS通信部13との間で行う通信に使用するCOMポートの番号、ボーレート、パリティの有無及び種別、データビットのビット数、ストップビットのビット数を設定する。
【0035】
「GNSS com.」ボタン101cは、GNSS通信部14との間で行う通信に関する設定を入力する際に操作する。「GNSS com.」ボタン101cを押すとコンピュータ11によって
図6に示すGPS Settings画面113が表示される。このGPS Settings画面113では、GNSS通信部14との間で行う通信に使用するCOMポートの番号、ボーレート、パリティの有無及び種別、データビットのビット数、ストップビットのビット数を設定する。
【0036】
「Gyro com.」ボタン101dは、ジャイロ通信部15との間で行う通信に関する設定を入力する際に操作する。「Gyro com.」ボタン101dを押すとコンピュータ11によって
図7に示すGyro Settings画面114が表示される。このGyro Settings画面114では、ジャイロ通信部15との間で行う通信に使用するCOMポートの番号、ボーレート、パリティの有無及び種別、データビットのビット数、ストップビットのビット数を設定する。
【0037】
「Sender Waves com.」ボタン101eは、無線通信部16を介して送信する情報に関する設定を入力する際に操作する。「Sender Waves com.」ボタン101eを押すとコンピュータ11によって
図8に示すSender Radio Waves Settings画面115が表示される。このSender Radio Waves Settings画面115では、送信するデータとしてGPSデータ、Gyroデータ、AISデータ、Fenderデータの何れを選択するか、さらに、送信に使用するシリアルポート番号を入力する。さらに、Sender Radio Waves Settings画面115には、シリアル通信速度、パリティの有無及び種別、データビットのビット数、ストップビットのビット数、通信ケーブルの種別(ストレートケーブル又はクロス(リバース)ケーブル)が表示される。
【0038】
「Receiver Waves com.」ボタン101fは、無線通信部16を介して受信する情報に関する設定を入力する際に操作する。「Receiver Waves com.」ボタン101fを押すとコンピュータ11によって
図9に示すReceiver Radio Waves Settings画面116が表示される。このReceiver Radio Waves Settings画面116では、受信するデータとしてGPSデータ、Gyroデータ、AISデータ、Fenderデータの何れを選択するか、さらに、受信に使用するシリアルポート番号を入力する。さらに、Receiver Radio Waves Settings画面116には、シリアル通信速度、パリティの有無及び種別、データビットのビット数、ストップビットのビット数、通信ケーブルの種別(ストレートケーブル又はクロス(リバース)ケーブル)が表示される。
【0039】
また、初期設定領域102には、「Fender Information」ボタン102a、「Fender Selection」ボタン102b、「Fender Initial Pressure」ボタン102c、「Ship Selection」ボタン102d、「Ship Information」ボタン102eが表示されている。
【0040】
「Fender Information」ボタン102aは、空気圧の監視対象となるフェンダーに関する情報を設定する際に操作する。「Fender Information」ボタン102aを押すと、コンピュータ11によって
図10に示すFender Setting画面117が表示される。このFender Setting画面117では、監視対象となるフェンダーの数(Fender Number)、各フェンダーの名称(Fender Name)、各フェンダーにおけるセンサの使用個数(Transponder Number)、センサのシリアル番号(Transponder Serial)、各フェンダーの形状としての直径と長さ(Fender Spec.)、初期警告圧力(Intiatory Warning)、警告圧力(Warning)、初期圧力(Internal Pressure)、これらのデータを記憶しておくデータフォルダー(Data File Folder)の設定を行う。また、これらの情報は、テキスト形式で作成された設定ファイルからの入力、編集も可能であり、テキストファイルの入力、編集ソフトにより設定することも可能である。
【0041】
「Fender Selection」ボタン102bは、空気圧の監視対象となるフェンダーを選択する際に操作する。「Fender Selection」ボタン102bを押すと、コンピュータ11によって
図11に示すSerial Confirmation画面118が表示される。このSerial Confirmation画面118には、センサのシリアル番号(Serial)、選択の有無のチェックボックス(Set)、通信回数(Count)、フェンダーの名称(Fender Name)が表示される。また、画面下部には「Start」ボタン118a、「Finish」ボタン118b、「Serial Sort」ボタン118c、「Set Serial and Return」ボタン118d、「Cancel and Return」ボタン118eが表示される。「Start」ボタン118aを押すと自動的に各フェンダーのトランスポンダから送信されているセンサのシリアル番号を取得し、取得したセンサのシリアル番号が画面に表示される。「Finish」ボタン118bを押すと各センサのシリアル番号の取得処理が停止される。「Serial Sort」ボタン118cを押すと、コンピュータ11によって表示されているシリアル番号が昇順或いは降順になるように表示が変更される。また、監視対象とするセンサにフェンダー名称を設定後、センサの欄のチェックボックスをクリックしてチェックマークを付けた後に「Set Serial and Return」118dボタンを押すと、コンピュータ11によって、チェックマークが付けられたセンサ及びフェンダーが監視対象として選択された後、フェンダーの選択処理が終了されてメイン画面100が表示される。これにより前述した
図11に示すSerial Confirmation画面118には選択されたフェンダーの名称とセンサのシリアル番号が自動的に表示される。「Cancel and Return」ボタン118eを押すと、コンピュータ11によってフェンダーの選択処理が中止されてメイン画面100が表示される。
【0042】
「Fender Initial Pressure」ボタン102cは、監視対象のフェンダーの情報を表示する際に操作する。「Fender Initial Pressure」ボタン102cを押すと、コンピュータ11によって
図12に示すFender Watch Initial Internal Pressure Measurement画面119が表示される。このFender Watch Initial Internal Pressure Measurement画面119には、
図10に示すFender Setting画面117において設定された4つのフェンダーの名称(Fender)、センサのシリアル番号(Transponder)、フェンダーのタイプ(Type)、通信によるデータの取得回数(Counter)、測定したフェンダー内部の空気圧(P(kPa))、測定したフェンダー内部の空気温度(Temp(℃))、電波の受信強弱値(RSSI)、フェンダーの平均内部空気圧(Internal Pressure)、フェンダーの内部空気圧値の直接入力部(Direct Entry Counter)が表示される。さらに、Fender Watch Initial Internal Pressure Measurement画面119の下部には、「Start」ボタン119aと、「Return」ボタン119bが表示される。「Start」ボタン119aを押すとボタンを押した時点における情報(各センサで測定された圧力、温度)が取得、表示され、必要に応じ、各フェンダーの圧力(初期圧力)が測定される。「Return」ボタン119bを押すと、メイン画面100が表示される。
【0043】
「Ship Selection」ボタン102dは、自船舶と接舷目標となる他船舶を選択する際に操作する。「Ship Selection」ボタン102dを押すと、コンピュータ11によって
図13に示すAIS Communication画面120が表示される。このAIS Communication画面120には、自船舶の選択領域(Own)、接舷目標となる他船舶の選択領域(Target)、自船舶の近海に存在する他船舶の海上移動業務識別(MMSI: Maritime Mobile Service Identity)、船舶名(Ship Name)、コールサイン(Call Sign)、国際海事機関船舶識別番号(International Maritime Organization Ship identification number)(IMO)、船舶の航行速度(Speed)、船舶の位置する経度(Longitude)、船舶の位置する緯度(Latitude)、及び各船舶毎に「Delete」ボタンが表示される。なお、自船舶に関する情報は最上段に表示される。なお、「Delete」ボタンを押すことによりこれに対応する欄の他船舶の情報を非表示とすることができる。
【0044】
また、AIS Communication画面120の下部には、「Data Reset」ボタン120a、「Sort」ボタン120b、「Set and Return」ボタン120c、「Cancel」ボタン120dが表示される。「Data Reset」ボタン120aを押すと自船舶の情報及びAIS通信部13によって取得した全ての他船舶の情報を初期化し、再度データの取得が開始され、再取得データが表示される。「Sort」ボタン120bを押すと自船舶の経度及び緯度の情報並びに他船舶の経度及び緯度の情報に基づいて自船舶から他船舶までの距離を算出しこの距離の短い順に或いは長い順に他船舶の表示順序を変更する。「Sort」ボタン120bを押す度に、表示が、距離の短い順或いは長い順に交互に変更される。自船舶と他船舶を選択して「Set and Return」ボタン120cを押すとコンピュータ11によって自船舶と他船舶が設定された後にメイン画面100が表示される。なお、表示されている情報はオペレータが手動入力することにより追加及び変更が可能である。「Cancel」ボタン120dを押すとコンピュータ11によって処理が中断されてメイン画面100が表示される。
【0045】
「Ship Information」ボタン102eは、自船舶と接舷目標となる他船舶の情報を表示する際及び設定する際に操作する。「Ship Information」ボタン102eを押すと、コンピュータ11によって
図14に示すSetting Ships画面121が表示される。このSetting Ships画面121には、接舷目標となる他船舶が「Ship A」として表示され、自船舶が「Ship B」として表示される。「Ship A」に関する情報としては、海上移動業務識別(MMSI)、船舶名称(Ship Name)、船舶の長さ、船舶の幅、船舶の先端からGPS装置までの距離、船舶の左側壁からGPS装置までの距離、マニホールドの位置が表示される。「Ship B」に関する情報としては、海上移動業務識別(MMSI)、船舶名称(Ship Name)、船舶の長さ、船舶の幅、船舶の先端からGPS装置までの距離、船舶の左側壁からGPS装置までの距離、船舶の先端から重心位置までの距離、マニホールドの位置が表示される。その他にフェンダーの情報(Fender)として、フェンダーの数(Number)、フェンダーの直径(Diameter)が表示される。これらの情報のうち設定されていない情報がある場合はその表示欄は空白となって表示される。なお、空白の欄の情報及び表示されている情報はオペレータが手動入力することにより追加及び変更が可能である。また、Setting Ships画面121の下部には「SET」ボタン121aと「CANCEL」ボタン121bが表示される。「SET」ボタン121aを押すと表示されている情報がコンピュータ11によって自船舶の情報及び接舷目標の他船舶の情報として設定された後にメイン画面100が表示される。「CANCEL」ボタン121bを押すとコンピュータ11によって処理が中断されてメイン画面100が表示される。
【0046】
使用機器選択領域104には、AIS通信部13に対応する「AIS UNIT」、GNSS通信部14に対応する「GNSS UNIT」、ジャイロ通信部15に対応する「Gyro UNIT」、無線通信部16の送信機に対応する「Waves Sender」、無線通信部16の受信機に対応する「Waves Receiver」、フェンダー通信部12に対応する「Fender Unit」のチェックボックスが表示され、使用する機器のチェックボックスにチェックを入れる。
【0047】
監視モード選択領域103には「Fender Monitoring」ボタン103aと「Ship and Fender Monitoring」ボタン103bが表示される。
【0048】
「Fender Monitoring」ボタン103aはフェンダーの詳細情報を表示させるとともにフェンダーの状態を監視する際に操作される。「Fender Monitoring」ボタン103aを押すと、コンピュータ11によって
図15に示すFENDER Watch Monitoring画面122が表示される。このFENDER Watch Monitoring画面122には、Setting画面117において設定された4つのフェンダーの名称(Fender)、センサのシリアル番号(Transponder)、フェンダー内部の初期空気圧(Initial P(kPa))、測定したフェンダー内部の空気圧(P(kPa))、フェンダーの変形度(%)(DefP(%))、フェンダーの変形度(mm)(Def(mm))、フェンダーのエネルギー(E(kN-m))、フェンダーの反力(R(kN))、測定したフェンダー内部の空気温度(Temp(℃))、通信によるデータの取得回数(Counter)が表示される。
【0049】
また、FENDER Watch Monitoring画面122の下部には、測定したフェンダー内部の空気圧(Pressure(kPa))、フェンダーの変形度(DefP(%))、フェンダーのエネルギー(E(kN-m))、フェンダーの反力(R(kN))のそれぞれがフェンダー毎に棒グラフによって実時間で表示される。
【0050】
さらに、FENDER Watch Monitoring画面122の右上部には、「Start」ボタン、「Pause」ボタン、「Return」ボタン、「Restart」ボタンが表示される。「Start」ボタンを押すとコンピュータ11によって表示処理が開始され、「Pause」ボタンを押すと表示処理が中断される。「Pause」ボタンを押して表示処理が中断されているときに「Restart」ボタンを押すとコンピュータ11によって表示処理が再開される。また、「Return」ボタンを押すとコンピュータ11による表示処理が終了されてメイン画面100が表示される。
【0051】
「Ship and Fender Monitoring」ボタン103bは、自船舶と接舷目標となる他船舶の位置関係を実時間でアニメーション表示するとともにフェンダーの状態を実時間で監視する際に操作される。「Ship and Fender Monitoring」ボタン103bを押すとコンピュータ11によって
図16に示すShip and Fender Monitoring画面123が表示される。つまり、自船舶が他船舶に接舷する際にはこのShip and Fender Monitoring画面123を表示することにより接舷時における操船を容易に行うことができる。
【0052】
Ship and Fender Monitoring画面123の左半分には、自船舶SP1と接舷目標の他船舶SP2がアニメーション表示され、その上部にはアニメーション表示の上方向が北(NORTH)であるか船首(HEADING)であるかを選択する領域(UP)が表示されている。
【0053】
また、アニメーション表示領域の左側には相対値表示領域(Relative)が表示され、この相対値表示領域(Relative)には自船舶SP1の船首部(BOW SIDE)と船舶中心部(CENTER)と船尾部(STERN SIDE)のそれぞれにおける他船舶に対する相対速度と相対方向と相対距離が表示されている。相対速度表示の単位はノット(kt)或いは毎秒何m(m/s)を選択できるようになっている。また、相対方向は矢印で表示され、相対距離はm単位で表示される。
【0054】
また、アニメーション表示領域の下側には自船舶と他船舶の情報及び到達予測時間(ETA)が表示される。他船舶の情報としては、他船舶の名称、他船舶の海上移動業務識別(Target)、船首方向(HEADING)、速度(SPEED)が表示される。なお、他船舶の速度(SPEED)の表示単位はノット(kt)或いは毎秒何m(m/s)を選択できるようになっている。自船舶の情報としては、自船舶の名称、自船舶の海上移動業務識別(Own Ship)、船首方向(HEADING)、速度(SPEED)、自船舶から他船舶までの横方向距離(DEVIATION)、自船舶と他船舶と船舶間距離(DIST)が表示される。なお、自船舶の速度(SPEED)の表示単位はノット(kt)或いは毎秒何m(m/s)を選択できるようになっている。また、自船舶及び他船舶の船首方向(HEADING)、速度(SPEED)、自船舶から他船舶までの横方向距離(DEVIATION)、自船舶と他船舶と船舶間距離(DIST)、及び到達予測時間(ETA)は実時間で表示される。
【0055】
Ship and Fender Monitoring画面123の右半分には、フェンダーに関する情報が表示される。フェンダーに関する情報としては、Setting画面117において設定された4つのフェンダーの名称(Fender)、測定したフェンダー内部の空気圧(Pressure(kPa))、フェンダーの変形度(%)(DefP(%))が表示される。また、その下部には、測定したフェンダー内部の空気圧(Pressure(kPa))、フェンダーの変形度(DefP(%))のそれぞれがフェンダー毎に棒グラフによって実時間で表示される。
【0056】
さらにコンピュータ11は、起動直後から取得した自船舶の位置情報と接舷目標船舶の位置情報をコンピュータ11に備わる記憶装置に時刻歴で記録している。この時刻歴で記憶された自船舶及び接舷目標船舶の位置情報に基づいて、
図17に示すように自船舶と接舷目標船舶の位置を時間経過に沿って再表示することができる。なお、船舶の位置情報とともに時刻情報も記憶されているので、何時から何時までの情報と指定して再表示することも可能である。
【0057】
また、通常AIS情報は船舶の移動速度によって情報送信間隔が異なる。例えば、停泊している船舶の情報は3分間隔で送信され、移動している船舶においても速度が速いもので2秒間隔で船舶情報が送信され、速度が遅いもので12秒間隔で船舶情報が送信される。このため、AIS情報のみを使用すると正確な船舶情報を実時間で取得することはできない。本実施形態の船舶監視装置1ではAIS通信部13に加えてGNSS通信部14及びジャイロ通信部15並びに無線通信部16を設けている。GNSS通信部14では2Hz以上の高周波数でデータを取得することができ、ジャイロ通信部15においても2Hz以上の高周波数でデータを取得することができる。さらに、本実施形態の船舶監視装置1は無線通信部16を備えているので、AIS情報に含まれない情報を自船舶から接舷目標船舶に対して供給することができると共に接舷目標船舶からもAIS情報に含まれない接舷目標船舶の情報を取得することができる。したがって、本実施形態の船舶監視装置1は、これら取得した全ての情報に基づいて自船舶と接舷目標船舶の位置情報及びフェンダーに関する情報を表示しているので、正確な情報を実時間で表示することができる。このため、本実施形態の船舶監視装置1を使用することにより、接舷目標船舶に対して自船舶を接舷する際に操船を従来よりもさらに容易に行うことができる。