(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タッチ制御手段は、前記タッチ判別手段により前記所定の被写体が前記タッチ入力部上でタッチされたと判別された場合に前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作を有効とし、それ以外の位置がタッチされたと判別された場合に前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作を無効とする制御を更に行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
前記撮影制御手段は、前記所定の被写体が複数の場合に、該複数の所定の被写体の中から前記タッチ入力部上でレリーズ操作が行われた被写体を対象とした撮影制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の撮像装置。
前記タッチ判別手段は、前記被写体判別手段により前記レリーズ操作の有効に対応付けられている被写体が撮影画像内に複数存在すると判別され、かつ、前記タッチ制御手段により制御された前記複数の被写体のタッチ有効範囲が重複する場合に、各被写体に対応付けられている優先度に応じて、前記複数の被写体のいずれがタッチされたかを判別し、
前記撮影制御手段は、前記タッチ判別手段によりタッチされた被写体を対象とした撮影制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、
図1〜
図6を参照して詳細に説明する。
本実施形態は、撮像装置としてデジタルカメラ(コンパクトカメラ)に適用した場合で、
図1は、そのデジタルカメラの基本的な構成要素を示したブロック図である。
このデジタルカメラは、タッチ操作によりデータやコマンド入力が可能なタッチ入力機能を備えたコンパクトカメラで、制御部1を中核とする構成となっている。制御部1は、電源部(二次電池)2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこのデジタルカメラ(以下、カメラと略称する)の全体動作を制御するもので、この制御部1には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。
【0012】
記憶部3は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、後述する
図3〜
図5に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているプログラムメモリM1と、後述する顔画像メモリM2と、優先度テーブルM3などを有するほか、このカメラが動作するために必要となる各種の情報(例えば、フラグ、タイマなど)を一時的に記憶するワークメモリを有する構成となっている。なお、記憶部3は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介してネットワークに接続された状態においては所定の外部サーバ側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0013】
操作部4は、図示省略したが、画像の撮影を指示する撮影操作、露出などの撮影条件を設定する設定操作、撮影済み画像の再生を指示する再生操作などを行う押しボタン式の各種のキー(シャッタキー、設定キー、再生開始キーなど)を備えたもので、制御部1は、この操作部4からの入力操作信号に応じた処理として、例えば、撮影処理、撮影条件の設定、再生処理、データ入力処理などを行う。撮像部5は、光学レンズからの被写体像が撮像素子(CCDやCMOSなど)に結像されることにより被写体を高精細に静止画撮影することが可能なもので、図示省略したが、レンズ部、撮像素子、A/D(アナログ/デジタル)変換部などを有し、静止画像のほかに動画像の撮影も可能な構成となっている。
【0014】
そして、撮像部5は、ズームレンズ、フォーカスレンズなどを備えたレンズ部からの被写体像が、図示省略した絞りやシャッタを介して撮像素子(CCD又はCMOS)に結像されることにより被写体を高精細に撮影可能なもので、この撮像素子で光電変換された画像信号(アナログ値の信号)に対して、色分離やRGBの色成分毎のゲイン調整などが行われた後に、デジタル値のデータに変換される。そして、デジタル変換された画像データは、色補間処理(デモザイク処理)が施されてタッチ表示部6に送られ、ライブビュー画像としてフルカラー表示される。また、本実施形態では、オートフォーカス処理(AF処理)、ズーム処理、露出調整処理(AE処理)、オートホワイトバランス調整処理(AWB)、収差補正処理、画像圧縮処理、画像復元処理なども実行可能となっている。
【0015】
顔検出部7は、ライブビュー画像内の被写体(例えば、人物、ペットなどの顔)を追尾して認識する被写体認識機能を構成するもので、最大フレームレート(例えば、300fps)で撮像部5から撮像画像を取り込み、フレーム単位毎に撮影画像を解析しながら被写体の顔の輪郭や顔を形成するバーツ(目、口、鼻、額など)の形や位置関係などを総合的に判断して、被写体の顔を検出すると共に、複数フレームにわたって連続的に登場する同一被写体の顔を追尾するようにしている。制御部1は、被写体の顔を検出すると共に、検出した被写体の顔にピントを合わせたり、顔の色を美しくするために露出やホワイトバランスを調整したりする制御を行うようにしているが、このような機能は、カメラにおいて一般的に用いられている技術であり、本実施形態ではその周知技術を利用するようにしているため、その具体的な説明については省略するものとする。
【0016】
タッチ表示部6は、表示パネル(表示部)6Aと、この表示パネル6A上に積層配設されたタッチパネル(タッチ入力部)6Bを有し、指などでのタッチ操作を感知してそのタッチ操作に応じたデータを入力するタッチ入力処理を行うもので、タッチ操作の感知からタッチ位置に応じた座標データを入力するタッチ入力処理を実行するようにしている。なお、タッチパネル6Bとしては、静電容量方式、抵抗皮膜方式、電磁誘導方式、圧電方式などの各種方式のうち、本実施形態では圧電方式を採用するようにしているが、その他の方式を採用するようにしてもよい。
【0017】
タッチ表示部6を構成する表示パネル6Aは、例えば、縦横比(横4:縦3)の異なる画面を有した高精細な液晶ディスプレイで、ソフトウェアキーとしての機能名を表示するほか、撮像された画像(ライブビュー画像)を表示するファインダ画面(モニタ画面)として機能したり、保存済み画像を表示する再生画面として機能したりする。また、タッチ表示部6を構成するタッチパネル6Bは、圧電方式による押圧力の変化によりタッチ面にタッチ(接触)操作されたことを感知するもので、表示パネル6Aの表示面全体には、透明なタッチパネル6Bが積層配設されている。更に、タッチ表示部6は、タッチパネル6Bへのタッチ操作時にその押圧力(タッチ圧)に応じてそのタッチ強度を検出し、そのタッチ強度が所定のタッチ感度以上の場合にタッチ操作が行われたものとして認識するようにしている。
【0018】
そして、本実施形態ではタッチシャッタ機能を備え、タッチパネル6B上の任意の位置がタッチされることにより撮影を指示するレリーズ操作を可能であるが、そのレリーズ操作を一定の条件下で有効/無効とするようにしている。すなわち、制御部1は、撮像画像(ライブビュー画像)内に撮影モードに応じて決定される所定の被写体が存在しているか否かを判別し、所定の被写体が存在していれば、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を有効とするが、存在していなければ、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を無効とするようにしている。
【0019】
ここで、撮影モードに応じて決定される所定の被写体とは、被写体に応じてその撮影に適した撮影条件が設定されている複数の撮影モードのうち、現在選択されている撮影モードが、例えば、人物撮影に適切な人物モードであれば、予め登録されている人物の顔部分となる。例えば、人込みの中から登録人物(例えば、家族の顔)を探し出してその登録人物の顔にピントを合わせて撮影を行う人物モードであれば、所定の被写体とは、その登録人物の顔部分となる。なお、人物モードとは、家族や友人などを撮影する場合の撮影モードに限らず、自分自身を撮影する自分撮りモードであってもよい。
【0020】
また、本実施形態においては、タッチパネル6B上でのレリーズ操作が有効であるか無効であるかを示すデータを表示パネル6Aに識別可能に表示するようにしている。また、タッチパネル6B上でのレリーズ操作が有効な状態において、表示パネル6Aに表示されているライブビュー画像内の所定の被写体(人物モードであれば、人物の顔部分)がタッチパネル6B上でタッチされた場合に、その所定の被写体を対象とした撮影制御として、例えば、AF処理を行ってからその人物の撮影を行うようにしている。
【0021】
図2(1)は、顔画像メモリM2を説明するための図である。
顔画像メモリM2は、被写体(例えば、人物の顔)にその被写体を特定するための被写体データとタッチパネル6B上で行われるレリーズ操作の有効無効とを対応付けて記憶管理するもので、「名前」、「顔画像」、「レリーズフラグ」、「優先度フラグ」の各項目を有し、その内容はユーザ操作により任意に記憶(登録)されたものである。「名前」は、登録された被写体を特定するための被写体データで、現在選択されている撮影モードが人物モードであれば、その登録画像(登録顔画像)を識別する名前である。なお、図示の例は、「名前」として“AAA”、“BBB”、“CCC”、“DDD”、“EEE”、“FFF”が登録された場合を示している。「顔画像」は、被写体を特定するための被写体データで、その被写体の顔画像データあるいは顔の特徴点を示した特徴点データである。なお、「顔画像」として顔画像データ及び特徴点データの両方を記憶するようにしてもよい。
【0022】
「レリーズフラグ」は、ライブビュー画像内に所定の被写体(登録顔画像)が存在する場合に、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を有効とするか否かを示すフラグで、“1”は、レリーズ操作を有効とすることを示し、“0”は、レリーズ操作を無効とすることを示し、ユーザ操作により予め任意に設定されたものである。「優先度フラグ」は、被写体毎に予め設定されたもので、撮影対象として重要な被写体であることを示す優先度である。図示の例では、優先度“0”、“1”、“2”、“3”を示し、その優先順位は“1”>“2”>“3”の関係にあるため、特に重要な人物には「優先度フラグ」を“1”として、次に重要な人物には「優先度フラグ」を“2”とすればよい。なお、優先度“0”は、特に優先しないことを示している。
【0023】
図2(2)は、優先度テーブルM3を説明するための図である。
優先度テーブルM3は、タッチシャッタ機能によるレリーズ操作時において、顔画像メモリM2に設定されている被写体の「優先度」に応じてレリーズ操作時のタッチ感度を変更したり、レリーズ操作時のタッチ有効範囲を変更したりする変更量を記憶するもので、「優先度」、「タッチ感度」、「タッチ有効範囲」の各項目を有し、その内容はユーザ操作により任意に設定されたものである。
【0024】
「タッチ感度」は、タッチシャッタ機能によるレリーズ操作時のタッチ強度を示したもので、このタッチ強度として、a(弱い)<b(中)<c(強い)の関係にあり、図示の例では、優先度“1”は“a(弱い)”、“2”は“b(中)”、“3”は“c(強い)”となっている。これによって重要な人物に対しては、レリーズ操作時のタッチ強度が弱くてもそのレリーズ操作の受け付けが可能となる。「タッチ有効範囲」は、タッチシャッタ機能によるレリーズ操作時に所定の被写体(登録被写体)上をタッチした際にそのレリーズ操作が有効となるが、その被写体(登録顔画像)上がタッチされたか否かを認識する際のタッチ有効範囲として顔の大きさを示している。図示の例では、優先度“1”は“顔の150%”、“2”は“顔の125%”、“3”は“顔の100%”となっている。これによって重要な人物に対しては、レリーズ操作時にその人物の顔部分から少し外れた位置にタッチされたとしてもそのレリーズ操作の受け付けが可能となる。
【0025】
次に、本実施形態におけるカメラの動作概念を
図3〜
図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードに従った動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0026】
図3〜
図5は、電源投入に応じて実行開始されるカメラの全体動作を示したフローチャートで、本実施形態の特徴部分の動作概要を示している。
先ず、制御部1は、現在選択されている動作モードは撮影モードであるかを調べ(
図3のステップS1)、撮影モードであれば(ステップS1でYES)、以下、撮影モードに応じた処理に移るが、撮影モードでなければ(ステップS1でNO)、再生モードであると判断して、再生モードに応じた処理に移る。すなわち、再生モードとして動作可能な状態に設定する初期設定を行った後、ユーザ操作により任意に指定された再生対象の画像を記憶部3から読み出して、タッチ表示部6の表示パネル6Aに表示させる処理を行う(ステップS9)。
【0027】
この再生モードにおいて、動作モードの変更を指示するモード変更操作が行われたかを調べたり(ステップS10)、その他の操作が行われたかを調べたりする(ステップS11)。いま、その他の操作として、例えば、画像送り操作、スライドショー開始/停止操作などが行われたときには(ステップS11でYES)、その操作に応じた処理として、画像送り、スライドショー開始/停止などの処理(ステップS12)を実行した後、上述のステップS10に戻る。ここで、再生モードを解除して撮影モードを指定するためにモードの変更を指示するモード変更操作が行われたときには(ステップS10でYES)、以下、撮影モードに応じた処理に移る。
【0028】
先ず、撮影モードとして動作可能な状態に設定する初期設定を行った後、撮像部5から取り込んだ画像をライブビュー画像としてタッチ表示部6の表示パネル6Aに表示させる処理を行う(ステップS2)。この撮影モードにおいて、現在選択されている撮影モードは人物モードであるかを調べ(ステップS3)、人物モード以外の撮影モード、例えば、風景モードなどであれば、
図5のフローに移り、押しボタン式のシャッタキーによるレリーズ操作が行われたかを調べたり(ステップS22)、動作モードの変更を指示するモード変更操作が行われたかを調べたり(ステップS23)、その他の操作が行われたかを調べたりする(ステップS24)。
【0029】
いま、人物モード以外の撮影モードにおいて、その他の操作として、例えば、露出設定、ズーム設定などが行われると(ステップS24でYES)、その操作に応じた処理として、露出設定、ズーム設定などの処理(ステップS25)を実行した後、
図3のステップS3に戻る。また、シャッタキーによるレリーズ操作が行われたときには(ステップS22でYES)、ライブビュー画像内の被写体などに対してオートフォーカス処理(AF処理)を行った後(ステップS26)、現在選択されている撮影モードに応じた撮影条件(被写体の撮影に適した撮影条件)を設定して撮影を行う(ステップS27)。そして、撮影された画像をJPEG形式などの画像形式に圧縮した後、記憶部3に記録保存する処理(ステップS28)を行った後、
図3のステップS3に戻る。また、撮影モードを解除して再生モードを指定するためにモードの変更を指示するモード変更操作が行われたときには(ステップS23でYES)、以下、上述の再生モードに応じた処理に移る(
図3のステップS9〜S12)。
【0030】
一方、撮影モードが人物モードであれば(
図3のステップS3でYES)、顔検出部7による被写体認識を行い、その結果、撮影画像(ライブビュー画像)内に人物の顔が存在しているかを調べ(ステップS4)、人物の顔が存在していなければ(ステップS4でNO)、シャッタキーによるレリーズ操作を受け付けるために上述した
図5のステップS22に移る。また、撮影画像内に人物の顔が存在していれば(ステップS4でYES)、顔画像メモリM2を参照し(ステップS5)、撮影画像内の顔が顔画像メモリM2に登録されている登録顔画像であること(ステップS6でYES)、それに対応する「レリーズフラグ」の値が“1”であること(ステップS7でYES)を条件として、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を受け付け可能とする。
【0031】
すなわち、顔画像メモリM2に登録されている「顔画像」を参照して、ライブビュー画像内にその登録顔画像が存在しているかを調べ(ステップS6)、登録顔画像が存在していなければ(ステップS6でNO)、シャッタキーによるレリーズ操作を受け付け可能とするために上述した
図5のステップS22に移る。また、登録顔画像が存在していれば(ステップS6でYES)、その登録顔画像に対応する「レリーズフラグ」を参照し、その値は“1”であるかを調べる(ステップS7)。ここで、「レリーズフラグ」が“0”であれば(ステップS7でNO)、シャッタキーによるレリーズ操作を受け付け可能とするために上述した
図5のステップS22に移るが、“1”であれば(ステップS7でYES)、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を受け付け可能とするためにステップS8に移り、タッチパネル6B上でのレリーズ操作が有効であるか無効であるかを示すデータを表示パネル6Aに識別可能に表示させる。
【0032】
この場合、タッチシャッタ機能が有効であることを示す文字列“タッチ”をライブビュー画像内に表示させるようにしている。なお、
図6(1)〜(4)は、ライブビュー画像の表示例を示したもので、
図6(1)は、ライブビュー画像内に名前「BBB」の登録顔画像が存在しているが、それに対応する「レリーズフラグ」が“0”の場合を示し、この場合には、タッチシャッタ機能が有効であることを識別するデータは表示されない。
図6(2)は、ライブビュー画像内に名前「AAA」の登録顔画像が存在し、それに対応する「レリーズフラグ」が“1”の場合を示した図で、この場合には、ライブビュー画像内の右下にタッチシャッタ機能が有効であることを示す文字列“タッチ”が表示される。同様に、
図6(3)、(4)は、ライブビュー画像内に名前「AAA」、「EEE」の登録顔画像が存在し、それに対応する「レリーズフラグ」が“1”の場合を示した図で、この場合においてもライブビュー画像内の右下にタッチシャッタ機能が有効であることを示す文字列“タッチ”が表示される。
【0033】
そして、
図4のフローに移り、タッチパネル6B上でのレリーズ操作(タッチ操作)が行われたかを調べ(ステップS13)、レリーズ操作(タッチ操作)が行われなければ(ステップS13でNO)、シャッタキーによるレリーズ操作を受け付け可能とするために上述した
図5のステップS22に移るが、レリーズ操作(タッチ操作)が行われたときには(ステップS13でYES)、そのタッチ位置を検出すると共にタッチ押圧力に応じたタッチ強度を検出する(ステップS14)。次に、登録顔画像に対応する「優先度フラグ」を顔画像メモリM2から読み出すと共に、この「優先度フラグ」に対応する「タッチ有効範囲」を優先度テーブルM3から読み出す(ステップS15)。そして、ライブビュー画像内において、登録顔画像のタッチ有効範囲がタッチされたか、つまり、その顔画像を中心とするタッチ有効範囲を特定し、このタッチ有効範囲内にタッチ位置が存在しているかを調べる(ステップS16)。
【0034】
図6(2)は、ライブビュー画像内に1つの顔画像(「名前」“AAA”の登録画像)が存在している場合で、その登録顔画像に対応する「タッチ有効範囲」が“顔の150%”の場合であるから、そのタッチ有効範囲は、図中、破線の円形に示すように顔の周囲を含めた領域(仮想的な領域)であり、実際には表示されない(以下、同様)。
図6(3)は、ライブビュー画像内に2つの顔画像(「名前」“AAA”と“EEE”の登録画像)が存在し、その「名前」“AAA”の登録顔画像の「タッチ有効範囲」が“顔の150%”、「名前」“EEE”の登録顔画像の「タッチ有効範囲」が“顔の100%”の場合である。この場合、「名前」“AAA”と“EEE”の顔画像の大きさが略同一の大きさであれば、「名前」“AAA”のタッチ有効範囲の方が「名前」“EEE”のタッチ有効範囲よりも50%大きなものとなるため、図示のように2つの顔画像が接近している状態において、その中間部がタッチされたような場合には、「名前」“AAA”のタッチ有効範囲(図中、左側)がタッチされる可能性が高くなる。
【0035】
ここで、タッチ位置がいずれかのタッチ有効範囲からも外れているときには(ステップS16でNO)、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を無効とする一方、シャッタキーによるレリーズ操作を受け付け可能とするために上述した
図5のステップS22に移る。また、タッチ位置がいずれかのタッチ有効範囲内であれば(ステップS16でYES)、2以上のタッチ有効範囲が重複しているかを調べる(ステップS17)。
図6(4)は、ライブビュー画像内に2つの顔画像(「名前」“AAA”と“EEE”の登録画像)が存在し、その「名前」“AAA”のタッチ有効範囲の一部が他の「名前」“EEE”のタッチ有効範囲の一部に重なり合っている場合を例示したものである。
【0036】
いま、2以上のタッチ有効範囲が重複していなければ、つまり、重なり合っていなければ(ステップS17でNO)、タッチされたタッチ有効範囲内の顔画像に対応する「優先度フラグ」を顔画像メモリM2から読み出すと共に、その「優先度」に対応する「タッチ感度」を優先度テーブルM3から読み出す(ステップS19)。そして、上述のステップS14で検出したタッチ強度は、その「タッチ感度」以上であるかを調べる(ステップS20)。一方、2以上のタッチ有効範囲が重複して重なり合っていれば(ステップS17でYES)、それらの登録顔画像に対応付けられている「優先度フラグ」を顔画像メモリM2から読み出して比較し、優先度の高い方の登録顔画像をAF処理の対象として選択する(ステップS18)。
【0037】
図6(4)の例では、「名前」“AAA”の「優先度フラグ」は“1”、「名前」“EEE”の「優先度フラグ」は“3”であり、「名前」“AAA”の方が、高い優先度であるため、「名前」“AAA”の顔画像がAF処理の対象として選択される。そして、次のステップS19に移り、選択した顔画像に対応する「優先度フラグ」を顔画像メモリM2から読み出すと共に、その「優先度」に対応する「タッチ感度」を優先度テーブルM3から読み出す。
【0038】
そして、タッチ強度は、その「タッチ感度」以上であるかを調べ(ステップS20)、タッチ強度がタッチ感度未満であれば(ステップS20でNO)、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を無効とする一方、シャッタキーによるレリーズ操作を受け付け可能とするために上述した
図5のステップS22に移る。また、タッチ強度はタッチ感度以上であれば(ステップS20でYES)、タッチされたタッチ有効範囲内の顔画像に対してAF処理を行う(ステップS21)。そして、
図5のステップS27に移り、撮影モードに応じた撮影処理を行った後、撮影画像をJPEG形式などの画像形式に圧縮して記憶部3に記録保存する処理を行う(ステップS28)。その後、
図3のステップS3に戻る。以下、人物モードにおいてタッチ操作が行われる毎に上述の動作が繰り返される。
【0039】
以上のように、本実施形態において制御部1は、所定の被写体が撮影画像(ライブビュー画像)内に存在する場合にタッチパネル6B上でのレリーズ操作を有効とし、所定の被写体が存在しない場合にタッチパネル6B上でのレリーズ操作を無効とする制御を行うようにしたので、レリーズ操作が可能なタッチパネル6Bに誤って触れたり、不用意に触れたりした場合での不要な撮影を抑制することができ、ユーザの意図に合った撮影が可能となる。
【0040】
タッチパネル6B上でのレリーズ操作を有効としている状態において、表示パネル6Aに表示されている撮影画像内の所定の被写体がタッチパネル6B上でタッチされた場合に、その所定の被写体を対象とした撮影制御(例えば、AF処理)を行うようにしたので、意図した被写体を的確に撮影することができる。
【0041】
所定の被写体がタッチパネル6B上でタッチされた場合に、タッチパネル6B上で行われるレリーズ操作を有効とし、それ以外の位置がタッチされた場合にタッチパネル6B上で行われるレリーズ操作を無効とする制御を更に行うようにしたので、更に不用意な撮影を抑制することができ、ユーザの意図に合った撮影が可能となる。
【0042】
所定の被写体が複数の場合に、該複数の所定の被写体の中からタッチパネル6B上でレリーズ操作が行われた被写体を対象とした撮影制御を行うようにしたので、所定の被写体が複数であっても適切な撮影が行える。
【0043】
被写体に応じてその撮影に適した撮影条件が設定されている複数の撮影モードの中から現在選択されている撮影モードでの撮影に適した被写体が撮影画像内に存在するか否かを判別するようにしたので、撮影モードと被写体との相関関係に応じて、撮影の対象であるかを適切に判別して、タッチパネル6B上でのレリーズ操作の有効/無効を制御することができる。
【0044】
人物撮影に適切な人物モードにおいて所定の被写体を人物の顔としたので、人物撮影時には人物モードを選択するだけで、タッチパネル6B上でのレリーズ操作による人物撮影が可能となる
【0045】
被写体毎にその被写体を特定する顔画像とタッチパネル6B上で行われるレリーズ操作の有効無効とを対応付けて記憶する顔画像メモリM2を参照し、そのレリーズ操作の有効が対応付けられている被写体が撮影画像内に存在するか否かを判別するようにしたので、予め登録されている顔画像メモリM2の内容に応じて、撮影の対象であるかを適切に判別して、タッチパネル6B上でのレリーズ操作の有効/無効を制御することができる。
【0046】
制御部1は、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を有効とする被写体に対応付けられている顔画像メモリM2内の「優先度」に応じて、そのレリーズ操作時でのタッチ感度を制御するようにしたので、被写体毎の優先度に応じて被写体毎にレリーズ操作時のタッチ感度を変更することができる。
【0047】
所定の被写体がタッチパネル6B上でタッチされた場合に該被写体に対応付けられている優先度に応じてレリーズ操作時でのタッチ感度を更に制御することで、被写体毎の優先度に応じて被写体毎に被写体を対象としたレリーズ操作時のタッチ感度を変更することができる。
【0048】
優先度が高いほど、タッチ感度を上げるようにしたので、例えば、優先度の高い被写体(重要人物)に対してはレリーズ操作時のタッチ強度が弱くてもそのレリーズ操作を受け付けることができるようになる。
【0049】
優先度に応じて、所定の被写体がタッチパネル6B上でタッチされたかを認識するためのタッチ有効範囲を制御するようにしたので、被写体毎の優先度に応じて被写体毎にレリーズ操作時のタッチ有効範囲を変更することができる。
【0050】
優先度が高いほど、タッチ有効範囲が広くなるようにしたので、例えば、優先度の高い被写体(重要人物)に対してはレリーズ操作時にそのタッチ位置が所定の被写体からやや外れてしまっても、そのレリーズ操作を受け付けることができるようになる。
【0051】
複数の被写体のタッチ有効範囲が重複する場合には、優先度に応じて、複数の被写体のいずれかを対象とした撮影制御を行うようにしたので、タッチ有効範囲が重複してもそのいずれかの被写体を撮影制御(例えば、AF処理)の対象とすることができる。
【0052】
タッチパネル6B上でのレリーズ操作が有効であるか無効であるかを表示パネル6Aに識別可能に表示するようにしたので、タッチ表示部6上でレリーズ操作の有効/無効を知ることができ、その対応を素早く行うことが可能となる。
【0053】
なお、上述した実施形態においては、ライブビュー画像内の所定の被写体(人物モードであれば、人物の顔部分)がタッチパネル6B上でタッチされた場合に、その所定の被写体を対象とした撮影制御として、AF処理を行うようにしたが、AF処理のほか、AE処理、AWB処理を行うようにしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態においては、表示パネル6Aに表示されている撮影画像内の所定の被写体をタッチパネル6B上でタッチした際のタッチ感度を被写体毎の優先度に応じて変更するようにしたが、被写体以外の位置をタッチした場合でもタッチ感度を変更するようにしてもよい。
【0055】
上述した実施形態においては、顔画像メモリM2に登録されている登録顔画像がライブビュー画像内に存在する場合に、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を有効とするようにしたが、顔画像メモリM2に登録されている登録顔画像であるかに関わらず、撮影画像内に人物の顔が存在していれば、タッチパネル6B上でのレリーズ操作を有効とするようにしもよい。
また、タッチ有効範囲を人物の顔及び顔周辺に限定せず、タッチパネル6B全体としてもよい。
【0056】
上述した実施形態においては、撮影モードとして人物モードを例示したが、撮影モードは、ペットの撮影に適したペットモードなどのように人物モード以外であってもよく、また、上述した実施形態においては、顔画像メモリM2に被写体として人物の顔を登録するようにしたが、ペットなどを被写体として登録するようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態においては、撮像装置として、コンパクトカメラに適用した場合を示したが、これに限らず、例えば、カメラ機能付き携帯電話機・PDA(個人向け携帯型情報通信機器)・音楽プレイヤー、携帯型ゲーム機などであってもよい。
【0058】
また、上述した実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0059】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
表示部と該表示部上にタッチ入力部を備えた撮像装置であって、
所定の被写体が撮影画像内に存在するか否かを判別する被写体判別手段と、
前記被写体判別手段により前記所定の被写体が撮影画像内に存在すると判別された場合に前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作を有効とし、該所定の被写体が撮影画像内に存在しないと判別された場合に前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作を無効とする制御を行うタッチ制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、
前記表示部に表示されている前記所定の被写体が前記タッチ入力部上でタッチされたか否かを判別するタッチ判別手段と、
前記タッチ制御手段により前記レリーズ操作を有効とする制御が行われている状態において、前記タッチ判別手段により前記所定の被写体が前記タッチ入力部上でタッチされたと判別された場合に、前記所定の被写体を対象とした撮影制御を行う撮影制御手段と、
を更に備える、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の撮像装置において、
前記タッチ制御手段は、前記タッチ判別手段により前記所定の被写体が前記タッチ入力部上でタッチされたと判別された場合に前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作を有効とし、それ以外の位置がタッチされたと判別された場合に前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作を無効とする制御を更に行う、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項2あるいは請求項3のいずれかに記載の撮像装置において、
前記撮影制御手段は、前記所定の被写体が複数の場合に、該複数の所定の被写体の中から前記タッチ入力部上でレリーズ操作が行われた被写体を対象とした撮影制御を行う、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の撮像装置において、
当該撮像装置は、被写体に応じてその撮影に適した撮影条件が設定されている複数の撮影モードを更に有し、
前記被写体判別手段は、前記複数の撮影モードの中から現在選択されている撮影モードに適した所定の被写体が撮影画像内に存在するか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の撮像装置において、
前記撮影モードは人物撮影に適切な人物モードであり、
前記人物モードに適した所定の被写体は人物の顔である、
ことを特徴とする撮像装置である。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の撮像装置において、
被写体毎にその被写体を特定するための被写体データと前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作の有効無効とを対応付けて記憶する記憶手段を更に備え、
前記被写体判別手段は、前記記憶手段を参照し、前記レリーズ操作の有効が対応付けられている被写体を前記所定の被写体として、該被写体が撮影画像内に存在するか否かを判別する、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の撮像装置において、
前記記憶手段に前記レリーズ操作の有効が対応付けられている被写体には、更に優先度が対応付けられて記憶されており、
前記タッチ制御手段は、前記被写体判別手段により前記レリーズ操作の有効に対応付けられている被写体が撮影画像内に存在すると判別された場合に、該被写体に対応付けられている前記優先度に応じて前記レリーズ操作時でのタッチ感度を更に制御する、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の撮像装置において、
前記表示部に表示されている前記所定の被写体が前記タッチ入力部上でタッチされたか否かを判別するタッチ判別手段を更に備え、
前記タッチ制御手段は、前記タッチ判別手段により前記所定の被写体が前記タッチ入力部上でタッチされたと判別された場合に該被写体に対応付けられている前記優先度に応じて前記レリーズ操作時でのタッチ感度を更に制御する、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項10)
請求項10に記載の発明は、請求項8あるいは請求項9に記載の撮像装置において、
前記タッチ制御手段は、前記優先度が高いほど、前記タッチ感度を上げるように制御する、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項11)
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の撮像装置において、
前記表示部に表示されている前記所定の被写体が前記タッチ入力部上でタッチされたか否かを判別するタッチ判別手段と、
前記タッチ制御手段により前記レリーズ操作を有効とする制御が行われている状態において、前記タッチ判別手段により前記所定の被写体が前記タッチ入力部上でタッチされたと判別された場合に、前記所定の被写体を対象とした撮影制御を行う撮影制御手段と、
被写体毎にその被写体を特定するための被写体データと前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作の有効無効とを対応付けて記憶する記憶手段と、
を更に備え、
前記記憶手段に前記レリーズ操作の有効に対応付けられている被写体には、更に優先度が対応付けられて記憶されており、
前記タッチ制御手段は、前記被写体判別手段により前記レリーズ操作の有効に対応付けられている被写体が撮影画像内に存在すると判別された場合に、該被写体に対応付けられている前記優先度に応じて、前記所定の被写体がタッチ入力部上でタッチされたかを認識するためのタッチ有効範囲を更に制御する、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項12)
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の撮像装置において、
前記タッチ制御手段は、前記優先度が高いほど、前記タッチ有効範囲が広くなるように制御する、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項13)
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の撮像装置において、
前記タッチ判別手段は、前記被写体判別手段により前記レリーズ操作の有効に対応付けられている被写体が撮影画像内に複数存在すると判別され、かつ、前記タッチ制御手段により制御された前記複数の被写体のタッチ有効範囲が重複する場合に、各被写体に対応付けられている優先度に応じて、前記複数の被写体のいずれがタッチされたかを判別し、
前記撮影制御手段は、前記タッチ判別手段によりタッチされた被写体を対象とした撮影制御を行う、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項14)
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の撮像装置において、
前記タッチ制御手段により前記レリーズ操作が有効であるか無効であるかを前記表示部に識別可能に表示する識別表示手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする撮像装置である。
(請求項15)
請求項15に記載の発明は、
所定の被写体が撮影画像内に存在するか否かを判別するステップと、
前記所定の被写体が撮影画像内に存在すると判別された場合にタッチ入力部上で行われるレリーズ操作を有効とし、該所定の被写体が撮影画像内に存在しないと判別された場合に前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作を無効とする制御を行うステップと、
を備えることを特徴とする撮像方法である。
(請求項16)
請求項16に記載の発明は、
コンピュータに対して、
所定の被写体が撮影画像内に存在するか否かを判別する機能と、
前記所定の被写体が撮影画像内に存在すると判別された場合にタッチ入力部上で行われるレリーズ操作を有効とし、該所定の被写体が撮影画像内に存在しないと判別された場合に前記タッチ入力部上で行われるレリーズ操作を無効とする制御を行う機能と、
を実現させるためのプログラムである。