特許第5796747号(P5796747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796747
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20151001BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20151001BHJP
   H04N 5/91 20060101ALI20151001BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20151001BHJP
   G06T 5/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   H04N5/225 F
   H04N5/232 Z
   H04N5/91 J
   G06F1/16 312E
   G06F1/16 312Z
   G06F1/16 313Z
   G06T5/00 725
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-141036(P2012-141036)
(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公開番号】特開2014-7508(P2014-7508A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】黒松 哲也
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 恵一
(72)【発明者】
【氏名】小川 泰明
【審査官】 藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−076267(JP,A)
【文献】 特開2009−265692(JP,A)
【文献】 特開2009−260819(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0144574(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0015671(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
G06F 1/00,1/16−1/18
G06T 5/00
H04N 1/00,1/04−1/207
H04N 1/38−1/409
H04N 1/46,1/60
H04N 5/765,5/91−5/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結した情報処理装置であって、
読取対象の紙媒体が配置される前記第1の筐体に対向して前記第2の筐体に設けられた撮像手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことを複数種の方法で検出する検出手段と、
前記検出手段により第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことが複数種の方法で検出された際に、前記撮像手段から撮影画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した撮影画像を前記検出手段により検出された第1の筐体と第2の筐体との閉じ状態に基づいて歪補正処理を行う歪補正手段と、
前記歪補正手段により補正された撮影画像を記録保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、そのいずれか一つの検出方法として、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に連結するヒンジ部に設けられていて前記第1の筐体と前記第2の筐体との角度を検出する方法を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の検出手段は、そのいずれか一つの検出方法として、前記撮像手段による撮影画像を解析してその画像内に映っている所定の指標を認識し、その認識結果から前記第1の筐体と前記第2の筐体との閉じ状態を検出する方法を含む、
ことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の検出手段は、そのいずれか一つの検出方法として、前記第1の筐体と前記第2の筐体との相対的な姿勢から前記第1の筐体と前記第2の筐体との閉じ状態を検出する方法を含む、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得手段は、前記検出手段により第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことが検出された際に、前記撮像手段によって撮影された複数の撮影画像を順次取得し、
前記歪補正手段は、前記取得手段によって取得した複数の撮影画像を前記検出手段により検出された第1の筐体と第2の筐体との閉じ状態に基づいてそれぞれ歪補正処理を行い、
前記歪補正手段により補正された複数の撮影画像を重ね合わせる合成処理を行う合成手段を更に備え、
前記保存手段は、前記合成手段により合成処理された画像を記録保存する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得手段は、第1の筐体と前記第2の筐体との開閉角度が複数の異なる開閉角度である際に、夫々の開閉角度で前記撮像手段から撮影画像を取得し、
前記歪補正手段は、第1の筐体と前記第2の筐体との開閉角度に応じた歪補正処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータに対して、
読取対象の紙媒体が配置される第1の筐体に対向し、かつ前記第1の筐体に開閉可能に連結されている第2の筐体に設けられた撮像手段により前記紙媒体を撮影する場合において、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことを複数種の方法で検出する機能と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことが複数種の方法で検出された際に、前記撮像手段から撮影画像を取得する機能と、
前記取得した撮影画像を前記検出された第1の筐体と第2の筐体との閉じ状態に基づいて歪補正処理を行う機能と、
前記補正された撮影画像を記録保存する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙媒体(例えば、ノートブックや書籍)に記載されている情報を撮影する撮像手段を備えた情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、紙媒体(例えば、ノートブックや書籍)に記載されている情報を読み取る情報処理装置としては、その紙媒体をスキャナで走査することによってイメージデータとして読み取ったり、デジタルカメラで撮影することによって撮影画像として読み取ったりするようにしている。そして、従来、紙媒体をデジタルカメラによって読み取る技術としては、例えば、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して回動可能(開閉可能)に取り付けられているノートパソコンにおいて、第1の筐体のキートップに資料を置き、撮像部を備えた第2の筐体がキートップの全体を撮影可能となる位置で所定時間保持されたときに、撮像部を動作させて資料の撮影を開始するようにした技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−76267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術にあっては、キートップ上に置いた資料を撮影するためには、第1の筐体と第2の筐体とを所定のヒンジ角度に厳密に調整する必要があり、その角度で資料を撮影するようにしているが、上述のように所定時間保持という特別な操作を行わずに第1の筐体と第2の筐体とを完全に閉じてしまったときには、資料の撮影も行われないままとなり、また、特別な操作を行ったつもりでも、その操作が不完全であれば、資料の撮影が行われないままとなり、更には、鮮明な撮影画像であるかを目視確認しなければならず、撮り直しがきかない場合には資料を保存することができなくなってしまう。
【0005】
本発明の課題は、第1の筐体と第2の筐体とを閉める操作が行われるだけで、読取対象の紙媒体を鮮明に撮影して保存できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の情報処理装置は、
第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結した情報処理装置であって、
読取対象の紙媒体が配置される前記第1の筐体に対向して前記第2の筐体に設けられた撮像手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことを複数種の方法で検出する検出手段と、
前記検出手段により第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことが複数種の方法で検出された際に、前記撮像手段から撮影画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した撮影画像を前記検出手段により検出された第1の筐体と第2の筐体との閉じ状態に基づいて歪補正処理を行う歪補正手段と、
前記歪補正手段により補正された撮影画像を記録保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
上述した課題を解決するために本発明のプログラムは、
コンピュータに対して、
読取対象の紙媒体が配置される第1の筐体に対向し、かつ前記第1の筐体に開閉可能に連結されている第2の筐体に設けられた撮像手段により前記紙媒体を撮影する場合において、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことを複数種の方法で検出する機能と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことが複数種の方法で検出された際に、前記撮像手段から撮影画像を取得する機能と、
前記取得した撮影画像を前記検出された第1の筐体と第2の筐体との閉じ状態に基づいて歪補正処理を行う機能と、
前記補正された撮影画像を記録保存する機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の筐体と第2の筐体とを閉める操作が行われるだけで、読取対象の紙媒体を鮮明に撮影して保存することができ、簡単かつ確実な保存が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理装置として適用したカメラ付きタブレット端末装置11の基本的な構成要素を示したブロック図。
図2】カメラ付きタブレット端末装置11、紙媒体12をバインダ13に装着した状態における外観斜視図。
図3】バインダ13を構成する第1の筐体13aと第2の筐体13bとを閉じる際に撮像部6によって紙媒体12を撮影したときの撮影画角と紙媒体12との関係を示した図。
図4】第1の筐体13aと第2の筐体13bとの角度を撮影画像内に映っている角度認識用マークの位置から認識する場合を説明するための図。
図5】タブレット端末装置11の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャート。
図6】複数の撮影画像を重ね合わせる場合に、角度認識用マークを基準にして重ね合わせることを説明するための図。
図7】本実施形態の変形例を説明するための図で、第2の筐体13bに加速度センサ16を装着した状態を示した図。
図8】本実施形態の変形例を説明するための図で、撮影画像を解析することにより第1の筐体13aと第2の筐体13bとの角度を検出する場合を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図6を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、情報処理装置として撮像機能(デジタルカメラ)を備えたタブレット端末装置に適用した場合を例示したもので、図1は、このカメラ付きタブレット端末装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
タブレット端末装置は、その筐体全体が、例えば、A5サイズの携帯型情報端末装置であり、タッチ入力機能、無線通信機能などの基本機能のほか、後で詳述するが、このタブレット端末装置に接近配置されている紙媒体(例えば、ノート、リポート用紙、書籍など)を撮影することによりその紙媒体に記載されている情報(文字や図表など)を光学的に読み取る画像読取機能を備えている。なお、本実施形態において、紙媒体とは、撮影すべき情報が記載されている媒体を示すものであり、素材が紙であることを特定するものではない。即ち、本実施形態において、紙媒体とは情報が記載されている被写体を意味している。また、本実施形態において、紙媒体には、情報を電子的に表示可能な電子ペーパーも含まれる。
【0011】
制御部1は、電源部(二次電池)2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこのタブレット端末装置の全体動作を制御するもので、この制御部1には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。記憶部3は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、図5に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているプログラムメモリ3aと、このタブレット端末装置が動作するために必要となる各種の情報(例えば、フラグなど)を一時的に記憶するワークメモリ3bなどを有している。なお、記憶部3は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介してネットワークに接続されている状態においては所定のサーバ装置側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0012】
操作部4は、押しボタン式のキーとして、図示省略したが、電源をオン/オフさせる電源キーなどを備え、制御部1は、この操作部4から操作キーに対応して出力される入力操作信号に応じた処理を行う。タッチ表示部5は、表示パネル5aにタッチパネル5bを積層配設した構成で、表示パネル5aは、縦横比(例えば、横4:縦3)の異なる画面を有した高精細液晶ディスプレイであり、タッチパネル5bは、撮影者の指などでタッチ操作された位置を検知してその座標データを入力するタッチスクリーンを構成するもので、例えば、静電容量方式あるいは抵抗膜方式を採用しているが、その他の方式であってもよい。
【0013】
撮像部6は、画像読取機能を構成するもので、図示省略したが、光学レンズからの被写体像が撮像素子(CCDやCMOSなど)に結像されることにより被写体を高精細に撮影可能なデジタルカメラ部で、撮影レンズ、撮像素子、各種のセンサ、アナログ処理部、デジタル処理部を有している。撮像部6は、オートフォーカス機能などを備え、画像読取機能の動作時に、例えば、フレームレートが秒15コマ(15fps)の連続撮影(高速撮影)が可能となっている。無線LAN(Local Area Network)通信部7は、高速大容量の通信が可能な無線通信モジュールで、最寄りの無線LANルータ(図示省略)を介してインターネットに接続可能となっている。開閉角度センサ8は、後述する開閉可能な筐体の開閉角を検出するセンサであり、制御部1は、この開閉角度センサ8によって検出された開閉角に応じて撮像部6から撮影画像を取得するようにしている。
【0014】
図2は、カメラ付きタブレット端末装置11、紙媒体12をバインダ13に装着した状態における外観斜視図である。
タブレット端末装置11と紙媒体(例えば、ノート、リポート用紙、書籍)12とは、バインダ13に装着されている。バインダ13は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとをヒンジ部13cを介して見開き状に開閉可能となるように取り付けた構成で、図示の例では、右側に第1の筐体13aが配置され、左側に第2の筐体13bが配置されている。なお、第1の筐体13aと第2の筐体13bとは、図示の場合とは逆の関係であってもよい。第1の筐体13a及び第2の筐体13bは、厚い平板状長方形(同形同大)の紙部材(厚紙)で、縦長の第1の筐体13a及び第2の筐体13bを左右に配置した状態においてヒンジ部13cを介して開閉可能に連結されている。即ち、第1の筐体13aと第2の筐体13bとは、ヒンジ部13cを回転軸として開閉可能に構成されている。
【0015】
そして、第1の筐体13aと第2の筐体13bとは、図示のように180°開いた状態から第1の筐体13aの上に第2の筐体13bが重なり合う状態(完全に閉じた状態)まで開閉可能なもので、ユーザにあってはバインダ13を180°開いた状態においてタブレット端末装置11を使用したり、紙媒体12に文字や図表などを書き入れたりするようにしている。また、タブレット端末装置11及び紙媒体12を使用しないときには、第1の筐体13aと第2の筐体13bとを閉じてバインダ13を完全に閉じるようにしている。
【0016】
タブレット端末装置11は、その全体が薄型の直方体で、バインダ13を構成する第2の筐体13b上に装着されていると共に、縦長の第2の筐体13bに対してタブレット端末装置11も縦長となる向きに配設されている。また、バインダ13を構成する他方の筐体(第1の筐体)13a上には、紙媒体12が配置されている。紙媒体12は、一枚のシート状の用紙であってもよいし、書籍のように冊子の状態(製本状態)であってもよい。なお、バインダ13上において、タブレット端末装置11と紙媒体12との配置関係は、上述とは逆の関係であってもよい。また、タブレット端末装置11、紙媒体12は、バインダ13に着脱可能に装着されているが、その装着の仕方は、例えば、留め具、フックを使用するなど、任意である。
【0017】
このようにバインダ13の第2の筐体13bにタブレット端末装置11が装着されている状態において、タブレット端末装置11の撮像部6は、タブレット端末装置11の表面側の一端中央部(図示の例では表面左端中央部)に位置するように配設されている。また、ヒンジ部13cには開閉角度センサ8が配設されている。この開閉角度センサ8は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとを開閉可能に連結するヒンジ部13cに設けられ、第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度を検出するもので、例えば、ヒンジ部13cの軸(図示省略)が一定量回転する毎に2相のパルスを出力するロータリーエンコーダ、あるいはホール素子あるいは磁気抵抗素子を使用して開閉検出を行う磁気センサによって構成されている。なお、図2は、開閉角度センサ8の構成を示す概略拡大図を含み、開閉角度センサ8は、ヒンジ部13cを構成する回転軸側の円板に磁石8aを配設し、その円板に対面する円板側にホール素子8bを配設した磁気センサによって構成した場合を例示している。
【0018】
また、バインダ13を構成する第1の筐体13aの表面角部には、開閉角度認識用の指標としてマーク14が装着されている。この閉じ角認識用のマーク14は、例えば、十字形の黒マークで、第1の筐体13aの上面に印刷されたものであるが、印刷に限らず、マーク付シールを貼り付けるようにしてもよい。制御部1は、開閉角度センサ8によって所定の角度、つまり、紙媒体12を撮影するのに適した角度(撮影に最適な角度)として略70°が検出された際に、撮像部6から撮影画像を取得し、その撮影画像を解析することによりマーク14を認識し、そのマークの認識結果に応じて第1の筐体13aと第2の筐体13bとが所定の状態まで閉じられたか否かを判別するようにしている。
【0019】
図3は、バインダ13を構成する第1の筐体13aと第2の筐体13bとを閉じる際に撮像部6によって紙媒体12を撮影したときの撮影画角と紙媒体12との関係を示した図である。
制御部1は、開閉角度センサ8によって第1の筐体13aと第2の筐体13bとの角度(撮影に最適な角度)として略70°が検出された際に、撮像部6から撮影画像を取得するが、この撮影に最適な角度(略70°)に合わせてフォーカス、露出などの撮影条件が設定されており、その条件で撮影された画像を撮像部6から取得するようにしている。
【0020】
図4は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとの角度に応じて撮影画像内の認識用マーク14の映り具合が変化している様子を説明するための図で、その一部拡大図を含む。
開閉角度が略120°、略90°、略70°の場合での閉じ角認識用マーク14の映り具合を示し、バインダ13が次第に閉じられるにしたがって開閉角度は略120°、略90°、略70°のように変化していくが、この角度変化に応じて撮影画像内のマーク14の位置が変化し、図中、上方向へ移動するようになる。制御部1は、撮影画像内のマーク14の位置変化を認識し、その位置から所定の状態(閉じ角度:略70°)まで閉じられたか否かを判別するようにしている。この場合、撮影画像内の固定的に決められている位置(例えば、図示の例では、左角部付近)にマーク検出エリア15を設け、このマーク検出エリア15内にマーク14が収まったか否かに基づいて所定の状態(閉じ角度:略70°)まで閉じられたか否かを判別するようにしている。
【0021】
このように種類の異なる複数の検出方法で第1の筐体13aと第2の筐体13bとが所定の状態(閉じ角度:略70°)まで閉じられたか否かを判別するようにしている。すなわち、開閉角度センサ8によって第1の筐体13aと第2の筐体13bとの角度(撮影に最適な角度)として略70°が検出された際に、撮像部6から撮影画像を取得して、撮影画像内の認識用マーク14の映り具合を認識し、撮影画像内の固定的に決められているマーク検出エリア15内にマーク14が収まったか否かに基づいて所定の状態(閉じ角度:略70°)まで閉じられたか否かを判別するようにしている。
【0022】
次に、本実施形態におけるタブレット端末装置11の動作概念を図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0023】
図5は、タブレット端末装置11の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、電源投入に応じて実行開始される。
先ず、制御部1は、ユーザ操作によって画像読み取りモード(動作モード)に切り換えられているかを調べ(ステップS1)、画像読み取りモード以外の他の動作モードに切り換えられているときには(ステップS1でNO)、そのモードに応じた処理へ移るが、画像読み取りモードに切り換えられているときには(ステップS1でYES)、初期化処理としてメモリなどをクリアすると共に、撮影に最適な角度(略70°)に合わせてフォーカス、露出などの撮影条件を撮像部6に設定する(ステップS2)
【0024】
そして、撮像部6を動作させて撮影を開始(ステップS3)させた後、制御部1は、電源オフ操作が行われたかを調べ(ステップS4)、電源オフ操作が行われたときには(ステップS4でYES)、撮像部6を停止させると共に(ステップS5)、電源オフ処理(ステップS6)を行った後、図5のフローから抜けるが、電源オフ操作が行われなければ(ステップS4でNO)、開閉角度センサ8から第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度を取得して(ステップS7)、その開閉角度は略70°以下であるかを調べる(ステップS8)。
【0025】
いま、開閉角度が略70°以下でなければ(ステップS8でNO)、上述のステップS4に戻るが、開閉角度が略70°以下であれば(ステップS8でYES)、撮像部6から1フレーム分の撮影画像を取得し(ステップS9)、この取得画像を解析することによって閉じ角認識用マーク14を認識する(ステップS10)。そして、取得画像内のマーク14を認識すると、そのマーク14の位置は、マーク検出エリア15内に収まっているか否かに基づいて所定の状態まで閉じられたか否かの判別を行う(ステップS11)。
【0026】
いま、開閉角度センサ8によって検出された開閉角度が、図4に示すように、例えば、略125°や略90°である場合には、マーク14の位置はその検出エリア15から大きく外れているために(ステップS11でNO)、所定の状態まで閉じられていない場合であると判別して、上述のステップS4に戻るが、開閉角度が略70°以下であれば(ステップS11でYES)、マーク14の位置はその検出エリア15内に収まるために所定の状態まで閉じられた場合であると判別する(ステップS11でYES)。
【0027】
このようにして種類の異なる複数の検出方法によって第1の筐体13aと第2の筐体13bとが所定の状態まで閉じられたことが検出された場合には(ステップ11でYES)、その取得画像を保存候補としてワークメモリ3b内に一時記憶させる(ステップS12)。そして、この一時記憶の画像数を計数し、その値は所定数(例えば、3枚)に達したかを調べ(ステップS13)、一時記憶の画像数が所定数に達するまで上述のステップS4に戻り、以下、上述の動作を繰り返す(ステップS4〜S13)。なお、上述の所定数は、3枚に限らず、任意であり、ユーザ操作により任意に設定可能としてもよい。
【0028】
これによって一時記憶の画像数が所定数に達すると(ステップS13でYES)、一時記憶の各画像を順次読み出し、各画像に対して台形歪を補正する処理を行う(ステップS14)。この場合、開閉角度が略70°に基づいてその台形歪を補正する処理を行う。なお、一時記憶した複数枚の画像を取得した際の開閉角度が夫々異なる場合に、夫々の開閉角度に応じた台形歪補正を行うようにしても良い。即ち、画像取得時の開閉角度に応じて歪補正のパラメータを変更し、開閉角度に応じた台形歪補正を行う。これによって全ての画像に対して補正処理か終わると、歪補正した各画像を重ね合わせる合成処理を行う(ステップS15)。この場合、図7に示す1枚目、2枚目、…、n枚目の各画像内に設けられている各マーク14を位置合わせの基準点として精密な位置合わせを行うことにより各画像を重ね合わせる。
【0029】
これによって重ね合わせた合成画像は、記憶部3のSDカードなどに記録保存される(ステップS16)。そして、開閉角度センサ8から開閉角度を取得して(ステップS17)、バインダ13は閉じられたか、つまり開閉角度は略0°であるかを調べ(ステップS18)、バインダ13が閉じられていなければ(ステップS18でNO)、上述のステップS17に戻る。以下、バインダ13が閉じられるまでステップS17〜S18の動作を繰り返し実行する。また、バインダ13が閉じられたときには(ステップS18でYES)、撮像部6を停止させて(ステップS5)、電源オフ処理(ステップS6)を行った後、図5のフローから抜ける。
【0030】
以上のように、本実施形態においてタブレット端末装置11は、第1の筐体13aに配置されている読取対象の紙媒体12を第2の筐体13bに設けられた撮像部6により撮影すると共に、第1の筐体13aと第2の筐体13bとが所定の状態まで閉じられたことを複数種の方法で検出すると、撮像部6から取得した撮影画像を歪補正してから記録保存するようにしたので、第1の筐体13aと第2の筐体13bとを閉める操作が行われるだけで、読取対象の紙媒体12を鮮明に撮影して保存することができ、簡単かつ確実な保存が可能となる。
【0031】
第1の筐体13aと第2の筐体13bとを開閉可能に連結するヒンジ部13cに開閉角度センサ8を設けたので、閉じ状態を確実に検出することができる。
【0032】
制御部1は、撮像部6による撮影画像を解析してその画像内に映っているマーク14を認識し、その認識結果から閉じ状態を検出するようにしたので、画像処理によって閉じ状態を検出することができる。
【0033】
第1の筐体13aと第2の筐体13bとが所定の状態まで閉じられたことが検出された際に、撮像部6によって撮影された複数の撮影画像に対して歪補正処理を行い、補正した複数の撮影画像を重ね合わせて合成処理された画像を記録保存するようにしたので、より鮮明な画像を撮影して保存することができる。すなわち、複数の画像を重ね合わせることによりノイズを低減して画像の明るさをアップすることができるために各撮影時でのシャッタースピードを速くすることができ、手ブレを抑えることが可能となり、また、1フレーム毎の撮影時にゲインを変化させて撮影した各画像を重ね合わせることにより、ダイナミックレンジを広げた画像を撮影することが可能となり、より鮮明な画像を撮影して保存することができる。
【0034】
なお、上述した実施形態においては、開閉角度センサ(例えは、磁気センサ)8によって開閉角度を検出するようにしたが、図7に示すように第2の筐体13b内に加速度センサ16を設けることによって第1の筐体13aと第2の筐体13bとの閉じ状態を検出するようにしてもよい。すなわち、加速度センサ16によって重力の方向を検出して、第1の筐体13aと第2の筐体13bとの相対的な姿勢(角度)から閉じ状態を検出するようにしてもよい。この場合、実装上の制約として開閉角度センサ8をヒンジ部13cに取り付けらない場合などに有効なものとなる。
【0035】
なお、上述した実施形態においては、マーク14を認識することにより閉じ状態を検出するようにしたが、撮影画像を解析することによってマーク14以外の指標を認識することによって閉じ状態を検出するようにしてもよい。図8は、マーク14以外の指標を認識することによって閉じ状態を検出する場合を説明するための図である。制御部1は、撮影画像を解析することにより第1の筐体13aの端部が画角線から外れた際の端部の切れ方として、その端部の位置を認識し、その端部の切れ方(端部の位置)が所定の切れ方(位置)であるか否かに基づいて第1の筐体13aと第2の筐体13bとの閉じ状態を認識するようにしている。
【0036】
図示の例は、第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度に応じて第1の筐体13aの外郭線の映り具合が変化する様子を示した図で、第1の筐体13aの外郭線を示す実線は、閉じ角度が略70°の場合を示し、一点破線は、閉じ角度が略90°の場合を示し、二点破線は、閉じ角度が略125°の場合を示している。このように第1の筐体13aの端部が撮像部6の画角から外れた際の端部の切れ方、つまり、第1の筐体13aの端部と画角線とが交差する位置は、開閉角度に応じて変化するようになる。この場合、撮影画像の縦方向において、開閉角度が略70°、略90°、略125°の順にその縦方向中央部に近づくようになるため、その位置から第1の筐体13aと第2の筐体13bとの開閉角度を検出することが可能となる。
【0037】
上述した実施形態においては、情報処理装置としてタブレット端末装置11に適用した場合を示したが、これに限らず、カメラ機能付きパーソナルコンピュータ・PDA(個人向け携帯型情報通信機器)・デジタルカメラ・音楽プレイヤーなどであってもよく、勿論、デジタルカメラ自体であってもよい。
【0038】
また、上述した各実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0039】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に連結した情報処理装置であって、
読取対象の紙媒体が配置される前記第1の筐体に対向して前記第2の筐体に設けられた撮像手段と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことを複数種の方法で検出する検出手段と、
前記検出手段により第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことが複数種の方法で検出された際に、前記撮像手段から撮影画像を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得した撮影画像を前記検出手段により検出された第1の筐体と第2の筐体との閉じ状態に基づいて歪補正処理を行う歪補正手段と、
前記歪補正手段により補正された撮影画像を記録保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、
前記検出手段は、そのいずれか一つの検出方法として、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に連結するヒンジ部に設けられていて前記第1の筐体と前記第2の筐体との角度を検出する方法を含む、
ことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の情報処理装置において、
前記複数の検出手段は、そのいずれか一つの検出方法として、前記撮像手段による撮影画像を解析してその画像内に映っている所定の指標を認識し、その認識結果から前記第1の筐体と前記第2の筐体との閉じ状態を検出する方法を含む、
ことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項4)

請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記複数の検出手段は、そのいずれか一つの検出方法として、前記第1の筐体と前記第2の筐体との相対的な姿勢から前記第1の筐体と前記第2の筐体との閉じ状態を検出する方法を含む、
ことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記取得手段は、前記検出手段により第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことが検出された際に、前記撮像手段によって撮影された複数の撮影画像を順次取得し、
前記歪補正手段は、前記取得手段によって取得した複数の撮影画像を前記検出手段により検出された第1の筐体と第2の筐体との閉じ状態に基づいてそれぞれ歪補正処理を行い、
前記歪補正手段により補正された複数の撮影画像を重ね合わせる合成処理を行う合成手段を更に備え、
前記保存手段は、前記合成手段により合成処理された画像を記録保存する、
ようにしたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の情報処理装置において、
前記取得手段は、第1の筐体と前記第2の筐体との開閉角度が複数の異なる開閉角度である際に、夫々の開閉角度で前記撮像手段から撮影画像を取得し、
前記歪補正手段は、第1の筐体と前記第2の筐体との開閉角度に応じた歪補正処理を行う、
ようにしたことを特徴とする情報処理装置である。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、
コンピュータに対して、
読取対象の紙媒体が配置される第1の筐体に対向し、かつ前記第1の筐体に開閉可能に連結されている第2の筐体に設けられた撮像手段により前記紙媒体を撮影する場合において、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことを複数種の方法で検出する機能と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが所定の状態まで閉じられたことが複数種の方法で検出された際に、前記撮像手段から撮影画像を取得する機能と、
前記取得した撮影画像を前記検出された第1の筐体と第2の筐体との閉じ状態に基づいて歪補正処理を行う機能と、
前記補正された撮影画像を記録保存する機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0040】
1 制御部
3 記憶部
3a プログラムメモリ
4 操作部
5 タッチ表示部
6 撮像部
8 開閉角度センサ
11 タブレット端末装置
12 紙媒体
13 バインダ
13a 第1の筐体
13b 第2の筐体
14 閉じ角認識用マーク
15 マーク検出エリア
16 加速度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8