(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796753
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】太陽追尾装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
H02S 20/32 20140101AFI20151001BHJP
【FI】
H02S20/32
【請求項の数】24
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-514189(P2013-514189)
(86)(22)【出願日】2011年5月19日
(65)【公表番号】特表2013-531888(P2013-531888A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】US2011037209
(87)【国際公開番号】WO2011156104
(87)【国際公開日】20111215
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】12/796,875
(32)【優先日】2010年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クラフト、スティーヴン、エム.
【審査官】
堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第4632091(US,A)
【文献】
特開2005−101103(JP,A)
【文献】
特開2002−250566(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0114211(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/099596(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0038668(US,A1)
【文献】
実開平7−2856(JP,U)
【文献】
特開2006−80455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/00 − 20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽追尾装置の動作方法であって、
前記太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させるために必要とされる、最小限の量の電力又はエネルギーを決定する工程と、
前記太陽追尾装置に結合される太陽電池に対して有効な、未だ受け取っていない日射強度を推定する工程と、
前記有効な日射強度で発電可能な電力又はエネルギーが、前記太陽追尾装置を前記第1位置から前記第2位置へと移動させるために必要とされる、前記最小限の量の電力又はエネルギーを下回る前に、前記太陽追尾装置を前記第1位置から前記第2位置へと移動させる工程と、を備える方法。
【請求項2】
前記第2位置が、収容位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記推定する工程が、気象予測技術を使用する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
気象予測情報が、前記太陽追尾装置に接続される受信機に送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記気象予測情報が、メッシュネットワークを使用することによって送信される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記太陽追尾装置が、補助電源モジュールに接続される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記太陽追尾装置が、補助電源モジュールを具備しない、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記太陽追尾装置が、集光式太陽電池の1つ以上のモジュールを支持し、前記太陽電池が、前記太陽追尾装置に結合される1つ以上の非集光式太陽電池を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
太陽追尾装置と、
前記太陽追尾装置に結合されて、方法を実行するモジュールとを備える装置であって、前記方法が、
前記太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させるために必要とされる、最小限の量の電力又はエネルギーを決定する工程と、
前記太陽追尾装置に結合される太陽電池に対して有効な、未だ受け取っていない日射強度を推定する工程と、
前記有効な日射強度で発電可能な電力又はエネルギーが、前記太陽追尾装置を前記第1位置から前記第2位置へと移動させるために必要とされる、前記最小限の量の電力又はエネルギーを下回る前に、前記太陽追尾装置を前記第1位置から前記第2位置へと移動させる工程と、を備える装置。
【請求項10】
前記第2位置が、収容位置である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記推定する工程が、気象予測技術を使用する工程を含む、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記太陽追尾装置に接続される受信機を更に備え、気象予測情報が、前記受信機に送信される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記気象予測情報が、メッシュネットワークを使用することによって送信される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記太陽追尾装置に接続される補助電源モジュールを更に備える、請求項9から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記太陽追尾装置が、補助電源モジュールを具備しない、請求項9から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記太陽追尾装置が支持する、集光式太陽電池の1つ以上のモジュールと、
前記太陽追尾装置に結合される1つ以上の非集光式太陽電池と、を更に備え、
前記太陽電池が、前記1つ以上の非集光式太陽電池を含む、請求項9から15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
データ処理システムに太陽追尾装置の動作方法を実行させる命令を有するプログラムであって、前記方法が、
前記太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させるために必要とされる、最小限の量の電力又はエネルギーを決定する工程と、
前記太陽追尾装置に結合される太陽電池に対して有効な、未だ受け取っていない日射強度を推定する工程と、
前記有効な日射強度で発電可能な電力又はエネルギーが、前記太陽追尾装置を前記第1位置から前記第2位置へと移動させるために必要とされる、前記最小限の量の電力又はエネルギーを下回る前に、前記太陽追尾装置を前記第1位置から前記第2位置へと移動させる工程と、を備えるプログラム。
【請求項18】
前記第2位置が、収容位置である、請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記推定する工程が、気象予測技術を使用する工程を含む、請求項17または18に記載のプログラム。
【請求項20】
気象予測情報が、前記太陽追尾装置に接続される受信機に送信される、請求項19に記載のプログラム。
【請求項21】
前記気象予測情報が、メッシュネットワークを使用することによって送信される、請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記太陽追尾装置が、補助電源モジュールに接続される、請求項17から21のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項23】
前記太陽追尾装置が、補助電源モジュールを具備しない、請求項17から21のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項24】
前記太陽追尾装置が、集光式太陽電池の1つ以上のモジュールを支持し、前記太陽電池が、前記太陽追尾装置に結合される1つ以上の非集光式太陽電池を含む、請求項17から23のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明の実施形態は、再生可能エネルギーの分野に関し、詳細には太陽追尾装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電産業では、追尾装置コントローラへの交流(AC)電力の配線が課題となり、高コストとなる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この課題は、追尾装置ブロックが小さくなり、配線及びスイッチ素子の高密度化への要求が高まるにつれて、さらに深刻になる。太陽追尾装置の電源は、その追尾装置自体に太陽光発電を搭載することにより、より単純化、かつ、より低コスト化することが出来る。この方式で電力供給される追尾装置は現在利用することが出来る。しかし、それらは全て、悪天候において、その搭載機器を収容位置に戻すことが出来ないという課題がある。この課題は、従来の方式でコントローラにバックアップバッテリーを追加することによって対処可能かもしれない。しかし、各モーターへの(例えば、追尾装置ごとの、又は追尾装置のグループごとの)、バッテリー及び充電コントローラの追加は高コストとなる恐れがあり、また信頼性を低減させる恐れもある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
太陽追尾装置の動作方法が、本明細書で説明される。以下の説明では、本願発明を完全に理解出来るよう、追尾装置を方向づける特定の手法などの数多くの特定の詳細が記載される。これらの特定の詳細を使用しなくとも本願発明の実施形態を実施出来ることが、当業者には明らかとなるであろう。他の場合においては、本願発明の実施形態を不必要に不明瞭にしないよう、日射量データ収集などの、周知のデータ収集技術は詳細に説明されない。更には、図に示される様々な実施形態は、例示的な表示であって、必ずしも縮尺通りに示されるものではないことが理解されるべきである。
【0005】
太陽追尾装置の動作方法が、本明細書で開示される。一実施形態では、方法は、太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の電力レベル及び最小限の量のエネルギーを決定する工程を含む。太陽追尾装置に結合される太陽光資源に対して有効な日射強度を推定する。(a)有効な日射強度によって得られる電力レベルが、太陽追尾装置を移動させるのに必要とされる、最小限の電力レベル未満に低下する前に、又は(b)有効な日射強度で発電可能なエネルギーが、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを下回る前に、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させる。
【0006】
太陽追尾装置も本明細書で開示される。一実施形態では、装置は、太陽追尾装置と、太陽追尾装置に結合されるモジュールとを含む。このモジュールは、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の電力レベル又は最小限の量のエネルギーを決定する工程を含む方法を実行するように構成される。この方法はまた、太陽追尾装置に結合される太陽光資源に対して有効な日射強度を推定する工程も含む。この方法はまた、(a)有効な日射強度によって得られる電力レベルが、太陽追尾装置を移動させるのに必要とされる、最小限の電力レベル未満に低下する前に、又は(b)有効な日射強度で発電可能なエネルギーが、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを下回る前に、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させる工程を含む。
【0007】
データ処理システムに太陽追尾装置の動作方法を実行させる命令を格納する機械アクセス可能な記憶媒体も本明細書で開示される。一実施形態では、機械アクセス可能な記憶媒体は、データ処理システムに、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の電力レベル又は最小限の量のエネルギーを決定する工程を含む方法を実行させる命令を格納する。太陽追尾装置に結合される太陽光資源に対して有効な日射強度を推定する。(a)有効な日射強度によって得られる電力レベルが、太陽追尾装置を移動させるのに必要とされる、最小限の電力レベル未満に低下する前に、又は(b)有効な日射強度で発電可能なエネルギーが、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを下回る前に、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させる。
【0008】
本願発明の一実施形態によれば、太陽光発電式の追尾システムには、気象予報情報が供給される。この構成は、直流(DC)電力を利用出来ない時、太陽電池モジュールが非収容位置に位置決めされたままにされる状況を回避するのに好適である。一実施形態では、そのような気象予報情報が供給される場合の動作には、太陽電池アレイをリアルタイムの現在位置から収容する時間因子を、任意の所定時間で決定する機能を有するコントローラを構成することが含まれる。モジュールを支持する追尾装置を移動させるモーター及び機械装置に関する情報と組み合わせて気象予報情報が提供される特定の実施形態では、このコントローラを使用して、このシステムを収容する(例えば、支持される太陽電池モジュールを、安全な位置に方向づける)のに必要とされる電力又はエネルギーの量を推定出来る。
【0009】
気象予報情報を使用する場合、このコントローラを使用して、太陽光資源からの、数時間後または数日後に有効であろう電力又はエネルギーの量を推定出来る(例えば、日中に有効であろう日射量を推定出来る)。一実施形態では、上記の因子に基づいて、コントローラを使用して、太陽電池モジュールを収容する必要性を判断し、太陽光資源からの電力が有効でなくなった時(例えば、夕方)に、このシステムが収容されていないような状況を防ぐ。一実施形態では、そのような構成により、太陽光発電式太陽追尾装置のバッテリー及び充電コントローラの必要性が、低減されるか若しくはなくなる。一実施形態では、太陽電池モジュールは、安全な位置に収容されている必要がある前であり、かつ、収容位置に収容するのに必要な電力をまだ十分に機器上で発生させられるうちに、安全な位置に収容される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本願発明の一実施形態に係る太陽追尾装置の動作方法における動作を表すフローチャートである。
【
図2A】
図2Aは、本願発明の一実施形態に係る太陽追尾装置のブロック図である。
【
図2B】
図2Bは、本願発明の一実施形態に係る、第1位置Xから第2位置Yへと移動させられる太陽追尾装置を示す。
【
図2C】
図2Cは、本願発明の一実施形態に係る、第1位置Xから第2位置Yへと移動させられる太陽追尾装置を示す。
【
図3】
図3は、本願発明の一実施形態に係る、太陽追尾装置の動作方法を実行するよう構成されるコンピュータシステムの一実施例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願発明の一態様では、太陽追尾装置の動作方法が提供される。
図1は、本願発明の一実施形態に係る太陽追尾装置の動作方法における動作を表すフローチャート100を示す。
【0012】
フローチャート100の動作102を参照すると、太陽追尾装置の動作方法は、太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の電力レベル又は最小限の量のエネルギーを決定する工程を含む。
【0013】
フローチャート100の動作104を参照すると、太陽追尾装置の動作方法は、太陽追尾装置に結合される太陽光資源に対して有効な日射強度を推定する工程を更に含む。
【0014】
本願発明の一実施形態によれば、太陽追尾装置は、集光式太陽電池の1つ以上のモジュールを支持し、太陽光資源は、太陽追尾装置に結合される1つ以上の非集光式太陽電池を含む。しかし、代替的な実施形態では、太陽光資源は、1つ以上の集光式太陽電池を含み、太陽追尾装置は、集光タイプの太陽電池のみを支持する。一実施形態では、第2位置は、収容位置である。一実施形態では、推定する工程には、気象予測技術を使用する工程が含まれる。一実施形態では、気象予測情報は、太陽追尾装置に接続される受信機に送信される。特定の実施形態では、気象予測情報は、メッシュネットワークを使用して送信される。
【0015】
フローチャート100の動作106を参照すると、この太陽追尾装置の動作方法は、(a)有効な日射強度から有効な電力、又は(b)有効な日射強度で発電可能なエネルギーのいずれかが、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量の電力又はエネルギーを下回る前に、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させる工程を更に含む。
【0016】
補助的な対処として、バッテリーなどのバックアップ電源を、この追尾装置に更に含められることが理解されるべきである。よって、一実施形態では、この太陽追尾装置は、補助電源モジュールに接続される。しかし、このことが常に当てはまる訳ではなく、特定の構成では、バックアップ電源に伴って追加的に発生する負荷に対応できない場合がある。よって、代替的な実施形態では、この太陽追尾装置は、補助電源モジュールを具備しない。
【0017】
上述のように、一実施形態では、気象予測情報は、メッシュネットワークを使用して送信される。一実施形態では、太陽追尾装置の無線メッシュネットワークに用いられる装置が提供される。これらの実施形態では、ホストコンピュータと太陽追尾コントローラとの間の双方向通信を行い、ホストコンピュータと太陽追尾コントローラとの間での制御情報及び状態情報の交換を可能にする。この双方向通信により、このシステムのオペレータが単一のホストコンピュータで、複数の太陽追尾コントローラ内に配置されるアクチェーター、センサー、及びアルゴリズムからの状態情報を、利用できるようになる。更には、この双方向通信により、オペレータは、同じホストコンピュータから、太陽追尾装置の機能制御が可能となる。本願発明の実施形態は、複数の追尾コントローラの状態を監視及び分析出来、また、サイト固有の情報(例えば、日付及び時間)を、複数の追尾コントローラのうちの一部又は全てに伝搬させられる、分散ネットワークシステムを提供出来る。
【0018】
メッシュネットワークを含む一実施形態では、この無線メッシュ通信ネットワークの利用に関して好適であるサイトが示される。このサイトは、2つ以上の太陽追尾装置を含み得る。追尾装置は、アクチュエータ、センサー、機械装置、及び演算を含み得る。この追尾装置を使用して、追尾搭載機器を、太陽の方向に応じて(よって、太陽から入射する電磁放射線に応じて)方向づけられる。
【0019】
メッシュネットワークを含む他の実施形態では、太陽追尾装置には、追尾コントローラが搭載される。この追尾コントローラは、日付、時間、緯度、及び経度などの変数に基づく、太陽の位置と追尾搭載機器の所望の方向との両方の演算に関与する。これらの計算の結果に基づいて、追尾コントローラは、(場合によっては、この作業に関する追尾装置のセンサーを使用して)追尾装置のアクチュエータを制御出来る。この実施形態では、追尾搭載機器は、太陽電池パネルのアレイとして示される。
【0020】
メッシュネットワークを含む他の実施形態では、データ通信経路を用いることが出来る。例えば、ホストコンピュータは、通信チャネルを介し、ホストゲートウェイと通信する。このホストゲートウェイは、同様に、ネットワークマネージャと通信する。最終的に、ネットワークマネージャは、無線メッシュ通信ネットワークを介し、追尾コントローラと通信する。この実施形態では、基地局が、ホストゲートウェイとネットワークマネージャとの両方を収容する。
【0021】
この無線メッシュネットワークは、好都合な(場合によっては遠隔の)場所から追尾コントローラを操作及び監視すること、および、追尾装置の近くにそれらの追尾コントローラを物理的に配置することを可能とする。追尾コントローラは、例えば、追尾装置の構造の一部に直接的に搭載出来る。追尾コントローラは、一実施形態では、無線メッシュ通信ネットワークを介し、ホストコンピュータと通信出来る。この実施形態で使用される無線ネットワーク周波数範囲は、極超短波(UHF)帯の範囲内にあり、好ましくは、902〜928メガヘルツ及び/又は2.4ギガヘルツの無線周波数(RF)である。本願発明の他の実施形態は、例えば超短波(VHF)帯、又は超高周波(SHF)帯での他のRF範囲を使用出来る。この実施形態での無線メッシュ通信ネットワークは、このシステムを、無線周波干渉(RFI)に対してより堅牢にするべく変調技術を使用する。一実施形態では、この技術は、直接シーケンススペクトラム拡散(DSSS)であるが、他の実施形態では、類似の技術、例えば、周波数ホッピングスペクトラム拡散(FHSS)と出来る。
【0022】
追尾コントローラ及びネットワークマネージャは、中高域RF送受信機(屋外で最大約1マイルの通信が可能)を使用し、無線メッシュ通信ネットワークの形成を可能とする。ホストゲートウェイは、同様に、何らかの通信チャネルを介し、ホストコンピュータと通信出来る。この通信チャネルは、例えば、WAN、LAN、インターネット、人工衛星、シリアルバス、若しくは他の適切な通信技術、又はそのような技術の組み合わせを使用して構成できる。例えば、小型の太陽光発電所では、ホストゲートウェイが、ホストコンピュータ上で有効な通信バス(例えば、USB又はPCI)にプラグ接続されることは、珍しくはない。大型の太陽光発電所では、ホストゲートウェイを、無線LAN技術、例えば802.1lg、Zigbee、WiMax、又は携帯電話規格(例えば、3G)を介し、ホストコンピュータに接続出来る場合がある。これにより、ホストゲートウェイの場所が、ある程度、任意で選択することが可能となり、唯一の制約は、ネットワークマネージャ(この実施形態では、基地局内に含まれる)を、少なくとも1つの追尾コントローラの無線電波受信範囲内としなければならないことである。
【0023】
ホストゲートウェイは、追尾コントローラから情報を収集出来、要求された場合に、又は一定の間隔を置いて、その情報を好ましくはバッチ形式で、ホストコンピュータに送信出来る。ホストゲートウェイはまた、非請求通信が必要であると判断する場合もあり、ネットワークマネージャ又は追尾コントローラによって検出される何らかのイベントに基づいて、ホストコンピュータとの通信を開始出来る。例えば、ネットワークマネージャが、即時の対応が必要とされる何らかのシステム上のネットワーク問題を検出することもあり、又は追尾コントローラが、即時の対応が必要とされる、追尾装置に関する何らかの問題を検出することもある。これらの例では、ホストゲートウェイは、ホストコンピュータと、非同期的に通信を開始出来、これらの通信により、例えば、データベースへの入力、又は保守要員への電子メールの送信/ページの表示など、ホストコンピュータに対する任意の動作を行える。最終的に、ホストゲートウェイは、ホストコンピュータから制御情報を収集し、その情報の、無線メッシュ通信ネットワークを介した追尾コントローラへの伝送を最上位で制御する。
【0024】
本願発明の別の態様では、太陽追尾装置が説明される。
図2Aは、本願発明の一実施形態に係る太陽追尾装置のブロック図を示す。
図2Bは、本願発明の一実施形態に係る、第1位置Xから第2位置Yへと移動させられる太陽追尾装置を示す。同様に、
図2Cは、本願発明の一実施形態に係る、第1位置Xから第2位置Yへと移動させられる太陽追尾装置を示す。
【0025】
図2Aを参照すると、装置200は、太陽追尾装置202と、太陽追尾装置202に結合されるモジュール204とを含む。モジュール204は、方法を実行するように構成される。この方法は、太陽追尾装置202を、第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギー206を決定する工程を含む。この方法はまた、太陽追尾装置202に結合される太陽光資源208に関して、有効な日射強度を推定する工程も含む。この方法はまた、太陽光資源208に対して有効な日射強度で発電可能なエネルギーが、太陽追尾装置202を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギー206を下回る前に、太陽追尾装置202を第1位置から第2位置へと移動させる工程も含む。
【0026】
一実施形態では、推定する工程には、気象予測技術を使用する工程が含まれる。一実施形態では、装置200は、太陽追尾装置202に接続される受信機210を更に含む。気象予測情報は、受信機210に送信される。特定の実施形態では、気象予測情報は、上述のようにメッシュネットワークを使用して通信される。他の実施形態では、装置200は、太陽追尾装置202に接続される補助電源モジュール212を更に含む。しかし、代替的な実施形態では、太陽追尾装置202は、補助電源モジュールを具備しない。一実施形態では、装置200は、集光式太陽電池の1つ以上のモジュール214を更に含み、太陽追尾装置202が、この集光式太陽電池の1つ以上のモジュール214を支持する。一実施形態では、1つ以上の非集光式太陽電池216が、太陽追尾装置202に結合され、太陽光資源208は、この1つ以上の非集光式太陽電池216を含む。
【0027】
本願発明の一実施形態によれば、第2位置は、収容位置である。例えば、
図2Bを参照すると、太陽追尾装置202Bを、第1位置Xから第2位置(収容位置)Yへと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを決定する。太陽追尾装置202Bに結合される太陽光資源に対して有効な日射強度を推定する。次いで、太陽光資源に対して有効な日射強度で発電可能なエネルギーが、太陽追尾装置202Bを第1位置Xから第2位置Yへと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを下回る前に、太陽追尾装置202Bを第1位置Xから第2位置Yへと移動させる。別の実施例では、
図2Cを参照すると、太陽追尾装置202Cを、第1位置Xから第2位置(収容位置)Yへと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを決定する。太陽追尾装置202Cに結合される太陽光資源に対して有効な日射強度を推定する。次いで、太陽光資源に対して有効な日射強度で発電可能なエネルギーが、太陽追尾装置202Cを第1位置Xから第2位置Yへと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを下回る前に、太陽追尾装置202Cを第1位置Xから第2位置Yへと移動させる。
【0028】
本願発明の一態様において、本願発明の実施形態は、コンピュータシステム(又は他の電子装置)に本願発明の実施形態に係るプロセス又は方法を実行させる命令を格納する機械可読媒体を含む、コンピュータプログラム製品又はソフトウェア製品として提供される。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読み取り可能な形態で、情報を記憶又は伝送する任意の機構を含み得る。例えば、一実施形態では、機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、又は光学式記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)を含む。
【0029】
図3は、本明細書で説明される任意の1つ以上の方法を機械に実行させる命令のセットが実行される、コンピュータシステム300の形態の機械の概略図を示す。例えば、本願発明の一実施形態によれば、
図3は、太陽追尾装置の動作方法を実行するよう構成されるコンピュータシステムの一実施例のブロック図を示す。代替的な実施形態では、この機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット内の、他の機械に接続(例えば、ネットワーク形成)される。一実施形態では、この機械は、クライアント−サーバネットワーク環境内で、サーバマシン若しくはクライアントマシンとして動作するか、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境内で、ピアマシンとして動作する。一実施形態では、この機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はその機械によって実施される動作を指定する、命令のセット(順次的な、又は他の方式の)を実行可能な、任意の機械である。更には、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語はまた、本明細書で説明される任意の1つ以上の方法を実行する命令のセット(又は複数のセット)を、個別に、又は共同して実行する、機械(例えば、コンピュータ又はプロセッサ)の任意の集合を含むものとして、解釈されるべきである。
【0030】
このコンピュータシステム300の実施例は、プロセッサ302、メインメモリ304(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、スタティックメモリ306(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及び補助メモリ318(例えば、データ記憶装置)を含み、それらは、バス330を介し、互いに通信する。一実施形態では、データ処理システムが使用される。
【0031】
プロセッサ302は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)などのような1つ以上の汎用処理装置を表す。より具体的には、一実施形態では、プロセッサ302は、複合命令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサである。一実施形態では、プロセッサ302は、特定用途向け集積回路(ASIC)、現場プログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどのような1つ以上の専用処理装置である。プロセッサ302は、本明細書で説明される動作を実行する処理論理326を実行する。
【0032】
一実施形態では、コンピュータシステム300は、ネットワークインターフェース装置308を更に含む。一実施形態では、コンピュータシステム300はまた、ビデオディスプレイユニット310(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又はブラウン管(CRT))、文字数字入力装置312(例えば、キーボード)、カーソル制御装置314(例えば、マウス)、及び信号発生装置316(例えば、スピーカー)も含む。
【0033】
一実施形態では、補助メモリ318は、光起電力システムからの出力の変動性を管理する方法などの、本明細書で説明される任意の1つ以上の方法又は機能を具体化する、命令の1つ以上のセット(例えば、ソフトウェア322)が記憶される、機械アクセス可能記憶媒体(又は、より具体的には、コンピュータ可読記憶媒体)331を含む。一実施形態では、ソフトウェア322は、コンピュータシステム300による、そのソフトウェア322の実行の間、完全に、若しくは少なくとも部分的に、メインメモリ304の内部、又はプロセッサ302の内部に存在し、このメインメモリ304及びプロセッサ302もまた、機械可読記憶媒体を構成する。一実施形態では、ソフトウェア322は、ネットワークインターフェース装置308を介し、ネットワーク320を通じ、更に送信又は受信される。
【0034】
機械アクセス可能記憶媒体331は、一実施形態では、単一の媒体であるように示されるが、「機械可読記憶媒体」という用語は、命令の1つ以上のセットを記憶する、単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース又は分散データベース、あるいは関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものとして、解釈されるべきである。「機械可読記憶媒体」という用語はまた、その機械によって実行され、本願発明の実施形態の任意の1つ以上の方法を機械に実行させる命令のセットを、記憶又は符号化出来る任意の媒体を含むものとして、解釈されるべきである。「機械可読記憶媒体」という用語は、したがって、半導体メモリ、並びに光学式媒体、及び磁気媒体を含むが、これらに限定されないものとして解釈されるべきである。
【0035】
本願発明の一実施形態によれば、機械アクセス可能記憶媒体は、太陽追尾装置の動作方法をデータ処理システムに実行させる命令を記憶している。この方法は、太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを決定する方法を含む。この方法はまた、太陽追尾装置に結合される太陽光資源に対して有効な日射強度を推定する工程も含む。この方法はまた、有効な日射強度で発電可能なエネルギーが、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを下回る前に、太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させる工程も含む。
【0036】
一実施形態では、第2位置は、収容位置である。一実施形態では、推定する工程には、気象予測技術を使用する工程が含まれる。特定の実施形態では、気象予測情報は、太陽追尾装置に接続される受信機に送信される。特定の実施形態では、気象予測情報は、メッシュネットワークを使用して送信される。一実施形態では、太陽追尾装置は、補助電源モジュールに接続される。一実施形態では、太陽追尾装置は、補助電源モジュールを具備しない。一実施形態では、太陽追尾装置は、集光式太陽電池の1つ以上のモジュールを支持し、太陽光資源は、太陽追尾装置に結合される1つ以上の非集光式太陽電池を含む。
【0037】
集光タイプの太陽電池が追尾装置によって支持される本願発明のいくつかの実施形態では、上述の構成の一部は、直ちに直接的に実装されない場合があることが理解されるべきである。例えば、集光式電池は、その集光タイプの太陽電池の倍率特性に基づいて、例えば収容状態に戻る際に、日射量への自らのアクセスを遮断する場合がある。すなわち、電池が、太陽に対する直接的な角度から徐々に離れて方向づけられる際の、「ロールオフ」効果は、従来の太陽電池とは対照的に集光タイプの太陽電池において、より顕著となる可能性がある。よって、本願発明の一実施形態では、従来のDCモジュールを、集光式太陽電池のモジュールに追加している。一実施形態では、結晶系の光起電力(PV)パネル、又は薄膜パネルを集光式太陽電池のモジュールに追加することで、ロールオフ効果を低減する。
【0038】
上述のように、太陽追尾装置の動作方法が開示されてきた。本願発明の一実施形態によれば、方法は、太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを決定する工程を含む。この方法はまた、太陽追尾装置に結合される太陽光資源に対して有効な日射強度を推定する工程も含む。この方法はまた、有効な日射強度で発電可能なエネルギーが、太陽追尾装置を第1位置から第2位置へと移動させるのに必要とされる、最小限の量のエネルギーを下回る前に、太陽追尾装置を、第1位置から第2位置へと移動させる工程も含む。一実施形態では、第2位置は、収容位置である。一実施形態では、推定する工程には、気象予測技術を使用する工程が含まれる。一実施形態では、太陽追尾装置は、集光式太陽電池の1つ以上のモジュールを支持し、太陽光資源は、太陽追尾装置に結合される1つ以上の非集光式太陽電池を含む。