(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の領域における前記遮光部と前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線と前記遮光部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線は、それぞれ少なくとも1回以上屈曲し、
前記境界線と前記第1の方向と略平行な前記遮光部との交点が、前記第1の領域と前記第2の領域の境界を除く前記第1の領域に設けられ、
前記第1の開口幅が前記第2の開口幅より小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
前記第1の領域における前記遮光部と前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線と前記遮光部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線は、それぞれ少なくとも1回以上湾曲し、
前記第1の領域において、前記微分係数が異なる変曲点を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
前記第2の領域の前記第1の方向への幅は前記第1の領域の前記第1の方向の幅より大きく、前記第2の開口幅は連続的に変動しながら増加し、前記第2の領域において極大値を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や情報端末の発展に伴い、画像表示装置の小型化、高精細化が進んでいる。一方、新たな付加価値を有する画像表示装置として、観察者が観察位置により異なる画像が視認できる画像表示装置、すなわち、複数の視点でそれぞれ異なる画像を視認できる画像表示装置や、それぞれ異なる画像を視差画像とし、観察者が立体的に画像を視認できる立体画像表示装置が注目されている。
【0003】
複数の視点に向けそれぞれ異なる画像を提供する方式は、それぞれの視点用の画像データを合成して表示パネルに表示し、表示された合成画像をレンズやスリットを持つバリア(遮光板)からなる光学的な分離手段により分離し、それぞれの視点へ画像を提供する方式が知られている。画像分離の原理は、スリットを有するバリア、あるいは、レンズといった光学手段を用いて、視点方向ごとに見える画素を限定することによる。画像分離手段としては、縞状の多数のスリットを有するバリアからなるパララックスバリアや、一方向にレンズ効果を有するシリンドリカルレンズを配列したレンチキュラレンズが一般に用いられる。
【0004】
光学的な画像分離手段を用いた立体画像表示装置は、特殊な眼鏡を装着する必要がなく、眼鏡を装着する煩わしさがない点で、携帯電話などの端末装置への搭載に適している。液晶パネルとパララックスバリアからなる立体画像表示装置を搭載した携帯電話は、既に製品化されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
ところで、上記の方式、すなわち、光学的な分離手段を用いて複数の視点に向けてそれぞれ異なる画像を提供する立体画像表示装置は、観察者の視点位置が移動し視認する画像が切り換わるとき、画像と画像の境界が暗く見える場合がある。この現象は、各視点用の画素と画素の間の非表示領域(液晶パネルで一般にブラックマトリックスと呼ばれる遮光部)が視認されることに起因する。観察者の視点移動に伴う上記の現象は、光学的な分離手段を持たない一般の立体画像表示装置では発生しない。このため、観察者は、光学的な分離手段を備えた多視点立体画像表示装置又は立体画像表示装置で発生する上記の現象に、違和感、あるいは表示品質の低下を感じることになる。
【0006】
これは、一般的に3Dモアレと言われる現象である。3Dモアレ(3D moire)とは、異なる角度方向に異なる映像を表示することに起因する周期的な輝度のムラ(色のムラを指すこともある)である。また、3Dモアレは、輝度の角度方向における変動 (Luminance Angular Fluctuation)であり、輝度の角度方向における変動が大きいと、立体視に好ましくない影響がある。
【0007】
上記の光学的な分離手段と遮光部に起因する問題を改善するために、表示パネルの画素電極および遮光部の形状と配列を工夫し、表示品質の低下を抑制した立体画像表示装置が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2)。
【0008】
図37は、特許文献1が開示している表示装置における表示パネルを示す平面図である。特許文献1が開示している表示装置は、横方向1012の任意の点において、シリンドリカルレンズ1003aの配列方向と垂直となる縦方向1011に、表示パネル断面を想定すると、遮光部(配線1070及び遮光部1076)と開口部の割合が略一定となっている。
【0009】
従って、観察者が画像の分離方向である横方向1012に視点を移動し、観察方向が変わった場合でも、視認する遮光部の割合は略一定である。すなわち、観察者が特定方向から遮光部のみを観察することはなく、表示が暗く見えることもない。つまり、遮光領域に起因する表示品質の低下を防止することができる。
【0010】
図38は、特許文献2が開示している立体画像表示装置における画素を模式的に示す図である。
図38(A)は特許文献2に記載の立体画像表示装置における画素配置を示す平面図であり、
図38(B)は該画素の拡大図である。特許文献2が開示している立体画像表示装置は、重なり領域1013に渡って隣接する画素の垂直方向の大きさの合計が一定であり、長方形領域Bの垂直方向の大きさと等しいため、水平方向へ連続した実質的に均一の輝度を提供し、全体にわたって実質的に一定の輝度を維持することができる。
【0011】
従って、隣接する画素列に同じ映像を出力した場合、これにより観察者の眼がウィンドウ間の境界を横切るときの輝度を一定に保持することができる。
【0012】
以下、理解を容易にするために、従来例における典型的な画素構造を、図面に基づいて説明する。
図36は、特許文献1及び2に開示されている従来構造の画素を模式的に示した図である。
【0013】
説明を簡単にするため、図示する画素は、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとが対となって構成される表示単位4を示しており、各画素の開口部は等脚台形から構成されている。表示単位4を構成する1つの最小単位の画素(右眼用画素4Rまたは左眼用画素4L)に注目して説明する場合は、特に区別なく「サブ画素」と称する。
【0014】
表示単位4は、X軸方向に隣接する2つのサブ画素として、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lとを少なくとも備え、立体画像表示装置は、各サブ画素の開口部から出射した光をX軸方向へ画像分離方向させる光学手段としてシリンドリカルレンズ1003aを備えている。
【0015】
なお、以下においては、画像分離方向をX軸とし、それに垂直な方向をY軸とする。また、「縦開口」という表現を用いた場合、画像分離方向と垂直な方向への開口の幅を示す(
図37の場合はY軸に相当)。また、サブ画素開口における台形底辺のうち、短い方を上底、長い方を下底と称して説明する。
【0016】
右眼用画素4Rの開口部と左眼用画素4Lの開口部は、X軸方向へ隣接して配置され、境界部ではY軸方向へ互いの開口部が重なる領域が存在する。この互いの開口部が重なる領域を「重なり領域」と称し、その領域のX軸方向への幅を重なり領域幅Xct1とする。また、右眼用画素4Rの開口部と左眼用画素4Lの開口部が互いに重ならずになる開口部中央の領域を「非重なり領域」と称し、その領域のX軸方向への幅を非重なり領域幅X1とする。サブ画素のX軸方向へのピッチXdotは、重なり領域幅Xct1と非重なり領域幅X1の和に等しくなっている。
【0017】
サブ画素における開口部の形状は、サブ画素の中心点を通るY軸方向に平行な線分b−b’に対して線対称な等脚台形状であり、X軸方向と平行な上底及び下底を有する。台形斜辺部には有限の幅Wを持つ遮光線が設けられ、斜辺部とY軸方向となす角度はθである。この遮光線は、「斜行配線」と称する。
【0018】
点A、A’は、それぞれのサブ画素における台形状開口部の下底側の頂点であり、点B、B’はそれぞれのサブ画素における台形開口部の上底側の頂点である。点A、A’、点B、B’は、これらの点を起点にサブ画素の縦開口幅がX軸方向に対して変動する変曲点となっている。点Cは、点Bを通りY軸と平行な線と台形状開口部の下底側の辺とが交わる点であり、点C’も、点B’に関する前記交点である。
【0019】
点A、Bを結ぶ線分と点A’、B’を結ぶ線分は互いに平行である。これにより、重なり領域において、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lの縦開口幅の合計値は、X軸方向に対して常に一定となっている。また、非重なり領域の縦開口幅と、重なり領域における右眼用画素4Rの開口部と左眼用画素4Lの開口部の縦開口幅の合計値が等しくなるように、点A、B’及び点A’、Bは、それぞれY軸方向と平行な同一の直線上に配置されている。これにより、縦開口幅は、重なり領域から非重なり領域にかけて一定となり、サブ画素の全領域についてもX軸方向に渡って常に一定とすることができる。
【0020】
表示単位4は、Y軸方向とのなす角度がθであり、表示配線幅Wである斜行配線が設けられており、斜行配線の辺は点A、A’で台形状開口部の下底側の辺と接続し、点B、B’で台形状開口部の上底側の辺と接続している。斜行配線は、台形上底の遮光部とつながっている。この遮光部のY軸方向への幅はY2であり、例えば、サブ画素を動作させるためのトランジスタや容量が配置される領域である。
【0021】
サブ画素は、縦開口幅はX方向に渡って一定であるため、重なり領域における開口領域と非重なり領域における開口領域から同じ輝度の光が出射された場合を考えると、X軸方向と平行な観察位置に対して輝度は一定に保たれるため、角度方向の輝度変動、すなわち、3Dモアレが観察者へ視認されることがない。
【0022】
ここで、表示単位4における点A,B,Cを結ぶ三角形の領域と点A’,B’,C’を結ぶ三角形の領域は直角三角形から成り、重なり領域幅Xct1の範囲に配置される。この領域は、左眼用画素4Rと右眼用画素4Lから出射された光が互いに重なるクロストーク領域である。従来の画素構造は、縦開口幅をX方向に渡って一定とするために少なくともこのクロストーク領域を形成しなければならず、これにより立体表示時の3Dクロストーク(左右各眼に対する反対の眼の映像の漏れ込み量)が発生する。
【0023】
ここで、「3Dモアレ」、「3Dクロストーク」について詳しく説明する。本明細書では、異なる角度方向に異なる映像を表示することに起因する周期的な輝度のムラ(色のムラを指すこともある)、特に、輝度の角度方向における変動 (Luminance Angular Fluctuation)を「3Dモアレ」と定義し、左右各眼に対する反対の眼の映像の漏れ込み量を「3Dクロストーク」と定義する。
【0024】
一般的には、互いの異なる周期をもった構造物が干渉して発生する縞模様は「モアレ縞」と称される。モアレ縞は、構造物の周期性やピッチに依存して発生する干渉縞であり、3Dモアレは、画像分離手段の結像性に起因して発生する輝度ムラであるため、本明細書においては、3Dモアレとモアレ縞は区別して適用する。
【0025】
3Dモアレは、視認位置によっては問題とならない場合もあるが、輝度の角度方向における変動が大きいと、立体視に好ましくない影響があると考えられるため、輝度変動を所定値以下とすることが望ましい。
【0026】
また、3Dクロストークは、値が大きくなると立体感が失われ、観察者へ目の疲労等の影響を与えるおそれがあるため、クロストーク量を所定以下とすることが望ましい。
【0027】
図36に示す画素形状について、本明細書では以下のように開口率AP、3Dクロストーク3Dct、3Dモアレ3Dmoireを具体的に定義する。図示する画素より、開口率APは遮光部と開口部の面積比から以下の式で定義することができる。
【0028】
【数1】
【0029】
また、3Dクロストークが寄与する領域をサブ画素ピッチXdotの大きさ程度と仮定した場合、3Dクロストーク(3Dct)は開口領域と重なり領域の面積比から以下の式で定義することができる。
【0030】
【数2】
【0031】
また、3Dモアレ(3Dmoire)は、非重なり領域における縦開口幅Y1と、重なり領域における右眼用画素4Rの開口部の縦開口幅と左眼用画素4Lの開口部の縦開口幅の合計値とのそれぞれの比から以下の式で定義することができる。
【0032】
【数3】
【0033】
また、X軸方向に渡って縦開口幅を一定に保つためには、以下の関係式が成り立つ必要がある。
【0034】
【数4】
【0035】
従って、数式3及び数式4より、従来例の画素は、理想的に3Dmoire=0であり、角度方向への輝度変動がなく、3Dモアレは視認され難いことがわかる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の実施形態に係る表示パネル及び画像表示装置を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面におけるハッチングは、遮光部等の要素を区別するためのものであり、切断面等を意味するものではない。
【0057】
[第1の実施形態]
本実施形態に係る画像表示装置及び表示パネルを、図面を参照して説明する。
【0058】
図1は、本実施形態に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0059】
表示パネル2は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を備えた視点数2からなる立体表示用パネルである。本実施形態においては、第1視点用画素は、左眼用画素4Lであり、第2視点用画素は、右眼用画素4Rである。
【0060】
左眼用画素4Lと右眼用画素4Rの対は、表示単位4であり、表示単位4を構成する1つの最小単位の画素(左眼用画素4L又は右眼用画素4R)について注目する場合は「サブ画素」と称する。これらのサブ画素は、マトリクス状に並べられる。
【0061】
シリンドリカルレンズ3aは、かまぼこ状の凸部を有する一次元レンズである。その延伸方向、すなわち長手方向は、表示面内において配列方向と直行する方向となっている。また、シリンドリカルレンズ3aは、延伸方向にはレンズ効果を持たず、その直行方向である配列方向にのみレンズ効果を有する。
【0062】
図2は、本発明に係る画像表示装置を示す断面図である。
【0063】
画像表示装置1は、電気光学素子として液晶分子を利用した表示パネル2と、レンチキュラレンズ3と、バックライト15から構成される。レンチキュラレンズ3は、多数のシリンドリカルレンズ3aが一次元配列したレンズアイである。シリンドリカルレンズ3aは、配列方向にのみレンズ効果を有するため、レンチキュラレンズ3は、シリンドリカルレンズ3aの配列方向にのみレンズ効果を有する一次元レンズアレイとなっている。シリンドリカルレンズ3aの配列方向は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向に設定されている。また、シリンドリカルレンズ3aは、表示単位4に対応して配置されている。
【0064】
上述したレンズ効果を有する方向は、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向と一致している。この結果、シリンドリカルレンズ3aは、左眼用画素4Lの光と右眼用画素4Rの光を異なる方向に分離可能な光線分離手段として作用する。これによって、シリンドリカルレンズ3aは、左眼用画素4Lが表示する画像と、右眼用画素4Rが表示する画像を、異なる方向に分離することができる。すなわち、レンチキュラレンズ3は、画像分離手段、画像振分手段として作用する光学部材となる。なお、シリンドリカルレンズ3aの焦点距離は、シリンドリカルレンズ3aの主点、すなわちレンズの頂点と、画素面、すなわち左眼用画素4L又は右眼用画素4Rが配置された面との間の距離に設定されている。
【0065】
なお、本明細書においては、便宜上、以下のようにXYZ直交座標系を設定する。左眼用画素4L及び右眼用画素4Rが繰り返し配列される方向において、右眼用画素4Rから左眼用画素4Lに向かう第1の方向を+X方向とし、その反対方向を−X方向とする。+X方向及び−X方向を総称してX軸方向という。また、シリンドリカルレンズ3aの長手方向が第2の方向であり、これをY軸方向とする。更に、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する第3の方向をZ軸方向とし、このZ軸方向のうち、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rが配置された面からレンチキュラレンズ3に向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。+Z方向は前方、すなわち、観察者に向かう方向であり、観察者は、表示パネル2の+Z側の面を視認することになる。そして、+Y方向は、右手座標系が成立する方向とする。すなわち、人の右手の親指を+X方向、人差し指を+Y方向に向けたとき、中指は+Z方向を向くようにする。
【0066】
上述のように、XYZ直交座標系を設定すると、シリンドリカルレンズ3aの配列方向は、X軸方向となり、左眼用の画像と右眼用の画像は、X軸方向に沿って分離されることになる。また、表示単位4は、Y軸方向に一列に配列される。X軸方向における表示単位4の配列周期は、シリンドリカルレンズ3aの配列周期と等しくなる。さらに、シリンドリカルレンズ3aは、表示単位4がY軸方向に配列した列に対してそれぞれ配置されている。
【0067】
本実施形態においては、X軸方向へ並ぶサブ画素のラインを行、Y軸方向へ並ぶサブ画素のラインを列として説明する。
【0068】
図1に示すように、表示単位4は、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lから構成され、表示単位4’は右眼用画素4R’と左眼用画素4L’から構成される。
【0069】
本実施形態では、1ピクセルは3つの表示単位から構成され、各表示単位4は赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)に配色されている。カラーフィルタは、赤、緑、青の各色がX軸方向へ延伸しており、その各色は、Y軸方向へストライプ状に繰り返し配列している。配色の順序はこれに限らず、赤、緑、青の組み合わせは順不同であっても良い。また、1ピクセルは3つ以上の表示単位を組み合わせて構成しても良い。この場合、配色の種類はこれに限定されることなく、3色以上から構成されても良い。
【0070】
図2に示すように、表示画素2は、TFT(Thin Film Transistor)基板2aと対向基板2bとの間に微少な間隙を設定しており、液晶層5LCは、この間隙に設けられる。TFT基板2aは、表示パネル2の−Z方向側に設けられ、対向基板2bは、+Z方向側に設けられている。レンチキュラレンズ3は、対向基板2bの更に+Z方向側に配置されている。また、偏光板11は、TFT基板2aの+Z方向側、及び対向基板2bの−Z側にそれぞれ貼合されている。また、カラーフィルタ及び
図1に示す遮光部76は、対向基板2b側に設けられているが、これに限定されることなく、TFT基板2a側に形成した遮光層も含めて遮光部76とする。
【0071】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1における画素構造について、
図1を参照して詳細に説明する。
【0072】
表示パネル2におけるサブ画素は、台形状から構成され、この開口部は、平面視で2つの台形を組み合わせた六角形状で形成されている。具体的には、開口部の形状は、サブ画素の中心を通りY軸と平行な直線である線分b−b’に対して左右対称である台形と、この台形の下底の長さと等しい下底を有する台形とが、各々の台形の下底が相互に接触するように配置することにより形成される六角形状である。しかしながら、この六角形状は、片方の台形のY軸方向の幅が小さく、実質的には略台形状とみなすことができるため、以下の説明上は、これを略台形状画素と称し、上述に従い底辺のうち長い方を下底、短い方を上底とする。この略台形状の開口部の周りには、台形状の遮光部が設けられている。
【0073】
上述した表示パネル2におけるサブ画素について、別の表現をすると、サブ画素の開口部は、X軸と略平行な上底及び下底と、Y軸方向と異なる方向へ傾斜した2つの斜辺を有する略台形状から構成され、その略台形状の鋭角部に略三角形からなる遮光部を設けた構造である、と表現できる。
【0074】
開口部の形状は、線分b−b’に対して左右対称な斜辺を持つため、この開口部を構成する斜辺は、Y軸方向に対して相互に反対の方向に傾斜し、その延びる方向とY軸方向とがなす角度の大きさが同一である1対の辺で構成される。
【0075】
X軸方向に隣接するサブ画素は、中心点Oに対して互いに点対称の関係となる。また、右眼用画素4Rの開口部と左眼用画素4Lの開口部は、その中心がそれぞれY軸方向にシフトして配置される。Y軸方向に隣接するサブ画素は、台形の上底又は下底が向かい合うように配置されている。
【0076】
右眼用画素4Rの開口部と左眼用画素4Lの開口部は、Y軸方向へ互いに重なる領域があり、この領域を「重なり領域」と称し、そのX軸方向の幅を重なり領域幅Xct2とする。すなわち、Xct2は、開口部においてX軸方向への最も外側の点Eと点E’とに挟まれた領域の幅である。また、右眼用画素4Rと左眼用画素4Lの開口部がY軸方向へ重ならずになる領域を「非重なり領域」と称し、そのX軸方向への幅を非重なり領域幅X1とする。サブ画素のX軸方向の幅Xdotは、重なり領域幅Xct2と非重なり領域幅X1の和に等しくなる。
【0077】
次に、画像表示装置1における画素構造について、
図3を参照してさらに詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る表示パネルの画素を拡大した図である。
【0078】
台形斜辺部は、有限の幅Wをもつ遮光線を設け、斜辺部とY軸方向とがなす角度はθである。なお、本明細書における角度は、+Y軸方向を0度とし、時計回りの方向を正と定義する。
【0079】
右眼用画素4Rの開口部における最も外側の点Eを通るY軸方向と平行な線分は、左眼用画素4Lの非重なり領域と重なり領域の境界線となる。略台形状開口部の下底において、遮光部と開口部の境界線は、X軸方向と平行であり、点Fは、この底辺部の境界線と重なり領域境界線との交点、及び重なり領域と重なり領域境界線との交点である。
【0080】
点Aは、右眼用画素4Rにおける略台形状開口部の上底側の頂点である点B、Eを結ぶ線を延伸した線と、略台形状開口部の下底を延伸した線との交点であり、点A’は、左眼用画素4Lにおいて同様に求めた交点である。点A、B’は、Y軸と平行な同一直線上に並んでおり、点A’、Bも同様である。
【0081】
点Cは、点A’、Bを結ぶ線分を延伸した線と、右眼用画素4Rの略台形開口部の底辺との交点であり、点C’は、左用画素4Lにおいて同様に求めた交点である。
【0082】
点Dは、点A、Fの間に配置され、重なり領域幅Xct2の内側に配置される。
【0083】
点D、Eを結ぶ線分及び点D’、E’を結ぶ線分は、Y軸方向と交差する方向へ傾斜している。また、該線分は、表示単位4の中心線a−a’を横切るように配置されている。
【0084】
サブ画素の開口部は、略台形状の開口からなり、台形下底側の鋭角部が点A、D、Eで囲まれる三角形及び点A’、D’、E’で囲まれる三角形により遮光された六角形状の開口部から構成される。点A、B、Cで囲まれる直角三角形と点A’、B’、C’で囲まれる直角三角形は、Y軸方向へ互いに重なる領域のX軸方向の重なり幅がXctであり、点A、D、Eで囲まれる三角形と、点A’、D’、E’で囲まれる三角形により遮光されることにより、重なり領域幅Xct2はXctより小さくなる。
【0085】
このとき、点A、Cを結ぶ線分の長さL(A−C)と、縦開口部幅Y1との関係は、L(A−C)=Y1×tanθとなり、点A’、C’を結ぶ線分の長さL(A−C)と縦開口部幅Y1との関係も同様である。すなわち、点A、B、C及び点A’、B’、C’の配置関係は、
図36に示す画素における点A、B、C、A’、B’、C’と同じ関係となる。
【0086】
点A、D、Eで囲まれる三角形の面積Sct2は、重なり領域幅Xct2が存在する程度に設定しており、点A、B、Cで囲まれる三角形の面積Sct1より小さくなっている。点A’、D’、E’で囲まれる三角形の面積Sct2’と点A’、B’、C’ で囲まれる三角形の面積Sct1’についても同様である。
【0087】
台形斜辺に配置された幅Wの斜行配線のX軸方向における幅をWX1とすると、WX1=W/cosθである。また、斜行配線のY軸方向における幅をWY1とすると、WY1=W/sinθである。
【0088】
図4は、本実施形態に係る表示パネル2の縦開口幅の分布を示すグラフである。
【0089】
表示単位4における右眼用画素4Rの開口部と左眼用画素4Lの開口部の縦開口幅の合計は、X軸方向に渡って一定とならず、表示単位4の中央部、すなわち、重なり領域幅Xct2近傍で変動している。該縦開口幅は、領域Xctから表示単位4の中央部へ向けて減少して極小値となり、その後、重なり領域幅Xct2へ向けて増加している。
【0090】
変曲点61R、61Lは、
図3に示す点B及び点B’に対応しており、中心X/Xct=0へ向けて縦開口幅が減少する起点となっている。この変曲点61Rと61Lとの距離は、Xctである。また、変曲点62R、62Lは、
図3に示す点E及び点E’に対応しており、中心X/Xct=0に向けて縦開口幅が増加する起点となっている。
【0091】
つまり、
図3を参照すると、サブ画素の縦開口幅の合計は、サブ画素の中心部では一定であり、表示単位4の中央線a−a’へ向けて線分B−C及び線分B’−C’を境に減少し、点E及び点E’を境に増加することがわかる。
【0092】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1のレンチキュラレンズが画像振分手段として作用するための条件について説明する。
【0093】
図5は、レンチキュラレンズを使用した場合の光学モデルを示す断面図である。
【0094】
画像振分手段は、左眼用画素4Lと右眼用画素4Rが配列する第1の方向、すなわち、X軸方向に沿って、各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分けなければならない。
【0095】
レンチキュラレンズ3の主点、すなわち、頂点と画素との間の距離をHとし、レンチキュラレンズ3の屈折率をnとし、レンズピッチをLとする。また、左眼用画素4L又は右眼用画素4Rの各1個の表示単位4のX軸方向への配列ピッチXunitは、2×Xdotと等しい。
【0096】
レンチキュラレンズ3と観察者との間の距離は、最適観察距離ODであり、この距離ODにおける画素の拡大投影像の周期、すなわち、レンズから距離ODだけ離れ、レンズと平行な仮想平面上における左眼用画素4L及び右眼用画素4Rの投影像の幅の周期は、それぞれeである。更に、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心から、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心までの距離は、WLであり、表示パネル2の中心に位置する左眼用画素4Lと右眼用画素4Rからなる画素の中心と、X軸方向における表示パネル2の端に位置する表示画素の中心との間の距離は、WPである。また、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角は、それぞれα、βであり、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aにおける光の入射角及び出射角は、それぞれγ及びδである。また、距離WLと距離WPとの差はCであり、距離WPの領域に含まれるサブ画素数は、2m個である。
【0097】
ここで、シリンドリカルレンズ3aの配列ピッチLと、サブ画素の配列ピッチXdotは、相互に関係しているため、設計者は、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてレンチキュラレンズ3を設計することが多いため、ここでは、サブ画素の配列ピッチXdotを定数として扱う。また、レンチキュラレンズ3の材料を選択することにより、屈折率nは決まる。これに対して、レンズと観察者との間の観察距離OD及び画素拡大投影像の周期eは、所望の値が設定される。これらの値を使用して、レンズの頂点と画素との間の距離H及びレンズピッチLは決定される。そして、スネルの法則と幾何学的関係により、下記の数式が成立する。
【0107】
ここで、画像振分効果を最大限に発揮する場合について考える。それは、レンチキュラレンズ3の頂点と画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズ3の焦点距離fと等しく設定した場合である。そして、レンズの曲率半径をrとすると、曲率半径rは、下記数式により求まる。
【0110】
上記のパラメータについてまとめると、サブ画素の配列ピッチXdotは、表示パネル2により決定される値であり、観察距離OD及び画素拡大投影用の周期eは、画像表示装置の設定により決定される値である。屈折率nは、レンズ等の材質により決定される。
【0111】
そして、これらから導出されるレンズの配列ピッチL、レンズと画素との距離Hは、各画素からの光が、観察面に投影される位置を決定するためのパラメータとなる。また、レンズの曲率半径rは、画像振分効果を変更するパラメータとなる。すなわち、レンズと画素との間の距離Hが固定の場合、レンズの曲率半径rを理想状態から変更すると、左右の画素の像がぼやけて明確に分離しなくなる。
【0112】
従って、画像振分効果を最大限に発揮するためには、曲率半径rは、画像の分離が有効となる最小値と最大値の間で設定すれば良い。
【0113】
まず、レンズの分離作用が存在するための、曲率半径範囲の最小値を算出する。
図6は、レンチキュラレンズの画像分離条件を算出するための曲率半径最小時を示した光学モデル図である。
【0114】
画像の分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし、焦点距離fを高さとする三角形と、分離作用が有効となる幅SPを底辺とし、H−fを高さとする三角形とが、相似の関係が成立すればよい。これより、下記数式が成立し、焦点距離の最小値fminを求めることができる。
【0116】
次に、焦点距離から曲率半径rを算出する。数式14及び15を使用して、曲率半径rの最小値rminは、下記数式で求めることができる。
【0118】
次に、レンズの分離作用が存在するための、曲率半径rの最大値を算出する。
図7は、レンチキュラレンズの画像分離条件を算出するため曲率半径最大時を示した光学モデル図である。
【0119】
画像の分離作用が存在するためには、レンズピッチLを底辺とし、焦点距離fを高さとする三角形と、分離作用が有効となる幅SPを底辺とし、f−Hを高さとする三角形とが、相似の関係が成立すればよい。これにより、下記数式が成立し、焦点距離の最大値fmaxを求めることができる。
【0121】
次に、焦点距離から曲率半径rを算出する。数式14及び15を使用して、曲率半径の最小値rmaxは、下記数式で求めることができる。
【0123】
以上まとめると、レンズが画像振分効果を発揮するためには、レンズの曲率半径rは、上述にて求めた数式で示す最小値と最大値の範囲内に存在する必要がある。レンズの曲率半径rが存在する必要がある範囲は、下記数式で求めることができる。
【0125】
なお、上記においては、左眼用画素4Lと右眼用画素4Rとを有する2視点の画像表示装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、N視点方式の画像表示装置に対して同様に適用することができる。この場合、前述の距離WPの領域に含まれる画素数は、N×m個となる。
【0126】
ここで、上記分離作用の有効幅に応じてぼかすことのできる領域のX軸方向への幅(
図6及び
図7におけるSP)を、「スポット径」と称する。本構成の場合、スポット径を小さくすると、左右画素の境界部における縦開口の変動は強調されてしまう。そこで、本発明は、
図6及び
図7に示すように、レンズの焦点を画素面からずらして配置することにより、縦開口の局所的な輝度変動を効果的に低減し、高画質化を可能としている。
【0127】
上述のように、レンズの焦点を画素面からずらして配置することによってぼかす領域を設定し、高画質化を図る技術を、以下「デフォーカス効果」と称する。
【0128】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の動作について説明する。
【0129】
図8は、本実施形態に係る画像表示装置1を使用する際の光学モデルを示す図である。
【0130】
バックライト15が発光すると、バックライト15から出射された光は、表示パネル2に入射する。一方で、制御装置(図示せず)により表示パネル2は駆動され、左眼用画素4L及び右眼用画素4Rは、それぞれ左眼用画像及び右眼用画像を表示する。このとき、左眼用画像及び右眼用画像は、立体画像を構成する視差画像とする。
【0131】
表示パネル2の左眼用画素4L及び右眼用画素4Rに入射した光は、これらの画素の開口部を透過し、更にレンチキュラレンズ3により屈折し、それぞれ領域EL及びERに向けて出射される。
【0132】
このとき、観察者は、左眼55Lを領域ELに位置させ、右眼55Rを領域ERに位置させることにより、左眼で左眼用画像を視認し、右眼で右眼用画像を視認することで、立体画像を視認することができる。
【0133】
次に、本明細書における3Dモアレ及び3Dクロストークの評価方法についてグラフを基に説明する。
【0134】
図9は、本発明における画像表示装置の輝度分布の一例を示すグラフである。
【0135】
横軸の観察位置Xは、画像分離方向を示す角度であり、表示面に対して垂直な方向、すなわち+Z軸方向を0としている。縦軸の明るさYは、角度方向における輝度分布である。
【0136】
観察者位置の−X側は、左眼側に出力される画像に対応した輝度分布であり、+X側は右眼側に出力される画像に対応した輝度分布である。
【0137】
点線は、右眼用画素4Rまたは左眼用画素4Lのうち、片側の画素のみに画像を出力した場合の輝度分布を示す。Y(LBRW)は、右側画素に白、左側画素に黒を表示した状態で測定した輝度分布であり、Y(LWRB)は、右側画素に黒、左側画素に白を表示した状態で測定した輝度分布である。また、太線で示すY(LWRW)は、両方の画素に同じ画像を表示させた場合(右側画素に白、左側画素に白を表示した状態)で測定した輝度分布である。また、Y(LBRB)は両方の画素に黒を表示した状態で測定した輝度分布である。
【0138】
点線に示す各視点に応じた輝度分布、Y(LBRW)とY(LWRB)の和は、太線Y(LWRW)の輝度分布と等しくなり、以下の式が成り立つ。
【0140】
Y(LWRB)とY(LBRW)の輝度分布は、正面の観察位置、すなわちX=0付近において、点(X1,Y1)で交わる。また+X側では点(XR2,YR2)で交わり、−X側では点(XL2,YL2)で交わる。点(X1,Y1)と点(XR2,YR2)のX方向の間隔は、右眼用画像の投影像の幅eRであり、点(X1,Y1)と点(XL2,YL2)のX方向の間隔は、左眼用画像の投影像の幅eLである。
【0141】
点(X0,Y0)付近に発生する輝度の低下は、X軸方向へ隣接して並ぶサブ画素間の境界部における遮光部に起因して発生する。この輝度低下は3Dモアレであり、本明細書においては、後述するΔYc及びΔY/ΔXを3Dモアレ評価の指標とする。
【0142】
点(XL1,YL1)は、左眼用画像の投影像の幅eLにおける輝度の最大値であり、点(XR1,YR1)は、右眼用画像の投影像の幅eRにおける輝度の最大値である。また、点(X0,Y0)は、左眼用画像の投影像の幅eLと右眼用画像の投影像の幅eRの境界近傍に発生する輝度分布の最小値である。3Dモアレは、点(XL1,YL1)及び点(XR1,YR2)の輝度平均値と、点(X0,Y0)の比率から下記数式で表すことができる。
【0146】
また、左眼用画像は、右眼用画像の投影像の幅eL内に混入し、右眼用画像は、左眼用画像の投影像の幅eR内に混入している。これは3Dクロストークであり、+X側の領域における3Dクロストークは、下記数式で表すことができる。
【0148】
また、−X側の領域における3Dクロストークは、下記数式で表すことができる。
【0150】
上述の数式で定義すると、3Dクロストーク3DCT(X)は、点(X1,Y1)、点(XL2,YL2)、点(XR2,YR2)で最大となり、その値は100%となる。また、点(XL3,YL3)、点(XR3,YR3)は、輝度分布Y(LWRB)、Y(LBRW)のそれぞれの最小値であり、3Dクロストークは、最小値3DCTminとなる。3Dクロストークの最小値3Dminは、下記数式で定義し、これを評価の指標とする。
【0152】
次に、3Dクロストーク3DCT(X)とスポット径SPの関係について説明する。
図10は、サブ画素から出射される光線方向と3Dクロストークの関係を示す模式図である。
【0153】
角度範囲θsは、
図9における右眼視点幅eR、すなわち(XR2−X1)に相当し、この角度範囲θsのうち、角度範囲θtは3Dクロストークが小さい範囲となり、観察者は、安定して立体表示を視認できる。また、角度範囲θr1及びθr2は、3Dクロストークが大きい範囲であり、観察者は視認することで違和感を覚える。
【0154】
良好な立体感が得られる角度範囲θtは、サブ画素の中央部付近の領域から出射された光線によって形成されるため、X軸方向へ隣接するサブ画素からの影響は少なく、3Dクロストークの影響は小さい。一方、角度範囲θr1及びθr2は、サブ画素の端側から出射された光線によって形成されるため、X方向へ隣接するサブ画素からの光の混入により、3Dクロストークの影響は大きくなり、観察者は良好な立体感を得られない。角度範囲θsから角度範囲θr1へ向かって、また、角度範囲θsから角度範囲 θr2に向かって、3Dクロストークは、連続的に増加しながら変動し、立体画質は低下していく。そして、角度範囲θr1とθr2の中央付近では3Dクロストークは100%になる。なお、通常、θr1とθr2は概ね等しい。
【0155】
スポット径SPの中心と表示単位4の中心線との距離をXrとすると、サブ画素ピッチXdotに対する距離Xrの割合は、立体視域の角度における角度範囲θsに対する角度範囲θr(θr1又はθr2)の関係に対応している。これより下記数式が成り立つ。
【0157】
図11は、画素の縦開口幅の分布と、スポット径の関係を示すグラフである。
【0158】
縦開口幅の分布に対して、シリンドリカルレンズ3aのスポット径SPを設定した場合、左眼用画素4Lの開口部が寄与する面積Sl(X)と、右眼用画素4Rの開口領域が寄与する面積Sr(X)の面積比を求めることにより、3Dクロストークは、解析的に求めることができる。表示単位4の中心線からスポット径SPの中心までのX軸方向への距離をXrとすると、下記数式が成り立つ。
【0160】
上記数式を考察すると、3DCT(Xr)を一定にしたまま、スポット径SPを大きくすると、それに伴って表示単位4の中心線からスポット径中心までの距離Xrは、大きくなることがわかる。
【0161】
従って、数式28及び数式29より、スポット径SPを大きくすると、表示単位4の中心線からスポット径中心までの距離Xrは増大するため、3Dクロストークが3DCT(Xr)以下となる立体視域の幅は、小さくなることがわかる。
【0162】
観察者は、3Dクロストークが所定値以下であれば主観的に違和感がないため、3Dクロストークが所定値以下となる角度範囲は、できるだけ大きいことが望ましい。
【0163】
ところで、3Dクロストークを測定できる装置は、例えばコノスコープ方式や、ゴニオメータ方式やフーリエ方式などがある。これらの方式を備えた測定装置は、視野角度に対する輝度分布を測定することができ、後述する方法により3Dクロストークを算出することができる。この算出結果について、いずれの測定装置で測定しても定性的結果の差は大して見られないが、定量的な数値については、測定方式や装置仕様によって異なる。
【0164】
本明細書では、フーリエ方式であるEZコントラストXL88(ELDIM社製)で測定した結果を用いることとする。本測定結果と、観察者の主観的な立体視域の評価結果(以下、主観評価とする)と照合した結果、3Dクロストーク値が7.5%以下となる角度範囲が主観的に得られる立体視域と概ね一致していることが確認された。従って、所定値は、3Dクロストーク7.5%以下となることが望ましく、本明細書では、この値以下である角度範囲を立体視域とする。
【0165】
なお、主観評価とは、
図17で示すような立体視認範囲で観察者の頭を固定して立体映像を観察した場合と、立体視域を外れる範囲まで視認者の頭を移動しながら立体映像を観察した場合のそれぞれについて、観察者が立体映像を観察し、複数の観察者から得た主観的に感じる違和感を、指標に従った結果にまとめたものである。すなわち、平均的な「見栄え」であるとも言える。
【0166】
また、同図に示すように、左眼用の映像が出力される領域と、右眼用の映像が出力される映像は、各画素から出射された光が光学的に分離され、かつ、その光が光線16に示すように偏向されることによってそれぞれ形成される。立体視認範囲は、この領域と、左眼55Lと右眼55Rの間隔との関係から求めることができる。上述の立体視認範囲内の左右の画像の境界における立体視認性は、3Dクロストークの影響で低下する。そのため、所定の3Dモアレ、3Dクロストーク以下となる領域を、立体視認範囲、または立体視域として定義することができる。
【0167】
本明細書において、画像表示装置の測定方法は、上記した通り、EZコントラストを用いたが、これに限定することなく、角度方向の輝度分布を測定できる測定装置は、同様にして測定することができる。この際、観察者の主観的な立体視域の結果と照合して、各測定装置に対する3Dクロストークの所定値を設定することが望ましい。
【0168】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0169】
図12(A)は、本実施形態に係る画素におけるX軸方向に対する輝度分布とスポット径SPの関係を示すグラフであり、
図12(B)は、
図12(A)のグラフを抜粋して示したグラフである。
図13(A)は、本実施形態に係る画素における縦開口幅の分布を示すグラフであり、
図13(B)は、明るさの分布を示すグラフである。
【0170】
図12(A)に示すように、本実施形態に係る画素は、スポット径SPを大きくすることにより、デフォーカス効果が大きくなり、輝度分布は緩やかになる。スポット径SPがXct/2より大きくなると、重なり領域近傍で2つに分かれていた極小値は1つの極小値となり、明るさの分布におけるX軸方向に対する変動量は、低減される(
図12(B)、SP/Xct=0.54参照)。これにより、3Dモアレの視認性は低減される。このとき、
図13より、下記数式が成立する。
【0172】
さらに、スポット径SPがXctより大きくなると、X/Xct=0の中央部における明るさは、スポット径SPがXct/2より大きいときよりも向上する(
図12(B)、SP/Xct=1.07参照)。これにより、X軸方向に対する明るさの変動量が小さくなると同時に、中央部の明るさが向上するため、3Dモアレの視認性はより低減される。このとき、
図13より、下記数式が成立する。
【0174】
図14は、本実施形態に係る画素におけるスポット径SPと輝度変動の大きさΔYcとの関係を示すグラフであり、
図15は、本実施形態に係る画素におけるスポット径SPと輝度変化の傾きΔY/ΔXの関係を示すグラフである。
【0175】
図示するように、上述のようにスポット径SPをXct/2以上に設定した場合、デフォーカス効果が効果的に発揮され、急激な輝度変化は平均化される。また、例えば、スポット径SPが小さい場合、縦開口幅の分布に対応した変化量ΔH1/Y1に達するまでの急激な輝度の変化は、3Dモアレとして視認されやすく、観察者に違和感を与えてしまう。しかしながら、この場合でも、表示部中央で縦開口幅が増加する領域によって、効果的に輝度分布を緩やかにすることができ、3Dモアレの視認性は低減される。
【0176】
図16は、本実施形態に係る画素におけるスポット径SPと立体視域の関係を示すグラフである。
【0177】
上述の通り、主観評価の結果から3Dクロストークが7.5%以下となる領域は立体視域であり、3DCT(Xr)=7.5%となるスポット径SPから、表示単位の中心線とスポット径の中心の距離Xrを算出し、立体視域幅の変動量を見積もることができる。図示する通り、スポット径SPが2×Xctの場合、立体視域は70%以上確保されている。さらに、上述の通り、スポット径SPがXct/2より大きい場合、|ΔY/ΔX|は十分小さくなり、3Dモアレの視認性は低減し、立体視域も十分に確保されている。従って、3Dモアレと3Dクロストークのバランスの取れた良好な立体表示特性を安定して得るには、下記数式の範囲内でスポット径SPを設定すれば良い。
【0179】
また、スポット径SPがXct/4の場合、
図14及び15を参照すると、ΔYc=20%、ΔY/ΔX=0.03となるが、この場合でも、主観評価の結果から、立体表示特性は主観的に許容できることが確認されている。従って、さらに下記数式の範囲内でスポット径SPを設定した場合でも、良好な立体表示特性を得ることができる。
【0181】
また、主観評価の結果より、レンズの焦点を画素面からずらして配置した時の画素面におけるスポット径SPは、WX1/2以上、2×Xct以下の範囲にあることが好ましい、ということがわかった。スポット径SPがWX1/2の場合、台形開口の斜辺領域は、ぼかすことができる限界となるため、スポット径SPは、これより大きく設定することが好ましい。そして、スポット径SPが2×Xctの場合、ぼかすことができる領域は、縦開口幅が一定となる開口領域まで広げることができる。ただし、これよりぼかす領域が大きくなると、レンズの分離性能は低下していく。従って、レンズの分離性能を優先して設計する場合、レンズの曲率半径は、下記2式の範囲内に設定すれば良い。
【0184】
上述の通り、本実施形態に係る画像表示装置は、スポット径SPをWX1/2<SP<2×Xctの範囲内に設定することで、デフォーカス効果を有効に適用し、スポット径SP内での急激な輝度変化を平均化することで輝度分布を緩やかにすることができ、3Dモアレの視認性を低減し、高品質な立体画像を提供することができる。さらに、スポット径SPを大きくして輝度分布を緩やかにした場合でも、重なり領域幅Xct2がXctよりも小さいため、3Dクロストークを悪化させることなく、3Dモアレの視認性を低減することができる。
【0186】
点A、D、Eで囲まれる三角形状遮光部は、3Dモアレと3Dクロストークを低減させ、画質向上に寄与するが、該遮光部の面積が大きくなり、重なり領域幅Xct2が設定できなくなる場合、開口率は顕著に低下する。
【0187】
このような状況を避け、3Dクロストークと3Dモアレのバランスを取るためには、点A、B、Cで囲まれる三角形の面積に対する点A、D、Eで囲まれる三角形状遮光部の面積比は、重なり領域幅Xct2が設定できる範囲内で所定値以下に設定する必要がある。これは、主観評価の結果により判明した。具体的には、点A、D、Eで囲まれる三角形状遮光部の面積は、点A、B、Cで囲まれる三角形の面積の50%以下に設定することが望ましく、開口率の低下を最小限に抑えるためには、30%以下に設定することが望ましい。
【0188】
また、サブ画素の縦開口幅は、X軸方向に渡って一定とならず(
図4、13参照)、領域Xctから表示単位中央へ向けて一度減少して極小値となり、それから重なり領域幅Xct2へ向けて増加しているため、X軸方向のズレに対して開口幅の変化量は、小さくすることができる。
【0189】
しかしながら、例えば、
図3における点Dと点F、及び点D’と点F’が同じ位置に重なった場合、幾何学的関係から、縦開口の大きさの分布は、重なり領域幅Xct2内で中心線a−a’に向かって縦開口の大きさが増加することなく、一定となる。
【0190】
このような縦開口幅分布の場合、デフォーカス効果を十分に得ることができず、3Dモアレの視認性を低減し難い。従って、点Dは点Aと点Fの間に、点D’は点A’と点F’の間に、すなわち、重なり領域の範囲内にそれぞれ配置する必要がある。また、この構成は、加工精度による形状変化に対して許容度を大きくすることができるため、製造における歩留まりを向上でき、低コスト化に寄与する。
【0191】
また、幅Wの斜行配線のY軸方向の変動量は、製造プロセスの加工精度や、TFT基板と対向基板の重ね合わせのズレによるX軸方向への変動量に対して、1/sinθとなる。そのため、本実施形態の画素構造は、斜行配線の角度θを大きくして開口率を向上できると共に、X軸方向への変動量に対するY軸方向の変動量のマージンを大きくすることが可能である。さらに、斜行配線の角度θを大きくしても、3Dクロストークを悪化させることがなく、同時に3Dモアレの視認性を低減することができる。特に、サブ画素ピッチXdotが100um以下である高精細画素は、開口率を大きくとるためにθを大きく設定することが好ましく、本発明の構造を好適に適用することが可能である。なお、主観評価の結果から、最適な斜行配線の角度θは、少なくとも17度以上である必要があることが分かった。
【0192】
また、通常、略台形状における下底側の角は、配線角度が鋭角となるために、電界が集中して発生しやすく、液晶配向が乱れてバックライトからの光が漏れる原因となる。しかしながら本実施形態に係る画素は、鋭角部を遮光することにより、光漏れを低減してコントラストを向上することができる。
【0193】
略台形状を構成する全ての角は、鈍角又は直角となっているため、遮光部の形成方法に起因する角の丸まりを最小限に抑えることができ、製造方法に起因する開口率の低下を抑制することができる。また、本発明は、鋭角部を形成する高精度の加工プロセスを適用する必要がないため、低コスト化することができる。
【0194】
なお、上述の説明は、観察面に複数個の視点を設定し、その設定した各視点に向かって表示面の全ての表示単位から各視点用の画素の光が出射する方式のものである。この方式は、ある定めた視点に向かって、該当する視点の光を集めるため、集光方式とも呼称される。集光方式は、上述の2視点方式の画像表示装置や、更に視点数を増やした多視点方式の画像表示装置などで分類されている。
【0195】
図17は、本実施形態に係る画像表示装置の集光状態を示す概念図である。集光方式は、観察者の眼に入射する光線を再現して表示する特徴がある。本発明は、このような集光方式に対して効果的に適用することができる。
【0196】
更に、これらの方式は、空間像方式や空間像再生方式、空間像再現方式、空間像形成方式などと呼称される様々な方式が提案されている。
図18は、空間像方式の概念図である。空間像方式は、集光方式と異なり、特定の視点を設置しない。そして、集光方式との差異点は、空間の物体が発する光を再現するように表示する点である。このような空間像方式は、インテグラルフォトグラフィ方式やインテグラルビデオグラフィ方式、インテグラルイメージング方式などで分類される。空間像方式においては、任意の場所に位置する観察者は、表示面全体で同一視点用の画素のみを視認することはない。しかしながら、同一視点用の画素が形成する所定の幅の領域は、複数種類存在することになる。この各領域において、本発明は、前述の集光方式と同様の効果を発揮できるため、空間像方式においても有効に適用することができる。
【0197】
なお、本発明においては、「視点」を「使用者が注視する表示領域上のある点(viewing point)」という意味ではなく、「画像表示装置を視認する位置(observation position)」や、「使用者の眼が位置すべき点又は領域」という意味で使用している。
【0198】
また、本実施形態に係る画像表示装置は、搭載した液晶表示パネルに偏光板11を貼合せず、レンチキュラレンズ3より外側に設けてもよい。これにより、画素とレンズの距離Hは、偏光板11の厚み分だけ、小さくすることができ、ガラスを薄くするための研磨加工プロセスは、削減することができる。また、この配置方法は、画素とレンズの距離Hの設計範囲を大きく取れるため、立体視域の設計自由度を向上させることができる。特に、小型機器に搭載される立体表示パネルは、立体表示の最適視認距離をパネルから近い位置、例えば手の届く範囲に設計することが求められるため、画素とレンズの距離を小さくすることで、立体視域幅をより効果的に向上することができる。また、画素ピッチXunitが100μmより小さい高精細品でこの配置方法は有効となる。
【0199】
また、本実施形態に係る表示パネルにおけるシリンドリカルレンズ3aは、レンズ面を対向基板2bの方向に向けた構成でもよい。上述と同様に、この構成は、画素とレンズとの距離を小さくすることによって、最適視認距離の自由度向上と高精細品で有効となる。
【0200】
また、画像分離手段は、屈折率の分布を液晶分子により制御する電気光学素子や、レンズ効果を有する凹凸基板と液晶分子を組み合わせて、液晶分子によりスイッチング可能な電気光学素子を用いてもよい。また、明領域と不透明領域とが交互に並んだ視差バリアを適用してもよい。視差バリアは、透明領域と不透明領域を液晶分子によりスイッチング可能な電気光学素子を用いてもよい。
【0201】
また、表示パネルにストライプ状のカラーフィルタを設けてカラー表示する場合、カラーフィルタの同色連続方向は、X軸方向とすることが好ましい。これにより、カラーフィルタの同色領域を遮光させる必要がなくなり、カラーフィルタを長方形にすることができるため、カラーフィルタの製造が容易になり、画像表示装置は低コスト化することができる。
【0202】
また、カラーフィルタ及び遮光部は、TFT基板2a側に配置されてもよい。これにより、重ね合わせ精度を向上することができるため、遮光部の幅を小さくすることができ、開口効率を大きくすることができる。また、斜行配線を覆う遮光部の幅を小さくすることにより、3Dモアレを軽減することができ、表示品質を向上することができる。
【0203】
また、この構成は、デフォーカス効果により重ねズレによる輝度分布の急激な変化を平均化し、輝度分布を緩やかにすることができ、3Dモアレの視認性を低減し、高品質な立体画像を提供することができる。
【0204】
また、遮光部76は、Y軸方向に対して傾斜している1対の辺間の領域には設けず、TFT基板2a側の配線に設けてもよい。この構成は、遮光部を形成する際のX軸方向における位置の誤差マージンが大きい場合でも、開口率に与える影響を小さくすることができる。すなわち、この構成は、X軸方向の位置マージンを大きく設定でき、高開口率化することができる。この構成は、特に、配線が形成された基板と対向する基板上に遮光部を形成する場合に効果が大きい。
【0205】
本実形態では、第1視点用の画素は左眼用画素4L、第2視点用の画素は右眼用画素4Rとして説明したが、これに限らず、第1視点用の画素を右眼用画素4R、第2視点用の画素を左眼用画素4Lとしてもよい。これにより、表示パネル2をXY平面で180度回転した状態であっても、画像データを並び替えることによって、元と同じように立体表示を視認することができる。特に、近年の携帯機器は、表示画面が回転することにより操作性を高めており、機器を手に持ったときの画像表示装置1の方向によらず、情報を提供することを必要としている。
【0206】
また、本実施形態の画像表示装置に搭載した液晶表示パネルは、TNモードの液晶駆動方式に限られることなく、その他の液晶駆動モードが適用できる。例えば、横電界モードではIPS(インプレイン・スイッチング)方式、FFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)方式、AFFS(アドヴァンスト・フリンジ・フィールド・スイッチング)方式等が挙げられる。また、垂直配向モードではマルチドメイン化され視野角依存性が低減されたMVA(マルチドメイン・ヴァーティカル・アライメント)方式、PVA(パターンド・ヴァーティカル・アライメント)方式、ASV(アドヴァンスト・スーパー・ヴイ)方式等が挙げられる。更に、OCB(オプティカリー・コンペンセイティド・ベンド)方式、フィルム補償TNモードの液晶表示パネルも好適に使用することができる。
【0207】
更に、本実施形態に係る表示パネル2は、電気光学素子として液晶分子を利用した液晶表示パネルであるものとしている。液晶表示パネルは、透過型液晶表示パネルだけでなく、反射型液晶表示パネル、半透過型液晶表示パネル表示パネル、反射領域よりも透過領域の比率が大きい微反射型液晶表示パネル表示パネル、透過領域よりも反射領域の比率が大きい微透過型液晶表示パネル表示パネル等にも適用することができる。
【0208】
また、表示パネルの駆動方法は、TFT方式に好適に適用できる。TFT方式における薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンや低温ポリシリコン、高温ポリシリコン、単結晶シリコンを使用したものだけでなく、ペンタセンなどの有機物や酸化亜鉛などの酸化金属、カーボンナノチューブを使用したものにも好適に適用できる。また、本発明は、薄膜トランジスタの構造には依存せず、ボトムゲート型やトップゲート型、スタガ型、逆スタガ型等を好適に使用することができる。
【0209】
更に、本実施形態に係る表示パネル2は、液晶方式以外の表示パネル、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示パネル、又はPALC(Plasma Address Liquid Crystal:プラズマ・アドレス液晶)に適用することもできる。有機エレクトロルミネッセンス表示パネルは、非発光領域が遮光領域の役割を果たすため、非発光領域に本発明における遮光部の構造を適用することにより、同様の効果を得ることができる。
【0210】
更に、本実施形態は、端末装置として携帯電話を例示したが、本発明はこれに限定されず、PDA、パーソナルTV、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ及びノート型パーソナルコンピュータ等の各種の携帯端末装置に適用することができる。また、携帯端末装置のみならず、キャッシュディスペンサ、自動販売機、モニタ及びテレビジョン受像機等の各種の固定型の端末装置に適用することもできる。
【0211】
[第1の実施形態 変形例1]
本発明の第1の実施形態の変形例に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0212】
図19は、本変形例に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0213】
本変形例に係るサブ画素は、台形状から成り、その開口部は略台形状であり、鋭角部に多角形からなる略三角形状の遮光部を設けた構造である。略三角形状の遮光部は、点A、D、E、F及び点A’、D’、E’、F’からなる四角形から構成される。
【0214】
サブ画素は、重なり領域Xct2において、点Fを設けており、点Fは点A、E、Dがなす三角形の内側に配置される。点F、Dを結ぶ直線は、表示パネルの中心線である線分a−a’を横切るように配置されている。点F、Dを結ぶ直線と線分a−a’ とのなす角度は、点E、Fを結ぶ直線と線分a−a’のなす角度より大きくなっている。
【0215】
点Dは、点A、B、Cで囲まれる三角形領域の外側に設けられており、点D’は、点A’,B’,C’で囲まれる三角形領域の外側に設けられている。その結果、点D、D’は、X軸方向に対して縦開口幅が変動する変曲点となっており、この変曲点を起点にして、縦開口幅は、表示単位4の中心方向へ向かって減少する。また、点D、D’間のX軸方向への幅を、Xct3とする。
【0216】
なお、本変形例の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0217】
次に、本変形例に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0218】
点F、Dを結ぶ線分の傾きは、点F、Eを結ぶ線分の傾きより小さく、点Dから点Fに渡る縦開口幅の変動は、点Fから点Eに渡る縦開口幅の変動より小さい。従って、点Dから点Eまでの微分係数の変化を小さくすることができる。このため、本構成は、輝度分布及び明るさの分布におけるX軸方向に対する変動量が低減され、3Dモアレの視認性を低減し、点A、E、F、Dを含む遮光領域によって、3Dクロストークを低減することができる。
【0219】
また、遮光部の角は、鈍角から構成されているため、遮光部の形成方法に起因する角の丸まりを最小限に抑えることができ、製造方法に起因する開口率の低下を抑制することができる。また、本構成は、鋭角部を形成する高精度の加工プロセスを適用する必要がないため、低コスト化することができる。特に、幅Xct内が鈍角で構成されていることにより、製造プロセスの加工精度による形状変化を小さくして、局所的な縦開口幅の変動を低減することができる。
【0220】
また、本構成は、点A、E、F、Dを含む遮光領域によって、重なり領域Xct2を適宜調整し、3Dクロストーク、3Dモアレを観察者の許容できるレベルに設定することができる。これにより、100um以下のサブ画素からなる高精細画素の場合でも、設計の自由度を大きくすることができる。
【0221】
また、点A、E、F、Dを含む遮光領域は、開口率の10%以下であることが望ましいことが主観評価から得られている。これにより、開口率の低下を最小限に抑えて、3Dクロストーク、3Dモアレを最適化することができる。
【0222】
また、略台形状開口部の鋭角部に配置する略三角形状の遮光部は、4以上の辺からなる多角形から構成されていてもよい。その場合は、点A、D、Eからなる三角形領域の内側に点F以外の頂点を設けることで、点Dから点Eにかけての斜辺の変動を緩やかにすることができる。これにより、縦開口幅の変動をなめらかにすることができ、3Dモアレの視認性を低減することができる。
【0223】
[第1の実施形態 変形例2]
本発明の第1の実施形態の変形例に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0224】
図20は本変形例に係る画素を示す平面図である。
【0225】
本変形例に係る画素の表示単位4は、複数視点のサブ画素から構成される。表示単位4は、X軸方向へ配列した4つのサブ画素4Sから構成され、表示単位4’、4’’においても同様に、それぞれX軸方向へ配列した4つのサブ画素4Sから構成される。
【0226】
ピクセル40は、Y軸方向へ配列した3つの表示単位4、4’、4’’から構成され、表示領域にマトリクス状に配置している。1ピクセル内の各々の表示単位4は、赤R(RED)、緑G(GREEN)、青B(BLUE)のカラーフィルタがX軸方向へ延伸するように設けられている。列VX1、VX2、VX3、VX4に並ぶ4つのサブ画素は、各表示単位としてXZ平面へ、4視点分の画像を振り分けて出力することができる。なお、配色の順序は、これに限定されず、赤R、緑G、青Bの組み合わせが順不同であってもよい。また、1ピクセルはこれに限定されることなく、3つ以上の表示単位から構成されてもよい。この場合、配色の種類は3以上から構成されてもよい。
【0227】
第1視点に対応するサブ画素は、列VX1上、第2視点に対応するサブ画素は、列VX2上、第3視点に対応するサブ画素は、列VX3上、第4視点に対応するサブ画素は、列VX4上、にそれぞれ配置される。列VX1、VX2、VX3、VX4は、各々のピッチで構成されるが、これに限定されることなく適宜、設定することが可能である。
【0228】
サブ画素の開口部は、第1の実施形態に係る表示パネルの画素と同様の形状をしており、互いの境界領域にY軸方向と異なる方向へ傾斜した遮光線、すなわち、斜行配線は、X軸方向へ隣接するサブ画素4S間に設けられている。前述までの実施形態と同様に、互いの開口部がY軸方向へ重なる「重なり領域」は、X軸方向へ隣接するサブ画素4S間にあり、その重なり領域の幅は、Xct2となる。サブ画素の略台形状開口部の鋭角部は、略三角形状の遮光部を設けており、重なり領域幅Xct2を適宜、所望の幅に設定することができる。
【0229】
上述までの説明では、3Dクロストークは、両眼間で規定したクロストークとして定義されていたが、本変形例のような3以上の視点数を有する多視点方式においては、「ある視点の画像が隣接する視点の画像に漏れ込む」という意味で、画像間で規定されたクロストークと定義される場合があり、これを「画像間クロストーク」と称する。第1の実施の形態で説明したような2視点の場合では、両眼で規定した「3Dクロストーク」と「画像間クロストーク」は同じであり、低い方が望ましい。これに対し、3視点以上の多視点の場合では、「画像間クロストーク」の存在は、二重像を招くものの、滑らかな運動視差を付与することができるため、必ずしも低い方が望ましいとは限らない。
【0230】
なお、本変形例の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0231】
次に、本変形例に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0232】
本変形例に係る画像表示装置1は、サブ画素が第1の実施形態に係るサブ画素と同等の形状で構成されているため、第1の実施形態に係る画像表示装置1と同等の効果を得ることができる。
【0233】
また、画像表示装置は、多視点の場合、視点数が多くなるにつれて、サブ画素の精細度が更に高くなるため、配線角度の鋭角化に伴う電解集中による液晶配向の乱れに起因する光漏れや、遮光部形成方法に起因した開口率低下が顕在化する。
【0234】
しかしながら、本変形例のサブ画素の形状は、「画像間クロストーク」を小さくする方向に働くが、鋭角部に略三角形状の遮光部を設けることで遮光ができ、コントラスト向上に寄与し、また全ての角を鈍角又は直角にすることで、遮光部の形成方法に起因する開口率の低下を抑制することができる。
【0235】
本変形例においては、4個の視点数を有する表示単位から構成される画像表示装置について説明したが、これに限ることなく、表示単位内にN個の視点数を有する立体表示パネルに適用してもよい。視点数Nからなる画像表示装置は、視点毎に最適な立体情報を付加して立体画像を表示することができるため、立体画像を良好に視認できる範囲を大きくすることができる。
【0236】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0237】
図21は、本実施形態に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0238】
本実施形態に係る表示パネルのサブ画素は、略台形状の開口部と、それを囲う台形状の遮光部から構成され、台形の鋭角部に配置される遮光部の内側の縁の形状は、開口部から外側に湾曲した構造となる。
【0239】
遮光部の縁は、点Dから点Eにかけて、開口部が外側へ湾曲した構造となっており、その曲線は、楕円の曲率を有する。楕円E1の短軸aの幅はY2とし、長軸bの幅は、開口幅WXRの半分、すなわち、(X1+2×Xct2)/2とする。また、楕円E1、E2、E1’、E2’は、それぞれ長軸及び短軸が等しい楕円である。すなわち、楕円E1、E2、E1’、E2’はそれぞれ等しく、略台形状の鋭角部に設けた遮光部の曲率は等しい。略三角形状の面積を小さくして開口率を確保するためには、短軸aの幅は、開口部のY軸方向の幅Y1より小さいことが望ましく、長軸bの幅は、(X1+2×Xct2)/2以上に設定することが望ましい。なお、サブ画素のX軸方向への開口幅WXR及びWXLは、サブ画素におけるX軸方向への開口幅の最大値であり、従来構造(
図36参照)の場合は、X1+2×Xct1で表される。
【0240】
点Dから点Eにかけての湾曲線、すなわち、開口部と遮光部の境界線は、表示単位4の中心線である線分a−a’を横切るように配置される。
【0241】
楕円E1は、点Dにおいて略台形状の開口部と内接しているため、点Dにおける縦開口幅のX軸方向に対する微分係数は、連続的になる。
【0242】
点Dは、点A、B、Cで囲まれる三角形領域の外側に設けられており、点D’も同様である。その結果、点D、D’は、X軸方向に対して縦開口幅が変動する変曲点となっており、縦開口幅は、この変曲点を起点にして、表示単位4の中心方向に向かい減少する。ここで、点Dと点D’のX軸方向への幅を、Xct3とする。
【0243】
なお、本実施形態の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0244】
次に、本実施形態に係る画像表示装置の効果を説明する。
【0245】
縦開口幅のX軸方向に対する微分係数は、点Dにおいて連続的であるため、点Dにおける縦開口幅の変動は滑らかである。従って明るさ及び輝度分布の変動量も滑らかとなり、3Dモアレの視認性を低減することができる。
【0246】
また、略台形状の開口部の鋭角部は、楕円から成る曲率に限定することなく、高次の関数を適用して曲率を構成してもよい。
【0247】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0248】
図22は、本実施形態に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0249】
本実施形態に係る表示パネルの画素は、略台形状であり、略台形状開口部の上底及び下底が外側へ湾曲した遮光形状から構成される。
【0250】
サブ画素の開口部は、3つの楕円と、それに接する4つの接線から構成される。楕円は、開口中央部に中心点をもつ楕円E5又はE5’と、略台形状の底辺側に2つの楕円E3又はE3’及びE4又はE4’である。また、楕円E5とE5’は等しく、楕円E3、E3’、E4、E4’はそれぞれ等しい。
【0251】
点D、E、Fは、直線と楕円の接点であり、各点において縦開口幅のX軸方向に対する微分係数は連続的である。
【0252】
楕円E3の短軸cは、縦開口幅Y1より大きく、サブ画素の中心線において、縦開口幅が最大となる。なお、略台形状開口部の下底のY軸と直交する斜行幅は一定となっているが、必ずしもこれに限定されず、縦開口幅の変化に応じて該斜行幅は変化しても良い。
【0253】
右眼用画素4Rにおける点A、B、B’’、A’’の4点を結ぶ台形を、基準台形Tとすると、点A、D、Eの3点を結ぶ遮光領域(以下、Saとする)と、点A’’、D’’、E’’の3点を結ぶ遮光領域(以下、Sa’とする)は、基準台形Tの鋭角部に形成され、点B、G、Fの3点を結ぶ遮光領域(以下、Tbとする)と、点B’’、G’’、F’’の3点を結ぶ遮光領域(以下、Sb’とする)は、基準台形Tの鈍角部に形成される。
【0254】
一方、基準台形Tの上底側で縦開口幅Y1を超える領域、すなわち、点G,I,G‘’で囲まれる領域(以下、Scとする)は、基準台形Tの外側へ新に配置された開口領域であり、開口率向上へ寄与する。
【0255】
ここで、領域Scは、上述の遮光領域の面積の総和よりも大きい。すなわち、Sc>Sa+Sa’+Sb+Sb’の関係が成立する。従って、全体としてみると、サブ画素の開口率は向上する。左眼用画素4Lについても同様である。
【0256】
なお、本実施形態の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0257】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0258】
縦開口幅のX軸方向に対する微分係数は、各楕円が直線と接する点において連続的であるため、該接点における縦開口幅の変動は滑らかである。従って明るさ及び輝度分布の変動量も滑らかとなり、3Dモアレの視認性を低減することができる。
【0259】
また、点G、I、G’’で囲まれる領域を設け、該領域の面積が増加した遮光領域の面積の総和よりも大きいため、開口率は向上する。
【0260】
次に、前述まで説明した各構成を比較し、効果について考察する。比較対象は、従来例、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態である。
【0261】
まず、従来例の画素を「従来画素」とし、第1の実施形態に係る画素を「画素水準1」とし、第2の実施形態に係る画素を「画素水準2」とし、さらに第3の実施形態に係る画素を「画素水準3」とする。
【0262】
図23は、縦開口幅を縦軸、X軸方向の位置を横軸に取り、各画素水準における縦開口幅の分布を示すグラフである。
【0263】
画素水準3における縦開口幅の最大値と最小値の差ΔH33は、画素水準2における縦開口幅の最大値と最小値の差ΔH22とほぼ同じである。これに比べて、画素水準1における縦開口幅の最大値と最小値の差ΔH11は小さい。また、従来画素は、縦開口幅の変動は生じない。
【0264】
図24は、
図23に示す各画素水準のそれぞれの縦開口幅の分布についてX軸方向に対する微分係数を示すグラフである。
【0265】
画素水準3のX軸方向に対する微分係数の変動は、画素水準2の微分係数より小さくなっている。画素水準1及び画素水準2は、中心位置に向かって微分係数が急激に変動している。一方、画素水準3は、中心位置に向かって微分係数が急激に変動することなく、連続的に変動している。画素水準3における点E、C、D(
図22参照)において、縦開口幅におけるX軸方向に対する微分係数は連続的であるため、各点において、縦開口幅の変動は滑らかである。これにより3Dモアレの視認性を低減することができる。
【0266】
図25は、各画素水準の画素を適用した画像表示装置におけるそれぞれの評価結果を示す表である。表中の記号(◎、○、△、×)は、主観評価により得られた結果である。「◎」は、観察の際、3Dクロストーク/3Dモアレは視認されず、全く違和感が無いレベル、「○」は、観察の際、3Dクロストーク/3Dモアレは若干感じるが、違和感の無いレベル、「△」は、観察の際、3Dクロストーク/3Dモアレ最適視認範囲内で立体表示を見る限り、違和感の無いレベル、「×」は、3Dクロストーク/3Dモアレによる違和感が大きく、視認性が低下するレベルである。
【0267】
図示する表を参照すると、従来画素は、3Dモアレの低減に成功しているものの、3Dクロストークを低減することができず、画像品質は悪くなる。
【0268】
しかしながら本発明に係る画素は、3Dモアレの低減だけでなく、3Dクロストークも低減し、バランスの取れた画像を実現し、画像品質の向上を達成していることが分かる。
【0269】
[第3の実施形態 変形例1]
本発明の第3の実施形態の変形例に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0270】
図26は、本変形例に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0271】
サブ画素は、線分b−b’に対して非線対称であり、表示単位4の中心点Oに対して点対称である。サブ画素の開口部は、略台形状画素の上底及び下底において外側へ湾曲し、縦開口幅が最大となるような極大値をもつ。
【0272】
図27(A)は、本変形例に係る画素の縦開口幅の分布を示し、
図27(B)は、本変形例に係る画素の明るさの分布を示す。図示するように、レンズ主軸であるレンズ凸部側に近い部分で、縦開口幅は最大となり、同時に明るさも最大となる。
【0273】
なお、本変形例の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0274】
次に、本変形例に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0275】
図27(B)に示すように、縦開口幅の最大値I、I’は、レンズ主軸側に存在するため、レンズ分離作用の有効幅、すなわち、スポット径SPで規定されるXct2の明るさ変動量ΔLは相対的に小さくなり、3Dモアレを抑制することができる。
【0276】
また、一般的に、レンチキュラレンズ3を製造する場合、金型を用いた成型加工、フォトリソグラフィ、インクジェットなどの技術を用いることができるが、いずれの技術を用いる場合でも、隣接するシリンドリカルレンズ3aのレンズ谷部32より、シリンドリカルレンズ3aのレンズ凸部31の方が所定形状を確保し易く、光学的な性能はレンズ凸部31の方が高くなる。また、レンズ谷部32に剥離できず残った残留物や、付着した異物は、レンズ凸部31に比べて取り除くことが困難であり、レンズ谷部32の光学的な分離性が低下する要因となる。
【0277】
また、光学手段として液晶を用いた電気光学素子として、GRIN(Gradient Index)レンズを用いた場合においても、レンチキュラレンズ3と同様に、レンズ凸部31に相当する屈折率に比べてレンズ谷部32に相当する屈折率のバラつきが大きいため、レンズ谷部32の光学的な分離性は低下する。
【0278】
また、例えば、レンズ効果を有する凹凸基板と液晶分子を組み合わせた液晶レンズ等のGRINレンズ以外の場合であっても、凹凸基板においてレンズ谷部32に相当する箇所が急峻な凸形状となるため、光学的な分離性は低下してしまう。
【0279】
しかしながら、本変形例に係る画素は、縦開口幅の分布をレンズ凸部31側で大きくなるように設定することで、サブ画素から出射された光を光学的分離性能の高いレンズ凸部31側に割り当てることができる。従って、本変形例に係る画素は、レンチキュラレンズや液晶を用いた電気光学素子などの光学手段に起因する立体画質劣化を防ぐことができ、さらに光を効率よく利用することができるため、透過率の向上及び立体画質の向上に寄与することができる。
【0280】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0281】
図28は、本実施形態に係る表示パネルの画素を示す平面図である
【0282】
本実施形態に係るサブ画素は、台形状であり、サブ画素の開口部は、略台形状から構成される。サブ画素は、略台形状の鋭角部に配置される略三角形状の遮光部が台形内の相互の鋭角部において異なる構造を有する。これにより、開口部は、サブ画素の中心線分b−b’に対して非線対称であり、表示単位4の中心点Oに対しては点対称の構造となる。
【0283】
上述の通り、レンチキュラレンズ3は、X軸方向へ配列するシリンドリカルレンズ3aにおいて、レンズ凸部31間の谷となるレンズ谷部32を形成し、レンズ凸部31とレンズ谷部32はX軸方向へ交互に繰り返して配列する。なお、前述の実施形態と同様に、光学手段は、液晶を用いた電気光学素子からなるレンズを用いても良い。
【0284】
表示単位4の端部に相当する斜行配線は、レンズ谷部32側に設けられ、表示単位4の中央部の斜行配線は、レンズ凸部31側に設けられる。なお、表示単位4の端部の鋭角部に配置された略三角形状の遮光部は、表示単位4の中央部の鋭角部に配置された略三角形状の遮光部と異なる。
【0285】
本実施形態に係る画素は、上述のように、レンチキュラレンズや液晶を用いた電気光学素子などの光学手段に起因する立体画質劣化を防ぐ構成となっている。
【0286】
各表示単位4が隣接する部分の重なり領域幅Xct2’またはXct2’’は、表示単位4の中央部の重なり領域幅Xct2より小さい構造である。すなわち、光学的分離性能の低いレンズ谷部32における重なり領域幅Xct2’,Xct2’’は、レンズ凸部31における重なり領域幅Xct2より小さく、以下の数式で示すことができる。
【0289】
なお、本実施形態の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0290】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0291】
レンズ谷部32側では、スポット径SPは大きく、光学的分離性能は低いため、重なり領域幅Xct2’、Xct2’’を小さくすることにより、レンズ凸部31側とのバランスを調整することができる。
【0292】
また、サブ画素から出射された光は、光学的分離性能の高いレンズ凸部31側に割り当てることができる。従って、本実施形態に係る画像表示装置は、レンチキュラレンズや液晶を用いた電気光学素子などの光学手段に起因する立体画質劣化を防ぐことができ、さらに光を効率良く利用することができるため、透過率の向上及び立体画質の向上に寄与することができる。
【0293】
なお、本実施形態に係る画像表示装置は、サブ画素の鋭角部に配置される略三角形状の遮光部により、3Dモアレの視認性と3Dクロストークを低減することができる。
【0294】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0295】
図29は、本発明の第5実施形態に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0296】
本実施形態に係るサブ画素は、台形状であり、サブ画素の開口部は、略台形状から構成される。開口部は、表示単位4の中心点Oに対して点対称に配置している。
【0297】
前述の実施形態と同様に、略台形状の鋭角部に配置される略三角形状の遮光部は、台形内の相互の鋭角部において異なる構造を有するが、各表示単位4が隣接する部分の重なり領域幅Xct2’またはXct2’’が、表示単位4の中央部の重なり領域幅Xct2より大きい構造である。すなわち、光学的分離性能の低いレンズ谷部32における重なり領域幅Xct2’,Xct2’’は、レンズ凸部31における重なり領域幅Xct2より大きく、以下の数式で表すことができる。
【0300】
図30は、本実施形態に係る画像表示装置1の光学モデルを示す模式図である。
【0301】
表示パネル4は、前述までの実施形態と比べて、視点幅eR’及びeL’が大きく設定されている。視点幅を大きくするには、数式5乃至数式13至に示すように、レンチキュラレンズ3の屈折率n及びシリンドリカルレンズ3aと画素間の距離Hを調整することにより、所望の幅に設定することができる。
【0302】
再度
図29を参照すると、表示単位4の中央部は、略台形状開口部の鋭角部に略三角形からなる遮光部を設け、重なり領域幅Xct2は、Xctより小さい。また、X軸方向へ隣接する表示単位間における重なり領域は、略台形状開口部の鋭角部に遮光部を設けず、Xct2’及びXct2’’を大きくし、開口率を大きくとった構造である。
【0303】
本構成の場合、
図30に示す通りθr2は、θr1と比べて大きくなるものの、距離Hを小さく設定することにより視点幅eR’及びeL’を大きくしているため、立体視域に貢献する光線角度θtの大きさは所定値を確保でき、立体視域を損なうことはない。
【0304】
なお、本実施形態の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0305】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0306】
本実施形態に係る画像表示装置1は、表示単位4の中央部に遮光部を設けるため、立体視野域の中央部における3Dクロストークと3Dモアレのバランスのとれた良好な表示特性を得ることができる。また、視点幅を大きく設定し、X軸方向へ隣接する表示単位間では遮光部を設けていないため、立体視域を損なうことなく、開口率を向上することができる。
【0307】
また、レンズ谷部32に対応している表示単位4端部の重なり領域幅Xct2’、Xct2’’は大きく、さらに、レンズ谷部32のスポット径も大きいことが相乗効果となり、明らかに立体視認が困難な領域が形成される。
【0308】
立体視認が困難と成る角度範囲θr2が小さいと、観察者は、正面以外から画面を観察した場合、誤って右眼用画像と左眼用画像が入れ替わった、所謂「逆視」状態で観察してしまう可能性がある。逆視状態で観察することは、眼精疲労や不快感を招くため好ましくない。しかしながら、本構成では、角度範囲θr2の領域は、明らかに立体視認が困難であり、またその角度範囲が大きいため、上記のような逆視視認を防ぐことができる。従って、安全性の高い立体映像を提供することができる。
【0309】
以上、第3の実施形態の変形例1や第4の実施形態、第5の実施形態において、第1視点用画素4Lと第2視点用画素4Rを表示単位とし、光学手段の光学的分離性能が高い領域を表示単位内に割り当て、光学的分離性能が低い領域を表示単位間に割り当てる構成を述べたが、これに限られず、例えば、表示単位内と表示単位間で遮光部の形状を変えでも良い。この構成にすることで、光学手段に起因する立体画質劣化を防ぐことができ、さらに光を効率よく利用することができるため、透過率の向上及び立体画質の向上に寄与することができる。
【0310】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0311】
図31は、本実施形態に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0312】
本実施形態に係るサブ画素は、平行四辺形状である。サブ画素の開口部は、略平行四辺形状であり、X軸方向と略平行な2つの辺と、Y軸方向に対して角度θで傾斜し、2つの斜辺で囲まれる略平行四辺形から構成される。サブ画素は、X軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配置されている。すなわち、任意のサブ画素の斜辺は、常に同じ傾斜角度θとなっている。そのため、表示単位4は、第1の実施形態で述べた画素構造と異なり、サブ画素の中心を通りY軸と平行な線分b−b’に対して、線対称となっていないが、表示単位4の中心点Oに対しては点対称となっており、XY平面内の180度の回転に対して等価なレイアウト構造である。
【0313】
また、ピクセル40は、Y軸方向に並ぶ3つの表示単位4、4’、4’’から構成され、各表示単位には赤色R(Red)、緑色G(Green)、青色B(Blue)が配色されている。ピクセル40は、正方形からなり、表示領域内ではX軸方向へピッチXunit、Y軸方向へピッチYpixで、マトリクス状に配置される。また、サブ画素のX軸方向のピッチXdotは、Xunit/2であり、サブ画素のY軸方向のピッチYdotは、Ypix/3である。カラーフィルタは、赤R、緑G、青Bの各色がX軸方向へ延伸し、Y軸方向へ略ストライプ状に繰り返し配列している。
【0314】
X軸方向へ並ぶサブ画素の開口部は、Y軸方向へシフトすることなく配置され、平行四辺形状画素の底辺に位置する遮光部も、同様にY軸方向へシフトすることなく配置されている。これにより、平行四辺形状画素の底辺に位置する遮光部は、表示領域の端から端までX軸方向へ伸びるバンド状の遮光部となっている。すなわち、平行四辺形状の画素の底辺に位置する遮光部幅Y2は、X軸方に対して変動することなく、略一定である。
【0315】
さらに、略平行四辺形状の開口部の鋭角部は、略三角形状の遮光領域を設けている。
【0316】
なお、本実施形態の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0317】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0318】
本実施形態に係る画像表示装置1は、平行四辺形状の開口部の鋭角部に配置した遮光部によって、3Dクロストークを低減しつつ、縦開口幅の変動を緩やかにし、3Dモアレの視認性を低減することができる。
【0319】
また、一般的な液晶表示パネルは、片側の基板へのラビング処理を1つの方向で制御するため、ラビング方向に対して非対称となる構造がサブ画素毎にある場合には、そのサブ画素毎に表示特性が変わってしまい、特に画像表示装置では、これは視点毎の表示特性の差となって現れる。
【0320】
しかしながら、本実施形態に係る各表示単位は、単一の外形状のサブ画素で構成されるため、サブ画素毎の段差構造や電界分布構造の差を小さくでき、サブ画素形状の差によって発生する視点毎の表示特性の差を低減することができる。また、本構成は、サブ画素の方向を揃えることにより、電圧印加時の液晶配向状態を安定化することができる。すなわち、各視点においての画質の差を小さくでき、各視点に均一な映像を出力して高品質な立体映像を提供することができる。さらに、サブ画素形状の単一形状化に伴い、サブ画素毎の液晶分子の配向状態が安定化するため、配向不良や光抜けを低減でき、コントラストを向上することができる。
【0321】
また、画素サイズと遮光領域の面積によっては、局所的な遮光幅は、画像分離手段により光学的に拡大され、人間の眼にも視認可能な粒状の明暗となる場合があり、これにより画質が低下する。しかしながら、本実施形態における各表示単位は、平行四辺形の底辺部の遮光幅がX軸方向、すなわち画像分離方向に対して略一定となっているため、遮光幅の変動に応じた粒状の明暗を低減することができる。
【0322】
また、IPS(インプレイン・スイッチング)方式、FFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)方式、AFFS(アドヴァンスト・フリンジ・フィールド・スイッチング)方式の横電界または斜め電界を利用した液晶駆動モードは、液晶分子の回転方向を一様に設定したシングルドメインとすることにより透過率を向上することができるため、本実施形態の画素構造を好適に適用することができる。
【0323】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0324】
図32は、本実施形態に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0325】
本実施形態に係るサブ画素は、平行四辺形状で構成され、その開口部は、略平行四辺形状である。略平行四辺形状は、X軸方向と略平行な2つの辺と、Y軸方向に対する傾斜角度が−θ又は+θで構成される斜辺を有する2つの略四角形からなる。そのため、本構成は、第1の実施形態で述べた画素構造と異なり、サブ画素の中心を通りY軸と平行な線分b−b’に対して、線対称となっていないが、表示単位4の中心点Oに対しては点対称となる画素構造である。
【0326】
さらに、前述の実施形態と異なり、Y軸方向に隣接するサブ画素は、液晶分子を互いに異なる方向へ配向することができ、マルチドメイン補償効果により、斜め方向から見た場合の色味の変化を低減することができる。
【0327】
斜辺の傾斜角度+θ(>0)から構成された略平行四辺形状のサブ画素と、斜辺の傾斜角度が−θ(<0)から構成された略平行四辺形状のサブ画素は、Y軸方向へ交互に配置される。また、X軸方向へ配列するサブ画素は、斜辺が同じ傾斜角度から構成されたサブ画素が並進して配置される。Y軸方向へ配列するサブ画素の斜辺は、1行毎に屈曲し、X軸方向へ配列するサブ画素の斜辺は同じ角度で傾斜している。
【0328】
画素電極4PIXと対向電極4COMは、略平行に並んだ電極対4PAIRとなり、その長手方向がY軸方向と異なる方向へ傾斜して配置される。本実施形態においては、電極対4PAIRのY軸方向に対する傾斜角度は、平行四辺形の斜辺に応じてθまたは−θに設定され、電極対4PIARとサブ画素の斜辺部に位置する斜行配線は平行である。
【0329】
画素電極4PIXと対向電極4COMから構成される電極対4PAIRは、サブ画素内ではX軸方向に複数配置され、各サブ画素の開口部内に電極対4PAIRの傾斜方向と直交する方向へ電界を発生させることができる。画素電極4PIXと対向電極4COMとの電極間に発生する電界は、少なくとも基板面と略平行な成分を含むため、液晶分子51の長軸を基板面と略平行な面内で回転させることができる。
【0330】
画素電極4PIXと対向電極4COMは、TFT基板2a側(
図2参照)に設けられ、画素電極4PIXと対向電極4COMにより面内と略平行な電界を液晶分子に印加することができる。
【0331】
なお、画素電極4PIX及び対向電極4COMは、これに限定されず、TFT基板2a側の電極と、対向基板2b側の電極によって、基板面と略平行な電界、または斜め方向の電界を構成し、液晶分子を駆動させても良い。
【0332】
画素電極4PIXと対向電極4COMは、略平行に配列し、斜行配線の向きに応じてY軸とのなす角度がθまたは−θで傾斜している。すなわち、画素電極4PIXの傾斜角度と遮光部の傾斜角度は等しく、画素電極4PIXと対向電極4COMとの間に発生する電界の方向は斜行配線と略直交する方向となる。
【0333】
なお、サブ画素の斜辺の傾斜角度θと、電極対4PIARの傾斜角度は異なっていても良い。また、画素電極4PIX及び対向電極4COMは、同層のレイアから構成されているが、これに限定されず、異なるレイアから構成されていれもよい。
【0334】
本実施形態の画素において、液晶駆動モードは、IPS(インプレイン・スイッチング)方式を適用しているが、前述の実施形態と同様に、FFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)方式、AFFS(アドヴァンスト・フリンジ・フィールド・スイッチング)方式でも好適に適用することができる。
【0335】
本構成は、誘電率異方性が正(Δε>0)であるポジティブ型の液晶剤を適用しており、TFT基板2a側におけるラビング方向は、−Y方向または+Y方向に設定している。そのため、液晶分子51の初期配向の状態は、液晶分子51の長軸がY軸方向と略平行となるように配向している。
【0336】
液晶剤の特性は、ポジティブ型に限定されず、誘電率異方が負(Δε<0)であるネガティブ型でも良い。ネガティブ型の液晶剤の場合は、ラビング方向を−X方向または+X方向に設定すれば良く、液晶分子51の長軸方向は、X軸方向と略平行となるように配向される。
【0337】
なお、本実施形態の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0338】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0339】
サブ画素内は、液晶分子の配向方向が一様なシングルドメイン構造であるため、本構成は、サブ画素内の液晶分子を均一に駆動することができ、透過率を向上することができる。さらに、電極対4PIARとサブ画素の斜辺は平行であるため、画素電極4PIXと対向電極4COMを効率良くレイアウト配置することができ、開口率を大きくすることができる。
【0340】
Y軸方向へ並ぶサブ画素は、互いに液晶分子を異なる方向へ配向させて駆動することがでるため、Y軸方向へ並ぶサブ画素間で色味の変化を補償することができる。すなわち、Y軸方向へ並ぶサブ画素と組み合わせてマルチドメイン補償の効果を得ることができる。
【0341】
また、ネガティブ型の液晶剤を用いる場合、この液晶剤は、基板面に垂直な方向の電界に対して、長軸方向が立ち上がり難いため、電極上の液晶分子は、基板面内で回転する液晶分子に追従して配向し、電極上の透過率を向上することができる。さらに、電極上と電極間の明暗の差が低減されることにより、この明暗の差によって発生する3Dモアレを低減することができる。
【0342】
屈曲方向によるドメインの周期は、2行毎であり、カラーフィルタによる周期は、3行毎であるため、本構成は、6行毎にマルチドメイン補償することができる。なお、サブ画素の6行分のピッチは、6×Ydotであり、この周期が大きくなるとムラとして視認されやすく、画質が低下する。そのため、ピクセルピッチYpixは、150um以下であることが望ましいことが主観評価より得られた。すなわち、サブ画素のY軸方向のサブ画素ピッチは、50um以下であることが望ましい。
【0343】
平行四辺形の鋭角部は、電界が集中するため、液晶の配向状態が不安定となる場合がある。本構成は、3Dクロストーク低減のための遮光部を形成しているため、この配向状態が不安定な部分を同時に遮光することができ、立体画質の向上と合わせて液晶表示パネルを高品質化することができる。
【0344】
[第8の実施形態]
本発明の第8の実施形態に係る表示パネルの画素を、図面を参照して説明する。
【0345】
図33は、本実施形態に係る画像表示装置に適用可能なフライアイレンズの斜視図である。
【0346】
本実施形態に係る画像分離手段は、フライアイレンズ30を適用することができる。フライアイレンズ30は、X軸方向だけでなく、Y軸方向にも画像を異なる方向へ分離することができる。
【0347】
図34は、本実施形態に係る表示パネルの画素を示す平面図である。
【0348】
本実施形態に係る表示単位は、複数視点のサブ画素から構成され、ピクセル40は、4行×4列の計16個のサブ画素4Sから構成される。
【0349】
ピクセル40は、赤R(RED)、緑G(GREEN)、青B(BLUE)、白W(WHITE)のカラーフィルタが設けられている。本構成は、XZ平面へ画像を振り分ける場合は、VX1、VX2、VX3、VX4に並ぶ4つのサブ画素を、各表示単位として4視点分の画像を出力することができ、YZ平面へ画像を振り分ける場合は、VY1、VY2、VY3、VY4に並ぶ4つのサブ画素を、各表示単位として4視点分の画像を出力することができる。なお、カラーフィルタの色は、これに限定されない。例えば、白(WHITE)の変わりに青緑(CYAN)や黄色(YELLOW)を用いることも可能である。
【0350】
カラーフィルタの配列は、ピクセル内の各行及び各列において、同じ色が重ならないように配置されている。
【0351】
サブ画素間の遮光配線は、X軸方向、Y軸方向と平行とならず、傾斜配置している。サブ画素間の遮光配線は、X軸方向が2列おきに屈曲し、Y軸方向が1ラインおきに屈曲している。
【0352】
X軸方向に隣接するサブ画素は、Y軸方向へ重なる領域があり、重なり領域の構造は、第1の実施形態に係る画像表示装置1と同様である。Y軸方向に隣接するサブ画素は、X軸方向へ重なる領域があり、重なり領域の構造は、第1の実施形態に係る画像表示装置1と同様である。
【0353】
なお、本実施形態の画像表示装置1における上記以外の構成及び動作は、前述の第1の実施形態の画像表示装置1と同様である。
【0354】
次に、本実施形態に係る画像表示装置1の効果を説明する。
【0355】
まず、本実施形態に係るサブ画素の重なり領域は、第1の実施形態に係るサブ画素の重なり領域と同じ構成のため、これに係る利点も同じである。
【0356】
本構成は、画像表示装置を90度回転した方向から視認した場合でも、画像を異なる方向へ分離することができ、立体画像を表示することができる。このため、本構成は、画面を回転可能なモバイル機器に搭載するができる。例えば、
図35に示すような、画面を回転可能な携帯機器9に好適に使用するこができる。
【0357】
携帯電話9の表示部は、前述の画像表示装置1を搭載している。画像表示装置1のX軸方向は、携帯電話9の画面の縦方向であり、画像表示装置1のY軸方向は、携帯電話9の画面の横方向である。そして、携帯電話9の画面部分は、回転軸をもったヒンジを備えており、自由に可動することができる。これにより、画像分離方向、すなわちX軸方向は、視認者の両眼を結ぶ線分と略平行にして使用することができる。
【0358】
なお、本実施形態においては、4個の視点数を有する表示単位から構成される画像表示装置について説明したが、これに限ることなく、表示単位内にN個の視点数を有する立体表示パネルに適用してもよい。視点数Nからなる画像表示装置は、N行×N列からなるピクセルを用いることができる。この構成は、視点毎に最適な立体情報を付加して立体画像を表示することができるため、立体画像を良好に視認できる範囲を大きくすることができる。
【0359】
また、前述までの実施形態に係る画像表示装置1は、表示単位4において+X側に配置された画素は左眼用画素4L、−X側に配置された画素は右眼用画素4Rとして説明したが、これに限ることなく、第1視点用の画素を右眼用画素4R、第2視点用の画素を左眼用画素4Lとしても良い。これにより、観察者は、表示パネル2をXY平面で180度回転した状態であっても、画像データを並び替えることによって元と同じように立体表示を視認することができる。特に、
図35に示すような携帯機器9は、表示画面が回転することにより操作性を高めており、機器を手に持ったときの画像表示装置1の方向によらず情報を提供することが求められるため、本発明における画像表示装置1は有効に活用できる。
【0360】
上記の実施形態の一部又は全ては、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0361】
(付記1)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示単位がマトリクス状に複数配列された表示パネルと、
前記第1視点用の画像を表示する画素及び前記第2視点用の画像を表示する画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、
前記第1視点用の画像を表示する画素と第2視点用の画像を表示する画素は第1の方向に隣接し、
前記表示単位は前記第1の方向に延びる行及び前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる列に沿って配置され、
前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部の周囲には遮光部が設けられ、
前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部は前記第2の方向において互いに重なる第1の領域とそれ以外の第2の領域から構成され、
前記第1の領域における前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第2の方向における開口幅の合計を第1の開口幅とし、
前記第2の領域における前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と第2視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第2の方向における開口幅を第2の開口幅とし、
前記第1の領域と前記第2の領域との略境界を起点とし、前記第1の領域の中央に向かう前記第1の方向を正としたとき、前記第1の開口幅の前記第1の方向に対する微分係数は0以外の実数であり、
前記第1の領域における前記遮光部と前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線と前記遮光部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線のうち前記第2の方向に交差する前記境界線はそれぞれ少なくとも一つ以上の変曲点を有する、
ことを特徴とする画像表示装置。
【0362】
(付記2)
前記第1の領域における前記遮光部と前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線と前記遮光部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線は、それぞれ少なくとも1回以上屈曲し、
前記境界線と前記第1の方向と略平行な前記遮光部との交点が、前記第1の領域と前記第2の領域の境界を除く前記第1の領域に設けられ、
前記第1の開口幅が前記第2の開口幅より小さい、
ことを特徴とする付記1に記載の画像表示装置。
【0363】
(付記3)
前記第1の領域における前記遮光部と前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線と前記遮光部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線は、それぞれ少なくとも1回以上湾曲し、
前記第1の領域において、前記微分係数が異なる変曲点を有する、
ことを特徴とする付記1に記載の画像表示装置。
【0364】
(付記4)
前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部は略台形状で構成され、
前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素は前記略台形状の上底領域と下底領域が前記第1の方向に対して線対称となるように前記第2の方向に沿って配置され、
前記略台形状の斜辺部の一部は前記第1の領域に設けられ、
前記斜辺部に沿って前記遮光部の一部が配置され、
前記第1の領域における前記遮光部は前記第2の方向へ前記斜辺部と異なる方向に延びた斜辺を有する、
ことを特徴とする付記1乃至3いずれか1項に記載の画像表示装置。
【0365】
(付記5)
前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部は略平行四辺形状で構成され、
前記略平行四辺形状の斜辺部の一部は前記第1の領域に設けられ、少なくとも前記第1の領域を横切るように配置され、
前記第1の領域の略平行四辺形の鋭角部は前記第2の方向へ前記斜辺部と異なる方向に延びた斜辺を有する前記遮光部が配置される、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【0366】
(付記6)
前記第2の領域の前記第1の方向への幅は前記第1の領域の前記第1の方向の幅より大きく、前記第2の開口幅は連続的に変動しながら増加し、前記第2の領域において極大値を有する、
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【0367】
(付記7)
N(Nは2以上の整数)視点用の画像を表示するN個の画素が第1視点から第N視点まで順次並べられた表示単位がマトリクス状に複数配列された表示パネルと、
前記N視点用の画像を表示するN個の画素から出射された光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、
第k(kは1・・・N−1の整数)視点用の画像を表示する画素と第k+1視点用の画像を表示する画素は第1の方向に隣接し、
前記表示単位は前記第1の方向に延びる行及び前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる列に沿って配置され、
前記N視点用の画像を表示するN個の画素の開口部の周囲には遮光部が設けられ、
前記第k視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第k+1視点用の画像を表示する画素の開口部は前記第2の方向において互いに重なる第1の領域とそれ以外の第2の領域から構成され、
前記第1の領域における前記第k視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第k+1視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第2の方向への開口幅の合計を第1の開口幅とし、
前記第2の領域における前記第k視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第k+1視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第2の方向への開口幅を第2の開口幅とし、
前記第1の領域と前記第2の領域との略境界を起点とし、前記第1の領域の中央に向かう前記第1の方向を正としたとき、前記第1の開口幅の前記第1の方向に対する微分係数は0以外の実数であり、
前記第1の領域における前記遮光部と前記第k視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線と前記第k+1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線のうち前記第2の方向に交差する前記境界線はそれぞれ少なくとも1つ以上の変曲点を有し、
前記境界線と前記第1の方向と略平行な前記遮光部との交点が、前記第1の領域と前記第2の領域との境界を除く前記第1の領域に1箇所設けられ、
前記第1の開口幅が前記第2の開口幅より小さい、
ことを特徴とする画像表示装置。
【0368】
(付記8)
N(Nは2以上の整数)視点用の画像を表示するN個の画素を含む表示単位がマトリクス状に複数配列された表示パネルと、
前記N視点用の画像を表示するN個の画素から出射された光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、
前記N視点用の画像を表示するN個の画素は第1の方向へ延びる行及び前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる列に沿ってN行×N列のマトリクス状に配置され、
前記N視点用の画像を表示するN個の画素の開口部の周囲には遮光部が設けられ、
前記第1の方向における第k(kは1・・・N−1の整数)視点用の画像を表示する画素の開口部と第k+1視点用の画像を表示する画素の開口部は前記第2の方向へ互いに重なる第1の領域とそれ以外の第2の領域から構成され、
前記第2の方向における第i(iは1・・・N−1の整数)視点用の画像を表示する画素の開口部と第i+1視点用の画像を表示する画素の開口部は前記第1の方向へ互いに重なる第3の領域とそれ以外の第4の領域から構成され、
前記第1の領域における前記第k視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第k+1視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第2の方向への開口幅の合計を第1の開口幅とし、
前記第2の領域における前記第k視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第k+1視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第2の方向への開口幅を第2の開口幅とし、
前記第1の領域と前記第2の領域との略境界を起点にし、前記第1の領域の中央に向かう前記第1の方向を正としたとき、前記第1の開口幅の前記第1の方向に対する微分係数は0以外の実数であり、
前記第1の領域における前記遮光部と前記第k視点用の画像を表示する画素との境界線と前記k+1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線のうち前記第2の方向に交差する前記境界線はそれぞれ少なくとも1つ以上の変曲点を有し、
前記境界線と前記第1の方向と略平行な前記遮光部との交点が、前記第1の領域と前記第2の領域との境界を除く前記第1の領域に1箇所設けられ、
前記第1の開口幅が前記第2の開口幅より小さく、
前記第3の領域における前記第i視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第i+1視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第1の方向への開口幅の合計を第3の開口幅とし、
前記第3の領域と前記第4の領域との略境界を起点にし、前記第3の領域の中央に向かう前記第2の方向を正としたとき、前記第3の開口幅の前記第2の方向に対する微分係数は0以外の実数であり、
前記第3の領域における前記遮光部と前記第i視点用の画像を表示する画素との境界線と前記i+1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線のうち前記第1の方向に交差する前記境界線はそれぞれ少なくとも1つ以上の変曲点を有し、
前記境界線と前記第1の方向と略平行な前記遮光部との交点が、前記第3の領域と前記第4の領域との境界を除く第3の領域に1箇所設けられる、
ことを特徴とする画像表示装置。
【0369】
(付記9)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示単位がマトリクス状に複数配列された表示パネルと、
前記第1視点用の画像を表示する画素及び前記第2視点用の画像を表示する画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段と、を有し、
前記第1視点用の画像を表示する画素と第2視点用の画像を表示する画素は第1の方向に隣接し、
前記表示単位は前記第1の方向に延びる行及び前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる列に沿って配置され、
前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部の周囲には第1の遮光部と第2の遮光部が設けられ、
前記光学手段は、光学的分離性能の高い第1の分離領域と光学的分離性能の低い第2の分離領域を有し、
前記第1の分離領域は、前記第1の遮光部に対応して配置され、前記第2の分離領域は、前記第2の遮光部に対応して配置される、
ことを特徴とする画像表示装置。
【0370】
(付記10)
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示単位がマトリクス状に複数配列された表示パネルにおいて、
実質的に前記第1視点用の画像を表示する画素と前記第2視点用の画像を表示する画素が隣接して並ぶ方向を第1の方向とし、
前記表示単位は前記第1の方向に延びる行及び前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる列に沿って配置され、
前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部の周囲には遮光部が設けられ、
前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部は前記第2の方向において互いに重なる第1の領域とそれ以外の第2の領域から構成され、
前記第1の領域における前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第2の方向における開口幅の合計を第1の開口幅とし、
前記第2の領域における前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部と第2視点用の画像を表示する画素の開口部の前記第2の方向における開口幅を第2の開口幅とし、
前記第1の領域と前記第2の領域との略境界を起点とし、前記第1の領域の中央に向かう前記第1の方向を正としたとき、前記第1の開口幅の前記第1の方向に対する微分係数は0以外の実数であり、
前記第1の領域における前記遮光部と前記第1視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線と前記遮光部と前記第2視点用の画像を表示する画素の開口部との境界線のうち前記第2の方向に交差する前記境界線はそれぞれ少なくとも一つ以上の変曲点を有する、
ことを特徴とする表示パネル。
【0371】
(付記11)
前記交点を含む前記第1の方向と異なる前記境界線は、少なくとも該境界線の一部が2次以上の高次曲線から構成され、少なくとも1回以上湾曲する、
ことを特徴とする付記1又は3に記載の画像表示装置。
【0372】
(付記12)
前記第1の領域における2つの前記1次曲線がなす角度は鈍角から構成される、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の画像表示装置。
【0373】
(付記13)
前記微分係数は、前記第1の領域と前記第2の領域の略境界において略連続的である、
ことを特徴とする付記1、3又は11に記載の画像表示装置。
【0374】
(付記14)
前記第2の領域における前記境界線のうち、前記第2の方向に交差する前記境界線と前記第2の方向との成す角度は17度以上である、
ことを特徴とする付記1乃至9、11乃至13のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【0375】
(付記15)
前記第1の開口幅と前記第2の開口幅は、前記第1の領域と前記第2の領域の境界で等しくなる、
ことを特徴とする付記1乃至9、11乃至14のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【0376】
(付記16)
前記交点を含む前記第1の方向と異なる前記境界線は、N個(Nは1以上の整数)の1次曲線から構成され、N回以上屈曲する、
ことを特徴とする付記1、2又は12に記載の画像表示装置。
【0377】
(付記17)
前記光学手段は、シリンドリカルレンズの凸部と谷部が前記第1の方向に交互に配列したレンチキュラレンズシートから構成され、
前記シリンドリカルレンズの凸部が前記第1視点用の画像を表示する画素の開口領域から前記第2視点用の画像を表示する画素の開口領域に渡って設けられる
ことを特徴とする付記1乃至9、11乃至16に記載の画像表示装置。
【0378】
(付記18)
前記シリンドリカルレンズの凸部は前記第1の領域に対応した位置に設けられ、
前記シリンドリカルレンズの谷部は前記第1の方向へ隣接する2つの前記表示単位が前記第2の方向へ互いに重なる第3の領域に設けられ、
前記第3の領域における2つの前記表示単位の前記第2の方向への開口幅の合計である第3の開口幅の変動は前記第1の開口幅の変動と異なる、
ことを特徴とする付記17に記載の画像表示装置。
【0379】
(付記19)
前記光学手段は、シリンドリカルレンズの凸部と谷部が前記第1の方向に交互に配列したレンチキュラレンズシートから構成され、
前記シリンドリカルレンズの凸部が前記第1視点用の画像を表示する画素の開口領域から前記第N視点用の画像を表示する画素の開口領域に渡って設けられる、
ことを特徴とする付記7に記載の画像表示装置。
【0380】
(付記20)
前記シリンドリカルレンズの谷部は前記第1の方向へ隣接する2つの前記表示単位が前記第2の方向へ互いに重なる第3の領域に設けられ、
前記第3の領域における2つの前記表示単位の前記第2の方向への開口幅の合計である第3の開口幅の変動は前記第1の開口幅の変動と異なる、
ことを特徴とする付記19に記載の画像表示装置。
【0381】
(付記21)
前記第3の開口幅の前記第2の方向に対する微分係数は、その和が負となるように変動する、
ことを特徴とする付記8に記載の画像表示装置。
【0382】
(付記22)
前記光学手段は、レンズの凸部と谷部が前記第1の方向及び前記第2の方向に交互に配列したフライアイレンズシートから構成され、
前記レンズの凸面が前記第1の方向及び前記第2の方向における前記第1視点用の画像を表示する画素の開口領域から前記第N視点用の画像を表示する画素の開口領域に渡って設けられる、
ことを特徴とする付記8又は21に記載の画像表示装置。
【0383】
(付記23)
前記レンズ凸部の領域に対応して設けられた斜辺部の傾斜方向と前記第2の方向との成す角度は、前記レンズ谷部の領域に対応して設けられた斜辺部の傾斜方向と前記第2の方向との成す角度より大きく、
前記レンズの凸部の領域に対応して設けられた斜辺部の幅は前記レンズの谷部の領域に対応して設けられた斜辺部の幅より小さい、
ことを特徴とする付記18又は20に記載の画像表示装置。
【0384】
(付記24)
前記第2の領域の前記第1の方向への幅は、前記第1の領域の前記第1の方向への幅より大きく、前記第2の開口幅は連続的に変動しながら増加し、前記第2の領域において極大値を有し、前記第2の開口幅は、開口部の中央より前記レンズの凸部の頂点付近において極大となる、
ことを特徴とする付記18又は20に記載の画像表示装置。
【0385】
(付記25)
付記1乃至9、付記11乃至24のいずれか1項に記載の画像表示装置を搭載した端末機器。
【0386】
(付記26)
付記10に記載の表示パネルを搭載した端末機器。