(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
帯状シートの幅方向に平行な軸線上に一列に並べて設けた複数の下刃と、前記下刃と夫々一対になる複数の上刃と、前記上刃を保持して前記軸線に直交する方向に移動させることができる、前記上刃毎の上刃ホルダーと、前記上刃ホルダーを個々に装着した複数の刃物台と、前記軸線に平行に設けると共に前記複数の刃物台を夫々スライド可能に装着した刃物台用レールと、前記刃物台を1個ずつ移動して所要位置につけることができる、各刃物台に共通の刃物台送り機構とを備え、前記上刃と下刃とを噛合せて帯状シートを複数条に剪断分割するスリッター装置において前記下刃の位置の変更に応じて該下刃と対になる上刃の位置を変更する上刃位置変更方法であって、位置を変更したい上刃に対応する刃物台を前記刃物台送り機構によって移動することにより前記上刃を該上刃と一対になる下刃に対する噛合い開始位置につけ、その上刃を前記上刃ホルダーにより前記下刃に噛合い可能な位置まで進出させた後、その上刃が一対となる下刃に接近する方向に前記刃物台を前記刃物台送り機構により移動し、その刃物台の移動中に前記上刃と下刃の間の電気的導通の有無を刻々検出し、前記上刃と下刃の間に電気的導通が生じたとき前記刃物台送り機構による刃物台の移動を停止して、前記刃物台を、前記下刃の軸線に平行に伸長すると共に該伸長方向に位置替え可能に設けた棒に拘束する一連の位置変更工程を、前記棒を前記下刃に対し所定位置につけた後、位置を変更したい全ての上刃に対して順次実施してなるスリッター装置の上刃位置変更方法。
帯状シートの幅方向に平行な軸線上に一列に並べて設けた複数の下刃と、前記下刃と夫々一対になる複数の上刃と、前記上刃を保持して前記軸線に直交する方向に移動させることができる、前記上刃毎の上刃ホルダーと、前記上刃ホルダーを個々に装着した複数の刃物台と、前記軸線に平行に設けると共に前記複数の刃物台を夫々スライド可能に装着した刃物台用レールと、前記刃物台用レールに平行に設けた移動体用レールに沿って移動可能な移動体を前記刃物台に係合させて所要位置につくまで駆動してその移動体を前記刃物台から離脱させることにより前記刃物台を1個ずつ所要位置に移動することができる各刃物台に共通の刃物台送り機構とを備え、当該上刃の刃先が該上刃と対になる下刃の刃先から帯状シート幅方向に所定間隔をおくと共に帯状シート幅方向に直交する方向に所定間隔をおく噛合い開始位置に待機させておき、帯状シート切断時に噛合い開始位置から上刃を下刃に噛合い可能な進出位置まで進出させ、その上刃を下刃に向けて帯状シート幅方向に移動することによって上刃と下刃とを噛合せ、その噛合せた上刃と下刃とにより帯状シートを複数条に剪断分割するスリッター装置において、前記下刃の軸線に平行に伸長すると共に該伸長方向に位置替え可能に設けた棒と、前記移動体を前記刃物台に係合させていないとき前記棒を把持することができる、前記刃物台に設けた把持機構とを備え、前記下刃、上刃及び刃物台を各々電気的良導体で作り、前記下刃と前記刃物台とを電気的に導通させ、前記上刃と刃物台とを電気的に絶縁し、前記上刃と刃物台の間に電気的導通が生じたとき導通検知信号を発信する導通検知装置を前記刃物台上に夫々設け、前記導通検出装置から導通検知信号を非接触で受取る受信装置を前記移動体上に設けたことと、前記刃物台送り機構は、前記移動体を、位置を変更したい上刃に対応する刃物台に係合させて駆動することにより、その上刃を該上刃と一対になる下刃に対する噛合い開始位置につけ、その上刃が前記上刃ホルダーにより前記下刃に噛合い可能な位置まで進出した後、前記移動体を前記上刃が前記下刃に接近する方向に駆動し、その駆動中に前記受信装置が導通検知信号を受取ったとき前記移動体の駆動を停止して移動体を刃物台から離脱させることができることを特徴とするスリッター装置。
前記上刃ホルダーは、前記上刃を装着する電気的良導体でできた回転軸と、該回転軸に接触するブラシを含むものとし、前記導通検出装置は前記ブラシと前記回転軸とを通じて上刃と刃物台との間の電気的導通を検知することを特徴とする請求項2に記載のスリッター装置。
前記棒を当該棒の長手方向に移動して前記下刃に対して上刃離反位置並びに上刃接触位置及び上刃押付位置に選択的に位置付けることができる棒移動機構を備える請求項2に記載スリッター装置。
前記棒移動機構は、前記棒の上刃押付方向の端部に結合したピストンを有する、上刃押付用の流体圧シリンダ装置と、前記上刃押付用の流体シリンダ装置のピストンを上刃押付方向へ押すことができる、前記棒によってスライド可能に貫通されたピストンを有する上刃接触用の流体圧シリンダ装置とを含む請求項4に記載のスリッター装置。
請求項2に記載のスリッター装置おいて、前記刃物台送り機構の代わりに、前記移動体を、位置を変更したい上刃に対応する刃物台に係合させて駆動することにより、その上刃を該上刃と一対になる下刃に対する噛合い開始位置につけ、その上刃が前記上刃ホルダーにより前記下刃に噛合い可能な位置まで進出した後、前記移動体を前記上刃が前記下刃に接近する方向に駆動し、その駆動中に前記受信装置が導通検知信号を受取ってから、その刃物台の移動量が予め設定された移動量に達すると、又は、予め設定された時間が経過すると、前記刃物台の移動を停止することができる刃物台送り機構を備えたスリッター装置。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のようなスリッター装置には、上刃を備えた上刃台及び下刃を備えた下刃台と、帯状シートの幅方向に設けられ、上刃台及び下刃台を夫々移動可能に支持する案内基台と、該案内基台に沿って設けた駆動ネジ軸と、この駆動ネジ軸に係脱可能であって、各上刃台及び下刃台に設けられた係脱機構と、上刃台の上刃を上刃台の移動方向と直交する方向へ移動させ、対となる下刃に対して接近離反させる駆動機構を備え、上刃と下刃を噛合わせて帯状シートを複数条に剪断分割するものがある(下記特許文献1参照)。
【0003】
このスリッター装置では、上刃を下刃に噛合わせる場合、下刃と対になる上刃を、駆動機構により下刃から離反させた状態で、駆動ネジ軸と上刃台の係脱機構により、設定された当該上刃の目的位置に対して所要間隔を保った噛合い開始位置に移動、停止させ、この停止した上刃を、駆動機構によって対となる下刃に接近させ、その接近した上刃を、駆動ネジ軸と上刃台の係脱機構により目的位置に位置決めする。
【0004】
ところが、このスリッター装置では、上刃の上刃台に対する取付け誤差や上刃の再研磨の際の加工誤差等に起因して、上刃台に対する上刃の、上刃台移動方向における取付位置が、各上刃台間で微妙に異なるため、上刃台を、駆動ネジ軸と上刃台の係脱機構により目的位置に正確に位置決めすることより各上刃を夫々の下刃に噛合わせたとしても、上刃の刃先部側面と下刃の刃先部側面との接触圧にバラツキが生じて上刃と下刃の噛合いが適正にならないことがある。そこで、常に帯状シートを良好に切断するには、上刃と下刃の噛合いの良し悪しを作業者が見て判断し、噛合い状態が悪い場合にはその修正をする必要がある。しかし、上下刃を噛合わせる度に噛合い状態を把握する作業は手間がかかり作業者の負担が大きい。そして噛み合い状態の良し悪しを判断するには熟練を要し、また個人差も生じ得るので、上下刃の噛合い状態については信頼性が低い。
【0005】
また、従来においては、上軸と下軸のうち下軸に、超硬合金で形成され一側面の外周に刃先を有する複数の丸刃が、その刃先を同一方向に向けて連続して嵌装され、上軸に、フランジ部と円筒段部とを有する複数の鋼製のホルダー及びセラミックスで形成されたホルダーが、その円筒段部に超硬合金で形成されたリング状薄刃と、そのリング状薄刃を軸方向に押圧する皿ばねとを挿着して嵌装され、締め付け手段により上軸のフランジ部に締め付け固定されており、上軸と下軸とのうち少なくとも一方の軸を、軸方向に移動可能とする軸方向移動手段を備え、微調整できるようになっているものもある。そして上刃と下刃の噛合い状態把握の信頼性を高めるために、上刃と下刃の接触を電気的に導通チェッカーで確認して上下刃の接触圧を精度よく制御できるようにしたスリッター装置も知られている(下記特許文献2参照)。
【0006】
しかし、このスリッター装置では、スリット数やスリット幅を多様に変える必要がある場合には、上下刃の着脱や位置替えに加えて接触子や電気回路や導線の着脱や位置替えが必要になるため、スリット幅の変更作業が非常に面倒になる。
【0007】
ここで、駆動ネジ軸と各上刃台の係脱機構により上刃を目的位置に位置決めする形式の前述のスリッター装置に、前述の導通チェッカーを適用することも提案されるが、上下刃を多数対備える狭幅用のスリッター装置の場合、上刃台と一緒に移動して位置を変える導通チェッカーの検知信号を位置決め制御装置に入力するために、上刃と位置決め制御装置とを結ぶ可撓性のある導線を、多数の上刃台毎に、その案内基台に沿いの狭い空間に設置しなければならなくなる。しかし狭い空間に多数の可撓性の導線を設置するのは困難であり、その多数の可撓性導線を設置したとしても、上刃台の案内基台沿いの空間が煩雑になり、上刃の交換や他の作業の作業性が悪くなったり、可撓性の導線の寿命が短くなったりする等、問題を生ずる原因になる。また導通チェッカーの検知信号を処理する回路等が導通チェッカー毎に必要になるため制御装置が大型化すると共に構成が複雑化して設備コストが増大する。また駆動ネジ軸に係脱可能な係脱機構を上刃台毎に設けるため上刃台の幅が大きくなるため、広幅帯状シートを同時に細幅多数条に分割する必要がある場合には適用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上刃と下刃の噛合いにより帯状シートを複数条に剪断分割するスリッター装置において、比較的簡素な構成の装置によって上刃と下刃を適正に噛合せることができるように上刃の位置を下刃の位置に応じて変更することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、帯状シートの幅方向に平行な軸線上に一列に並べて設けた複数の下刃と、前記下刃と夫々一対になる複数の上刃と、前記上刃を保持して前記軸線に直交する方向に移動させることができる、前記上刃毎の上刃ホルダーと、前記上刃ホルダーを個々に装着した複数の刃物台と、前記軸線に平行に設けると共に前記複数の刃物台を夫々スライド可能に装着した刃物台用レールと、前記刃物台を1個ずつ移動して所要位置につけることができる、各刃物台に共通の刃物台送り機構とを備え、前記上刃と下刃とを噛合せて帯状シートを複数条に剪断分割するスリッター装置において前記下刃の位置の変更に応じて該下刃と対になる上刃の位置を変更する上刃位置変更方法であって、位置を変更したい上刃に対応する刃物台を前記刃物台送り機構によって移動することにより前記上刃を該上刃と一対になる下刃に対する噛合い開始位置につけ、その上刃を前記上刃ホルダーにより前記下刃に噛合い可能な位置まで進出させた後、その上刃が一対となる下刃に接近する方向に前記刃物台を前記刃物台送り機構により移動し、その刃物台の移動中に前記上刃と下刃の間の電気的導通の有無を刻々検出し、前記上刃と下刃の間に電気的導通が生じたとき前記刃物台送り機構による刃物台の移動を停止して、前記刃物台を、前記下刃の軸線に平行に伸長すると共に該伸長方向に位置替え可能に設けた棒に拘束する一連の位置変更工程を、前記棒を前記下刃に対し所定位置につけた後、位置を変更したい全ての上刃に対して順次実施してなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスリッター装置の上刃位置変更方法によれば、各々の上刃と刃物台との間に取付け誤差があっても、その誤差に関係なく各上刃を下刃に対して夫々位置決めすることが可能になり、各上刃の相互間隔を各下刃の相互間隔に正確に対応させて保持することができ、各上刃と下刃の接触圧が大きくばらつくのを防ぐことができる。そして分割位置の変更に応じて上刃の位置の変更を一度行えば、その後は、棒を長手方向に移動することにより全ての上刃を一斉に夫々の下刃に噛合せたり噛合せを解いたりすることができるので、上刃と下刃の噛合せ作業が簡単に短時間で正確にできるようになる。また上刃を移動するための刃物台送り機構は、刃物台を1個ずつ移動するので、比較的簡素な構成のもので足り、その占有空間も小さいものとなる。それゆえ最小分割幅が小さい仕様のスリッター装置であっても位置決め作業の省力化を図ることができる。したがって、上刃と下刃を適正に噛合せることができるように比較的簡素な構成の装置によって上刃の位置を変更することが可能になる。
【0012】
本発明のスリッター装置によれば、下刃の軸線に平行に伸長すると共に該伸長方向に位置替え可能に設けた棒と、移動体を刃物台に係合させていないとき前記棒を把持することができる、刃物台に設けた把持機構とを備え、下刃、上刃及び刃物台を各々電気的良導体で作り、下刃と刃物台とを電気的に導通させ、上刃と刃物台とを電気的に絶縁し、上刃と刃物台の間に電気的導通が生じたとき導通検知信号を発信する導通検知装置を、刃物台上に夫々設け、導通検出装置から導通検知信号を非接触で受取る受信装置を、移動体上に設けたことと、刃物台送り機構は、前記移動体を、位置を変更したい上刃に対応する刃物台に係合させて、刃物台用レールに平行な移動体用レール沿いに駆動することにより、その上刃を該上刃と一対になる下刃に対する噛合い開始位置につけ、その上刃が上刃ホルダーにより下刃に噛合い可能な位置まで進出した後、移動体を上刃が下刃に接近する方向に駆動し、その駆動中に受信装置から受けた導通検知信号に基づき移動体の駆動を停止して移動体を刃物台から離脱させることができることによって、上刃と下刃との接触による導通を夫々検知することができ、それにより、上刃と下刃との接触の有無を正確に検知することができる。そして各上刃に対して、各上刃の下刃への押付量つまり上刃を下刃に噛合せる際に上刃と下刃の接触を開始してからの噛合いが完了までの刃物台の移動量を均一にすることができ、刃物台に対する上刃の取付け位置等にばらつきが生じていても、各上刃を夫々の下刃に適正な接触圧で噛合せることが可能になる。また多数の上刃と下刃を備えていても、全ての上刃について下刃との接触の有無を個別に検知可能でり、しかも上下刃の接触検知用の受信装置は一つで足りるので、その受信装置と制御装置との間の配線は簡単になり、その占有空間も小さくて済む。そのため、スリッター装置が多数対の上下刃を備え帯状シート分割位置を多様に変える必要があるものであっても、上刃の位置を変更する作業の自動化を図ることができ、多数の上刃を各々対応する下刃に適正に短時間で噛合せることができるようになる。そのため、広幅の帯状シートを同時に細幅多数条に分割するスリッター装置の稼働率と歩留を大幅に向上させることができる。
【0013】
また、上刃ホルダーは、上刃を装着する電気的良導体でできた回転軸と、該回転軸に接触するブラシを含むものとし、導通検知装置の一対のリード線のうちの片方のリード線をブラシに接続することにより、該ブラシと回転軸とを通じて片方のリード線を前記上刃に接続したことにより、上刃と下刃との接触時期の検出が安定し、各上刃と下刃との接触圧を更に均一化することができる。
【0014】
また、前記棒を当該棒の長手方向に移動して前記下刃に対して上刃離反位置並びに上刃接触位置及び上刃押付位置に選択的に位置付けることができる棒移動機構を備えることによって、多数の帯状シートを夫々同じ分割位置で次々と分割する場合、最初に棒を上刃接触位置つけて上刃の位置を変更しておけば、その後は棒移動機構により棒の位置を変えるだけで、全ての上刃を、下刃から噛合い開始位置まで戻したり、上刃の刃先を下刃の刃先に適正な押付圧で押付けて噛合わせたりすることができる。したがって、前の帯状シートが尽きて新たな帯状シートをスリッター装置にセットする際に、その都度、刃物台送り機構により刃物台の位置決めをしなくて済むようになるので、スリッター装置における下刃と上刃の噛合せ作業が短時間で的確にできるようになる。
【0015】
また前記棒移動機構は、前記棒の上刃押付方向の端部に結合したピストンを有する、上刃押付用の流体圧シリンダ装置と、前記上刃押付用の流体シリンダ装置のピストンを上刃押付方向へ押すことができる、前記棒によってスライド可能に貫通されたピストンを有する上刃接触用の流体圧シリンダ装置とを含むことによって、動作が確実で占有空間の小さい棒移動機構を提供することができ、上刃と下刃の噛合せの遠隔操作が可能になり、上刃と下刃の噛合せの操作の省力化を図ることができる。また正確に棒を位置決めすることができ、下刃への上刃の押付圧の調節を簡単に行うことができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すスリッター装置は、帯状シートの幅方向(
図1の左右方向)に平行な軸線上に一列に並べて設けた、該軸線を中心に夫々回転可能な複数の環状の下刃1と、上刃2を前記軸線に平行な軸線を中心に回転可能に保持して上刃2の半径方向かつ下刃1の側へ進出、後退させることができる、上刃2毎の上刃ホルダー3と、上刃ホルダー3を個々に装着した複数の刃物台4と、帯状シート幅方向に平行に設けると共に、刃物台3をスライド可能に装着した刃物台用レール5と、刃物台用レール5に平行に設けた移動体用レール6沿いに移動可能な移動体7を刃物台4に係合させて所要位置につくまで駆動した後、その移動体7を刃物台4から離脱させることにより、刃物台4を1個ずつ刃物台用レール5に沿って所要位置に移動することができる、各刃物台4に共通の刃物台送り機構8とを備え、
図3に示すように下刃1の外周面上を走行する帯状シートSを、上刃2と下刃1との噛合いによって帯状シート長手方向に切断することで複数条に剪断分割するものである。なお
図3に示す下刃1は、上刃2との噛合い部分付近のみを示し、その他の部分は省略してある。また
図2は下刃1と上刃2の噛合い部分付近を拡大して示す平面図である。
【0018】
このスリッター装置では、帯状シートSを切断しないとき、
図2に実線で示す上刃2のように、上刃2を、該上刃2の刃先が該上刃2と対になる下刃1の刃先から帯状シート幅方向に所定間隔をおくと共に帯状シート幅方向に直交する方向に所定間隔をおく噛合い開始位置に待機させておき、帯状シート切断時に噛合い開始位置から上刃2を、
図2の二点鎖線で右側に示す上刃2のように、下刃1に噛合い可能な進出位置まで進出させ、その上刃を下刃1に向けて帯状シート幅方向に移動することによって、
図2において二点鎖線で示す左側の上刃2のように、上刃2と下刃1とを噛合せる。
【0019】
図1に示すスリッター装置において、帯状シートの分割位置の変更に伴い下刃1の位置が変更されると、下刃1の位置に応じて該下刃1と対になる上刃2の位置を変更することが必要であり、そのための上刃位置変更方法は、位置を変更したい上刃2に対応する刃物台4(位置変更が必要な上刃2を保持した上刃ホルダー3が装着されている刃物台4)を刃物台送り機構8によって移動することにより上刃5を該上刃2と一対になる下刃1に対する噛合い開始位置につける工程と、その上刃2を上刃ホルダー3により下刃1に噛合い可能な進出位置まで進出させる工程と、進出位置まで進出した上刃2が一対となる下刃1に接近する方向に刃物台4を刃物台送り機構8により移動する工程と、その刃物台4の移動中に上刃2と下刃1の間の電気的導通の有無を刻々検出し、上刃2と下刃1の間に電気的導通が生じたとき刃物台送り機構8による刃物台4の移動を停止して、その刃物台4を、下刃1の軸線に平行に伸長すると共に該伸長方向に位置替え可能に設けた棒25に拘束する工程とからなる位置変更工程を、棒25を下刃1に対して所定位置(後述の上刃接触位置)につけた後、位置を変更したい全ての上刃2に対して順次実施してなる。
【0020】
各下刃1は、この実施例では、夫々に共通の回転駆動される中心軸体9の外周面に環状のスペーサ10と交互に並ぶように嵌めて固定してあり、中心軸体9と下刃1とスペーサ10とで下刃ローラが構成されている。スペーサ10の片方の端部には半径の小さい段部が形成してあり、下刃1の刃先部分の側面とスペーサ10の段部の側面とは対向しており、下刃1とスペーサの大径部分との間に上刃2を受け入れる一定幅の溝11ができている。
【0021】
下刃1及び上刃2は高速度工具鋼でできており、刃物台4は一般の鋼材でてきている。下刃1と刃物台4とは、鋼材でできた中心軸体9や、図示しない軸受、鋼材のフレームやレール5等を通じて電気的に結合されている。したがって、下刃1、上刃2及び刃物台1は各々電気的良導体で作ってあり、下刃1と刃物台4とは電気的につながっている。
【0022】
図3に示すように、上刃ホルダー3は、上刃2を回転可能に保持する頭部12と、頭部12を進出後退させる進退機構13とからなる。進退機構13はこの実施例では流体圧シリンダ装置であり、頭部12は進退機構13のピストンロッド13aの先端に固着してあり、ピストンロッド13aはシリンダ13bに対し長手軸線を中心として回転しないようにしてある。シリンダ部13bには、図示しない可撓性の管路を経て圧力流体を供給できるようにしてあり、圧力流体を供給したとき、頭部12が進出し、圧力流体の供給を停止すると、図示しない圧縮コイルバネ作用により頭部12が後退するようになっている。シリンダ部13bはブラケット14に固着してあり、ブラケット14と刃物台4との間には絶縁体15が介在している。したがって、上刃ホルダー3は、絶縁体15を介して刃物台4に装着してあり、上刃2と刃物台4とは電気的に絶縁されている。
【0023】
各刃物台4上には、夫々上刃2と刃物台4の間に電気的導通が生じたとき導通検知信号を発信する導通検知装置16が設けてあり、移動体7上には、導通検出装置16から導通検知信号を非接触で受取る受信装置17が設けてある。この実施例では導通検知装置16は伝送カプラーからなり、受信装置17は近接スイッチからなる。近接スイッチ17及び伝送カプラー16は何れも市販品であり、伝送カプラー16は、磁気結合を利用してオンオフ信号を非接触で近接スイッチ17に伝送ことができるものである。伝送カプラー16の一対のリード線(
図3において1点鎖線で示す)のうちの片方のリード線16aは、上刃ホルダー3の頭部12の本体に絶縁体を介して保持したブラシ12bに接続し、もう片方のリード線16bは刃物台4に電気的に接続してある。ブラシ12bは、上刃ホルダー3の頭部12の本体に回転自在に保持した、上刃2を装着する回転軸12aと接触しており、回転軸12aは鋼材でできているので、片方のリード線16aは、ブラシ12bと回転軸12aとを通じて上刃2に電気的に導通している。各刃物台4上の伝送カプラー16は導通検知信号の発信部を、移動体4の移動経路に面するように配設してある。近接スイッチ17は、移動体7が刃物台4に係合した伝送カプラー16の発信部に所定の隙間をおいて対向するように移動体4上に配設してある。したがって、刃物台4を刃物台送り機構8により移動するとき、近接スイッチ17は、その刃物台4上の上刃2と下刃2との接触による導通を、伝送カプラー16を通じて検知することができる。
【0024】
移動体7は移動体用レール6にスライド可能に装着してあり、この移動体7を移動体用レール6沿いに駆動するために、ネジ棒18を移動体用レール6に平行に設け、このネジ棒18を移動体7に固着したメネジ体19に螺合させ、ネジ棒18をサーボモータ20により正逆両方向に回転駆動可能にしている。移動体7を刃物台4に係合離脱可能にするために移動体7には係脱機構21が設けてある。この係脱機構21は、先端を刃物台4に向けてスライド可能に移動体7に装着した係合体22と、係合体22を進出後退駆動する流体圧シリンダ装置23とからなる。流体圧シリンダ装置23のシリンダ部の一端は移動体7に固着してあり、流体圧シリンダ装置23が係合体22を移動体7から刃物台4に向けて選択的に進出、後退させることができるようにしてある。刃物台4の正面に形成した凹部24に係合体22の先端部が対向するように移動体7を刃物台4に対して位置決めし、この状態で係合体22を進出させると、係合体22の先端部が刃物台4の凹部24に嵌る。これによって移動体7が刃物台4に係合し、移動体7と刃物台4とが連結されて連動可能になる。そして係合体22を後退させてその先端部を凹部24から抜くと、移動体7が刃物台3から離脱する。
【0025】
このスリッター装置は、移動体7が刃物台4に係合していないとき刃物台4を棒25に拘束することができるようにするために、移動体7を刃物台4に係合させていないとき棒25を把持することができる、刃物台4に設けた把持機構26を備えている。棒25は各刃物台4共通に設けてあり各刃物台4を貫通している。
【0026】
また
、このシート分割巻取装置は、上刃2と下刃1の噛合せを簡単に短時間で正確に行うことができるようにするために、棒25をその長手方向に移動して、下刃1に対する上刃離反位置並びに上刃接触位置及び上刃押付位置に選択的に位置付けることができる棒移動機構27
(図4乃至図7に示す)を備える。
図5に示す棒25は上刃離反位置についており、
図6に示す棒25は上刃接触位置についている。
図7に実線で示す棒25及びピストン32aは上刃押付位置についており、棒25が上刃接触位置についているとき、ピストン32aは
図7に二点鎖線で示す位置につく。把持機構26が棒25を把持すると刃物台4は棒25に固定され、この状態で棒25を上刃離反位置につけると、棒25に固定された刃物台4上の上刃2はこれと一対になる下刃1に対して噛合い開始位置につき、上刃2が進出位置に進出した状態で、棒25を上刃接触位置につけると、棒25に拘束された刃物台4上の上刃2の刃先は、これと対になる下刃1の刃先と接触する。また棒25を上刃押付位置につけると、棒25に拘束された刃物台4上の上刃2は、上刃接触位置から更に所定の押付量だけ帯状シート幅方向に移動した位置につき、下刃1の刃先と上刃2の刃先との間に、押付量に応じた大きさの接触圧が生ずる。
【0027】
図3に示すように、把持機構26は、この実施例では刃物台4に取付けたピン28を中心に揺動可能にかつ設けたクランプ片29と、クランプ片29を棒25に押付け付勢する圧縮コイルバネ装置30と、係合体22の先端部と係合してクランプ片29を圧縮コイルバネ装置30の付勢力に抗して押戻すための、刃物台4にスライド可能に装着したスライド棒31とからなる。ピン28は棒25と平行に配置してあり、クランプ片29は、棒25に対して移動体7と反対側に配置し、刃物台4に対して帯状シート幅方向に拘束してある。刃物台送り機構8により刃物台4を移動するとき係脱機構21の係合体22の先端部が、凹部24に嵌ると共にスライド棒31を押す。それによってスライド棒31がクランプ片29に向けてスライドしてクランプ片29を押し、クランプ片29を棒25から後退させるので、把持機構27による棒25の把持は解除され、刃物台4が棒25に対して移動可能になる。また係脱機構21の係合体22が凹部24から後退すると、クランプ片29は、圧縮コイルバネ装置30の付勢力により棒25に押付けられて棒25を把持し、それによって刃物台4が棒25に固定される。
【0028】
図4に示すように、棒移動機構27は、棒25の上刃押付方向の端部に結合したピストン32aを有する上刃押付用の流体圧シリンダ装置32と、この上刃押付用の流体シリンダ装置のピストン32aを上刃押付方向へ押すことができる、棒25によってスライド可能に貫通されたピストン33aを有する上刃接触用の流体圧シリンダ装置33とを含んでいる。上刃押付方向は
図4において棒25を右から左へ移動させる方向である。
【0029】
上刃押付用の流体圧シリンダ装置32は、バネ装置32bを棒25のピストン32aと反対側の端部に有しており、シリンダ32c内に圧力流体を、供給口32dに通ずる図示しない管路を経て供給すると、ピストン32aはバネ装置32bの付勢力に抗して上刃押付方向に移動し、シリンダ32c内への圧力流体の供給を停止すると、ピストン32aはバネ装置32bの付勢力により棒25と共に待機位置に復帰する。シリンダ32cは、刃物台用レール5を固設した梁部材34の両端を保持する一対のフレーム35、36のうち片方のフレーム35の外側に固着してあり、バネ装置32bの圧縮コイルバネを収容した筒部は、もう片方のフレーム36に固着してある。
【0030】
棒25の刃物押付方向の端部はピストン32aにより保持し、棒25の上刃離反方向の端部はバネ装置32bの可動部により保持してあるので、棒25はピストン32aと共に移動可能である。
【0031】
上刃接触用の流体圧シリンダ装置33は、フレーム34の内側に固着したシリンダ33c内に圧力流体を、供給口33dに通ずる図示しない管路を経て供給すると、ピストン33aは上刃押付方向に移動し、供給口33eに通ずる図示しない管路を経て供給するとピストン33aは待機位置に復帰する。
【0032】
図5に示すように上刃接触用の流体圧シリンダ装置33のピストン33aを、待機位置につけておき、シリンダ32cに圧力流体を供給すると、ピストン32aは、
図7に示すように上刃押付方向に移動してストッパーネジ32fの先端に当って停止する。これによって、棒25は正確に、
図7に示すように上刃押付位置につく。この状態で、シリンダ32cへの圧力流体の供給を停止すると、
図5に示すようにピストン32aが待機位置に復帰すると共に、棒25も上刃離反位置に復帰する。
【0033】
上刃押付用の流体圧シリンダ装置32のピストン32aが、
図5に示すように待機位置に復帰した状態で、上刃接触用の流体圧シリンダ装置33のビストン33aを上刃押付方向に移動させると、ピストン32aはピストン33aに押されて棒25と共に上刃押付方向に移動し、ピストンロッド33hの後端部に形成したネジに螺合しているストッパー体33fがシリンダーカバー33gに当って停止する。それによって、棒25は上刃接触位置につく。
【0034】
この実施例では、ストッパーネジ32fはシリンダーカバー32gに螺合しているので、このストッパーネジ32fを回してその先端の位置を変えることにより、棒25の上刃押付位置を簡単に微調節することができる。またストッパー体33fを回してピストンロッド33hに対する螺着位置を変えることにより棒25の上刃接触位置を簡単に調節することができる。
【0035】
図1において、帯状シートの分割位置の変更に伴い上刃の位置を変更するとき、刃物台送り機構8による刃物台4の送り動作、及び上刃ホルダー3による上刃2の進退動作は制御装置37により自動制御することができるようになっている。
【0036】
刃物台送り機構8による刃物台4の送り動作は、サーボモータ20による移動体7の駆動動作と、係脱機構21による移動体7の刃物台4との係合離脱動作からなり、刃物台送り機構8は、刃物台4が移動体7から離脱した状態で移動体7を駆動して刃物台4の待機位置につけ、その位置で移動体7を刃物台4に係合させて連動可能にした後、移動体7を駆動して所要位置につけ、その後、移動体7を刃物台4から離脱させることにより、複数の刃物台4を1個ずつ所要位置へ送ることができる。
【0037】
制御装置37は、サーボモータ20に起動、停止及び起動中の回転駆動方向の制御信号を出すことで、サーボモータ20を操作することができると共に、係脱機構21の流体圧シリンダ装置23に圧力流体を供給、停止することができる図示しない電磁切替弁に切替信号を出すことで、係脱機構21を操作することができるようにしてある。また制御装置37は、上刃ホルダー3による上刃2の進退動作を上刃ホルダー3毎に制御するために、各上刃ホルダー3の流体圧シリンダ13に圧力流体を供給、停止する、図示しない各電磁切替弁に、夫々の切替信号C1、C2・・・Cnを出すことにより、流体圧シリンダ装置13を作動させて、上刃2を進出、後退させることができるようにしてある。
【0038】
また制御装置37は、近接スイッチ17が出力した検知信号を受取ることができ、位置を変更したい上刃2を、それに対応する刃物台4を待機位置から移動体7に連動させて、一対になる下刃1への噛合い開始位置に移動し、その噛合い開始位置において進出位置に進出すると、移動体7を上刃押付方向に駆動するようにサーボモータ20を作動させ、上刃2と下刃1とが接触して受信装置17から導通検知信号が入力されると、その導通検知信号に基づきサーボモータ20を停止して、係合体22が後退する方向に流体圧シリンダ23を作動させるように構成してある。したがって、上刃送り機構8は、移動体7を、位置を変更したい上刃2に対応する刃物台4に係合させて駆動することにより、その上刃2を該上刃2と一対になる下刃1に対する噛合い開始位置につけ、その上刃2が上刃ホルダー3により下刃1に噛合い可能な位置まで進出した後、移動体7を上刃2が下刃1に接近する方向に駆動し、その駆動中に近接スイッチ17が導通検知信号を受取ったとき移動体7の駆動を停止して移動体7を刃物台4から離脱させることができる。
【0039】
また、制御装置37は、下刃位置入力部38から入力された各下刃1の位置を記憶する下刃位置記憶部39と、移動体7の移動中に移動体7が基準位置上に達したことを検知する近接スイッチ40、並びにネジ棒18の回転角度に応じてパルス信号を発生するロータリーエンコーダ41からの出力信号を受けて移動体7の現在位置を刻々検出して記憶する移動体位置検出部42と、移動体7に設けた近接スイッチ43が移動体7の移動中に、刃物台4に設けた被検出片44を検出したとき、移動体位置検出部42が検出した移動体7の現在位置を、その刃物台4上にある上刃2の待機位置として上刃2毎に記憶する上刃待機位置記憶部45と、下刃位置記憶部39に記憶した各下刃1の位置から各噛合い開始位置を演算して記憶する噛合い開始位置演算部46とを備える。なお下刃1並びに上刃2の位置は、夫々進出位置についた上刃2と下刃1とが接触したときの移動体7の現在位置に等しいものとして計測、把握することとしている。また下刃位置入力部38には、各下刃の位置を、位置検出装置によりを自動的に検出して入力してもよいし、作業者が入力してもよい。
【0040】
また制御装置37は、各上刃2を待機位置から噛合い開始位置に移動する前に、係脱機構21を操作して係合体22が刃物台4から後退させ、サーボモータ20を操作して移動体7を基準位置から反対側の移動限との間を往復移動させ、その間に各上刃2の待機位置を夫々検出して上刃待機位置記憶部45に記憶することができる。
【0041】
また制御装置37は、上刃2のうち、噛合い開始位置演算部46からの噛合い開始位置と上刃待機位置記憶部45からの待機位置とが一致しないものについて、夫々、位置を変更したい上刃2とし、この上刃2について、記憶した各下刃1の位置、各上刃2の待機位置、及び移動体7の現在位置に基づき、各上刃2の移動距離が極力小さくなると共に、各上刃2が互いに干渉しないよう、かつ上刃2が、一対になる下刃1に対する噛合せ開始位置につくように、各上刃2の目的位置と位置変更順序を夫々演算して記憶し、その目的位置と位置変更順序に基づき、刃物台送り機構8による移動体7の送り動作を制御することにより、位置を変更したい上刃2を待機位置から噛合い開始位置に移動することができるように構成してある。
【0042】
また制御装置37は、刃物台送り機構8により上刃2を待機位置から噛合せ開始位に移動するとき、上刃2が待機位置から噛合い開始位置に移動する間は上刃2が後退位置に後退し、上刃2が噛合い開始位置に達した後は、上刃2が進出位置に進出するように、上刃待機位置記憶部45からの各上刃2の待機位置と、噛合い開始位置演算部46からの各上刃2の噛合い開始位置と、移動体位置検出部41からの移動体7の現在位置とに基づき、上刃ホルダー3による上刃2の進退動作を上刃ホルダー3毎に制御することができるように構成してある。
【0043】
また制御装置37、刃物台送り機構8により上刃2を待機位置から噛合い開始位置に移動するとき、検出した移動体7の現在位置と、記憶している上刃2の待機位置とが異なれば、係脱機構21に離脱動作をさせて移動体7から刃物台4を解放した状態で、サーボモータ20を操作して移動体7を上刃2の待機位置へ向けて駆動し、検出した移動体7の現在位置と、記憶している上刃2の待機位置とが等しくなると、移動体7の駆動を停止し、その後、係脱機構21を操作して移動体7と刃物台4とを連結し、その状態で、サーボモータ20を操作して、上刃2が噛合い開始位置へ向かうように移動体7を駆動し、検出した上刃2の現在位置が、記憶している上刃2の目的位置(噛合い開始位置)と等しくなると、サーボモータ20を操作して移動体7の駆動を停止し、係脱機構21を操作して移動体7が刃物台4から離脱するようにしてある。
【0044】
上述のように構成したスリッター装置において、帯状シート分割位置の変更に応じて上刃2の位置を変更するには、先ず、棒移動機構27により棒25を
図6に示すように上刃接触位置につけておく。次に、制御装置37の下刃位置入力部38に各下刃1の位置を入力した後、制御装置37を始動する。そうすると、位置の変更が必要な全ての上刃2に対し、前述の位置変更工程が自動的に順次実施され、新たな分割に使用する各上刃2が夫々一対になる下刃2に接触した状態で、各上刃2に対応する刃物台4が夫々棒25に拘束され、全ての上刃2が棒25と連動して一斉に移動可能になる。
【0045】
上刃2の位置の変更が終了すると、棒移動機構27により棒25を、
図5に示すように上刃離反位置につけ、進出位置に進出している上刃3を上刃ホルダー3により
図2に実線で示すように噛合い開始位置に後退させておく。
【0046】
帯状シートを分割するには、上刃2と下刃1との間に帯状シートの先端部を通した後、分割に使用する上刃2と下刃1とを全て噛合せる。或いは、分割に使用する上刃2と下刃1とを全て噛合せた後、帯状シートの先端を上刃2と下刃1との噛合い部分を通過させる。その後、下刃軸体9を回転駆動して下刃1を回転させると共に、帯状シートを上刃2と下刃1の噛合い部分に供給する。
【0047】
上刃2と下刃1とを噛合せるには、切断に使用する全ての上刃2を夫々上刃ホルダー3により進出位置につけた後、棒移動機構27により棒25を上刃押付位置につける。上刃2と下刃1との噛合いを解くには、棒移動機構27により棒25を上刃離反位置に移動して上刃2を刃物ホルダー3により噛合い開始位置へ後退させる。
【0048】
図8は本発明の他の実施例に係る説明図であり、このスリッター装置に備えた制御装置47は、近接スイッチ17から上刃2と下刃1の間の電気的導通を検知する検知信号を受けたときから、ロータリーエンコーダ41からのパルス信号の計数を開始し、その計数したパルス数が、移動量設定部48に設定した、移動体7の移動量に相当するパルス数になったとき、計数完了の出力信号を出すカウンター回路49を有しており、その計数完了の出力信号に基づきサーボモータ20を停止させ、係合機構21を操作して移動体21を刃物台4から離脱させることができるようになっている。したがって、刃物台送り機構8は、刃物台4が、噛合い開始位置から進出した上刃2を下刃1へ向けて移動しているとき、受信装置17が導通検知装置16から導通検知信号を受取ってから、その刃物台4の移動量が予め設定された移動量に達すると、刃物台の移動を停止することができる。そして上刃2が下刃1に接触した状態で、上刃2を、設定した移動量だけ下刃1に押付け方向に移動することができ、上刃2の刃先部側面と下刃1の刃先部側面との接触圧を、移動量設定部48に設定する移動量に応じて変えることができる。この実施例では、棒25を上刃押付位置と上刃離反位置との2箇所に移動して位置決めすればよい。
【0049】
この制御装置47を用いる場合、棒25を下刃に対して移動しないよう固設し、制御装置47により刃物台送り機構8による上刃2の送り動作と上刃ホルダー3による上刃2の進退動作とを制御することにより、上刃2を下刃1に噛合せたり、噛合いを解いたりすることも可能である。なお、制御装置47は、必要に応じて、
図7に示す移動量に相当するパルス信号を計数するカウンター回路49の代わりに、上刃2と下刃1との接触を伝送カプラー16で検知してから、設定部47に設定した時間が経過すると移動完了の出力信号を出すタイマー回路を採用し、上刃の移動量に相当する時間を設定部に設定するようにしたものでもよく、この場合、刃物台送り機構8は、上刃と下刃とが接触してから、設定された時間が経過すると刃物台4の移動を停止することができる。