【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)、1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、9〜12個の炭素原子(C9-C12-ジアミン)を有する別の脂肪族ジアミンを含むコポリアミドを含むポリアミド成形組成物によって達成され、C9-C12-ジアミン、特に好ましくは脂肪族の非分枝C9-C12ジアミン、及び、イソフタル酸の定義された含有量に従う。これらのコポリアミドは、好ましくは、300〜330℃の範囲の融解点、高い結晶度、好ましくは110〜140℃の範囲のガラス転移温度、及び、好ましくは、85%より多い未加工ポリマー(ポリアミド)のはんだぬれ性(下記で定義される)と75%より多い化合物のはんだぬれ性を有する。はんだぬれ性は、Joint Industry Standard IPC/JEDEC J-STD-020D.1に従って、85℃及び85%相対湿度で、168時間調整された後に6つの異なるテスト条件下で、ブリスターを生じない、3つの異なる厚みのポジティブな(positively)試験棒材の相対割合で定義される。化合物は、好ましくは、加えて、ポリアミドマトリクス、フィラー、及び/又は、強化剤、及び/又は、難燃剤、及び、添加剤も含む。
【0009】
詳細には、本発明によって以下の組成を有するポリアミド成形組成物が提供される:
(A)30〜100質量%の部分芳香族の、部分結晶コポリアミドで、
72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、28.0〜1.7質量%のイソフタル酸(IPA)から構成される、100質量%の二塩基酸フラクション、及び、
51.0〜80.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、20.0〜49.0質量%のC9-C12-ジアミン、特に脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される、100質量%のジアミンフラクション
から構成されるコポリアミド;
(B)0〜70質量%のフィラー、及び、強化剤;
(C)0〜25質量%の難燃剤;
(D)0〜5質量%の添加剤;
(ここで、成分(A)〜(D)は合計で100質量%となる)。
【0010】
従って、TPAは全部又は部分的にナフタレンジカルボン酸で置き換えられうる。
第一の好適な態様に従うと、C9-C12-ジアミンは、1,9-ノナンジアミン、メチル-1,8-オクタンジアミン(cctanediamine)、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、及び、これらのジアミンの混合物からなる群から選択されるジアミンであり、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン又はこれらのジアミンの混合物であることが好ましく、1,10-デカンジアミン、及び、1,12-ドデカンジアミンであることが特に好ましく、1,10-デカンジアミン単独であることが特別に好ましい。驚くことに、特に、分枝脂肪族ジアミン、例えば、TMHMDAを使用すると、容易にはんだ付けできない成形組成物となることが分かっている。従って、上述した割合の特定の脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンの好ましい使用により、予想外にも、はんだ付け加工に特に適した成形組成物となる。
成分(A)のジアミンフラクションは、好ましくは、55.0〜75.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、25.0〜45.0質量%のC9-C12-ジアミン、特に脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される。
成分(A)のジアミンフラクションは、より好ましくは、55.0〜70.0質量%の1,6-ヘキサンジアミン(HMDA)、及び、30.0〜45.0質量%のC9-C12-ジアミン、特に脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンから構成される。
【0011】
本発明の特定の態様において、C9-C12-ジアミンの割合と、イソフタル酸の割合は、互いに特定の比で存在する。詳細には、これは、この好適な態様において、成分(A)の二塩基酸フラクションが、72.0〜98.3質量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はナフタレンジカルボン酸、及び、ジアミンフラクションの百分率で、C9-C12-ジアミン、特に脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンの含有量のフラクションに応じて決定される質量%範囲の含有量のイソフタル酸(IPA)から構成されることを意味する。以下の式に従って決定される百分率のイソフタル酸の含有量は、+/-5質量%の範囲内である。
IPA (質量%) = (39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)
但し、当然ながら、イソフタル酸の含有量は、いずれにしても少なくとも1.7質量%である。
このことは、例えば、C9-C12-ジアミン、特に、脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミンの含有量が20質量%であり、イソフタル酸の含有量が20〜30質量%の範囲内であることを意味する。35質量%のC9-C12-ジアミンの含有量で、イソフタル酸の含有量は、9.5〜19.5質量%の範囲内である。49質量%のC9-C12-ジアミンの含有量で、イソフタル酸の含有量は、1.7〜9.7質量%の範囲内にある。更に好ましい態様において、範囲は、+/- 3質量%、特に好ましくは+/- 2質量%である。
【0012】
従って、好ましくは、ジアミンの合計をベースにして20〜49質量%のC9-C12-ジアミン含有量、特に、脂肪族の非分枝C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースにして(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±5質量%のIPA含有量(但し、IPAの含有量はいずれにしても少なくとも1.7質量%である)を有するポリアミドを用いる。
更に特定の態様において、以下の組成がコポリアミド(ポリアミドマトリクス)にとって好ましい:
ジアミンの合計をベースとして、20〜49質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして、20〜49質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
【0013】
好ましくは、ジアミンの合計をベースとして、25〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±5質量%のIPA含有量を有するポリアミドを用いる。
ジアミンの合計をベースとして、25〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして、25〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
【0014】
好ましくは、ジアミンの合計をベースとして、30〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±5質量%のIPA含有量を有するポリアミドを提供する。
ジアミンの合計をベースとして、30〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9-C12-ジアミン)±3質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
ジアミンの合計をベースとして、30〜45質量%の(好ましくは脂肪族の非分枝)C9-C12-ジアミン含有量、及び、二塩基酸の合計をベースとして、(39 − 0.7*C9 C12-ジアミン)±2質量%のIPA含有量を有するコポリアミド。
別の脂肪族ジアミン(C9-C12-ジアミン)の中で、好ましくは、1,10-デカンジアミン及び1,12-ドデカンジアミンを使用し、特に好ましくは、1,10-デカンジアミンを用いる。
更に好ましい態様において、成分(B)の割合は、20〜65質量%の範囲である。
【0015】
部分芳香族の、部分結晶コポリアミド(成分(A))の溶液粘度η
rel(m-クレゾール中で測定される(0.5質量%, 20℃))は、2.0以下、好ましくは1.9以下、特に好ましくは1.8以下である。好ましくは、コポリアミドの溶液粘度η
relは、1.45〜2.0の範囲にあり、特に1.5〜1.9又は1.5〜1.8の範囲にある。
コポリアミド(成分A)は、好ましくは110〜140℃の範囲、好ましくは115〜135℃の範囲、特に120〜130℃の範囲のガラス転移温度を有する。
融解点は、好ましくは300〜330℃の範囲、より好ましくは305〜325℃の範囲、特に310〜325℃の範囲である。
コポリアミドの融解エンタルピーは、好ましくは30〜60 J/gの範囲、より好ましくは35〜60 J/gの範囲、特に好ましくは40〜60 J/g範囲である。
【0016】
更に、組成物は、好ましくは、成分(A)及び/又は全ポリアミド成形組成物が、例えば、95℃の温度で水中に336時間置いた後に、5質量%未満、好ましくは4質量%未満の吸水率を有するように、調合される。
上記の特性が達成される限りにおいて、成分(A)の8質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下の芳香族ジカルボン酸が、10〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸で置き換えられても良い。好ましい脂肪族二塩基酸は、セバシン酸及びドデカン二酸である。更に、ジアミンの8質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下が、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、メチル-1,5-ペンタンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、m-キシリレンジアミン(MXDA)又はp-キシリレンジアミン(PXDA)で置き換えられても良い。ジアミン及び二塩基酸の合計をベースとして、5質量%以下のラクタム又はアミノカルボン酸が、特に、ラウロラクタム又はアミノラウリン酸が、成分(A)に存在しても良い。しかしながら、特に好ましい態様において、成分(A)は、芳香族二塩基酸TPA及びIPA、並びに、ジアミンである1,6-ヘキサンジアミン及び少なくとも1種のC9-C12-ジアミン、特に、1,10-デカンジアミンのみによって形成される。
【0017】
提案されるポリアミド成形組成物の更に好ましい態様において、成分(B)のフィラー及び強化剤は、繊維、特にガラス繊維及び/又はカーボン繊維であり、特に好ましくは短繊維(好ましくは2〜50 mmの範囲の長さで5〜40μmの直径を有する)、及び/又は、長繊維(特に、円形及び/又は非円形の断面積を有する繊維)であり、最後の記載の場合において、主断面軸対第二断面軸の長さの比が、好ましくは2超過であり、好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜5の範囲である。
好ましくは、非円形の断面積を有し、主断面軸対第二断面軸の長さの比が、2超過であり、好ましくは2〜8、特に2〜5の範囲であるガラス繊維を用いる。これらのガラス繊維は、フラットガラス繊維として知られており、長円形、楕円形、くびれを有する楕円(繭繊維として知られている)、長方形又は実質的に長方形の断面積を有する。
【0018】
本発明に従って使用される非円形の断面積を有するフラットガラス繊維は、好ましくは、短ガラス繊維として使用される(0.2〜20 mm、好ましくは2〜12 mmの長さを有するカットガラス)。
使用されるフラットガラス繊維の更なる特徴的な要素は、主断面軸の長さが、好ましくは6〜40μmの範囲、特に15〜30μmの範囲であり、第二断面軸の長さが3〜20μmの範囲であり、特に4〜10 μmの範囲であることである。
本発明の成形組成物を強化するために円形及び非円形の断面積を有するガラス繊維の混合物を使用することもでき、上記で定義されたように、フラットガラス繊維の割合は、好ましくは主成分となる割合で、すなわち、繊維の全質量の50質量%を超える。
【0019】
良好な流動性と良好な表面品質を有する強化成形組成物を得ようとする場合には、特に難燃剤と組み合わせて、強化繊維は、好ましくは、主成分となる割合(すなわち例えば、80質量%に及ぶ範囲、又は、90質量%以上)でフラットガラス繊維を含むか、又は、フラットガラス繊維のみを含む。
本発明に従って粗紡糸として使用されるガラス繊維(フィラー成分B)は、直径が10〜20 μmであり、好ましくは12〜18 μmであり、ガラス繊維の断面は、円形、長円形、楕円形、実質的に長方形又は長方形とすることができる。特に好ましくは、2〜5の断面軸の比を有するフラットガラス繊維を用いる。特に、E-ガラス繊維が本発明に従って使用される。しかしながら、全てのほかのタイプのガラス繊維、例えば、A-、C-、D-、M-、S-、R-ガラス繊維、又はそれらの混合物、又は、E-ガラス繊維との混合物を使用することもできる。
【0020】
長繊維で強化される成形組成物については、直径10〜14μm、特に直径10〜12μmの長ガラス繊維を、直径15〜19μmの一般的な長ガラス繊維の代わりに使用する場合に、高度な靱性が得られ、それ故に更なる金属様特性が得られる。
本発明のポリアミド成形組成物は、長繊維-強化棒状のペレットを製造するための公知の方法、特に、長繊維粗紡糸が完全に融解ポリマーに含浸され、次いで冷却され、切断される引抜成形法によって製造されても良い。この方法で得られた長繊維-強化棒状のペレットは、好ましくはペレット長3〜25mm、特に4〜12mmを有し、更に加工されて一般的な加工方法(例えば射出成形、圧縮成形)で成形体を製造することもできる。
【0021】
引抜成形法で使用される長カーボン繊維は、5〜10 μm(ミクロン)、好ましくは6〜8 μmの直径を有する。マトリクス及び繊維ハンドリング(fibre handling)の結合を改善するために、繊維を従来技術におけるガラス繊維及びカーボン繊維で知られている化学的に異なる層で被覆することができる。
ガラス繊維自体は、繊維の断面積の形及び長さに応じて、E-ガラス繊維、A-ガラス繊維、C-ガラス繊維、D-ガラス繊維、M-ガラス繊維、S-ガラス繊維、及び、R-ガラス繊維からなる群から選択でき、好ましくは、E-ガラス繊維を使用する。
成分(B)のフィラー及び強化剤も、また、粒状のフィラー、又は、繊維と粒状のフィラーとの混合物でありうる。好ましくは、粒状のフィラーとして、タルク、マイカ、シリケート、水晶、二酸化チタン、珪灰石、カオリン、アモルファスシリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、石灰、長石、硫酸バリウム、固体又は中空ガラス球又は粉末ガラス、永久磁石又は磁化可能な金属化合物、及び/又は、合金、又は、混合物をベースとする無機フィラーが使用される。フィラーは表面修飾されてもよい。
【0022】
更に好ましい態様において、ポリアミド成形組成物は、成分(C)の割合が、8〜25質量%、好ましくは10〜22質量%、特に好ましくは10〜18質量%の範囲内であることを特徴とする。
好ましくは、成分(C)は、60〜100質量%、好ましくは70〜98質量%、特に好ましくは80〜96質量%のホスフィン酸塩、及び/又は、ジホスフィン酸塩、及び、0〜40質量%か、2〜30質量%か、4〜20質量%の窒素含有相乗剤、及び/又は、窒素及び/又はリン含有難燃剤から構成され、最後の記載の場合は、好ましくは、メラミン及びメラミンの縮合生成物、特に、メレム、メラム、メロン、及び、ポリリン酸とメラミンの反応生成物、ポリリン酸とメラミンの縮合生成物の反応生成物、並びに、それらの混合物、特にメラミンポリリン酸塩から選択される。
【0023】
従って、別の態様において、本発明の成形組成物は、追加で、8〜25質量%、好ましくは10〜22質量%、特に10〜18質量%の難燃剤(成分(C)の一部として、又は、全成分(C)を形成するものとして)を含む。難燃剤は、好ましくはハロゲンフリーである。
成分(C)中、又は、全成分(C)を形成する難燃剤は、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜98質量%、特に80〜96質量%のホスフィン酸塩、及び/又は、ジホスフィン酸塩(成分(C1))、及び0〜40質量%の、好ましくは2〜30質量%の、特に4〜20質量%の窒素含有相乗剤、及び/又は、窒素及びリン含有難燃剤(成分(C2))である。
【0024】
成分(C2)は、好ましくは、メラミン及びメラミンの縮合生成物、例えば、メレム、メラム、メロン、ポリリン酸とメラミンの反応生成物、ポリリン酸とメラミンの縮合生成物の反応生成物、及び、それらの混合物から選択される。
成分(C2)として、特に好ましいのは、メラミンポリリン酸塩である。このような難燃剤は、従来技術で知られている。この点において、DE 103 46 326を参照することができ、ここでこの文献は、参照により明確に本明細書に組み込まれる。
成分(C1)として、好ましくは、一般式(I)及び/又は一般式(II)のホスフィン酸塩及び/又はそれらのポリマーを用いる。
【0025】
【化1】
【0026】
(式中、
R1、R2は、同一又は異なっており、夫々好ましくは、直鎖又は分枝のC1-C8-アルキル、又はアリールであり;
R3は、直鎖又は分枝のC1-C10-アルキレン、C6-C10-アリーレン、-アルキルアリーレン、又は、アリールアルキレンであり;
Mは、周期表の2族又は3族の典型又は遷移金属イオンであり;そして
mが2又は3であり;
nが1又は3であり;
xが1又は2である。)
金属イオンMとして、好ましくは、Al、Ca、Ba及びZnを含む。
【0027】
難燃剤成分(C1)及び(C2)と組み合わせて、適切な場合は、(C1)及び(C2)の合計をベースとして0.5〜5質量%の酸素、窒素又は硫黄含有金属化合物を安定剤(成分(C3))としての添加剤で加えることも可能である。ここで好ましい金属は、ここで好ましい金属は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛である。適切な化合物は酸化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩及びスズ酸塩、及び前記化合物の組み合わせ及び混合物、例えば酸化物の水酸化物又は酸化物の水酸化物炭酸塩の群から選択される。例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ジヒドロタルサイト(dihydrotalcite)、ヒドロカルマイト(hydrocalumite)、水酸化カルシウム、酸化スズ水和物、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸カリウム、ベヘン酸マグネシウムが挙げられる。
【0028】
更に、強調されるべきことは、本発明のポリアミド成形組成物又はそれから製造される成形体との関連において、優れた耐燃性が、上述の優れた特性と組み合わせて達成されることである。成形組成物は、0.8 mmの厚みの試験片でUL区分がV0である(UL-94,Underwritersラボラトリーズ(U.L.)の標準に従ったテスト。www.ulstandards.com参照)。
本発明のコポリアミドは、相乗剤(C2)を添加しなかった場合でさえ、防火区分「V0」を達成する。従って、添加される難燃剤は、好ましくは、成分C1及びC3と共にのみから構成される。
成形組成物は、安定剤、加工助剤、衝撃改質剤、及び別の添加剤を含んでも良い。
【0029】
本発明の成形組成物は、更に添加剤(D)、例えば、無機安定剤、有機安定剤、潤滑剤、染料、核形成剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、衝撃改質剤、静電防止剤、伝導性添加剤、離型剤、光学的光沢剤、天然層状ケイ酸塩、合成層状ケイ酸塩、又は、上述の添加剤の混合物からなる群から選択される添加剤を含んでも良い。本発明の成形組成物中で、静電防止剤として、例えば、カーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブを使用することができる。しかしながら、カーボンブラックの使用は、成形組成物の黒着色を改良するのにも役立ちうる。
本発明の成形組成物中で、層状ケイ酸塩として、例えば、カオリン、蛇紋石、タルク、マイカ、バーミキュライト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、複水酸化物又はそれらの混合物を使用することができる。層状ケイ酸塩は、表面処理されても良いし、処理されなくても良い。
【0030】
本発明の成形組成物中で、安定剤又はエージング阻害剤として、例えば、酸化防止剤、光安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、又は、UVブロッカーを使用することができる。
本発明のポリアミドは、前縮合(precondensate)及び後縮合(after-condensation)の連続プロセスによって一般的な重縮合プラントで製造されうる。好ましくは、鎖レギュレーター(chain regulator)は、粘度を調整するために重縮合プロセスで使用される。好ましい鎖レギュレーターは、モノアミン又は一塩基酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3-(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミンなどである。更に、粘度は、過剰なジアミン又は二塩基酸を用いることで調製されてもよい。
【0031】
180〜230℃の溶解温度で、塩溶液が均一で、かつ、透明であるために、20〜30%の水をモノマーに添加することが通常である。減圧及び液化の間、又は押出機での融解物の後縮合の間の過剰な発泡を防ぐために、消泡剤を混合物に添加することが好ましい。好ましい消泡剤は、水性シリコンエマルジョン、ポリジメチルシロキサン担持固体担体、例えば、ゼオライト、無水物、高分子量ポリシロキサン又は有機性の水溶性溶媒中のシロキサン(0.01〜0.5質量%の量)である。
重縮合触媒としては、好ましくは、0.005〜1.5質量%のリン化合物、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸及び/又は、一価から三価のカチオン、例えば、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlを有するそれらの塩、及び/又は、それらのエステル、例えば、トリフェニルホスファート、トリフェニルホスファイト又はトリス(ノニルフェニル)ホスファイトが、好ましくはモノマー混合物に添加される。好ましくは、次亜リン酸、及び、次亜リン酸水素ナトリウム一水和物を提供し、ここでリンの量は、コポリアミドをベースとして100〜500 ppmである。
【0032】
更に、本発明はまた、ポリアミド成形組成物の製造方法も提供する。更に、本発明は、当該ポリアミド成形組成物を使用して製造された成形体も提供する。上述したように、ブリスターは、例えば、臨界厚さを有するコネクター及び熱を内部に伝える金属インサートにおいて、はんだ付けの間に形成されうる。1〜2mmの範囲の厚みは、頻繁に具体的な臨界厚みとなり、比較的低温でブリスターを形成し始める。比較的薄い壁厚みは、ブリスターの形成をそれほど留意する必要はない。なぜなら、この場合において、ブリスター形成可能な臨界量の水は蓄積できず、かつ、水は短い拡散経路による加熱で簡単に蒸発しうるためである。より厚い壁厚みは、同様にあまり気にかけなくても良い。なぜなら、厚み試験棒材は、短い加熱時間で十分に加熱されるわけではないためである。提案される材料は、好ましくは、壁厚みの範囲が0.5〜3 mm、特に、1〜2 mmの成形体で使用され、この壁厚みは、少なくともはんだ付けの間の熱伝導によって影響をうけ、ブリスターが形成されやすい範囲にある。
更に、本発明は、当該ポリアミド成形組成物で少なくとも部分的に構成される成形体の使用法も提供する。このような使用法とは、例えば、印刷回路板の一部、ハウジング部材、フィルム、コンジット、スイッチ、配電器、継電器、抵抗体、キャパシタ、コイル、ランプ、ダイオード、LED、トランジスター、コネクター、レギュレーター、記憶装置、及び、センサーである。更なる態様は、独立請求項に示される。
本発明の好ましい形態を以下に示し、部分的に、説明の目的で単に役立つ図面を用いるが、制限するものとして解釈されるものではない。