【実施例】
【0112】
[実施例1]ターゲティングベクターの構築
(1)ターゲティングベクター pTEL’hisDpuro
lox2272F9R9の構築
ターゲティングベクターの構築には基本的に既報(Kuroiwaら、 Nat Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000、Kuroiwaら、Nat Biotechnol. 20: 889-894, 2002、Kuroiwaら、 Nat Biotechnol. 27: 173-181, 2009)に記載の方法を用いた。
【0113】
具体的には、ホモロジーアームとして用いるゲノムDNA断片Dk−F9R9を、kD−F9(5’−tcgaggatccgccagggagacagatgccaagtacggtttag−3’)(配列番号1)およびkD−R9(5’−tcgaggatccaggatctttgggggactgaatggggtgtgct−3’)(配列番号2)の2つのプライマーDNAを用い、ヒト2番染色体を保有するニワトリDT40細胞株KTL1(Kuroiwaら、 Nat. Biotechnol. 27: 173-181, 2009)のゲノムDNAを鋳型として、98℃10秒間、68℃9分間を40サイクル繰り返すPCRにより増幅した。
【0114】
次に、プラスミドpTEL’hisDpuro
lox2272を以下の手順で構築した。
【0115】
まず、改変型lox2272配列を含む2つのオリゴDNA断片[(5’−agcttggatccataacttcgtataggatactttatacgaagttata−3’)(配列番号3)の塩基配列からなるDNA断片および(5’−agcttataacttcgtataaagtatcctatacgaagttatggatcca−3’)(配列番号4)の塩基配列からなるDNA断片]をアニーリングした後、プラスミドpPUR(BD Bioscience Clontech)のHindIIIサイトにクローニングし、プラスミドpPUR
lox2272を作製した。
【0116】
一方、プラスミドpTELpuro(Kuroiwaら、 Nat Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000、Kuroiwaら、Nat Biotechnol. 20: 889-894, 2002、Kuroiwaら、 Nat Biotechnol. 27: 173-181, 2009)のピューロマイシン耐性遺伝子(以下puro
rと称す)をhisD遺伝子に、EcoRIサイトをSrfIサイトに、さらにSpeIサイトをPmeIサイトに置換し、プラスミドpTEL’hisDPmを作製した。
【0117】
pPUR
lox2272のBamHI切断断片を平滑化した後pTEL’hisDPmのPmeIサイトにクローニングし、得られたプラスミドをpTEL’hisDpuro
lox2272とした。
【0118】
pTEL’hisDpuro
lox2272のBamHIサイトに上記PCRで増幅したDk−F9R9をサブクローニングし、プラスミドpTEL’hisDpuro
lox2272F9R9を作製した(
図4)。
【0119】
(2)ターゲティングベクター pTELCAGzeoSLF2R2の構築
(1)と同様に、プラスミドpTELpuroのEcoRIサイトをSrfIサイトに置換し、さらにSrfIサイトをPmeIサイトへ置換し、puro遺伝子をCAGzeo geneに置換することによりpTELCAGzeo(Sr)Pmを作製した。
【0120】
一方、ホモロジーアームとして用いるゲノムDNA断片を、SL−F2(5’−tcgaggatccggcctcccaaaggattatagacgtgagccactgt−3’)(配列番号5)およびSL−R2(5’−tcgaggatccaaagaaggggcccgcctctgcctctaaatcctgac−3’)(配列番号6)をPCRのプライマーセットとし、ヒト22番染色体を保持するニワトリDT40細胞の系統である52−18(Kuroiwaら、Nucleic Acids Res 26: 3447-3448, 1998)の染色体DNAを鋳型として、98℃10秒間、68℃9分間のサイクルを40回繰り返すことにより増幅した。
【0121】
得られたPCR産物をプラスミドpTELCAGzeo(Sr)PmのBamHIサイトにサブクローニングし、pTELCAGzeoSLF2R2を作製した(
図5)。
【0122】
(3)ターゲティングベクターp553CAG
lox2272BsrDTの構築
ターゲティングベクターpHCF2loxPHyg(Kuroiwaら、 Nat Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000)をHCF2遺伝子のホモロジーアーム配列を、PCRで増幅したAP000553座位(GenBank accession Number)配列と置換した構造のベクターを作製し、ターゲティングベクターp553loxPHyg(F)とした。
【0123】
その際、AP000553座位断片の増幅は553−F3(5’−tgtagctgactttagccacccacaagtac−3’)(配列番号7)および553−R3(5’−cttgctgattatacctcatctccttccctc−3’)(配列番号8)をプライマーセットとして用い、ニワトリDT40細胞52−18のゲノムDNAを鋳型として、98℃10秒間、68℃15分間のサイクルを40回繰り返すPCRにより行った。
【0124】
得られたプラスミドp553loxPHyg(F)をNotIで切断し、セルフライゲーションを行った後、SrfサイトにジフテリアトキシンAフラグメント(以下DT−Aと略す)断片をクローニングした。
【0125】
一方、pDRIVE−CAG(InvivoGen)を以下のように改変した。それぞれloxP配列を含むオリゴDNA[5’−gtacaataacttcgtatagcatacattatacgaagttatagatctg−3’(配列番号9)および5’−aattcagatctataacttcgtataatgtatgctatacgaagttatt−3’(配列番号10)]をアニーリングし、pDRIVE−CAGのlacZ fragmentを置換した。SdaIおよびSwaIで切断した断片をPstIおよびSmaIで切断したpBluescript SK−(Stratagene)にクローニングし、pCAG
loxPを作製した。
【0126】
続いて、2つのオリゴDNA[5’−gatctataacttcgtataggatactttatacgaagttatg−3’(配列番号11)および5’−ctagcataacttcgtataaagtatcctatacgaagttata−3’(配列番号12)]をアニールして生成したlox2272を含む配列でpCAG
loxPのloxP配列を置換した。さらに、ブラストサイジン耐性遺伝子(bsr遺伝子)をSpeIサイトに挿入し、pCAG
loxP2272bsrを作製した。
【0127】
最後に、NotI−KpnI断片(CAG−lox2272−polyA−bsr)をNotIサイトにクローニングし、p553CAG
lox2272BsrDT(
図6)を完成した。
【0128】
(4)ターゲティングベクターpSC355CAG
lox511hisDDTの構築
ホモロジーアームとして用いるゲノムDNAを、SC355−F3(5’−gtacaatcttggatcactacaacctctgcctacca−3’)(配列番号13)およびSC355−R3(5’−tgctgtgtctaatcaggtgttgaacccatctacta−3’)(配列番号14)をプライマーセットとし、ヒト14番染色体を含有するニワトリDT40細胞のゲノムDNAを鋳型として用い、98℃10秒間、68℃15分間のサイクルを40回繰り返すPCRにより増幅した。
【0129】
プラスミドpBluescriptのKpnIサイトをSrfIサイトに置換し、上記で増幅されたDNA断片を、SpeIサイトにサブクローニングした。得られたプラスミドをpSC355F3R3とした。
【0130】
次に、pCAG
loxPのloxP配列を、2つのオリゴDNA[5’−gatctataacttcgtatagtatacattatacgaagttatg−3’(配列番号15)の配列からなるDNA断片および5’−ctagcataacttcgtataatgtatactatacgaagttata−3’(配列番号16)の塩基配列からなるDNA断片]をアニールして生成したlox511を含む配列で置換し、pCAG
lox511とした。
【0131】
pCAG
lox511のSpeIサイトにhisD遺伝子を挿入し、pCAG
lox511hisDを作製した。NotIおよびKpnIで切断した断片(CAG−lox511−polyA−hisD)をpSC355F3R3のEcoRVサイトにクローニングした。最後にDT−A断片をNotIサイトにサブクローニングし、得られたプラスミドをpSC355CAG
lox511hisDDT(
図7)とした。
【0132】
(5)ターゲティングベクターp14CEN(FR)hygpuro
lox511DTの構築
ホモロジーアームとして用いるゲノムDNA断片を、14CEN−F(5’−tcgaggatccttcgccaccccaaagatgattacagattac−3’)(配列番号17)および14CEN−R(5’−tcgaggatcctacactagaagcacaaaccccaccattacacat−3’)(配列番号18)をプライマーセットとして、ヒト14番染色体を含有するニワトリDT40細胞のゲノムDNAを鋳型として用い、98℃10秒間、68℃15分間のサイクルを40回繰り返すPCRにより増幅した。
【0133】
PCR産物はKpnIサイトをPmeIサイトに置換したpBluescriptのBamHIサイトにサブクローニングし、p14CEN(FR)を作製した。
【0134】
lox511配列を含むオリゴDNA[5’−agcttggatccataacttcgtatagtatacattatacgaagttata−3’(配列番号19)の塩基配列からなるDNA断片および5’−agcttataacttcgtataatgtatactatacgaagttatggatcca−3’(配列番号20)の塩基配列からなるDNA断片]をアニーリングした。得られた断片を、プラスミドpPUR(BD Bioscience Clontech)のHindIIIサイトにクローニングし、プラスミドpPUR
lox511を作製した。
【0135】
pPUR
lox511のBamHI切断断片をpBluescriptのBamHIサイトに、ハイグロマイシン耐性遺伝子(hyg遺伝子)をEcoRVサイトにそれぞれクローニングし、pHygPuro
lox511を作製した。
【0136】
NotIおよびKpnIで切断した断片(puro−lox511−hyg)をp14CEN(FR)のHpaIサイトにクローニングした。最後に、DT−A断片をPmeIサイトにサブクローニングし、p14CEN(FR)hygpuro
lox511DT(
図8)を完成した。
【0137】
(6)ターゲティングベクターpRNR2
loxPbsrDTの構築
ベクターpRNR2
loxPbsr(Kuroiwaら、Nat Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000)にDT−A断片を挿入し、ターゲティングベクターpRNR2
loxPbsrDT(
図9)を構築した。
【0138】
(7)ターゲティングベクターpCH1CAGzeoDTの構築
κHAC(国際公開第2009/111086号)のλファージゲノムライブラリーを、κHACを含むCHO細胞より、λFIX IIベクターを用いてカスタムライブラリー構築サービス(Lofstrand社)により構築した。
【0139】
構築したゲノムライブラリーからヒトIgM定常領域を含むクローンを、5’−cagtccccggcagattcaggtgtcc−3’(配列番号21)および5’−gaaagtggcattggggtggctctcg−3’(配列番号22)の塩基配列からなるDNAをプライマーとして用い、κHACを含有するCHO細胞(国際公開第2009/111086号)より抽出した染色体DNAを鋳型として98℃10秒間、64℃30秒間、72℃1分間のサイクルを40回繰り返すことにより増幅したPCR産物をプローブとしてスクリーニングした。その結果クローン#1、#4および#7が単離された。
【0140】
クローン#4(PmlI断片、1.7kb)をpBluescriptのSmaIサイトにサブクローニングし、pCH1S(F)とした。SalI−ウシIGHM染色体断片がpBluescriptにクローニングされたプラスミドpBCμAY37−95由来のSacI−PmlI断片(1kb)をpCH1S(F)のPstIサイトにサブクローニングし、pCH1SSP(F)を作製した。
【0141】
クローン#1由来のSmaI−EcoRI断片(7.4kb)をEcoRV/EcoRIで切断したpCH1SSP(F)にクローニングし、pCH1SLを作製した。
【0142】
一方、pBCμAY37−95からSacI切断断片(3.5kb)をpBluescriptにサブクローニングした。得られたプラスミドのVan91Iサイトに、loxP配列の導入されたCAGzeoのXhoI切断断片(pBS246(Gibco)のEcoRVサイトにCAGzeo断片を挿入し、XhoIで切断した断片)をクローニングし、pmAYSazeo(F)を作製した。
【0143】
さらに、pmAYSazeo(F)のSacI断片を、平滑化したpCH1SLのEcoRIサイトにサブクローニングし、pCH1zeo(F)を作製した。最後に、DT−A断片をpCH1zeo(F)のNotIサイトにサブクローニングし、pCH1CAGzeoDTを完成した(
図10)。
【0144】
(8)ターゲティングベクターpCH2CAGzeoDTの構築
それぞれ5’−ggaccaggtggagactgtgcagtcctcacccataactttcagggcctacagcatgctg−3’(配列番号23)および5’−cagcatgctgtaggccctgaaagttatgggtgaggactgcacagtctccacctggtcc−3’(配列番号24)の塩基配列からなるオリゴDNAをアニーリングしてできたSeSp断片を、平滑化したpBluscriptのPstIサイトにクローニングした。
【0145】
pBCμAY37−95より、SphIおよびBamHIで切断した断片(約2kb)を、上記で得られたプラスミドのSphI−BamHIサイトにサブクローニングし、pmAYSpBを作製した。
【0146】
同様に、pBCμAY37−95のBamHIおよびPmlIで切断した断片(約2kb)を、pmAYSpBのBamHI−PmlIサイト(本来のSpeIサイトを置換したもの)にサブクローニングしてpmAYSpBPmlを作製した。
【0147】
実施例1(7)のクローン#1のEcoRI−SexAI断片(約0.6kb)をpmAYSpBPmlのEcoRI−SexA1サイトにサブクローニングしてpRISeを作製した。
【0148】
次に、loxP配列が導入されたCAGzeoをpRISeのVan91Iサイトにサブクローニングし、pRISeCAGzeo(R)を作製した。さらに、pRISeCAGzeo(R)のNotIサイトをEcoRIサイトに置換し、pRISeCAGzeoEを作製した。
【0149】
一方、実施例1(7)のクローン#4のPmlI断片(約1.7kb)を、EcoRVサイトをMluIサイトに置換したpBluescriptのSmaIサイトにサブクローニングし、pCH2S(F)を作製した。
【0150】
実施例1(7)のクローン#1のMluIおよびEcoRIで切断した断片(約6.6kb)をpCH2S(F)のMluI−EcoRIサイトにクローニングし、pCH2LSを作製した。
【0151】
次に、pRISeCAGzeoEのEcoRI断片をpCH2LSのEcoRIサイトにサブクローニングし、pCH2CAGzeo(F)を作製した。最後に、DT−A断片をpCH2CAGzeo(F)のNotIサイトにサブクローニングし、pCH2CAGzeoDT(
図11)を完成した。
【0152】
[実施例2]KSL−HACの構築
(1)ニワトリDT40細胞内におけるヒト2番染色体の改変
ヒト2番染色体のAP104134座位にて欠失を生じさせかつlox2272配列とプロモーターレスpuro
rカセットを挿入するため、ターゲティングベクターpTEL’hisDpurolox2272F9R9をSrfI(Stratagene)で線状化し、CD8A遺伝子座で切断されたヒト2番染色体断片を保有するニワトリDT40細胞の系統であるKTL1(Kuroiwaら、 Nat. Biotechnol. 27: 173-181, 2009)に、エレクトロポレーション(550V、25μF)により導入した。DT40細胞のエレクトロポレーションは既報(Kuroiwaら、Nat. Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000)に記載の方法により行った。
【0153】
コロニーをヒスチジノール(0.5mg/ml、Sigma)による2週間の選抜に供し、ピューロマイシン(1μg/ml、Sigma)に対する感受性を、CD8A遺伝子座のpuro
rカセットの脱落の指標として測定した。ピューロマイシン感受性のコロニーからGentra Puregene cell kit(QIAGEN)を使用して染色体DNAを抽出し、FABP1−F(5’−tatcaagggggtgtcggaaatcgtg−3’)(配列番号25)およびFABP1−R(5’−actgggcctgggagaacctgagact−3’)(配列番号26)をプライマーとしたPCRスクリーニングに供した。
【0154】
PCRを、98℃10秒間、60℃30秒間、72℃1分間のサイクルを30回繰り返すことで、KTL1に存在し、標的クローンには存在しないFABP1遺伝子座を増幅するような条件で行った。その結果、クローンK53が、所望の欠失を生じたクローンとして同定された。
図12に、ニワトリDT40細胞内においてヒト2番染色体を改変する方法の概要を示す。
【0155】
(2)ニワトリDT40細胞内におけるヒト22番染色体の改変
ヒト22番染色体のAP000344座位(Kuroiwaら、Nat. Biotechnol. 20: 889-894, 2002)より約450Mbテロメア側に位置するAP000350座位で欠失を生じさせるため、ターゲティングベクターpTELCAGzeoSLFRをPmeI(New England Biolabs)で線状化し、ヒト22番染色体を保持するニワトリDT40細胞の系統である52−18(Kuroiwaら、Nucleic Acids Res 26: 3447-3448, 1998)に、エレクトロポレーション(550V、25μF)により導入した。
【0156】
コロニーをゼオシン(1mg/ml、Invitrogen)による2週間の選抜に供した。得られたコロニーから抽出したゲノムDNAを350T−F(5’−gaggtgggctgaggggcaagtgtg−3’)(配列番号27)および350T−R(5’−tacgaggaggggaggcagtgagagg−3’)(配列番号28)をプライマーとし、PCRスクリーニングに供した。
【0157】
PCRは、52−18に存在しターゲティングの起こったクローンには存在しない、AP000350座位が増幅される条件(98℃10秒間、63℃30秒間、72℃1分間のサイクルを30回繰り返す)により行った。その結果、クローンST13において切断が正しく生じていることがわかった。
【0158】
lox2272配列およびCAGプロモーターをAP000553座位に組込むため、ST13にPmeI(New England Biolabs)で線状化したターゲティングベクターp553CAGlox2272bsrDTをエレクトロポレーション(550V、25μF)で導入した。
【0159】
コロニーをブラストサイジンS(15μg/ml、インビトロジェン)による2週間の選抜に供した。得られたコロニーからゲノムDNAを抽出し、553KO−F(5’−gtcagccaggcgggccatttaccgtaagttatgta−3’)(配列番号29)および553KO−R(5’−agggctgggttagatggcaccaaatgaaaggagaa−3’)(配列番号30)をプライマーとするPCRスクリーニングに供した。
【0160】
PCRは98℃10秒間、68℃6分間のサイクルを40回繰り返すことにより行った。その結果、クローンSTL54が、ターゲティングの起こったクローンとして同定された。
図13に、ニワトリDT40細胞内においてヒト22番染色体を改変する方法の概要を示す。
【0161】
(3)DT40ハイブリッド細胞内におけるSLKH断片の構築
SLKH断片を既報(Kuroiwaら、Nat. Biotechnol. 27: 173-181, 2009)の方法に倣い、ニワトリDT40ハイブリッド細胞内で構築した。
【0162】
hyg
rカセットを有するヒト2番染色体由来断片を含む実施例2(1)のK53(Kuroiwaら、Nat. Biotechnol. 27: 173-181, 2009)、およびbs
rカセットを有するヒト22番染色体由来断片を含む実施例2(2)のSTL54を、PEG1500(Roche)を用いて融合し、DT40ハイブリッド細胞を作製した。
【0163】
コロニーをハイグロマイシンB(1.5mg/ml、インビトロジェン)およびブラストサイジンS(20μg/ml、インビトロジェン)の存在下で3週間維持し、両方のヒト染色体断片を保持する細胞を選択した。ゲノムDNAをコロニーより抽出し、PCRに供した。
【0164】
ヒト2番染色体断片の保持を、表1に示すプライマーの組み合わせで、cos138KO−Fおよびcos138KO−Rを用いる場合には98℃10秒間、65℃8分間から成るサイクルを40回、それ以外の場合は98℃10秒間、60℃30秒間、72℃1分間から成るサイクルを40回繰り返すPCRをそれぞれ行うことにより確認した。
【0165】
【表1】
【0166】
ヒト22番染色体断片の保持を、以下の表2に示すプライマーとサイクルによるPCRをそれぞれ行うことにより確認した。
【0167】
各PCR反応を、PCR1と7は98℃10秒間、60℃30秒間、72℃1分間を40回のサイクルで、PCR2と3は98℃10秒間、63℃30秒間、72℃1分間を40回のサイクルで、PCR4と5は98℃10秒間、56℃30秒間、72℃1分間を40回のサイクルで、PCR6は98℃10分間、65℃30秒間、72℃1分間を40回のサイクルで、PCR8は98℃10秒間、68℃6分間のサイクルを40回のサイクルで行った。
【0168】
【表2】
【0169】
さらに、Human Cot−1 DNA(Invitrogen)をプローブとして用いた蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を既報(Kuroiwaら、 Nat. Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000)の方法に従って行い、2つのヒト染色体断片が適切なサイズ(ヒト2番染色体断片は約154Mb、ヒト22番染色体断片は約24Mb)を有していることを確認した。その結果、クローンSLK2を陽性クローンとして同定した。
【0170】
2つのlox2272部位とヒト2番染色体断片上のAC104134座位、およびヒト22番染色体断片上のAP000553座位との間で部位特異的組換えを起こさせるため、SLK2をCre発現プラスミドをエレクトロポレーション(550V、25μF)により導入した。
【0171】
転座位置で形成されたCAG プロモーター−lox2272−puro
rカセットにより付与されるピューロマイシン耐性を利用し、組換え体をピューロマイシン(1〜5μg/ml、Invitrogen)存在下、10日間にて選抜した。
【0172】
さらに、CAGpuro−F3(5’−gcggcgccggcaggaaggaaatg−3’)(配列番号57)およびCAGpuro−R3(5’−cgaggcgcaccgtgggcttgta−3’)(配列番号58)をプライマーとして用いた、PCR(98℃10秒間、68℃1.5分間のサイクルを40回)およびPCR産物の配列解析により組み換えが起こっていることを確認した。
【0173】
その結果、SLKH6を、所望の転座が生じSLKH断片を保持したクローンとして同定した。
図14に、DT40ハイブリッド細胞内においてSLKH断片を構築する方法の概要を示す。
【0174】
[実施例3]CH2Dの構築
(1)DT40細胞中におけるヒト14番染色体の改変1
IgH遺伝子座より約300kbセントロメア側に位置するAL512355座位にlox511配列およびCAGプロモーターを組込むため、pSTneo(Katohら、Cell Structure and Function, 12, 575-580, 1987;Japanese Collection of Research Biologicals(JCRB)バンク、寄託番号VE039)で標識した無傷なヒト14番染色体を保持するDT40細胞に、SrfI(Stratagene)で線状化したターゲティングベクターpSC355CAGlox511hisDDTを、エレクトロポレーション(550V、25μF)により導入した。DT40細胞へのエレクトロポレーション方法は既報に記載されている(Kuroiwaら、Nat. Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000)。
【0175】
コロニーをヒスチジノール(0.5mg/ml、Sigma))による2週間での選抜に供し、耐性コロニーより抽出したゲノムDNAをPCRスクリーニングに供した。
【0176】
PCRを、ターゲティングの起こったクローンを増幅するプライマーSC355KO−F2(5’−acggcgtgaggaccaaggagcgaaacc−3’)(配列番号59)およびSC355KO−R2(5’−tgagcgacgaattaaaacaggcgatgac−3’)(配列番号60)を用いて98℃10秒間、68℃6分間を40回繰り返すサイクルで、また、ベクター断片がランダムに組込まれたクローンを増幅するプライマー355N−F(5’−gggcaacatagcaagacaccattc−3’)(配列番号61)および355N−R(5’−tcctctcacctcagcctccatagta−3’)(配列番号62)を用いて98℃10秒間、60℃30秒間、72℃1分間を40回繰り返すサイクルで行った。
【0177】
その結果、クローンI355−2を、ターゲティングの起こったクローンとして同定した。
【0178】
次に、AL512355座位より85Mbセントロメア側のAL391156領域へlox511配列およびプロモーターレスpuro
rカセットを挿入するため、I355−2に、NotI(Roche)で線状化したターゲティングベクターp14CEN(FR)hygpuro lox511DTをエレクトロポレーション(550V、25μF)により導入した。
【0179】
コロニーをハイグロマイシン(1.5mg/ml、Invitrogen)による2週間の選抜に供し、耐性コロニーより抽出したゲノムDNAをPCRスクリーニングに供した。プライマー14CENKO−F3(5’−actgaaatattttaaatgtttgcccttcccactcc−3’)(配列番号63)および14CENKO−R3(5’−agacctccgcgccccgcaacctccccttctac−3’)(配列番号64)を用い、98℃を10秒間、68℃を5分間のサイクル40回繰り返す条件のPCRにてターゲティングが起こったものを判定した。
【0180】
また、プライマー14CEN(N)−F2(5’−aacagttgaatttatggggagtc−3’)(配列番号65)および14CEN(N)−R2(5’−tcaggctttaaacacagtatcacag−3’)(配列番号66)を用い、98℃を10秒間、60℃を30秒間、72℃を1分間のサイクルを30回繰り返す条件のPCRにて、ランダム挿入を判定した。
【0181】
その結果、クローンI156−10を、ターゲティングの起こったクローンとして同定した。
【0182】
AL512355座位およびAL391156座位に各々配置された2つのlox511部位の間で、部位特異的組み換えを起こすことにより、ヒト14番染色体より約85Mbの配列を削除して約106Mbから21Mbに短縮するため、I156−10にCre発現プラスミドをエレクトロポレーション(550V、25μF)により導入した。
【0183】
組み換え部位に形成されたCAGプロモーター−lox511−purorカセットによりピューロマイシン耐性が付与されるため、4日間培養した後、コロニーをピューロマイシン(5μg/ml、Sigma)による選抜に供した。実施例2(3)に記載のプライマーCAGpuro−F3およびCAGpuro−R3を用いてPCRを行い、PCR産物の配列を解析することにより、該カセットの存在を確認した。
【0184】
また、この85Mbの削除の結果hisDおよびhyg
rカセットのいずれもが喪失したことを確認するため、ヒスチジノール(0.5mg/ml、Sigma)およびハイグロマイシン(1.5mg/ml、Invitrogen)に対する感受性を解析した。さらに、Human Cot−1 DNA(Invitrogen)をプローブとしたFISHによりヒト14番染色体が短縮していることを確認した。
【0185】
以上より、クローンD8を、所望の短縮がなされたクローンとして同定した。
【0186】
ヒト14番染色体のRNR2遺伝子座(Kuroiwa ら, Nat. Biotechnol. 27: 173-181, 2009)上のGFPコード配列にloxP配列を組込むため、SwaI(Roche)で線状化したターゲティングベクターpRNR2loxPbsrDTを、エレクトロポレーションによりクローンD8に導入した(550V、25μF)。コロニーをブラストサイジンS(20μg/ml、Invitrogen)による2週間の選抜に供した。耐性コロニーのゲノムDNAを、プライマーRNR2−1(5’−tggatgtatcctgtcaagagacc−3’)(配列番号87)およびSTOP−3(5’−cagacactctatgcctgtgtgg−3’)(配列番号88)を用いて、98℃で10秒間、65℃で5分間から成るサイクルを40回繰り返すPCRによる、スクリーニングに供した。
【0187】
その結果、クローン14D1および14D3を、14D断片を保持する陽性クローンとして同定した。
【0188】
ヒトイムノグロブリンμ重鎖定常領域のCH2ドメインからTM2ドメインまでをウシ由来配列へ置換してキメラIgMを作製するため、SalI(Roche)で線状化したターゲティングベクターpCH2CAGzeoDT(F)を、エレクトロポレーションによりクローン14D1へ導入した(550V、25μF)。
【0189】
コロニーをゼオシン1mg/mlによる2週間の選抜に供し、耐性コロニーのゲノムDNAをPCRスクリーニングに供した。PCRはプライマーcHAC−F(5’−acgcctgctcgcctgcccgctcgcttct−3’)(配列番号67)およびcHAC−R(5’−ttgccagggccacagttaacggatacg−3’)(配列番号68)を用い、98℃を10秒間、68℃を5分間のサイクルを40回繰り返す条件で行った。
【0190】
ウシ配列とヒト配列の5’および3’の連結部分はプライマーCH2 5’−F(5’−cagcaccccaacggcaacaaagaaa−3’)(配列番号69)およびCH2 5’−R(5’−ccccagggctgcactcaccaacat−3’)(配列番号70)を用い、98℃を10秒、64℃を30秒、72℃を1分のサイクルを40回繰り返す条件、ならびに、cHAC−F3(5’−tgcaggtgaagtgacggccagccaagaaca−3’)(配列番号71)およびcHAC−R3(5’−tggcagcagggtgacagggaaggcagggaaaag−3’)(配列番号72)をプライマーとし、98℃を10秒間、68℃を8分間のサイクルを40回繰り返す条件のPCRを行い、PCR産物の配列を解析することにより確認した。
【0191】
以上より、クローンCH2D−4を、CH2D断片を保持する陽性クローンとして同定した。
図15および16に、DT40細胞中においてヒト14番染色体を改変する方法の概要を示す。
【0192】
[実施例4]cKSL−HACΔの構築
(1)DT40ハイブリッド細胞内におけるcKSL−HACΔの構築
既報(Kuroiwaら、Nat. Biotechnol. 27: 173-181, 2009)の方法に倣い、DT40ハイブリッド内でcKSL−HACΔを構築した。
【0193】
hyg
rカセットを含む実施例2(3)のSLKH6と、bs
rカセットを含む実施例3(1)のCH2D−4とを、PEG1500(Roche)を用いて融合し、DT40ハイブリッド細胞を作製した。
【0194】
コロニーをハイグロマイシンB(1.5mg/ml、Invitrogen)およびブラストサイジンS(20μg/ml、Invitrogen)存在下で3週間維持し、SLKH断片およびCH2D断片を両方保持する細胞を選択した。耐性コロニーよりゲノムDNAを抽出し、PCRに供した。
【0195】
SLKH断片の保持を、以下のプライマーを用いたPCRにより確認した。すなわち、IGKC−FおよびIGKC−Rの組み合わせ、IGKV−FおよびIGKV−Rの組み合わせ、RPIA−FおよびRPIA−Rの組み合わせ、EIF2AK3−FおよびEIF2AK3−Rの組み合わせ、cos138KO−Fおよびcos138KO−Rの組み合わせ、CAGpuro−F3およびCAGpuro−R3の組み合わせ、553P−Fおよび553P−Rの組み合わせ、hVpreB1−FおよびhVpreB1−Rの組み合わせ、hVpreB3−FおよびhVpreB3−Rの組み合わせ、IgL−FおよびIgL−Rの組み合わせ、344−Fおよび344−Rの組み合わせ、hL5−FおよびhL5−Rの組み合わせ、350P−Fおよび350P−Rの組み合わせ、並びに553KO−Fおよび553KOの組み合わせ(以上すべて実施例2に記載)を用いた。
【0196】
CH2D断片の保持を、以下のプライマーを用いたPCRにより確認した。すなわち、CAGpuro−F3およびCAGpuro−R3[実施例2(3)に記載]の組み合わせ、RNR2−1およびSTOP−3の組み合わせ[実施例3(1)に記載]、VH3−F(5’−agtgagataagcagtggatg−3’)(配列番号73)およびVH3−R(5’−cttgtgctactcccatcact−3’)(配列番号74)の組み合わせ、g1(g2)−F(5’−accccaaaggccaaactctccactc−3’)(配列番号75)およびg1(g2)−R(5’−cacttgtactccttgccattcagc−3’)(配列番号76)の組み合わせ、14CENKO−F3(5’−actgaaatattttaaatgtttgcccttcccactcc−3’)(配列番号89)および14CENKO−R3(5’−agacctccgcgccccgcaacctccccttctac−3’)(配列番号90)の組み合わせ、CH2 5’−F(5’−cagcaccccaacggcaacaaagaaa−3’)(配列番号91)およびCH2 5’−R(5’−ccccagggctgcactcaccaacat−3’)(配列番号92)の組み合わせ、cHAC−F3(5’−tgcaggtgaagtgacggccagccaagaaca−3’)(配列番号93)およびcHAC−R3の組み合わせ(5’−tggcagcagggtgacagggaaggcagggaaaag−3’)(配列番号94)、並びにSC355F3R3KO−F2(5’−gccattgtcgagcaggtagt−3’)(配列番号95)およびSC355F3R3KO−R2(5’−tccctcatcagccatcctaa−3’)(配列番号96)の組み合わせを用いた。
【0197】
PCR条件としては、CAGpuro−F3およびCAGpuro−R3の組み合わせでは、98℃10秒間、68℃1.5分間のサイクルを40回繰り返す条件で、RNR2−1およびSTOP−3の組み合わせでは、98℃を10秒間、65℃を5分間のサイクルを40回繰り返す条件で、VH3−FおよびVH3−Rの組み合わせでは、98℃を10秒間、56℃を30秒間、72℃を1分間のサイクルを40回繰り返す条件で、g1(g2)−Fおよびg1(g2)−Rの組み合わせでは、98℃を10秒間、60℃を30秒間、72℃を1分間のサイクルを40回繰り返す条件で、14CENKO−F3および14CENKO−R3の組み合わせでは、98℃を10秒間、68℃を5分間のサイクル40回繰り返す条件で、CH2 5’−FおよびCH2 5’−Rの組み合わせでは、98℃を10秒間、64℃を30秒間、72℃を1分間のサイクルを40回繰り返す条件で、cHAC−F3およびcHAC−R3の組み合わせでは、98℃を10秒間、68℃を8分間のサイクルを40回繰り返す条件で、SC355F3R3KO−F2およびSC355F3R3KO−R2の組み合わせでは、98℃を10秒間、60℃を30秒間、72℃を1分間のサイクルを40回繰り返す条件とした。
【0198】
さらに、Human Cot−1 DNA(Invitrogen)をプローブに用いたFISHによって、2つのヒト染色体断片が適切なサイズ(SLKH断片は約156Mb、CH2D断片は約21Mb)であることを確認した。
【0199】
以上より、クローンcKSLD2およびcKSLD22を、陽性クローンとして同定した。
【0200】
SLKH断片[実施例2(3)]のcos138座位およびCH2D断片[実施例3(1)]のRNR2遺伝子座に各々配置された2つのloxP部位の間で、部位特異的組み換えを起こし、キメラIgμ遺伝子座上のloxP配列で挟まれたCAGプロモーター−zeo
rカセット[実施例3(1)]を削除するため、Cre発現ベクターをエレクトロポレーションによりcKSLD2およびcKSLD22へ導入した(550V、25μF)。
【0201】
転座部位に構成されたPGKプロモーター−loxP−GFPカセットによりGFP発現能が付与されるため、既報(Kuroiwaら, Nat. Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000)に記載の方法により、FACSAriaを用いてGFP陽性細胞のソーティングすることにより、組み換え体を濃縮した。
【0202】
ソーティングを2回行い、2つの異なるGFP発現レベルを有するGFP陽性の細胞集団を取得した。
【0203】
PCRプライマーPGK2(5’−tgttctcctcttcctcatctcc−3’)(配列番号79)およびGFP2(5’−tgaaggtagtgaccagtgttgg−3’)(配列番号80)、PCRプライマーCreCAGzeo−F3(5’−gccctcaccttgcagaccacctccatcat−3’)(配列番号77)およびCreCAGZeo−R3(5’−cctctcctgctcagtccccttccttccatc−3’)(配列番号78)を用いて、98℃を10秒、68℃を4分のサイクルを40回繰り返すPCRにより、キメラIgμ遺伝子座のCAGプロモーター−zeo
rカセットの削除が確認されたことから、GFP発現レベルの低い集団は所望の転座を生じたcKSL−HACΔを保持していることが示唆された。
【0204】
cKSLD2由来のcKSLDH2(2L)およびcKSLD22由来のcKSLDH22(2L)が、cKSL−HACΔを保持し、低いGFP発現レベルを示す細胞集団から成るDT40ハイブリッド細胞株として同定された。
図17に、DT40ハイブリッド細胞内においてcKSL−HACΔを構築する方法の概要を示す。
【0205】
(2)MMCT法によるcKSL−HACΔのDT40ハイブリッド細胞からCHO細胞への移入
以下のようにして、DT40ハイブリッド細胞株cKSLDH2(2L)またはcKSLDH22(2L)からチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞へ、実施例4(1)記載のcKSL−HACΔをMMCT法により移入した。
【0206】
精製したcKSLDH2(2L)またはcKSLDH22(2L)由来の微小核を、PEG1500(Roche)を用いて約2×10
7個のCHO細胞と融合し、ゼオシン(800μg/ml、Invitrogen)およびウアバイン(10
−5M、Sigma)による3週間の選抜を行った。
【0207】
ゼオシン耐性コロニーを採取し、ゲノムDNAを抽出してPCRスクリーニングに供した。cKSL−HACΔの保持を、以下のPCRプライマーを用いて確認した。すなわち、IGKC−FおよびIGKC−Rの組み合わせ、IGKV−FおよびIGKV−Rの組み合わせ、RPIA−FおよびRPIA−Rの組み合わせ、EIF2AK3−FおよびEIF2AK3−Rの組み合わせ、cos138KO−Fおよびcos138KO−Rの組み合わせ、CAGpuro−F3およびCAGpuro−R3の組み合わせ、553P−Fおよび553P−Rの組み合わせ、hVpreB1−FおよびhVpreB1−Rの組み合わせ、hVpreB3−FおよびhVpreB3−Rの組み合わせ、IgL−FおよびIgL−Rの組み合わせ、344−Fおよび344−Rの組み合わせ、hL5−FおよびhL5−Rの組み合わせ、350P−Fおよび350P−Rの組み合わせ、553KO−Fおよび553KO−Rの組み合わせ[以上いずれも実施例2(3)に記載]、VH3−FおよびVH3−Rの組み合わせ、g1(g2)−Fおよびg1(g2)−Rの組み合わせ、PGK2およびGFP2の組み合わせ、14CENKO−F3および14CENKO−R3の組み合わせ、CH2 5’−FおよびCH2 5’−Rの組み合わせ、cHAC−F3およびcHAC−R3の組み合わせ[以上いずれも実施例3(1)に記載]、SC355F3R3KO−F2およびSC355F3R3KO−R2[実施例3(2)]の組み合わせ、並びにCreCAGzeo−F3およびCreCAGzeo−R3の組み合わせ[以上いずれも実施例4(1)に記載]を用いた。
【0208】
さらに、Human Cot−1 DNA(Invitrogen)をプローブとして用いたFISHにより、cKSL−HACΔの保持を確認した。また、Roswell Park Cancer Institute Human Male BAC Library(RPCI−11)のBACクローンRP11−417P24、RP11−316G9およびRP11−22M5(有限会社ジェノテックス、Advanced GenoTechs Co.)をプローブとした3色FISH(Three−color FISH)により、cKSL−HACΔ上のヒトイムノグロブリン重鎖(IgH)、イムノグロブリンκ鎖(Igκ)およびイムノグロブリンλ鎖(Igλ)遺伝子座の存在を、確認した。
【0209】
Roche NimbleGenにて、ヒトIgH、IgκおよびIgλの遺伝子座をカバーする約72000のプローブを用いたカスタムメイドアレイを用いて、Comparative Genomic Hybridization(CGH)解析を行った。その結果、cKSLD2(2L)からMMCT法により得られたクローンcKSLDC6と、cKSLDH22(2L)からMMCT法により得られたクローンcKSLDC15およびcKSLDC23とが、相同な構造を有していることが示された。
【0210】
[実施例5]KcHACの構築
(1)ウシ線維芽細胞中のKcHACの構築
ウシ線維芽細胞株C537(κHAC/IGHM
−/−IGHML1
−/−)に、ターゲティングベクターpCH1CAGzeoDTを400μg/mlのゼオシンを選択用に用いた他は、既報の通り(Kuroiwaら、 Nat Genet. 36: 775-780, 2004)にトランスフェクトした。
【0211】
組み換え体を、cHAC−F3R3[5’−tgcaggtgaagtgacggccagccaagaaca−3’(配列番号81)および5’−tggcagcagggtgacagggaaggcagggaaaag−3’(配列番号82)]をプライマーセットとして用い、98℃を10秒間、68℃を8分間のサイクルを40回繰り返すゲノムPCRによって、同定した。
【0212】
コロニー#30を、KcHACを保持する在胎40日目の胎仔および細胞株C815を樹立するためのクローニングに用いた。
図18に、ウシ線維芽細胞中においてKcHACを構築する方法の概要を示す。
【0213】
(2)CAGzeoカセットの削除
細胞株C815にKcHACからCAGzeoカセットを除くため、Cre発現プラスミド(環状)およびpBShisD/XmnI(線状)を共導入した。
【0214】
コロニーをhisD(1mg/ml)選抜に供した。zeo−Fおよびzeo−R[それぞれ5’−acgtcgccggagcggtcgagttctg−3’(配列番号83)および5’−tcggccacgaagtgcacgcagttgc−3’(配列番号84)の塩基配列からなる]およびCre−FおよびCre−R[それぞれ5’−aaaacaggctctagcgttcg−3’(配列番号85)および5’−ttcggatcatcagctacacc−3’(配列番号86)の塩基配列からなる]をそれぞれプライマーセットとし、98℃を10秒間、65℃または58℃を30秒間、72℃を30秒間のサイクルを40回繰り返すゲノムPCRにより、CAGzeoカセットおよびCre配列が含まれないことを確認することで、CAGzeoカセットが削除されたクローンを同定した。
【0215】
コロニー#15を、CAGzeoが削除されたKcHACを保持する在胎40日目の胎仔および細胞株M112を作製するためのクローニングに使用した。
【0216】
(3)ウシ線維芽細胞からCHO細胞へのWCF法によるKcHACの移入
細胞株M112をCHO−K1細胞とのWCFに供した。各2×10
−6個の細胞をPEG1500(Roche)を用いて融合し、G418(600μg/ml、Invitrogen)およびウアバイン(1×10
−5mol/L、Sigma)存在下2−3週間の薬剤選抜を行った。
【0217】
CHO状のコロニーを、CH3−F3およびCH4−R2の組み合わせ、VH3−F3R3の組み合わせ、IGKV−FRおよびIGKC−FRの組み合わせ、並びにPGK2およびGFP2の組み合わせをそれぞれプライマーセットとする一連のゲノムPCRによるスクリーニングに供した。
【0218】
クローンCKF4を、ウシ繊維芽細胞へのKcHAC移入用のドナーとして同定した。
【0219】
[実施例6]ヒトIgG生産用HACウシを生成するためのウシ細胞株へのHACの移入
cKSL−HACΔをハイブリッド細胞からCHO細胞へMMCT法(Kuroiwaら、 Nat Biotechnol. 18: 1086-1090, 2000)を用いて移入した。
【0220】
KcHACを含有するCHOクローンを10%FBS(Invitrogen)およびG418(0.6mg/ml)を添加したF12培地(Invitrogen)で、37℃、5%のCO
2条件で培養した。また、cKSL−HACΔを含有するCHOクローンを10%FBS(Gibco)およびゼオシン(0.8mg/ml)を加えたF12培地(Invitrogen)で、37℃、5%のCO
2条件で培養した。
【0221】
HAC含有クローンを12本のT25フラスコで拡大培養した。細胞密度が80−90%に到達したのち、コルセミド(colcemid、Sigma)を終濃度0.1μg/mlになるように培地に添加した。
【0222】
3日後培地を10μg/mlのサイトカラシンB(cytochalasin B、Sigma)を加えたDMEM培地(Invitrogen)に交換した。フラスコを8000回転で60分遠心し、微小核を回収した。微小核を8、5、3−μmフィルター(Costar)を通して精製し、DMEM培地に再縣濁した。微小核は後述のウシ繊維芽細胞との融合に使用した。
【0223】
ウシ胎児線維芽細胞(IGHM
−/−IGHML1
−/−、Kuroiwaら、Nat Biotechnol. 27: 173-181, 2009)を、15%FBS(Hyclone)を加えたα−MEM培地(Invitrogen)中、38.5℃、6.5%CO
2の条件下で培養した。繊維芽細胞はT175フラスコで拡大培養した。細胞密度が70−80%に到達したところで細胞を0.05%トリプシンで細胞から分離した。分離した繊維芽細胞をDMEM培地で2回洗浄し、微小核懸濁液上に重層した。
【0224】
微小核−線維芽細胞懸濁液を1500rpmで5分遠心した後、PEG1500(Roche)を添付文書のプロトコールに従ってペレットに添加し、微小核とウシ線維芽細胞とを融合した。
【0225】
続いて、融合細胞を24−wellプレート10枚に播種し、15%FBSを添加したα−MEM培地で24時間培養した。その後、KcHACの場合は0.8mg/mlのG418を、cKSL−HACΔの場合は0.6mg/mlのゼオシンを含む培地に交換した。
【0226】
抗生物質存在下で約2週間培養した後、薬剤耐性を有する融合細胞を選択した。
【0227】
選択した各種HACを含有する融合細胞をクロマチンドナーとして用い、国際公開第2002/051997号に記載のクロマチントランスファー法により各種HAC含有ウシを作製した。
【0228】
[実施例7]HACウシ血清中におけるヒトIgGレベルの評価
作製した各種のHACウシ血清中のヒトIgGレベルを既報(Kuroiwaら、Nat Biotechnol. 27: 173-181, 2009)に記載の方法で測定した。6月齢での各HACウシ血清中の総ヒトIgG量を以下の
図19に示す。また、6月齢の各種HACウシ血清中の総ヒトIgG量の平均値を以下の表3に示す。
【0229】
【表3】
【0230】
図19および表3に示すように、KcHACまたはcKSL−HACΔを有するウシでは、κHACウシに比べて、血清中のヒトIgG生産量が有意に増加していた。
【0231】
また、既報(Kuroiwaら、Nat Biotechnol. 27: 173-181, 2009)に従い、HACウシの末梢血およびリンパ節におけるB細胞プロファイルをフローサイトメトリーにより解析した。その結果、KcHACウシおよびcKSL−HACΔウシの末梢血では、IgMを発現するB細胞の数がκHACウシに比べて増加していた。また、cKSL−HACΔウシのリンパ節でもIgMを発現しているB細胞の数がκHACウシに比べて増加していた。
【0232】
[実施例8]HACウシによる炭疽菌防御抗原に対するヒトIgGの生産
HACウシが、既知の単一抗原に対し、ヒトIgGによる抗原特異的な液性応答を惹起し得ることを評価するため、炭疽菌防御(以下、PAと称す)抗原を用いて検討を行った。既報の記載(Kuroiwaら、Nat Biotechnol. 27: 173-181, 2009)に従って、3頭のKcHAC/IGHM
−/−IGHML1
−/−ウシ(No.1710、No.1824およびNo.1834)をPAで免疫し、PA特異的ヒトIgGの力価を測定した。結果を表4に示す。
【0233】
【表4】
【0234】
その結果、KcHACウシは免疫2回目時点において約12000〜63000U/mg IgGのPA特異的ヒトIgGを生産し、No.1834においては免疫5回目まで免疫を繰り返すごとに力価PA特異的ヒトIgGの生産量が増大した。
【0235】
[実施例9]HACウシによるT細胞表面膜タンパク質混合物に対するヒトIgGの生産
HACウシが、未知の複合抗原に対し、ヒトIgGによる抗原特異的な液性応答を惹起し得ることを評価するため、T細胞表面膜タンパク質混合物(CEM膜調製画分、以下CEMと略す)を抗原として用い、検討を行った。
【0236】
(1)CEM細胞の培養
10%ウシ胎児血清(Hyclone)を含むRPMI1640培地(ATCC)を用いて、37℃、5% CO
2の恒湿恒温槽中で、ヒトT細胞株CCRF−CEM(ATCC)を225cm
2フラスコにてコンフルエント(2×10
6個/mL)になるまで増殖させた。
【0237】
ベントキャップ付850cm
2ローラーボトル(Corning)へ10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地500mLを分注し、該細胞を密度2×10
5個/mLで播種した。
【0238】
該ローラーボトルをローラーボトル培養装置(Thermo Scientific)へ設置し、5日間培養した。CEM細胞をローラーボトルから回収するため、培養物を2L容滅菌ポリプロピレン製バイオボトル(Nalgen)に注入した。
【0239】
次に、Sorvall RC12BPを用いた450×g、30分間、2−8℃の遠心分離により、該細胞をペレットとした。滅菌冷却PBSに該細胞ペレットを再懸濁し、洗浄する操作を2回行った。
【0240】
最終洗浄後、1mM PMSF(Sigma)、各種プロテアーゼ阻害剤[1.6μM Aprotinin、40μM Leupeptin、2mM AEBSF、0.1mM Bestatin、30μM E−64、20μM Pepstatin A(CalBioChem)]および25.6μg/ml DNAseI(Sigma)を含む冷却破砕緩衝液(20mM Tris chloride、10mM NaCl、0.1mM MgCl
2)へ、該細胞ペレットを密度2×10
8個/mLで懸濁した。そして該細胞を直ちに液体窒素で凍結させた。後に使用するまで凍結細胞を−80℃にて保存した。
【0241】
(2)ショ糖密度勾配遠心分離法によるCEM細胞膜の単離
凍結したCEM細胞を冷却水槽にて融解した。細胞膜を破砕するため、ウルトラソニックプロセッサー(Sonics&Materials)を用いて、40アンプ、30秒間の条件で、CEM細胞を冷却水槽にて2−3回超音波処理した。
【0242】
滅菌ウルトラクリアー遠沈管中の破砕緩衝液の下部に、冷却した41%(w/v)ショ糖溶液を用いて該破砕物をピペットで注入した後、ベックマン社超遠心分離機により83,000×g(SW32 Tiローター)、4℃で1時間の遠心分離を行った。
【0243】
ショ糖層と破砕緩衝液層の間に形成された、CEM細胞膜を含む雲状の中間層を回収して、ポリカーボネイト製超遠沈管へ移し、滅菌冷却PBSを用いて1:3の割合になるように希釈した。
【0244】
80,000×g(70.1 Tiローター)、4℃で50分間の超遠心分離を行ってCEM膜をペレットとした。滅菌パスツールピペットで注意深く上清を除去した後、滅菌冷却PBSを用いて、CEM膜を4℃で50分間の超遠心分離により1回洗浄した。
【0245】
最後に、CEM細胞膜をPBSに再懸濁した。膜ペレットを破砕するため、ウルトラソニックプロセッサーを用いて、20アンプ、30秒間の条件で、該CEM細胞膜を冷却水槽にて超音波処理した。後に使用するまでCEM膜破砕物を−80℃にて保存した。
【0246】
(3)CEM膜の予備免疫
四頭のKcHAC/IGHM
−/−IGHML1
−/−ウシ(No.1863、No.1865、No.1868、No.1735)および二頭のcKSL−HACΔ/IGHM
−/−IGHML1
−/−ウシ(No.1922、No.1923)に対し、3mg/回のCEM膜調製物で免疫した。
【0247】
該CEM膜調製物は、サポニン由来免疫誘導物質Quil A(Accurate Chemicals)との水中油型エマルジョンとしたMontanide ISA25アジュバント(Seppic)により調製された。ウシは4週間の間隔をおいて4回免疫された。ワクチンを頸部に筋肉注射により接種した(2mL/回)。
【0248】
抗体力価の測定のため、各回の免疫前および免疫後10日目と14日目に血清試料を採取した。血液を血清分離チューブへ静置して凝固させた後、遠心分離により血清を分離した。さらに血清を0.5−1mLずつ分注し、アッセイを行うまで凍結保存した。抗CEM抗体の力価をCEM細胞特異的ヒトIgG ELISAにより決定した。
【0249】
(4)CEM細胞特異的ELISAアッセイ
血清試料より5% Membrane Block/PBS(GE Healthcare)緩衝液を用いて4通りの希釈系列を調製した。
【0250】
標準曲線を作成するため、予め最終力価が決定されているCEM免疫動物1頭から得た高力価の血清を標品とし、5% Membrane Block/PBSを用いて、275倍から67,139倍まで2.5倍ずつ希釈された7段階の濃度系列を調製した。
【0251】
終濃度の逆数を力価の単位として採用し、標品の場合に決定した最終力価を55,000ユニットとした。陽性対照血清および陰性対照血清についても5% Membrane Block/PBSで希釈系列を調製し、アッセイの整合性を確認するための内部標準として用いた。
【0252】
CEM特異的ヒトIgGの力価を決定するため、U字底96穴マイクロプレート(Costar)へ試料(校正用標品血清希釈液、陽性対照血清希釈液、陰性対照血清希釈液、測定試料血清希釈液)50μLを2組ずつ注入し、さらにCEM細胞(4×10
6個/mL)50μLを添加した。
【0253】
該プレートを4℃で60分間静置した後、100−200μLのPBSで3回洗浄することにより非結合のタンパク質を除いた。各洗浄操作の後、プレートを2850×gで5分間遠心し、各穴より上清を注意深く吸引除去した。
【0254】
3回の洗浄操作後、5% Membrane Block/PBS緩衝液で50,000倍希釈したHRP標識ロバ抗ヒトIgG抗体(Jackson Immuno Research)100μLを各穴に加え、細胞ペレットをHRP溶液に再懸濁した。該プレートを4℃で30分間静置した後、上記と同様にPBSで3回洗浄した。
【0255】
最後に、該プレートへTMB+H
2O
2基質混合液(KPL)100μL/穴を分注することにより、結合した抗CEM抗体を検出し、さらに該プレートを25℃で15分間静置した。該発色反応を10%リン酸 100μL/穴により停止させた後、マイクロプレートリーダー(Biotek Instruments)を用いて450nmを測定した。
【0256】
7段階の希釈系列の値より4パラメーター標準曲線を作成し、該曲線へGen5Secureソフトウェアで内挿することにより血清試料の値を算出した。各測定血清試料に対し3−4回の検定希釈を行うことで平均力価を算出した。
【0257】
結果を
図20に示す。また、2回目のCEM投与後の各HACウシ血清中のCEM特異的ヒトIgGの力価を表5に示す。2回目のCEM投与後のcKSL−HACΔウシでは7000U/mg IgG、KcHACウシでは約1700〜4700U/mg IgGの総ヒトIgG中CEM特異的ヒトIgGを生産していることが示された。
【0258】
【表5】
【0259】
[参考例]
参考例1.ヒト2番、14番および22番染色体を保持するマウスA9細胞の樹立
国際公開第1998/037757号に記載の方法に従い、ヒト正常繊維芽細胞HFL−1(理化学研究所細胞バンク、寄託番号RCB0251)へプラスミドpSTneo[Katohら, Cell Structure and Function, 12, 575-580, 1987;Japanese Collection of Research Biologicals(JCRB)バンク、寄託番号VE039]を導入し、形質転換細胞を取得した。
【0260】
その後、該形質転換細胞とマウス繊維芽細胞A9(Oshimuraら, Environmental Health Perspectives, 93, 57-58, 1991;JCRB細胞バンク、寄託番号JCRB0211)との細胞融合を行い、雑種細胞を作製する。
【0261】
次に、国際公開第1998/037757号に記載の方法に従って、該雑種細胞より微小核を調製してマウスA9細胞と融合し、得られたクローンよりゲノムPCR、ゲノムサザン解析および蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などにより、目的とするヒト2番、14番および22番染色体を含む各クローンを同定する。
【0262】
参考例2.ヒト2番染色体断片を含むDT40ハイブリッド細胞kTL1の作製
国際公開第2008/013067号に記載の微小核融合法により、参考例1で得たヒト2番染色体を含むA9細胞よりニワトリB細胞DT40(JCRB細胞バンク、寄託番号JCRB2221)へヒト2番染色体の導入を行う。
【0263】
次に、国際公開第2008/013067号に記載のテロメアトランケーション法を用いて、該DT40ハイブリッド細胞へターゲティングベクターpTELPuroCD8A(Kuroiwaら, Nature Biotechnology, 18, 1086-1090, 2000)を導入することにより、ヒト2番染色体上のCD8A遺伝子座にテロメア配列を挿入し、該挿入部位にて染色体の断裂を生じさせる。
【0264】
本操作により、CD8A遺伝子座からテロメア端に至る領域を欠失したヒト2番染色体を含む、DT40ハイブリッド細胞kTL1を作製することができる。
【0265】
参考例3.ヒト22番染色体を含むDT40ハイブリッド細胞52−18の作製
国際公開第2008/013067号に記載の微小核融合法により、参考例1で得たヒト22番染色体を含むA9細胞よりニワトリB細胞DT40(JCRB細胞バンク、寄託番号JCRB2221)へヒト22番染色体の導入を行う。本操作により、ヒト22番染色体を含むDT40ハイブリッド細胞52−18を作製することができる。
【0266】
参考例4.ヒト14番染色体断片を含むDT40ハイブリッド細胞R56の作製
黒岩らの報告(Kuroiwaら, Nature Biotechnology, 18, 1086-1090, 2000)の記載に従って、ヒト14番染色体断片SC20を含むDT40細胞(産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、寄託番号FERM BP−7583)へターゲティングベクターpRNR2loxPbsr(Kuroiwaら, Nature Biotechnology, 18, 1086-1090, 2000)を導入することにより、ヒト14番染色体上のRNR2遺伝子座にloxP配列を挿入する。本操作により、RNR2遺伝子座にloxP配列を有するSC20を含む、DT40ハイブリッド細胞R56を作製することができる。
【0267】
参考例5.ヒト14番染色体を含むDT40ハイブリッド細胞#14/DT40の作製
国際公開第2008/013067号に記載の微小核融合法により、参考例1で得たヒト14番染色体を含むA9細胞よりニワトリB細胞DT40(JCRB細胞バンク、寄託番号JCRB2221)へヒト14番染色体の導入を行う。本操作により、ヒト14番染色体を含むDT40ハイブリッド細胞#14/DT40を作製することができる。
【0268】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお、本出願は、2009年11月17日付けで出願された米国仮出願(61/261,935)に基づいており、その全体が引用により援用される。