(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る実施形態のテープフィーダを備える電子部品実装装置の平面図、
図2は
図1に示したテープフィーダの斜視図、
図3はテープフィーダの構成を表す側面図、
図4(A)はテープの平面図、(B)は部品吸着ノズルが位置されたテープの側面図、(C)はピンの上方にカメラが配置されたスプロケットの要部側面図、
図5はテープフィーダ用ギヤユニットの平面図、
図6はギヤユニットの側面図、
図7は凹凸パターンが側面に伝達ギヤとセンサとからなるエンコーダの模式図である。
【0016】
本実施形態に係るテープフィーダ10およびテープフィーダ用ギヤユニット11(
図5参照)は、電子部品実装装置12に装着される。先ず、電子部品実装装置12の全体構成について説明する。電子部品実装装置12は、基台13の中央部に、電子部品(図示せず)を実装する回路基板14を固定する基板固定部(コンベアレール)が設けられる。基台13には、基板固定部を挟んで左右対称に一対の部品実装ステージ15が設けられる。部品実装ステージ15は、電子部品を連続的に供給する複数列のテープフィーダ10を備え、多品種の電子部品を部品供給位置において吸着可能にする。
【0017】
部品実装ステージ15は、部品供給位置で電子部品を保持して、この電子部品を回路基板14に装着する吸着ヘッド16を備える。この吸着ヘッド16は、XYロボット17に支持される。このXYロボット17は、
図1中のXY方向のそれぞれに移動可能となり、吸着ヘッド16を部品供給位置や回路基板14の上方に移動させる。XYロボット17は、X軸ビーム18を有し、このX軸ビーム18に吸着ヘッド16が、X方向へ移動可能に支持される。X軸ビーム18は、Y軸ビーム19に沿ってY方向へ移動可能とされる。
【0018】
部品実装ステージ15と基板固定部との間には、ノズルチェンジ部20が設けられている。ノズルチェンジ部20には、ノズルホルダ21、部品認識部22、および廃棄トレイ23が設けられる。ノズルホルダ21は、吸着ヘッド16に装着させる各種電子部品用の部品吸着ノズル24を格納する。吸着ヘッド16は、このノズルチェンジ部20にて、部品吸着ノズル24の交換を行うことができる。部品認識部22は、ラインセンサ等からなる光学センサを備え、吸着ヘッド16の部品吸着ノズル24が吸着している電子部品の姿勢(部品位置や回転角度等)を認識する。廃棄トレイ23には、吸着ヘッド16の部品吸着ノズル24が吸着している電子部品に種類の誤りや不具合があった場合、その電子部品が廃棄される。
【0019】
次に、テープフィーダ10の構成について説明する。
テープフィーダ10は台車(図示せず)に保持されており、オペレータが台車を操作することにより電子部品実装装置12に対して着脱自在となっている。テープフィーダ10には
図2に示すテープリール25が装着されており、電子部品を等ピッチで収納した
図3に示すテープ26が巻回されている。
【0020】
テープフィーダ10は、
図3に示す外枠27の内部でテープ26の送り動作を行ってテープ26に等ピッチで収納された電子部品を供給口28にピッチ送りする機能を有している。外枠内の先端部にはテープ送り機構29が配設されている。テープ送り機構29は、テープ26の送り方向に等ピッチで形成された送り孔30(
図4(A)、(C)参照)に係合するピン31が外周に形成されたスプロケット32を備える。また、テープ送り機構29は、スプロケット32の回転駆動手段である駆動モータ33と、駆動モータ33の回転駆動をスプロケット32に伝達する伝達機構34(
図6参照)と、駆動モータ33の回転駆動を制御する制御手段であるフィーダ制御部35を備える。フィーダ制御部35には記憶領域36が含まれており、制御プログラム、電子部品の収納ピッチの他、後述の補正テーブルAや補正テーブルB等の各種のデータが記憶される。
【0021】
駆動モータ33が電子部品の収納ピッチに対応して間歇回転するように制御されると、スプロケット32がインデックス回転を行い、テープリール25に巻回されたテープ26が後端部から外枠27に引き込まれて先端部にピッチ送りされる。これにより、テープ26に収納された電子部品がピックアップ位置である供給口28に順次供給される。供給口28は、外枠27の上部に装着されてテープ26の送りを案内するテープガイド37の一部に開口されて形成されている。テープガイド37の一部は、テープ26の表面から剥離されたカバーテープ38の折り返し部となっており、カバーテープ剥離機構39によりテープ26の表面からカバーテープ38を剥離する。これにより、
図4(B)に示すように、電子部品が露出した状態で供給口28に供給され、供給口28の上方に位置合わせされた部品吸着ノズル24によりピックアップされる。
【0022】
図5に示すように、テープフィーダ用ギヤユニット11には伝達機構34であるギヤユニット40がフィーダ筐体41に設けられている。ギヤユニット40は、テープ26に等ピッチで設けられた送り孔30に係合するピン31を円周上に備えると共に最終ギヤ42を有するスプロケット32と、駆動モータ33と最終ギヤ42との間に配置された1つ以上の伝達ギヤと、を備える。
【0023】
また、ギヤユニット40において、駆動モータ33の出力軸に備えられた駆動ギヤ43は、テープフィーダ10の幅方向中心線44に対してスプロケット32と反対側に設けられている。
【0024】
図6に示すように、ギヤユニット40は、駆動ギヤ43と、第1伝達ギヤ45と、第2伝達ギヤ46と、第3伝達ギヤ47と、最終ギヤ42と、のギヤ列により構成されている。駆動ギヤ43は、駆動モータ33の出力軸に取り付けられる。駆動ギヤ43には、第1伝達ギヤ45が噛合する。第1伝達ギヤ45には第2伝達ギヤ46が同軸に固定され、この第2伝達ギヤ46は第3伝達ギヤ47と噛合する。第2伝達ギヤ46と噛合した第3伝達ギヤ47は、スプロケット32の回転軸に固定された最終ギヤ42とも噛合する。より具体的に駆動ギヤ43は例えば12歯からなる。第1伝達ギヤ45は120歯、第2伝達ギヤ46は20歯、第3伝達ギヤ47は60歯、最終ギヤ42は60歯からなる。スプロケット32は30ピンからなる。
【0025】
従って、駆動モータ33と第1伝達ギヤ45との減速比は、120/12=10、第2伝達ギヤ46と第3伝達ギヤ47との減速比は、60/20=3、第3伝達ギヤ47とスプロケット32(最終ギヤ42)との減速比は、60/60=1となる。これにより、駆動モータ33からスプロケット32までの減速比は、10×3×1=30となっている。
なお、これら歯数や減速比は一例であり本発明はこれらの歯数や減速比に限定されない。
【0026】
ギヤユニット40は、1つ以上の伝達ギヤのうち、最終ギヤ42との回転比が1:N(Nは正の整数)となる伝達ギヤに角度検出用の
図5に示すセンサ(アブソリュートセンサ48)を対向して設けている。本実施形態において、最終ギヤ42との回転比が1:Nとなる伝達ギヤは、第3伝達ギヤ47となる。さらに、アブソリュートセンサ48により角度が検出される第3伝達ギヤ47は、最終ギヤ42との回転比が1:1となって、最終ギヤ42に直接噛み合っている。
【0027】
第3伝達ギヤ47の側面には、スプロケット32の絶対回転角を表す凹凸パターン51が形成されたパターン形成面50が設けられており、このパターン形成面50の凹凸パターン51に対向する位置に設けられたアブソリュートセンサ48により、この凹凸パターン51を検知して、絶対角検出部52で解析することにより、第3伝達ギヤ47の絶対回転角を検出する。この絶対角検出部52は、フィーダ制御部35に含まれている。
なお、パターン形成面50と、そこに形成された凹凸パターン51とを併せてエンコーダ49と称するものとする。
【0028】
パターン形成面50には、第3伝達ギヤ47の回転軸を中心とした6つの異径の同心円上にそれぞれ異なる凹凸パターン51が形成されており、内側の同心円から外側に向かうに従って凹凸の間隔を粗から密に変化させている。これにより、認識ライン53に位置する6つの凹凸の組み合わせが第3伝達ギヤ47の回転角毎に異なるようになっている。
【0029】
アブソリュートセンサ48は、認識ライン53のパターン形成面50と対向した位置(図中点線で示す)にパターン形成面50と所定距離をおいて固定されており、6つの異径の同心円上の凹凸を検知する6つのフォトセンサ54を備えている。フォトセンサ54は、被検知部となるパターン形成面50との間の距離を検出することにより対向する位置に凹部または凸部の何れかが位置していることを検知する。6つのフォトセンサ54による検知信号は絶対角検出部52に送信され、6つの凹凸パターン51の組み合わせにより第3伝達ギヤ47に噛合するスプロケット32の絶対回転角が検出される。
【0030】
なお、パターン形成面50に形成するパターンと、このパターンを検知するアブソリュートセンサ48には種々の態様のものを使用できる。例えば、上記のフォトセンサ54のような光センサを用いたものとしては反射型の他に透過型のものを使用することもできる。この場合、パターン形成面50には、パターン孔を形成したり反射率の異なる素材をパターン配列したりして、スプロケット32の絶対回転角毎に異なる態様に変化させる。また、磁気センサを用いる場合には、スプロケット32の絶対回転角毎に磁気の強さに変化を与えたり磁界を変化させたりするような磁気パターンをパターン形成面50に形成する。さらに、静電センサを用いる場合には、スプロケット32の絶対回転角毎に静電容量に変化を与えたり電界を変化させたりするような静電パターンをパターン形成面50に形成する。さらに、パターン形成面50に電気的な抵抗値の異なる素材をパターン配列し、これに接触した電気回路の電流または電圧の変化を検知することによりスプロケット32の絶対回転角を検出するように構成することも可能である。
【0031】
また、パターン形成面50は、第3伝達ギヤ47の側面に一体的に形成するか、予め形成されたパターン形成面50を既存の第3伝達ギヤ47の側面に装着するかは問わない。第3伝達ギヤ47の側面にパターン形成面50を一体的に形成する場合は、第3伝達ギヤ47の製造時に凹凸やパターン孔を同時に形成する他、既に製造された第3伝達ギヤ47の側面に直接加工を施すことで形成できる。また、パターン形成面50を既存の第3伝達ギヤ47の側面に装着する場合、第3伝達ギヤ47の側面に直接装着してもよく、第3伝達ギヤ47の回転と同期して回転するのであれば、第3伝達ギヤ47の側面との間にスペーサを介して装着してもよい。
【0032】
このように、第3伝達ギヤ47の回転角毎に異なる態様に変化するパターン形成面50が第3伝達ギヤ47と同期して回転するように備えられている。パターン形成面50の態様に基づいて第3伝達ギヤ47の絶対回転角が検出されるため、回転角検出用のディスク等をテープ送り機構29に連結して組み込む必要がない。また、省スペースで第3伝達ギヤ47、即ち、スプロケット32の絶対回転角を高精度に検出できる。
【0033】
ところで、一般にギヤには加工精度に起因する寸法誤差が存在しており、複数のギヤにより構成されるギヤ列では各ギヤの誤差が積み上げられるため、駆動ギヤ43の回転角と最終ギヤ42の回転角との間の相関を把握することができない。しかし、上述したように最終ギヤ42と連動する第3伝達ギヤ47、第2伝達ギヤ46、第1伝達ギヤ45、駆動ギヤ43が最終ギヤ42の回転数の整数倍の回転数となる場合には、最終ギヤ42が1回転する間に他のギヤの誤差が周期的に表れる。このため、最終ギヤ42の絶対回転角毎の誤差は、1回転周期で繰り返されることになる。
【0034】
テープフィーダ10においては、テープ26に等ピッチで収納された電子部品が供給口28に順次供給される際、送り位置にばらつきが生じないようにピッチ送り毎のテープ26またはスプロケット32の停止位置が正確に調整されている必要がある。テープフィーダ10にはそのための
図3に示すフィーダ調整装置55が備えられている。フィーダ調整装置55は、テープフィーダ10におけるピッチ送り後の停止位置を調整するための駆動モータ33の駆動量の補正量を、後述の補正テーブルAや補正テーブルBを使用して演算を行う。この演算結果に基づいて、テープフィーダ10に備えられたフィーダ制御部35は、駆動モータ33の駆動量の制御を行う。
【0035】
フィーダ調整装置55は、テープフィーダ10のフィーダ制御部35と接続される。フィーダ調整時には、フィーダ制御部35とフィーダ調整装置制御部56との間で制御指令や各種データの送受信が可能になる。フィーダ調整装置55にはカメラ等の外部計測器57(
図4(C)参照)が備えられており、外部計測器57は、テープフィーダ10の供給口28の上方となる位置に配設されている。
あるいは、図示しない高精度なロータリーエンコーダをスプロケット32の回転軸上に、該スプロケット32と同期して回転するように取り付け、スプロケット32の回転角度を直接検出するようにすることもできる。このロータリーエンコーダは、後述の補正テーブルBを作成する際に使用するもので、補正テーブルBの作成が済んだ後は取り外す必要があるが、カメラ等の光学系外部計測器に比べ、比較的簡単に高精度な測定が可能となる。
【0036】
フィーダ調整装置55には、画像処理領域58および記憶領域59、演算処理領域60が含まれている。画像処理領域58は、外部計測器57により撮像された画像の処理を行って撮像対象の位置認識を行う。記憶領域59には、テープ26およびスプロケット32の基準停止位置等の各種データや制御プログラム等が記憶されている。演算処理領域60は、画像処理領域58において認識されたテープ26の停止位置またはスプロケット32の停止位置と記憶領域59に記憶された基準停止位置との誤差を測定する。
【0037】
フィーダ調整装置55は、スプロケット32が1回転する間におけるテープ26の停止位置およびスプロケット32の停止位置と基準停止位置との間の誤差を測定する。そして、エンコーダ49により検出されるスプロケット32の絶対回転角と関連付けて補正テーブルを作成し、記憶領域59に記憶する。
【0038】
フィーダ調整装置55は、補正テーブルA、補正テーブルBのそれぞれを補正工程によって更新する。この更新された補正テーブルA、補正テーブルBがフィーダ制御部35の記憶領域36に記憶されて、適宜使用される。
この補正工程は、個々のテープフィーダ用ギヤユニット毎に1回実施すれば足りるため、通常はギヤユニットが完成した時あるいは完成する直前に補正工程を設けている。なお、一度記憶した補正テーブルAや補正テーブルBは、そのギヤユニット固有の補正データとして使用される。
【0039】
図8は補正テーブルAの作成手順を表すフローチャートである。
補正テーブルAは、駆動モータ33の回転角(理論値)に対するアブソリュートセンサ48の角度情報との角度誤差情報に基づく補正テーブルである。
ステップ(S1A)では補正テーブルAをクリアする。ステップ2(S2A)では駆動モータ33を1回動作させる。スプロケット32のピン31の数が30とした場合には、駆動モータ33が1回動作するごとに、スプロケット32が12度回転(360度/30=12度)するように設定する。ステップ3(S3A)ではアブソリュートセンサ48の角度情報を読み込む。ステップ4(S4A)では補正テーブルAにデータを保存する。ステップ5(S5A)ではアブソリュートセンサ48が1周(この場合、駆動モータ33が30回動作)したかを確認する。30回動作した場合、スプロケット32のそれぞれのピン31に対応する補正テーブルAが完成する。30回動作していない場合は、ステップ2(S2A)〜ステップ5(S5A)を繰り返す。
【0040】
図9(A)はスプロケットのピンの数が4とした場合の回転定義の説明図、(B)はその動作角度と動作回数の相関図、(C)はセンサによる検知範囲の説明図、
図10はアブソリュートセンサ48によるスプロケットのピン位置の情報に対する、駆動モータ33内部に備えるABZエンコーダの位置情報との関係(分解能の差)を示す図、
図11(A)はアブソリュートセンサ48に誤差のある場合のスプロケット動作角度と駆動モータ33の動作回数との相関図、(B)は(A)の要部拡大図、
図12はアブソリュートセンサ48の検出角度と駆動モータ33の動作回数との相関図、
図13は補正テーブルAの説明図である。
ここで、補正テーブルAについて、スプロケットの歯が4歯でギヤが1/12減速の簡易化スプロケット61の場合を例に説明する。簡易化スプロケット61は、1回の最小動作量(駆動モータ33を1回転させた時の簡易化スプロケット61の回転角度)は、ギヤが1/12減速であることから、ピン31とピン31との間を1/3にした角度となる。
【0041】
図9(B)に示すように、スプロケット動作角度は、駆動モータ33を12回動作させることで360度となる。このようなラフな構成例において、
図9(C)に示すように、例えば4回目の動作が終了した位置(120度の位置)であることをアブソリュートセンサ48で検知する。
この場合、それぞれの伝達ギヤの誤差やセンサノイズ等を考慮した両端の5度は使用しないようにして、120度±12.5度の範囲の角度情報を検出することにより、簡易化スプロケット61のピン31がおおよそどの位置にあるか(ピンの位置情報)を検出することができる。
【0042】
しかし、
図11(A)に示すように、伝達ギヤやアブソリュートセンサ48が理想状態でなく、誤差があり、その誤差が次の動作位置の範囲にかかってしまうような誤差の場合は、ピン31の位置を誤検出してしまうことになる。
すなわち、アブソリュートセンサ48が理想状態であれば、2番目のピンから1/3動作したところと判別されるべきところ、誤差が大きい場合には、
図11(B)に示すように、2番目のピンから2/3動作したところと誤判別されてしまうことになる。
【0043】
この誤判別を解消するには、
図12に示すように、アブソリュートセンサ48に誤差がある場合のそれぞれの動作回数に応じたアブソリュートセンサ48の検出角度(θ0、θ1、θ2、・・・θ11)を求める。そして、これを最小動作量(0、3分の1、3分の2、・・・)に対応させた
図13に示す補正テーブルAを用いることで解消が可能となる。
【0044】
このように、テープフィーダ用ギヤユニット11は、スプロケット32を駆動モータ33により回転駆動させ、駆動モータ33を一定角度毎に回転駆動させた時の伝達ギヤに設けたアブソリュートセンサ48の角度情報を取得する。論理上の駆動モータ33の回転角に対するアブソリュートセンサ48の角度情報との角度誤差情報に基づく補正テーブルA(
図13の太枠内)を作成する。この補正テーブルAを用いてフィーダ制御部35によって駆動モータ33を回転制御するものであるが、それほどアブソリュートセンサ48の直線性が悪くない場合には、敢えて補正テーブルAを用いるまでもない。
【0045】
補正テーブルAによれば、アブソリュートセンサ48が理想状態でなく、誤差があっても、角度誤差情報に基づく補正テーブルが使用されることにより、誤検出をなくすことができる。また、この補正テーブルAを作成するに当たり、外部計測器57(カメラやロータリーエンコーダ)は不要である。
【0046】
図14は外部計測器57(カメラやロータリーエンコーダ)を使用した補正テーブルBの作成手順を表すフローチャートである。
補正テーブルBは、スプロケット32のピン位置に対する駆動モータ33の角度情報と、アブソリュートセンサ48の角度情報に基づく補正テーブルである。
ステップ(S1B)では補正テーブルBをクリアする。ステップ2(S2B)では駆動モータ33を1回動作させる。ステップ3(S3B)ではアブソリュートセンサ48の角度情報を読み込む。ステップ4(S4B)ではアブソリュートセンサ48の角度情報をスプロケット32のピン番号に変換する。ステップ5(S5B)では補正テーブルBにアブソリュートセンサ48のデータを保存する。このアブソリュートセンサ48の角度情報は、1つのピン番号に対して一定の幅の角度情報となる場合もある。ステップ6(S6B)では外部計測器57により、スプロケット32のピン位置のずれ量を計測する。ステップ7(S7B)では補正テーブルBに駆動モータ33の角度情報(ずれ量)のデータを保存する。ステップ8(S8B)ではスプロケット32が1周(この場合、駆動モータ33が30回動作)したかを確認する。30回動作した場合、補正テーブルBが完成する。30回動作していない場合、ステップ2(S2B)〜ステップ8(S8B)を繰り返す。
【0047】
図15は補正テーブルBの説明図である。
ここで、補正テーブルBについて、上記同様の簡易化スプロケット61の場合を例に説明する。補正テーブルBは、外部計測器57が使用されることにより得られる。伝達ギヤやスプロケット32の加工誤差がない場合、動作回数に応じた角度は
図15に示す理想角度となる。しかし、実際の角度は、誤差(α0、α1、α2、・・・α11)を含んだ角度となる。
【0048】
ここで、外部計測器57による誤差角度の検出方法と、ステップ7(S7B)により保存される角度情報(ずれ量)データについて説明する。(簡易化スプロケット61でも同様であるが、より高精度な位置制御が必要とされるスプロケット32を用いて説明する。)
【0049】
ステップ2(S2B)で駆動モータ33を1回動作させ、その時のアブソリュートセンサ48の角度情報からスプロケット32のピン番号の情報を取得して、その情報を補正テーブルBのピン情報として保存する(S3B、S4B、S5B)。
次に、外部計測器57により、スプロケット32のピン位置のずれ量を計測し、このずれ量が駆動モータ33の内部に備えているABZエンコーダ(図示せず、
図10参照)の何カウント分に相当するのかを演算して、このカウント数をその時のピン番号に対応する駆動モータ33の角度情報(ずれ量)として、補正テーブルBに保存する(S6B、S7B)。
【0050】
スプロケット32は、駆動モータ33の回転を基準に回転駆動されるが、加工精度に起因するギヤの寸法誤差や、複数のギヤにより構成されるギヤ列では、さらにこれらのギヤの誤差が積み上げられることにより、スプロケット32のピン位置は、ほとんどの場合正規な位置からずれた状態となる。
そこで、駆動モータ33を回転基準としたときのスプロケット32のピン位置を外部計測器57により計測し、この外部計測器57として高精度なロータリーエンコーダを使用している場合には、得られた角度情報から誤差角度に相当する駆動モータの動作角度(何カウントに相当するか)を算出し、これをステップ7(S7B)により保存される角度情報(ずれ量)データとする。
【0051】
外部計測器57がカメラ等の光学系計測器である場合には、スプロケット32のピン位置が、正規な位置から水平方向(例えば
図4(C)において左右方向)に移動した量から、駆動モータ33の回転角度(ずれ量)に換算(演算)することにより、これをステップ7(S7B)により保存される角度情報(ずれ量)データとする。
なお、前述したように、伝達ギヤやアブソリュートセンサ48が理想状態でなく誤差が大きい場合には、補正テーブルAを併せて用いることもできる(勿論、誤差が大きい場合であっても、直接アブソリュートセンサ48の角度情報を読み込み、スプロケット32のピン番号に変換することもできる)。
【0052】
このような回転誤差を解消するには、実際角度の誤差(α0、α1、α2、・・・α11)を求める。これを最小動作量に対応させた
図16に示す補正テーブルBを用いることで解消が可能となる。すなわち、補正テーブルBを使用することにより駆動モータ33への指令値を増減し、誤差をキャンセルする。補正テーブルBの補正値は、角度データであっても、モータ指令の値に換算された制御情報であってもよいが、スプロケット32の駆動制御に、駆動モータ33が備えているABZエンコーダ(例えば、駆動モータが1回転する間に1440カウントされるモータエンコーダ)により得られる角度情報を併用することに特徴がある。
【0053】
すなわち、テープフィーダ用ギヤユニット11は、スプロケット32が1回転するまでを等分割した角度毎のアブソリュートセンサ48の角度情報と、駆動モータ33に設けたモータエンコーダから得られる角度情報を取得して、スプロケット32を角度毎に回転させるためのアブソリュートセンサ48の角度情報と駆動モータ33の角度情報に基づく補正テーブルB(
図15の太枠内)を作成する。
そして、この補正テーブルBを用いてフィーダ制御部35によって駆動モータ33を回転制御するものである。
【0054】
また、スプロケット32が1回転するまでを等分割した角度毎のアブソリュートセンサ48の角度情報とは、ピンの数に等分割する場合に限らず、ピンとピンとの間をさらに等分割することも可能である。このようにさらに細かく等分割した場合には、外部計測器57に高分解能を有するロータリエンコーダを用いれば比較的簡単に補正テーブルBを作成することができる。あるいは、カメラ等の光学機器を用いた場合であっても、演算を併用することにより、補正テーブルBを作成することができる。
【0055】
補正テーブルBによれば、スプロケット32のピン毎の補正値を有する補正テーブルに基づいて駆動モータ33が回転制御されることにより、ピッチ送り後のテープ26の停止位置またはインデックス回転後のスプロケット32の停止位置が基準停止位置に調整される。
【0056】
特に、アブソリュートセンサ48の角度情報は、スプロケット32の何番目のピンがアブソリュートセンサ48の近くにあるかということが認識できればよいため、アブソリュートセンサに高精度なセンサを用いることなく、とても安価なセンサを用いても、もともと駆動モータ33の内部に備える高分解能のモータエンコーダの情報を併用することにより、高精度な制御が可能となる。
【0057】
さらに、論理上の駆動モータ33の回転角に対するアブソリュートセンサ48の角度誤差情報に基づく補正テーブルAを用いることにより、当該アブソリュートセンサ48の直線性が著しく悪いような場合であっても、高精度な制御が可能となる。
【0058】
上記構成を有するテープフィーダ10およびテープフィーダ用ギヤユニット11は、スプロケット32に設けられた最終ギヤ42と噛合する回転比が1:Nの伝達ギヤに、センサが対向配置される。これにより、テープフィーダ10の構成部品の中で、特に大きいスプロケット32の側面に、センサを開口配置する必要がなくなる。
【0059】
従来構成と同様に本構成においても、スプロケット32には
図5に示す最終ギヤ42が同軸で固定されている。スプロケット32は、回転中心軸に沿う方向が、フィーダ筐体41の幅W方向であるので、最終ギヤ42を同軸に重ねたスプロケット32は、厚みが大きくなり、その結果、フィーダ筐体41との間には
図5に示す小隙間Wsしか確保されない。そこで、本構成では、最終ギヤ42との回転比が1:Nの伝達ギヤ(すなわち、第3伝達ギヤ47)が単一枚とされることにより、この第3伝達ギヤ47の配置領域において、フィーダ筐体41の幅W方向にセンサが十分に配置可能な大隙間Wbが確保される。これにより、フィーダ筐体41の幅W方向に、スプロケット32、最終ギヤ42およびセンサを並べるスペースを確保する必要がなくなり、テープフィーダ10の厚み方向の肥大が抑止されている。
【0060】
また、テープフィーダ10は、センサにより角度が検出される伝達ギヤ(第3伝達ギヤ47)の最終ギヤ42との回転比が1:1となることで、簡単な演算処理によって、スプロケット32の角度が高速に検出可能となる。
【0061】
さらに、テープフィーダ10によれば、第3伝達ギヤ47がテープフィーダ10の幅方向中心線44に対してスプロケット32と反対側に設けられている。これにより、フィーダ筐体41の幅方向において、駆動ギヤ43とスプロケット32との間に、伝達ギヤを配置することが可能となる。換言すれば、駆動モータ33の厚み方向の配置スペースを有効利用して、スプロケット32を配置可能としている。
【0062】
従って、本発明に係るテープフィーダ10およびテープフィーダ用ギヤユニット11によれば、ピッチ送り後のテープ26の停止位置を高精度に調整しながら、薄厚化を実現できる。