特許第5796875号(P5796875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796875
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】統合点滴管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/16 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   A61J1/00 390L
【請求項の数】32
【外国語出願】
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2013-252977(P2013-252977)
(22)【出願日】2013年12月6日
(62)【分割の表示】特願2009-544881(P2009-544881)の分割
【原出願日】2007年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-61437(P2014-61437A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】60/883,205
(32)【優先日】2007年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513309133
【氏名又は名称】ファイヤーフライ メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094318
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 行一
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(72)【発明者】
【氏名】シュミュッツァー, スティーヴン, イー.
(72)【発明者】
【氏名】スレイトン, ロビン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】プレーン, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ウェイドナー, ルーカス
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−284250(JP,A)
【文献】 特開2002−211405(JP,A)
【文献】 特開2006−335355(JP,A)
【文献】 実開昭49−062892(JP,U)
【文献】 特表2005−506244(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/101034(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3040162(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の医療用コンポーネントを保持することのできる1つ以上のホルダを有する幹体であって、底端および頂端を有する幹体と、
第1端部と第2端部とを有し、該第1端部が前記幹体の底端に回転自在に接続された、第1ベースアームと、
第1端部と第2端部とを有し、該第1端部が前記幹体の底端に回転自在に接続された、第2ベースアームと
を備え、
前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームのいずれかと前記幹体の底端との回転自在な接続は、ベース展開形態とベース収納形態とを備える展開可能なベースを提供し、
前記ベース展開形態は2辺ベース占有領域に対応し、前記ベース展開形態では、前記幹体が前記2辺ベース占有領域に対して鋭角をなし、
前記ベース収納形態では、前記第1のベースアームおよび前記第2のベースアームは前記幹体に対して実質的に平行であり、
前記幹体の底端に接続された第1車輪と、前記第1ベースアームに接続された第2車輪と、前記第2ベースアームに接続された第3車輪とをさらに備え、
前記第1車輪、前記第2車輪および前記第3車輪の各々は、システムが載る支持面と安定的に接触することができ、
患者の一方の手を支持するために、前記第1ベースアームまたは前記幹体に接続された第1モビリティハンドルと、患者の他方の手を支持するために、前記第2ベースアームまたは前記幹体に接続された第2モビリティハンドルとをさらに備え
前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルの各々が、前記幹体、または、前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームに回転自在に接続され、前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルが収納位置と展開位置とに回転することを許容し、
ハンドル収納位置のときに、前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルが、前記幹体、前記第1ベースアームまたは前記第2ベースアームの表面に対して実質的に平行である、点滴管理移動支援装置。
【請求項2】
1つ以上の医療用コンポーネントを保持することのできる1つ以上のホルダを有する幹体であって、底端および頂端を有する幹体と、
第1端部と第2端部とを有し、該第1端部が前記幹体の底端に回転自在に接続された、第1ベースアームと、
第1端部と第2端部とを有し、該第1端部が前記幹体の底端に回転自在に接続された、第2ベースアームと
を備え、
前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームのいずれかと前記幹体の底端との回転自在な接続は、ベース展開形態とベース収納形態とを備える展開可能なベースを提供し、
前記ベース展開形態は2辺ベース占有領域に対応し、前記ベース展開形態では、前記幹体が前記2辺ベース占有領域に対して鋭角をなし、
前記ベース収納形態では、前記第1のベースアームおよび前記第2のベースアームは前記幹体に対して実質的に平行であり、
前記幹体の底端に接続された第1車輪と、前記第1ベースアームに接続された第2車輪と、前記第2ベースアームに接続された第3車輪とをさらに備え、
前記第1車輪、前記第2車輪および前記第3車輪の各々は、システムが載る支持面と安定的に接触することができ、
患者の一方の手を支持するために、前記第1ベースアームまたは前記幹体に接続された第1モビリティハンドルと、患者の他方の手を支持するために、前記第2ベースアームまたは前記幹体に接続された第2モビリティハンドルとをさらに備え
前記幹体に接続されたマウントをさらに備え、前記マウントが1つ以上の医療装置を支持することができる、点滴管理移動支援装置。
【請求項3】
1つ以上の医療用コンポーネントを保持することのできる1つ以上のホルダを有する幹体であって、底端および頂端を有する幹体と、
第1端部と第2端部とを有し、該第1端部が前記幹体の底端に回転自在に接続された、第1ベースアームと、
第1端部と第2端部とを有し、該第1端部が前記幹体の底端に回転自在に接続された、第2ベースアームと
を備え、
前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームのいずれかと前記幹体の底端との回転自在な接続は、ベース展開形態とベース収納形態とを備える展開可能なベースを提供し、
前記ベース展開形態は2辺ベース占有領域に対応し、前記ベース展開形態では、前記幹体が前記2辺ベース占有領域に対して鋭角をなし、
前記ベース収納形態では、前記第1のベースアームおよび前記第2のベースアームは前記幹体に対して実質的に平行であり、
前記幹体の底端に接続された第1車輪と、前記第1ベースアームに接続された第2車輪と、前記第2ベースアームに接続された第3車輪とをさらに備え、
前記第1車輪、前記第2車輪および前記第3車輪の各々は、システムが載る支持面と安定的に接触することができ、
患者の一方の手を支持するために、前記第1ベースアームまたは前記幹体に接続された第1モビリティハンドルと、患者の他方の手を支持するために、前記第2ベースアームまたは前記幹体に接続された第2モビリティハンドルとをさらに備え
前記第1モビリティアームおよび前記第2モビリティアームの各々が、前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームに可逆的に接続される、点滴管理移動支援装置。
【請求項4】
前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルが前記幹体に接続されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項5】
前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルを前記幹体に接続するコネクタをさらに備え、該コネクタが前記幹体に接続される一端と前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルに接続される他端とを有する、請求項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項6】
前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルの各々が前記幹体に接続され、前記幹体から延びている、請求項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項7】
前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルの各々が、前記幹体、または、前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームに回転自在に接続され、前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルが収納位置と展開位置とに回転することを許容する、請求項2または3に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項8】
前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームの各々が、ハンドル収納位置のときに前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルを受容する凹部をさらに備える、請求項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項9】
ハンドル収納位置のときに、前記第1モビリティハンドルおよび前記第2モビリティハンドルが、前記幹体、前記第1ベースアームまたは前記第2ベースアームの表面に対して実質的に平行である、請求項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項10】
前記幹体が一直線状である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項11】
前記鋭角が、65°以上85°以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項12】
前記第1車輪、前記第2車輪、前記第3車輪の各車輪接触点が、三角形のベース占有領域の頂点に対応し、該ベース占有領域が、約1600cmから4800cmまでの間の範囲から選択される面積を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項13】
前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームがいずれも一直線状であり、ベース頂角を形成し、
前記ベース頂角が、前記ベース頂角が40゜以上100゜以下であり、
前記ベース占有領域が、占有面積 AF=1/2×b×hを有し、ここでbは前記ベースアームの端の分離距離であり、h=L×cos(α/2)であり、Lは前記ベースアームの長さであり、αはベース頂角の角度である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項14】
前記ベースアームの長さLが64cm以上76cm以下である、請求項13に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項15】
前記ベースアームの端の分離距離bが92cm未満である、請求項13に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項16】
前記幹体の頂端と、前記1つ以上の医療用コンポーネントを保持するための前記1つ以上のホルダとに、動作可能に接続された保持アームをさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項17】
前記保持アームが、高さ調整機能を有する、請求項1に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項18】
前記ハンドルが前記保持アームに対して動作可能に接続され、かつ
前記ハンドルが前記幹体に沿って軸方向に移動することができるように、前記ハンドルが前記幹体に摺動自在に接続され、前記動自在な軸方向移動が前記高さ調整機能をもたらす、請求項1に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項19】
前記幹体に接続されたマウントをさらに備え、前記マウントが1つ以上の医療装置を支持することができる、請求項1または3に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項20】
前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームを展開すると前記マウントが自動的に展開するように、前記マウントが前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームに動作可能に接続される、請求項19に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項21】
前記第1モビリティアームおよび前記第2モビリティアームの各々が、前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームの各々に回転自在に接続され、かつ展開形態および収納形態が可能になっている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項22】
前記第1モビリティアームおよび前記第2モビリティアームの各々が、前記第1ベースアームおよび前記第2ベースアームに可逆的に接続される、請求項1または2に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項23】
前記第1モビリティアームおよび前記第2モビリティアームの各々がさらに、
上部アーム部分と、
前記上部アーム部分に伸縮自在に接続され、それによって当該モビリティアームの長さを調整可能にする下部アーム部分と
を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項24】
前記幹体の頂端に伸縮自在に接続された保持アームをさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項25】
前記保持アームとロック可能に係合する保持アームロックアセンブリをさらに備え、前記保持アームが収納または展開位置でロックすることができ、前記保持アーム展開位置が調整可能な展開高さを有する、請求項24に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項26】
前記保持アームに接続され、位置合わせ可能である複数のホルダをさらに備える、請求項24に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項27】
前記ホルダが、展開可能、取外し可能、またはその両方である、請求項26に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項28】
第2の保持アームをさらに備え、2つの前記保持アームの各々が独立して前記幹体の頂端に伸縮自在に接続されている、請求項24に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項29】
当該点滴管理移動支援装置に取り付けられた医療用コンポーネントに電力を供給することのできる少なくとも1つの電気コンセントを前記幹体上に備える電気システムをさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項30】
ベース展開形態のときに前記ベースがV字状、U字状、または多角形の形態を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項31】
前記医療用コンポーネントが静脈注射液バッグ、カテーテルバッグ、排液バッグ、注入ポンプ、電源、コンピュータ、オーディオ装置、プラットフォーム、診断機器、モニタリング機器、および光源からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【請求項32】
当該点滴管理移動支援装置に前記医療用コンポーネントが複数取り付けられており、前記複数の医療用コンポーネントが、静脈注射液容器、点滴ポンプ、酸素キャニスタ、およびカテーテルバッグを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点滴管理移動支援装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2007年1月3日に出願した特許仮出願第号60/883,205号による利益を主張し、その内容は本開示と矛盾しない範囲で参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の背景】
【0002】
[0002]本発明は、一般的に患者に医療支援を提供することができる安定な支持スタンドの分野におけるものであり、場合により可動であり、かつ医療装置に接続された患者が容易に操縦可能である。本明細書に開示されるのは、コンパクトな収納形態に折り畳むことが可能でありかつ患者移動支援を提供することができる、歩行器と点滴管理システム(「IMS」)とを組み合わせたもののような、静脈注射液供給システムのための便利かつ信頼できるシステムに関する態様である。特にIMSは、現在使用されている従来の静脈注射用(「IV」)ポールとはかけ離れた急進的な改善および新機軸である
【0003】
[0003]患者のリハビリテーションおよび回復にとって重要なことは、医療処置後に、たとえ医療用コンポーネントに接続されているときでも、患者が歩行できることである(米国特許第4,332,378号参照)。しかし患者の歩行は、患者と共に移動しているときに支持ポールが安定しており、転倒せず、または患者または介護者の妨げにならないことを確実にするという観点から、特別な安全性の問題を提起する。この安全上の懸念は、車輪付きベースに接続された垂直ポールを有する現在のIVポールでは適切に対処されていない。本明細書で提供するIMSは、医療用コンポーネント(比較的重いコンポーネントを含め)がIMSに容易に取り付けられ、かつIMSが極めて安定性が高く、操縦し易く、場合により歩行または移動する患者に対し信頼できる物理的支持を提供できることを確実にするように設計される。加えて、本発明のIMSは不使用時に極めてコンパクトな形態に折り畳むことができる。
【0004】
[0004]医療用製品および保険医療産業は急速な発展を経験してきたが、基本的IVポールは前世紀の大部分であまり変化しないままであった。それらは剛性であり、重量があり、前進しにくく、扱いにくく、不恰好であり、転倒し易く、かつ不使用時に簡便に収納することが不可能に近いままである。本技術分野で公知のIVポールは一般的に、ポールの高さを特定の患者に適切に適合させるために両手で操作する必要があり、ポールはしばしば特定の高さに確実にロックされない。ポールの車輪はしばしば転動を停止し、あるいは(敷物または部屋間の移行部の床面段差などに)引っ掛かり、ポール転倒の危険性が増大し、重大な負傷ならびに取り付けられた貴重な医薬品および機器の損傷を引き起こしかねない。
【0005】
[0005]現在使用されているIVポールの別の主要な欠点は、収納することが非常に難しいことである。一般的に、不使用時にそれらは物置(もしくは保管室に転換された不使用の病室)に、または廊下の端に寄せ集められる。この寄せ集めは結果的に、ポールが必要なときに取り出しにくいだけでなく、よりよく利用することのできる貴重な病院の空間を占有する、乱雑な装置の集まりを生じる。典型的な病院は数百個のIVポールを所有することがあり得るので、これは単純な問題ではない。診療所のようなより小規模の環境においてさえ、わずか2〜3個のIVポールの存在が重大な保管の問題を提起するおそれがある。
【0006】
[0006]医療環境で使用される車輪付きポール支持システムは本技術分野で一般的に公知である(例えば米国特許第6,056,249号、第4,744,536号、第4,892,279号、第4,725,027号、第6,619,599号、第5,772,162号、第5,458,305号、第4,905,944号、米国特許出願公開第2005/0139736号を参照されたい)。これらのポールシステムの各々における1つの共通する限界は、従来のベース構造と組み合わされた中央垂直ポールの構成が本質的に不安定であり、かつ重い医療用コンポーネントを保持するには不適切であることである。コンポーネントは一般的に、それらを中央垂直ポールにクランプまたは接続することによってIVポールに接続される。この構成は、機器および付属品が付加されたときに重心が本質的にベースの外周に向かって移動するので、より転倒し易くなる。加えて、長いレバーアームおよび懸吊されたコンポーネントの高さは結果的に、特にそのようなシステムの操縦のやり方に鑑み、システムの本質的な不安定性を悪化させるように働く大きいレバーアームをもたらす。したがって、本技術分野で公知のIVポールの形態は、特に車輪が床面外乱に引っ掛かる傾向を有する移動システムの場合、転倒し易い。
【0007】
[0007]現在使用されているIVポールは極めて非効率的な歩行器でもあり、使用者に何の移動支援も提供しない。IVポールを用いて歩行するために、患者は中央ポールを片手で把持し、かつ望まない方向または思いがけない方向にポールが容易かつ急速に進むことがあり得るので、ポールに頼ることができない。これは、ポールが一般的に使用者のそばに位置する場合にIVポールを片手だけで操縦しなければならないことによって、使用者の移動の方向と一致しない方向に、偶力が発生するという事実を反映する。したがってIVポールの慣性は使用者の移動方向と一致しない。これが前述の偶力を発生させる。したがって、使用者はIVポールを移動させるために追加の力/努力を働かせなければならず、IVポールが転倒するか転倒し始めた場合にそれを是正する能力が低下する。この問題は、例えば注入ポンプのような医療上必要なコンポーネントの接続などによってIVポールの質量または重量が増すにつれて増大する。加えて車輪を含むベースの形態は患者の歩行を妨げるおそれがあり、かつ隙間(例えばエレベータ)または他の外乱に容易に引っ掛かり、不安定性をさらに増大させる。
【0008】
[0008]歩行可能患者用支持スタンドは本技術分野で一般的に公知である(米国特許第6,969,031号、第4,332,378号)。しかし、車輪付きベースは中央ポールに取り付けられたままであり、患者は支持を依然として中央ポールに依存しているので、これらのスタンドは依然として本質的に不安定であり、扱いにくいことが欠点である。したがってこれらのシステムは不安定で、複数の重いコンポーネントを保持することができないままであり、かつ収納のために折り畳み、または使用のために展開することが容易でない。
【0009】
[0009]IVポールが歩行用支持体を提供するには本質的にうまく設計されていないという事実は、従来の4輪歩行器をIVポールと接続するための歩行器‐IVスタンド連結器を開示している米国特許第5,704,577号で認識されている。しかしそのシステムは扱いにくくかつ複雑であり、かなりの量の空間を占有する3つの異なるコンポーネントを必要とする。
【0010】
[0010]本技術分野で公知の歩行器(米国特許第5,479,953号、第5,411,044号)は、IVポールおよび/またはIV溶液バッグを受容するように適応されている。しかし、これらの歩行器は、容易に収納されず、かつ本発明の能力および特徴を持たない比較的嵩張る4輪システムである。収納のために折り畳むことが可能な他の歩行器(例えば米国特許第4,251,044号)は複数の重量コンポーネントを保持することはできず、移動する患者に対し信頼できる物理的支持体を提供せず、かつ/または患者が操縦することが比較的困難である。
【0011】
[0011]野外用の携帯IVスタンド(米国特許第4,807,837号、第6,983,915号)および特殊キャスタ車輪機構を有する他の型のスタンド(米国特許出願公開第2003/0178538号、キャスタ車輪機構付き三脚の米国特許第2,794,612号)は本技術分野で公知である。しかしこれらのスタンドは、本明細書で提供する、安定した展開し易い患者移動支援システムおよび点滴スタンドの必要性に対処していない。
【発明の開示】
【0012】
[0012]従来のIVポールシステムは安定性および/または収納性の欠如を免れない。本明細書で提供するのは、種々の荷重および使用者の条件下で安定性および転倒への抵抗を高める種々の幾何学的形状形態である。本明細書で開示する別の特徴は、種々の形態のシステムをコンパクトで空間節約的に、すなわち便利かつ容易に使用することができるように収納する能力である。加えて、本明細書で提供するシステムはいずれも操縦が簡単であり、比較的重い装置を含めどんな数の医療装置に接続された患者であっても、患者の移動を支援することができる。これらの様々な1つ以上の改善は、従来のIVポールの形態を、審美的に快適でありながら向上した能力および特徴を有する点滴管理システム(「IMS」)に急進的に設計し直すことによって達成される。ベースの形態は一般的に、介護者または患者いずれの移動をも妨げることなく比較的大きいベース領域を提供する。これは、2辺がそこから延びる頂点の向かい側に開放(例えば観念的)辺を有する2辺ベースを提供することによって達成される。
【0013】
[0013]安全で魅力的で現代的外見のシステムは、患者が離床し、歩行することによって運動し、それによって外科手術または医療処置後の回復時間を早めることを奨励するのに重要である。場合により、IMSは収納に便利なようにコンパクトな収納位置に折り畳まれ、それによって、必要なときに迅速な利用可能性および展開を犠牲にすることなく、IMSが不要のときに収納領域を最小化する。
【0014】
[0014]一実施形態では、IMSの形態は、安定して進み、かつ転倒防止性が極めて高いことを確実にする。IMSは、患者に接続することのできる任意の数のコンポーネントを質量に関係なく受容するために、迅速に展開する(例えば折りを広げる)ことができる。加えて、IMSは収納のために迅速にコンパクトな形態に折り畳み可能であり、あるいはコンパクトな収納を達成するために他のIMSと入れ子にすることが可能である。本明細書で提示するシステムおよび装置はいずれも、場合により、歩行する患者を支持する歩行器として、または患者によって操縦が容易かつ安全である移動支援装置として構成される。種々の革新的な特徴は、展開可能な車輪、展開可能なベースおよび幹体の形態、複数の展開可能なコンポーネント支持アーム、保持アーム、展開可能なホルダ、ケーブル管理システム、組み込まれた移動(例えば歩行器または移動支援)機能、収納性、電源、パワーストリップ、ならびに種々の付属品および/またはアップグレードを受け入れる柔軟性の1つまたはそれ以上を含む。計算器、書面資料、投与量計算のための装置、小器具テーブル、照明および照明クリップ、読書灯アタッチメント、酸素キャニスタホルダ、車椅子アタッチメント、診断機器マウントのような付属品はシステムに容易に接続される。
【0015】
[0015]一実施形態では、本発明は一般的に、重荷重下でも極めて安定しておりかつコンパクトな収納形態に容易に折り畳まれる、1つ以上のコンポーネントを保持するためのシステムである。同様にシステムは、比較的重いコンポーネントを含め1つ以上のコンポーネンをすぐに受容できる位置に容易かつ迅速に展開することができる。一実施形態では、システムは、医療または臨床環境で静脈注射(IV)液を投与するため、または移動する人間および移動できない人間に実施されかつポンプ、電源、照明、酸素投与/監視のようなIV投与に関連付けられ得る他の医療処置のために有用な点滴管理システム(IMS)である。特定の実施形態では、IMSは、場合により1つ以上の医療用コンポーネントに接続された歩行する患者に物理的支持をもたらす歩行器でもある。代替的に、システムは患者の操縦能力を妨げず、むしろ容易に操舵可能でありかつ(移動を妨げる従来のシステムとは異なり)移動の促進に役立つことから、IMSは移動支援装置であるかもしれない。IMSの歩行器の特徴は、たとえ重い医療用コンポーネントがIMSに取り付けられ直接または間接的に患者に接続されている場合でも、本技術分野で公知の従来の「直線状」車輪付きIVポールに関連付けられる転倒または予想外の移動の心配無く、患者が支持のために頼ることのできる極めて安定したプラットフォームを提供するので、特に有用である。
【0016】
[0016]一実施形態では、IMSの安定性は、比較的大きいベースの占有領域を有するようにシステムを構成し、かつIMSに取り付けられる医療用コンポーネントがベース占有領域の中央領域上に位置することを確実にすることによって得られる。それは、底部ベースが円形でありかつ比較的小さい(例えば患者が中央幹体を握持することができるように「アームの長さ」より小さい)、現在使用されているIVポールとは対照的である。一実
施形態では、ベースは幹体の底に直接または間接的に接続された2つのベースアームを含み、ベースは、IMSを操縦しまたはそれと共に歩行する患者の移動性または移動を妨げまたは遮ることなく、比較的大きい(かつしたがって安定な)占有領域をもたらす。これは、「開放端型」ベースを有することによって達成される。開放端とは、各々のベースアームの一端が接続されない(これらの自由端を接続するベース占有領域の観念的エッジを形成する)ことを意味する。観念的エッジはベースアームの各々の延出起点である頂点に対向する。一態様では幹体は垂直である。一態様では幹体は垂線に対して傾斜している。大きいベース占有領域は、2つのベースアームの各々が比較的長い長さを持ちかつ幹体に接合して頂点領域にベース頂角を形成するように、それらを構築することによって得られる。ベースアームの各々が直線状である実施形態では、ベース占有領域は、占有領域面積A=1/2×b×hを有する三角形である。ここでbはベースアームの端の分離距離であり、h=L×cos(α/2)であり、ここでLはベースアームの長さであり、αはベース頂角である。システムが安定に維持され、かつ患者によって操縦することが可能である限り、特定の寸法は重要ではない。したがって一実施形態では、展開された装置が扉開口部を通り抜けるような寸法にする。典型的なベースアームの長さは約25から30インチ(64cmから76cm)の間、またはそれらの範囲内の任意の値である。一般的に、ベースアームは、システムが横切らなければならない約36インチ(92cm)の従来の扉幅のような扉の幅未満の最大距離だけ分離される。これらのパラメータから、ベース頂角または「頂点角度」αを算出することができる。
【0017】
[0017]医療用コンポーネントが(ホルダによって直接または保持アームを介して間接的に)接続される幹体は、幹体がベース占有領域上に延びるように場合により1方向に傾斜し、それによって、複数の重い医療用コンポーネントが取り付けられたIMSを含め、展開されたIMSの重心がベース占有領域上に位置することが確実になる。使用者の歩調を妨げない比較的大きいベース占有領域上の重心は結果的に、非常に転倒しにくいが、容易かつ確実に操縦できる極めて安定したシステムをもたらす。対照的に、従来の円形ベース占有領域は、患者の歩調を妨げないように小さくしなければならず(例えば必ず患者の腕の長さ未満である)、それによって本質的に不安定になる。
【0018】
[0018]IMSが展開可能である実施形態では、システムは、1つ以上の医療用コンポーネントを保持するための幹体と、第1ベースアームおよび第2ベースアームを含むベースとを備え、各々のベースアームの一端は幹体の底端に枢着され、ベース展開形態では、幹体は場合によりベースに対して鋭角を成し、ベース収納形態では各々のベースアームが枢動して幹体と平行な位置になる。IMSは、ベース占有領域に対する幹体の角度および位置により、幹体がベース占有領域上に、好ましくはベース占有領域の中央領域上に配置されることが確実になるように設計される。代替的に、幹体が垂直である場合、幹体がベースと交わる部分を通り越した延長頂点領域(例えば延長が幹体から遠位側にある場合)は、質量中心がベース占有領域の上に位置し、ベース占有領域を画成するベースが患者の歩調を妨げないようにする。
【0019】
[0019]展開可能なベースとは、安定した(例えば「折りを広げた」または「展開された」)IMSを提供するように配置することができ、かつ収納のためにコンパクトな(例えば、「折り畳まれた」または「収納された」)IMSを提供するように配置することもできるベースを指す。一実施形態では、ベース収納形態のときに各々のベースアームは、幹体と平行になるように配置される。この態様で、平行とは平行から約20°以内の対を成す表面を包含する。一実施形態では、ベースアームは幹体と平行であるが、幹体に接触しない。一実施形態では、ベースアームは幹体と平行であり、少なくとも1つの軸方向位置で幹体表面に接触する。一実施形態では、ベースアームの実質的に全長が幹体表面に接触する。
【0020】
[0020]一態様では、幹体は幹体の底端と頂端との間に延びる3つの主面すなわち前面および2つの側面を有し、システムがベース収納形態に配置されたときに、各側面はベースアームを受容する。この態様では、幹体表面は、システムがベース収納形態のときに幹体表面が1つのベースアームを受容するように、ベースアーム頂面と実質的に相補的な表面形状を有する。
【0021】
[0021]一態様では、IMSは、表面と安定的に接触する3個以上の車輪を設けることなどによって、表面上を移動することができる。「安定的に接触する」とは、システムの重心が少なくとも3つの車輪の接点によって画成されるベース占有領域内にくるように、かつハンドルに力が加えられた状態でかつ/または医療用コンポーネントがホルダによって支持されるときに装置が転倒しないように、装置および車輪が位置付けられることを指す。IMSは3つ以上の車輪をベースに接続することによって移動可能であり、ベースはベースアームと、IMSが載っている表面に対向する幹体底面または頂点領域の部分とを含む。例えば、本明細書に開示するIMSのいずれかはさらに、ベースアーム間の接続点(例えば頂点)によって形成される幹体底端または頂点領域に接続された第1車輪、第1ベースアームに接続された第2車輪、および第2ベースアームに接続された第3車輪を備えることができる。3つの車輪の各々をベースの適切な位置に接続することで、例えば患者および/または医療者によって方向性のある力を加えるといった、力を加えることにより、支持面上を移動することのできる安定なシステムがもたらされる。幹体底部または頂点領域に接続された車輪から最も遠いベースアームの端に車輪を接続することによって、または換言すると、ベース領域の占有領域の大きさを最大化することによって、最大限の安定性が得られる。これはさらに、幹体がベースに接続される場所から遠位の頂点領域に車輪を配置することによって達成することができる。そのような形態はさらに操縦が容易なシステムをもたらし、開放端型ベース占有領域は、開放端型でない従来のIVポールベースとは対照的に、患者の歩調を妨げない、または遮らない。
【0022】
[0022]一実施形態では、各々の車輪は、システムが押し引きされる方向に車輪を整列させる自動車輪旋回を容易化するために、ハブレスキャスタまたは従来のキャスタのようなキャスタによってシステムに接続される。一実施形態では全て(3つ)の車輪が旋回し、IMSを容易に配置または移動させることを可能にする。モビリティアーム(または「ハンドルアーム」)がそれらの「歩行器位置」に展開され、移動中にすぐに人を支持することができる場合、後輪は場合により前方方向にロックされる。この「ロック」はIMSが側方に非制御移動することを防止し、人が前方向に移動することを容易化する。幹体の下の前輪はキャスタまたは旋回し続け、それはIMSの制御可能な操舵を容易化する。一実施形態では、後輪はモビリティアームが収納位置にあるときに旋回することができるが、モビリティアームが展開されるときに一定方向にロックされる(例えば旋回しない)。一実施形態では、各々の車輪はモビリティアームの状態に関係なく旋回する。
【0023】
[0023]IMSに接続された車輪または車輪システムのいずれかは、収納中の最大限のコンパクトさを確実にするために、展開可能とすることができる。IMSが歩行器モードでないときに、IMSが定位置に維持されることを確実にするために、車輪を収納してもよい。この態様では、展開された車輪は支持面上を転動することができ、収納位置で、車輪は支持面に接触しないように、または支持面上で転動することができないように接触するように配置される。一実施形態では、各々の車輪は展開されたときに旋回する(例えば「方向性のある回転」が可能である)。方向性のある回転とは、車輪が加えられた力の方向に自由に旋回することができることを指す。3つの旋回車輪は、システムが患者を歩行器モードで支持していないときに、最大限の操縦可能性を容易化する。代替的実施形態では、前輪だけが展開されたときに旋回することができ、2つの後輪は一定方向に展開する。代替的に各々の車輪が一定方向に展開する。一態様では、第2および第3車輪(例えば後輪)は前方向に実質的に平行な方向に展開する。この態様で、実質的に平行とは車輪が真の平行から20°以内の方向に配置されることを指す。一実施形態では、2つの後輪は、モビリティアームが収納位置にあるときに旋回することができるが、モビリティアームが展開されているときに一定方向にロックされる。モビリティアーム展開位置でシステムを歩行器として使用することができ、歩行する患者が適切に支持されることを確実にするために、2つの後輪は突然の方向転換ができないことが重要であるので、この態様は有用である。この態様は、モビリティアームが回転されて展開位置に着くときに、回転可能なリングマウント接続のような旋回する車輪コンポーネントとロック可能に係合するキャスタロックアセンブリによって達成される。
【0024】
[0024]移動IMSの実施形態はいずれも、IMSを移動または動かすために力を受けるための1対のハンドルをさらに備えることができる。ハンドルは場合により、ハンドルが必要でないときに収納するためにハンドルをベースアームと実質的に平行に配置させ、IMSが移動するときに、患者または介護者から力を受け取るためにベースアームと実質的に垂直に展開させることができるように枢着される。各ハンドルは、例えば手から力を受け取るように構成されたハンドルグリップを有することができる(例えば心地良いゴム材)。衛生上の理由から、患者の手を載せるハンドルまたはハンドル面は使い捨てにすることができ、それによって必要に応じた交換が容易化される。
【0025】
[0025]一実施形態では、ハンドルはさらに、ベースアームに枢着されたモビリティアームと、ハンドルグリップをモビリティアームに接続するグリップジョイントと、モビリティアームとロック可能に係合するハンドルロックアセンブリとをさらに備え、それによって上記モビリティアームは収納位置または展開位置にロックすることができる。この実施形態では、IMS上に、例えばベースアーム上に便利に配置された解除ボタンを押すと、移動またはモビリティアームが解放され、それを展開位置に展開させる、または収納位置に収納させることが可能になる。
【0026】
[0026]一態様では、ハンドルおよびより具体的にはモビリティアーム(本明細書では「モビリティハンドル」とも称す)は、様々な背丈の患者、または立っている患者および車椅子に拘束されている患者による歩行器の使用を容易化すべく、モビリティアームの長さを調整するために伸縮自在に接続される2つの部分を含む。この態様では、モビリティアームはさらに、伸縮自在に相互に接続された上アーム部および下アーム部を備える。別の実施形態では、ハンドルは、グリップハンドルを選択可能に配置するための手段を備えたグリップジョイントを有する。モビリティハンドルが展開可能である実施形態では、モビリティハンドルは、収納位置でモビリティハンドルを使用できないように、本技術分野で公知のいずれかの手段によってベースアームに接続することができる。例えばモビリティハンドルは、収納中にハンドルがベースアームと実質的に平行になるように、ベースアームに回転自在に接続してもよい。これは内面、頂面、または外面で行なうことができる。代替的にベースアームは、収納中にハンドルが実質的にベースアーム内に入るように、モビリティハンドルを受容するための凹部の特徴形状を有してもよい。一態様では、その凹部はベースアームの長さの一部分を2つに分割させることによって形成される。収納性の別の例は、モビリティアームおよびベースアームの可逆的または一時的接続を容易化させる螺合、磁気連結、または密嵌接続などによるモビリティアームの完全な取外しに関係する。
【0027】
[0027]本明細書に提示する装置またはシステムのいずれかへのモビリティハンドルの特定の接続箇所は、システムの移動性、安定性、および操縦性が満足できる状態に維持される限り、重要ではない。例えば特定の実施形態では、接続箇所はベースアームの幹体から比較的遠い位置である。他の実施形態では、取付箇所は幹体または頂点領域としてもよい。例えば単一のコネクタの一端に幹体を接続してもよく、他方の手に1対のモビリティハンドルを接続することができる。代替的に、1対のモビリティハンドルを幹体に接続し、そこから延ばしてもよい。一態様では、モビリティハンドルは一般的にベース占有領域の上の垂直空間に対応する領域内に配置される。
【0028】
[0028]一実施形態では、幹体は、医療用コンポーネントを支持する保持または折畳みアームに接続することによって、間接的に医療用コンポーネントを支持する。この型の医療用コンポーネント支持機構は、医療用コンポーネントを幹体に直接取り付けるよりむしろ、コンポーネントの配置に関して極めて柔軟であり、使い易く、多数のコンポーネントを支持することができ、かつIMSが使用されないときに最大限にコンパクトな収納を達成する。一態様では、各々の保持アームまたは折畳みアームはそれ自体展開可能である。
【0029】
[0029]一態様では、IMSは、保持アームが高さ調節可能であるように幹体頂端に伸縮自在に接続された、医療用コンポーネントを保持するための保持アームを有する。IMSはさらに、保持アームとロック可能に係合する保持アームロックアセンブリを備えることができ、それによって保持アームは片手で収納位置または展開位置にロックすることができる。特にロックアセンブリは、多種多様な保持アーム長さを有する保持アームの配置を容易化する。ロックアセンブリはさらに、保持アームの凹部から部材を出させるボタンを含むことができ、それによって幹体頂端に対する保持アームの移動が可能になる。所望の位置に到達すると、部材が保持アームの別の凹部と係合するようにボタンを解除することができ、それによって保持アームが確実に配置される。一態様では、このロック機構ボタンは幹体頂面に配置される。別の態様では、幹体および1つ以上の保持アームの両方に動作可能に接続されたホルダが設けられる。ハンドルは幹体の軸方向長さの少なくとも一部分に沿って可動である。ハンドル(およびしたがって保持アーム)はロックすることができるようにラッチ型機構が設けられ、ハンドルをアンロックすることによりハンドルは必要に応じて移動し、それによって保持アームの最大高さが調節される。これは、保持アームによって支持される1つ以上の医療用コンポーネントの「無限の」高さ調節可能性のための手段をもたらす。
【0030】
[0030]一態様では、保持アームはさらに、1つ以上の医療用コンポーネントを保持するための1つ以上のホルダを含む。代替的に、ホルダは幹体に直接接続してもよい。ホルダ自体が配置可能とすることができ、それによってIMS幹体に対する医療用コンポーネントの取付位置のさらなる制御がもたらされる。ホルダは展開可能、取外し可能、またはその両方とすることができる。一実施形態では、ホルダは保持アームの長さの少なくとも一部分に延びる溝内に位置付けられる。溝は片手でホルダを操縦するためのシステムを収容することができ、ホルダは、ホルダが操縦されるときにはホルダの配置または位置付けが可能であり、かつホルダが操縦されないときにはホルダが堅固に位置付けられるように、溝に接続することができる。溝は、はしご状の凹部および突出パターンのような、ホルダと結合するための一連の離間されたレセプタクル(receptacle)を備えることができ、かつ/またはラチェット機構を使用することができる。溝システムはポンプシャフトマウントを受容するのに特に有用である。一実施形態では、溝は複数の配置可能なホルダを受容することができる。薬液バッグをホルダに確実に取り付けるために、ホルダは、突出および/または凹部の特徴形状が薬液バッグを受容するように成形または輪郭加工された一端(例えばフック)を有することができる。ホルダは、患者に近接して位置することが必要でありかつ医療処置を施すのに有用である任意のコンポーネントを保持することができる。
【0031】
[0031]一実施形態では保持アームは3面型であり、3面の各々が少なくとも1つのホルダを受容するために長手方向に延びる溝を有する。この態様で、長手方向とは保持アームの長軸方向を指す。この3面型システムは、IMSに取り付けられる医療用コンポーネントの配置および位置付けにおける追加の柔軟性をもたらす。一実施形態では、IMSは1対の保持アームを備え、各保持アームは独立して伸縮自在に幹体頂端に接続される。代替的に、2つの保持アームの各々は、幹体と摺動自在に係合して配置された単一のハンドルによって制御される。
【0032】
[0032]本発明の別の態様では、IMSはさらに折畳みアームまたは「折畳み式支持体」、「ポンプマウント」、もしくはより一般的には「マウント」を備える。折畳み式支持体は、医療用コンポーネントを接続するための追加的または代替的場所を提供する。一端が幹体頂端に伸縮自在に接続される保持アームとは対照的に、折畳み式支持体は、折畳み式支持体の両端が幹体に接続される。取付場所は、幹体正面の反対側であって2つの幹体側面の間の位置に配置することが好ましい。例示的実施形態では、折畳み式支持体は、医療用コンポーネントを受容するために収納位置と展開位置との間で伸縮することのできる底部折畳み式支持体部分を有する。例えばばねボタンは、幹体および下部折畳み式支持体が「ロックされる」ように、対応する穴とロック可能に係合することができる。該折畳み式支持体部分は、幹体底端に展開可能に接続される底端を有し、頂部折畳み式支持体部分は幹体頂端に展開可能に接続される頂端を有する。アーム底部および頂部は折畳みジョイントによって接続される。保持アームと同様に、折畳み式支持体は、複数の展開可能なホルダ、および特に医療用コンポーネントを取り付けるために頂部折畳み式支持体部分に接続されたホルダを取り付けることができる。折畳み式支持体はまた折畳み式支持体を展開および収納するための手段をも有し、収納位置で折畳み式支持体は、2つの幹体側面を分離させる幹体の折畳み式支持体溝内に収容されることを含めて、幹体と平行になる。折畳み式支持体を展開するための手段は、1つ以上の医療用コンポーネントを受容するために、折畳み式支持体を幹体から離して迅速かつ容易に配置することを容易化する。折畳み式支持体を展開するための手段として、力を伝達するためにエルボに配置された小リングが挙げられるが、それに限定されない。リングに展開力を加えると(例えばリングを引くと)、下部伸縮折畳み式支持体部分は伸張し、ボタンはシャフトの穴と嵌合し、それによってシステムは展開形態にロックされる。代替的に、収納時に折畳み式支持体が緊張し、幹体から遠ざかる方向の力がジョイントに加えられたときにアームが折りを広げて展開するように、1対のばねまたは他の張力付与手段が設けられる。代替的に、折畳み式支持体端部は、幹体との位置決め可能な接続(例えばスライドロック機構)を有することができる。別の態様では、このポンプマウントまたは折畳み式支持体は、ベースアームが展開されたときに自動的に展開される。これは、幹体に対するベースアームの枢動により対応するポンプマウントまたは折畳み式支持体の動きが引き起こされるように、ポンプマウントをベースアームに動作可能に接続することによって達成される。
【0033】
[0033]請求の範囲に記載するいずれかのシステムの幹体は、場合により3つの主面すなわち前面および2つの側面を有するように成形された幹体を有し、ベースアームが収納形態に配置されたときに、ベースアームはそれらと実質的に平行になる。一実施形態では前面は軸方向幹体溝を有し、その中に医療用コンポーネントのコードまたは管類を配置することができる。IMSに取り付けられたコンポーネントに関係するコードまたは管類を組織化または保持するために、1つ以上のクリップを幹体溝に、回転可能に接続することを含め、動作可能に接続することができる。一実施形態では、折畳み式支持体は幹体側面間に位置する折畳み式支持体溝内に配置される。自動的に展開可能なポンプマウント(折畳み式支持体)の場合、マウント/支持体とベースアームとの間の動作可能な接続は幹体表面に沿って設けるか、あるいは幹体表面によって画成される内部容積内に収容することができる。
【0034】
[0034]一態様では、IMSはさらに、IMSに取り付けられた電気コンポーネントに電力を提供するための電気システムを備える。電気システムは、システムに取り付けられた医療用コンポーネントに電力を供給することのできる少なくとも1つの電気コンセントを備える。電気コンセントは、電気コンポーネントに電力を供給するのに便利なシステムのどこにでも、例えばベースアーム頂面または幹体表面に配置することができる。一実施形態では、1つ以上の電気コンセントが幹体側面または幹体前面に配置される。電気システムは電源に接続され、電力はAC、DC、または両方である。AC電力は、従来のプラグ付きAC電源コードにより電気システム(例えばパワーストリップ)に接続された従来の壁コンセントによって供給することができる。加えて、DC電力は1次または2次バッテリのようなバッテリによって供給することができる。システムが壁コンセントに接続されないときでも電力の連続供給源が得られるように、DC携帯電源によりシステムに電力を供給する能力は、システムが移動する実施形態には特に重要である。DC電源は、システムに取り付けられるバッテリとすることができる。一態様では、電気システムは再充電可能なバッテリ、および外部電源から再充電可能なバッテリに充電するための手段を含む。充電のための手段は、ACコンセントへの接続用のACプラグに接続されたコード、DCコンセントへの接続用のDCプラグに接続されたコード、およびこれらの供給源からの効率的かつ安全なバッテリ充電を確実にするための本技術分野で公知の種々の関連回路構成を含む。再充電可能なバッテリは、例えば幹体または幹体凹部内に配置されたIMSの一体的コンポーネントとすることができる。代替的に、バッテリはIMSのホルダの1つに取り付けることができる。
【0035】
[0035]ベースアームが幹体と実質的に平行に配置されたときに幹体およびベースアームが比較的コンパクトに収納することができる限り、本発明の幹体は種々の形状のいずれかを有することができる。したがって幹体は屈曲、湾曲、および直線状からなる群から選択される軸方向または長手方向を有する。一態様では、幹体は屈曲または湾曲している。屈曲または湾曲した幹体は、例えばベッド、ガーニー、テーブル、およびドレッサーのような物体の近くにIMSを配置するのに有用である。一態様では、幹体は直線状である。直線状幹体は最も単純な形状であり、壁掛け収納または本発明の複数のIMSを保持することのできるカート内の配置に適する最もコンパクトな形態をもたらすことができる。一態様では、複数のシステムは、ベースを幹体に対して回転させる必要なくコンパクトに収納するために相互にすり寄せることができる。
【0036】
[0036]一実施形態では、IMSは、1つ以上の医療用コンポーネントに接続されるかまたはそれらをすぐに利用することができるようにしなければならない歩行患者によって操縦することのできる移動支援装置でもある。この態様では、IMS装置は、1つ以上の医療用コンポーネントを保持するための1つ以上のホルダを有する幹体を備え、幹体は底端および頂端を有する。軸方向に離間されたホルダは幹体に直接接続するか、本明細書に記載する保持アームおよび/または折畳み式支持体もしくはポンプマウント(「マウント」)によって幹体に間接的に接続することができる。第1ベースアームおよび第2ベースアームを有し、各ベースアームの一端が幹体底端に接続されたベースは、幹体に接続される。IMSの移動性をもたらすために、第1車輪が頂点領域にまたは幹体底端付近に接続され、第2車輪が第1ベースアーム端部に接続され、第3車輪が第2ベースアーム端部に接続され、各々の車輪は、システムが載っている支持面と安定的に接触することができる。車輪と支持面との間の接触点は安定な三角形のベース占有領域を提供し、幹体はその上に延在する。必要に応じて追加車輪を使用してもよい。歩行患者を支持しかつ特定の実施形態では患者の手を受容するモビリティアームは、患者の手を支持するための各々のベースアームに接続される。患者は、各々のハンドルまたはモビリティアームに適切な力を加えることによって、システムを1方向に動かすことができる。システムは、1つ以上の重いコンポーネントがシステムに取り付けられた状態でも、歩行または移動する患者に安定な支持を提供することができ、かつ転倒を防止する。
【0037】
[0037]一実施形態では、IMS歩行器の各ハンドル(またはモビリティアーム)は、ハンドルを回転させて収納または展開位置にすることができるように、ベースアームに回転自在に接続される。さらなる展開能力を提供する別の態様では、各々のベースアームは、各々のベースアームを枢動させてベース収納またはベース展開形態にするために、幹体に枢着される。代替的に、モビリティアームはベースアームに可逆的に接続される。場合により、介護者が歩行器に移動力を加えることができるように、追加のアタッチメントを設けることができる。例として、戦略的に配置されたハンドル、および/またはテザーまたはコードを接続するためのハンドルアタッチメントが挙げられる。
【0038】
[0038]本明細書に記載するシステムはいずれも、比較的重いコンポーネントがシステムに取り付けられた場合でもシステムが安定しており、転倒を防止し、かつ必要に応じてシステムが扉を通り抜けるなどして廊下で使用することができるような大きさである限り、任意の適切な寸法または形状とすることができる。例えば幹体は、垂線に対して角度を成す直線状の部分を少なくとも1つ有することができる。垂直に対する角度は、約5°から約25゜の間もしくは10゜から15゜の間の範囲または約12゜から選択された角度を含め、任意の適切な角度であり、それによって幹体、およびさらに詳しくは、幹体によって支持されるコンポーネントがベース占有領域の中心部の上に位置付けられることが確実になる。幹体の頂端と底端との間の垂直距離は、使用者の背丈(例えば子供対成人)に適合するように選択された範囲を有することができる。例えば垂直高さ(例えば頂端から床までの距離)は約3フィート(3’)から6フィート(6’)の間もしくは4フィート(4’)から5フィート(5’)の間の範囲または約4.5フィート(4.5’)から選択される。伸縮支持体は、約1フィート(1’)から2フィート(2’)の間の範囲または約18インチ(18’’)から選択された高さのような追加的垂直高さを提供する。したがって、例示的実施形態の幹体プラス伸縮支持体の総垂直高さは約6フィート(6’)である。
【0039】
[0039]展開される車輪を有する本発明のIMSおよびIMS歩行器システムのベース占有領域は、各頂点が車輪と支持面との間の接触点に対応する三角形である。特定の幹体およびベースアームの形状は、展開されたシステムが極めて安定するように相互に依存する。一実施形態では、ベースアームは約2フィート(2’)から3.5フィート(3.5’)の間もしくは30インチ(30’’)から36インチ(36’’)の間の範囲、または約3フィート(3’)から選択された長さを有する。ベース占有領域はベースアーム間の領域とほぼ一致し、長さ36インチ(36’’)および頂角70゜のベースアームの場合、約610in2である。
【0040】
[0040]別の態様では、記載しかつ特許請求するシステムのいずれかは、40゜から100゜もしくは50゜から90゜の範囲または約70゜から選択されたベース頂角を持ち、ベース頂角は第1および第2ベースアームの方向、特に幹体底部に隣接するベースアーム端の方向によって形成される角度によって画成される。本発明の重要な態様は、大きいベース占有領域を有しかなりの数のコンポーネントを保持することのできるIMSの場合でさえも、不使用時にはIMSを幹体の寸法よりわずかに大きい寸法を有するコンパクトな形態に折り畳むことができることである。例えば、収納のために折り畳まれたときに、装置の占有領域は、幹体の水平断面と同程度、または幹体の断面プラス収納位置の各々のベースアームの断面とほぼ同程度に小さくすることができる。対照的に、展開されたIMSの占有領域は、展開されたベースアームによって画成される領域に対応する。したがって一態様では、収納占有領域は展開占有領域の20%未満、10%未満、または5%未満である。
【0041】
[0041]本発明はさらに、本明細書に記載するIMSおよびIMS歩行器に関係する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、本発明の点滴管理歩行器システムを提供することによって、歩きながら同時に医療処置を提供すると共に患者を支持する方法である。医療処置を提供する医療用コンポーネントは歩行器システムのホルダに取り付けられ、各々のモビリティアームは歩行患者から力を受け取るのに適した位置に回転される。医療用コンポーネントに接続されながら歩行することを希望する患者は、システムの背後(例えばベースアームに取り付けられた第2および第3車輪の間に一般的に画成されるベース面積領域内)に位置し、各々の患者の手はハンドルグリップ上に配置される。患者はIMS歩行器と一緒に歩行し、ハンドルグリップに力を加えることによってIMS歩行器を移動させることができ、それによって同時に医療処置を受けると共にIMS歩行器から歩行支持を受ける。この方法は、従来のIVポールよりずっと転倒または非制御移動しにくく、かつ移動中に患者の視線を保つことのできる安定したIMSをもたらす。一態様では、IMSに取り付けられた医療用コンポーネントは、静脈注射液容器(例えばIVバッグ)、カテーテルおよび排液バッグ、試験機器、注入ポンプ、電源、光源、酸素キャニスタ、監視機器、または患者に近接することによってその使用が容易化されてもよいいずれかの医療品からなる群から選択される。
【0042】
[0042]幹体に枢着された1対のベースアームを備えるベースに接続された幹体を有するIMSを提供することなどによって、点滴管理システムをコンパクトに収納する方法も提供する。幹体と実質的に平行な位置にベースを枢動させることにより、点滴管理システムのコンパクトな収納がもたらされる。次いでシステムは、壁または天井マウントに装着することなどによって、便利な場所に収納することができる。代替的に、本明細書に提示するシステムのいずれかは、従来のカートを入れ子にするのと同様のやり方で隣接する装置を入れ子にすること(例えば装置の近接性および積み重ね)によって収納される。
【0043】
[0043]本発明はまた、安全かつ使用し易い歩行器IMSを確実にする特殊車輪付きシステムでもある。本発明の車輪システムは場合によりハブレスかつ/または展開可能である。車輪システムは、車輪がその上を転動する表面に接触する外側車輪の回転を容易化するベアリング、および外側車輪が転動しているときにそれ自体は回転しない内側車輪部分を備える。内側車輪の回転無しに外側車輪部分が回転することができる限り、ベアリングはボールベアリングおよびローラベアリングのような本技術分野で公知の任意のベアリングとすることができる。代替的に車輪はオープンハブ設計である。
【0044】
[0044]一実施形態では、本発明は、中央オリフィスを画成する内向き面を有するリングマウントを有する展開可能な車輪システムである。車輪ホルダは一端を上記リングマウントの内向き面に回転自在に接続され、車輪ホルダの他端は車輪に接続される。車輪自体は外側部分および内側部分を有する「ハブレス車輪」であり、外側部分は内側部分に回転自在に接続され、車輪ホルダは車輪内側部分に固定接続される。この形態は車輪の外側部分が表面上を転動することを可能にし、車輪ホルダは車輪を展開位置または収納位置に展開することが可能である。車輪収納位置では車輪はリングマウントと整列すると言われ、車輪はリングマウントと実質的に同心になり、車輪外側部分はリングマウントによって覆われる。車輪展開位置では車輪はリングマウントと整列せず、車輪の外面のかなりの部分はリングマウントによって覆われず、支持面と接触してその上を転動することができる。
【0045】
[0045]一態様では、リングマウントは車輪カバーに取り付けられる外向き面を有する。車輪カバーは、医療装置、テーブルもしくはスタンド、または例えば自転車ホルダのような汎用ホルダをはじめとする装置に接続するために利用可能な端部を有する。カバーの他端は、車輪を覆うように湾曲または成形することを含め、希望通りに湾曲または成形することができ、それによって車輪との偶発的な接触から生じる損傷を最小化する。リングマウントと車輪カバーとの間のリングマウント接続は場合により回転自在に接続され、それによって車輪(例えば加えられた力の方向に整列する車輪キャスタ)に旋回能力がもたらされる。
【0046】
[0046]本発明の車輪システムは、1台の医療機器に接続されたときに特に有用である。本発明の車輪システムは、装置アームを車輪カバー接続端の中空開口内に摺動自在に係合することを含め、本技術分野で公知の任意の手段によって、装置アームに接続することができる。代替的に、車輪カバーは(例えば射出成形、鋳造等によって)装置アームの一体部品とすることができ、または締め具、接着剤および/または溶接によって装置に永久固定することができる。例示的実施形態では、車輪カバーは静脈注射用ポール(本発明のIMSを含む)のベースアームを受容し、締め具はベースアームおよび車輪カバーを確実に連結する。
【0047】
[0047]一実施形態では、車輪システムはさらに、上記リングマウントの外面とロック可能に係合する車輪旋回ロックアセンブリを含み、それによって上記リングマウントを1方向にロックすることができ、よって車輪の旋回が防止される。この実施形態は、必要に応じてより高い操縦性の歩行器を展開する能力を維持しながら、直線歩行器を提供するのに有用である。
【0048】
[0048]別の態様では、車輪システムは車輪外側部分とロック可能に係合する車輪ロックアセンブリを備え、それによって車輪は静止位置に固定することができ、車輪の支持面上の回転が防止される。一実施形態では、IMSは、IMSを移動させるために使用者が越えなければならない摩擦範囲を提供する制御制動システムを有する車輪システムを備える。一実施形態では、制動システムは、自転車でよく使用されるハンドブレーキと同様のハンドブレーキを備える。ハンドブレーキは、車輪と制動係合するゴムパッド、モビリティアームのハンドルグリップに取り付けられたレバー、および使用者によるレバーの押下げをゴムパッドの動きに伝達して車輪を制動係合するためにパッドとレバーの間に延びるケーブルを含む。代替的に、IMS使用者がハンドブレーキを係合するのに充分な力を発生させることが難しい場合、スロットルグリップが使用され、グリップの回転変位により車輪の摩擦調整が行なわれる。一実施形態では、IMSは、例えば本明細書に記載する制御制動レバーおよびスロットル、フットクリップ、レバー、ダイアル、および制御可能な制動摩擦を提供する他の機構のようなオペレータ支援ブレーキによって、車輪を制動するための手段を備える。制動システムは、IMSの動作を自由回転から所定の位置でのロックに変更する能力を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】ベースが展開された状態の点滴管理システム(IMS)の斜視図。患者から力を受け取るためのハンドルは収納位置にある。ベースアーム表面の線は表面輪郭を示す。
図2A図1のIMSの側面図。
図2B】幹体とベースアームとの間の角度によって形成される幹体角度θ、および垂直に対する幹体角度φを示す略図。
図2C】幹体軸線が屈曲し、幹体の1つの部分が垂直であり、別の部分が垂線に対して傾斜している実施形態を示す略図。
図3図1のIMSの上面図。
図4A図1のIMSの底面図。
図4B】車輪とIMSが載っている表面との間の接触点に対応する各頂点を有する三角形によって画成されるベース占有領域の略図。
図4C】車輪が収納されて表面と接触しておらず、ベースアームが屈曲している場合のベース占有領域の略図。
図5図1のIMSの背面図。
図6図1のIMSの正面図。
図7】ハンドルが展開された状態の図1のIMSの斜視図。
図8図7のIMSの背面図。
図9図7のIMSの正面図。
図10図7のIMSの側面図。
図11図7のIMSの上面図。
図12図7のIMSの底面図。
図13】ベースアームが幹体と軸方向に接触している収納形態のIMSの斜視図。
図14図13のIMSの背面図。
図15図13のIMSの側面図。
図16図13のIMSの正面図。
図17図13のIMSの上面図。
図18図13のIMSの底面図。
図19】本発明のIMSに有用な車輪システムの拡大斜視図。この車輪はベースアームの1つに接続された車輪に対応し、IMSの移動を容易化するために展開された車輪を示す。
図20】本発明のIMSに有用な図19の展開された車輪システムの側面図。
図21図19の展開された車輪システムの上面図。
図22】車輪がその収納位置にある、図19に示した車輪システムの斜視図。この形態は、IMSをその収納形態に折り畳むとき、およびIMSを移動させるのではなく展開させるときに有用である。
図23図22の車輪システムの側面図。
図24図22の車輪システムの端面図。
図25】1つ以上の電気装置に電力を供給するために一体化された電気システムを有する本発明のIMSの略図。
図26】移動支援アームが収納形態であるときの移動支援IMSの斜視図。
図27図26のシステムの正面図。
図28図26のシステムの側面図。
図29図26のシステムの上面図。
図30】移動支援アームが展開形態であるときの移動支援IMSの斜視図。
図31図30のシステムの側面図。
図32】保持アームが幹体の頂端と実質的に面一の収納位置にあるときの幹体の頂端の拡大図。
図33】保持アームが幹体の頂端から延びた展開位置にあるときの幹体の頂端の拡大図。保持アームはホルダを幹体の軸方向長さに沿って動かすことによって展開することができる。
図34A図26に示したシステムのベースアーム端部の車輪部分の拡大図。
図34B図26に示したシステムの幹体底部、頂点領域、およびベースアーム他端部の車輪部分の拡大図。
図35A】収納位置にある図26のシステムの正面図。
図35B】収納位置にある図26のシステムの側面図。
図35C】収納位置にある図26のシステムの背面図。
図36】収納位置にある図26のシステムの斜視図。
図37】収納位置にある図26のシステムの上面図。
図38A図35〜36に示した収納位置にあるシステムのベースアーム端部の車輪部分の拡大図。
図38B図35〜36に示した収納位置にあるシステムの幹体の底部、頂点領域、およびベースアーム他端部の車輪部分の拡大図。
図39】従来のキャスタによってベースアームに接続された車輪システムの拡大側面図。
図40】従来のキャスタによってベースアームに接続された車輪システムの拡大上面図。
図41】偏位垂直幹体を有する移動支援IMSの略図。
【発明の詳細な説明】
【0050】
[0089]図面に関し、同様の番号は同様の要素を示し、複数の図面に現われる同一の番号は同一の要素を指す。加えて、以下、次の定義が適用される。
【0051】
[0090]本発明は、安定性、折畳み能力、および操縦性の1つ以上に関係する多数の革新的特徴を有する。例えば、本明細書に提示するシステムは、移動中の安定性および操縦性の改善、不使用時のコンパクトな収納を提供することによって、従来の静脈注射用(IV)ポールに取って代ることができる。幹体の位置に結び付けられるベース占有領域は、ベースアーム、幹体、またはシステムに接続されたコンポーネントのいずれにも妨げられずに患者が移動することを可能にする。V字状ベースおよび屈曲幹体の実施形態は、多数の重い装置および/または物質を、患者に接続するまたは結び付けるそれらの能力を維持しながら、吊下させるための安定したプラットフォームを形成する。システムが可動である場合の一実施形態では、システムは、患者が歩行するときの安定性または制御を犠牲にすることなく、多数の医療用付属品を患者に接続することを容易にする。
【0052】
[0091]「幹体」とは、任意の数のコンポーネント(例えば医療用コンポーネント)を保持または取り付けることのできる中央シャフトまたはポールを指す。幹体は垂直、実質的に垂直、または垂線に対し傾斜することができる。「実質的に垂直」とは、垂直からプラスまたはマイナス5°を指す(例えばベースに対して90゜)。少なくとも一部分が垂線に対して傾斜した幹体は、複数の比較的重いコンポーネントがシステムに取り付けられたときでもシステムにさらなる安定性をもたらす。幹体およびベースによって形成される角度が90゜未満である場合、その角度は「鋭角」と言われる。一態様では、幹体は直線状である(例えば屈曲または湾曲していない)。一態様では、幹体は屈曲または湾曲している。
【0053】
[0092]「ベース」とは、支持面(例えば床)に載っているシステムの部分を指す。例示的実施形態では、ベースは1対のベースアームを備え、各ベースアームは幹体底端に枢着される。「枢着」とは、ベースが幹体に対して展開可能であることを指す。したがって、ベースアームが広げられたとき、アームは幹体に対してある角度に配置され、システムは1つ以上の医療用コンポーネントを支持する用意ができている。ベースアームが折り畳まれたとき、それらは幹体と実質的に平行に配置され、システムは比較的コンパクトであり、すぐに収納することができる。本明細書で使用する場合、「平行」とは、ベースアームの長手方向が幹体の長手方向に対して真の平行から約5°以内にあることを指す。「実質的に平行」とは、軸または表面の長手方向が平行から少なくとも30゜、少なくとも15゜、または少なくとも5゜以内にあることを指す。
【0054】
[0093]IMSの多くの特徴は展開可能であると言われる。「展開可能」とは、コンポーネントまたはシステムを収納のためによりコンパクトにするためにコンポーネントを「折り畳み」(配置される)、またはコンポーネントまたはシステムをすぐに使用できる状態にするために「折りを広げる」(配置される)ことを指す。代替的に、展開可能とは、システムの一部を必要に応じて装置に着脱できることを指す。
【0055】
[0094]幹体が一直線状のシャフトである実施形態では、ベースアームは同様に直線状の形状を有することができ、ベースアームは、各々のアームが枢着される幹体に位置する頂点に対応するベースアームの頂角を形成する。幹体が屈曲または湾曲した実施形態では、ベースアームが幹体と平行な位置に枢動されたときにシステムの最大限にコンパクトな収納を確実にするために、各々のベースアームは同様に屈曲または湾曲することが好ましい。最大限のコンパクトさのために、ベースアームおよび幹体は同様の長手方向の形状を有することが好ましいが、本発明は、使用しないときにシステムをコンパクトにする能力を不当に失わなければ、形状の不一致を許容する。
【0056】
[0095]ベースとベースが載っている表面との間の接触点は、ベース占有領域のエッジを画成する。「ベース占有領域」とは、ベースと支持面との間の接触点および幹体に取り付けられていないベースアーム端(例えばベース占有領域の開放端部分)から伸びる観念的線によって画成される領域である。「2辺」占有領域とは、各々のベースアームの延出起点である頂点領域に対向して開放端を有する辺がある構成を指す。3つの車輪が展開されたとき、この領域は三角形である。ベースアームが表面と接触したときに、領域は三角形である(例えば各々のベースアームが直線状である)かもしれず、あるいは非直線状ベースアームに対応する形状を有する各辺および幹体に取り付けられないベースアーム端を結ぶ第3の観念的直線により、もっと複雑な形状(例えばU字形、V字形、または多角形)を有することがあり得る。
【0057】
[0096]本発明の一態様は、支持面上を移動することのできる点滴管理システムである。
「移動」とは、システムが表面上を動き回ることができることを指し、特にシステムが1つ以上の医療用コンポーネントに接続された患者用の移動支援または歩行器として機能することができることを指す。歩行器として機能するシステムに加えて、システムはまた、展開または収納されかつ場合により1つ以上の医療用コンポーネントに接続されたシステムを医療支援者が容易に操縦できることを確実にするようにも構成される。「医療用コンポーネント」とは、静脈注射(IV)液のような流体のバッグ、注入ポンプ、光源、電源、医療用コンポーネントを保持するためのプラットフォーム、酸素モニタ、酸素キャニスタ等を含め、しかしそれらに限らず、患者に医療処置を提供するのに有用な医療装置または構造物を指す。
【0058】
[0097]医療用コンポーネントをIMSに「保持する」または「取り付ける」ことは、受動的吊下(例えばバッグをホルダに懸吊する)、コンポーネントをより確実に受容するようにホルダを向き付けること、確実な保持を容易化する突出および凹部の特徴形状のみならず、例えば装置に接続されたアダプタとの雄雌接続のようなより複雑な接続(例えば、ねじ、片手クイック連結、スナップビード等)をも提供するようにハンガを成形することを包含する。光源、計算器、コンピュータ、ビデオスクリーン、電源のような場合による属品は幹体表面により永久的に着設かつ/または内設することができる。
【0059】
[0098]中核システム(例えば幹体およびベースアーム)自体は、従来のクロム、任意の金属もしくは金属複合材、ガラス繊維、プラスチック、炭素繊維、および/または複合材料を含め、しかしそれらに限らず、多数の材料のいずれかから作ることができる。
【0060】
[0099]システムは、システムとの偶発的な接触から障害が発生する可能性を最小化するためにエッジおよび角部に丸みを付けることが好ましく、かつ偶発的接触から生じる望ましくない衝撃を最小化するためにゴム状緩衝体または保護ストリップを有することができる。加えてシステムは、移動が不安定な患者を安心させるために目立つ色の鮮鋭かつ鮮明なラインを有する劇的に革新的なアームを有し、審美的に快適であるように設計することができる。
【0061】
[00100]「キャスタ」は、車輪が自動的に旋回してそれが押し引きされる方向にそれ自体を整列させるようにオフセットステアリングピボットを装着した車輪を指すのに使用される。本技術分野で公知の典型的なキャスタシステムは、ショッピングカート、車椅子、および他の可動物体によく見られる(例えばオハイオ州ハミルトンのHamilton Caster & Mfg. Co.参照)。本発明の車輪システムは場合によりハブレ
スキャスタであり(ハブレスキャスタアセンブリについては米国特許第6,839,939号参照)かつ展開可能である。
【0062】
[00101]本明細書で特に明記しない限り、「実質的に」とは、真の値からの逸脱が約10%未満の値を指す。
【0063】
[00102]本出願中で引用する全ての文献、例えば発行済みもしくは付与された特許または均等物をはじめとする特許文書、特許出願公開公報、および非特許文献または他の資料は、各文献が本出願の開示と矛盾しない範囲で、あたかもそれらが個々に組み込まれているかのように、それらの内容全体は参照によって本明細書に組み込まれる(例えば部分的に矛盾する文献は、文献の部分的に矛盾する部分以外が参照によって組み込まれる)。
【0064】
[00103]本明細書に記載または例示するコンポーネントの全ての構成または組合せは、特にそうでないことを明記しない限り、本発明を実施するために使用することができる。
【0065】
[00104]明細書に範囲、例えば大きさの範囲または角度の範囲が与えられている場合は、与えられた範囲に含まれる全ての個別値のみならず、全ての中間範囲および部分的範囲も開示に含まれることを意図している。本明細書の記載に含まれる範囲または部分的範囲内のいずれかの部分的範囲または個別値は、本明細書の請求の範囲から除外することができることは理解される。
【0066】
[00105]明細書に示した全ての特許および公開公報は、本発明が関係する技術分野の当業者の技術レベルを示す。本明細書で引用する文献は、それらの公開日または出願日現在の最新技術を示すためにその内容全体が参照によって組み込まれ、必要ならば、先行技術に存する特定の実施形態を除外するために、この情報を本明細書で使用することができることを意図している。
【0067】
[00106]本明細書で使用する場合、「備える」とは「含む」、「含有する」、または「特徴とする」と類義であり、包括的または無制限であり、追加的な非列挙要素または方法ステップを除外しない。本明細書で使用する場合、「からなる」は請求項に記載されていない要素、ステップ、または成分を除外する。本明細書で使用する場合、「本質的に〜からなる」は、請求項の基本的かつ新規の特徴に著しく影響しない物質またはステップを除外しない。本明細書において各々の場合に、用語「備える」、「本質的に〜からなる」、および「からなる」のいずれも、他の2つの用語の一方と置換することができる。本明細書で例示的に記載する発明は、本明細書に明確に開示されていない単数または複数の要素、単数または複数の制限が存在しない状態で実施することができる。
【0068】
[00107]当業者は、過度の実験に頼ることなく、明確に例示されている以外の材料および方法を本発明の実施に使用することができることを理解されるであろう。そのような材料および方法の全ての公知の機能的均等物は、本発明に含まれることを意図している。使用した用語および表現は、制限ではなく説明の用語として使用したものであって、そのような用語および表現の使用において、図示しかつ記載する特徴またはそれらの一部分の均等物を除外する意図は無いが、請求する本発明の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。したがって、本発明を好適な実施形態および場合による特徴によって具体的に開示したが、当業者は本明細書に開示した概念の改変および変形を利用するかもしれないこと、およびそのような改変および変形は、付属する特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされることを理解されたい。
【0069】
[00108]実施形態1:IMSの形状
【0070】
[00109]最も基本的構成の点滴管理システム(IMS)は、幹体20に接続された第1ベースアーム40および第2ベースアーム50を有するベース30を備える(図1)。図1〜6はベース展開形態10のIMSを示す。ベースアーム40および50は幹体20の底端22に接続される。幹体20は、垂線に対して非零角度ならびにベースアーム40および50に対して鋭角に対応する軸方向部分を少なくとも有する。この形状は、幹体20とベースアーム40(または50)との間に形成されθと表示された鋭角、およびφと表示された垂線に対して非零の角度を持ち、図2Bに要約される。図1〜6の(例えば3つの車輪が展開された)例示的実施形態では、ベースアーム40および50に取り付けられた車輪81および82、ならびに幹体底部22に取り付けられた車輪80は、三角形のベース占有領域32を形成する(例えば図3および4Bの上面図および底面図参照)。ベース占有領域32とは、車輪を展開したときの実施形態で、3つの車輪の各々と車輪が載っている表面との間の接触点によって画成される三角形を指す(図4B)。ベース占有領域の三角形の辺34および35は、図4Aに示した直線状ベースアームの実施形態のベースアーム40および50に対応する。例示的実施形態は「V字形形態」を有するベース30を示す。ベース頂角αは、幹体底部22でベースアーム40および50によって形成される角度と定義される(図4B参照)。
【0071】
[00110]車輪が収納位置にあるときに(例えば図22参照)、ベース占有領域はベースアーム40および50ならびに幹体底部22と、ベースアームおよび幹体底部が載っている表面との接触点に対応する(図4C)。本発明は湾曲形、U字形、多辺形を含め、それらに限らず、非直線ベースアーム形状を包含する。図4Cは屈曲したベースアーム(例えば2エッジ)を示す。したがって車輪収納位置では、ベース占有領域は、エッジがベースアーム40および50の軸方向形状に対応する、より複雑な非三角形の形状を取ることができる。最大限にコンパクトな収納を確実にするために、幹体アームの形状はベースアームの形状に一致することが好ましく、それによって、ベースアームを枢動して閉じたときにベースアーム30および40の幹体20に対する平行配置が確保される(図2Cおよび4Cと比較されたい)。したがって、ベース占有領域は、車輪が展開されている(したがってベースアームが支持面と接触しない(図4B参照))か、それとも収納されている(したがってベースアームが支持面と接触する(図4C参照))かによって変化することができる。図4Cは多角形形態ベース占有領域の一例であり、ここでベースアームは異なる軸方向を有する個々のセグメントから構成される。
【0072】
[00111]ベース占有領域32(車輪が展開された場合、および車輪が収納された場合の両方)および垂線に対して角度(φ)を成す幹体20は、本発明の重要な特徴であり、1つ以上の比較的重いコンポーネントがシステムに取り付けられている場合でも、重心がベース占有領域32の域内に閉じ込められることを確実にする。そのような形態は、システム10が移動しおよび/または重い荷重を支持しているときでも安定しかつ転倒しにくいままであることを確実にする。安定性の向上は、コンポーネントが好ましくは、車輪80または幹体底部22からベースアーム40および50の端部または車輪81および82の間に延びる観念的線まで広がる領域のような、ベース占有領域32の中央域上に位置するようにホルダ70および/または72を配置することによってもたらされる。一態様では、ホルダ70は幹体20に直接接続することができる。
【0073】
[00112]幹体20もまた、ベースアーム30および40と同様に、非直線状とすることができる。例示的実施形態は、直線状の幹体であって、ベースアーム40および50が展開されてベース30を形成したときに垂直に対する角度(φ)および水平に対する角度(θ)を有する幹体を示す。本発明は、湾曲しているかまたは2つ以上の幹体部分を含み各部分が水平に対して独自の角度を有する幹体20を包含する。例えば幹体は、図2Cに示すように、垂直(例えば水平に対して90゜の角度)である底部と、水平に対して傾斜した上部とを有することができる。懸吊されたコンポーネントのかなりの部分がベース占有領域上にあり、よって最大限の安定性および転倒しにくさが確保される限り、幹体は任意の軸形状/方向を有することができる。一実施形態では、幹体20は3つの主面すなわち幹体前面27、第1側面28、および第2側面29を含む(図3および図4A参照)。
【0074】
[00113]図3は、幹体20の前面27がさらに、電気コード、コンポーネント通信ワイヤ、およびプラスチックIVチューブラインをはじめ、コードを収納かつ組織化するためのコード管理システム140を備えることができることを示す。コード管理システム140は、幹体20の本体内のコード配置を可能にする開口142、および場合により、コードまたはチューブを確実に配置するためのコードクリップまたはオーガナイザ144を含むことができる。コード管理システムは幹体20の実質的に全長またはその一部分に延びることができる。
【0075】
[00114]IMSが患者の移動を容易化する実施形態では、複数の車輪79がシステム10に接続される。図4に示すように、第1車輪80は幹体底端22に接続され、第2および第3車輪81および82は、締め具87(図19)、接着剤、溶接等のような本技術分野で公知の手段によって、ベースアーム40または50の端部42または52に接続される。車輪の実施形態で論じる通り、一態様では、各々の車輪は任意の方向に向ける(例えば旋回する)ことができる。この態様は、支持のためにシステムに大きく依存する必要の無い患者、または操縦し易さが要求される状況に有用である。代替的実施形態では、車輪81および82は単一の固定された方向に展開し、車輪80は旋回することができる。場合により、車輪81および82は各々旋回することができるが、車輪旋回ロック機構が作動すると、車輪81および82は各々ロックされ、旋回できなくなる。患者の最大限の安全性を確保するために、(使用者の方向変更に応答して)任意の方向に自由回転することのできる車輪81および82は場合により、例えばモビリティアーム100および/または120の展開後に直線歩行を容易化するために実質的に前方方向のように、使用者特有の方向にロックすることができる。場合により、1つ以上の車輪システムは各々、車輪を転動または旋回させるのに必要な力を増大させるために車輪と制動係合する制動機構を有し、したがって患者はシステムを移動させるために使用する押す力を相応して増大しなければならない。完全な制動から軽度の制動付与までを含む様々な量の摩擦を容易化するそのような調整可能な車輪テンショニングシステムは、IMSを用いて初めて歩行する患者には特に有用である。
【0076】
[00115]IMSは、コンポーネントを支持するためのそのモジュラシステムが特に多目的に使用できる。例えば1つ以上の保持アーム60は、幹体頂端24(図1〜6)に伸縮自在に接続される。本技術分野で公知(例えば米国特許第5,458,305号、第4,905,944号参照)の「伸縮自在に接続される」とは、物体の高さが、別の物体を入れそれによって高さを調整することによって、調整可能であることを指す。保持アームの高さは、保持アームロックボタン61(図1)のような保持アームロック機構を係合することによって調整される。収納位置で、保持アーム60は実質的に完全に幹体20内に収容される(図13)。保持アーム60はIV液バッグのような薬液バッグを支持するのに特に有用である。一実施形態では、保持アーム60は3面型であり、各保持アームに複数の垂直方向および放射状フック位置を提供する。保持アームはさらに、ホルダ72の位置を選択的に調整するための手段を含むことができる。選択的調整手段は、相補的雄型構成を有するホルダまたはフックを受容するためにホルダアーム60の各面に沿って軸方向に離間配置された雌型レセプタクルのような、比較的単純な構成を包含する。受容手段はねじ、スナップビード、または本技術分野で公知の他のシステムによることができる。例示的実施形態では、ホルダ72の位置を選択的に調整するための手段は、アーム60の長手方向の広がりの少なくとも一部分に沿って各面に延びる溝62とホルダ72の相互作用による。溝は、ホルダ72を受容するためのはしご状の突出/凹部の特徴形状を有することができる。一態様では、各々のホルダ72は展開可能であり、収納位置でホルダ72は溝62内に折り畳まれ、コンポーネントを吊下させるときにより高い柔軟性および選択肢をもたらし、かつアーム60が幹体20内に収容されるときに収容の容易さをもたらす(図13参照)。片手フック展開を容易化するシステムは展開/収納時間およびコンポーネントのシステムへの取付けを軽減するので、そのようなシステムは好ましい。
【0077】
[00116]例示的実施形態は、医療装置および他の比較的重い物体(例えば小型プラットフォーム、電源等)を保持するために幹体20に接続された追加の折畳み式支持体または「折畳み可能なアーム」65を示す。図1および2は、幹体頂部24および底部22に接続された折畳み式支持体65を示す。折畳み式支持体65は、ピン67によってロック配置される伸縮接続部を有する底部折畳み式支持体部分66と、頂部折畳み式支持体部分68とを含む。部分66および68の一端は、それぞれ幹体底部22および頂部24に展開可能に接続される。部分66および68の他端は、折畳みジョイント69を介して相互に接続される。折畳みジョイント69はさらに、折畳み式支持体65の片手展開および収納のためのハンドルグリップのような、折畳み式支持体を展開および収納するための手段を備えることができる。折畳み式支持体65の端部の展開可能な接続は、幹体20に平行であり幹体溝または凹部64内に入る収納形態(折畳み式支持体が不要のとき)、および折畳み式支持体65が幹体から引き離されて、ホルダ70に接続されたコンポーネントがベース占有領域32に対して中心配置されることを確実にする展開形態(アタッチメントをホルダ70に装着するとき)を容易化する、ばねまたは油圧機器のようなテンション手段を備えることができる。折畳み式支持体65のホルダ70は、保持アーム60について説明した手段と同様に、選択的に調整し、配置し、展開し、かつ取り外すことができる。図1および5は折畳み式支持体溝62内のホルダ70を示し、ホルダ72は保持アーム60と同様のやり方で展開し、溝62内に折り畳み、装着し、または取り外すことができる。一実施形態では、ホルダ70または72のいずれも、対応する突出および凹部の特徴形状を有する特定のアタッチメントを受容するための凹部および突出の特徴形状を有するように特に成形することができ、アタッチメントは次にコンポーネントに接続される。
【0078】
[00117]図1〜6に示すシステム10はベース展開形態であり、ハンドル100および120は歩行器モードで、ベースアーム40および50にそれぞれ隣接するそれらの収容位置で使用することができる。
【0079】
[00118]実施形態2:IMS歩行器/移動支援
【0080】
[00119]本発明の有用な実施形態は、システムがベースおよび歩行器展開形態12(図7〜12)となるように展開されたモビリティアーム100および120を有するシステムである。図1〜6はベースだけの展開形態10を示し、図7〜12はベースおよび歩行器の展開形態12のシステムを示す。モビリティアーム100および120はベースアーム40および50にそれぞれ接続される(図7)。モビリティアーム100および120は、モビリティアームが展開可能となるように、ベースアーム40および50に各々枢着される。例示的実施形態では、この枢着部102は各ベースアームの内側表面に位置する(図8)。結合部は、ベースアーム40および50の頂面44および54またはベースアームの外向き面のような、他の位置にすることもできる。モビリティアーム100および120は、モビリティアームとロック可能に係合するハンドルロックアセンブリ101によって、展開位置(図7〜12)または収納形態(図1〜6)にロックすることができる。例えばハンドルロックボタン101を押すことにより、ベースアーム40または50に対するモビリティアーム100または120の回転を防止するロックを外すことができ、それによってモビリティアームの回転が可能になる。モビリティアームが適切な位置(例えば垂直)にあるときにロックが自動的に係合し、それによってモビリティアームがその展開位置にロックされるように、ロックは緊張状態に置くことができる。ロックアセンブリ101および枢着部102によって別のロック機構が提供され、ハンドル100および120の各々が展開するときに、キャスタ車輪81および82の各々が一定方向にロックされ、旋回できず、よって患者によって移動されるときにシステム12の安全性および安定性が改善される。
【0081】
[00120]各ハンドルは場合により、下部モビリティアーム部分104および上部モビリティアーム部分105を備えることができる。アーム部分104および105は場合により相互に伸縮自在に接続され、それによって長さ調整可能でありかつ使用者の背丈および手の位置に適合させることのできるハンドル100および120がもたらされる。例えば、部分105を部分104内に適切に抜き差しすることによって、単一のシステムを歩行する患者または車椅子の患者に(または子供および成人のように背丈の異なる患者が)使用することができる。アーム部分104にある一連の軸方向に位置する調節穴112が、上部アーム部分105に位置する隆起(ばね負荷ボタンのような)114と係合できるようにした、比較的単純な伸縮接続を図7〜12に示す。ウォーキングポールおよび高さ調整可能なスタンド付き他のスタンド用のような、他の伸縮アーム接続が本技術分野で公知である。(例えば第6,983,915号、第5,458,305号)。
【0082】
[00121]コンパクトな収納を容易化しかつ使用者を快適にするために、各ハンドル100および120はさらに、モビリティアーム100または120に、さらに詳しくは上部モビリティアーム部分105に枢着されたハンドルグリップ106を備えることができる。図8および9に示す通り、ハンドルグリップジョイント108はハンドルグリップ106および上部105を接続する。グリップジョイントは、グリップ106の収納位置(例えばモビリティアーム部分104および105に平行、図4参照)から展開位置(例えばモビリティアーム部分104および105に垂直、図8B参照)への展開を容易化する。グリップジョイント108はさらに、雄雌ロック機構、テンションねじ等のような、アーム部分105に対するグリップ106の回転量を選択的に定めるための手段を備えることができる。グリップ106を選択的に回転させる能力は、システム12をその歩行器形態で使用する使用者にとって最大限の快適性を確実にするように、グリップ106を配置する能力をもたらす。一実施形態では、グリップ106は車輪81または82を制動するための手段に接続される。制動手段は、対応する車輪(例えば81または82)の車輪回転を制御または制動するためのスロットルアセンブリをさらに含むグリップ106、またはグリップ106に接続された制動レバーを含む。
【0083】
[00122]図7、10、および11に示す通り、ハンドル(および特にハンドルグリップ106)は、ハンドル、車輪、IMS、またはIMSに取り付けられたコンポーネントのどれも患者が歩行しかつシステムを操作する能力を妨げないように配置される。システム10および12は、システム移動中の最大限の安定性をもたらし、移動中の安全性を確実にするだけでなく、取り付けられたコンポーネントが患者の移動を妨げずあるいは患者の視線を遮らないことをも確実にする患者支持を達成するように、多種多様な位置にコンポーネントを配置する柔軟性を高める。システムはまた、移動する患者の傍らの人間(例えば介護者)から移動力を受け取ることもできる。手段は幹体20のハンドルのみならず、テザーまたはロープシステムとすることもできる。
【0084】
[00123]実施形態3:IMSの収納
【0085】
[00124]図13〜18は収納形態14のシステムを示す。特に、個別に展開可能なコンポーネント(車輪81および82、ベースアーム40および50、ハンドルグリップ106、ハンドル(100、120、104、105)、保持アーム60、折畳み式支持体65、ホルダ70および72)の各々は、最大限のコンパクトさを達成するように収納される。車輪80は展開された状態で図示され、表面上を収納場所からそれが展開される領域へ、またはその逆に転動させることによってシステム14を移動させるのを助けるために使用することができる。
【0086】
[00125]システムは、1人の人間によって迅速かつ容易に展開する能力を維持しながら、コンパクトに収納することができる。例えばベースロックボタン31を押すことにより、ベースアーム40および50をそれらの収納位置(幹体20に平行)からそれらの展開ベース形態にロック解除することが可能である。保持アームロック61を押すと、保持アーム60は1つ以上の医療用コンポーネントをすぐに受容できる位置に展開される。折畳みアーム65は収納位置で幹体収容溝64内に配置される。折畳みアームは、既述の通り、折畳みアームを展開するための手段を係合することによって展開される。モビリティアームは、ロック機構を外すことによって、例えばハンドルロックボタン101を押すことによって、回転自在に係合され展開される。ハンドルグリップ106は、モビリティアーム104に対してグリップ106を回転させることによって展開される。各々の車輪80〜81は、歩行器形態12を希望する場合に展開される。起動ボタン63のようなロックアセンブリ機構は、ベースアーム40および50を展開しかつロック解除するための1つの便利な手段を提供する。
【0087】
[00126]図17に示す通り幹体は実質的に3面型であり、各々が湾曲角部によって接続された主面27(前面)ならびに28および29(側面)を有する。各々の側面はアーム40および50をコンパクトに受け入れるように構成される。側面28および29は場合により、ベースアーム40および50の一致輪郭頂面(44または54)を受容するように輪郭成形される。本発明は、収納のときに幹体20の長軸と実質的に平行なベースアーム30および40を包含する。最大限のコンパクトさは、ベースアームをベースアーム40および50の長さに沿って幹体に接触させるかまたは幹体から最小限の分離距離を持たせることによって、達成される。
【0088】
[00127]本発明は収納形態のIMSを吊下させるための手段を含む。壁に固定されたハンガは、収納されたシステム14を受容かつ保持するように構成される。例えばホルダは、幹体頂部24とベースアーム車輪システムの端部との間の部分のような幹体部分に確実に接続することができる。この接続は、フックとレシーバ(フックは壁および/または幹体に取り付けられる)、オリフィス、溝等のような本技術分野で公知の任意の保持用手段による。収納されたシステムは、頂端24または底端22を天井から吊下させることもできる。システムおよび壁ブラケットは、例えばベースアーム40および50を展開させることによって一人でシステムを壁ブラケットから容易かつ敏速に取り外すことができるように、壁収納システムを屈曲させることによって構成されることが最適である。加えて、壁掛けIMSは、必要に応じてすぐに移動できる状態を維持しながら、依然として患者(病床の患者のような)を医療用コンポーネントに接続するために使用することができる。
【0089】
[00128]ベース展開可能でないシステムの場合(またはベースが展開形態にあるときにベースが展開可能なシステムの場合)、複数のシステムを相互に積み重ね/入れ子にすることができ、それによってコンパクトな収納がもたらされる。
【0090】
[00129]実施形態4:車輪システム
【0091】
[00130]歩行器である本発明の重要な態様は、車輪および車輪をIMSに接続する関連車輪システムである。図18〜24は、展開形態88(図19〜21)および収納形態89(図22〜24)の車輪の拡大図を提示する。車輪システムは、構造物を様々な位置に配置する能力が重要である他のシステム、例えば種々のスタンド(例えば自転車スタンド)、家具(テーブル、ナイトテーブル)で使用することができる。
【0092】
[00131]図19を参照すると、車輪システム79は、内側車輪部分86に回転自在に接続された外側車輪部分84を備える。この回転自在な接続は、内側部分86に対して外側部分84を回転させることができるように、ボールベアリングのような本技術分野で公知の任意の手段による。内側車輪は車輪ホルダ90の一端91に接続され、車輪ホルダ90の他端93はリングマウント92に接続され、場合によりリングマウント92に枢着される(図21)。車輪ホルダ90とリングマウント92との間の枢着は車輪の展開可能能力をもたらし、(車輪の転動方向に直角な)回転力を車輪の外側部分82に加えることができ、それによって車輪および車輪ホルダ90は図19に示す展開位置から図22に示す収納位置に枢動する。
【0093】
[00132]リングマウント92は実質的に環状であり、内向き面94および外向き面95を有する。内面94は、内面94によって画成されるオリフィス98内に車輪が配置されるように、外側車輪部分82の最外面の直径より大きい直径を有する実質的に筒状通路またはオリフィス98のエッジを画成する。この実施形態では、車輪ホルダ90はリングマウント92の内面94に回転自在に取り付けられる。リングマウント外面95は車輪カバー85に接続され、さらに詳しくは車輪受け面97を被覆する。車輪が加えられた力の方向を向くまで旋回することのできる実施形態では、リングマウント外面95と車輪受け面97との間の接続は回転自在な接続である。回転自在な接続は、車輪受け面97に対するリングマウント92の回転を可能にするボールベアリングによることを含め、本技術分野で公知の任意の手段によって容易化される。車輪の向き(例えば車輪の転動方向)は、リングマウント92をロック係合するロックによって適切な位置に固定することができる。面97に対するリングマウント92の回転の容易さも、本技術分野で公知の任意の制動手段によって制御することができる。例えばリングマウント外面95と制動係合するゴムブレーキパッドは、車輪79を旋回させるために必要な力の量を制御するための手段を提供する。車輪を旋回させるために越えなければならない摩擦力を変化させることは、歩行器を操作するためにより大きい力を必要とすることと引き換えに、患者により大きい支持を提供するIMS歩行器に有用である。
【0094】
[00133]旋回する必要の無い車輪システムは、より少数の部品および接続を有することができる。例えば車輪ホルダ90は、筒状リングマウント92を必要とせずに、車輪受け面97に直接装着することができる。代替的に、車輪ホルダ90はベースアームの端に直接接続することができる。
【0095】
[00134]図19は、車輪カバー85が、ベースアーム上で摺動させかつ固定手段87によりカバー85をベースアーム50に固定させることによって、ベースアーム50のようなベースアームに接続することができることを示す。カバー85は、ベースアーム40または50を受容することのできる開口端および車輪を包囲する反対側の端52を有し、車輪が例えば脚または患者の衣服と偶発的に接触する心配無く転動できることを確実にするように成形することができる。図20および21は、展開車輪88がベースアームに接続された様々な図を提示する。本明細書に記載する車輪システムはいずれも、回転する車輪部分84と制動係合するゴムブレーキパッドをはじめ、IMSの転がり移動を防止するための制動手段をさらに備えることができる。
【0096】
[00135]図18は(および図4も)、幹体底部22に接続された第1車輪80を示す。この実施形態では、リングマウント外面95は、幹体底部22の底向き面に配置されたオリフィス23と接触する。第1車輪が旋回できる実施形態では、面23および95間の接続は回転自在な接続である。
【0097】
[00136]図22〜24は収納形態89の車輪を示す。特に図23〜24は、車輪が車輪カバー85内に完全に収容され、それによってIMSと支持面との間の表面積接触が増大することを示す。
【0098】
[00137]本発明のシステムはいずれも、内蔵コンポーネント(例えば計算器)、照明システム、および/または電気システムのような追加的特徴を有することができる。複数の電気コンセント132が幹体側面29に位置する電気システムの一例を図25に提示する。電力は、従来のACコンセント138に接続されたACコード135のような本技術分野で公知の任意の手段によって提供され、ここでACコード135は電気コンセント132の各々に電気的に接続される。図25に示す態様は、システムが移動しているときには実用ではない。したがって本発明の別の態様は、外部からシステムに(例えばホルダの1つに)取り付けられるかあるいはシステム内に収容され(例えば幹体20内に配置され)、コンセント132に電気的に接続される電源である。電源は1次または2次(例えば再充電可能な)バッテリとすることができる。DC電源への電気接続は、本技術分野で公知の通り、DC電源コードコネクタ136によることができる。ACおよびDC電源接続コードのいずれか一方または両方とも、電気コードを使用しないときにコードの全長を幹体の本体20内に収納するために、引込み可能とすることができる。電気システムは、幹体20の前および/または後に接続された単一コンセントまたは複数コンセントパワーストリップに接続することができる。
【0099】
[00138]実施形態5:移動支援装置
【0100】
[00139]比較的基本的なIMSの一例を図26〜39に提示する。この実施形態では、モビリティアーム100および120は、各々のベースアーム40および50内の凹部にそれぞれ収納される(図26、29、30、および34A参照)。図26および29を参照すると、凹部のエッジは分割ベースアーム40および50によって、特に分割ベースアーム40、50(それぞれ)の外向きベースアーム部分2640、2650、および内向きベースアーム部分2642、2652によって画成される。ベースアーム40の2640および2642、ならびにベースアーム50の2650および2652に対応する分割部分を少なくとも有するベースアーム40および50を提供することにより、モビリティアーム収納形態(図26〜29参照)で、モビリティアーム100および120はベースアーム40および50それぞれの範囲内に実質的に面一に係合される。これは、患者移動支援が不要のときに、モビリティアームを簡便に収納する。代替的に、収納位置のモビリティアームは他の位置に、例えばベースアーム40および50の表面に隣接する位置に配置してもよい(例えば40および50の内向き面に隣接する配置について、図1参照)。
【0101】
[00140]図30および31を参照すると、モビリティアーム100および120の展開により、各ベースアーム40および50それぞれの凹部3040および3050が現われる。一態様では、凹部はベースアーム40および50の完全な開口に対応する。代替的に、各々のベースアーム40および50に、モビリティアーム100および120をそれらの収納形態で支持するための床またははしご型表面のような底を設けてもよい。代替的に、モビリティアーム100および120がベースアーム40および50に回転自在に接続されない(例えば、所定の位置に永久固定されるか、あるいはねじ、密嵌、またはロック機構などによって着脱自在に固定される)実施形態では、40および50の凹部は不要である。
【0102】
[00141]図26〜28、33と図36との比較は、ハンドル2660の軸方向移動による保持アーム60の展開機構を示す。ハンドル2660は、ハンドル2660を幹体20に沿って移動させる結果ホルダ60の対応する移動が生じるように、ホルダ60に動作可能に接続される。これは図27に、2660および保持アーム60の頂部の各々に隣接した上下矢印によって示される。破線は、2660または60への移動が他方の要素60または2660の対応する移動を生じることを示す。この実施形態では、2つの保持アーム60が設けられ、その高さはハンドル2660の移動によって制御される。ハンドル2660は、本技術分野で公知のロックまたはラッチ機構によって幹体20に沿って任意の位置にロックすることができるように無限に調整可能である。例えばロックまたはラッチ機構は、図27に示す保持アームロック解除ボタン2661のように、保持アームロック機構を不作動にすることによって、解除することができる。同様に、本技術分野で公知の通り、自動車のトランク解除機構に使用されるラッチのようなラッチ機構を使用して、幹体20に沿ったホルダ2660の移動を容易化することができる。保持アーム収納位置で(図32、35B、35C、および36参照)、ハンドル2660は、ホルダ60の頂部が幹体頂部24と実質的に面一または面一になる位置に対応する、幹体20上の最下可能な軸方向位置に配置される。ホルダ2660を幹体20に沿って摺動自在に移動させることによってホルダ60を上下に操作するときに、幹体頂部24は、ホルダ60を少なくとも部分的に囲うことによってホルダ60にさらなる支持をもたらすことができる。システムの上面図(図37)は、幹体頂部24を通過することによる保持アーム60の場合による制約を示す。
【0103】
[00142]ハンドル2660は幹体20に沿ってどこにでも配置することができるので、システムは、IMSによる治療または支持を受けている患者の視界を遮らないように、保持アーム60によって支持される物品を便利に配置することができるという点において、多目的に使用可能である。本明細書に提示する実施形態では(図26〜28および33参照)、ハンドル2660は最大展開位置(例えば幹体20に沿って最も高い軸方向位置)付近にあり、それによってホルダ70により支持されるどの医療装置も、例えば図30に示すモビリティアーム100によってシステムを操縦している患者を妨げないことを確実にする。
【0104】
[00143]この実施形態では、保持アーム60は両方とも、両アーム60が同時に配置されるように同一ハンドル2660に接続される。別の実施形態では、各保持アーム60に個別のハンドル2660またはポジショナを設けてもよく、それによって各アーム60の独立配置がもたらされる。ハンドル2660は、例えばハンドル2660を配置する手および関連する力を受け止めるのに、または折り畳まれたユニット全体を持ち上げて、例えば壁に接続された締め具に取り付けられるか、天井に接続されたハンガから吊下されるか、あるいは限定空間内に収容されるようなその収納形態にユニットを配置するのに便利な形状を設けることによって、介護者がユニットの操縦を助けるためまたユニットの折畳みを助けるための手段をも設けてもよい。
【0105】
[00144]場合により、ベースアーム40および50それぞれと回転自在に係合されるモビリティアーム100および120に関して(図30〜31参照)、アーム100および120は、使用者の手を受け止めるために水平に対して約90°の展開位置にロックされる。モビリティアーム100および120は、アームを取り外す(例えばベースアームと着脱自在に嵌合することのできるモビリティアームの場合)か、あるいはベースアーム40および50の分割部分によってそれぞれ形成される凹部3040および3050内のような収納位置内に回転させるかのいずれかによって、収納される。
【0106】
[00145]場合によりシステムは、ポンプマウント2670をベースアーム40および/または50に動作可能に接続することによってベースアーム40および50が展開するときに、ポンプマウント2670(図26、28〜30参照、または図1の同等の折畳み式支持体65)の自動展開によって使用し易いようにさらに簡素化される。この接続は、ベースアーム40/50の展開により幹体20に沿って摺動する摺動可能な機構2673であって、例えば幹体20の表面内またはそれに沿った剛性接続要素によってジョイント2672またはマウント2670が接続される機構2673(図28参照)のような、1つ以上の追加要素を介することができる。そのような構成は、マウント2670とベースアーム40および/または50との間の「動作可能な接続」の一例である。ポンプマウント2670は、例えば注入ポンプ、電源等のような比較的重い医療装置の支持によって、追加的医療装置支持能力をもたらす。マウント2670がより重い装置を保持する能力は、マウント2670を幹体20に接続するジョイント2672によってさらに増強される(図33)。代替的に、ポンプマウント2670は必要に応じて、実施形態1で例示したように、ベースアーム40および50の展開とは無関係に展開してもよい。
【0107】
[00146]展開後のベースアーム40および50のための追加支持は、各々のベースアーム40および50を幹体20と接続するアーム‐幹体ジョイント3420によってもたらされる(図34B)。図34Aはベースアーム40または50の端部に接続された車輪81の拡大図である。この実施形態では、車輪は従来のキャスタ3410によってシステムに接続される。図38Aを参照すると、従来のキャスタの実施形態では、ベースアーム40および50は幹体20と実質的に平行な位置に寄り添う一方、車輪81は収納形態に展開する必要は無い。ベースアーム40および50が収納位置で幹体底部22と交わる頂点領域の拡大図を図38Bに提示する。収納時でも車輪80を展開位置に維持させると、車輪80を介してシステムを床に沿って転動させることにより、収納されたシステムを操作するための便利な手段がもたらされる。
【0108】
[00147]従来のキャスタ3420により車輪81をベースアーム40に接続する車輪システムの拡大図を図39〜40に提示する。車輪の動きに対する望ましくない妨げの防止を助けるために、場合によりマルチスポーク付き車輪コネクタ4010でキャスタ3420をベースアーム40に接続する。
【0109】
[00148]実施形態6:偏位垂直幹体
【0110】
[00149]IVポール型設定で比較的大きいベース占有領域を形成する1対のベースアーム40および50を含むベースの構造は、幹体の設計に多大な柔軟性をもたらす。例えば、図1〜38は全て、幹体の少なくとも一部分を垂線に対して屈曲させることによって、何らかの方法でベース占有領域上に延びる幹体に関する。別の実施形態は図41に示す垂直幹体20のような実質的に垂直な幹体に関する。
【0111】
[00150]図41の一般的形態は図示した他の実施形態と同様であり、ベースアーム40および50は開放端型の1辺を有する比較的大面積の占有領域を形成し、幹体20ならびにモビリティアーム100および120はベースアーム40および50に接続される。しかし、1つの相違は幹体20が垂直(例えば垂線に対して90°)であることである。追加の安定性をもたらすために、頂点領域3900は幹体20がベースと交わる箇所を越えて延びる。この構成を幹体20に対する頂点領域3900の「遠位延長」と呼ぶ。
【0112】
[00151]「頂点領域」とは、前輪がそこから接続される領域のような、第1および第2ベースアームの延出起点であるベース占有領域の頂点を指す。頂点領域は通常、ベース占有領域の開放端の辺に対向する頂点である。したがって頂点領域は各々のベースアームの一体部分とすることができ、あるいはベースアームおよび/または幹体底部が取り付けられる別個の部分を指すことができる。特に、頂点領域は幹体がそこから延びると共にベースアームが交わる領域を指す。一態様では、頂点領域は幹体20を著しく越えて延びる(図41)。図41に示す頂点領域3990は、幹体20の遠位の位置まで延びる前縁3910を有する。
【0113】
[00152]保持アーム60ならびにモビリティアーム100および120のような種々のアームは相互に接続されないものとして例示されている。しかし、一実施形態では、保持アーム60の頂端は相互に接続され、それによって追加的支持だけでなく、1つ以上の医療装置を支持または吊下するための別の場所をも提供する。同様に、モビリティアーム100および120は場合により、例えば剛性バーのようなものによって相互に接続される。バーは例えば従来のショッピングカートのバーと同様のやり方で患者の手を受け止めるための別の場所を提供することができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図35A
図35B
図35C
図36
図37
図38A
図38B
図39
図40
図41