特許第5796876号(P5796876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5796876係合用治具、係合構造及びサーバールームの天井構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5796876
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】係合用治具、係合構造及びサーバールームの天井構造
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20151001BHJP
   A47H 1/04 20060101ALI20151001BHJP
   A47H 15/04 20060101ALI20151001BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   G06F1/16 311A
   A47H1/04 B
   A47H15/04
   G06F1/20 C
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-248893(P2014-248893)
(22)【出願日】2014年12月9日
【審査請求日】2014年12月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】西▲崎▼ 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 政弘
【審査官】 野村 和史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−289106(JP,A)
【文献】 特開2014−078118(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3054986(JP,U)
【文献】 特開2010−026872(JP,A)
【文献】 特開2009−036490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
A47H 1/04
A47H 15/00 − 15/04
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔をもって延設される一対のフランジ部によって形成される軌道を有するレール部材に係合される係合用治具であって、
前記軌道内に挿通可能なように前記軌道の幅よりも小さい小幅部分を有するとともに、前記小幅部分と直交する方向に突出され、前記軌道の幅よりも大きく形成された大幅部分を有する引掛部と、
前記引掛部に連結され、前記フランジ部を挟み込むようにして前記引掛部の底面と対向される上面を有するツマミ部と、
前記ツマミ部の上面上において凸状に形成され、前記大幅部分が前記フランジ部に係合された状態において、前記フランジ部間に嵌合される嵌合部と
を有し、
前記フランジ部間に嵌合される嵌合部は、中心部が上方に向けて凸に盛り上がった球面状をなし、その幅が前記一対のフランジ部の間隙より広く、前記中心部が前記間隙に嵌りこんで嵌合する
ことを特徴とする係合用治具。
【請求項2】
前記嵌合部と前記ツマミ部とは、前記フランジ部の厚みに合致する厚みを有する連結部によって連結されており、
前記球面状をなす嵌合部は、前記連結部の厚みより小さく設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の係合用治具。
【請求項3】
少なくとも上記凸状に形成された部位、又は前記引掛部は弾性体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の係合用治具。
【請求項4】
所定間隔をもって延設される一対のフランジ部によって形成される軌道を有するレール部材と、
前記レール部材に係合される係合用治具と
からなる係合構造であって、
前記係合用治具は、
前記軌道内に挿通可能なように前記軌道の幅よりも小さい小幅部分を有するとともに、前記小幅部分と直交する方向に突出され、前記軌道の幅よりも大きく形成された大幅部分を有する引掛部と、
前記引掛部に連結され、前記フランジ部を挟み込むようにして前記引掛部の底面と対向される上面を有するツマミ部と、
前記ツマミ部の上面上において凸状に形成され、前記大幅部分が前記フランジ部に係合された状態において、前記フランジ部間に嵌合される嵌合部と
を有し、
前記フランジ部間に嵌合される嵌合部は、中心部が上方に向けて凸に盛り上がった球面状をなし、その幅が前記一対のフランジ部の間隙より広く、前記中心部が前記間隙に嵌りこんで嵌合する
ことを特徴とする係合構造。
【請求項5】
情報処理機器を収容する収容ラックが複数配置されたサーバールームの天井構造であって、
前記サーバールームの天井面の下方に、前記天井面に平行な平面内に配置される複数のレール部材と、
前記複数のレール部材に支持されて前記平面上に配置され、前記天井面と前記平面との間に通気空間を画成する複数のパネルと、
前記レール部材に支持されて前記平面上に配置され、前記通気空間を前記サーバールームの室内側に開口させる通風口と、
前記レール部材に沿って移動可能に保持された係合用治具と、
前記係合用治具によって、前記レール部材から前記収容ラックにわたって吊下される可撓性部材と
から構成され、
前記レール部材は、所定間隔をもって延設される一対のフランジ部によって形成される軌道を有し、
前記係合用治具は、
前記軌道内に挿通可能なように前記軌道の幅よりも小さい小幅部分を有するとともに、前記小幅部分と直交する方向に突出され、前記軌道の幅よりも大きく形成された大幅部分を有する引掛部と、
前記引掛部に連結され、前記フランジ部を挟み込むようにして前記引掛部の底面と対向される上面を有するツマミ部と、
前記ツマミ部の上面上において凸状に形成され、前記大幅部分が前記フランジ部に係合された状態において、前記フランジ部間に嵌合される嵌合部と
を有し、
前記フランジ部間に嵌合される嵌合部は、中心部が上方に向けて凸に盛り上がった球面状をなし、その幅が前記一対のフランジ部の間隙より広く、前記中心部が前記間隙に嵌りこんで嵌合する
ことを特徴とするサーバールームの天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、サーバールームの天井構造などでカーテンを吊下させるような場合に利用可能な、係合用治具、係合構造及び天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データセンター等において、サーバーコンピュータ又は通信機器等の情報処理機器等を収納するサーバールームについては、サーバーコンピュータからの発熱対策が重要であり、その冷却のために専用の空調システムが設けられている。一般的なデータセンターでは、例えば、エアコンなどの空調機によって所定温度に調整されたエアーを大型の送風ファンによりラックの近傍まで送り、そのエアーをラック内に設けられた送風ファンによりラック内に取り込んで計算機を冷却している(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、特許文献1に開示されたような技術では、フレキシビリティや設備コスト、スペース・重量等の問題があった。詳述すると、特許文献1に開示されたような技術では、サーバーラックの高さが異なると、1枚の板では施工できず、専用の板部材を各種用意する必要があった。また、サーバーの形状、設置レイアウトも物件によって様々であるため、変形できない板部材では、平面方向における配置にも柔軟に対応することができない。また、サーバーラックが少しずつ増設される場合には、それに合わせてキャッピングする必要があるが、板部材は、重量が重く容易に持ち運べるものではないため、増設する度に施工業者を呼ばなければならず、サーバーの増設に対して即時に対応することができないという問題もある。また、キャッピングするためには、施工業者に工事を発注して大掛かりな工事が必要であるため、設置コストが高いという問題もあり、さらには、キャッピングするための板部材は変形することができないため、物理的スペースを多く必要となるとともに、重量が重いため、地震対策として耐震補強が必要となる。
【0004】
これに対して、従来では、上記のような問題を解決するものであり、情報処理機器を収容する収容ラックが複数配置されたサーバールームにおいて、情報処理機器の増設や移設などに応じた自由度の高い空調環境の変更を、簡単な操作によって容易且つ迅速に行えるようにし、サーバールームの利便性・保守性を向上させつつ、維持・管理コストの低減を図ることのできる天井構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−316989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたような技術では、以下のような様々な問題がある。上述した技術では、レール部材が交差する箇所に形成される十字形状のスペースに、十字形状の係合部を差し込んでレールに係合させる構成であるため、レール部材が交差する箇所からでなければレールに差し込むことができず、操作性の向上が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような様々問題を解決するものであり、カーテンなどをレールに吊下する場合などに、任意の位置からレールに係合できる治具によって、設計やアレンジの自由度をより高めることのできる係合用治具、係合構造及びサーバールームの天井構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の係合用治具は、所定間隔をもって延設される一対のフランジ部によって形成される軌道を有するレール部材に係合される係合用治具であって、軌道内に挿通可能なように軌道の幅よりも小さい小幅部分を有するとともに、小幅部分と直交する方向に突出され、軌道の幅よりも大きく形成された大幅部分を有する引掛部と、引掛部に連結され、フランジ部を挟み込むようにして引掛部の底面と対向される上面を有するツマミ部と、ツマミ部の上面上において凸状に形成され、大幅部分がフランジ部に係合された状態において、フランジ部間に嵌合される嵌合部とを有し、前記フランジ部間に嵌合される嵌合部は、中心部が上方に向けて凸に盛り上がった球面状をなし、その幅が前記一対のフランジ部の間隙より広く、前記中心部が前記間隙に嵌りこんで嵌合する。
【0009】
また、この係合用治具は、所定間隔をもって延設される一対のフランジ部によって形成される軌道を有するレール部材と組み合わされることにより、本発明の係合構造を構成することができる。
【0010】
そして、これらの本発明に係る係合用治具及び係合構造によれば、一対のフランジ部の間に形成された軌道に、係合用治具の小幅部分を差込み、ツマミ部を捻るように回転させることによって、引掛部の大幅部分の底面と、ツマミ部の上面とでフランジ部を挟持するようになる。このとき、ツマミ部上面の嵌合部がフランジ間に嵌合され、治具全体がレール部に固定される。これにより、レール部材上の任意の位置において、係合用治具を着脱したり、移動させたり固定させたりすることができ、着脱時の作業性が向上されるとともに、自由な設計やアレンジが可能となる。
【0011】
また、本発明では、大幅部分がフランジ部に係合された状態において、フランジ部間に嵌合される嵌合部は、一対のフランジ部の間隙より幅が広く、かつ、ツマミ部の上面上において凸状に形成された部位の中心部が、前記間隙に嵌りこんで嵌合する。これにより、嵌合部をフランジ部の間隙に嵌合させた際、嵌合部の外周部分がフランジ部を押圧することとなり、フランジ部間の間隙に嵌り込んだ中心部に適切な挟持力を発生させて、治具全体をレール部に固定させることができとともに、嵌合状態を保持できるため、ツマミ部が回転してしまうことを防止できる。
【0012】
上記発明において、嵌合部とツマミ部とは、フランジ部の厚みに合致する厚みを有する連結部によって連結されており、球面状をなす嵌合部は、連結部の厚みより小さく設定することが好ましい。
【0013】
上記発明において、少なくとも凸状に形成された部位、又は引掛部は弾性体であることが好ましい。この場合には、レール部材と接触する部分は弾性体で形成されているので、レール部材が塑性変形してしまうことを防止することができる。
【0014】
さらに、上記係合用治具及び係合構造は、情報処理機器を収容する収容ラックが複数配置されたサーバールームの天井構造に応用することができる。具体的には、サーバールームの天井を、サーバールームの天井面の下方に天井面に平行な平面内に配置される複数のレール部材と、複数のレール部材に支持されて平面上に配置され、天井面と平面との間に通気空間を画成する複数のパネルと、レール部材に支持されて平面上に配置され、通気空間をサーバールームの室内側に開口させる通風口と、レール部材に沿って移動可能に保持された係合用治具と、係合用治具によって、レール部材から収容ラックにわたって吊下される可撓性部材とから構成する。
【0015】
このようなサーバールームの天井構造によれば、天井面から、ビニール等の可撓性部材を吊下させ、天井面の通風口から収容ラックにわたって排熱を行う排気経路を画成することができる。詳述すると、天井面側に複数のレール部材を配置し、そのレール部材で複数のパネルを支持することによって通気空間を形成するとともに、そのレール部材上を移動できる係合用治具によって可撓性部材を吊下する。これにより、サーバールーム内をホットアイルとコールドアイルとに分離することができ、収容ラックからの排熱を、排気経路(ホットアイル)内に封じ込めて通気空間に給気させて、排熱が冷却側であるコールドアイル側に回り込むのを防止することができる。
【0016】
上記係合用治具は、例えば吊り金具などとして利用することができ、天井面側のレール部材上における任意の位置で着脱ができるとともに、レール部材上を自由にスライド移動でき、且つ任意の位置に固定できる。また、パネルや通風口も、自由に配置できることから、通気空間における吸気面の位置や開口率を自由に設定することができる。このため、様々な収容ラックの形状、レイアウトにも適合させた排気経路を構築することができ、サーバーなどの排熱を必要な量だけ通気空間に給気し、通気空間を通じて空調機に回収させるように調整することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、この発明によれば、カーテンなどをレールに吊下する場合などに、任意の位置からレールに係合できる治具によって、作業性が向上しつつ、設計やアレンジの自由度をより高めることができる。また、本発明の係合用治具や係合構造は、レール部材を敷設できる場所であれば天井に限らず、壁面や柱、床などにも適用することができ、カーテンのみならず、スクリーンやボード・パネルのほか、洋服掛けや帽子掛け、その他の収納用具としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)及び(b)は、本実施形態に係る係合構造を示す斜視図である。
図2】実施形態に係るレール部材を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る係合用治具を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る係合用治具を示す説明図であり、同図(a)は、その係合用治具の上面図であり、同図(b)は、その側面図であり、同図(c)は、その正面図である。
図5】(a)及び(b)は、実施形態に係るレール部材と係合部との係合状態を示す側面図である。
図6】(a)〜(d)は、実施形態に係る係合用治具の取り付け動作を示す上面図である。
図7】実施形態に係るサーバールームの構成を示す上面図である。
図8】実施形態に係るサーバールームの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(係合構造)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る係合構造10の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態では、カーテンなどの可撓性部材を吊下する場合を例に説明する。図1(a)及び(b)は、本実施形態に係る係合構造を示す斜視図であり、図2は、本実施形態に係るレール部材を示す斜視図である。また、図3は、本実施形態に係る係合用治具100を示す斜視図である。また、図4は、係合用治具100を示す説明図であり、同図(a)は、その上面図であり、同図(b)は、その側面図であり、同図(c)は、その正面図である。
【0020】
係合構造10は、カーテンなどをレールに吊下する構造であり、サーバールームなどのオフィス、マンション、一般住宅、ホテルなどの建築物における構造材上に設置される。この係合構造10は、建築物の構造材に連結されるレール部材200と、レール部材200に係合されるとともに、レール部材200の長手方向に沿って移動可能な係合用治具100とから構成される。
【0021】
レール部材200は、図1及び2に示すように、内部中空を有する基部201と、基部201の上面より上部方向に延設される連結部204とから構成されている。基部201は、下面側の平面内においてレール部材200の長手方向に沿って延設される一対のフランジ部202,202が形成される。この一対のフランジ部202,202の間は所定距離離れた間隙を有しており、基部全体として断面が略C字状となっており、その空間部分に軌道203が形成されている。各フランジ部202は、その端部が折り畳まれており、軌道203を介して向かい合うフランジ部202の端部は、他の部分よりも厚みを有している。
【0022】
連結部204は、建築物の構造材と連結される部材であり、基部201に一体形成又は固定されている。連結部204は、基部201の短手方向略中央に配置され、基部201と同様、基部201の長手方向に沿って延設されている。なお、各図において、連結部204の上部の構成は省略しているが、その上部が建築物の構造材と連結可能な構造を有している。
【0023】
一方、係合用治具100は、金属部材又は硬質な合成樹脂等で形成され、図3及び図4に示すように、略長方形状に形成された基部101と、この基部101の上端側に設けられ、レール部材200と係合される係合部110と、基部101の下端側に設けられ、カーテン等を上端より保持する保持部材等が接続される接続部102とから構成される。
【0024】
接続部102は、基部101に一体形成されており、接続部102を貫通する貫通孔103が形成されている。この貫通孔103に対して保持部材を挿通させて係止することで、カーテン等を係合用治具100に連結させる。この保持部材としては、例えば、マジックテープ(登録商標)や、略S字状のフック部材を用いることができる。
【0025】
係合部110は、基部101の上部に形成されるツマミ部113と、ツマミ部113の上部に形成され、軌道203に挿通される引掛部111と、引掛部111とツマミ部113とを連結する連結部112とから構成される。本実施形態では、ツマミ部113、連結部112、及び引掛部111の各中心軸は、同軸上に形成されている。
【0026】
引掛部111は、水平断面が略長円形に形成された円柱状をなしており、図4(a)に示すように、軌道203内に挿通可能なように軌道203の幅よりも小さい小幅部分111aを有するとともに、小幅部分111aと直交する方向に突出され、軌道203の幅よりも大きく形成された大幅部分111bを有している。また、引掛部111は、レール部材200の内部中空に収容可能な厚みを有している。
【0027】
連結部112は、水平断面が略円形に形成された円柱状をなしており、連結部112の径は、小幅部分111aの長さに合致するように形成されている。また、この連結部112は、引掛部111が軌道203に差し込まれた際、一対のフランジ部202,202間に配置されるようになっており、連結部112の厚みは、折り畳まれたフランジ部202の端部の厚みに合致する長さに設定されている。
【0028】
ツマミ部113は、基部101に一体形成されており、水平断面が略長円形に形成された円柱状をなしている。本実施形態では、図4(a)に示すように、ツマミ部113の大幅部分(長手方向)と引掛部111の大幅部分(長手方向)111bとは、直交するように配置される。また、ツマミ部113の小幅部分は、引掛部111の大幅部分111bに合致する長さに設定されている。
【0029】
ここで、ツマミ部113と引掛部111とは連結部112によって連結されており、上述したように連結部112は、フランジ部202の厚みに合致する厚みを有しているので、ツマミ部113の上面113aは、フランジ部202を挟み込むようにして引掛部111の底面111cと対向される。
【0030】
また、ツマミ部113の上面113a上には、凸状に形成された一対の嵌合部114,114が形成されている。各嵌合部114は、図4(a)に示すように、引掛部111の中心軸CPを挟んで点対称な位置となるように、上面113aの両端に設けられている。この嵌合部114は球面状の凸部であり、上面視において略円形に形成され、その球面部分の直径(幅)は、ツマミ部113の外周部分の幅と一致するようになっている。
【0031】
また、嵌合部114は、図4(b)及び(c)に示すように、球面状をなすことから、ツマミ部113の上面113a上において、その中央が上方に向けて凸に盛り上がっている。なお、嵌合部114の厚みは、連結部112の厚みより小さく設定されている。さらに、嵌合部114の直径(幅)は、レール部材200の軌道203の幅よりも若干広く設定されている。
【0032】
このような係合用治具100により、レール部材200の下方側から軌道203へ引掛部111の抜き差しが可能となり、引掛部111を軌道203へ挿通した状態では、軌道203に沿ってスライド移動させることができる。また、軌道203へ引掛部111を挿通させた状態でツマミ部113を回転させることで、一対のフランジ部202,202と係合部110とが当接され、係合用治具100はレール部材200に係合されるようになっている。
【0033】
この係合用治具100とレール部材200との係合動作について説明する。図5(a)〜(d)は、本実施形態に係る係合用治具100とレール部材200との係合状態を上面より示す説明図であり、図6(a)及び(b)は、本実施形態に係る係合用治具100とレール部材200との係合状態を側方より示す説明図である。
【0034】
先ず、図5(a)に示すように、引掛部111の長手方向(大幅部分111b)を軌道203に沿うような向きにして、引掛部111の小幅部分111aをレール部材の下面側から軌道203内に差し込む。このとき、引掛部111の小幅部分111aは、軌道203の幅よりも小さいので、図6(a)に示すように、引掛部111をレール部材200の中空部分に挿通させることができる。この状態において係合用治具100は、レール部材200に沿っていずれかの長手方向に移動させることができる。
【0035】
その後、ツマミ部113を捻るように回転させることにより、図5(b)及び図5(c)に示すように、引掛部111の大幅部分111bの両端が、軌道203の両側に配置された一対のフランジ部202,202上に徐々に載置されていく。そして、ツマミ部113を略90度回転させると、図5(d)に示すように、引掛部111の大幅部分の両端が、完全に一対のフランジ部202,202上に載置され、引掛部111がレール部材200に係合される。
【0036】
このとき、連結部112は、フランジ部202の厚みとほぼ合致する厚みに設定されているので、図6(b)に示すように、引掛部111の大幅部分111bの底面111cと、ツマミ部113の上面113aとでフランジ部202を挟持するようになる。さらに、引掛部111の大幅部分111bがフランジ部202上に載置されて係合されると、嵌合部114,114は、フランジ部202,202間に嵌合される。
【0037】
具体的に、嵌合部114の直径は、軌道203の幅よりも大きく設定されているので、図5(d)に示すように、係合用治具100が回転され、嵌合部114が軌道203の下方に位置した場合、図6(b)に示すように、嵌合部114の凸状に形成された中心部分が軌道203の内部に嵌り込むとともに、嵌合部114の外周部分は、フランジ部202の下面と当接されて、フランジ部202,202間に嵌合される。
【0038】
なお、レール部材202と接触する引掛部111及び嵌合部114は、少なくともゴム、エラストマー、ポリエチレン等の樹脂など弾性を有する部材で形成される。これにより、レール部材202が塑性変形してしまうことを防止することができる。なお、本実施形態にように、建築物における構造材上に設置される場合には、保守上の観点から、軽量及び堅牢であって、絶縁性及び不燃性を有するポリエチレン樹脂などの弾性体が好適である。
【0039】
なお、上述した係合用治具100の形態は、そのままに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば、上述した実施形態では、ツマミ部113の上面113aに一対の嵌合部114,114を設けたが、一方にのみ嵌合部114を形成させる構成であってもよい。このとき、係合用治具100は、省略された嵌合部114側に配置されているツマミ部113、基部101及び接続部102の部分も省略し、上述した係合用治具100を略半分に分割したような形状とすることもできる。
【0040】
このような形状とすると、係合用治具100は、ツマミ部113の一方の端に係合部114が形成され、他方の端に引掛部111が形成される構成となる。そのため、例えば、係合用治具をレール部材200の端に取り付ける際、一対の嵌合部114,114を備える構成では、片方のツマミ部113部分が壁に接触して、取り付けられない場合であっても、1つの嵌合部114のみ形成された係合用治具では、各部の他方部分は省略されているため、壁に接触することがなく、レール部材200の端に取り付けることができる。
【0041】
さらに、係合用治具としては、ツマミ部113の長手方向を延して、そのツマミ部113の上面113aに3以上の嵌合部114を直列に並べてもよい。この場合には、レール部材202に嵌合される嵌合部114の数が増えることで、挟持力をより高まめることができる。
【0042】
(サーバールームの天井構造)
上述した係合用治具100及び係合構造10は、情報処理機器を収容する収容ラック2が複数配置されたサーバールーム1の天井構造に応用することができる。図7は、本実施形態に係るサーバールーム1の構成を上面より示す説明図であり、図8は、本実施形態に係るサーバールーム1の構成を側方より示す一部断面図である。
【0043】
本実施形態における天井構造50は、データセンター等のサーバールーム1内に構築されている。このサーバールーム1は、壁、天井及び床によって6面を囲まれており、サーバールーム1内には、複数の収容ラック2が互いに側面を突き合わされ、X方向に沿って列状に並んで収容ラック群20を構成している。サーバールーム1には、こうした収容ラック群20が複数列にわたって設けられている。
【0044】
このサーバールーム1は、図7及び図8に示すように、主として、対向配置された一対の収容ラック群20と、天井構造50と、排気空間44との両端において対向配置された一対の開閉部5,5とを有し、これらによって密閉された排気空間44が形成される。
【0045】
開閉部5は、上記複数の収容ラック2の各列における両端に位置し、収容ラック2の側面に固定される。開閉部5としては、開閉駆動手段を有し、自動でスライド可能なスライド式の扉でもよく、また、回動式や、アコーディオンカーテン形式で手動式のものであってもよい。なお、図8では、開閉部5は省略されている。
【0046】
収容ラック2は、サーバーコンピュータ又は通信機器等である情報処理機器3を収容する筐体であり、一部又は全部が金属部材で形成されている。収容ラック2は、床面に対して鉛直な一面(前面)に冷気導入口2aを有し、冷気導入口2aを有する側面の反対側の側面(背面)に熱気排出口2bを有する。そして、冷気導入口2aと、熱気排出口2bは、収容ラック2の表裏を通じて、その内部で連通されており、この連通した空間内に情報処理機器3が設置されるようになっている。本実施形態では冷気導入口2aが形成される側は給気空間43となり、熱気排出口2bが形成される側は、排気空間44となる。なお、図示していないが、全ての収容ラック2は、その寸法(特に、高さ)は統一されているものとする。これにより、カーテン60の長さを調整するなどのカーテン加工処理を省略させることができる。
【0047】
また、図8に示すように、サーバールーム1において、収容ラック2が設置されている床は二重床40となっており、この二重床40の間には通気経路41が形成され、床面に開口された冷気供給部42を通じて、サーバールーム1内の給気空間43に冷気Cが供給されるようになっている。この冷気供給部42は、例えば格子状のステンレス板等が用いられるが、通気孔があり利用者の往来にも耐えうる強度があればこれに限定されない。
【0048】
一方、本実施形態において、サーバールーム1の天井側には、天井構造50が形成されている。天井構造50は、図8に示すように、サーバールーム1の天井面51の下方に、天井面51に平行な平面内に配置される複数のレール部材200が配置されている。この複数のレール部材200は、天井面51から吊下された固定部52に係合され、天井面51から所定距離をおいて固定されている。このレール部材200は、格子状に相互に連結されて設けられている。
【0049】
また、天井構造50には、複数のレール部材200に支持されて平面上に配置され、天井面51と平面との間に通気空間45を画成する複数のパネル53が載置されている。このような構成により、図7に示すように、サーバールーム1に格子状のグリッド天井が形成され、図8に示すように、サーバールーム1の室内と、通気空間45とを隔てている。
【0050】
また、天井構造50には、パネル53の他に、通気空間45をサーバールーム1の室内側に開口させる通風口54が形成されている。本実施形態においては、この通風口54にレール部材200に支持されたガラリ55が配置されており、ガラリ55の隙間によって、通気空間45とサーバールーム1とが連通されている。本実施形態において、通風口54は排気空間44及び空調装置30の上部に位置するように配置されている。
【0051】
そして、本実施形態では、レール部材200の下方に、レール部材200に沿って移動可能に保持された係合用治具100が取り付けられており、この係合用治具100に係合されたカーテン60がレール部材200から収容ラック2にわたって吊下されている。
【0052】
カーテン60は、例えば、ビニールやアクリル、不燃性の布など、柔軟な可撓性部材で形成されており、係合手段である係合用治具100によって垂下された際、収容ラック2の上面に接するような長さを有している。これにより、排気空間44の上部はサーバールーム1の室内とは隔てられ、排気経路44aが形成されることになる。排気空間44及び排気経路44aの上方には、通風口54が配置されているため、熱気排出口2bから排出された熱気Hは、排気空間44、及びカーテン60により画成された排気経路44aを通じて、通気空間45へ排出される。
【0053】
そして、排出された熱気Hは通気空間45を通って、空調装置30の上方に位置する通風口54の真上に達し、通風口54を通ってサーバールーム1の室内に流れ込む。室内に流れ込んだ熱気Hは、その下方に位置する空調装置30の内部に導入されて冷却されて冷気Cとなり、再度床下の通気経路41に送出される。なお、本実施形態では、ホットアイル側にカーテン60による排気空間を画成するようにしたが、コールドアイル側にカーテン60によって冷気が収容ラックに流入するような空間を画成するようにしてもよい。
【0054】
(作用・効果)
このような係合用治具100及び係合構造10によれば、一対のフランジ部202,202の間に形成された軌道203に、係合用治具100の小幅部分111aを差込み、ツマミ部113を捻るように回転させることにより、引掛部111の大幅部分111bの底面と、ツマミ部113の上面113aとでフランジ部202を挟持するようになる。このとき、ツマミ部の上面113aに形成される嵌合部113がフランジ202間に嵌合されるので、係合用治具100全体がレール部200に固定される。
【0055】
この際、嵌合部114は、一対のフランジ部202,202の軌道203より幅が広く形成されているので、ツマミ部113を回転させて嵌合部114を軌道203に嵌合させた際、嵌合部114の外周部分がフランジ部202を下方より押圧することとなる。そのため、フランジ部202,202間の軌道203に嵌り込んだ中心部に適切な挟持力を発生させて、治具100をレール部202に固定させることができとともに、嵌合状態を保持できるため、ツマミ部113が回転してしまうことを防止できる。
【0056】
そして、上記係合用治具100及び係合構造10は、情報処理機器3を収容する収容ラック2が複数配置されたサーバールーム1の天井構造50に応用することができる。このようなサーバールーム1の天井構造50によれば、天井面51側に複数のレール部材200を配置し、そのレール部材で複数のパネル53を支持することによって通気空間45を形成するとともに、そのレール部材200上を移動できる係合用治具100によってカーテン60を吊下する。これにより、サーバールーム1内をホットアイルとコールドアイルとに分離することができ、収容ラックからの排熱を、排気経路(ホットアイル)内に封じ込めて通気空間45に給気させて、排熱が冷却側であるコールドアイル側に回り込むのを防止することができる。
【0057】
この際、係合用治具100は、天井面51側のレール部材200上を自由にスライドさせて移動でき、且つ任意の位置に固定ができる。また、パネル53や通風口54も、自由に配置できることから、通気空間における吸気面の位置や開口率を自由に設定することができる。このため、様々な収容ラックの形状、レイアウトにも適合させた排気経路を構築することができ、サーバーなどの排熱を必要な量だけ通気空間に給気し、通気空間を通じて空調機に回収させるように調整することができる。
【0058】
なお、本実施形態の天井構造50では、ホットアイル側とコールドアイル側とを仕切るためにカーテン60を用いたが、例えば、サーバールーム1内に未使用エリアがある場合、未使用エリアは空調が不要であることから、使用エリアと未使用エリアとを仕切るために本発明の天井構造を用いてもよい。すなわち、現在稼働している使用エリアと、将来の増設エリアとして利用予定の未使用エリアとを仕切るための簡易間仕切として本発明に係るカーテン60を用い、未使用エリアにサーバー施設を増設するまでの間、使用エリアの空調のみを稼働させて、未使用エリアの空調を停止させて空調効率を上げることができる。
【0059】
(変更例)
なお、上述した各実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0060】
上述した実施形態では、サーバールームなどにおいてカーテンなどの可撓性部材を吊下する場合を例に説明したが、本発明は、レール部材を敷設できる場所であれば天井に限らず、壁面や柱、床などにも適用することができ、カーテンのみならず、スクリーンやボード・パネルのほか、洋服掛けや帽子掛け、その他の収納用具としても利用することができる。
【0061】
例えば、上述した天井構造50は、サーバールーム1の天井として構成したが、本発明は、これに限定するものではなく、マンション、一般住宅、ホテルなどの建築物に用いることができる。さらに、上述した実施形態では、係合用治具100には、カーテン60を吊下させたが、本発明は、これに限定するものではなく、天井構造50が設置される建築物に応じて種々選択することができる。例えば、上述した実施形態において天井構造50が一般住宅内に構築されている場合には、壁際にレール部材200を設置し、係合用治具100で絵画を吊したり、ハンガーを吊したりすることもできる。
【符号の説明】
【0062】
1…サーバールーム、2…収容ラック、2a…冷気導入口、 2b…熱気排出口、3…情報処理機器、5…開閉部、10…係合構造、20…収容ラック群、 30…空調装置、40…二重床、41…通気経路、42…冷気供給部、43…給気空間、44…排気空間、44a…排気経路、45…通気空間、50…天井構造、51…天井面、52…固定部、53…パネル、54…通風口、55…ガラリ、 60…カーテン、100…係合用治具、101…基部、102…接続部、103…貫通孔、110…係合部、111…引掛部、111a…小幅部分、111b…大幅部分、112…連結部、113…ツマミ部、113a…上面、114…嵌合部、200…レール部材、201…基部、202…フランジ部、203…軌道、204…連結部
【要約】
【課題】カーテン60などをレールに吊下する場合などに、任意の位置からレール部材200に係合でき、設計やアレンジの自由度をより高める。
【解決手段】所定間隔をもって延設される一対のフランジ部202,202によって形成される軌道203を有するレール部材200に係合される係合用治具100であって、軌道203内に挿通可能なように軌道203の幅よりも小さい小幅部分111aを有するとともに、小幅部分111aと直交する方向に突出され、軌道203の幅よりも大きく形成された大幅部分111bを有する引掛部111と、引掛部111に連結され、フランジ部202を挟み込むようにして引掛部111の底面と対向される上面を有するツマミ部113と、ツマミ部113の上面上において凸状に形成され、大幅部分111bがフランジ部202に係合された状態において、フランジ部202間に嵌合される嵌合部114とを有する。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8