(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5796904
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/26 20060101AFI20151001BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
E04B1/26 F
E04B1/26 A
E04B2/56 602K
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-280350(P2012-280350)
(22)【出願日】2012年12月22日
(65)【公開番号】特開2014-122521(P2014-122521A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2013年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】512331887
【氏名又は名称】須賀 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(72)【発明者】
【氏名】須賀 修一
【審査官】
湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−233420(JP,A)
【文献】
特開2008−150849(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3175563(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3025986(JP,U)
【文献】
特開2007−224586(JP,A)
【文献】
特開2010−077785(JP,A)
【文献】
特開2009−275355(JP,A)
【文献】
特開2005−213856(JP,A)
【文献】
特開平08−302918(JP,A)
【文献】
特開平05−106268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/26
E04B 2/56
E04B 1/10
E04H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造軸組構造を有する建築物であって、
前記建築物の外周に、垂直方向に沿って設けられた外壁と、
前記建築物の2階以上の任意の階層に、前記建築物内部の床面の外周に沿って形成された、周囲を梁で囲まれた水平トラスまたは水平ブレースと、
前記建築物の内部を垂直方向に沿って仕切るための間仕切り壁と、
前記建築物の2階以上の任意の階層の床を構成する床下地と、
を備え、
前記外壁は、耐力面材を用いた耐力壁であり、
全ての前記間仕切り壁および全ての前記床下地は、脱着可能である、建築物。
【請求項2】
前記建築物の内部に耐力壁を備えていない、請求項1に記載の建築物。
【請求項3】
前記建築物の1階部分の前記外壁には、壁倍率が3.8〜4.0倍である耐力面材が用いられ、
前記建築物の2階の階層部分の前記外壁には、壁倍率が2.5〜2.7倍である耐力面材が用いられる、
請求項1または2に記載の建築物。
【請求項4】
前記建築物の1階の床を構成する床下地が、厚さ24mm以上の構造用合板により構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の建築物。
【請求項5】
前記建築物の屋根は、厚さ24mm以上の構造用合板により構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の建築物。
【請求項6】
前記周囲を梁で囲まれた水平トラスまたは水平ブレースが、建築基準法施行令第46条に準拠した木造軸組工法住宅の許容応力度以上を負担する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造軸組構造を有する建築物に関する。より詳細には、本発明は、高断熱性および構造耐力を確保しつつ、内部の間取りの自由度を高めることができる、木造軸組構造を有する建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
木造軸組構造は、柱材および梁材などの軸組(線材)によって荷重を支える構造である。木造軸組構造は、比較的設計の自由度が高いため、住宅などによく用いられる。
【0003】
しかし、木造の建築物においては、地震や風などの水平荷重に抵抗するため、建築物の外壁および内壁に多くの耐力壁を使用することが必要である。耐力壁は、建築物の各階層に所定の量設置することが義務付けられている。
【0004】
通常、耐力壁は、水平荷重に対する抵抗力を発揮するため柱および梁と一体化される必要があり、柱に隣接することが必須である。そのため、耐力壁を設置する位置が柱の配置によって限定されてしまい、建築物の使用目的の変化に応じて自由に耐力壁の位置を変更することは難しい。また、耐力壁の両端に柱が必要となるため、柱の本数が多くなってしまう。
【0005】
これに対し、特許文献1には、木造軸組構造において、耐力壁を柱と隣接することなく柱間の中間部に配設して、柱間の中間部において上下の横架材にのみ接合し、水平荷重を負担する架構を形成することが記載されている。これにより、特許文献1は、柱の位置に関係なく耐力壁を配置しうる構造を開示している。
【0006】
また、木造軸組構造を有する住宅では、内部に大空間領域を設けた場合、構造部分を高強度に構築するために住宅の外周に筋違を多く使用する必要が生じる。しかし、住宅の外周に筋違を多用すると、外壁内に断熱材を入れにくくなって高気密化および高断熱化を図ることが困難になる。また、無理に断熱材を外壁内に入れれば、外壁の厚さが大幅に厚くなり、住宅の外観が悪くなる。
【0007】
この問題に対し、特許文献2には、木造軸組工法の住宅において、大空間領域を確保しつつ、構造部分の強度を十分に保ち、かつ住宅の外周から筋違を極力減らすことを目的とした住宅が開示されている。特許文献2に記載の住宅は、大空間領域と、大空間領域に隣接して設けた隣接領域とを有し、大空間領域の隣接領域側の端縁を第1端縁とし、第1端縁に沿った方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する方向をY軸方向とし、第1端縁上の所定位置には、X軸方向に沿った耐力壁が、住宅の内壁として設けられ、隣接領域内の所定位置には、Y軸方向に沿った耐力壁が、住宅の内壁として設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-37303号公報
【特許文献2】特開2005-307515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年の住宅建築の耐久性は向上し続けており、従来の技術でも100年間存在する建築物を作ることは可能である。しかし、100年の間には住人の世代交代が繰り返されるため、世代の変化のたびに内部の間取りを大幅に変更する必要が生じる。したがって、100年間にもわたって住宅を快適に使用し続けるためには、内部の間取りを自由にかつ簡単に変更できることが求められている。
【0010】
特許文献1に記載の構造であれば、耐力壁を柱の位置に関係なく配置することができるが、建築物の十分な構造耐力を確保するために、建築物の内部に依然として耐力壁を設置することが必要となる。したがって、建築物内部の耐力壁によってリフォームできる範囲が制限されてしまうため、世代の変化に応じて柔軟に対応することができず、間取りの自由度が十分ではない。
【0011】
特許文献2に記載の構造もまた、住宅の構造部分の強度を保つために大空間領域に隣接する隣接領域が必要であり、建築物の内壁として耐力壁が設けられているため、間取りの自由度が十分ではない。
【0012】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高断熱性および構造耐力を確保しつつ、間取りの自由度を高めることができる建築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、木造軸組構造を有する建築物であって、建築物の外周に、垂直方向に沿って設けられた外壁と、建築物の2階以上の任意の階層における床の水平構面の耐力を負担するためのトラス梁とを備え、外壁は、耐力面材を用いた耐力壁である、建築物を提供する。
【0014】
また、本発明は、上記建築物において、建築物の内部を垂直方向に沿って仕切るための間仕切り壁と、建築物の2階以上の任意の階層の床を構成する床下地とをさらに備え、間仕切り壁および床下地は、脱着可能である、建築物を提供する。
【0015】
また、本発明は、内部に耐力壁を備えていない上記建築物を提供する。
【0016】
また本発明は、上記建築物において、建築物の1階部分の前記外壁には、壁倍率が3.8〜4.0倍である耐力面材が用いられ、築物の2階の階層部分の前記外壁には、壁倍率が2.5〜2.7倍である耐力面材が用いられる、建築物を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記建築物において、建築物の1階の床を構成する床下地が、厚さ24mm以上の構造用合板により構成される建築物を提供する。
【0018】
また、本発明は、上記建築物において、建築物の屋根は、厚さ24mm以上の構造用合板により構成される建築物を提供する。
【0019】
また、本発明は、上記建築物において、上記トラス梁が建築基準法施行令第46条に準拠した木造軸組工法住宅の許容応力度以上を負担する、建築物を提供する。
【0020】
また、本発明は、上記建築物において、上記トラス梁が水平ブレースである建築物を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る建築物は、木造軸組構造を有するため、鉄骨と比較して高い断熱性能を確保することができる。また、耐力壁に耐力面材を使用することにより、従来の筋違を使用したものよりも高断熱性を実現することができる。
【0022】
また、外壁が耐力壁であることにより、外壁部分が十分な耐震性および耐風圧性を有するため、建築物内部に内壁として耐力壁を設ける必要がなく、間仕切り壁をパネル化し脱着可能にすることができる。これに加え、2階以上の階層における床の水平構面の耐力を負担するためのトラス梁を備えていることにより、2階以上の階層における床下地は水平構面の耐力を負担する必要がない。そのため、床下地構造をパネル化し脱着可能にすることができる。以上の構成により、建築物内部の間取りの自由度を大幅に高めることができる。
【0023】
したがって、本発明によれば、高断熱性および構造耐力を確保しつつ、間取りの自由度を高めることができる。
【0024】
さらに、本発明の木造軸組構造を有する建築物は、上記のような効果を有するため、長期ストック性能、省エネルギー性能および維持管理の容易性などを改善することができる。したがって、本発明の木造軸組構造を有する建築物は、住生活の向上に貢献する建築物である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】建築物の2階の床の水平構面の耐力を負担するためのトラス梁を備える、本発明の一実施形態に係る建築物の基本構造を示す図。
【
図2】本発明の一実施形態におけるトラス梁の一例を示す図。
【
図3】建築物の2階の床の水平構面の耐力を負担するための水平ブレースを備える、本発明の一実施形態に係る建築物の基本構造を示す図。
【
図4】本発明の一実施形態における水平ブレースの一例を示す図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る建築物の間仕切り壁の構成を模式的に示す図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る建築物の床下地の構成を模式的に示す図。
【
図7】建築物の2階の床の水平構面の耐力を負担するためのトラス梁を備える、本発明の一実施形態に係る建築物を模式的に示す図。
【
図8】建築物の2階の床の水平構面の耐力を負担するための水平ブレースを備える、本発明の一実施形態に係る建築物を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る建築物1の基本構造を示す図である。
図1に示す建築物1は2階建てであるが、本発明はこれに限られず、2階建て以上の建築物、すなわち複数階層を有する建築物を包含する。
【0027】
建築物1は、木造軸組構造を有する。木造軸組構造とは、柱材および梁材などの軸組によって荷重を支える構造である。木造は鉄骨と比較して外部との熱伝導が低いため、断熱性能を確保することができる。そのため、建築物1内の温度変化を少なくすることができる。
【0028】
建築物1は、基本構造として外壁11、2階の床を支えるトラス梁12および屋根を支える梁13を備えている。
【0029】
外壁11は、垂直方向に設けられる。外壁11には、耐力面材を用いた耐力壁が使用される。耐力面材を用いた耐力壁としては、特に限定されないが、たとえば構造用合板を釘で打ち付けたものなどを使用することができる。耐力面材を用いた耐力壁を使用することにより、従来の筋違を用いた耐力壁を使用するよりも高断熱性を実現し易くことができる。建築物1は、構造強度を確保するために十分な量の耐力壁を外壁11として備えることができる。外壁11は、建築物1の外周を囲む壁として設けられるが、建築物1の全周を囲む必要はなく、建築物1の構造強度を確保するために十分な量であればよい。たとえば、建築物1の構造強度は、建築基準法施行令第46条に定められた基準に準拠することができる。たとえば、(財)日本住宅・木材技術センター発行「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年度版)」に解説されている耐力要素の詳細計算法に準拠した構造計算によって導き出すことができる。
【0030】
外壁11に使用する耐力面材には、特に限定されず、一般的に耐力壁に使用する面材を使用することができる。たとえば、1階部分の外壁11には、壁倍率が3.8〜4.0倍である耐力面材が用いられる。また、2階以上の階層部分の外壁11には、壁倍率が2.5〜2.7倍の耐力面材を用いてもよい。この構成をバランスよく配置することにより、建築物1の重心と剛心の位置を近くにし、偏心率を少なくし、耐力をより強くすることができる。そのため、耐震性および耐風圧性をより高めることができる。
【0031】
外壁11が耐力壁であることにより、外壁11部分に十分な耐震性および耐風圧性をもたせることができるため、建築物1内部の耐力壁をなくすことができ、後述する間仕切り壁をパネル化し脱着可能にすることができる。
【0032】
トラス梁12は、建築物1の2階以上の階層における床の水平構面の耐力を負担するための梁である。
【0033】
水平構面の耐力を負担するとは、地震や暴風により水平方向にかかる力(水平力)に対する抵抗力を負担することをいう。トラス梁12は、三角形を基本にした構造を有する梁である。
図2は、トラス梁12の一例であり、
図1に示したような建築物の2階床面に使用されるトラス梁12を上面から見た図である。しかし、トラス梁12としては
図2に示す構造に限らず、一般的に使用される構造を有するものを好適に用いることができる。たとえば、トラス梁12は、ワーレントラス構造、プラットトラス構造およびハウトラス構造であることができる。
【0034】
トラス梁12は、建築物1が2階建てであれば、2階の床のみの水平構面の耐力を負担するための梁として使用される。建築物1が2階建て以上であれば、2階以上の任意の階層の任意の階層の床の水平構面の耐力を負担するための梁として使用することができる。また、特定の階層の床のみをトラス梁12で負担し、他の階層の床は、その他の構造によって水平構面の耐力を負担してもよい。
【0035】
トラス梁12は、木造であっても鉄骨造であってもよいが、鉄骨造であれば、構造強度をより高めることができる。
【0036】
トラス梁12によって負担される建築物1の構造強度は、建築基準法施行令第46条に定められた基準に準拠することができる。たとえば、(財)日本住宅・木材技術センター発行「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年度版)」に解説されている耐力要素の詳細計算法に準拠した構造計算によって導き出すことができる。
【0037】
本発明の建築物は、トラス梁12が2階以上の階層における床の水平構面の耐力を負担するので、トラス梁12を使用した2階以上の階層の床下地は、水平構面の耐力を負担する必要がない。したがって、トラス梁12を使用した階層の床下地構造をパネル化し脱着可能にすることができる。そして、トラス梁12を使用した階層は、床面の間取りの変化の幅を出すことができる。
【0038】
トラス梁12は、水平ブレース18であることもできる。たとえば
図3および
図4に示したように、水平ブレース18により、建築物1の2階の床の水平構面の耐力を負担することができる。
図3は、
図1において、トラス梁12を水平ブレース18に置き換えた建築物の基本構造を示す図である。
図4は、
図3に示したような建築物の2階床面に使用される水平ブレース18を上面から見た図である。水平ブレース18は、
図4に示したように梁と梁の間に設置する。
【0039】
また、水平ブレース18は、トラス梁12と同様に、建築物1が2階建て以上であれば、2階以上の任意の階層の任意の階層の床の水平構面の耐力を負担するための梁として使用することができる。また、水平ブレース18は、特定の階層の床のみを水平ブレース18で負担し、他の階層の床は、その他の構造によって水平構面の耐力を負担してもよい。たとえば、2階の階層の床については、トラス梁12によって水平構面の耐力を負担し、他の階層の床は、水平ブレース18によって水平構面の耐力を負担してもよい。
【0040】
水平ブレース18によって負担される建築物1の構造強度は、トラス梁12と同様に、建築基準法施行令第46条に定められた基準に準拠することができる。たとえば、(財)日本住宅・木材技術センター発行「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年度版)」に解説されている耐力要素の詳細計算法に準拠した構造計算によって導き出すことができる。
【0041】
梁13は、屋根を支える梁であり、屋根の荷重を柱に伝える。梁13としては、一般的に梁に用いられる材を好適に使用することができる。
【0042】
建築物1は、
図5および
図6に示すように、間仕切り壁14および2階層における床下地15をさらに備えることができる。
図5および
図6は、本発明の一実施形態に係る建築物1の間仕切り壁14および床下地15の構成をそれぞれ模式的に示す図である。なお、本発明に係る建築物が3階以上の階層を有する場合、3階以上の階層における床下地も、本実施形態の床下地15と同様に構成することができる。
【0043】
間仕切り壁14は、垂直方向に沿って建築物1の内部を仕切るための壁である。間仕切り壁14は、パネル化され、脱着可能に構成することができる。すなわち、本実施形態における間仕切り壁14は、耐力壁でなくてよい。間仕切り壁14は、脱着可能に構成されていることにより、位置を自由に変更したり取り外したりすることができる。建築物1における全ての間仕切り壁14を脱着可能に構成してもよい。
【0044】
床下地15は、建築物1の2階層における床を構成する下地である。床下地15はパネル化され、脱着可能に構成することができる。すなわち、本実施形態における床下地15は、水平構面の耐力を負担していなくてよい。床下地15は、脱着可能に構成されていることにより、高さを自由に変更したり取り外したりすることができる。なお、本発明において、2階以上の階層における全ての床下地を脱着可能に構成してもよい。
【0045】
建築物1は、間仕切り壁14および床下地15が脱着可能であるため、簡単にリフォームを行うことができる。また、間仕切り壁14および床下地15が脱着可能であっても、上述した構成の外壁11およびトラス梁12によって建築物1の十分な構造耐力を確保することができる。
【0046】
建築物1は、
図7または
図8に示すように、1階の床を構成する床下地16および屋根17をさらに備えることができる。
図7は、トラス梁12が2階の床の水平構面の耐力を負担する建築物1を模式的に示す図である。
図8は、水平ブレース18が2階の床の水平構面の耐力を負担する建築物1を模式的に示す図である。
【0047】
床下地16は、1階の床の変形を抑えることができるものであれば特に限定されないが、たとえば厚さ24mm以上の構造用合板により構成され、1階の床の変形を面で抑えるものであってもよい。
【0048】
屋根17は、屋根17の変形を抑えることができるものであれば特に限定されないが、たとえば厚さ24mm以上の構造用合板により構成され、屋根17の変形を面で抑えるものであってもよい。
【0049】
建築物1は、その内部に耐力壁を備えていなくてもよい。すなわち、建築物1は、外壁11、1階の床下地16および屋根17に囲まれた内側に耐力壁を備えない構成であってもよい。この構成であれば、建築物1内部の間取りを制限なく自由に変更することができ、リフォームの幅をさらに広げることができる。また、建築物1の内部に耐力壁を備えていなくとも、上述した構成の外壁11によって建築物1の十分な構造耐力を確保することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態では、上述した構成の外壁11およびトラス梁12によって、建築物1の十分な構造耐力が確保されている。そのため、建築物1内部に耐力壁を配置せず、かつ全ての間仕切り壁14および床下地15をパネル化して脱着可能にすることができる。したがって、子供の成長や世代交代などの住人の世代の変化に応じて、部屋数の増減などの間取りの変更を簡単に行うことができる。また、リフォームが省力化されるため、コストを低く抑えることができる。
【0051】
また、建築物1は、木造建築であり、かつ外壁11を構成する耐力壁が耐力面材を用いたものであることから、高断熱性が確保されている。したがって、部屋数によって大きく温度が変化することがないため、温度変化を考慮することなく自由に間取りの変化を計画することができる。そのため、大空間や開放的な空間を実現させることができる。
【0052】
したがって、本実施形態は、簡単にかつ低コストでリフォームを行うことができるため、世代交代等により建築物自体を建て替える必要がない。そのため、何世代にもわたって長く快適に使用し続けることができる住宅を実現することができる。さらに、都市の低炭素化にも貢献する住宅を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、高断熱性および構造耐力を確保しつつ、間取りの自由度を高めることができるので、住宅等に用いる建築物に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・建築物
11・・・外壁
12・・・トラス梁
13・・・梁
14・・・間仕切り壁
15・・・床下地
16・・・床下地
17・・・屋根
18・・・水平ブレース