【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の流体制御装置によると、複数の流体制御機器を可動レールに予め組み付けておくことで、筐体内の作業としては、可動レールを固定レールに取り付けるだけでよく、ラインの増設(変更を含む)が容易に行えるという利点を有している。
【0005】
しかしながら、可動レールの位置決めと締結方法に際し、位置決めと締結を同時に行うため、可動レール(ライン支持部材)を位置決めするのに時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、ライン支持部材の位置決めと固定を締結部材(ボルト等)だけで同時に行っているため、締結部材(ボルト)に複数の大きな応力(引張り応力やせん断応力など)が掛かる構造であった。
【0007】
さらに、可動レールの端部が固定レールに重ねられることから、流体制御機器を支持する部分の高さが可動レール(ライン支持部材)の高さ+固定レール(ベース部材)の高さとなり、これに流体制御機器を加えた流体制御装置の高さが高いものとなり、これを収納するためのスペース(筐体)が大きくなるという問題もあった。
【0008】
この発明の目的は、ライン支持部材の固定を容易にすることで、組立て時間の短縮化を可能とすることができる流体制御装置を提供することにある。
【0009】
また、この発明の他の目的は、流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による流体制御装置は、複数の流体制御機器が1つのライン支持部材に取り付けられ、複数のライン支持部材がベース部材に着脱可能に取り付けられている流体制御装置において、ベース部材は、上横枠部材および下横枠部材とこれらに直交する左右縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各横枠部材に、各ライン支持部材を位置決めするための位置決め部が設けられて、各ライン支持部材の上下端部は、各横枠部材の位置決め部によって位置決めされた状態で固定されることを特徴とするものである。
【0011】
この発明による流体制御装置は、複数の流体制御機器が1つのライン支持部材に取り付けられ、複数のライン支持部材がベース部材に着脱可能に取り付けられている流体制御装置において、ベース部材は、上横枠部材および下横枠部材とこれらに直交する左右縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各横枠部材に、各ライン支持部材を位置決めするための位置決め部が設けられて、各ライン支持部材の上下端部は、各横枠部材の位置決め部によって位置決めされた状態で固定されて
おり、各ライン支持部材は、平板状の機器載置部と、その上端側において背面側に折り曲げられた上折曲げ部とを有し、機器載置部の上下端部が各横枠部材の正面に当接させられ、上折曲げ部が上横枠部材の上面に当接させられており、各ライン支持部材の上折曲げ部に、下方にのびる凸部が設けられて、上横枠部材の上面に、上折曲げ部の凸部が嵌め入れ可能な凹部が所要間隔で形成されており、各ライン支持部材は、機器載置部の左右両縁において背面側に折り曲げられた左右折曲げ部をさらに有しており、下横枠部材の上面に、左右折曲げ部の下端部が嵌め入れ可能な凹部が所要間隔で形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
各ライン支持部材の各横枠部材への固定は、例えば、両部材の嵌め合いによって行ってもよく、別途の部材(例えばカバー部材)を使用して行ってもよい。
【0013】
各ライン支持部材は、各横枠部材とベース部材に着脱可能に取り付けられた上下カバー部材との間に挟持されていることが好ましい。
【0014】
各横枠部材の位置決め部は、例えば、各横枠部材の上面に形成された凹部とされ、各ライン支持部材は、その上下端部が各横枠部材の凹部に嵌め合わされることによって位置決めされる。位置決めのための構成は、これに限定されるものではなく、各横枠部材の位置決め部を凸部として、各ライン支持部材の上下端部にこれに嵌まり合う凹部を設けるようにしてもよい。
【0015】
各横枠部材には、その少なくとも両端部にねじ孔が設けられ、カバー部材は、その両端部におねじ部材挿通孔が形成されて、おねじ部材によって、着脱可能に横枠部材に取り付けられていることが好ましい。
【0016】
各ライン支持部材は、例えば、本体部分が断面逆U字状の板金製とされる。各横枠部材は、例えば、断面が略コの字状の板金製やステンレス鋼などの金属製フラットバーとされる。横枠部材が断面略コの字状の場合には、背面側に開口するように配置されて、その上壁に凹部が形成されることが好ましい。縦枠部材は、例えば、本体部分が断面逆U字状の板金製とされる。カバー部材は、例えば、断面が略L字状の板金製とされる。
【0017】
流体制御機器としては、開閉弁(流体通路の遮断・開放を行う弁)、減圧弁、圧力および流量の測定および表示器、流量調整器(流量制御弁、マスフローコントローラのような熱式質量流量制御装置や圧力式流量制御装置等)などが使用される。
【0018】
1つのラインは、例えば、下段層となる複数のブロック状継手部材がおねじ部材によってライン支持部材に取り付けられ、隣り合う継手部材にまたがるように上段層となる複数の流体制御機器が上方からのおねじ部材によって継手部材に取り付けられる。このようにすると、上方からのおねじ部材を外すことにより、上段層の流体制御機器を単独で上方に取り出すことができる。1つのラインの構成は、下段層と上段層とからなるものに限られるものではなく、種々の構成を採用することができる。
【0019】
この流体制御装置を組み立てるには、所要の流体制御器が取り付けられたライン支持部材を順次位置決めして固定していく(各ライン支持部材をボルトなどで固定する作業は無し)。
【0020】
カバー部材を使用する場合には、すべてのライン支持部材を位置決めした後、上下のカバー部材をボルトなどでベース部材(横枠部材または縦枠部材)に固定すればよい。
【0021】
このようにすると、ライン支持部材の自重を上横枠部材によって支持することができ、作業者への重量の負担が軽減され、作業の手間や作業時間が軽減されるとともに、各ライン支持部材を固定するため手間が解消し、組立て時間の大幅な短縮化が可能となる。
【0022】
各ライン支持部材は、平板状の機器載置部と、その上端側において背面側に折り曲げられた上折曲げ部とを有し、機器載置部の上下端部が各横枠部材の正面に当接させられ、上折曲げ部が上横枠部材の上面に当接させられていることが好ましい。
【0023】
このようにすると、ライン支持部材の上折曲げ部が上横枠部材の上面で受けられることで、ライン支持部材の自重が上横枠部材によって支持されるとともに、流体制御装置における流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる。
【0024】
各ライン支持部材の上折曲げ部に、下方にのびる凸部が設けられて、上横枠部材の上面に、上折曲げ部の凸部が嵌め入れ可能な凹部が所要間隔で形成されていることが好ましい。
【0025】
上折曲げ部の凸部は、例えば、上折曲げ部の背面側端部が下側に直角に折り曲げられるとともに、その左右幅が短くなされたものとされる。凸部の形状は、種々の形状とすることが可能であり、これに合わせて、上横枠部材の凹部の形状が決められる。
【0026】
このようにすると、各ライン支持部材の位置決めに際し、上折曲げ部の凸部を上横枠部材の凹部に上方から(自重を利用して)嵌め合わせればよいので、各ライン支持部材の位置決めを容易に行うことができる。
【0027】
上横枠部材の凹部は、ライン支持部材の配置のピッチよりも小さい間隔で設けられており、複数の凹部を1つ置き、2つ置きなどで使用してライン支持部材を位置決めすることができるようになされていることがより好ましい。
【0028】
各ライン支持部材は、機器載置部の左右両縁において背面側に折り曲げられた左右折曲げ部をさらに有しており、下横枠部材の上面に、左右折曲げ部の下端部が嵌め入れ可能な凹部が所要間隔で形成されていることが好ましい。
【0029】
左右折曲げ部は、その上下端部が切り欠かれて、機器載置部の上下長さよりも上下長さが短くされ、機器載置部の上下端部が上下横枠部材の上面に当接した際および上折曲げ部の凸部を上横枠部材の凹部に上方から嵌め合わす際のいずれにおいても、上下横枠部材に干渉しない形状とされる。
【0030】
このようにすると、左右折曲げ部によって機器載置部を補強することができるとともに、この折曲げ部を利用しての位置決めが可能となり、各ライン支持部材の強度を確保して、かつ構成を簡素化することができる。
【0031】
下横枠部材の凹部の左右方向の幅は、下横枠部材の1つの凹部内に隣り合うライン支持部材の一方の左折曲げ部と他方の右折曲げ部との両方が嵌め入れ可能な大きさとされていることが好ましい。
【0032】
具体的には、下横枠部材の凹部の左右方向の幅=各ライン支持部材の板厚の2倍とすればよい。このようにすると、隣り合うライン支持部材を隙間なく配置することができ、各ライン支持部材のガタを抑えることができるとともに、装置の左右方向の全幅を小さくすることができる。
【0033】
下横枠部材の凹部についても、ライン支持部材の配置のピッチよりも小さい間隔で設けられており、複数の凹部を1つ置き、2つ置きなどで使用してライン支持部材を位置決めすることができるようになされていることが好ましい。また、上横枠部材の凹部の左右方向の幅が上横枠部材の凹部の左右方向の幅に等しくされていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0034】
この発明の流体制御装置によると、ベース部材は、上横枠部材および下横枠部材とこれらに直交する左右縦枠部材とによって方形の枠状に形成されており、各横枠部材に、各ライン支持部材を位置決めするための位置決め部が設けられて、各ライン支持部材の上下端部は、各横枠部材の位置決め部によって位置決めされた状態で固定されるので、各ライン支持部材の位置決め時には、ボルトなどによる固定作業は不要であり、組立て時間の大幅な短縮化が可能となる。
【0035】
また、各横枠部材とベース部材に着脱可能に取り付けられた上下カバー部材との間に各ライン支持部材が挟持されている構成とすることで、ライン支持部材と各横枠部材との位置決め構造(例えば凸部と凹部との嵌め合わせによる位置決め)と固定構造(上下カバー部材でライン支持部材を固定する構造)とが分けられ、これにより、上下カバー部材を取り付けるためのおねじ部材に掛かる応力は、上下カバー部材でライン支持部材を固定する際に発生する応力のみとなり、おねじ部材に対して不要な応力が掛からないものとできる。
【0036】
そして、各ライン支持部材は、平板状の機器載置部と、その上端側において背面側に折り曲げられた上折曲げ部とを有し、機器載置部の上下端部が各横枠部材の正面に当接させられ、上折曲げ部が上横枠部材の上面に当接させられていることで、流体制御装置における流体制御機器を支持する部分の高さの増加を抑えることができる。