【実施例1】
【0009】
本実施例の画像形成装置としてのプリンタを
図2の第1の実施例におけるプリンタの構成を示す概略図に基づいて説明する。
図2において、プリンタ100は、色材としての顔料を含む樹脂からなるトナーにより、画像データをもとに印字媒体上に画像を形成する。
【0010】
プリンタ100には、印字媒体としての用紙101を貯留する給紙カセット60が装着され、用紙101を給紙カセット60から取り出す給紙ローラ61を備え、用紙101を給紙して搬送する搬送ローラ62、63が配置される。
本実施例におけるプリンタ100は、カラー電子写真方式であり、プリンタ100内には画像形成部としてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する静電潜像担持体としての感光体ドラム41、その感光体ドラム41に形成された静電潜像をトナーにより現像し、トナー像を形成する現像器5、その現像器5にトナーを供給するトナーカートリッジ51が用紙101の搬送路に沿って並べて配置されている。
【0011】
また、感光体ドラム41の表面に電荷を供給して帯電させる帯電ローラ42、光学ヘッドとしてのLEDヘッド3が、感光体ドラム41の表面に対向するように配置され、LEDヘッド3は帯電ローラ42で帯電された感光体ドラム41の表面に画像データをもとに選択的に光を照射して静電画像を形成する。
【0012】
さらに、感光体ドラム41上に形成され、トナーにより静電潜像を可視化した像であるトナー像を用紙101上に転写する転写ローラ80が、転写部で用紙101を搬送する転写ベルト81を挟むように感光体ドラム41に対向して配置され、また用紙101が転写部を通過した後の感光体ドラム41の表面に残留したトナーを除去するクリーニングブレード43が感光体ドラム41の表面に接触して配置されている。
【0013】
転写部の下流には用紙101上に形成されたトナー像を熱および圧力で定着させる定着器9が配置され、その定着器9を通過した用紙101を搬送する搬送ローラ64、その搬送ローラ64により搬送され、画像が形成された用紙101を貯留する排出部7へ排出する排出ローラ65が配置される。
【0014】
また、帯電ローラ42および転写ローラ80には図示しない電源により所定の電圧が印加される。そして、転写ベルト81、感光体ドラム41および各ローラはそれぞれ図示しないモータと図示しない駆動を伝達するギアにより回転駆動される。さらに、現像器5、LEDヘッド3、定着器9、および図示しない各モータには、それぞれ電源および制御装置が接続されている。
【0015】
プリンタ100は、外部装置から印刷データを受信する外部インターフェースを有し、その外部インターフェースで受信した印刷データをもとに印字媒体上に画像を形成する。
このように構成されたプリンタ100は、制御プログラムをメモリ等の記憶部に記憶し、その制御プログラムに基づいて全体を制御する制御手段および演算手段としての制御部を備えている。
【0016】
図3は第1の実施例におけるLEDヘッドの概略側面図である。
図3において、露光装置としてのLEDヘッド3にはレンズユニット1が配置される。レンズユニット1はホルダ34によりLEDヘッド3に固定されている。LED素子30は発光部であり、複数のLED素子30が略直線に配列され、LEDアレイ300を構成している。LED素子30の配列方向はY軸方向(
図3における水平方向)である。レンズユニット1は長尺であり、レンズユニット1の長手方向がLEDアレイ300と平行になるようにY軸方向(
図3における水平方向)に配置されている。
【0017】
41は静電潜像が形成される感光体ドラムであり、AXRは感光体ドラム41の回転軸である。この感光体ドラム41の回転軸AXRが、LEDアレイ300およびレンズユニット1の長手方向と平行になるようにY軸方向(
図3における水平方向)に配置されている。
レンズユニット1には、複数のマイクロレンズが配置されており、レンズユニット1のマイクロレンズの光軸はZ方向(
図3における鉛直方向)となるように配置されている。
【0018】
図4は第1の実施例におけるLEDヘッドの断面図である。なお、
図4は
図3における直線AAでの断面図である。
図4において、レンズユニット1の長手方向およびレンズユニット1のマイクロレンズの光軸方向の両方に直交する方向をレンズユニット1の幅方向とすると、レンズユニット1の幅方向はX軸方向(
図4における水平方向)となるように配置される。レンズユニット1の幅方向におけるレンズユニット1の中心をCLとすると、中心CLを外挿した直線上にLED素子30および感光体ドラム41の回転軸AXRが配置される。
【0019】
また、レンズユニット1のマイクロレンズの光軸はZ方向(
図4における鉛直方向)となるように配置される。LED素子30およびドライバIC31は配線基板33上に配置される。LED素子30およびドライバIC31はワイヤ32により結線されている。
【0020】
図5は第1の実施例におけるレンズユニットの分解斜視図である。
図5において、レンズユニット1は、2枚のレンズアレイと遮光部材とからなる。11aは、物体面側のレンズアレイとしての第1のレンズ板であり、11bは、結像側のレンズアレイとしての第2のレンズ板である。また、21は遮光部材としての遮光板である。
【0021】
第1のレンズ板11aと第2のレンズ板11bとが、遮光板21を挟んで対向して配置される。第1のレンズ板11aの一方の面には、第1のレンズ12aが2列に配列され、また他方の面には、第2のレンズ13aが2列に配列され、また第2のレンズ板11bの一方の面には、第1のレンズ12bが2列に配列され、また他方の面には、第2のレンズ13bが2列に配列されている。
【0022】
レンズユニット1は長尺のユニットであり、第1のレンズ板11aの長手方向(Y軸方向)に沿って第1のレンズ12aおよび第2のレンズ13aが配列され、第2のレンズ板11bの長手方向(Y軸方向)に沿って第1のレンズ12bおよび第2のレンズ13bが配列される。この第1のレンズ12aおよび第2のレンズ13aならびに第1のレンズ12bおよび第2のレンズ13bの光軸AXLはZ方向(
図5における鉛直方向)となるように配置される。
【0023】
遮光板21には、絞りとしての開口部22が形成され、その開口部22はレンズユニット1の長手方向に沿って配列されている。
第1のレンズ12aおよび第2のレンズ13aならびに第1のレンズ12bおよび第2のレンズ13bの配列間隔は同じであり、それぞれの光軸AXLが一致するように配置される。
【0024】
このようにレンズユニット1は、光軸が一致するように配置された2枚のマイクロレンズ(第1のレンズ板11aと第2のレンズ板11b)と絞り(遮光板21)とからなるレンズ群を光軸に対して直交する方向に略直線に配置した構成となっている。
【0025】
図6は第1の実施例における第1のレンズ板の平面図であり、図中Y軸方向(図中鉛直方向)がレンズ板の長手方向となっている。
図6において、第1のレンズ板11aには、複数の第1のレンズ12aが、その光軸が互いに平行し、また光軸と直交する方向に、2列に配置されている。すなわち、レンズ板11aには、レンズ列L1に沿って配列されたレンズ12aとレンズ列L2に沿って配列されたレンズ12aとが形成されている。レンズ列L1に配列されたレンズ12aとレンズ列L2に配列されたレンズ12aとはレンズ板11aの長手方向において位相をずらしてレンズ12aが千鳥状に配列されている。
【0026】
また、図示されない第1のレンズ板11aの裏側には、複数の第2のレンズ13aが2列に配置されている。光軸AXLは、第1のレンズ12aと第2のレンズ13aとで一致する。
第1のレンズ12aの配列間隔は、第1のレンズ板11aの長手方向(図中Y軸方向)にPY、幅方向(図中X軸方向)にPXとなっている。このとき、間隔PY>間隔PXとなっている。また、2列のレンズ列間で隣接するレンズ間の間隔はPNとなっている。
【0027】
第1のレンズ12aは緻密に配置されており、隣接する第1のレンズ12aと境界で接し、隙間なく連続して配置されている。つまり、第1のレンズ板11aの長手方向における第1のレンズ12aの半径RYは(PY/2)となっている。また、第1のレンズ板11aの第1のレンズ12aの半径RLは(PY/2)より大きくなっている。さらに、第1のレンズ板11aの第1のレンズ12aの半径RLは(PN/2)より大きくなっている。
なお、第1のレンズ板11aは発光部の光線を透過する素材により構成されている。
【0028】
図7は第1の実施例における第1のレンズ板の平面図であり、
図5における第1のレンズ板11aの裏面を示し、図中Y軸方向(図中鉛直方向)が第1のレンズ板11aの長手方向となっている。
図7において、第2のレンズ13aは、
図6で説明した第1のレンズ12aと同じ配列間隔で配置され、第1のレンズ12aと第2のレンズ13aの光軸AXLは一致する。
【0029】
14aは、第2のレンズ13aの外周部に配置されたクロストーク防止部であり、隣り合うレンズの間を通過する所謂クロストーク光が
図5に示す遮光板21で遮光されるように形成されている。このクロストーク防止部14aは、2つの第2のレンズ13aの境界近傍に配置される。
【0030】
ここで、クロストーク防止部14aは、
図6に示すレンズ列L1、L2において同一のレンズ列で隣接するレンズ12aの境界に配置するようにしている。同一のレンズ列において隣接するレンズ12aの配列ピッチ2RYは別々のレンズ列において隣接するレンズ12aの配列ピッチPNよりも大きいためである。ピッチが大きい側の境界にクロストーク防止部14aを設けることで光量を低下させることなくクロストークを防止することができる。本実施例のようにすることで、レンズ板11aにレンズ12aのレンズ列L1、レンズ列L2を上記条件で形成して高密度でレンズ12aを実装しつつ、クロストークを防止することができる。
【0031】
第2のレンズ13aの光軸AXLの近傍と、クロストーク防止部14aとの間の領域を中間部としたとき、その中間部の曲率は光軸AXL近傍の曲率より小さくなっており、またクロストーク部14aの曲率は中間部の曲率より大きくなっている。
【0032】
第2のレンズ13aの半径RIは、クロストーク防止部14aを含めた半径RLより小さくなっている。また、第2のレンズ13aの半径RIは、(PY/2)より小さく、(PN/2)より大きくなっている。なお、PYは、
図6に示す第1のレンズ12aの長手方向の配列間隔、PXは、
図6に示す第1のレンズ12aの幅方向の配列間隔である。
図6および
図7に示す第1のレンズ12aおよび第2のレンズ13aの各曲面は、数式1で表される回転対称高次非球面で構成する。
【0033】
【数1】
【0034】
関数Z(r)は、各レンズ面の面頂点を原点とし、原点に対してレンズ板11a、11bの素材で構成されている側を負の数で表す。rは、第1のレンズ12aの光軸に平行な方向を軸とし、半径方向の回転座標系を示し、各図に示した方向X、Yの各座標に対し、数式2の関係がある。
【0035】
【数2】
【0036】
また、(−CR)は、光軸AXL近傍の曲率半径、Aは非球面係数4次の係数、Bは非球面係数6次の係数、Cは非球面係数8次の係数を示す。
次に、本実施例の第2のレンズの形状について
図1を用いて説明する。
図1は第1の実施例における第2のレンズおよびクロストーク防止部の断面図である。なお、
図1中のZ軸方向(鉛直方向)が光軸AXLと平行な方向であり、
図1中のX軸方向(水平方向)がレンズユニットの長手方向と直交する方向(幅方向)となっている。
【0037】
図1において、第2のレンズ13aは凸レンズであり、第2のレンズ13aの曲面は数式1で表される回転対称高次非球面で構成され、第2のレンズ13aは光軸AXLの近傍で曲率半径が数式1の曲率半径(−CR)となっている。そして、クロストーク防止部14aは曲率半径CREの曲面で構成されている。
【0038】
図1に示すように、第2のレンズ13aの曲線は、第1のレンズ板11aの素材と空気の境界線であり、曲線の下側が第1のレンズ板11aの素材で構成され、上側が空気となっている。光軸AXL付近では、第2のレンズ13aの曲線は半径(−CR)の円と略一致し、クロストーク防止部14aでは、曲線は半径CREの円と略一致する。
【0039】
第2のレンズ13aの光軸AXLの近傍の領域151と、クロストーク防止部14aの領域152との間の領域を中間部153としたとき、中間部153の曲率は、光軸AXLの近傍の領域151の曲率より小さくなっており、クロストーク防止部14aの領域152の曲率は、中間部153の曲率より大きくなっている。ここで、光軸AXLの近傍の領域151の曲率とは、光軸AXLで内接する図中破線で示す円の曲率である。
【0040】
すなわち、中間部153の曲率半径は、光軸AXLの近傍の領域151の曲率半径(−CR)より大きくなっており、クロストーク防止部14aの領域152の曲率半径CREは、中間部153の曲率半径より小さくなっている。
【0041】
このようにレンズアレイとしての第1のレンズ板11aを構成する各第2のレンズ13aは、領域151と、領域152と、中間部153とを有し、領域151はレンズの光軸付近であって、第1の領域としての面頂部であり、領域152は第1の領域よりも光軸から離れ、第2のレンズ13aの有効範囲よりも外側のクロストーク防止部14aであって、第2の領域としての外周部であり、中間部153は第1の領域と第2の領域とをつなぐ第3の領域である。
【0042】
そして、第1の領域(領域151)の曲率を第1の曲率X1、第2の領域(領域152)の曲率を第2の曲率X2、第3の領域(中間部153)の曲率を第3の曲率X3とすると、
第2の曲率X2>第1の曲率X1>第3の曲率X3
の関係を有している。
【0043】
図5に示す第2のレンズ板11bの構成は、上述した第1のレンズ板11aの構成と同様であり、図示しない第1のレンズ12b、第2のレンズ13b、およびクロストーク防止部14bで構成され、その第2のレンズ板11bの第1のレンズ12b、第2のレンズ13b、およびクロストーク防止部14bは、第1のレンズ板11aの第1のレンズ12a、第2のレンズ13a、およびクロストーク防止部14aと同様である。
【0044】
図8は第1の実施例における遮光板の平面図である。図中のY軸方向(鉛直方向)が遮光板21の長手方向であり、図中のX軸方向(水平方向)が遮光板21の長手方向と直交する方向となっている。
図8において、遮光板21には、レンズに入射する光線を通過させる複数の開口部22が形成されている。この開口部22は、遮光板21の長手方向に略直線に配列され、開口部22の配列間隔は、
図6に示す第1のレンズ12aの配列間隔に一致する。遮光板21の長手方向に直交する方向(X軸方向)における開口部22の間隔はTBとなっている。
【0045】
開口部22は、半径RAの円と、半径RAの円の中心から遮光板21の長手方向と直交する方向(X軸方向)へ距離(PX−TB)/2の距離に存在する直線と、半径RAの円の中心から遮光板21の長手方向(Y軸方向)へ距離ABに存在する直線とに囲まれた形状となっている。このとき、半径RA>距離ABとなっている。なお、PXは、遮光板21の長手方向と直交する方向(X軸方向)における半径RAの円の中心間の距離である。
【0046】
光軸AXLの位置は、開口部22の一部を形成する半径RAの円の中心と一致する。また、遮光板21は、発光部の光線を遮光する素材により形成され、開口部22の内壁は光線を遮光する遮光部となる。
【0047】
図9は第1の実施例におけるレンズユニットの断面図であり、
図6および
図8における直線BBによるレンズユニット1の断面図である。なお、
図9におけるY軸方向(水平方向)はレンズユニット1の長手方向であり、Z軸方向(鉛直方向)は光軸AXLの方向である。
【0048】
図9において、物体面OPから距離LOの位置に第1のレンズ板11aの第1のレンズ12aが配置されている。第1のレンズ12aと第2のレンズ13aとの間隔、すなわちレンズの厚さはLT1である。また、第1のレンズ板11aの第2のレンズ13aと第2のレンズ板11bの第2のレンズ13bとは、光軸AXLが一致するように対向し、距離LSを隔てて配置されている。
【0049】
第2のレンズ13aと第2のレンズ13bとの間には遮光板21が配置されている。第1のレンズ12bと第2のレンズ13bとの間隔、すなわちレンズの厚さはLT2である。レンズユニット1の結像面は、第1のレンズ12bから光軸AXL方向に距離LI、隔てた位置である。
【0050】
第1のレンズ12aと第2のレンズ13aは、光軸AXL方向に距離LO1の位置に存在する物体30aの結像として中間像30bを、光軸AXL方向に距離LI1離れた中間像面IMP上に形成する。このとき、中間像30bは、物体30aの倒立縮小像になっている。
【0051】
第1のレンズ12bと第2のレンズ13bは、光軸AXL方向に距離LO2の位置に存在する中間像30bの結像30cを、光軸AXL方向に距離LI2隔てた結像面IP上に結像する。このとき、結像30cは、物体30aの正立等倍像になっている。
【0052】
レンズユニット1の物体面OPから第1のレンズ12aまでの距離LOは距離LO1と等しく設定され、第2のレンズ13aと第2のレンズ13bとの間隔LSは、LS=距離LI1+距離LO2に設定され、第1のレンズ12bからレンズユニット1の結像面IPまでの距離LIは、距離LI2と等しく設定される。
【0053】
上述した構成の作用について説明する。
まず、プリンタ100の動作を
図2に基づいて説明する。
プリンタ100の感光体ドラム41表面は、図示しない電源装置により電圧が印加された帯電ローラ42により帯電される。続いて、感光体ドラム41が回転することによって帯電された感光体ドラム41表面がLEDヘッド3の付近に到達するとLEDヘッド3によって露光され、感光体ドラム41表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器5により現像され、感光体ドラム41の表面にトナー像が形成される。
【0054】
一方、給紙カセット60にセットされた用紙101が給紙ローラ61によって給紙カセット60から取り出され、搬送ローラ62、63により、転写ローラ80および転写ベルト81の付近に搬送される。
感光体ドラム41が回転することにより、現像によって得られた感光体ドラム41表面上のトナー像が転写ローラ80および転写ベルト81の付近に到達すると図示しない電源装置により電圧が印加されている転写ローラ80および転写ベルト81によって、感光体ドラム41表面上のトナー像は用紙101上に転写される。
【0055】
続いて、表面にトナー像が形成された用紙101は、転写ベルト81の回転により定着器9へ搬送され、用紙101上のトナー像はその定着器9により加圧されながら加熱されることにより溶解し、用紙101上に固定される。トナー像が固定された用紙101は、搬送ローラ64および排出ローラ65により排出部7に排出されてプリンタ100の動作が終了する。
【0056】
次に、露光装置としてのLEDヘッド3の動作を
図4に基づいて説明する。
画像データをもとにプリンタ100の制御部によりLEDヘッド3の制御信号が発信されるとドライバIC31はその制御信号に基づき任意の光量でLED素子30を発光させる。そのLED素子30からの光線はレンズユニット1に入射し、感光体ドラム41上に結像が形成される。
【0057】
次に、レンズユニット1の動作を
図9に基づいて説明する。
RAY1は、物体30aから発せられ、光学系を通過する主光線であり、RAY2は周辺光線である。第1のレンズ12aと第2のレンズ13aとにより、物体30aの縮小倒立像30bが中間像面IMP上に形成される。周辺光線RAY2および主光線RAY1は中間像30bの位置で集光する。
【0058】
そして、第1のレンズ12bおよび第2のレンズ13bによって、中間像30bの拡大倒立像が結像30cとして結像面IP上に形成される。周辺光線RAY2および主光線RAY1は、結像30cの位置で再び集光する。このとき、結像30cは物体30aの正立等倍像となっている。
【0059】
また、第2のレンズ13aと第2のレンズ13bとの間では、物体面上の各点からの主光線RAY1が平行である、所謂テレセントリックになっている。
一方、RAY3は、物体30aからの光線のうち、第1のレンズ12aと光軸AXLが同じでない第2のレンズ13aに入射するクロストーク光線である。
【0060】
本実施例では、第2のレンズ13aにクロストーク防止部14aが形成されているので、クロストーク光線RAY3は、隣接する第2のレンズ13aのクロストーク防止部14aで屈折し、遮光板21に形成された開口部22の内壁により遮断される。
【0061】
次に、本実施例の第2のレンズ13aの形状とその効果について、
図11の第1の実施例における第2のレンズの作用を示す説明図を用いて説明する。
図11(a)および(b)は、第1のレンズ12aおよび第2のレンズ13aの断面図であり、図中Z軸方向(鉛直方向)が光軸AXLと平行な方向、図中のY軸方向(水平方向)がレンズユニットの長手方向となっている。
【0062】
図11(a)は、本実施例の構成であり、第2のレンズ13aの光軸AXLの近傍(
図1に示す領域151)とクロストーク防止部14a(
図1に示す領域152)の間の領域(
図1に示す領域153)を中間部としたとき、その中間部の曲率は光軸AXLの近傍の曲率より小さくなっている。一方、
図11(b)は、本実施例とは異なり、上述した中間部の曲率が光軸AXLの近傍の曲率より小さくなっていないレンズである。
【0063】
図11において、物体面OP上の物体30aから出た光線のうち、第2のレンズ13aの外周付近を透過する光線を周辺光線RAY2、第2のレンズ13aの光軸近傍を透過する光線を近軸光線RAY4とすると、
図11(a)に示す本実施例の構成では、中間部の曲率は光軸AXL近傍の曲率より小さくなっているため、周辺光線RAY2および近軸光線RAY4は、ともに中間像面IMP上の中間像30bで結像する。
【0064】
ところが、
図11(b)に示す、中間部の曲率が光軸AXL近傍の曲率より小さくなっていないレンズの場合、球面収差によって周辺光線RAY2は中間像面IMPよりレンズの距離SA近い位置である30b´に集光し、近軸光線RAY4は中間像面IMP上の中間像30b上で集光するため、中間像30bのコントラストは低下する。
【0065】
さらに、本実施例の第2のレンズ13aの形状とその効果について、
図12の第1の実施例における第2のレンズの作用を示す説明図を用いて説明する。
図12(a)および(b)は、第1のレンズ12aおよび第2のレンズ13aの断面図であり、図中Z軸方向(鉛直方向)が光軸AXLと平行な方向、図中のY軸方向(水平方向)がレンズユニットの長手方向となっている。
【0066】
図12(a)は、本実施例の構成であり、第2のレンズ13aの光軸AXLの近傍(
図1に示す領域151)とクロストーク防止部14a(
図1に示す領域152)の間の領域(
図1に示す領域153)を中間部としたとき、その中間部の曲率は光軸AXLの近傍の曲率より小さくなっている。一方、
図12(b)は、本実施例とは異なり、上述した中間部の曲率が光軸AXLの近傍の曲率より小さくなっていないレンズである。
図12(a)に示す本実施例の構成では、中間部の曲率は光軸AXL近傍の曲率より小さくなっているため、物体面OP上の物体30aの中間像30bは、中間像面IMP上に直線状に形成される。
【0067】
ところが、
図12(b)に示す、中間部の曲率が光軸AXL近傍の曲率より小さくなっていないレンズの場合、像面湾曲によって、物体面OP上の光軸AXLから離れた位置に存在する物体30aの像は中間像面IMPより距離FCレンズに近い位置に形成され、物体面30aの結像は曲線状に形成され、中間像30bのコントラストは低下する。
【0068】
次に、本実施例の効果を検証するため、本実施例および比較例のレンズユニットを作成した。本実施例および比較例のレンズユニットの各部位の
図1、
図6、
図7、
図8および
図9に示す寸法および数式1に示す係数は表1および表2に示すとおりである。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
なお、比較例においては、
図9に示すクロストーク防止部14aおよび14bを形成せず、第2のレンズ13aおよび13bの周囲を平坦な面で形成した。また、本実施例および比較例ともに、
図5および
図9に示すレンズ板11aおよび11bに用いる材料は、シクロオレフィン系樹脂である光学樹脂(日本ゼオン社製、商品名;ZEONEX(ゼオネックス)(登録商標)E48R)とし、射出成型法により作成した。さらに、
図5および
図9に示す遮光板21はポリカーボネートを用いて射出成型法により作成した。
【0072】
次に、本実施例および比較例のレンズユニットの性能を評価した結果について説明する。
レンズユニットの性能評価においては、
図3に示すLED素子30の配列間隔がPD=0.042mmであるLEDヘッドを用いた。これは、1インチ(凡そ25.4mm)の600個のLED素子30が配列されており、いわゆる解像度は600dpi(dot per inch)である。
【0073】
まず、本実施例および比較例のレンズユニットを実装したそれぞれのプリンタを用いて
図10に示した印刷ドット701と空白ドット702とが交互に現れるパターン700を印刷したところ、本実施例のレンズユニットを実装したプリンタでは良好な画像が得られた。一方、比較例のレンズユニットを実装したプリンタでは濃度ムラが発生した。
【0074】
パターン700について
図10を用いて説明する。パターン700は、印刷ドット701と空白ドット702とにより構成される。印刷ドット701は、トナー像であり、空白ドット702はトナーが付着せず、印刷用紙の表面が露出する領域である。印刷ドット701の間隔PP=0.084mmであり、1つおきに印刷ドット701と空白ドット702とを形成した印刷画像を形成し、評価した。なお、隣接するドットの間隔PD=0.042mmである。
【0075】
比較例のレンズユニットでは、空白ドット702の位置にもトナーが付着し、本実施例のレンズユニットでの印刷結果より濃度が濃く、均一性が悪く、濃度ムラが見られた。
【0076】
さらに、紙面の搬送方向に2列の空白ドット702が配置され、2列の空白ドット702を除く残りの領域に印刷ドット701が一面に隙間なく配置されたパターンを印刷したところ、本実施例においては、空白ドット702の位置にトナーが付着することはなかったが、比較例においては、空白ドット702の位置にトナーが付着し、汚れてしまった。
【0077】
本実施例のレンズユニットでは、第2のレンズは
図1に示すようにクロストーク防止部14aの領域152の曲率が光軸付近の領域151および中間部の領域153の曲率より大きくなるように形成されているため、クロストークする光線が遮光板で遮断されて結像に到達することがないので、コントラストの高い結像が形成される。したがって、本実施例のレンズユニットを用いた画像形成装置においては、印刷画像の空白部にトナーが付着することなく、良好な印刷画像を得ることができる。
【0078】
なお、
図9に示す第1のレンズ12aおよび第2のレンズ13aは、アナモフィック非球面やXY多項式や放物面、楕円面、双曲面、コーニック面等の曲面を形成しても良い。
また、クロストーク防止部14aは第1のレンズ板11aの長手方向と直交する方向における両端部にのみ形成するようにしても良い。この構成を
図13の第1の実施例の変形例におけるレンズ板の平面図に基づいて説明する。
【0079】
図13は、第1のレンズ板11aの平面図であり、図中Y軸方向(鉛直方向)は第1のレンズ板11aの長手方向、X軸方向(水平方向)は第1のレンズ板11aの長手方向と直交する方向を示している。クロストーク防止部14aは第2のレンズ13a近傍のX軸方向における両端部に配置されている。
【0080】
図14は、レンズユニット1の長手方向と直交する平面による断面図であり、図中X軸方向(水平方向)はレンズユニット1の長尺方向と直交する方向、図中Z軸方向(鉛直方向)は光軸AXLの方向である。
【0081】
クロストーク防止部14aは第2のレンズ13a近傍のX軸方向における両端部に配置することにより、クロストーク光はレンズユニット1の長手方向と直交する方向における中央に向かって曲げられ、遮光板21により吸収される。すなわち、第1のレンズ12aの外周部に入射し、隣り合う2つのレンズの境界を透過するクロストーク光RAY3は、クロストーク防止部14aに入射し、図面X軸方向(水平方向)における中央に向かって曲げられ、遮光板21の開口22の内壁で吸収される。
【0082】
なお、上述したクロストーク防止部14aと同様に、クロストーク防止部14bを第2のレンズ板11bの長手方向と直交する方向における両端部にのみ形成するようにしても良い。
以上説明したように、第1の実施例では、第2のレンズのクロストーク防止部の領域の曲率を光軸付近の領域および中間部の領域の曲率より大きくなるように光学系を構成することにより、クロストークした光線が遮光部材で遮光されるので、LEDヘッドにおいてはコントラストの高い露光像を形成することができ、画像形成装置においては印刷画像の品質低下を抑制することができるという効果が得られる。